JPH06275872A - 超伝導量子干渉素子の磁束トラップ除去方法およびその装置 - Google Patents

超伝導量子干渉素子の磁束トラップ除去方法およびその装置

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JPH06275872A
JPH06275872A JP5057461A JP5746193A JPH06275872A JP H06275872 A JPH06275872 A JP H06275872A JP 5057461 A JP5057461 A JP 5057461A JP 5746193 A JP5746193 A JP 5746193A JP H06275872 A JPH06275872 A JP H06275872A
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JP
Japan
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magnetic flux
superconducting
heater
quantum interference
interference device
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Withdrawn
Application number
JP5057461A
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English (en)
Inventor
Teruo Kido
照雄 木戸
Tomoaki Ko
倫明 康
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 極低温雰囲気中への外部熱侵入の増加を防止
し、しかも磁束トラップの除去を確実化する。 【構成】 SQUID素子を収容する極低温ケーシング
1の内部において、SQUID素子の少なくとも一部を
加熱するヒータ6をフィードバックコイル5と並列接続
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は超伝導量子干渉素子の
磁束トラップ除去方法およびその装置に関し、さらに詳
細にいえば、超伝導量子干渉素子を超伝導転移温度以下
に冷却する過程において超伝導量子干渉素子に磁束がト
ラップされた場合に、磁束のトラップを解消させるため
の装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から磁束に対する感度が著しく高い
という特性に着目して、生態磁場計測等の微弱磁場計測
をはじめとして種々の分野で超伝導量子干渉素子(Su
perconducting Quantum Int
erference Device、以下、SQUID
と略称する)が採用されている。
【0003】ところで、SQUID素子は超伝導転移温
度以下に冷却されることが必要であるため、SQUID
素子を液体ヘリウム等に浸漬するか、またはSQUID
素子を極低温冷凍機により冷却することが必要になる。
しかし、何れの冷却方法を採用しても、SQUID素子
の全範囲が同時に超伝導転移温度以下になることは殆ど
期待できず、一般にはある部分からある部分に向かって
徐々に温度が低下し、最終的に全範囲が超伝導転移温度
以下になるのである。したがって、例えば、SQUID
素子の周縁部から中央部に向かって徐々に温度が低下す
る場合であって、周囲の雑音磁場が大きい場合には、周
縁部のみが超伝導転移温度以下に冷却された状態におい
て中央部に閉じ込められた磁束が残存し、しかも磁束閉
じ込め領域が小さくなるにしたがって磁束密度が大きく
なるので、中央部はいつまでも超伝導状態に転移しない
ことになってしまう。この結果、SQUID素子の特性
が著しく劣化してしまう。
【0004】このような不都合を解消するために、図8
に示すように、従来は内部雰囲気が超伝導転移温度以下
にまで冷却される極低温ケーシング51の内部に、ジョ
セフソン接合53が設けられた超伝導ループ52、イン
