JPH06267790A - 積層貫通型コンデンサアレイ - Google Patents

積層貫通型コンデンサアレイ

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JPH06267790A
JPH06267790A JP4196596A JP19659692A JPH06267790A JP H06267790 A JPH06267790 A JP H06267790A JP 4196596 A JP4196596 A JP 4196596A JP 19659692 A JP19659692 A JP 19659692A JP H06267790 A JPH06267790 A JP H06267790A
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sheet
ceramic dielectric
holes
dielectric sheet
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優 志村
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春生 平岡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 クロストークを生じることなく高周波ノイズ
を除去し高密度に回路基板に実装して電子機器を小型化
できかつリードインダクタンスを生じにくい。 【構成】 誘電体シート20を間にして誘電体シート1
0と30を積層して一体化した積層体50に線路L1
3が通る複数の貫通孔11a〜31cを設ける。シー
ト10の隣合う貫通孔のいずれか一方の貫通孔11a,
11c周囲には線路に接続される内部導体12a,12
cを形成し、シート20の表面には貫通孔21a〜21
cと絶縁される間隔22a〜22cを有する接地導体2
3をその外周部にかけて形成する。シート30の表面に
は貫通孔11bに連通する貫通孔31b周囲に線路に接
続される内部導体32を形成する。シート20及び30
を介して内部導体と接地導体との間でキャパシタンスを
形成するように構成し、積層体側面に露出した接地導体
に接続する外部電極60を側面に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ノイズフィルタとして
用いられる積層貫通型コンデンサアレイに関する。更に
詳しくは貫通孔を通る信号線路間のクロストークを防止
するに適した積層貫通型コンデンサアレイに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ等のデジタル機器では、信
号線路に高周波のノイズが混入すると誤動作を生じ易
く、しかも他の電子機器等に障害をもたらす恐れのある
不要な電磁波を配線から放射する問題点がある。このた
め、信号線路にはコンデンサ素子を用いた高周波ノイズ
を除去するノイズフィルタが多用されている。この種の
ノイズフィルタとしては、単板コンデンサ、積層型コン
デンサ、貫通型コンデンサ、貫通型コンデンサアレイ等
がある。単板コンデンサ、積層チップコンデンサ及び貫
通型コンデンサはそれぞれ1つの信号線路に対して1個
用いられ、複数のコンデンサを内蔵した貫通型コンデン
サアレイは単品で複数の信号線路に対して用いられる。
【0003】しかし、上記単板コンデンサ、積層チップ
コンデンサ、貫通型コンデンサ、及び貫通型コンデンサ
アレイには、次に述べる欠点がある。 単板コンデンサは、1枚のディスク状のコンデンサ
素子の両面に外部電極をそれぞれ設け、そこに一対のリ
ード線を接続している。単板コンデンサはこの構造に起
因して回路基板への高密度の実装が妨げられ、電子機器
を小型化しにくい。また回路基板に実装する時にリード
線を含むことから、図9に示すようにこの単板コンデン
サを接続した回路はLC直列共振回路に近似して、ある
周波数以上ではノイズフィルタとして機能しなくなる。 積層チップコンデンサは、1つのシート外周辺まで
延びこのシート外周辺と反対側のシート外周辺とは間隔
をあけてシート表面に内部電極が形成された角形のセラ
ミックシート2枚を一組とし、これら2枚のセラミック
シートを内部電極の延びたシート外周辺がそれぞれ反対
側になるように重ね合せ、この重ね合せた一組のセラミ
ックシートを複数組積層し一体化してなる積層体と、積
層体の両側面にそれぞれ露出した内部電極に接続して形
成された一対の外部電極とを備える。積層チップコンデ
