JPH06275101A - 照明用反射鏡、ランプ、照明装置および照明器具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 被照射面にむらのない均一な照射パターンを
形成する。 【構成】 ハロゲンランプ22に椀型のミラー23を一体的
に取り付けてランプ21を構成する。ハロゲンランプ22の
フィラメント24をミラー23の軸心に沿って配置する。ミ
ラー23の内側面に、反射面部31を形成し、この反射面部
31を、周方向に所定の分割角度で放射状に分割するとと
もに、径方向に同心状に多段に分割して、多数のファセ
ット32を形成する。反射面部31の分割角度をｎ〔゜〕と
し、フィラメント24の直径寸法をｄ〔mm〕とすると、ｄ
≧（１／３）ｎの範囲内でフィラメント24の直径寸法ｄ
を設定する。フィラメント24が照射した光線を各ファセ
ット32で反射し、照射開口26から所定の照射角で被照射
面に照射して照射パターンを形成する。 【効果】 照射パターンに放射状の明暗縞が生じない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば、店舗における
スポット照明やダウンライトなどに用いられる照明用反
射鏡、ランプ、照明装置および照明器具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば、ＭＲ−１６に適合するラ
ンプが知られている。このランプは、例えば、縦形継線
のフィラメントを有したハロゲンランプに、略椀型をな
す回転体状のミラーを一体的に設けて構成されている。

【０００３】そして、ランプのミラーの内側面には、ハ
ロゲンランプに光学的に対向する鏡面状の反射面部が形
成されており、この反射面部は、ミラーの軸心を中心と
して周方向に所定角度ごとに放射状に分割されていると
ともに、ミラーの軸心を中心として径方向に同心状に多
段に分割されて、略扇形平面状をなす複数のファセット
が形成されている。

【０００４】また、ハロゲンランプのフィラメントは、
例えば、タングステン製の線材を、所定の直径寸法で所
定の長手寸法にコイル状に捲回してなり、ハロゲンラン
プは、このフィラメントの中心軸をミラーの軸心にほぼ
一致させる状態で取り付けられている。そして、輻射効
率を向上してランプ効率を向上するために、フィラメン
トの直径寸法はなるべく細くなるように設定されている
とともに、耐用年数を延ばすために、フィラメントの長
手寸法はなるべく長く設定されている。

【０００５】そして、ハロゲンランプのフィラメントか
ら照射された光線は、各ファセットによりそれぞれ所定
の方向に反射され、反射面部の全体として、ミラーの照
射開口から所定の照射角で光線を照射し、図６に示すよ
うに、被照射面上に略円形状をなす照射パターンＰを形
成するようになっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のように、フィラメントの直径寸法を細くすると、略
平面状をなす各ファセットの一部分にしかフィラメント
の像が映らなくなり、被照射面上に形成された照射パタ
ーンＰの輪郭部近傍に、くさび状をなす暗部Ｄが生じ放
射状の明暗縞が発生して、照明効果が低下するとの問題
を有している。

【０００７】本発明は、このような点に鑑みなされたも
ので、むらの少ない均一な照射パターンを形成できる照
明効果の高い照明用反射鏡、ランプ、照明装置および照
明器具を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の照明用反
射鏡は、略回転体状をなす反射面部と、光線を通過させ
る照射開口とを有し、前記反射面部の軸心上にこの軸心
に沿って発光部が配置される光源が装着される照明用反
射鏡において、前記反射面部は、前記軸心を略中心とし
て少なくとも周方向に所定の分割角度ごとに分割され
て、それぞれ鏡面状をなす複数のファセットが形成さ
れ、前記反射面部の分割角度をｎ〔゜〕とし、前記光源
の発光部の前記軸心に直交する方向の直径寸法をｄ〔m
m〕とすると、 ｄ≧（１／３）ｎ であるものである。

