JPH0627405Y2 - 冷間成形性に優れた複合シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、アルミニウム箔と合成樹脂フィルムとが積
層状態で貼合され、食品、化粧品、電子部品等の保管用
容器等の素材として使用される樹脂・アルミニウム複合
材、特に冷間成形性に優れた複合シートに関する。

［従来の技術］ アルミニウム箔は水分、ガス、特に酸素、光等の遮断性
や保香性に優れると共に、適度の剛性を有していること
から、食品、化粧品、電子部品等の保管用容器の材料と
して用いられている。

このようなアルミニウム箔容器としては、厚さ１００μ
ｍ前後の比較的厚い箔を深絞り成形したものが用いられ
ていたが、弾力性に欠け、また高価となる難点があっ
た。

そこで容器素材として、アルミニウム箔の両面に延伸フ
ィルムを含む熱可塑性樹脂フィルムを貼合した合成樹脂
・アルミニウム複合材を用いた包装材が多数提案されて
いる（例えば実公昭６０−２８５８２号、６１−１４４
３０号、６１−１４４３１号）。かかる複合材は冷間成
形性、特に張出成形性に優れ、合成樹脂フィルムを適宜
選ぶことによって容器の剛性を広範囲に選択することが
可能であり、安価となるばかりでなく、生産性に優れて
いるというような利点を有する。

しかし、このような包装材は加工度の低い場合にはあま
り問題はないが、成形時の加工度の増加と共にアルミニ
ウム箔に微小なピンホールの発生が避けられず、合成樹
脂は充分に成形できても、アルミニウム箔のピンホール
のため、例えば酸素に対するバリア性を失い、内容物の
品質劣化を招来する等の問題があることが知られてい
る。

このため、張出成形の場合においては、複合シートの破
断限界で得られる成形高さよりも低く押え、その８０％
程度の成形高さを成形限界とせざるを得なかった。

［考案が解決しようとする課題］ 本考案は、上記のごとき問題を解決せんとしたものであ
り、冷間成形、特に張出成形において成形時に変形の進
行と共に生ずる微小なピンホールによるバリア性が損な
われることのない複合シートを得るために研究し、これ
を解決したものである。

従来、張出成形などの冷間成形用素材としては、延伸フ
ィルム、アルミニウム箔、未延伸フィルムの順に積層し
た三層構成、あるいは延伸フィルム、アルミニウム箔、
延伸フィルム、未延伸フィルムの順に積層した四層構成
の複合シートが使用されているが、アルミニウム箔が加
工度の増加にともないピンホールの発生があるので、前
記構成のアルミニウム箔を接着剤を間に挟んだ二層のア
ルミニウムとする提案もされているが、このようなピン
ホール防止の手段を講じても、それなりの効果はある
が、なお深絞り成形は不可能であった。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、延伸フィルム、アルミニウム箔、延伸フィル
ムまたは未延伸フィルム、アルミニウム箔が積層され、
更に未延伸フィルムまたは延伸フィルム及び未延伸フィ
ルムを積層した冷間成形性に優れた複合シートに関す
る。

すなわち、二層のアルミニウム箔の間に延伸フィルム又
は未延伸フィルムを積層することにより、意外にもアル
ミニウム箔二層の場合のピンホール防止効果を享有しな
がら、加工度を高めることができることを見出した。

すなわち、本考案では延伸フィルムとは特に限定する必
要はないが、二軸延伸したポリエステル、例えばポリエ
チレンテレフタレート、ポリアミド例えば６，６、ポリ
プロピレン等のフィルムであり、厚さは１５〜３０μｍ
位が有利に使用できる。

未延伸フィルムとしては、これも多種類の合成樹脂が使
用できるが、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポ
リ塩化ビニル等が剛性、価格、成形性の点から選ばれ
る。厚みは製品によって適宜選ばれるが４０〜２００μ
ｍ位、一層もしくは二層のものが使用される。