ンサは、単板コンデンサと比べて回路基板により高密度
に実装できるものの、コンデンサの内部電極や接地点ま
での配線の引き回しが避けられない。このため、このコ
ンデンサを含む回路は単板コンデンサと同様に図9に示
すLC直列共振回路に近似して、ある周波数以上ではノ
イズフィルタとして機能しなくなる。
【0004】 貫通型コンデンサは、例えばディスク
状のコンデンサ素子の中央に信号線路が通る貫通孔をあ
け、コンデンサ素子の片面の貫通孔周縁に信号線路に接
続する第1導体を形成し、コンデンサ素子の他面及びそ
の外周面に第1導体と間隔をあけて接地用の第2導体層
を形成し、コンデンサ素子を介して第1導体層と第2導
体層との間でキャパシタンスを形成するように構成され
る。貫通型コンデンサは、単板コンデンサや積層チップ
コンデンサのように回路基板に実装する時にリード線や
配線を引き回す必要がなく、図8に示す理想の回路に近
づけることができる。しかし、貫通型コンデンサはその
構造に起因して回路基板への高密度の実装が妨げられ、
電子機器を小型化しにくい。また実装に手間がかかるた
め実装コストの上昇を招いている。 貫通型コンデンサアレイは、例えば方形状のコンデ
ンサ素子にそれぞれ信号線路が通る複数の貫通孔をあ
け、コンデンサ素子の片面の各貫通孔の周縁に信号線路
に接続する第1導体をそれぞれ形成し、コンデンサ素子
の他面及びその外周面に第1導体と間隔をあけて接地用
の第2導体層を形成し、コンデンサ素子を介して第1導
体層と第2導体層との間でキャパシタンスを形成するよ
うに構成される。貫通型コンデンサアレイは、貫通型コ
ンデンサと同様の理由で図8に示す理想の回路に近づけ
ることができ、貫通型コンデンサが有する欠点、即ち高
密度化の困難性と実装コストの上昇の問題点を解消す
る。しかし、この貫通型コンデンサアレイでは隣接して
配設された複数の貫通孔のそれぞれにリード線等の導体
が通るため、貫通孔の間隔をあまりに狭めてそれぞれの
第1導体の間隔を狭めるとリード線等の信号線路に高周
波信号が流れたときに、配線間に存在する浮遊キャパシ
タンスのために、所定の周波数以上のノイズが伝搬さ
れ、クロストークを生じ易い。このため、高密度化には
クロストーク防止の観点から一定の制限があった。
【0005】この貫通型コンデンサアレイの欠点を解消
するために、隣接する各コンデンサ間、即ち隣接する導
体間の誘電体基板にスリットを形成し、各コンデンサ間
の浮遊キャパシタンスをなくすことにより、クロストー
クをなくした貫通型コンデンサアレイが開示されている
(実開昭61−4420)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記貫通型コ
ンデンサアレイはスリットの形成のために製造コストが
上昇するとともに、アレイ自体の強度が低下し易く、し
かも導体間にスリットを形成しただけでは未だ十分にク
ロストークを防止できない不具合があった。
【0007】本発明の目的は、リード線を有しないた
め、高密度に回路基板に実装しても電子機器を小型化で
き、かつリードインダクタンスを生じにくい積層貫通型
コンデンサアレイを提供することにある。本発明の別の
目的は、高周波ノイズを除去し、より高密度に実装して
も各線路を流れる信号の他の線路へのクロストークを確
実に防止できる積層貫通型コンデンサアレイを提供する
ことにある。本発明の更に別の目的は、強度低下の恐れ
がなく、安価に製造及び実装し得る積層貫通型コンデン
サアレイを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の構成を図1、図5及び図6に基づいて説明す
る。なお、図1は説明を容易にするためにセラミックシ
ート部分を厚さ方向に拡大して示している。本発明の積
層貫通型コンデンサアレイは、第2セラミック誘電体シ
ート20を中間シートとして第1セラミック誘電体シー
ト10と第3セラミック誘電体シート30とを積層して
一体化され、一体化された第1、第2及び第3セラミッ
ク誘電体シート10,20及び30に線路L1,L2,L
3がそれぞれ通る3個以上の第1貫通孔11a,11
b,11c、第2貫通孔21a,21b,21c及び第
3貫通孔31a,31b,31cがそれぞれ設けられた
積層体50を含む。第1セラミック誘電体シート10
は、隣合う第1貫通孔のいずれか一方のシート表面の第
1貫通孔11a,11c周囲に形成されかつ線路L1
3に接続される第1内部導体12a,12cを備え
る。また第2セラミック誘電体シート20は、第2貫通
孔とそれぞれ電気的に絶縁される間隔22a,22b,
