JPH06264085A - 磁性流体の製造方法 - Google Patents

磁性流体の製造方法

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JPH06264085A
JPH06264085A JP5077675A JP7767593A JPH06264085A JP H06264085 A JPH06264085 A JP H06264085A JP 5077675 A JP5077675 A JP 5077675A JP 7767593 A JP7767593 A JP 7767593A JP H06264085 A JPH06264085 A JP H06264085A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フェライト類微粒子を低蒸気圧基油中に安定
にかつ高濃度で分散させ、これにより飽和磁化を向上さ
せた磁性流体を製造する。 【構成】 フェライト類微粒子の水性サスペンション
に、フェライトを構成する金属のイオンを添加し、金属
イオンをフェライト類微粒子に吸着させた後、N-ポリア
ルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミドの水
混和性有機溶媒溶液を、N-ポリアルキレンポリアミン置
換アルケニルコハク酸イミドが溶液から分離せず、液相
が均一相を形成し得る割合で添加し、N-ポリアルキレン
ポリアミン置換アルケニルコハク酸イミドをフェライト
類微粒子に吸着させた後、水および水混和性有機溶媒を
留去し、残渣のN-ポリアルキレンポリアミン置換アルケ
ニルコハク酸イミド吸着フェライト類微粒子を、低蒸気
圧基油中に分散させて磁性流体を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性流体の製造方法に
関する。更に詳しくは、低蒸気圧基油中にフェライト類
微粒子を高濃度で安定に分散せしめ、これにより飽和磁
化を向上せしめた磁性流体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライト類微粒子は、粉砕法、共沈
法、蒸着法などによって製造されているが、これらの方
法の中、純度、粒径制御、生産性などの点から、一般に
共沈法が用いられている。ところで、共沈法は、鉄イオ
ンを含む水溶液からの沈殿反応であるため、生成した磁
性微粒子は水溶液中にけん濁した水性サスペンションの
状態で得られる。
【0003】一方、磁性流体用の磁性微粒子は、凝集し
ていることなく、1個1個が分散していることが望まし
い。そのため、共沈法磁性微粒子の場合には、微粒子同
志の固着凝集の危険性を含む乾燥工程を経ることなく、
分散液状態で固着凝集防止用の界面活性剤を微粒子表面
に吸着させることが必要となり、従って水溶性の界面活
性剤が用いられている。
【0004】このように水溶性界面活性剤を吸着させた
磁性微粒子を分散させた磁性流体にあっては、その分散
基油がケロシン、トルエンなどの比較的揮発性に富む溶
媒に限定され、しかるに磁性流体が磁性流体シール、磁
性流体研磨などに用いられる場合には、基油の蒸発は磁
性流体の機能そのものを損う重要な問題としてとらえら
れる。
【0005】磁性流体は、このように一般にフェライト
類微粒子を高級脂肪酸塩、ソルビタンエステルの如き分
散剤を用いて基油中に分散せしめたものである。ところ
が、低蒸気圧の基油中にフェライト類微粒子を単に分散
させようとしても高い分散性が得られず、とても実用に
は供せられない。
【0006】かかる低蒸気圧基油への分散において、か
りに良い分散性が得られたとしても、低蒸気圧基油は一
般の有機溶媒や水が1Cst以下の動粘度(40℃)を示すの
に対し約8〜50Cst(40℃)という高い動粘度を有するた
め、均一なサスペンションの形成に非常な長時間を要す
る。しかも、分散さるべきフェライト類微粒子すべてが
安定なサスペンションを形成する訳ではなく、かなりの
割合のフェライト類微粒子が遠心分離などの精製時にと
り除かれ、効率が非常に悪いという問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】かかる問題点を解決す
るために、本出願人は先に、フェライト類微粒子の水性
サスペンションに、N-ポリアルキレンポリアミン置換ア
ルケニルコハク酸イミドの水混和性有機溶媒溶液を、N-
ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミ
ドが溶液から分離せず、液相が均一相を形成し得る割合
で添加し、N-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニル
コハク酸イミドをフェライト類微粒子に吸着させた後、
水および水混和性有機溶媒を留去し、残渣のN-ポリアル
キレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミド吸着フ
ェライト類微粒子を、25℃において0.1mmHg以下の蒸気
圧を有する低蒸気圧基油中に分散させて磁性流体を製造
する方法を提案している(特願平3-352,058号)。
【0008】本発明の目的は、上記提案のフェライト類
微粒子を低蒸気圧基油中に安定にかつ高濃度で分散させ
た磁性流体を製造する方法において、更に飽和磁化を高
めた磁性流体を製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
フェライト類微粒子の水性サスペンションに、フェライ
トを構成する金属のイオンを添加し、該金属イオンをフ
ェライト類微粒子に吸着させた後、そこにN-ポリアルキ
レンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミドの水混和
性有機溶媒溶液を、N-ポリアルキレンポリアミン置換ア
ルケニルコハク酸イミドが溶液から分離せず、液相が均
一相を形成し得る割合で添加し、N-ポリアルキレンポリ
アミン置換アルケニルコハク酸イミドをフェライト類微
粒子に吸着させた後、水および水混和性有機溶媒を留去
し、残渣のN-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニル
コハク酸イミド吸着フェライト類微粒子を、25℃におい
て0.1mmHg以下の蒸気圧を有する低蒸気圧基油中に分散
せしめて磁性流体を製造することによって達成される。
【0010】フェライト類微粒子としては、純度、粒径
制御、そして何よりも生産性の点において有利である共
沈法によって製造されたものが、水性サスペンションそ
のままの形で用いられる。即ち、共沈法での水性サスペ
ンションの形成は、鉄塩混合物水溶液へのNaOH水溶液の
滴下、熟成、冷却および塩のデカンテーションという一
連の工程を経ることにより行われ、そこに粒径約50〜30
0Å、好ましくは約70〜120Åのフェライト類を約0.1〜5
0重量%、好ましくは約1〜30重量%の濃度で分散させたサ
スペンションが得られる。
【0011】形成されたフェライト類微粒子の水性サス
ペンションには、フェライトを構成する金属であるFe、
Mn、Ni、Zn、Coのイオンが添加される。これらの金属イ
オンは、フェライト類微粒子の磁化特性に影響を及ぼす
可能性の少ないものとして用いられる。
【0012】具体的には、これらの金属の塩化物、硫酸
塩、硝酸塩などが約0.05〜0.5M濃度の水溶液として添加
され、金属イオン濃度として約0.005〜0.05Mになるよう
にする。これらの金属イオンをフェライト類微粒子上に
吸着させるために、ホモジナイザなどによる撹拌が約0.
5〜3時間程度行われ、必要に応じてこの後超音波照射も
行われる。
【0013】金属イオンが微粒子表面上に吸着され、そ
の吸着が完了すると、吸着された金属イオンの反発力に
より、フェライト類微粒子は水中に良好に分散するよう
になる。このとき、加える金属イオンの量が多すぎて
も、また少なすぎても、微粒子が凝集して沈降するよう
になる。そして、最適の濃度は、上述した約0.005〜0.0
5Mである。
【0014】このようにして金属イオンをフェライト類
微粒子上に吸着させた水性サスペンションは、吸着処理
後直ちにN-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコ
ハク酸イミドの水溶性有機溶媒溶液と混合される。
【0015】N-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニ
ルコハク酸イミドとしては、次のようなものが用いられ
る。 R:炭素数12〜24の炭化水素基 分子量約300〜2000のポリブテニル基 R´:炭素数1〜6のアルキレン基 R´が2個以上くり返される時互いに同一または異なり得
る n:1〜5 m:0〜4
【0016】N-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニ
ルコハク酸イミドは、それを水混和性有機溶媒に溶解さ
せた溶液として、フェライト類微粒子の水性サスペンシ
ョンに添加される。水混和性有機溶媒としては、例えば
テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが用いられ、
N-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イ