【０００９】請求項２記載のランプは、請求項１記載の
照明用反射鏡の光源を一体的に備えたものである。

【００１０】請求項３記載の照明装置は、請求項１記載
の照明用反射鏡の光源を備え、この光源は、着脱可能で
あるものである。

【００１１】請求項４記載の照明器具は、器具本体と、
この器具本体に取り付けられた請求項１記載の照明用反
射鏡と、この照明用反射鏡の光源とを具備したものであ
る。

【００１２】

【作用】請求項１記載の照明用反射鏡では、光源の発光
部から照射される光線は、反射面部の複数のファセット
により反射され、照射開口を通過して照射されて、被照
射面上に照射パターンが形成される。そして、反射面部
は、軸心を中心として少なくとも周方向に分割角度ｎ
〔゜〕ごとに略放射状に分割されて、それぞれ鏡面状を
なす複数のファセットが形成され、この分割角度ｎ
〔゜〕は、光源の発光部の直径寸法ｄ〔mm〕に対して、 ｄ≧（１／３）ｎ の範囲内に設定されているので、光源の発光部の像が各
ファセットの全体に映り、それぞれのファセットの全体
を輝せるので、被照射面上に形成された照射パターン
に、放射状の明暗縞が生ずることが防止され、むらの少
ない均一な照射パターンが形成される。また、光源の発
光部の直径寸法ｄ〔mm〕と、ファセットの分割角度ｎ
〔゜〕との関係が、ｄ＜（１／３）ｎとなった場合に
は、照射パターンに明暗縞が発生し、照明効果が低下す
る。

【００１３】請求項２記載のランプでは、請求項１記載
の作用に加え、光源と、照明用反射鏡とを一体的に設け
たので、むらの少ない均一な照射パターンを形成するラ
ンプの取扱いが容易になる。

【００１４】請求項３記載の照明装置では、請求項１記
載の作用に加え、光源を着脱可能にしたので、むらの少
ない均一な照射パターンを形成する照明装置の光源の交
換などが可能になる。

【００１５】請求項４記載の照明器具では、請求項１記
載の作用に加え、器具本体に照明用反射鏡を取り付けた
ので、むらの少ない均一な照射パターンが形成される。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の照明用反射鏡、ランプ、照明
装置および照明器具の一実施例の構成を図面を参照して
説明する。

【００１７】図２において、11は照明器具としてのスポ
ットライトで、このスポットライト11は、天井面12に取
り付けられたフランジ14と、このフランジ14に支持され
た円管状のアーム15と、このアーム15の下端部に垂直方
向に回動自在に支持された器具本体16とを有している。
そして、この器具本体16の内部には、図示しないランプ
ソケットが設けられている。

【００１８】また、天井面12の上側には、略箱状をなす
トランスなどの安定器17が設置されており、このトラン
ス17には、１００Ｖの商用交流電源の電源線18が接続さ
れているとともに、１２Ｖの出力線19が導出され、この
出力線19が、アーム15の内側を通って、器具本体16内部
のランプソケットに接続されている。

【００１９】そして、このランプソケットに、ランプ21
が着脱可能に装着されている。

【００２０】このランプ21は、図１および図２に示すよ
うに、光源としてのハロゲンランプ22に、照明用反射鏡
としてのミラー23を一体的に取り付けて構成されてい
る。

【００２１】そして、このハロゲンランプ22は、例えば
石英ガラス製のガラスバルブＢに、不活性ガスとともに
微量のハロゲン化物が封入され、発光部としてのフィラ
メント24が封止されて封止部25が形成されている。

【００２２】また、このフィラメント24は、いわゆる縦
形継線であり、ガラスバルブＢの軸心を中心として、こ
の軸心を長手方向としてコイル状に捲回されている。な
お、このフィラメント24の直径寸法ｄは、例えば約２
〔mm〕、ガラスバルブＢの軸心に沿った長手寸法Ｌf
は、例えば４〔mm〕程度に形成されている。

【００２３】また、ミラー23は、略回転体をなし、前端
部に略円形をなす照射開口26が形成されている。そし
て、このミラー23の軸心近傍には、略円筒状をなすネッ
ク部27が形成され、ガラスバルブＢの軸心がミラー23の
軸心とほぼ一致する状態で、このネック部27にハロゲン
ランプ22の封止部25が固定されている。

【００２４】さらに、ミラー23の後端部からは、互いに
平行上な一対の口金ピン28が突設され、器具本体16のラ
ンプソケットに着脱可能に接続されるようになってい
る。

【００２５】そして、ミラー23は、外径寸法Ｌ₁ が約５
０〔mm〕、照射開口26の直径寸法Ｌ₂ が約４０〔mm〕、
照射開口26の前端部から口金ピン28の後端部までの全長
寸法Ｌ₃ が約４５〔mm〕程度に設定されている。

【００２６】また、このミラー23の内面には、ハロゲン
ランプ22に光学的に対向して、略回転放物面状あるいは
略回転楕円面状の反射面部31が形成されている。

【００２７】この反射面部31は、ミラー23の軸心を中心
として周方向（回転方向）に所定の分割角度ｎ〔゜〕ご
とに放射状に分割されているとともに、ミラー23の軸心
を中心として径方向に同心状に多段に分割されて、ハロ
ゲンランプ22から放出された光線を反射する略扇状をな
す鏡面状の多数のファセット32が形成されている。