22cを有しシート表面にその外周部にかけて形成され
た接地導体23を備える。また第3セラミック誘電体シ
ート30は、第1貫通孔のうち孔周囲に第1内部導体の
形成されない第1貫通孔11bに連通する第3貫通孔3
1bの周囲に形成されかつ線路L2に接続される第2内
部導体32を備える。更に第2セラミック誘電体シート
20を介して第1内部導体12a,12cと接地導体2
3との間でかつ第3セラミック誘電体シート30を介し
て第2内部導体32と接地導体23との間でそれぞれキ
ャパシタンスを形成するように構成され、積層体50の
側面には露出した接地導体23に接続する外部電極60
がこの側面に形成される。なお、積層体50の最上層に
シート表面に導体の形成されない第4セラミック誘電体
シート40を積層して一体化し、一体化した第1、第
2、第3及び第4セラミック誘電体シート10〜40に
線路L1,L2,L3がそれぞれ通る複数の第1、第2及
び第3貫通孔11a,11b,11c,21a,21
b,21c,31a,31b,31cをそれぞれ設ける
ことがコンデンサアレイの信頼性を向上する上で好まし
い。
【0009】
【作用】第1セラミック誘電体シート10上の第1内部
導体12a及び12cと第3セラミック誘電体シート3
0の第2内部導体32との間に、外部電極60を介して
接地される接地導体23を配置することにより、隣接す
る線路L1〜L3の間の浮遊キャパシタンスが低減され、
信号やノイズの線路間のクロストークを解消できる。ま
た、第2セラミック誘電体シート20を介して第1内部
導体12a,12cと接地導体23との間でかつ第3セ
ラミック誘電体シート30を介して第2内部導体32と
接地導体23との間でそれぞれキャパシタンスが形成さ
れるため、線路L1,L3と通電状態にある内部導体12
a,12cと接地導体23との間にかつ線路L2と通電
状態にある第2内部導体32との間にそれぞれ電位差が
生じ、コンデンサとして機能して高周波ノイズが吸収さ
れる。
【0010】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。本発明はこ
の実施例に限られるものではない。先ず、厚さ約30μ
mの誘電体グリーンシートを多数枚用意した。この誘電
体グリーンシートはポリエステルベースシートの上面に
例えばチタン酸バリウム系のJIS−R特性を有する誘
電体スラリーをドクターブレード法によりコーティング
した後、乾燥して形成される。これらのグリーンシート
のうち、ある1群を第1セラミックグリーンシートと
し、別の群を第2セラミックグリーンシートとし、更に
別の群を第3セラミックグリーンシートとした。次いで
第1セラミックグリーンシートと、第2セラミックグリ
ーンシートと、第3セラミックグリーンシートの各表面
にそれぞれ別々のパターンでPdを主成分とする導電性
ペーストをスクリーン印刷し、80℃で4分間乾燥し
た。即ち、図5に示すように第1セラミックグリーンシ
ート10には、円中心で約5.0mmの間隔をあけて2
つの小円の第1内部導体12a,12cが印刷形成され
る。また第2セラミックグリーンシート20には、3つ
の小円部分22a,22b,22cを除いて接地導体2
3がシート外周部にかけて印刷形成される。小円部分2
2a,22b,22cは円中心で約2.5mmの等間隔
に設けられる。更に第3セラミックグリーンシート30
には、シート中心に小円の第2内部導体32が形成され
る。
【0011】スクリーン印刷した第2セラミックグリー
ンシート20を中間シートとして第1セラミックグリー
ンシート10と第3セラミックグリーンシート30を交
互に複数枚積層し、最上層には導電性ペーストを全く印
刷していない第4セラミックグリーンシート40を重ね
合わせた。この積層体を熱圧着して一体化した後、2つ
の第1内部導体12a,12c、第2内部導体32及び
小円部分22a,22b,22cの各中心位置に直径が
約1mmの第1貫通孔11a〜11c、第2貫通孔21
a〜21c及び第3貫通孔31a〜31cを穿設した。
これにより、第1内部導体12a,12cは第1貫通孔
11a,11cに臨み、第2内部導体32は第3貫通孔
31bに臨み、接地導体23は第2貫通孔21a〜21
cと間隔22a〜22cをあけて設けられる。
【0012】図6に示される貫通孔が設けられた積層体
50を1300℃で約1時間焼成して厚さ約1mmの焼
結体を得た。図6に示すようにこの焼結体をバレル研磨
して焼結体の周囲側面に接地導体23を露出させた。次
いで接地導体23が露出した焼結体の周囲側面にAgを