ミドはこれらの溶媒に約0.01〜5モル、好ましくは約0.1
〜0.5モルの濃度で溶解させた溶液として用いられる。
【0017】これらの水混和性有機溶媒溶液は、フェラ
イト類微粒子の水性サスペンションに添加されたとき、
N-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イ
ミドが溶液から分離せず、液相が均一相を形成し得るよ
うな割合で用いられる。この割合は、N-ポリアルキレン
ポリアミン置換アルケニルコハク酸イミドの濃度や用い
られた水混和性有機溶媒の種類によっても変わり得るの
で、一般的な混合割合の範囲を特定することは概して困
難であるが、例えばN-ポリアルキレンポリアミン置換ア
ルケニルコハク酸イミドが0.1モル濃度のテトラヒドロ
フラン溶液の場合、容積比で水性サスペンションに対し
てテトラヒドロフラン溶液は15倍以上で用いられる。N-
ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミ
ド溶液の濃度がこれより小さくなれば、この上限値は小
さくなり、溶液濃度がこれより大きくなれば、この上限
値は大きくなる。
【0018】混合物を一定時間撹拌した後、磁石上に静
置して上澄液(水および水混和性有機溶媒)を取り除き、
残渣はトルエン-アセトン、トルエン-メタノール、n-ヘ
キサン-アセトン、イソオクタン-アセトンなどの混合溶
媒、一般には等量混合溶媒で洗浄される。このような洗
浄により、磁性流体に調製したときに粘度を増大させた
り、あるいはフェライト類微粒子の分散濃度低下の原因
となる余分のN-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニ
ルコハク酸イミドを除去する。洗浄後は、フェライト類
微粒子は、必要に応じて乾燥させる。
【0019】このようにして得られたN-ポリアルキレン
ポリアミン置換アルケニルコハク酸イミドで被覆された
フェライト類微粒子は、そこに低蒸気圧基油を添加して
分散処理されるが、それの低蒸気圧基油への分散性は良
好な状態となっている。
【0020】低蒸気圧基油としては、25℃において0.1m
mHg以下、好ましくは0.01mmHg以下の蒸気圧を有する液
体、例えば天然油であるホワイトオイル(流動パラフィ
ン)、鉱油、スピンドル油など、あるいは合成油である
高級アルキルベンゼン、高級アルキルナフタレン、ポリ
ブテン(分子量約300〜2000)など、更に酸化防止剤、耐
摩耗剤、油性剤、清浄分散剤などのいわゆる潤滑添加剤
を含んだ潤滑油が、最終的に得られる磁性流体中のフェ
ライト類微粒子の分散濃度が約10〜50重量%となるよう
な割合で用いられる。
【0021】低蒸気圧基油を添加しての分散処理は、常
法での如く、ホモジナイザ、超音波、振動ミルなどの少
なくとも一種を用いて行われる。分散処理後は、遠心分
離あるいは磁場勾配中への静置による精製が行われる。
吸着処理および洗浄後に乾燥工程を経ずに分散処理する
こともでき、その場合には磁性流体の分散濃度や蒸発成
分の制御などの観点から、得られた磁性流体を減圧下で
加熱処理し、低沸点成分を留去することが好ましい。
【0022】
【発明の効果】本発明方法により、フェライト類微粒子
の水性サスペンションに、N-ポリアルキレンポリアミン
置換アルケニルコハク酸イミドの水混和性有機溶媒溶液
を、N-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク
酸イミドが溶液から分離せず、液相が均一相を形成し得
る割合で添加し、N-ポリアルキレンポリアミン置換アル
ケニルコハク酸イミドをフェライト類微粒子に吸着させ
て磁性流体を製造するに際し、フェライト類微粒子の水
性サスペンションに、フェライトを構成する金属のイオ
ンを添加し、このような金属イオンをフェライト類微粒
子に予め吸着させた上で用いると、得られる磁性流体の
飽和磁化を一段と高めることができる。
【0023】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【0024】実施例1 FeCl2・4H2O 184gおよびFeCl3・6H2O 500gを溶解させた水
溶液1850mlに、撹拌しながら6N NaOH水溶液をpHが11に
なる迄滴下し、その後80℃で30分間熟成、冷却し、塩を
デカンテーションで除去して、マグネタイトのサスペン
ション(マグネタイト濃度10重量%)を得た。
【0025】このサスペンション50mlに、0.1M FeCl3
溶液20mlを加える。この溶液(Feイオンとして0.03M)
を、ホモジナイザで60分間処理した後、そこに0.05モル
濃度のポリブテニルコハク酸イミドテトラエチレンペン
