JPH06271384A - 単結晶引き上げ方法 - Google Patents

単結晶引き上げ方法

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JPH06271384A
JPH06271384A JP6015593A JP6015593A JPH06271384A JP H06271384 A JPH06271384 A JP H06271384A JP 6015593 A JP6015593 A JP 6015593A JP 6015593 A JP6015593 A JP 6015593A JP H06271384 A JPH06271384 A JP H06271384A
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single crystal
layer
pulling
melt
crucible
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JP6015593A
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English (en)
Inventor
Shuichi Inami
修一 稲見
Sumio Kobayashi
純夫 小林
Shunji Miyahara
俊二 宮原
Toshiyuki Fujiwara
俊幸 藤原
Takayuki Kubo
高行 久保
Hideki Fujiwara
秀樹 藤原
Masahiko Okui
正彦 奥井
Yoshihiro Akashi
義弘 明石
Kaoru Kuramochi
薫 倉持
Setsuo Okamoto
節男 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Sitix Corp
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 結晶用原料を充填する坩堝及び該坩堝の周囲
に配設されたヒータを含んで構成された単結晶成長装置
を用い、前記結晶用原料を前記ヒータにより溶融させて
上層に溶融層を、下層に固体層を形成し、引き上げに伴
って前記固体層を前記ヒータにより溶解して単結晶の引
き上げを行う単結晶の引き上げ方法において、引き上げ
中に炉内に流すアルゴンの流速を0.25〜2.5m/
秒とする単結晶の引き上げ方法。 【効果】 簡単な方法により引き上げた単結晶の酸素濃
度を8×1017atoms/cm3 以下の低酸素濃度に
設定することができる。また、得られた単結晶は酸素分
布が均一で無転位率や電気抵抗率にも優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶融層法による単結晶引
き上げ方法に関し、より詳細には、例えばLSI、CC
D、太陽電池等の半導体材料として使用されるシリコン
単結晶等が含有する酸素濃度を低下させることができる
単結晶引き上げ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】単結晶を成長させるには種々の方法があ
るが、その方法の一つにチョクラルスキー法(以下、C
Z法と記す)がある。図10は従来のCZ法に用いられ
る結晶成長装置を模式的に示す断面図であり、図中、3
1は坩堝を示している。この坩堝31は有底円筒状の石
英製内層容器31aと、この内層容器31aの外側に嵌
合された有底円筒状の黒鉛製の外層保持容器31bとか
ら構成されており、坩堝31は図中矢印方向に所定速度
で回転する支持軸38に支持されている。この坩堝31
の外側には抵抗加熱式のヒーター32が、またヒーター
32の外側には保温筒37がそれぞれ同心円状に配置さ
れており、坩堝31内にはこのヒーター32により溶融
させた結晶用原料の溶融液33が充填されている。また
坩堝31の中心軸上には、支持軸38と同一軸心で同方
向又は逆方向に所定の速度で回転する引き上げ棒、ワイ
ヤ等からなる引き上げ軸34が吊設されており、この引
き上げ軸34の先に取り付けられた種結晶35を溶融液
33の表面に接触させて引き上げ軸34を結晶成長に合
わせて回転させつつ上方へ引き上げることにより、溶融
液33を凝固させて単結晶36を成長させている。
【0003】ところで、半導体結晶をこの引き上げ方法
で成長させる場合、単結晶36の電気抵抗率、電気伝導
