JPH0878738A - 超伝導量子干渉素子の磁束トラップ除去装置およびその方法 - Google Patents

超伝導量子干渉素子の磁束トラップ除去装置およびその方法

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JPH0878738A
JPH0878738A JP6215061A JP21506194A JPH0878738A JP H0878738 A JPH0878738 A JP H0878738A JP 6215061 A JP6215061 A JP 6215061A JP 21506194 A JP21506194 A JP 21506194A JP H0878738 A JPH0878738 A JP H0878738A
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JP
Japan
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magnetic flux
superconducting
current
josephson junction
feedback coil
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Application number
JP6215061A
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English (en)
Inventor
Teruo Kido
照雄 木戸
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 極低温雰囲気中への外部熱侵入の増加を防止
し、しかも磁束トラップの除去を確実化する。 【構成】 SQUID素子を収容する極低温ケーシング
1の内部において、臨界電流よりも大きい電流が供給さ
れることにより常伝導状態になり、SQUID素子の少
なくとも一部を加熱する超伝導状態破壊用ジョセフソン
接合6をフィードバックコイル5と並列接続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は超伝導量子干渉素子の
磁束トラップ除去装置およびその方法に関し、さらに詳
細にいえば、超伝導量子干渉素子を超伝導転移温度以下
に冷却する過程において超伝導量子干渉素子に磁束がト
ラップされた場合に、磁束のトラップを解消させるため
の装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から磁束に対する感度が著しく高い
という特性に着目して、生体磁場計測等の微弱磁場計測
をはじめとして種々の分野で超伝導量子干渉素子(Su
perconducting Quantum Int
erference Device、以下、SQUID
と略称する)が採用されている。
【0003】ところで、SQUID素子は超伝導転移温
度以下に冷却されることが必要であるため、SQUID
素子を液体ヘリウム等に浸漬するか、またはSQUID
素子を極低温冷凍機により冷却することが必要になる。
しかし、何れの冷却方法を採用しても、SQUID素子
の全範囲が同時に超伝導転移温度以下になることは殆ど
期待できず、一般にはある部分からある部分に向かって
徐々に温度が低下し、最終的に全範囲が超伝導転移温度
以下になるのである。したがって、例えば、SQUID
素子の周縁部から中央部に向かって徐々に温度が低下す
る場合であって、周囲の雑音磁場が大きい場合には、周
縁部のみが超伝導転移温度以下に冷却された状態におい
て中央部に閉じ込められた磁束が残存し、しかも磁束閉
じ込め領域が小さくなるにしたがって磁束密度が大きく
なるので、中央部はいつまでも超伝導状態に転移しない
ことになってしまう。この結果、SQUID素子の特性
が著しく劣化してしまう。
【0004】このような不都合を解消するために、図8
に示すように、従来は内部雰囲気が超伝導転移温度以下
にまで冷却される極低温ケーシング51の内部に、ジョ
セフソン接合53が設けられた超伝導ループ52、イン
プットコイル54、フィードバックコイル55を設ける
だけでなく、超伝導ループ52に近接させて常伝導状態
に転移させるためのヒータ56を設ける構成が採用され
ている。尚、ヒータ56に対する給電配線はフィードバ
ックコイル55、超伝導ループ52、インプットコイル
54に対する配線とは別個に設けられている。
【0005】この構成を採用すれば、出力電圧低下等に