プットコイル54、フィードバックコイル55を設ける
だけでなく、超伝導ループ52に近接させて常伝導状態
に転移させるためのヒータ56を設ける構成が採用され
ている。尚、ヒータ56に対する給電配線はフィードバ
ックコイル55、超伝導ループ52、インプットコイル
54に対する配線とは別個に設けられている。
【0005】この構成を採用すれば、出力電圧低下等に
より磁束がトラップされている状態を検出した場合に、
ヒータ56に通電することによりSQUID素子を局部
的に加熱し、局部的に常伝導状態に転移させることがで
きる。そして、ヒータ56に対する通電を停止してSQ
UID素子を再び冷却すれば、SQUID素子は最も加
熱された端部に向かって徐々に超伝導転移温度以下に冷
却されるので、磁束トラップを確実に解消させることが
できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の磁束トラップ除
去装置においては、SQUID素子自体として必要な配
線が極低温ケーシング51を貫通して設けられているだ
けでなく、磁束トラップを除去するだけのために設けら
れたヒータ56に対する給電配線も極低温ケーシング5
1を貫通することになり、SQUID素子を用いるシス
テム全体としての構成を複雑にするとともに、ヒータ5
6に対する給電配線を通して極低温ケーシング51内に
侵入する熱量が増加し、SQUID素子を超伝導転移温
度以下に冷却することが困難になってしまう。特に、生
態磁場の計測を行なう場合には、必要なSQUID素子
の数が100程度もしくはそれ以上になり、しかもSQ
UID素子毎にヒータ56が必要になるのであるから、
ヒータ56に対する給電配線を通して極低温ケーシング
51内に侵入する熱量が著しく多くなってしまう。この
結果、液体ヘリウムを用いる場合には、液体ヘリウムの
必要両が著しく増加し、極低温冷凍機を用いる場合に
は、冷凍能力が大きいものを用いることが必要になるの
みならず、超伝導転移温度以下にまで冷却するための所
用時間が著しく長くなってしまう。
【0007】
【発明の目的】この発明は上記の問題点に鑑みてなされ
たものであり、外部侵入熱量の増加を未然に防止し、し
かも磁束トラップを確実に解消させることができるSQ
UID素子の磁束トラップ除去方法およびその装置を提
供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの、請求項1の磁束トラップ除去装置は、超伝導量子
干渉素子を加熱して常伝導状態に転移させるヒータを極
低温ケーシング内においてフィードバックコイルと直列
接続したものである。請求項2の磁束トラップ除去装置
は、超伝導量子干渉素子を加熱して常伝導状態に転移さ
せるヒータを極低温ケーシング内においてフィードバッ
クコイルと並列接続したものである。
【0009】請求項3の磁束トラップ除去装置は、超伝
導量子干渉素子を加熱して常伝導状態に転移させるヒー
タを極低温ケーシング内において超伝導ループのバイア
ス供給配線と直列接続したものである。請求項4の磁束
トラップ除去装置は、ヒータが折り返し状に形成された
ものである。
【0010】請求項5の磁束トラップ除去方法は、フィ
ードバックコイルに強制的に大電流を供給することによ
り超伝導量子干渉素子の少なくとも一部を通常伝導状態
に転移させ、その後、ヒータに対する大電流の供給を停
止して超伝導量子干渉素子を冷却し、超伝導状態に転移
させる方法である。
【0011】
【作用】請求項1の磁束トラップ装置であれば、ジョセ
フソン接合を有する超伝導ループ、超伝導ループに磁束
を導くインプットコイルおよびインプットコイルにより
超伝導ループに導かれる磁束の変化を補償すべく補償用
磁束を超伝導ループに導くフィードバックコイルを、内
部温度が超伝導転移温度以下に冷却された極低温ケーシ
ング内に収容して超伝導転移温度以下に冷却した場合
に、磁束トラップが発生していれば、フィードバックコ
イルと直列接続されたヒータに比較的大きな電流を通電
することにより、SQUID素子の少なくとも一部を通
常伝導状態に転移させることができる。その後、ヒータ