主成分とする導電性ペーストを塗布し、更に第1貫通孔
11a〜11c、第2貫通孔21a〜21c、第3貫通
孔31a〜31c及び第4貫通孔41a〜41cの各孔
壁に同一の導電性ペーストを塗布した後、これらを一括
して焼付け、焼結体の周囲側面に外部電極60を、各孔
壁に導体層51a,51b,51cをそれぞれ形成した
(図7)。これにより導体層51a,51b,51cが
それぞれ第1内部導体12a,12c及び第2内部導体
32に、また接地導体23が外部電極60にそれぞれ電
気的に接続された積層貫通型コンデンサアレイが得られ
た。
【0013】この積層貫通型コンデンサアレイの特性を
調べるために、その外部電極60を接地された金属板に
はんだ付けにより接続した。また第1貫通孔11a〜1
1c、第2貫通孔21a〜21c、第3貫通孔31a〜
31c及び第4貫通孔41a〜41cにそれぞれ信号線
路である金属導体L1,L2,L3を挿通し、孔壁に形成
された導体層51a,51b,51cにはんだ付けによ
り接続した。金属導体L1,L2,L3の一端から高周波
信号を入力し、その他端で出力信号を測定し、挿入損失
を求めた。その結果、周波数が高くなるに従って、急峻
に挿入損失が大きくなり、実施例の積層貫通型コンデン
サアレイは良好なフィルタ特性を有することが判った。
また隣接する金属導体L1とL2の各他端で、また金属導
体L2とL3の各他端で出力信号を測定して、クロストー
クの有無を調べたところ、このクロストークは検出でき
ない程小さく、従来の貫通型コンデンサアレイの測定例
と比較して非常に改善されていることが確認された。
【0014】なお、第1セラミックグリーンシートと第
2セラミックグリーンシートと第3セラミックグリーン
シートの積層数は、内部導体と接地導体との間で形成さ
れる所望のキャパシタンスに応じて適宜変更することが
できる。従って第1シートと第2シートと第3シートは
各1枚ずつでもよい。ここでより確実にクロストークを
防止するためには第1内部導体を有する第1セラミック
グリーンシートと第2内部導体を有する第3セラミック
グリーンシートの間には接地導体を有する第2セラミッ
クグリーンシートを挟む必要がある。また、各シートに
あけられる貫通孔の数は3つに限らず、2つ或いは4つ
以上設けてもよい。また一列に限らず、複数列に配置し
てもよい。また、上記例では各貫通孔に通る線路とし
て、信号線路を挙げたが、電源線路、接地線路等の他の
線路に対しても本発明を適用することができる。更に、
最上層の第4セラミック誘電体シートは第3セラミック
誘電体シート上に別の保護手段を設ける場合には、特に
積層しなくてもよい。
【0015】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、信
号伝達のために用いられる信号線路の金属導体を貫通孔
に挿通して、外部電極を接地すると、第1セラミック誘
電体シートの第1内部導体と第2セラミック誘電体シー
トの接地導体との間かつ第3セラミック誘電体シートの
第2内部導体と第2セラミック誘電体シートとの接地導
体との間でキャパシタンスが形成されるため、信号線路
に侵入する高周波ノイズを除去することができ、また従
来の内部導体間のスリットを形成した貫通コンデンサア
レイと比べてより確実に浮遊キャパシタンスを除去し、
隣接する信号線路間相互のクロストークを防止すること
ができる。更に、従来のスリットを形成した貫通コンデ
ンサアレイと比較して、貫通孔の間隔を狭めて、より一
層小型で高密度化でき、強度を低下することなく安価に
製造及び実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の積層貫通型コンデンサアレイの
図7のA−A線断面図。
【図2】そのB−B線断面図。
【図3】そのC−C線断面図。
【図4】そのD−D線断面図
【図5】その積層体の分解斜視図。
【図6】その積層体を焼成した焼結体の斜視図。
【図7】その焼結体の周囲に外部電極を設けて作製され
た積層貫通型コンデンサアレイの要部破断斜視図。
【図8】インダクタンス成分を有しない理想的なコンデ
ンサの回路図。
【図9】LC直列共振回路に近似したコンデンサの回路
図。
【符号の説明】
10 第1セラミック誘電体シート(第1セラミックグ
リーンシート) 11a,11b,11c 第1貫通孔 12a,12c 第1内部導体 20 第2セラミック誘電体シート(第2セラミックグ
リーンシート) 21a,21b,21c 第2貫通孔 22a,22b,22c 電気的に絶縁される間隔 23 接地導体 30 第3セラミック誘電体シート(第3セラミックグ
