JPH0417481Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、注出口部の蒸気殺菌により、この部
分からの飲食物等の内容物を充填するシステムを
利用する注出口付き密封袋に関するものである。

（従来の技術） 従来のバツグインボツクスにおける無菌充填シ
ステムは、γ線によりその内部が殺菌された注出
口付き密封袋の注出口を、無菌チヤンバー内に入
れ、注出口の密封を行なう中栓を、袋の外側に外
し、このチヤンバー内で内容物を無菌的に充填す
るものであつた。したがつて、外した中栓の無菌
性を維持するために、この中栓もチヤンバー内に
入れておく必要から、チヤンバーが大きくなり、
充填機全体の価格も高価であつた。

また、注出口の殺菌を蒸気で行ない、無菌チヤ
ンバーの中に中栓を外すシステムもあるが、これ
も装置的に高価となり、また充填能力も下がる
等、経済的に好ましいものではなかつた。

そこで、これらを改良して、注出口本体に対
し、中栓が袋の内側から嵌合した密封袋を使用
し、充填ヘツドの下端に注出口部を装着し、蒸気
で殺菌した後、袋の内側に中栓を外して充填を行
う方法がとられてきたが、この方法だと充填ノズ
ルの下が従来の無菌チヤンバーに相当するものと
なつて装置が小さくなり、安価となる。

そして、このシステムで使う密封袋は、注出口
本体が１つの壁面に取付けられており、注出口本
体を密封する中栓が、他の壁面に取付けられてい
て、中栓がこの注出口の内側から嵌合して密封袋
を構成するものである。

（考案が解決しようとする問題点） 以上のような従来品にあつては、注出口を開栓
するためには、注出口本体のみを固定し、中栓を
上方から押し下げるか、または中栓を下方から引
張る等の方法をとらねばならないが、しかしなが
ら、従来品の注出口には、注出口本体のみを固定
する部分が設けられておらず、また中栓に格別の
開栓手段が施されておらない上に、内容物の無菌
性を維持するために、嵌合が非常に強くなつてい
ることから、開栓の際には、それ専用の器具を用
いるか、または密封袋をダンボール等の外箱より
取出してカツター等で切断する必要から労力と時
間の無駄が多く、また衛生面でも問題があつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記の問題点を解決すべく、種々研
究の結果、注出口本体に着脱自在な環状部材に対
して、中栓が内側から嵌合するとともに、環状部
材に対して蓋体を取付けた構成の注出口を採用す
ることによつて、その解決を図つたものである。

すなわち、本考案にあつては、密封袋の袋体の
開口部に取付けられた注出口本体に着脱自在な環
状部材に対し、袋体の他側内面に取付けられた中
栓が嵌着自在であるとともに、環状部材の上面に
は蓋体が取付けられた構成となつている。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面について説明す
る。

本考案の注出口付き密封袋は、注出口Ａを密封
袋Ｂに取付けたものである。

密封袋Ｂは、例えば延伸ポリアミドフイルム
15μと、中密度ポリエチレン40μとをウレタン系
接着剤により貼り合わせた積層フイルムを、中密
度ポリエチレン側を内側にして４周を溶着したも
のである。

注出口Ａは、高密度のポリエチレン等の樹脂か
ら射出成形されたものである。

第１図に示すように、注出口本体ａには胴部１
の下端に取付け用フランジ２があり、外側には環
状部材ｂが螺着されている。この環状部材ｂには
外方に固定用フランジ３があり、また内向きのフ
ランジ４があつて、内向きのフランジ４はその内
径が注出口本体ａの胴部１の内径より小さく、内
側に僅かに突出している。

中栓ｃは、中空状のもので、胴部５の下端には
取付けフランジ６が、また天板７の外周には密封
用の環状突条８，９があり、この環状突条８，９
をもつて環状部材ｂの内向きフランジ４の内側に
嵌合している。環状部材ｂの上面には、蓋体ｄが
溶着されているが、これは注出口本体ａ部より内
容物が密封袋Ｂ内に充填後において溶着されるも
のである。