型を調整するために、引き上げ前に溶融液33中に不純
物元素を添加(ドーピング)する。しかし通常のCZ法
においては、添加した前記不純物濃度が単結晶36の結
晶成長方向に沿って変化していく、いわゆる偏析現象が
生じ、その結果、結晶成長方向に均一な電気的特性を有
する単結晶36が得られないという問題があった。
【0004】この偏析は、凝固の際の溶融液33と単結
晶36との界面における単結晶36中の不純物濃度Cs
と溶融液33中の不純物濃度Clとの比Cs/Cl(実
効偏析係数Ke)が1でないことに起因している。例え
ば実効偏析係数Ke<1の場合、単結晶36が成長する
に伴って溶融液33中の不純物濃度が次第に高くなって
いき、単結晶36に偏析が生じるのである。
【0005】上記した不純物の偏析を抑制しながら単結
晶を成長させる方法の一つとして、溶融層法による単結
晶引き上げ方法が挙げられる。
【0006】図11は溶融層法に用いられる結晶成長装
置を模式的に示した断面図であり、図5に示したものと
同様に構成された坩堝41内の上部にある原料をヒータ
ー42を使用して溶融させることにより、上層には溶融
層43を、また下層には固体層49を形成する。そし
て、引き上げに伴って、ヒーター42を少しづつ下降さ
せることにより固体層49を次第に溶融させていきなが
ら、後は上記したCZ法による引き上げ方法と同様の方
法で単結晶46を成長させる。
【0007】前記溶融層法として、大きく分けて今まで
に溶融層厚一定法及び溶融層厚変化法の二つの方法が提
案されている。
【0008】溶融層厚一定法は、単結晶46を引き上げ
る際、引き上げられた単結晶46の量に拘らず、ヒータ
ー42を上側から下側へ移動させ、坩堝41内における
溶融層43の体積を一定に保つように固体層49を溶融
させていく方法であり、特公昭34−8242号公報、
特公昭62−880号公報及び実開昭60−32474
号公報等に開示されている。この方法では、実効偏析係
数Keの値に拘らず、単結晶46の成長に伴って新たに
不純物濃度の低い固体層49を溶融させ、溶融層43中
の不純物濃度を低下させる。そして、不純物濃度を調節
するために不純物を溶融層43に連続的に添加し、溶融
層43中の不純物濃度をほぼ一定に保って単結晶46中
における不純物の偏析を抑制している。
【0009】一方、溶融層厚変化法は、意図的に溶融層
43の液量を変化させることにより、単結晶引き上げ中
に不純物を添加することなく溶融層43の不純物濃度C
lを一定に保ち、単結晶中の不純物の偏析を抑制する方
法であり、特開昭61−250961号公報、特開昭6
1−250692号公報及び特開昭61−215285
号公報等に開示されている。
【0010】なお前記した二つの溶融層法において、溶
融層43の厚さの制御は、ヒーター42の発熱体の長さ
やパワー、坩堝41の位置や深さ及びヒーター42の外
側に周設され、坩堝41下部の熱移動を促進する保温筒
47の形状及び材質を予め適切に選択することにより行
われる。
【0011】上述したように溶融層法による単結晶引き
上げ方法(以下、DLCZ法と記す)では、引き上げら
れた単結晶の軸方向に対する不純物濃度が一定であるた
め、その電気抵抗率が均一化されるという利点がある。
【0012】一方、単結晶の特性を左右する他の大きな
因子として、単結晶中の酸素濃度がある。以下、前記二
つの方法により得られた単結晶中の酸素濃度に関して説
明する。
【0013】LSI基板として用いられるSi単結晶の
殆どは、CZ法により得られたものであり、このCZ法
により得られたSi単結晶中には、引き上げ中に石英坩
堝より混入した酸素原子が約15×1017atoms/
cm3 と多量に存在し、そのために結晶格子間に存在す
る前記酸素原子は過飽和の状態になっている。
【0014】この過飽和に含まれる酸素原子はSi単結
晶中に固溶されず、冷却されるに従って酸素析出物を形
成する。そしてこの酸素析出物の成長過程において歪を
緩和させるため、Si原子の放出、空孔の放出、パンチ
アウトと呼ばれる転移ループの発生等の現象を惹き起こ
す。また、格子間に存在するSi原子は、高温熱処理時
に酸素析出物の周囲に移動し、積層欠陥を伴った転移ル
ープを成長させる。
【0015】このような過飽和の酸素により発生する結
晶の欠陥が、ウエハ表面から深いところ、すなわちデバ
イスの活性領域よりも深いところに存在する場合には、
ウエハ中に発生した転移を固着し、ウエハの強度を増