アルミニウム箔が、９〜３５μｍ位のものがよく、これ
より薄いと絞りが浅くなる。これより厚くすることは絞
り加工の面、コストの面などから特に有利になるわけで
はない。

これらの合成樹脂とアルミニウム箔は、互いに接着性が
ないか、仮に接着しても加工中に剥離する危険があるの
で、ホットメルト系樹脂、例えば低密度ポリエチレン、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等の樹脂
の押出コート層または変性ポリオレフィン等の熱接着
層、ポリウレタン系の接着剤等を用いてこれらの層間を
接着する。

［作用］ ピンホール対策として、アルミニウム箔を二層とする提
案は古くからあるが、本考案ではアルミニウム箔どうし
の接着でなく、この間に必ず延伸フィルム又は未延伸フ
ィルムを挟むことを必要とする。

結果としては、耐ピンホール性を低下させずに強い加工
が可能となった。その理由は充分に解明されていない
が、次のように推測している。

すなわち、アルミニウム箔どうしを直接接着した場合に
は、両者の間に接着剤があっても自由度が低く、このた
め加工に際して変形に抵抗する。

一方、本考案の場合には、アルミニウム箔の間に延伸フ
ィルム又は未延伸フィルムが接着剤を介して存在するた
め、この二層ある接着剤層あるいはフィルム層がクッシ
ョン又は潤滑剤となり、強い加工にあっても二層のアル
ミニウム箔の自由度を保持するためと考えている。

［実施例］ 張出加工は外形２６mmのテフロンポンチ、内径３３mmの
ダイスを使用し、ポンチ速度７５０mm／分で行ない、各
成形高さで５０回張出成形をし、その後暗室でピンホー
ル発生の有無を調べた。なお、各層間の貼りあわせはウ
レタン系接着剤により行なった。結果を第１表に示す。

構成１は第１図に示すように、アルミニウム箔１，１の
間に二軸延伸ポリエステルフィルム２を入れ、片方の表
面に同じ二軸延伸ポリエステルフィルム、他方に未延伸
ポリプロピレンフィルムを積層した断面図を示す。

構成２〜４はそれぞれアルミニウム箔１，１の間に二軸
延伸フィルム２又は未延伸フィルム３を挾み、片方の表
面には延伸フィルム１を、他方の表面には未延伸フィル
ム３又は延伸フィルム２と未延伸フィルム３の積層した
断面図を示す。

［効果］ 上記の実施例からも判かるように、二層のアルミニウム
箔の中間層として最も有効に働くのは延伸フィルムを積
層した場合であり、アルミニウム箔の一様の変形性が保
たれ、より大きな冷間成形性が得られる。

未延伸フィルムを中間層に積層した場合、延伸フィルム
より厚いにもかかわらず、若干成形性は劣るが、一方成
形後容器に外部より衝画が加わった場合、この未延伸フ
ィルム層がクッションとなり、内層のアルミニウム箔ま
でダメージを受けにくくしており、アルミニウム箔の破
損によるバリア性の低下は防げる。

【図面の簡単な説明】 第１図は、延伸フィルム２、アルミニウム箔１、延伸フ
ィルム２、アルミニウム箔１、未延伸フィルム３を積層
した複合シートの例示であり、第２図は延伸フィルム
２、アルミニウム箔１、延伸フィルム２、アルミニウム
箔１、延伸フィルム２、未延伸フィルム３を積層した複
合シートの例示であり、第３図は延伸フィルム２、アル
ミニウム箔１、未延伸フィルム３、アルミニウム箔１、
未延伸フィルム３を積層した複合シートの例示であり、
第４図は延伸フィルム２、アルミニウム箔１、未延伸フ
ィルム３、アルミニウム箔１、延伸フィルム２、未延伸
フィルム３を積層した複合シートの例示である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】延伸フィルム、アルミニウム箔、延伸フィ
   ルム又は未延伸フィルム、アルミニウム箔が順次積層さ
   れ、更に未延伸フィルム又は延伸フィルム及び未延伸フ
   ィルムを積層したことを特徴とする冷間成形性に優れた
   複合シート。