リーンシート) 31a,31b,31c 第3貫通孔 32 第2内部導体 40 第4セラミック誘電体シート(第4セラミックグ
リーンシート) 41a,41b,41c 第4貫通孔 50 積層体 51a,51b,51c 導体層 60 外部電極
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ノイズフィルタとして
用いられる積層貫通型コンデンサアレイに関する。更に
詳しくは貫通孔を通る信号線路間のクロストークを防止
するに適した積層貫通型コンデンサアレイに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ等のデジタル機器では、信
号線路に高周波のノイズが混入すると誤動作を生じ易
く、しかも他の電子機器等に障害をもたらす恐れのある
不要な電磁波を配線から放射する問題点がある。このた
め、信号線路にはコンデンサ素子を用いた高周波ノイズ
を除去するノイズフィルタが多用されている。この種の
ノイズフィルタとしては、単板コンデンサ、積層型コン
デンサ、貫通型コンデンサ、貫通型コンデンサアレイ等
がある。単板コンデンサ、積層チップコンデンサ及び貫
通型コンデンサはそれぞれ1つの信号線路に対して1個
用いられ、複数のコンデンサを内蔵した貫通型コンデン
サアレイは単品で複数の信号線路に対して用いられる。
【0003】しかし、上記単板コンデンサ、積層チップ
コンデンサ、貫通型コンデンサ、及び貫通型コンデンサ
アレイには、次に述べる欠点がある。 単板コンデンサは、1枚のディスク状のコンデンサ
素子の両面に外部電極をそれぞれ設け、そこに一対のリ
ード線を接続している。単板コンデンサはこの構造に起
因して回路基板への高密度の実装が妨げられ、電子機器
を小型化しにくい。また回路基板に実装する時にリード
線を含むことから、図9に示すようにこの単板コンデン
サを接続した回路はLC直列共振回路に近似して、ある
周波数以上ではノイズフィルタとして機能しなくなる。 積層チップコンデンサは、1つのシート外周辺まで
延びこのシート外周辺と反対側のシート外周辺とは間隔
をあけてシート表面に内部電極が形成された角形のセラ
ミックシート2枚を一組とし、これら2枚のセラミック
シートを内部電極の延びたシート外周辺がそれぞれ反対
側になるように重ね合せ、この重ね合せた一組のセラミ
ックシートを複数組積層し一体化してなる積層体と、積
層体の両側面にそれぞれ露出した内部電極に接続して形
成された一対の外部電極とを備える。積層チップコンデ
ンサは、単板コンデンサと比べて回路基板により高密度
に実装できるものの、コンデンサの内部電極や接地点ま
での配線の引き回しが避けられない。このため、このコ
ンデンサを含む回路は単板コンデンサと同様に図9に示
すLC直列共振回路に近似して、ある周波数以上ではノ
イズフィルタとして機能しなくなる。
【0004】 貫通型コンデンサは、例えばディスク
状のコンデンサ素子の中央に信号線路が通る貫通孔をあ
け、コンデンサ素子の片面の貫通孔周縁に信号線路に接
続する第1導体を形成し、コンデンサ素子の他面及びそ
の外周面に第1導体と間隔をあけて接地用の第2導体層
を形成し、コンデンサ素子を介して第1導体層と第2導
体層との間でキャパシタンスを形成するように構成され
る。貫通型コンデンサは、単板コンデンサや積層チップ
コンデンサのように回路基板に実装する時にリード線や
配線を引き回す必要がなく、図8に示す理想の回路に近
づけることができる。しかし、貫通型コンデンサはその
構造に起因して回路基板への高密度の実装が妨げられ、
電子機器を小型化しにくい。また実装に手間がかかるた
め実装コストの上昇を招いている。 貫通型コンデンサアレイは、例えば方形状のコンデ
ンサ素子にそれぞれ信号線路が通る複数の貫通孔をあ
け、コンデンサ素子の片面の各貫通孔の周縁に信号線路
に接続する第1導体をそれぞれ形成し、コンデンサ素子
の他面及びその外周面に第1導体と間隔をあけて接地用
の第2導体層を形成し、コンデンサ素子を介して第1導
体層と第2導体層との間でキャパシタンスを形成するよ
うに構成される。貫通型コンデンサアレイは、貫通型コ
ンデンサと同様の理由で図8に示す理想の回路に近づけ
ることができ、貫通型コンデンサが有する欠点、即ち高
密度化の困難性と実装コストの上昇の問題点を解消す
る。しかし、この貫通型コンデンサアレイでは隣接して
配設された複数の貫通孔のそれぞれにリード線等の導体
が通るため、貫通孔の間隔をあまりに狭めてそれぞれの
