JPH0650188Y2 - 冷間成形用複合シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、アルミニウム箔と合成樹脂フィルムとが積
層状態で貼合され、食品、化粧品、電子部品等の保管用
容器等の素材として使用される樹脂・アルミニウム複合
材、特に冷間成形性に優れた複合シートに関する。

［従来の技術］ アルミニウム箔の水分、光、ガス、特に酸素等の遮断性
や保香性に優れると共に、適度の剛性を有していること
から、食品、化粧品、電子部品等の保管用容器の材料と
して用いられている。

このようなアルミニウム箔容器、特に深絞りした容器と
しては厚さ100μｍ前後の比較的厚いアルミニウム箔が
用いられていたが、弾力性に欠け、また高価となる難点
があった。

そこで容器素材として、高価なアルミニウムの厚い箔に
代えて薄いアルミニウム箔の両面に延伸フィルムを含む
熱可塑性樹脂フィルムを貼合した合成樹脂・アルミニウ
ム複合材を用いた包装材が多数提案されている（例えば
実公昭60−28582号、61−14430号、61−14431号）。か
かる複合材は冷間成形性、特に張出成形性があり、合成
樹脂フィルムを適宜選ぶことによって容器の剛性を広範
囲に選択することが可能であり、安価となるばかりでな
く、生産性に優れているというような利点を有する。

しかし、このような包装材は加工度の低い場合にはあま
り問題はないが、成形時の加工度の増加と共にアルミニ
ウム箔に微小なピンホールの発生が避けられず、合成樹
脂は充分に成形できても、アルミニウム箔のポンホール
のため、例えば光や水分や酸素に対するバリア性を失
い、内容物の品質劣化を招来する等の問題があることが
知られている。

このため、張出成形の場合においては、複合シートの破
断限界で得られる成形高さよりも低く押え、その80％程
度の成形高さを成形限界とせざるを得なかった。

［考案が解決しようとする課題］ 本考案は、上記のごとき問題を解決せんとしたものであ
り、冷間成形、特に張出成形において成形時に変形の進
行と共に生ずる微小なピンホールによるバリア性が損な
われることのない複合シートと得るために研究し、これ
を解決したものである。

従来、張出成形などの冷間成形用素材としては、延伸フ
ィルム、アルミニウム箔、未延伸フィルムの順に積層し
た三層構成、あるいは延伸フィルム、アルミニウム箔、
延伸フィルム、未延伸フィルムの順に積層した四層構成
の複合シートが使用されているが、アルミニウム箔が加
工度の増加にともないピンホールの発生があるのでピン
ホールを発生させずに深絞り成形することは極めて困難
とされていた。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、二軸延伸フィルム／厚さ９〜35μｍのアルミ
ニウム箔／厚さ９〜35μｍのアルミニウム箔／未延伸フ
ィルムまたは延伸フィルム及び未延伸フィルムを積層し
た冷間成形性に優れた複合シートに関する。

すなわち添付図面において、二軸延伸フィルム２と二層
のアルミニウム箔1,1および、更に延伸フィルム２又は
延伸フィルム２と未延伸フィルム３を積層した複合シー
トは、驚くべきことにアルミニウム箔が一層の時と比較
して破断限界が飛躍的に向上し、深絞り加工を比較的高
くしてもピンホールの発生がないことを見出し、本考案
を完成した。

すなわち本考案では、二軸延伸フィルムとしては特に材
質に限定を加える必要はないが、二軸延伸したポリエス
テル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリアミ
ド、例えば6,6、ポリプロピレン等のフィルムであり、
厚さは15〜30μｍ位が有利に使用できる。

未延伸フィルムとしては、これも多種類の合成樹脂が使
用できるが、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポ
リ塩化ビニル等が剛性、価格、成形性の点から選ばれ
る。厚みは製品によって適宜選ばれるが40〜200μｍ
位、一層もしくは二層のものが使用される。