大させ、ウエハの熱処理過程において酸素析出物(S
iOx)を成長させてその周りに歪を発生させ、デバイ
ス工程でウエハの表面領域に侵入する不純物を捕獲し
(以下、イントリンシックゲッタリングと記す)、デバ
イスの活性領域の汚染を防止するという利点を有する。
【0016】ところが、酸素析出物や転位がウエハ表面
のデバイス活性領域に侵入すると、リーク電流を増大さ
せる原因となり、デバイス特性を劣化させるという問題
が生じる。特に、ウエハを熱酸化させる場合、熱酸化中
にウエハ表面より成長する酸化膜から放出される格子間
Si原子によって成長する積層欠陥を伴った転位ループ
(酸素誘起積層欠陥(OSF))がウエハ表面に発生す
るという問題がある。従来のデバイス工程では、このよ
うな酸素に伴う表面近傍での欠陥(OSF)の発生より
も、ウエハ表面の重金属による汚染の方が問題となり、
酸素濃度を意図的に上げ、過飽和に存在していた酸素を
析出させてイントリンシックゲッタリングを行うことの
方が重要視されていた。しかし、近年デバイス工程のク
リーン化が進み、このようなイントリンシックゲッタリ
ングを必要としないものも出現してきており、これに伴
いウエハ中に過飽和の酸素を存在させて単結晶中の重金
属汚染を防止する利点より、過飽和に存在する酸素がウ
エハ表面近傍で析出することによるデバイスの活性領域
の劣化の問題の方が大きくクローズアップされてきてい
る。
【0017】一般的に、DLCZ法により得られた単結
晶は、CZ法により得られた単結晶よりも酸素濃度が低
いため、従来は前記イントリンシックゲッタリングを充
分に行うことができるよう、酸素濃度を上昇させるため
の努力がなされてきたが、上記した理由により、今まで
とは逆に酸素の析出が起こりにくい低酸素濃度のウエハ
が急速に要求されるようになってきている。このような
事情から、DLCZ法を利用した単結晶引き上げ方法
は、低酸素濃度を有するウエハを製造する上で極めて有
利な方法として注目されている。
【0018】従来より単結晶中の酸素濃度を制御しよう
とする試みは色々なされているが、前記したように今ま
では酸素濃度を上昇させるものが殆どである。CZ法よ
り得られる単結晶中の酸素濃度を制御する方法を開示し
たものとして、例えば特開平1−160892号公報に
は、単結晶引き上げ中に、固化率の増加(引き上げた単
結晶が長くなる)につれて、アルゴンガスの流量を30
〜60リットル/分まで増加させ、これにより固化率の
増加に伴う酸素濃度の低下を抑え、結晶軸方向の酸素濃
度の均一化を図る方法が開示されている。また、例えば
特開平3−159986号公報には、Si単結晶の固化
率の増加とともにチャンバー内の圧力を上げ及び/又は
不活性ガスの流量を下げて、チャンバー内に発生するS
iOの蒸発を抑制し、坩堝内のSi溶融液中に残留する
SiOの含有量を増加させ、固化率の増加に伴う単結晶
の酸素濃度の低下を抑える方法が開示されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】前記記載より、従来の
CZ法において、炉内のガス流量や炉内の圧力が酸素濃
度に影響を及ぼすとの情報を得ることはできるが、前記
方法は酸素濃度の低下を防止する方法であり、炉内のガ
ス流量や圧力をどのようにすれば、溶融液中の酸素濃度
を低下させることができるかについては検討されておら
ず、定性的な方向すら明らかにされていない。これらの
事情はDLCZ法においてもおいても同様である。
【0020】一方、他の方法により低酸素濃度の単結晶
を引き上げようとする試みはなされている。例えば坩堝
内で溶融されたSiの溶融液に磁場を印加してSi溶融
液の対流を抑え、石英坩堝から拡散により流出する酸素
の量を少なくすることにより溶融液中の酸素濃度を減少
させ、低酸素濃度の単結晶を得ようとする試みがなされ
ている。しかし、前記方法は酸素の対流を抑えることが
できるような強力な磁気発生装置を引き上げ装置に付設
する必要があるため、コストが高くなるという課題があ
った。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
課題に鑑み、既存のDLCZ法による単結晶引き上げ装
置を用いて簡易に低酸素濃度の単結晶を引き上げること
ができる単結晶の引き上げ方法を提案するために検討を
重ねた結果、DLCZ法において、引き上げ中に炉内に
流すArの流速が小さい程得られた単結晶に含有される
酸素の濃度が小さくなり、特定の流速の範囲内とするこ