への比較的大きな電流の通電を停止してSQUID素子
を冷却することにより磁束トラップを生じさせることな
く全ての構成要素を超伝導転移温度以下に冷却できる。
【0012】さらに詳細に説明すると、例えば、当初の
冷却過程において素子の周縁部から順次超伝導転移温度
以下にまで冷却されることにより磁束トラップが生じた
場合であっても、ヒータにより素子の一部のみが強く加
熱されることに起因して、素子の一部が通常伝導状態に
転移される。したがって、その後、ヒータへの比較的大
きな電流の通電を停止して素子を冷却することにより、
磁束トラップを生じさせることなく素子全体を超伝導転
移温度以下にまで冷却できる。
【0013】また、上記ヒータは極低温ケーシングの内
部においてフィードバックコイルと直列接続されている
のであるから、ヒータを設けることに伴なう、極低温ケ
ーシングを貫通する配線の数の増加を未然に防止でき、
外部侵入熱量の増加をも未然に防止できる。この結果、
SQUID素子を含むシステム全体としての構成の複雑
化を防止できるとともに、SQUID素子の冷却を容易
化できる。
【0014】請求項2の磁束トラップ除去装置であれ
ば、ジョセフソン接合を有する超伝導ループ、超伝導ル
ープに磁束を導くインプットコイルおよびインプットコ
イルにより超伝導ループに導かれる磁束の変化を補償す
べく補償用磁束を超伝導ループに導くフィードバックコ
イルを、内部温度が超伝導転移温度以下に冷却された極
低温ケーシング内に収容して超伝導転移温度以下に冷却
した場合に、磁束トラップが発生していれば、フィード
バックコイルと並列接続されたヒータに比較的大きな電
流を通電することにより、SQUID素子の少なくとも
一部を通常伝導状態に転移させることができる。その
後、ヒータへの比較的大きな電流の通電を停止してSQ
UID素子を冷却することにより磁束トラップを生じさ
せることなく全ての構成要素を超伝導転移温度以下に冷
却できる。
【0015】また、上記ヒータは極低温ケーシングの内
部においてフィードバックコイルと並列接続されている
のであるから、ヒータを設けることに伴なう、極低温ケ
ーシングを貫通する配線の数の増加を未然に防止でき、
外部侵入熱量の増加をも未然に防止できる。この結果、
SQUID素子を含むシステム全体としての構成の複雑
化を防止できるとともに、SQUID素子の冷却を容易
化できる。
【0016】請求項3の磁束トラップ除去装置であれ
ば、ジョセフソン接合を有する超伝導ループ、超伝導ル
ープに磁束を導くインプットコイルおよびインプットコ
イルにより超伝導ループに導かれる磁束の変化を補償す
べく補償用磁束を超伝導ループに導くフィードバックコ
イルを、内部温度が超伝導転移温度以下に冷却された極
低温ケーシング内に収容して超伝導転移温度以下に冷却
した場合に、磁束トラップが発生していれば、超伝導ル
ープのバイアス供給配線と直列接続されたヒータに比較
的大きな電流を通電することにより、SQUID素子の
少なくとも一部を通常伝導状態に転移させることができ
る。その後、ヒータへの比較的大きな電流の通電を停止
してSQUID素子を冷却することにより磁束トラップ
を生じさせることなく全ての構成要素を超伝導転移温度
以下に冷却できる。
【0017】また、上記ヒータは極低温ケーシングの内
部において超伝導ループのバイアス供給配線と直列接続
されているのであるから、ヒータを設けることに伴な
う、極低温ケーシングを貫通する配線の数の増加を未然
に防止でき、外部侵入熱量の増加をも未然に防止でき
る。この結果、SQUID素子を含むシステム全体とし
ての構成の複雑化を防止できるとともに、SQUID素
子の冷却を容易化できる。請求項4の磁束トラップ除去
装置であれば、ヒータが折り返し状に形成されてあるの
で、SQUID素子動作時にヒータに流れる電流に起因
する磁束が発生しても、折り返しの前後において磁束の
向きが互に逆になり、互にキャンセルし合うことになる
ので、超伝導ループにノイズ磁束として作用することを
未然に防止できる。
【0018】請求項5の磁束トラップ除去方法であれ
ば、ジョセフソン接合を有する超伝導ループ、超伝導ル
ープに磁束を導くインプットコイルおよびインプットコ