第1導体の間隔を狭めるとリード線等の信号線路に高周
波信号が流れたときに、配線間に存在する浮遊キャパシ
タンスのために、所定の周波数以上のノイズが伝搬さ
れ、クロストークを生じ易い。このため、高密度化には
クロストーク防止の観点から一定の制限があった。
【0005】この貫通型コンデンサアレイの欠点を解消
するために、隣接する各コンデンサ間、即ち隣接する導
体間の誘電体基板にスリットを形成し、各コンデンサ間
の浮遊キャパシタンスをなくすことにより、クロストー
クをなくした貫通型コンデンサアレイが開示されている
(実開昭61−4420)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記貫通型コ
ンデンサアレイはスリットの形成のために製造コストが
上昇するとともに、アレイ自体の強度が低下し易く、し
かも導体間にスリットを形成しただけでは未だ十分にク
ロストークを防止できない不具合があった。
【0007】本発明の目的は、リード線を有しないた
め、高密度に回路基板に実装しても電子機器を小型化で
き、かつリードインダクタンスを生じにくい積層貫通型
コンデンサアレイを提供することにある。本発明の別の
目的は、高周波ノイズを除去し、より高密度に実装して
も各線路を流れる信号の他の線路へのクロストークを確
実に防止できる積層貫通型コンデンサアレイを提供する
ことにある。本発明の更に別の目的は、強度低下の恐れ
がなく、安価に製造及び実装し得る積層貫通型コンデン
サアレイを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の構成を図1、図5及び図6に基づいて説明す
る。なお、図1は説明を容易にするためにセラミックシ
ート部分を厚さ方向に拡大して示している。本発明の積
層貫通型コンデンサアレイは、第2セラミック誘電体シ
ート20を中間シートとして第1セラミック誘電体シー
ト10と第3セラミック誘電体シート30とを積層して
一体化され、一体化された第1、第2及び第3セラミッ
ク誘電体シート10,20及び30に線路L1,L2,L
3がそれぞれ通る3個以上の第1貫通孔11a,11
b,11c、第2貫通孔21a,21b,21c及び第
3貫通孔31a,31b,31cがそれぞれ設けられた
積層体50を含む。第1セラミック誘電体シート10
は、隣合う第1貫通孔のいずれか一方のシート表面の第
1貫通孔11a,11c周囲に形成されかつ線路L1
3に接続される第1内部導体12a,12cを備え
る。また第2セラミック誘電体シート20は、第2貫通
孔とそれぞれ電気的に絶縁される間隔22a,22b,
22cを有しシート表面にその外周部にかけて形成され
た接地導体23を備える。また第3セラミック誘電体シ
ート30は、第1貫通孔のうち孔周囲に第1内部導体の
形成されない第1貫通孔11bに連通する第3貫通孔3
1bの周囲に形成されかつ線路L2に接続される第2内
部導体32を備える。更に第2セラミック誘電体シート
20を介して第1内部導体12a,12cと接地導体2
3との間でかつ第3セラミック誘電体シート30を介し
て第2内部導体32と接地導体23との間でそれぞれキ
ャパシタンスを形成するように構成され、積層体50の
側面には露出した接地導体23に接続する外部電極60
がこの側面に形成される。なお、積層体50の最上層に
シート表面に導体の形成されない第4セラミック誘電体
シート40を積層して一体化し、一体化した第1、第
2、第3及び第4セラミック誘電体シート10〜40に
線路L1,L2,L3がそれぞれ通る複数の第1、第2及
び第3貫通孔11a,11b,11c,21a,21
b,21c,31a,31b,31cをそれぞれ設ける
ことがコンデンサアレイの信頼性を向上する上で好まし
い。
【0009】
【作用】第1セラミック誘電体シート10上の第1内部
導体12a及び12cと第3セラミック誘電体シート3
0の第2内部導体32との間に、外部電極60を介して
接地される接地導体23を配置することにより、隣接す
る線路L1〜L3の間の浮遊キャパシタンスが低減され、
信号やノイズの線路間のクロストークを解消できる。ま
た、第2セラミック誘電体シート20を介して第1内部
導体12a,12cと接地導体23との間でかつ第3セ
ラミック誘電体シート30を介して第2内部導体32と
接地導体23との間でそれぞれキャパシタンスが形成さ
れるため、線路L1,L3と通電状態にある内部導体12
a,12cと接地導体23との間にかつ線路L2と通電
状態にある第2内部導体32との間にそれぞれ電位差が