とによりSi単結晶中の酸素濃度が8×1017atom
s/cm3 以下と従来得られなかった低レベルになるこ
とを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0022】すなわち本発明に係る単結晶の引き上げ方
法は、結晶用原料を充填する坩堝及び該坩堝の周囲に配
設されたヒータを含んで構成された単結晶成長装置を用
い、前記結晶用原料を前記ヒータにより溶融させて上層
に溶融層を、下層に固体層を形成し、引き上げに伴って
前記固体層を前記ヒータにより溶解して単結晶の引き上
げを行う単結晶の引き上げ方法において、引き上げ中に
炉内に流すアルゴンの流速を0.25〜2.5m/秒と
することを特徴としている。
【0023】
【作用】上記した構成により、単結晶中に存在する酸素
の濃度が低下する理由については、以下のことが考えら
れる。
【0024】まず一般に、CZ法及び溶融層法において
石英坩堝を構成するSiO2 から溶融層中に溶け出した
酸素は、溶融液表面からその大部分(99%程度)が蒸
発する。その際、溶融液中及び溶融液表面上の気体の両
方に、酸素(あるいはSiO)の拡散層が形成され、こ
の拡散層の厚さと拡散係数が酸素の移動を決定してい
る。通常、CZ法及びDLCZ法では溶融液表面から蒸
発するSiOが溶融液直上のチャンバー壁に析出し、そ
れが再び溶融液内に落下して引き上げ中の結晶に取り込
まれることによって生じる単結晶の有転位化を防止する
ため、引き上げ炉内を真空ポンプにより排気しつつAr
を流して溶融液表面から蒸発する酸素又はSiOを排気
している。
【0025】図1は、DLCZ法により単結晶を引き上
げる際の、単結晶製造装置内のArガスの流れを模式的
に示した断面図であり、図中11は坩堝を示している。
坩堝11は有底円筒形状の石英製の内層容器11aとこ
の内層容器11aの外側に嵌合される有底円筒状の黒鉛
製の外層保持容器11bとから構成されており、この坩
堝11の外周には抵抗加熱式のヒーター15が同心円状
に配設されている。また坩堝11の上方には引き上げ軸
17が回転並びに昇降可能なように吊設されており、引
き上げ軸17の下端には、種結晶18が装着されてい
る。
【0026】一方、坩堝11内の下部には固体層13
が、上部には溶融液層12がそれぞれ形成されており、
坩堝11内の溶融液12中に種結晶18の下端を浸漬し
た後、これを回転させつつ上昇させることにより、種結
晶18の下端から単結晶14を成長させていくようにな
っている。また溶融液層12からの熱放射を防ぐ目的で
単結晶14の周囲に略円筒状の本体21aを有する熱遮
蔽板21が配設されており、その下端部21bは坩堝1
1内の溶融液層12の上方近傍に位置している。
【0027】前記装置において、Arは上方から導入さ
れ、単結晶14に沿うように溶融液層12表面まで下降
し、溶融液層12表面の近傍Rに到達した後、坩堝11
の内部炉壁の周囲に沿って上昇し、その後外部に排気さ
れる。この過程で、溶融液層12表面から熱を奪い、溶
融液層12表面の温度を低下させる働きをする。従っ
て、Arの流量を変化させることにより、溶融液層12
表面の温度を制御することができる。前述した溶融液層
12表面近傍に形成される境界層中の酸素またはSiO
の拡散係数は溶融液層12表面の温度が高い程大きくな
る。
【0028】従って、Arの流速を小さくすることによ
り、溶融液層12表面の温度が上昇し、境界内の酸素ま
たはSiOの拡散係数が大きくなり、逆に溶融液層12
内の酸素又はSiOの濃度は下がり、この結果引き上げ
られる単結晶14中の酸素濃度も低くなると考えられ
る。
【0029】元来、DLCZ法では溶融液層12下部に
固体層13を有するため、石英坩堝11と溶融液層12
が接触する面積はCZ法に比較して小さくなり、石英坩
堝11から流出する酸素量も全体として少なく、その結
果CZ法に比べて酸素濃度が低い単結晶14が得られて
いた。これに加え、上記したようにArの流速を下げて
2.5m/秒以下にすることにより、単結晶14中の酸
素濃度がさらに低下し、格子間酸素が析出しない酸素濃
度である8×1017atoms/cm3 以下という従来
では考えられなかった酸素濃度を有するSi単結晶を得
ることことができる。なお、Arの流速が0.25m/
秒より小さいと、溶融液層12表面から蒸発するSiO
が溶融液層12直上に存在するチャンバー壁や熱遮蔽板