より磁束がトラップされている状態を検出した場合に、
ヒータ56に通電することによりSQUID素子を局部
的に加熱し、局部的に常伝導状態に転移させることがで
きる。そして、ヒータ56に対する通電を停止してSQ
UID素子を再び冷却すれば、SQUID素子は最も加
熱された端部に向かって徐々に超伝導転移温度以下に冷
却されるので、磁束トラップを確実に解消させることが
できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の磁束トラップ除
去装置においては、SQUID素子自体として必要な配
線が極低温ケーシング51を貫通して設けられているだ
けでなく、磁束トラップを除去するだけのために設けら
れたヒータ56に対する給電配線も極低温ケーシング5
1を貫通することになり、SQUID素子を用いるシス
テム全体としての構成を複雑にするとともに、ヒータ5
6に対する給電配線を通して極低温ケーシング51内に
侵入する熱量が増加し、SQUID素子を超伝導転移温
度以下に冷却することが困難になってしまう。特に、生
体磁場の計測を行なう場合には、必要なSQUID素子
の数が100程度もしくはそれ以上になり、しかもSQ
UID素子毎にヒータ56が必要になるのであるから、
ヒータ56に対する給電配線を通して極低温ケーシング
51内に侵入する熱量が著しく多くなってしまう。この
結果、液体ヘリウムを用いる場合には、液体ヘリウムの
必要量または消費量が著しく増加し、極低温冷凍機を用
いる場合には、冷凍能力が大きいものを用いることが必
要になるのみならず、超伝導転移温度以下にまで冷却す
るための所要時間が著しく長くなってしまう。
【0007】
【発明の目的】この発明は上記の問題点に鑑みてなされ
たものであり、外部侵入熱量の増加を未然に防止し、し
かも磁束トラップを確実に解消させることができるSQ
UID素子の磁束トラップ除去装置およびその方法を提
供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの、請求項1の磁束トラップ除去装置は、臨界電流よ
りも大きな電流が流されることにより常伝導状態に転移
して抵抗として機能し、超伝導量子干渉素子を加熱して
常伝導状態に転移させるジョセフソン接合が極低温ケー
シング内においてフィードバックコイルと直列接続され
てあり、上記ジョセフソン接合およびフィードバックコ
イルに上記臨界電流よりも大きな電流を供給する状態と
超伝導ループに導かれる磁束の変化を補償するための電
流を供給する状態とを選択する制御手段が設けられたも
のである。
【0009】請求項2の磁束トラップ除去方法は、フィ
ードバックコイルと直列にジョセフソン接合を接続して
おき、フィードバックコイルに該ジョセフソン接合の臨
界電流を越える電流を供給することにより該ジョセフソ
ン接合を常伝導状態に転移させ、上記電流の供給を継続
することにより超伝導量子干渉素子を常伝導状態に転移
させ、その後、フィードバックコイルに対する上記電流
の供給を停止して超伝導量子干渉素子を冷却し、超伝導
状態に転移させる方法である。
【0010】
【作用】請求項1の磁束トラップ装置であれば、ジョセ
フソン接合を有する超伝導ループ、超伝導ループに磁束
を導くインプットコイルおよびインプットコイルにより
超伝導ループに導かれる磁束の変化を補償すべく補償用
磁束を超伝導ループに導くフィードバックコイルを、内
部温度が超伝導転移温度以下に冷却された極低温ケーシ
ング内に収容して超伝導転移温度以下に冷却した場合
に、磁束トラップが発生していれば、制御手段によって
フィードバックコイルと直列接続されたジョセフソン接
合に臨界電流よりも大きい電流を通電することにより、
このジョセフソン接合を常伝導状態に転移させてヒータ
として機能させることができ、この通電を継続すること
によりSQUID素子の少なくとも一部を通常伝導状態
に転移させることができる。その後、制御手段によって
ヒータとして機能しているジョセフソン接合への比較的
大きな電流の通電を停止してSQUID素子を冷却する
ことにより磁束トラップを生じさせることなく全ての構
成要素を超伝導転移温度以下に冷却できる。
【0011】さらに詳細に説明すると、例えば、当初の
冷却過程において素子の周縁部から順次超伝導転移温度
以下にまで冷却されることにより磁束トラップが生じた
場合であっても、常伝導状態に転移したジョセフソン接
合がヒータとして機能し、素子の一部が加熱されること
に起因して、素子の一部が通常伝導状態に転移される。
したがって、その後、ジョセフソン接合への臨界電流よ
りも大きい電流の通電を停止して素子を冷却することに