生じ、コンデンサとして機能して高周波ノイズが吸収さ
れる。
【0010】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。本発明はこ
の実施例に限られるものではない。先ず、厚さ約30μ
mの誘電体グリーンシートを多数枚用意した。この誘電
体グリーンシートはポリエステルベースシートの上面に
例えばチタン酸バリウム系のJIS−R特性を有する誘
電体スラリーをドクターブレード法によりコーティング
した後、乾燥して形成される。これらのグリーンシート
のうち、ある1群を第1セラミックグリーンシートと
し、別の群を第2セラミックグリーンシートとし、更に
別の群を第3セラミックグリーンシートとした。次いで
第1セラミックグリーンシートと、第2セラミックグリ
ーンシートと、第3セラミックグリーンシートの各表面
にそれぞれ別々のパターンでPdを主成分とする導電性
ペーストをスクリーン印刷し、80℃で4分間乾燥し
た。即ち、図5に示すように第1セラミックグリーンシ
ート10には、円中心で約5.0mmの間隔をあけて2
つの小円の第1内部導体12a,12cが印刷形成され
る。また第2セラミックグリーンシート20には、3つ
の小円部分22a,22b,22cを除いて接地導体2
3がシート外周部にかけて印刷形成される。小円部分2
2a,22b,22cは円中心で約2.5mmの等間隔
に設けられる。更に第3セラミックグリーンシート30
には、シート中心に小円の第2内部導体32が形成され
る。
【0011】スクリーン印刷した第2セラミックグリー
ンシート20を中間シートとして第1セラミックグリー
ンシート10と第3セラミックグリーンシート30を交
互に複数枚積層し、最上層には導電性ペーストを全く印
刷していない第4セラミックグリーンシート40を重ね
合わせた。この積層体を熱圧着して一体化した後、2つ
の第1内部導体12a,12c、第2内部導体32及び
小円部分22a,22b,22cの各中心位置に直径が
約1mmの第1貫通孔11a〜11c、第2貫通孔21
a〜21c及び第3貫通孔31a〜31cを穿設した。
これにより、第1内部導体12a,12cは第1貫通孔
11a,11cに臨み、第2内部導体32は第3貫通孔
31bに臨み、接地導体23は第2貫通孔21a〜21
cと間隔22a〜22cをあけて設けられる。
【0012】図6に示される貫通孔が設けられた積層体
50を1300℃で約1時間焼成して厚さ約1mmの焼
結体を得た。図6に示すようにこの焼結体をバレル研磨
して焼結体の周囲側面に接地導体23を露出させた。次
いで接地導体23が露出した焼結体の周囲側面にAgを
主成分とする導電性ペーストを塗布し、更に第1貫通孔
11a〜11c、第2貫通孔21a〜21c、第3貫通
孔31a〜31c及び第4貫通孔41a〜41cの各孔
壁に同一の導電性ペーストを塗布した後、これらを一括
して焼付け、焼結体の周囲側面に外部電極60を、各孔
壁に導体層51a,51b,51cをそれぞれ形成した
(図7)。これにより導体層51a,51b,51cが
それぞれ第1内部導体12a,12c及び第2内部導体
32に、また接地導体23が外部電極60にそれぞれ電
気的に接続された積層貫通型コンデンサアレイが得られ
た。
【0013】この積層貫通型コンデンサアレイの特性を
調べるために、その外部電極60を接地された金属板に
はんだ付けにより接続した。また第1貫通孔11a〜1
1c、第2貫通孔21a〜21c、第3貫通孔31a〜
31c及び第4貫通孔41a〜41cにそれぞれ信号線
路である金属導体L1,L2,L3を挿通し、孔壁に形成
された導体層51a,51b,51cにはんだ付けによ
り接続した。金属導体L1,L2,L3の一端から高周波
信号を入力し、その他端で出力信号を測定し、挿入損失
を求めた。その結果、周波数が高くなるに従って、急峻
に挿入損失が大きくなり、実施例の積層貫通型コンデン
サアレイは良好なフィルタ特性を有することが判った。
また隣接する金属導体L1とL2の各他端で、また金属導
体L2とL3の各他端で出力信号を測定して、クロストー
クの有無を調べたところ、このクロストークは検出でき
ない程小さく、従来の貫通型コンデンサアレイの測定例
と比較して非常に改善されていることが確認された。
【0014】なお、第1セラミックグリーンシートと第
2セラミックグリーンシートと第3セラミックグリーン
シートの積層数は、内部導体と接地導体との間で形成さ
れる所望のキャパシタンスに応じて適宜変更することが
できる。従って第1シートと第2シートと第3シートは
各1枚ずつでもよい。ここでより確実にクロストークを