等に析出し、それが再び溶融液層12に落下し、引き上
げ中の結晶に取り込まれることにより単結晶の有転位化
を引き起こすため好ましくない。
【0030】
【実施例及び比較例】以下、本発明に係る単結晶の引き
上げ方法の実施例を図面に基づいて説明する。図2は実
施例に係る単結晶の引き上げ方法に用いる単結晶成長装
置の一例を示した模式的断面図であり、図中、19はチ
ャンバーを示している。またチャンバー19は図示しな
い水冷機構により水冷されている。チャンバー19のほ
ぼ中央位置には結晶用原料が充填される坩堝11が配設
されており、坩堝11は有底円筒形状の石英製内層容器
11aとこの内層容器11aの外側に嵌合される有底円
筒状の黒鉛製外層保持容器11bとから構成されてい
る。またこの坩堝11の底部の略中心箇所にはチャンバ
ー19の底壁を貫通する支持軸16が取り付けられ、こ
の支持軸16によって坩堝11は回転及び昇降可能に支
持されている。また、この坩堝11の外周には抵抗加熱
式のヒーター15が同心円状に配設されており、ヒータ
ー15の外周には保温筒22が配設されている。
【0031】一方坩堝11の上方にはチャンバー21の
上部に連接形成された小型のほぼ円筒状のプルチャンバ
ー20を通して引き上げ軸17が回転並びに昇降可能な
ように吊設されており、引き上げ軸17の下端には、種
結晶18が装着されている。一方、坩堝11内は下部に
は固体層13が、そして上部には溶融液層12がそれぞ
れ形成されており、坩堝11内の溶融液層12中に種結
晶18の下端を浸漬した後、これを回転させつつ上昇さ
せることにより、種結晶18の下端から単結晶14を成
長させていくようになっている。なお、この単結晶成長
装置では、溶融液層12からの熱放射を防ぐ目的で単結
晶14の周囲に略円筒状の熱遮蔽板本体21aを有する
熱遮蔽板21が配設されており、その下端部21bは坩
堝11内の溶融液層12の上方近傍に位置している。
【0032】単結晶引き上げ中には、プルチャンバー2
0からArガスを導入するが、チャンバー19内に導入
されたArガスは、熱遮蔽板21の下端部21bと溶融
液層12表面との間を通過してチャンバー19下部に至
り、真空ポンプにより排気される。
【0033】このように構成された単結晶成長装置を用
い、溶融層法によりSi単結晶14の引き上げ実験を行
った。
【0034】まず黒鉛製の外層保持容器11bに内径が
380mm、厚さが10mm、高さが355mmの石英
製内層容器11aを嵌合させた坩堝11内にSi原料6
5kgを充填し、加えてN型ドーパントとしてリン・シリ
コン合金を添加し、チャンバー19内にArを導入し
て、単結晶引き上げ中は一定圧、一定流量で流した。次
に、長さ150mmのヒーター15に電圧を印加して一
旦原料を全部溶融させ、その後にヒーターパワーを落し
て溶融液層12の下部に固体層13を成長させ、固体層
13の量を安定させた。次に、種結晶18の下側を溶融
液層12に浸漬し、坩堝11の回転数を1rpm 、引き上
げ軸17の回転数を10rpm 、引き上げ速度を1.0m
m/分の条件に設定してお互いに逆方向に回転させつ
つ、結晶径6インチ、長さ1000mmのシリコン単結
晶14を引き上げた。
【0035】実施例では、上記した単結晶引き上げ中の
炉内の圧力及びArの流量につき、炉内圧を10Tor
rに設定し、Ar流量を5、10、15、30、40リ
ットル/秒と変化させた実験、及びAr流量を30リッ
トル/分に設定し、炉内圧を5、10、20、30、4
0Torrと変化させた実験を行った。
【0036】比較例として、図10に示したものと同様
の単結晶成長装置を用い、CZ法により実施例と同様に
Arの流速や炉内圧を変化させて単結晶を引き上げた。
【0037】まず実施例により得られた単結晶について
の分析結果について説明する。最初に各実験条件に対し
て得られた単結晶の酸素がどのようになるかを示す。図
3は炉内圧力が10Torrと一定の場合のAr流量に
対する単結晶中の酸素濃度の関係を示すグラフであり、
図4は炉内のAr流量が30リットル/分と一定の場合
の炉内圧力に対する酸素濃度の関係を示すグラフであ
る。図3より明らかなように、Ar流量の減少に伴って
得られた単結晶中の酸素濃度が低下しており、炉内圧が
一定の場合、Arの流量を低下させることにより単結晶
中の酸素濃度を低下させることができる。また、図4よ
り明らかなように、Ar流量が一定の場合、炉内圧の低
下に伴って得られた単結晶中の酸素濃度が低下してお
