JPH0627258B2 - 熱硬化性高分子固体電解質 - Google Patents

熱硬化性高分子固体電解質

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JPH0627258B2
JPH0627258B2 JP60187572A JP18757285A JPH0627258B2 JP H0627258 B2 JPH0627258 B2 JP H0627258B2 JP 60187572 A JP60187572 A JP 60187572A JP 18757285 A JP18757285 A JP 18757285A JP H0627258 B2 JPH0627258 B2 JP H0627258B2
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3peg
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solid electrolyte
diisocyanate
electrolyte
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弘明 多田
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高い導電率を有する熱硬化性高分子固体電解質
に関し、特に大面積の透過型エレクトロクロミック素子
(以後、FC素子と略称する)に使用することのできる
透明な熱硬化性高分子固体電解質に関する。
〔従来の技術〕
高分子固体電解質としてアルカリ金属塩もしくは、アン
モニウム塩およびポリエチレンオキサイド(以後、PE
Oと略称する)を用いたものが知られている。(例え
ば、Fast Ion Transport in Solids,131,1979)又、リ
チウムイオン導電性の熱硬化性高分子固体電解質として
はリチウム塩、3官能性ポリエチレングリコール(以後
3PEGと略称する)および芳香族系ジイソシアネート誘導
体を用いるものが知られている。(Polymer Preprints
Japan,34,No.4,904,1985) 〔発明が解決しようとする問題点〕 アルカリ金属塩・PEO系固体電解質をエレクトロクロミ
ツク素子などに応用する場合、通常まず一方の基板上に
塗布法によって固体電解質フィルムを形成させ、次に同
固体電解質フィルム上に真空法によってEC膜、更には電
極膜を積層する方法または、他方のEC膜つき電極付基板
を同固体電解質フィルム上にプレスしながら加熱するい
わゆるHot melt法が用いられてきた。ところが前者につ
いては、大面積化が困難であること、また、後者につい
ては固体電解質フィルム中に取り込まれた泡を除去する
のが困難な上に、耐熱性の乏しいEC素子には用いること
ができないなどの問題点があった。また、アルカリ金属
塩、3PEGおよび芳香族系ジイソシアネート誘導体系では
常温での導電率が比較的小さい上に、3PEGとジイソシア
ネート誘導体の架橋反応によって黄色に着色し易いなど
の問題点があった。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は上記問題点を解決するために、チオシアン酸塩
(以後MSCNという、なおM=Li、NaまたはK)
および/またはトリフルオロメタンスルホン酸塩(以後
MSF3SO3という、なおM=Li、NaまたはK)、
3PEGおよび脂肪族系ジイソシアネート誘導体を含む熱硬
化性高分子固体電解質を用いている。
本発明は、基本的に下式で表わされるMSCNおよび/
またはMSF3SO3を含む3PEGとジイソシアネート誘導
体の架橋反応に基づいている。
ここで、3PEGのC−C−O部分(上記式中3PEGのpart
A)の重量を の分子量である44で割った値を3PEGのユニットモル数
とし、MSCNおよび/またはMSF3SO3のモル数の
3PEGのユニットモル数に対する比率をYで表わすことに
すると、3PEGにMSCNおよび/またはMSF3SO3
徐々に加えていった場合MSCNおよび/またはMSF
3SO3の添加量と共に(Yの増加と共に)最初はキャリ
ヤー密度が増加するために導電率が増大する。しかしな