防止するためには第1内部導体を有する第1セラミック
グリーンシートと第2内部導体を有する第3セラミック
グリーンシートの間には接地導体を有する第2セラミッ
クグリーンシートを挟む必要がある。また、各シートに
あけられる貫通孔の数は3つに限らず、2つ或いは4つ
以上設けてもよい。また一列に限らず、複数列に配置し
てもよい。また、上記例では各貫通孔に通る線路とし
て、信号線路を挙げたが、電源線路、接地線路等の他の
線路に対しても本発明を適用することができる。更に、
最上層の第4セラミック誘電体シートは第3セラミック
誘電体シート上に別の保護手段を設ける場合には、特に
積層しなくてもよい。
【0015】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、信
号伝達のために用いられる信号線路の金属導体を貫通孔
に挿通して、外部電極を接地すると、第1セラミック誘
電体シートの第1内部導体と第2セラミック誘電体シー
トの接地導体との間かつ第3セラミック誘電体シートの
第2内部導体と第2セラミック誘電体シートとの接地導
体との間でキャパシタンスが形成されるため、信号線路
に侵入する高周波ノイズを除去することができ、また従
来の内部導体間のスリットを形成した貫通コンデンサア
レイと比べてより確実に浮遊キャパシタンスを除去し、
隣接する信号線路間相互のクロストークを防止すること
ができる。更に、従来のスリットを形成した貫通コンデ
ンサアレイと比較して、貫通孔の間隔を狭めて、より一
層小型で高密度化でき、強度を低下することなく安価に
製造及び実装することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増田 政美 埼玉県秩父郡横瀬町大字横瀬2270番地 三 菱マテリアル株式会社セラミックス研究所 内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第2セラミック誘電体シート(20)を中間
    シートとして第1セラミック誘電体シート(10)と第3セ
    ラミック誘電体シート(30)とを積層して一体化され、一
    体化された前記第1、第2及び第3セラミック誘電体シ
    ートに線路(L1,L2,L3)がそれぞれ通る3個以上の第1、
    第2及び第3貫通孔(11a,11b,11c,21a,21b,21c,31a,31
    b,31c)がそれぞれ設けられた積層体(50)を含み、 前記第1セラミック誘電体シート(10)は、隣合う前記第
    1貫通孔のいずれか一方のシート表面の前記第1貫通孔
    (11a,11c)周囲に形成されかつ前記線路(L1,L3)に接続さ
    れる第1内部導体(12a,12c)を備え、 前記第2セラミック誘電体シート(20)は、前記第2貫通
    孔とそれぞれ電気的に絶縁される間隔(22a,22b,22c)を
    有しシート表面にその外周部にかけて形成された接地導
    体(23)を備え、 前記第3セラミック誘電体シート(30)は、前記第1貫通
    孔のうち孔周囲に第1内部導体の形成されない第1貫通
    孔(11b)に連通する前記第3貫通孔(31b)の周囲に形成さ
    れかつ前記線路(L2)に接続される第2内部導体(32)を備
    え、 前記第2セラミック誘電体シート(20)を介して前記第1
    内部導体(12a,12c)と前記接地導体(23)との間でかつ前
    記第3セラミック誘電体シート(30)を介して前記第2内
    部導体(32)と前記接地導体(23)との間でそれぞれキャパ
    シタンスを形成するように構成され、 前記積層体(50)の側面に露出した前記接地導体(23)に接
    続する外部電極(60)がこの側面に形成されたことを特徴
    とする積層貫通型コンデンサアレイ。
  2. 【請求項2】 積層体(50)はその最上層にシート表面に
    導体の形成されない第4セラミック誘電体シート(40)が
    積層して一体化され、一体化された第1、第2、第3及
    び第4セラミック誘電体シート(10,20,30,40)に線路
    (L1,L2,L3)がそれぞれ通る複数の第1、第2及び第3貫
    通孔(11a,11b,11c,21a,21b,21c,31a,31b,31c)がそれぞ
    れ設けられた請求項1記載の積層貫通型コンデンサアレ
    イ。
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