り、Ar流量が一定の場合、炉内圧を低下させることに
より得られた単結晶中の酸素濃度を低下させることがで
きる。
【0038】これらの結果より、単結晶中の酸素濃度が
炉内のArガスの移動と何らかの関連性を有していると
推定される。そこで、これらの関連性を統一的に表すパ
ラメーターの存在を調べるため、坩堝中の溶融液表面近
傍のAr流速と単結晶中の酸素濃度との関連を図示して
みることにした。
【0039】しかしArの流速を直接測定することは困
難なため、実施例で使用した単結晶成長装置の逆円錐状
の熱遮蔽板本体21aとSi溶融液12とのギャップを
通過するArの量(体積)からArの流速を求めること
とした。この場合、Arの温度は常温で一定と仮定し
た。
【0040】熱遮蔽板本体21の下端部21bの直径を
r、下端部21bとSi溶融液12との幅をgとする
と、ギャップの面積Sは、数1式により求めることがで
きる。
【0041】
【数1】
【0042】一般に、常圧における圧力P、体積Vと減
圧状態での圧力P’、体積V’との関係は数2式で示さ
れが、これを減圧状態における体積V’を求める数3式
に変形する。
【0043】
【数2】
【0044】
【数3】
【0045】前記数3式で示した体積V’を1秒間に前
記ギャップを通過するArの体積(m3 /秒)として前
記ギャップの面積Sで割れば、Arの流速(m/秒)を
求めることができる。これにより得られる式を数4式と
して示す。
【0046】
【数4】
【0047】ここで圧力の単位をTorrとし、上記実
施例で使用したArの流量の単位(リットル/分)を先
程の体積V(m3 /秒)の単位に換算すると、数5式の
ようになる。
【0048】
【数5】
【0049】本実施例においては、r=0.1m、g=
0.015mとして計算した。
【0050】図5(a)は、前記数4式を用いて求めた
炉内の圧力が10Torrと一定の場合の流速と流量と
の関係を示すグラフであり、図5(b)は、前記の場合
と同様にして求めた炉内の流量が30リットル/分と一
定の場合の炉内圧と流速との関係を示すグラフである。
【0051】比較例であるCZ法による単結晶成長装置
を用いた場合の結果についても、全く同様にして、各条
件に対するArの流速を求めた。
【0052】図6は、実施例により得られた溶融液表面
近傍のArの流速とウエハ中の酸素濃度との関係及び比
較例により得られた同様の関係を示したグラフであり、
Arの流速は、図5のグラフを基に換算して求めた値で
ある。この図からArの流速と単結晶中の酸素濃度とが
比例関係にあることがわかる。また、実施例で得られた
直線と比較例で得られた直線との比較からも明らかなよ
うに、比較例(CZ法)においては、Arの流速を減少
させてもウエハ中の酸素濃度の減少は10×1017at
oms/cm3 までに止まるのに対し、実施例(DLC
Z法)においては、Ar流速を2.5m/秒以下にする
ことにより、酸素濃度が8×1017atoms/cm3
以下と従来では考えることができなかった低酸素濃度を
有するウエハを得ることができる。
【0053】なお、Arの流速を0.25m/秒より低
下させた場合についてのデータを示していないが、この
場合は溶融液表面から蒸発するSiOが溶融液直上に存
在する熱遮蔽板等に析出し、それが再び溶融液内に落下
し、引き上げ中の結晶に取り込まれることにより単結晶
が有転位化した。
【0054】次に、得られた単結晶の軸方向の酸素分布
を測定した。図7は、前記実施例により得られた単結晶
のうちの炉内圧が10Torrで流量が10リットル/
分のもの(A)、及び炉内圧が20Torrで流量が3
0リットル/分のもの(B)につき、単結晶の軸方向に
おける酸素濃度分布を示すグラフである。軸方向に関し
てほぼ一定の均一な酸素濃度分布を有する単結晶が得ら
れていることがわかる。
【0055】また、図8は実施例で得られた単結晶の軸
方向と抵抗率との関係を示すグラフである。なお、結晶
長は単結晶の最上部を0とした。得られたシリコン単結
晶の電気的特性の一つである抵抗率の軸方向分布は図8
に示すように、結晶全長にわたって規格の1:1.3に
収まり、問題の無いことが分かる。
【0056】さらに図9は、上記実施例の各条件で得ら
れた単結晶の無転位部の長さを示すグラフである。図よ
り明らかなように、得られた単結晶は無転位率が非常に
高い高品質のものである。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る単結晶