イルにより超伝導ループに導かれる磁束の変化を補償す
べく補償用磁束を超伝導ループに導くフィードバックコ
イルを、内部温度が超伝導転移温度以下に冷却された極
低温ケーシング内に収容して超伝導転移温度以下に冷却
した場合に、磁束トラップが発生していれば、フィード
バックコイルに強制的に大電流を通電することにより、
SQUID素子の少なくとも一部を通常伝導状態に転移
させることができる。その後、フィードバックコイルへ
の大電流の通電を停止してSQUID素子を冷却するこ
とにより磁束トラップを生じさせることなく全ての構成
要素を超伝導転移温度以下に冷却できる。
【0019】また、この発明においては、フィードバッ
クコイルによりヒータを兼ねさせているのであるから、
極低温ケーシングを貫通する配線の数の増加を未然に防
止でき、外部侵入熱量の増加をも未然に防止できる。こ
の結果、SQUID素子を含むシステム全体としての構
成の複雑化を防止できるとともに、SQUID素子の冷
却を容易化できる。
【0020】
【実施例】以下、実施例を示す添付図面によって詳細に
説明する。図1はこの発明の磁束トラップ除去装置の一
実施例が組み込まれたSQUID素子の構成を示す概略
図であり、1対のジョセフソン接合3を有する超伝導ル
ープ2、図示しないピックアップコイルにより検出され
た外部磁束を超伝導ループ2に導くインプットコイル
4、インプットコイル4により超伝導ループ2に導かれ
る磁束の変化を補償すべく補償用の磁束を超伝導ループ
2に導くフィードバックコイル5、およびフィードバッ
クコイル5と直列接続されたヒータ6が、内部雰囲気が
超伝導転移温度以下に冷却される極低温ケーシング1に
収容されている。尚、2aは超伝導ループ2に対してバ
イアスを供給するためのバイアス供給配線、5aは図示
しない位相ロックループ回路および図示しないヒータ電
源とフィードバックコイル5とを接続する配線である。
尚、図1には特には示していないが、超伝導ループ2か
ら信号を取り出すための信号取り出し配線が設けられて
いる。そして、バイアス供給配線2a、配線5aおよび
信号取り出し配線は極低温ケーシング1を貫通して常温
側と極低温側の電気的接続を達成している。また、上記
配線5aは、常温側において図示しないスイッチ等によ
り位相ロックループ回路またはヒータ電源と選択的に接
続されている。尚、ヒータ6の配置位置は、製造の容易
さ等の観点から超伝導ループ2の外側であることが好ま
しいが、超伝導ループ2の内側であってもよい。
【0021】上記の構成のSQUID素子の作用は次の
とおりである。SQUID素子を超伝導転移温度以下に
まで冷却する場合には、例えば極低温冷凍機等が用いら
れることになるが、SQUID素子自体の冷却に関して
は、SQUID素子自体の熱容量等の影響を受けるの
で、どの部分を最も早く超伝導転移温度以下にまで冷却
し、どの部分を最も遅く超伝導転移温度以下にまで冷却
するかを制御することは殆ど不可能である。また、冷却
過程において周囲の雑音磁場が大きいか否かについても
完全には制御することができない。したがって、所定の
冷却時間が経過した時点において磁束トラップが生じて
いる場合がある。尚、磁束トラップが生じているか否か
に関しては、例えば、超伝導ループ2からの出力電圧の
レベル等に基づいて簡単に判別できる。
【0022】そして、磁束トラップが生じている場合に
は、配線5aをヒータ電源と接続することによりヒータ
6に対して比較的大きい電流を供給すればよく、SQU
ID素子を部分的に常伝導状態に転移させることができ
る。その後、ヒータ6に対する比較的大きい電流の供給
を停止し、再び極低温冷凍機による冷却を行なえば、常
伝導状態に転移された部分が最後に超伝導転移温度以下
にまで冷却されることになるので、トラップされていた
磁束をSQUID素子から排除できる。即ち、磁束トラ
ップを除去できる。
【0023】したがって、その後は、従来のSQUID
素子と同様に高感度の磁束検出動作を行なわせることが
できる。尚、この磁束検出動作は従来公知であるから、
詳細な説明は省略する。もちろん、位相ロックループ回
路からフィードバックコイル5に供給される電流はヒー