より、磁束トラップを生じさせることなく素子全体を超
伝導転移温度以下にまで冷却できる。
【0012】また、上記ジョセフソン接合は極低温ケー
シングの内部においてフィードバックコイルと直列接続
されているのであるから、ヒータを設けることに伴な
う、極低温ケーシングを貫通する配線の数の増加を未然
に防止でき、外部侵入熱量の増加をも未然に防止でき
る。この結果、SQUID素子を含むシステム全体とし
ての構成の複雑化を防止できるとともに、SQUID素
子の冷却を容易化できる。また、上記ジョセフソン接合
は、臨界電流を越えない電流が流される通常動作時には
超伝導素子として機能しており、発熱を伴なわないの
で、SQUID素子を極低温に保持し続けるために必要
な液体ヘリウムの必要量または消費量の増加を抑制し、
極低温冷凍機を用いる場合における冷凍能力の増加を抑
制することができる。
【0013】請求項2の磁束トラップ除去方法であれ
ば、ジョセフソン接合を有する超伝導ループ、超伝導ル
ープに磁束を導くインプットコイルおよびインプットコ
イルにより超伝導ループに導かれる磁束の変化を補償す
べく補償用磁束を超伝導ループに導くフィードバックコ
イルを、内部温度が超伝導転移温度以下に冷却された極
低温ケーシング内に収容して超伝導転移温度以下に冷却
した場合に、磁束トラップが発生していれば、フィード
バックコイルと直列接続されたジョセフソン接合に臨界
電流よりも大きい電流を通電することにより、このジョ
セフソン接合を常伝導状態に転移させてヒータとして機
能させることができ、この通電を継続することによりS
QUID素子の少なくとも一部を通常伝導状態に転移さ
せることができる。その後、ヒータとして機能している
ジョセフソン接合への比較的大きな電流の通電を停止し
てSQUID素子を冷却することにより磁束トラップを
生じさせることなく全ての構成要素を超伝導転移温度以
下に冷却できる。
【0014】また、この発明においては、フィードバッ
クコイルと直列にジョセフソン接合を接続しているので
あるから、極低温ケーシングを貫通する配線の数の増加
を未然に防止でき、外部侵入熱量の増加をも未然に防止
できる。この結果、SQUID素子を含むシステム全体
としての構成の複雑化を防止できるとともに、SQUI
D素子の冷却を容易化できる。また、上記ジョセフソン
接合は、臨界電流を越えない電流が流される通常動作時
には超伝導素子として機能しており、発熱を伴なわない
ので、SQUID素子を極低温に保持し続けるために必
要な液体ヘリウムの必要量または消費量の増加を抑制
し、極低温冷凍機を用いる場合における冷凍能力の増加
を抑制することができる。
【0015】
【実施例】以下、実施例を示す添付図面によって詳細に
説明する。図1はこの発明の磁束トラップ除去装置の一
実施例が組み込まれたSQUID素子の構成を示す概略
図であり、1対のジョセフソン接合3を有する超伝導ル
ープ2、図示しないピックアップコイルにより検出され
た外部磁束を超伝導ループ2に導くインプットコイル
4、インプットコイル4により超伝導ループ2に導かれ
る磁束の変化を補償すべく補償用の磁束を超伝導ループ
2に導くフィードバックコイル5、およびフィードバッ
クコイル5と直列接続された超伝導状態破壊用ジョセフ
ソン接合6が、内部雰囲気が超伝導転移温度以下に冷却
される極低温ケーシング1に収容されている。尚、2a
は超伝導ループ2に対してバイアスを供給するためのバ
イアス供給配線、2bは超伝導ループ2から信号を取出
すための信号取出し配線であって磁束ロックループ回路
(以下、FLLと略称する)7と接続されている。5a
はFLL7および磁束トラップ除去用電源8とフィード
バックコイル5とを接続する配線である。そして、バイ
アス供給配線2a、配線5aおよび信号取り出し配線2
bは極低温ケーシング1を貫通して常温側と極低温側の
電気的接続を達成している。また、上記配線5aは、常
温側において第2スイッチ9によりFLL7または磁束
トラップ除去用電源8と選択的に接続されている。
【0016】上記FLL7は、信号取出し配線2bによ
り超伝導ループ2から取出された信号を増幅する増幅器
7aと、変調信号発生器7bと、変調信号発生器7bか
ら出力される変調信号により増幅器7aから出力される
増幅信号を検波するロックイン検波器7cと、検波信号
を積分し、増幅する積分増幅器7dと、積分増幅器7d
からの出力を変調信号発生器7bから出力される変調信
号により変調して得た電圧信号を電流信号に変換して第
2スイッチ9の一方の端子9aに供給する第1電圧電流