の引き上げ方法にあっては、結晶用原料を充填する坩堝
及び該坩堝の周囲に配設されたヒータを含んで構成され
た単結晶成長装置を用い、前記結晶用原料を前記ヒータ
により溶融させて上層に溶融層を、下層に固体層を形成
し、引き上げに伴って前記固体層を前記ヒータにより溶
解させて単結晶の引き上げを行う単結晶の引き上げ方法
において、引き上げ中に炉内に流すアルゴンの流速を
0.25〜2.5m/秒とするので、簡単な方法により
引き上げた単結晶の酸素濃度を8×1017atoms/
cm3 以下という従来では得られなかった低酸素濃度に
設定することができる。また、得られた単結晶は酸素分
布が均一で無転位率や電気抵抗率にも優れる。
【0058】従って、本発明に係る単結晶の引き上げ方
法により、酸素濃度が低く、かつその分布が均一で、無
転位率や電気抵抗率にも優れた単結晶を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】DLCZ法により単結晶を引き上げる際の、単
結晶製造装置内のArガスの流れを模式的に示した断面
図である。
【図2】実施例に係る単結晶の引き上げ方法に用いる単
結晶成長装置の一例を示した模式的断面図である。
【図3】実施例において、炉内圧力が10Torrと一
定の場合のAr流量に対する単結晶中の酸素濃度の関係
を示すグラフである。
【図4】実施例において、炉内の流量が30リットル/
分と一定の場合の炉内圧力に対する酸素濃度の関係を示
すグラフである。
【図5】(a)は、炉内の圧力が10Torrと一定の
場合の流速と流量との関係を示すグラフであり、(b)
は炉内の流量が30リットル/分と一定の場合の炉内圧
と流量との関係を示すグラフである。
【図6】実施例により得られた溶融液表面近傍のArの
流速とウエハ中の酸素濃度との関係及び比較例により得
られた同様の関係を示したグラフである。
【図7】実施例により得られた単結晶のうちの炉内圧が
10Torrで流量が10リットル/分のもの、及び炉
内圧が20Torrで流量が30リットル/分のものに
つき、単結晶の軸方向の酸素濃度を示すグラフである。
【図8】実施例で得られた単結晶の軸方向と抵抗率との
関係を示すグラフである。
【図9】実施例の得られた単結晶10個の無転位部の長
さを示すグラフである。
【図10】従来のCZ法に用いられる結晶成長装置を模
式的に示す断面図である。
【図11】溶融層法に用いられる結晶成長装置を模式的
に示した断面図である。
【符号の説明】 11 坩堝 12 溶融液層 13 固体層 14 単結晶 15 ヒータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮原 俊二 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 藤原 俊幸 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 久保 高行 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 藤原 秀樹 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 奥井 正彦 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 明石 義弘 兵庫県尼崎市東浜町1番地 住友シチック ス株式会社内 (72)発明者 倉持 薫 兵庫県尼崎市東浜町1番地 住友シチック ス株式会社内 (72)発明者 岡本 節男 兵庫県尼崎市東浜町1番地 住友シチック ス株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶用原料を充填する坩堝及び該坩堝の
    周囲に配設されたヒータを含んで構成された単結晶成長
    装置を用い、前記結晶用原料を前記ヒータにより溶融さ
    せて上層に溶融層を、下層に固体層を形成し、引き上げ
    に伴って前記固体層を前記ヒータにより溶解させて単結
    晶の引き上げを行う単結晶の引き上げ方法において、引
    き上げ中に炉内に流すアルゴンの流速を0.25〜2.
    5m/秒とすることを特徴とする単結晶の引き上げ方
    法。
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