タ6にも流れることになるが、位相ロックループにより
フィードバックコイル5に供給される電流は著しく微弱
であるから、ヒータ6による発熱は殆ど皆無となり、S
QUID素子の動作に殆ど悪影響を及ぼさない。
【0024】また、以上の説明から明らかなように、ヒ
ータ6に通電するための特別の配線は設けられていない
のであるから、極低温ケーシング1の側壁を貫通する配
線の数はヒータを設けていない従来装置と同じであり、
配線数の増加に起因する構成の複雑化、SQUID素子
の冷却の困難化を未然に防止できる。
【0025】
【実施例2】図2はこの発明の磁束トラップ除去装置の
他の実施例が組み込まれたSQUID素子の構成を示す
概略図であり、図1の構成と異なる点は、ヒータ6を折
り返し状に形成した点のみである。したがって、この実
施例の場合には、図1の実施例と同様の作用を達成でき
るほか、磁束検出動作時にヒータ6に通電されることに
起因する磁束が折り返しの前後で互に逆向きになるの
で、ヒータ6に通電されることに起因する磁束が超伝導
ループ2に対して雑音磁束として導かれることを未然に
防止でき、ヒータ6に常時通電され続けることに起因す
る磁束検出感度の低下を未然に防止できる。
【0026】
【実施例3】図3はこの発明の磁束トラップ除去装置の
他の実施例が組み込まれたSQUID素子の構成を示す
概略図であり、図1の構成と異なる点は、ヒータ6をフ
ィードバックコイル5と並列接続しているとともに、フ
ィードバックコイル5に対する通電を制御するための、
ジョセフソン接合等からなるスイッチ5bを接続してい
る点のみである。
【0027】したがって、この実施例の場合にも、図1
の実施例と同様の作用を達成できる。但し、この実施例
においては、ヒータ6とフィードバックコイル5とが互
に並列接続されている関係上、そのままではヒータ6へ
の通電初期等においてフィードバックコイル5に大電流
が流れる可能性がある。しかし、この実施例において
は、フィードバックコイル5と直列にジョセフソン接合
等からなるスイッチ5bを接続しているので、ヒータ6
に大電流が流れる場合には、スイッチ5bにも臨界電流
を越える大電流が流れ、スイッチ5bがOFF状態にな
るので、フィードバックコイル5に大電流が流れるとい
う不都合の発生を未然に阻止できる。
【0028】また、この実施例を採用すれば、薄膜技術
を用いてSQUID素子を作成するに当って、ヒータ6
の位置、サイズ等を簡単に設定することができるのであ
るから、磁束トラップの除去を一層効果的に達成でき
る。また、温度勾配の解消等にも適用できる。
【0029】
【実施例4】図4はこの発明の磁束トラップ除去装置の
さらに他の実施例が組み込まれたSQUID素子の構成
を示す概略図であり、図3の構成と異なる点は、ヒータ
6を折り返し状に形成した点のみである。したがって、
この実施例の場合には、図3の実施例と同様の作用を達
成できるほか、磁束検出動作時にヒータ6に通電される
ことに起因する磁束が折り返しの前後で互に逆向きにな
るので、ヒータ6に通電されることに起因する磁束が超
伝導ループ2に対して雑音磁束として導かれることを未
然に防止でき、ヒータ6に常時通電され続けることに起
因する磁束検出感度の低下を未然に防止できる。
【0030】
【実施例5】図5はこの発明の磁束トラップ除去装置の
他の実施例が組み込まれたSQUID素子の構成を示す
概略図であり、図1の構成と異なる点は、ヒータ6をバ
イアス供給配線2aの途中に直列接続した点のみであ
る。したがって、この実施例の場合にも、図1の場合と
同様の作用を達成できる。
【0031】
【実施例6】図6はこの発明の磁束トラップ除去装置の
さらに他の実施例が組み込まれたSQUID素子の構成
を示す概略図であり、図5の構成と異なる点は、ヒータ
6を折り返し状に形成した点のみである。したがって、
この実施例の場合には、図5の実施例と同様の作用を達
成できるほか、磁束検出動作時にヒータ6に通電される
ことに起因する磁束が折り返しの前後で互に逆向きにな
るので、ヒータ6に通電されることに起因する磁束が超
伝導ループ2に対して雑音磁束として導かれることを未