がら添加量がある値を超えると、電解質のガラス転移点
が大きくなり過ぎてキャリヤー移動度が小さくなるため
に、導電率が減少する。又3PEG中にMSCNおよび/ま
たはMSF3SO3が溶けにくくなる。そこでMSCNお
よび/またはMSF3SO3の添加量は、0.02≦Y≦0.08
であることが好ましい。
次に、脂肪族系ジイソシアネート誘導体のモル数の3PEG
のモル数に対する比率をXで表わし、3PEGに脂肪族系ジ
イソシアネート誘導体を徐々に加えていった場合を考え
る。ジイソシアネート誘導体の添加量が小さい場合には
電解質は固体になり得ない。また、添加量が大き過ぎる
と、架橋密度が大きくなりガラス転移点が上がり過ぎる
ために、キャリー移動度が小さくなり導電率は減少す
る。そこでジイソシアネート誘導体の添加量は、0.6≦
X≦1.0とすることが望ましい。
ここでジイソシアネート誘導体として、トルイレン−
2,4−ジイソシアネートの様な芳香族系のものを使用
することは、得られた電解質のガラス転移点が大きくな
り過ぎて導電率が減少すること、また、黄色の着色が起
こり易くなることから本発明には使用できない。これに
対して、一般の脂肪族系ジイソシアネート誘導体を用い
た場合には無色透明な電解質が得られる。又導電率を向
上させるという点では2つのジイソシアネート基の距離
が長いものが好ましく、特に、ヘキサメチレンジイソシ
アネートが好ましい。
又本発明に使用する3PEGとしては、分子量が大きい程、
高い導電離率が得られるので、分子量が大きいものが好
まれ、特に500以上であることが望ましい。これは同じ
組成比で比較した場合に、3PEGの分子量と共にキャリー
密度が増加するためと考えられる。
本発明の高分子固体電解質の作成方法としては、3PEG中
に十分乾燥させた所定量のMSCNおよび/またはMS
3SO3を添加し、攪拌することで均一溶液とし、次
に、所定量のジイソシアネートを添加し、十分に攪拌す
ることによって架橋反応を進行させ、次に固体化させる
ことにより得られる。なお、3PEGの酸化反応を防ぐため
に、操作は全て不活性気体中で行なうことが好ましい。
また本発明の熱硬化性高分子固体電解質は、本発明の効
果をそこなわない範囲で適当な添加剤を加えることもで
きる。
〔実施例〕
実施例1 3PEG(分子量約300)各10g中に十分乾燥させたトリ
フルオロメタスルホン酸カリウム(KCF3SO3)を3PEGのユ
ニットモル数に対するモル比Yが0,0.02,0.03,0.04,0.0
6,0.08となる様にそれぞれ添加し、攪拌することによっ
て7種類の均一溶液を得た。更に、これにヘキサメチレ
ンジイソシアネートを3PEGのモル数に対するモル比Xが
0.8となるように添加混合し、常温で10分間静置して
おくことで該混合液体は固体電解質となった。ここで該
混合液体はみずから発熱を起こしていた。上記手順で作
成した高分子固体電解質の室温における導電率をベクト
ル・インピーダンスメーターを用いて測定した結果を第
1図に示す。
第1図よりY≦0.03ではKSCNの添加量と共に導電率が増
大し、Y>0.03ではKSCNの添加量に伴なって導電率は減少
することがわかる。又この結果から、KSCNの添加量とし
て0.02≦Y≦0.08が好ましいことがわかる。
実施例2 3PEG(分子量約300)各10g中に十分乾燥させたKSCN
を3PEGのユニットモル数に対するモル比Yが0.03になる
様に添加し、均一に溶解させた試料を計11個作成し
た。その中の1個にはジイソシアネート誘導体を加えず
(X=0)、そのまま導電率を測定した。残りの10個のト
ルイレン−2,4−ジイソシアネート(以下TDIと略称
する)を3PEGのモル数に対するモル数の比Xが0.2,0.4,
0.6,0.8,1.0となるように、又ヘキサメチレンジイソシ
アネート(HDIと略称する)をXが0.2,0.4,0.6,0.8,1.0
となる様にそれぞれ添加した。KSCN・3PEG・TDI系につい
ては常温で約15分攪拌することによって架橋反応が進
行した。又、KSCN・3PEG・HDI系については約80℃で約1
時間攪拌することによって架橋反応が進行した。
なお、3PEGの酸化を防ぐために、上記の操作は全て窒素
雰囲気下で行なった。得られた電解質は両系ともにX<0.