アルミニウム箔は、９〜35μｍ位のものがよく、これよ
り薄いと絞りが浅くなる。これより厚くすることは絞り
加工の面、コストの面などから特に有利になるわけでな
い。

これらの合成樹脂とアルミニウム箔又はアルミニウム箔
どうしは、互いに接着性がないか、仮に接着しても加工
中に剥離する危険があるので、ホットメルト系樹脂、例
えば低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、アイオノマー等の樹脂の押出コート層または変性ポ
リオレフィン等の熱接着層、ポリウレタン系の接着剤等
を用いてこれらの層間を接着する。

このように積層された複合シートは、従来のアルミニウ
ム箔の両面に熱可塑性樹脂フィルムを貼合した合成樹脂
・アルミニウム複合材が微小なピンホール発生を避ける
ため低い加工度で止まっていたものを大きく改良したも
のである。

［作用］ ピンホール対策として、アルミニウム箔を二層とする提
案は古くからあり、アルミニウム箔を直接２層積層した
合成樹脂・アルミニウム複合材を包装材、蓋材等として
の提案はあるが、張出加工等の深絞り加工等を目的とし
た冷間成形材として使用された例は知らない。

しかし、この二層のアルミニウム箔の一面に二軸延伸し
たフィルムを、他面に未延伸フィルム又は延伸フィルム
と未延伸フィルムを積層するときは冷間加工性が向上す
るという意外な効果があることが判った。

したがって結果としては、耐ピンホール性を低下させず
に強い加工が可能となった。その理由は充分に解明され
ていないが、次のように推測している。

すなわち、アルミニウム箔どうしを接着剤で挾んで接着
してあるので、厚いアルミニウム箔１枚の時よりは全体
的に変形に対して柔軟性を持つこと、またアルミニウム
箔の一方ピンホールが出来ても他方が同場所で破れない
かぎりピンホールとして検出されないこと、さらに充分
に解明されたわけではないが、二軸延伸フィルムがアル
ミニウム箔の絞り加工の際に潤滑油的作用を有している
のではないかとも想像される。

［実施例１〜2,比較例１〜２］ 張出加工は外形26mmのテフロンポンチ、内径33mmのダイ
スを使用し、ポンチ速度750mm/分で行ない、各成形高さ
で50回張出成形をし、その後暗室でピンホール発生の有
無を調べた。なお、各層間の貼りあわせはウレタン系接
着剤により行なった。結果を第１表に示す。

［効果］ 上記の実施例からも判るように、一層の厚いアルミニウ
ム箔を、半分の厚さのアルミニウム箔２枚とした場合に
は、実施例の条件で成形高さが0.8mmも改善できること
が判る。特に実施例２のごとく二軸延伸フィルムで挟ん
で積層した場合には、片面を未延伸フィルムと一層のア
ルミニウム箔を積層した比較例１に比して成形高さを1.
2mmも改善できることが判る。

以上のごとく本考案による冷間成形用複合シートは、冷
間成形性に優れており、またアルミニウム箔を２枚積層
してあるので、たとえ成形時に変形の進行により一層の
アルミニウム箔の微小のピンホールが発生しても、他層
のアルミニウム箔に同じ箇所に破損が生じないかぎりバ
リア性が損なわれることがなく、シートの破断限界に近
い成形高さをとることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は二軸延伸フィルム2/アルミニウム箔1/アルミニ
ウム箔1/未延伸フィルム３を積層した複合シートの例示
であり、第２図は二軸延伸フィルム2/アルミニウム箔1/
アルミニウム箔1/二軸延伸フィルム2/未延伸フィルム３
を積層した複合シートの例示である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】二軸延伸フィルム／厚さ９〜35μｍのアル
   ミニウム箔／厚さ９〜35μｍのアルミニウム箔／未延伸
   フィルム又は延伸フィルム及び未延伸フィルムを積層し
   たことを特徴とする冷間成形用複合シート。