然に防止でき、ヒータ6に常時通電され続けることに起
因する磁束検出感度の低下を未然に防止できる。
【0032】
【実施例7】図7はこの発明の磁束トラップ除去方法の
一実施例を説明するフローチャートであり、ステップS
P1においてSQUID素子を超伝導転移温度以下にま
で冷却し、ステップSP2において磁束トラップが生じ
ているか否かを判別する。そして、磁束トラップが生じ
ていなければ、ステップSP6においてそのまま磁束検
出動作を行なう。
【0033】逆に、ステップSP2において磁束トラッ
プが生じていると判別された場合には、ステップSP3
において、位相ロックループ回路に代えてヒータ電源に
よりフィードバックコイルに大電流を供給することによ
りSQUID素子の該当箇所を加熱して、該当箇所を常
伝導状態に転移させ、ステップSP4においてヒータ電
源によるフィードバックコイルへの大電流の通電を停止
し、ステップSP5においてSQUID素子が超伝導転
移温度以下に冷却されるまで待ち、そのままステップS
P6の磁束検出動作を行なう。
【0034】尚、この磁束トラップ除去方法が適用され
るSQUID素子の構成としては、従来のSQUID素
子と同様の構成のものが採用できる。但し、フィードバ
ックコイル5については、超伝導材料ではなく、通常伝
導材料で形成されたものを用いることが好ましく、通電
電流の急激な増加を未然に防止できる。
【0035】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明は、ヒータ
を設けることに伴なう、極低温ケーシングを貫通する配
線の数の増加を未然に防止し、外部侵入熱量の増加をも
未然に防止して、SQUID素子を含むシステム全体と
しての構成の複雑化を防止できるとともに、SQUID
素子の冷却を容易化でき、しかも磁束トラップを確実に
除去できるという特有の効果を奏する。
【0036】請求項2の発明も、ヒータを設けることに
伴なう、極低温ケーシングを貫通する配線の数の増加を
未然に防止し、外部侵入熱量の増加をも未然に防止し
て、SQUID素子を含むシステム全体としての構成の
複雑化を防止できるとともに、SQUID素子の冷却を
容易化でき、しかも磁束トラップを確実に除去できると
いう特有の効果を奏する。
【0037】請求項3の発明も、ヒータを設けることに
伴なう、極低温ケーシングを貫通する配線の数の増加を
未然に防止し、外部侵入熱量の増加をも未然に防止し
て、SQUID素子を含むシステム全体としての構成の
複雑化を防止できるとともに、SQUID素子の冷却を
容易化でき、しかも磁束トラップを確実に除去できると
いう特有の効果を奏する。
【0038】請求項4の発明は、SQUID素子動作時
にヒータに流れる電流に起因する磁束が発生しても、折
り返しの前後において磁束の向きが互に逆になり、互に
キャンセルし合うことになるので、超伝導ループにノイ
ズ磁束として作用することを未然に防止できる。請求項
5の発明は、フィードバックコイルによりヒータを兼ね
させて、極低温ケーシングを貫通する配線の数の増加を
未然に防止し、外部侵入熱量の増加をも未然に防止し
て、SQUID素子を含むシステム全体としての構成の
複雑化を防止できるとともに、SQUID素子の冷却を
容易化でき、しかも磁束トラップを確実に除去できると
いう特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の磁束トラップ除去装置の一実施例が
組み込まれたSQUID素子の構成を示す概略図であ
る。
【図2】この発明の磁束トラップ除去装置の他の実施例
が組み込まれたSQUID素子の構成を示す概略図であ
る。
【図3】この発明の磁束トラップ除去装置のさらに他の
実施例が組み込まれたSQUID素子の構成を示す概略
図である。
【図4】この発明の磁束トラップ除去装置のさらに他の
実施例が組み込まれたSQUID素子の構成を示す概略
図である。
【図5】この発明の磁束トラップ除去装置のさらに他の
実施例が組み込まれたSQUID素子の構成を示す概略
図である。
【図6】この発明の磁束トラップ除去装置のさらに他の
実施例が組み込まれたSQUID素子の構成を示す概略
