JPH0627557Y2 - 注出口付き密封袋 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、注出口部の上部を蒸気で殺菌した後、中栓を
密封袋内に外し、殺菌ずみの内容物を充填後、再び中栓
を注出口本体に内側より嵌合する無菌充填システムのた
め注出口付き密封袋に関するものである。

（従来の技術） 従来のバックインボックス用の密封袋の無菌充填システ
ムは、γ線によりその内部が殺菌された注出口付き密封
袋の注出口を無菌チャンバー内に入れ、注出口の密封を
行なう中栓を、密封袋の外側に外し、このチャンバー内
で飲食用の内容物を充填するものであった。したがっ
て、外した中栓の無菌性を維持するために、この中栓も
チャンバー内に入れておく必要から、チャンバーが大き
くなり、充填機全体の価格も高価なものとなった。

他に、注出口の殺菌を蒸気で行ない、無菌チャンバー内
に中栓を外すシステムのものもあるが、これは装置的に
高価となり、また充填能力も下がる等、必ずしも経済的
に好ましいものではなかった。

そこで、注出口を構成する注出口本体に中栓が袋体の内
側から嵌合した密封袋を使用し、充填ヘッドの下端に注
出口を袋着し、この部分を蒸気で殺菌した後、密封袋の
内側に中栓を外して内容物を充填する方法がとられてき
たが、この方法だと充填ヘッド部が従来の無菌チャンバ
ーと考えられるので、装置が小さくなり、安価となる。

そして、このシステムで使う袋は、注出口本体が１つの
袋体の開口部に取付けられ、中栓が開口部に対する側の
袋体の内側に取付けられて、中栓が注出口本体に内側か
ら嵌合し、密封袋を形成することになる。

（考案が解決しようとする問題点） 以上のような従来品にあっては、注出口本体のみを固定
し、中栓を上から押し下げるか、中栓を下から引張る等
の方法があるが、しかしながら、従来品にあっては、内
容物の無菌性を維持するために、中栓の嵌合が非常に強
くなっていることから、開栓の際には専用の器具を用い
るか、または密封袋をカッター等で切断する必要があっ
た。そのためには、密封袋をダンボールの外箱から取り
出す必要があり、労力と時間の無駄が多く、また衛生面
で問題があった。

本考案は、上記の問題点を解決すべく種々研究した結
果、案出されたもので、その目的とするところは、注出
口に改良を加えることによって注出口の殺菌及び密封袋
への内容物の充填及びこれからの注出を簡単に行うにあ
る。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本考案にあっては、注出
口を構成する中栓を、その天板部側が分離して開放され
るように構成することによって問題点の解決を図ってい
る。

すなわち、注出口本体とこれに嵌合する中栓とからなる
注出口は、注出口本体をして、それの取付けフランジを
もって、密封袋の袋体の開口部に、注出側が外方にある
ように取付けるとともに、中栓は中空本体に天板が嵌脱
自在に構成されたものであって、袋体内に内容物を充填
するとき、中栓は中空本体に天板を嵌着したままの状態
で、袋体内に脱抜されるようにしている。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

本考案の注出口付き密封袋は、注出口（Ａ）を密封袋
（Ｂ）に取付けたものである。

密封袋（Ｂ）は、例えば延伸ポリアミドフィルム15μ
と、中密度ポリエチレン40μとをウレタン系接着剤によ
り貼り合わせた積層フィルムを、中密度ポリエチレン側
を内側にして４周を溶着したものである。

注出口（Ａ）は、高密度のポリエチレン等の樹脂から射
出成形されたもので、第１図に示すように、注出口本体
（ａ）とこれに嵌合する中栓（ｂ）とより構成されてい
る。

注出口本体（ａ）は、その胴部（１）の下端に取付けフ
ランジ（２）が、また中程に固定フランジ（３）が外方
に突設されている。

中栓（ｂ）は、中空本体（４）とこれと凹凸部で嵌着
（５）する天板（６）とより構成され、中栓本体（４）
の外周面には３条の環状突条（７）（８）（９）が、ま
た天板（６）の上端にも環状突条（10）が突設されてお
り、これらは注出口本体（ａ）の胴部（１）の内面に嵌
合摺接されている。天板（６）の上面には指掛け環（1
1）が設けられている。

注出口本体（ａ）は、注出側が外方にあるように、その
下端の取付フランジ（２）にて密封袋（Ｂ）の袋体（1
2）の開口部の内周縁に溶着（13）されている。

以上のような構成になる注出口付き密封袋は、その内部
がγ線で殺菌され、注出口本体（ａ）と中栓（ｂ）とで
密封されており、これに内容物を充填するには、第４図
乃至第６図に示すようにして行われる。