注出口Ａのうち、注出口本体ａの取付け用フラ
ンジ部２は、密封袋Ｂの上部袋体ｅの開口部１０
の内面に、また中栓ｃの取付け用フランジ６は、
下部袋体ｆの開口部１１の内側にそれぞれ溶着さ
れている。

次に、この注出口付き密封袋に内容物を充填す
るには、内部が無菌状態にある密封袋Ｂは、第１
図において蓋体ｄが存在しない状態にあつて、こ
の注出口Ａ部は充填ヘツド（図示されていない）
の下端に装着されており、このヘツド部よりの蒸
気で、注出口Ａの上面は殺菌される。ここにおい
て中栓ｃが昇降部材等（図示されていない）で下
方に引張られて中栓ｃが環状部材ｂとの嵌合が解
かれると、内容物が充填ヘツド内の充填ノズル
（図示されていない）より密封袋Ｂ内に充填され
る。

内容物の充填が終わると、中栓ｃが昇降部材等
で押し下げられて、環状部材ｂの内向きフランジ
４に環状突条８，９が嵌合して、注出口Ａは密封
される。ここにおいて、再び蒸気を送つて注出口
Ａの上面を殺菌し、充填ヘツドが離間後に、蓋体
ｄが環状部材ｂの上面に溶着されて製品となる。

内容物が充填された製品を使用するには、環状
部材ｂをそれの固定用フランジ部３を把持して螺
脱方向に回転すると、中栓ｃの取付け用フランジ
６が注出口本体ａ取付け用フランジ２に当接して
それ以上進まないから、環状部材ｂと中栓ｃとの
嵌合は解かれて、環状部材ｂは注出口ａより螺脱
するとともに、中栓ｃも注出口ａから外れて第２
図に示す状態となる。

ここにおいて、密封袋Ｂを傾倒すうと、内容物
を注出することができるが、注出を一時中止する
ときは、蓋体ｄが溶着されている環状部材ｂを注
出口本体ａに螺着する。

第３図に示すものは、従来品であつて、注出口
A′は注出口本体a′とこれに嵌合する中栓c′とから
構成されているが、注出口本体a′には、これを固
定する突出片がなく、また中栓c′にも開栓する手
段が施されていないから、開栓に当たりては、そ
れ専用の器具を必要とするか、密封袋B′をダン
ボール等の外箱から引出して、これをカツター等
で切断する必要がある。

（考案の効果） 本考案の注出口付き密封袋は、注出口として、
注出口本体に着脱自在な環状部材に対し、中栓が
内側から嵌合するとともに、内容物をこの注出口
本体より充填後において環状部材の上面に溶着す
る蓋体とより構成されたものを採用しているか
ら、蒸気殺菌に当たりては、蓋体が存在していな
いので、注出口部の殺菌が容易であり、したがつ
て、この部分よりの内容物の充填と密封が容易で
あり、しかも内容物の注出に当たりては、環状部
材を螺脱するだけで容易に開栓することができる
から、従来品のような開栓専用の器具等を必要と
せず取扱が簡単である。その上、内容物の充填後
は環状部材と蓋体とは一体になつているから、内
容物の注出を一時中止する場合に、密封蓋として
容易に注出口本体に螺着することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は内容物が充填密封された状態にある本
考案の要部の注出口部の断面図、第２図は同上の
内容物の注出時の断面図、第３図は同上の従来品
の断面図、第４図は本考案品の全体の斜視図であ
る。 符号Ａ……注出口、Ｂ……密封袋、ａ……注出
口本体、ｂ……環状部材、ｃ……中栓、ｄ……蓋
体、ｅ……上部袋体、ｆ……下部袋体、１，５…
…胴部、２，６……取付け用フランジ、３……固
定用フランジ、４……内向きフランジ部、７……
天板、８，９……環状突条、１０……開口部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密封袋の袋体の開口部に取付けられた注出口本
   体に着脱自在な環状部材に対し、袋体の他側内面
   に取付けられた中栓が嵌脱自在であるとともに、
   環状部材の上面には蓋体が取付けられている注出
   口付き密封袋。