変換器7eと、上記電圧信号に代えて特性測定用の掃引
波を第1電圧電流変換器7eに供給する第1スイッチ7
fとを有している。尚、上記増幅信号がSQUID出力
として使用され、上記積分増幅器7dからの出力がFL
L出力として使用される。また、第1スイッチ7fは、
上記変調して得た信号が一方の端子7f1に供給され、
上記特性測定用の掃引波が他方の端子7f2に供給さ
れ、切替端子7f3が第1電圧電流変換器7eに接続さ
れている。
【0017】上記磁束トラップ除去用電源8は、磁束ト
ラップ除去用電圧信号が供給される第2電圧電流変換器
8aからなり、上記第2スイッチ9の他方の端子9bに
電流信号を供給する。上記第2スイッチ9は、何れかの
端子に供給されている電流信号をフィードバックコイル
5に供給するものである。
【0018】また、上記第1スイッチ7f、第2スイッ
チ9の状態を制御する制御部10が設けられている。こ
の制御部10は、SQUID素子の特性を測定する場合
に第1スイッチ7fの切替端子7f3を他方の端子7f
2に接続し、SQUID素子の磁束トラップを除去する
場合に第2スイッチ9の切替端子9cを他方の端子9b
に接続し、通常の動作を行わせる場合に第1スイッチ7
fの切替端子7f3を一方の端子7f1に接続するとと
もに、第2スイッチ9の切替端子9cを一方の端子9a
に接続する。尚、上記第2スイッチ9および制御部10
により制御手段を構成している。
【0019】上記超伝導状態破壊用ジョセフソン接合6
としては、例えば、下部Nb層の厚みが200nm、ト
ンネル障壁層としてのAl−AlOx層の厚みが8n
m、上部Nb層の厚みが100nmであり、平面サイズ
が8μm×8μmのものを採用する。また、超伝導ルー
プ2のジョセフソン接合3として、例えば、各層の厚み
が超伝導状態破壊用ジョセフソン接合6と等しい厚みを
有し、平面サイズが2μm×2μmのものを採用する。
さらに、例えば、SQUID動作時にフィードバックコ
イル5に流れる電流の最大値が100μA、超伝導状態
破壊用ジョセフソン接合6の臨界電流が300μA、磁
束トラップ除去操作時にフィードバックコイル5に流す
電流が約10mAに設定される。
【0020】上記の構成のSQUID素子の作用は次の
とおりである。SQUID素子を超伝導転移温度以下に
まで冷却する場合には、例えば極低温冷凍機等が用いら
れることになるが、SQUID素子自体の冷却に関して
は、SQUID素子自体の熱容量等の影響を受けるの
で、どの部分を最も早く超伝導転移温度以下にまで冷却
し、どの部分を最も遅く超伝導転移温度以下にまで冷却
するかを制御することは殆ど不可能である。また、冷却
過程において周囲の雑音磁場が大きいか否かについても
完全には制御することができない。したがって、所定の
冷却時間が経過した時点において磁束トラップが生じて
いる場合がある。尚、磁束トラップが生じているか否か
に関しては、例えば、超伝導ループ2からの出力電圧の
変化量等に基づいて簡単に判別できる。
【0021】そして、磁束トラップが生じている場合に
は、制御部10により第2スイッチ9の切替端子9cを
上記他方の端子9bと接続し、配線5aを磁束トラップ
除去用電源8と接続することにより超伝導状態破壊用ジ
ョセフソン接合6に対して臨界電流よりも大きい電流を
供給すればよく、超伝導状態破壊用ジョセフソン接合6
を部分的に常伝導状態に転移させてヒータとして機能さ
せることができ、この電流供給状態を継続することによ
りSQUID素子を部分的に常伝導状態に転移させるこ
とができる。その後、超伝導状態破壊用ジョセフソン接
合6に対する臨界電流よりも大きい電流の供給を停止
し、再び極低温冷凍機による冷却を行なえば、常伝導状
態に転移された部分が最後に超伝導転移温度以下にまで
冷却されることになるので、トラップされていた磁束を
SQUID素子から排除できる。即ち、磁束トラップを
除去できる。
【0022】したがって、その後は、従来のSQUID
素子と同様に高感度の磁束検出動作を行なわせることが
できる。尚、この磁束検出動作は従来公知であるから、
詳細な説明は省略する。もちろん、FLL7からフィー
ドバックコイル5に供給される電流は超伝導状態破壊用
ジョセフソン接合6にも流れることになるが、FLL7
によりフィードバックコイル5に供給される電流は著し
く微弱であるから、超伝導状態破壊用ジョセフソン接合
6は超伝導状態のままであり、発熱が皆無であるから、
SQUID素子の動作に全く悪影響を及ぼさない。
【0023】また、以上の説明から明らかなように、超
伝導状態破壊用ジョセフソン接合6に通電するための特