密封袋（Ｂ）が偏平状にある注出口付き密封袋は、注出
口本体（ａ）の固定用フランジ（３）が、固定アーム
（ｃ）によって固定されるとともに、上方より注出口
（Ａ）面上に充填ヘッド（ｄ）が装着され、下方より台
座（ｅ）が押し上げられて袋体（12）と共に注出口
（Ａ）の下面に当接される。

充填ヘッド（ｄ）には、その中央部のノズル孔（14）を
閉鎖する弁頭（15）を有する蒸気噴射ノズル（ｆ）が昇
降自在に設けられている。

先ず、第４図に示す状態にあって、蒸気が噴射ノズル
（ｆ）より噴射されて、注出口（Ａ）の上面が殺菌され
る。

次いで、第５図に示すように、蒸気噴射ノズル（ｆ）よ
りの蒸気の噴射を止めてノズル（ｆ）を降下させ、弁頭
（15）をもって中栓（ｂ）の天板（６）を押圧して中栓
（ｂ）を押し下げるとともに、中栓（ｂ）を挟着した状
態で台座（ｅ）も降下する。

内容物は充填ヘッド（ｄ）のノズル孔（14）より注出口
本体（ａ）を通って密封袋（Ｂ）内に充填される。

密封袋（Ｂ）内に内容物が充填されると、中栓（ｂ）は
蒸気噴射ノズル（ｆ）の弁頭（15）と台座（ｅ）とにて
挟着されたまま再び上昇し、第６図に示すように、注出
口本体（ａ）内に嵌合することより、密封袋（Ｂ）を注
出口（Ａ）において密封するとともに、蒸気噴射ノズル
（ｆ）は、さらに上昇してその弁頭（15）で内容物のノ
ズル孔（14）を閉鎖する。

第１図に示すように、内容物が充填された注出口付き密
封袋より内容物を注出するには、注出口（Ａ）の注出口
本体（ａ）の固定用フランジ（３）を手指で固定し、中
栓（ｂ）の天板（６）の指掛け環（11）に手指を引掛け
て引張り、天板（６）を嵌着部より離脱し、第３図に示
すように注出口（Ａ）を開口した状態にして密封袋
（Ｂ）を傾倒して注出する。

途中において内容物の注出口を一時中止するときは、天
板（６）を中栓本体（４）に嵌着（５）して保管する。

第７図に示すものは、従来品であって、注出口（Ａ′）
は注出口本体（ａ′）とこれに嵌合する中栓（ｂ′）と
から構成されているが、注出口本体（ａ′）には、内容
物の充填時にこれを固定する突出片がなく、また中栓
（ｂ′）にも開栓をする手段が施されていないから、開
栓に当たりては、それ専用の器具等を必要とするか、密
封袋（Ｂ′）をカッター等で切断する必要がある。

（考案の効果） 本考案にかかる注出口付き密封袋は、蒸気による無菌充
填システムの装置を、注出口部に装着して、注出口部を
殺菌し、内容物を充填密封するもので、注出口を構成す
る注出口本体は、袋体の開口部に、取付けフランジをも
って、注出側が外方にあるように取付けられており、こ
の注出口本体に対して袋体の内側より嵌合する中栓は、
その天板部側において分離できるように構成されている
から、密封状態にある注出口の開栓に当たり、それ専用
の器具等は用いることなく、注出口本体側を把持して天
板側を引張ることにより天板を容易に分離して開栓する
ことができる。しかも、内容物の注出を一時中止すると
きは、分離された天板を中栓本体に嵌着して容易に元の
状態に納めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の要部にかかる注出口部の断面図 第２図は同上の注出口を開栓しようとするときの断面
図、 第３図は同上の開栓した状態の断面図、 第４図乃至第６図は本考案品に内容物を充填する工程の
説明的図面 第７図は従来品の本考案品と同様の断面図である。 符号Ａ……注出口 Ｂ……密封袋 ａ……注出口本体 ｂ……中栓 ｃ……固定アーム ｄ……充填ヘッド ｅ……台座 ｆ……蒸気噴射ノズル １……胴部 ２……取付けフランジ ３……固定フランジ ４……中栓本体 ５……嵌着部 ６……天板 ７、８、９、10……環状突条 11……指掛け環 12……袋体 13……溶着部 14……ノズル孔 15……弁頭

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】中空胴部を有する注出口本体と、該注出口
   本体の内側に嵌合する中空中栓とからなる注出口であっ
   て、上記注出口本体の下端には、袋体に溶着すべき取り
   付けフランジが外方に延設し、かつ該注出口本体外側の
   中程には殺菌、充填装置を固定するための固定フランジ
   が外方に突設し、他方、上記中空中栓の上部に開栓用の
   天板を着脱自在に嵌着させ、かつ該中空中栓の外周面に
   は、袋体内に内容物を充填するとき、上記注出口本体と
   袋体の内部との間を上下摺動可能とする環状突状が突設
   している注出口を有することを特徴とする注出口付き密
   封袋。