【００２８】なお、本実施例では、周方向（回転方向）
の分割角度ｎ〔゜〕は、例えば５°に設定され、５°ピ
ッチで７２分割されているとともに、径方向に同心状に
１２〜１６段に分割されている。

【００２９】次に、本実施例の作用について説明する。

【００３０】ハロゲンランプ22のフィラメント24から放
射された光線は、反射面部31を構成する各ファセット32
によりそれぞれ所定方向に反射され、これらファセット
32全体により、ミラー23の照射開口26から被照射面に向
けて所定の照射角で照射され、被照射面上に略円形をな
す照射パターンが形成されるようになっている。

【００３１】そして、反射面部31の軸心を中心とした周
方向の分割角度ｎを５〔゜〕に設定してファセット32を
形成したのに対して、ハロゲンランプ22のフィラメント
24の直径寸法ｄを２〔mm〕に設定したため、フィラメン
ト24の像が各ファセット32の全体に映り、それぞれのフ
ァセット32の全体を輝かせるため、被照射面上に形成さ
れた照射パターンに、図６に示すような放射状の明暗縞
が生ずることを防止でき、むらの少ない均一な照射パタ
ーンを形成して、照明効果を高めることができる。

【００３２】次に、図３に示すグラフを参照して、照射
パターンに生じる明暗縞の見え方を観測した実験結果を
説明する。

【００３３】この実験はハロゲンランプ22のフィラメン
ト24の直径寸法をｄ〔mm〕とし、反射面部31の軸心を中
心とした周方向の分割角度をｎ〔゜〕とすると、直径寸
法ｄおよび分割角度ｎと、照射パターンにおける明暗縞
の見え方との関係を観測してグラフ化したものである。
そして、このグラフの実験では、ｎを５〔゜〕に設定
し、ｄを約１〜３〔mm〕の範囲で変化させている。ま
た、グラフの縦軸は、ｄを変化させた際の明暗縞による
照明効果への影響を示し、明暗縞が見えなくなって影響
が実用上なくなる点を０とし、明暗縞による影響が大き
くなる場合をプラスとし、影響が小さくなる場合をマイ
ナスとしている。

【００３４】そして、この実験の結果、フィラメントの
直径寸法ｄが１．６〔mm〕を越える状態で、すなわち直
径寸法ｄ〔mm〕が分割角度ｎ〔゜〕の１／３以上となる
状態で、明暗縞が見えなくなり実用上問題がなくなるこ
とがわかった。

【００３５】また、分割角度ｎを１０〔゜〕に設定した
状態における実験でも、直径寸法ｄが３．２〔mm〕、す
なわち、直径寸法ｄを（１／３）ｎ以上とした場合に明
暗縞が見えなくなり実用上問題がなくなることがわかっ
た。

【００３６】そして、これらの実験の結果、被照射面上
に形成される照射パターンに、放射状の明暗縞が生ずる
ことを防止して、実用上問題のない、むらの少ない均一
な照射パターンを形成するためには、 ｄ≧（１／３）ｎ の範囲内に設定すれば良いことが分かった。

【００３７】また、フィラメント24の直径寸法ｄを大き
く設定することにより、フィラメント24の長手寸法を小
さくでき、ミラー23の光学設計の自由度を高めることが
できる。

【００３８】また、フィラメント24の直径寸法ｄを一定
にした場合には、反射面部31の分割角度ｎを、 ｎ≦３ｄ の範囲内に設定することにより、同様の効果を得ること
ができる。

【００３９】さらに、反射面部31を複数のファセット32
により構成したため、被照射面に、フィラメント24など
の影が生じることを防ぐことができる。

【００４０】このようにして、フィラメント24などの影
がなく、むらの少ない均一な照射パターンを得ることが
できる。

【００４１】なお、図４に示すように、ランプ21の照射
開口26には、カバーガラス36を取り付けることもでき、
ランプ21の後端部には、ねじ込み式の口金37を設けるこ
ともできる。

【００４２】また、上記の実施例では、ハロゲンランプ
22とミラー23とを一体的に形成したが、図５に示すよう
に、ハロゲンランプ41とミラー42とを別体に形成して照
明装置43を形成することもできる。なお、この図４に示
す実施例では、ハロゲンランプ41の後端側から一対の口
金ピン41a が突設されているとともに、ミラー42の後側
には、ハロゲンランプ41の口金ピン41a が着脱自在に装
着されるランプソケット部44が取り付けられており、さ
らに、このランプソケット部44の後側には、ねじ込み式
の口金部45が設けられている。