別の配線は設けられていないのであるから、極低温ケー
シング1の側壁を貫通する配線の数はヒータを設けてい
ない従来装置と同じであり、配線数の増加に起因する構
成の複雑化、SQUID素子の冷却の困難化を未然に防
止できる。
【0024】図2はこの発明の磁束トラップ除去方法を
説明するフローチャートである。ステップSP1におい
て初期リセットを行う。この初期リセットは、SQUI
D素子の冷却開始時、または電源投入時に磁束トラップ
が発生する場合が多いことを考慮して、SQUID素子
を用いて磁束計測を行う前に必ず行う磁束トラップ除去
操作である。
【0025】ステップSP2において第2スイッチ9を
切換えて第1電圧電流変換器7eとフィードバックコイ
ル5とを接続するとともに、第1スイッチ7fを切換え
て特性測定用の掃引波を電圧電流変換器7eに供給す
る。ステップSP3において特性測定用の掃引波(図3
参照)を第1電圧電流変換器7eにより電流信号に変換
してフィードバックコイル5に供給し、FLL7の増幅
器7aから出力されるSQUID出力を読み取る。
【0026】ステップSP4においてSQUID出力の
変化量が規定値以上であるか否かを判別し、変化量が規
定値よりも小さければステップSP5において磁束トラ
ップ除去操作を行い、再びステップSP4の判別を行
う。具体的には、磁束トラップがない場合には、図4に
示すようにSQUID出力の変化量が大きいのに対し
て、磁束トラップがある場合には、図5に示すようにS
QUID出力の変化量が小さいので、上記規定値を適切
に設定しておくことにより、磁束トラップの有無を判別
することができる。
【0027】ステップSP4において変化量が規定値以
上であると判別された場合には、ステップSP6におい
てSQUID出力が特性測定用の掃引波に対して滑らか
に変化するか否かを判別し、滑らかに変化しない場合に
はステップSP7において磁束トラップ除去操作を行
い、再びステップSP6の判別を行う。ステップSP6
においてSQUID出力が特性測定用の掃引波に対して
滑らかに変化すると判別された場合場合には、ステップ
SP8において第1スイッチ7fを操作して、積分増幅
器7dからの出力を変調信号発生器7bから出力される
変調信号により変調した信号を第1電圧電流変換器7e
に供給する。
【0028】ステップSP9においてFLL7の設定
(例えば、何れかの構成要素におけるゲインなどの定数
の設定)を行う。ステップSP10においてFLL出力
の雑音が規定値以下か否かを判別し、雑音が規定値より
も大きければステップSP11において磁束トラップ除
去操作を行い、再びステップSP10の判別を行う。
【0029】ステップSP10においてFLL出力の雑
音が規定値以下であると判別された場合には、ステップ
SP12において測定準備完了を表示する。図6は図2
のフローチャートのステップSP1、SP5、SP7、
SP11における磁束トラップ除去操作を説明するフロ
ーチャートである。ステップSP1において第2スイッ
チ9を切換えて磁束トラップ除去用の第2電圧電流変換
器8aとフィードバックコイル5とを接続し、ステップ
SP2において磁束トラップ除去用電圧信号を第2電圧
電流変換器8aに供給して、フィードバックコイル5と
直列接続された超伝導状態破壊用ジョセフソン接合6に
臨界電流よりも大きい電流を供給する。ここで、超伝導
状態破壊用ジョセフソン接合6に供給される電流は図7
に示すとおりであり、臨界電流よりも大きい電流になる
まで徐々に増加した後、臨界電流よりも大きい電流のま
ま所定時間保持され、その後、徐々に減少する。なお、
図7に示す電流変化特性中、最大電流値、最大電流継続
時間などは、SQUID素子の一部の超伝導状態を破壊
するのに十分な値、時間に設定される。
【0030】そして、ステップSP3において第2スイ
ッチ9を切換えてFLL7の第1電圧電流変換器7eと
フィードバックコイル5とを接続し、磁束トラップ除去
操作を終了する。なお、この発明は上記の実施例に限定
されるものではなく、例えば、超伝導状態破壊用ジョセ
フソン接合6は極低温領域においてフィードバックコイ
ル5と接続されていれば、任意の位置に設けることが可
能であり、また、任意の個数だけフィードバックコイル
5と直列接続することが可能である。
【0031】
【発明の効果】請求項1の発明は、ヒータを設けること
に伴なう、極低温ケーシングを貫通する配線の数の増加
を未然に防止し、外部侵入熱量の増加をも未然に防止し
て、SQUID素子を含むシステム全体としての構成の
複雑化を防止できるとともに、SQUID素子の冷却を
容易化でき、しかも磁束トラップを確実に除去できると
