JPH06264001A - アルミニウム材料の表面に親水性を付与する表面処理 - Google Patents

アルミニウム材料の表面に親水性を付与する表面処理

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JPH06264001A
JPH06264001A JP5055693A JP5055693A JPH06264001A JP H06264001 A JPH06264001 A JP H06264001A JP 5055693 A JP5055693 A JP 5055693A JP 5055693 A JP5055693 A JP 5055693A JP H06264001 A JPH06264001 A JP H06264001A
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hydrophilic
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hydrophilicity
metal surface
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Kaoru Shimada
薫 島田
Yutaka Mochizuki
豊 望月
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Nippon Light Metal Co Ltd
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Nikkei Techno Research Co Ltd
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Al等の金属材料の表面に親水性に優れた皮
膜を形成する。 【構成】 この親水性金属表面処理剤は、水溶性樹脂,
コロイダルシリカ,架橋剤及び水溶性炭酸塩を基本成分
とし、必要に応じ増粘剤によって塗布形態に適した粘度
に調製される。親水性皮膜は、アルミニウム材料の表面
を脱脂し乾燥させた後、親水性金属表面処理剤を塗布
し、加熱乾燥することにより形成される。また、皮膜形
成後に水溶性炭酸塩水溶液又は界面活性剤水溶液でアル
ミニウム材料の表面を処理するとき、更に親水性が向上
する。 【効果】 親水性が高められた金属材料は、凝縮水が大
きな液滴として表面に滞留することを防ぎ、たとえば熱
交換能を上げるため狭間隙で組み立てられるフィン材等
として使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属材料の表面に親水
性を付与する表面処理剤、この表面処理剤を使用した表
面処理方法及び親水性が付与された熱交換器用フィン等
のアルミニウム製品に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料は、用途に応じて水に対して濡
れ性の良好な表面をもつことが要求される。たとえば、
アルミニウム又はアルミニウム合金(以下、これをアル
ミニウム材料で総称する)等を熱交換器のフィン等とし
て使用する場合、フィン表面で大気との間に熱交換が行
われるが、冷房時に大気中の水分がフィン裏面に凝縮す
る。熱交換能力を大きくするためフィン間隙を狭めた熱
交換器にあっては、凝縮した水分が球状となってフィン
間にブリッジを形成する。その結果、フィン間の通風抵
抗が増加し、熱交換能力の低下,騒音の発生,エネルギ
ー消費効率の低下等の欠陥が発生する。フィン間に発生
する凝縮水のブリッジは、フィン表面の親水性を高める
ことによって防止することができる。親水性の高い表面
に付着した水分は、球状に凝集することなく、表面全域
に広がり蒸発する。
【0003】熱交換器以外にも、湿潤雰囲気に配置され
た金属部材の表面に雰囲気中の水分が結露することを防
止する場合,光沢表面が要求される金属部材の曇り止め
をする場合,水に対する濡れ性を向上することによって
金属表面から蒸発する水の量を高める場合等でも、金属
表面に親水性を付与する表面処理が必要とされる。アル
ミニウム材料の表面に親水性を付与する方法として、た
とえばべーマイト化処理,リン酸クロメート処理,親水
性塗料の塗布等が知られている。本出願人等は、クロム
化合物,アクリル酸ポリマー,シリカ及びフッ酸を配合
することによって、親水性を高めると共に耐久性も向上
した表面処理剤を特公昭61−40305号公報で紹介
した。この表面処理剤は、シリカ粉末の添加によって親
水性を向上させ、6価クロムの添加によって耐食性を向
上させている。また、全クロムに対する6価クロムの比
率を規制することにより、皮膜からクロムの溶出を防止
している。
【0004】特公昭61−40305号公報の表面処理
剤を使用するとき、親水性及び耐久性に優れた皮膜を金
属表面に形成することができる。しかも、長期間にわた