図である。
【図7】この発明の磁束トラップ除去方法の一実施例を
説明するフローチャートである。
【図8】従来の磁束トラップ除去装置が組み込まれたS
QUID素子の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1 極低温ケーシング 2 超伝導ループ 2a バイアス供給配線 3 ジョセフソン接合 4 インプットコイル 5 フィードバックコイル 6 ヒータ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジョセフソン接合(3)を有する超伝導
    ループ(2)、超伝導ループ(2)に磁束を導くインプ
    ットコイル(4)およびインプットコイル(4)により
    超伝導ループ(2)に導かれる磁束の変化を補償すべく
    補償用磁束を超伝導ループ(2)に導くフィードバック
    コイル(5)を含む超伝導量子干渉素子が、内部温度が
    超伝導転移温度以下に冷却された極低温ケーシング
    (1)内に収容されてあり、超伝導量子干渉素子を加熱
    して常伝導状態に転移させるヒータ(6)が極低温ケー
    シング(1)内においてフィードバックコイル(5)と
    直列接続されてあることを特徴とする超伝導量子干渉素
    子の磁束トラップ除去装置。
  2. 【請求項2】 ジョセフソン接合(3)を有する超伝導
    ループ(2)、超伝導ループ(2)に磁束を導くインプ
    ットコイル(4)およびインプットコイル(4)により
    超伝導ループ(2)に導かれる磁束の変化を補償すべく
    補償用磁束を超伝導ループ(2)に導くフィードバック
    コイル(5)を含む超伝導量子干渉素子が、内部温度が
    超伝導転移温度以下に冷却された極低温ケーシング
    (1)内に収容されてあり、超伝導量子干渉素子を加熱
    して常伝導状態に転移させるヒータ(6)が極低温ケー
    シング(1)内においてフィードバックコイル(5)と
    並列接続されてあることを特徴とする超伝導量子干渉素
    子の磁束トラップ除去装置。
  3. 【請求項3】 ジョセフソン接合(3)を有する超伝導
    ループ(2)、超伝導ループ(2)に磁束を導くインプ
    ットコイル(4)およびインプットコイル(4)により
    超伝導ループ(2)に導かれる磁束の変化を補償すべく
    補償用磁束を超伝導ループ(2)に導くフィードバック
    コイル(5)を含む超伝導量子干渉素子が、内部温度が
    超伝導転移温度以下に冷却された極低温ケーシング
    (1)内に収容されてあり、超伝導量子干渉素子を加熱
    して常伝導状態に転移させるヒータ(6)が極低温ケー
    シング(1)内において超伝導ループ(2)のバイアス
    供給配線(2a)と直列接続されてあることを特徴とす
    る超伝導量子干渉素子の磁束トラップ除去装置。
  4. 【請求項4】 ヒータ(6)が折り返し状に形成されて
    ある請求項1から請求項3の何れかに記載の超伝導量子
    干渉素子の磁束トラップ除去装置。
  5. 【請求項5】 ジョセフソン接合(3)を有する超伝導
    ループ(2)、超伝導ループ(2)に磁束を導くインプ
    ットコイル(4)およびインプットコイル(4)により
    超伝導ループ(2)に導かれる磁束の変化を補償すべく
    補償用磁束を超伝導ループ(2)に導くフィードバック
    コイル(5)を含む超伝導量子干渉素子が、内部温度が
    超伝導転移温度以下に冷却された極低温ケーシング
    (1)内に収容されてあり、フィードバックコイルに強
    制的に大電流を供給することにより超伝導量子干渉素子
    の少なくとも一部を通常伝導状態に転移させ、その後、
    ヒータに対する大電流の供給を停止して超伝導量子干渉
    素子を冷却し、超伝導状態に転移させることを特徴とす
    る超伝導量子干渉素子の磁束トラップ除去方法。
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