タミン-テトラヒドロフラン溶液800mlを加えると、溶解
しているポリブテニルコハク酸イミドテトラエチレンペ
ンタミンは溶液から分離することなく、そこに液相が均
一な混合物が形成された。この混合物を、60℃で60分
間、容量1000mlの邪魔板付セパラブルフラスコ中におい
て70mm径のプロペラを用いて500rpmで撹拌した。その
後、磁石上に60分間静置して上澄液を取り除き、残渣の
マグネタイト微粒子をトルエン-アセトン(1:1)混合溶媒
で5回洗浄して乾燥させた。
【0026】得られたポリブテニルコハク酸イミドテト
ラエチレンペンタミン被覆マグネタイト5.0gに、高級ア
ルキルナフタレン8.0gを加えた後、30時間超音波による
分散処理を行ない、遠心分離(5000G、30分間)して沈降
物を除去し、飽和磁化(15K Oe)280Gの磁性流体を得た。
【0027】実施例2 実施例1記載の方法で得られたマグネタイトのサスペン
ション60mlに、0.05MFe(NO3)3水溶液40mlを加える。こ
の溶液(Feイオンとして0.02M)を、ホモジナイザで60分
間処理し、次いで超音波照射を60分間行った後、そこに
0.15モル濃度のポリブテニルコハク酸イミドテトラエチ
レンペンタミン-ジメチルスルホキシド溶液700mlを加え
ると、ポリブテニルコハク酸イミドテトラエチレンペン
タミンは溶液から分離することなく、そこに液相が均一
な混合物が形成された。この混合物を、70℃で60分間、
実施例1と同様の撹拌条件下で撹拌した。その後、磁石
上に60分間静置して上澄液を取り除き、残渣のマグネタ
イト微粒子をキシレン-アセトン(1:1)混合溶媒で5回洗
浄し、乾燥させた。
【0028】得られたポリブテニルコハク酸イミドテト
ラエチレンペンタミン被覆マグネタイト5.0gに、高級ア
ルキルナフタレン5.0gを加えた後、60時間超音波照射に
よる分散処理を行ない、遠心分離(5000G、30分間)して
沈降物を除去し、飽和磁化435Gの磁性流体を得た。
【0029】比較例1 実施例1において、鉄塩水溶液の添加およびそれに引き
続くホモジナイザ処理を行わなかった。得られた磁性流
体の飽和磁化は260Gであった。
【0030】比較例2 実施例2において、鉄塩水溶液の添加およびそれに引き
続くホモジナイザ処理および超音波処理を行わなかっ
た。得られた磁性流体の飽和磁化は410Gであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 20:00 A 8217−4H 20:06 A 8217−4H 40:14 70:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライト類微粒子の水性サスペンショ
    ンに、フェライトを構成する金属のイオンを添加し、該
    金属イオンをフェライト類微粒子に吸着させた後、そこ
    にN-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸
    イミドの水混和性有機溶媒溶液を、N-ポリアルキレンポ
    リアミン置換アルケニルコハク酸イミドが溶液から分離
    せず、液相が均一相を形成し得る割合で添加し、N-ポリ
    アルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミドを
    フェライト類微粒子に吸着させた後、水および水混和性
    有機溶媒を留去し、残渣のN-ポリアルキレンポリアミン
    置換アルケニルコハク酸イミド吸着フェライト類微粒子
    を、25℃において0.1mmHg以下の蒸気圧を有する低蒸気
    圧基油中に分散せしめることを特徴とする磁性流体の製
    造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6121826A (en) * 1997-12-19 2000-09-19 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Comb filter and method for controlling the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6121826A (en) * 1997-12-19 2000-09-19 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Comb filter and method for controlling the same

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