【００４３】また、上記の各実施例では、光源としてハ
ロゲンランプ22，41を用いたが、他種の白熱電球などを
用いることもできる。

【００４４】さらに、上記の実施例では照明器具は、天
井面12から吊り下げ支持されたスポットライト11として
形成したが、天井面12に埋込設置されるダウンライトと
することもできる。また、このスポットライト11では、
降圧用の安定器17を天井面12の上側に設置したが、この
安定器17をフランジ14に内蔵することもでき、また、１
００Ｖ用の電球を用いて安定器17を省略することもでき
る。

【００４５】また、ミラー23，42は、ダイクロイックミ
ラーとして構成することもでき、ハロゲンランプ22，41
に赤外線反射膜を形成することもできる。

【００４６】

【発明の効果】請求項１記載の照明用反射鏡によれば、
光源の発光部から照射される光線は、反射面部の複数の
ファセットにより反射され、照射開口を通過して照射さ
れて、被照射面上に照射パターンが形成される。そし
て、反射面部は、軸心を中心として少なくとも周方向に
分割角度ｎ〔゜〕ごとに略放射状に分割されて、それぞ
れ鏡面状をなす複数のファセットが形成され、この分割
角度ｎ〔゜〕は、光源の発光部の直径寸法ｄ〔mm〕に対
して、 ｄ≧（１／３）ｎ の範囲内に設定されているため、光源の発光部の像が各
ファセットの全体に映り、それぞれのファセットの全体
を輝かせることができるため、被照射面上に形成された
照射パターンに、放射状の明暗縞が生ずることを防止で
き、むらの少ない均一な照射パターンを形成して、照明
効果を高めることができる。

【００４７】請求項２記載のランプによれば、請求項１
記載の効果に加え、光源と、照明用反射鏡とを一体的に
設けたため、むらの少ない均一な照射パターンを形成で
きるランプの取扱いを容易にすることができる。

【００４８】請求項３記載の照明装置によれば、請求項
１記載の効果に加え、光源を着脱可能にしたため、むら
の少ない均一な照射パターンを形成できる照明装置の光
源の交換などを可能にできる。

【００４９】請求項４記載の照明器具によれば、請求項
１記載の効果に加え、器具本体に照明用反射鏡を取り付
けたため、むらの少ない均一な照射パターンを形成でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のランプの一実施例を示す説明図であ
る。（ａ）は、一部を切り欠いた側面図。（ｂ）は、反
射面部の正面図。

【図２】同上照明器具の一実施例を示す側面図である。

【図３】明暗縞の見え方を観測した実験結果を示すグラ
フである。

【図４】本発明のランプの他の実施例を示す斜視図であ
る。

【図５】本発明の照明装置の一実施例を示す分解状態の
斜視図である。

【図６】従来のランプによる照射パターンを示す平面図
である。

【符号の説明】

11 照明器具としてのスポットライト 16 器具本体 21 ランプ 22 光源としてのハロゲンランプ 23 照明用反射鏡としてのミラー 24 発光部としてのフィラメント 26 照射開口 31 反射面部 32 ファセット 43 照明装置

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 略回転体状をなす反射面部と、光線を通
   過させる照射開口とを有し、前記反射面部の軸心上にこ
   の軸心に沿って発光部が配置される光源が装着される照
   明用反射鏡において、 前記反射面部は、前記軸心を略中心として少なくとも周
   方向に所定の分割角度ごとに分割されて、それぞれ鏡面
   状をなす複数のファセットが形成され、 前記反射面部の分割角度をｎ〔゜〕とし、 前記光源の発光部の前記軸心に直交する方向の直径寸法
   をｄ〔mm〕とすると、 ｄ≧（１／３）ｎ であることを特徴とする照明用反射鏡。
2. 【請求項２】 請求項１記載の照明用反射鏡の光源を一
   体的に備えたことを特徴とするランプ。
3. 【請求項３】 請求項１記載の照明用反射鏡の光源を備
   え、 この光源は、着脱可能であることを特徴とする照明装
   置。
4. 【請求項４】 器具本体と、 この器具本体に取り付けられた請求項１記載の照明用反
   射鏡と、 この照明用反射鏡の光源とを具備したことを特徴とする
   照明器具。