6では流動性があり、固体化条件はX≧0.6であることが
わかった。また、架橋剤としてTDIを用いた場合には、
黄色の着色が起こった。ベクトル・インピーダンスを用
いて室温における導電率を測定した結果を第2図に示
す。これは、両系共にジイソシアネートの添加量の増加
に伴なって導電率が減少することを示している。ジイソ
シアネートの3PEGに対する添加割合が等しいところで、
KSCN・3PEG・TDI系とKSCN・3PEG・HDI系の導電率を比較する
と、KSCN・3PEG・HDI系の方が約0.5〜0.85桁大きな導電率
を示すことがわかる。又EC素子用の電解質としては導電
率が10-6cm -1以下のものは好ましくない。従っ
て、本系をEC素子に応用する場合ジイソシアネート誘導
体が脂肪族系であること、また、内でもジイソシアネー
ト誘導体の3PEGに対する割合を0.6≦X≦1.0とすること
が好ましいことがわかる。
実施例3 分子量が300,509,710,925の4種類の3PEGにY=0.03,X=0.
64となる様にそれぞれトリフルオロメタスルホン酸カリ
ウム(KCF3SO3)およびHDIを添加して得られた電解質の常
温における導電率を第3図に示す。これは、3PEGの分子
量の増加に伴なって、導電率が著しく増加することを示
している。これから、3PEGの分子量としては、500以上
であることが特に望ましいことがわかる。
〔発明の効果〕
本発明の高分子固体電解質に使用されるMSCNおよび
/またはMSF3SO3は、3PEGへの溶解度およびイ
オン解離が大きな多原子からなるアニオン種を含んだも
のであるため、前記MSCNおよび/またはMSF3
3、3官能性ポリエチレングリコールおよび脂肪族系
ジイソシアネート誘導体を含む高分子固体電解質は、室
温又は、80℃以下の低温加熱によって、溶液から固体に
変化する。従って、大面積化に適した方法、例えば、析
出法(特開昭58-172231)、塗布法など、で成膜させたE
C膜付の基板の間に溶液状態で挾み込み、室温で放置す
るか、又は、低温で加熱することによってEC膜および固
体電解質のコンタクトが良好な大面積なEC素子を得るこ
とができる。このように、本発明による電解質は、EC膜
に熱的なダメージを与えることなく、コンタクトの良好
な大面積EC素子を容易に可能にする。
更に、3PEGのユニットモル数に対するMSCNおよび/
またはMSF3SO3のモル比Yを0.02≦Y≦0.08に、ま
た、3PEGのモル数に対するジイソシアネート誘導体のモ
ル比Xを0.6≦X≦1.0とすることによって、その導電率
を向上させることができる。又導電率を高めるために
は、MSCNおよび/またはMSF3SO3を用いること
の他に、脂肪族系ジイソシアネート誘導体としてヘキサ
メチレンジイソシアネートを用いること、また、3PEGと
して分子量が500以上のものを用いることなどが特に効
果的である。又本発明による熱硬化性高分子固体電解質
は例えば、代表的な高分子固体電解質である直鎖PEOとL
iCIO4との結晶性複合体に比べて、導電離率が約3桁高
く、最近報告された熱硬化性高分子固体電解質よりも更
に、導電率が約0.5桁高いことから、EC素子に応用した
場合には一段と応答速度が早くなる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、それぞれ本発明の実施例1およ
び2により作成した熱硬化性高分子固体電解質の組成と
導電率との関係を示す図であり、第3図は実施例3で作
成した熱硬化性高分子固体電解質の3PEGの分子量と導電
率との関係を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チオシアン酸塩および/またはトリフルオ
    ロメタンスルホン酸塩、3官能性ポリエチレングリコー
    ルおよび脂肪族系ジイソシアネート誘導体を含む熱硬化
    性高分子固体電解質。
  2. 【請求項2】前記3官能性ポリエチレングリコールのC
    −C−Cユニットのモル比に対する前記チオシアン酸塩
    および/またはトリフルオロメタンスルホン酸塩のモル
    数の比Yを0.02≦Y≦0.08、かつ前記3官能性
    ポリエチレングリコールのモル数に対する前記ジイソシ
    アネート誘導体のモル比Xを0.6≦X≦1.0とした
    特許請求の範囲第1項記載の熱硬化性高分子固体電解
    質。
  3. 【請求項3】前記脂肪族系ジイソシアネート誘導体がヘ
    キサメチレンジイソシアネートである特許請求の範囲第
    1項または第2項記載の熱硬化性高分子固体電解質。
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