ともにSQUID動作時における余分な発熱を未然に防
止できるという特有の効果を奏する。
【0032】請求項2の発明も、ヒータを設けることに
伴なう、極低温ケーシングを貫通する配線の数の増加を
未然に防止し、外部侵入熱量の増加をも未然に防止し
て、SQUID素子を含むシステム全体としての構成の
複雑化を防止できるとともに、SQUID素子の冷却を
容易化でき、しかも磁束トラップを確実に除去できると
ともにSQUID動作時における余分な発熱を未然に防
止できるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の磁束トラップ除去装置の一実施例が
組み込まれたSQUID素子およびFLLの構成を示す
概略図である。
【図2】この発明の磁束トラップ除去方法の一実施例を
説明するフローチャートである。
【図3】特性測定用の掃引波の一例を示す図である。
【図4】磁束トラップがない状態におけるSQUID出
力の一例を示す図である。
【図5】磁束トラップがある状態におけるSQUID出
力の一例を示す図である。
【図6】磁束トラップ除去操作を説明するフローチャー
トである。
【図7】超伝導状態破壊用ジョセフソン接合に供給され
る電流の一例を示す図である。
【図8】従来の磁束トラップ除去装置が組み込まれたS
QUID素子の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1 極低温ケーシング 2 超伝導ループ 2a バイアス供給配線 3 ジョセフソン接合 4 インプットコイル 5 フィードバックコイル 6 超伝導状態破壊用ジョセフソン接合 9 第2ス
イッチ 10 制御部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジョセフソン接合(3)を有する超伝導
    ループ(2)、超伝導ループ(2)に磁束を導くインプ
    ットコイル(4)およびインプットコイル(4)により
    超伝導ループ(2)に導かれる磁束の変化を補償すべく
    補償用磁束を超伝導ループ(2)に導くフィードバック
    コイル(5)を含む超伝導量子干渉素子が、内部温度が
    超伝導転移温度以下に冷却された極低温ケーシング
    (1)内に収容されてあり、臨界電流よりも大きな電流
    が流されることにより常伝導状態に転移して抵抗として
    機能し、超伝導量子干渉素子を加熱して常伝導状態に転
    移させるジョセフソン接合(6)が極低温ケーシング
    (1)内においてフィードバックコイル(5)と直列接
    続されてあり、上記ジョセフソン接合(6)およびフィ
    ードバックコイル(5)に上記臨界電流よりも大きな電
    流を供給する状態と上記磁束の変化を補償するための電
    流を供給する状態とを選択する制御手段(9)(10)
    が設けられてあることを特徴とする超伝導量子干渉素子
    の磁束トラップ除去装置。
  2. 【請求項2】 ジョセフソン接合(3)を有する超伝導
    ループ(2)、超伝導ループ(2)に磁束を導くインプ
    ットコイル(4)およびインプットコイル(4)により
    超伝導ループ(2)に導かれる磁束の変化を補償すべく
    補償用磁束を超伝導ループ(2)に導くフィードバック
    コイル(5)を含む超伝導量子干渉素子が、内部温度が
    超伝導転移温度以下に冷却された極低温ケーシング
    (1)内に収容されてあり、極低温ケーシング(1)の
    内部においてフィードバックコイル(5)と直列にジョ
    セフソン接合(6)が接続されてあり、フィードバック
    コイル(5)に該ジョセフソン接合(6)の臨界電流を
    越える電流を供給することにより該ジョセフソン接合
    (6)を常伝導状態に転移させ、上記電流の供給を継続
    することにより超伝導量子干渉素子を常伝導状態に転移
    させ、その後、フィードバックコイル(5)に対する上
    記電流の供給を停止して超伝導量子干渉素子を冷却し、
    超伝導状態に転移させることを特徴とする超伝導量子干
    渉素子の磁束トラップ除去方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005188946A (ja) * 2003-12-24 2005-07-14 Sumitomo Denko Hightecs Kk 磁気検出装置

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