り、6価クロム等の有害金属が溶出することがない。し
かし、この表面処理剤は、有害物質である6価クロムを
一成分としていることに問題があり、6価クロムに変わ
る無害で且つ6価クロムと同等の架橋作用を呈する成分
を開発することが望まれる。6価クロムを含まない親水
性表面処理剤として、たとえば特開平2−103133
号公報では、ジルコニウム化合物,チタン化合物,ケイ
素化合物等を使用している。しかし、6価クロムに匹敵
する架橋作用が奏されず、形成された皮膜の耐久性が劣
る。また、金属表面に対する密着性にも問題があり、塗
布方法に工夫を要する。この点に関し、本発明者等は、
バナジウム化合物を6価クロムに変わる架橋剤として使
用するとき、密着性に優れた親水性皮膜が形成されるこ
とを見い出し、特願平4−283887号として出願し
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、熱交換器の
製造ラインにおけるフィン材の切断,絞り,しごき工程
等の一連の機械加工工程では、被加工材であるフィン材
とプレス金型との間に潤滑性を付与し、成形性を向上さ
せるためにプレス油等の潤滑剤が塗布される。プレス油
としては、引火点の高い不揮発性の油が従来から使用さ
れている。プレス油は、熱交換器組立て後にトリクロル
エタン,フロン等の有機溶剤を使用した脱脂によってフ
ィン材表面から除去されていた。しかし、人体や環境に
対する有機溶剤の悪影響を防止する観点から、熱交換器
組立て後に大気中での自然乾燥或いは加熱のみで蒸発揮
散する高揮発性プレスオイルへの転換が進められてい
る。
【0006】ところが、本発明者等の調査・研究による
と、アルカリケイ酸塩,シリカ粉末等で形成された従来
の無機系皮膜は、高揮発性プレス油を塗布して加熱乾燥
する際に所期の親水性能を呈さないことが判った。本発
明は、このような問題を解消すべく案出されたものであ
り、水溶性炭酸塩を皮膜成分として含ませることによ
り、加熱乾燥でプレス油を除去する場合であっても十分
な親水性を呈する皮膜をアルミニウム材料表面に形成す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の親水性金属表面
処理剤は、その目的を達成するため、皮膜形成成分とし
て水溶性樹脂,親水性付与成分としてコロイダルシリ
カ,架橋反応により水溶性樹脂を不溶化する架橋剤及び
pH調整剤として水溶性炭酸塩を含むことを特徴とす
る。また、皮膜の親水性を更に高めるため、親水性金属
表面処理剤をアルミニウム材料の表面に塗布・乾燥させ
た後、更に水溶性炭酸塩又は界面活性剤を塗布乾燥させ
ても良い。水溶性樹脂としては、カルボキシメチルセル
ロース,ヒドロキシエチルセルロース等の多糖類系高分
子化合物及びそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩、ポ
リアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリ
ルアミド、ポリアクリル酸メチル、メタクリル酸及びマ
レイン酸共重合体又はこれらのアルカリ金属塩,アンモ
ニウム塩等のアクリル酸ポリマー,ポリビニルアルコー
ル等が使用できる。
【0008】水溶性樹脂の添加量は、所与の親水性皮膜
を得るため、固形分として1〜20g/lの範囲が適当
である。添加量が1g/lより少ないと、皮膜形成が十
分に行われず、皮膜密着性及び耐食性が不十分になる。
逆に20g/lを超える添加量では、皮膜の親水性に悪
影響が現れる。たとえば、アクリル酸ポリマーを水溶性
樹脂として使用するとき、バナジウム化合物等の架橋剤
と架橋反応を起こし、水に対して不溶性になる。架橋に
よる不溶化を考慮すると、水溶性のアクリル酸ポリマー
は、平均分子量10,000〜300,000をもつも
のが望ましい。水分散型エマルジョンタイプのアクリル
酸ポリマーでは、分子量に関する制約は特にない。アク
リル酸ポリマーの配合量は、ポリマー前駆体が固形分と
して1〜50g/lの範囲になるように設定することが
好ましい。
【0009】架橋剤は、これら水溶性樹脂と架橋反応を
起こして不溶化し、密着性に優れた皮膜を形成する。使
用される架橋剤としては、モリブデン酸アンモニウム,
モリブデン酸ナトリウム,五酸化バナジウム,バナジン
酸アンモニウム,ジルコニウム,塩化マグネシウム等の
化合物がある。架橋剤の添加量は、使用する水溶性樹脂
の種類にもよるが、0.2〜5g/lの範囲が適当であ
る。0.2g/l未満の添加量では、水溶性樹脂の架橋
反応が十分に起こらず、密着性の良い皮膜が形成されな
い。逆に5g/lを超える添加量では、未反応の架橋剤
成分が皮膜に残存し、熱交換器として使用したときに表
面の結露水に溶出する欠点が現れる。
【0010】皮膜に親水性を付与するシリカ源は、無機
ケイ酸塩の超微粒子をコロイド溶液としたシリカゾル
(コロイダルシリカ)が使用される。シリカゾルの添加
量は、SiO2 固形分換算で1〜20g/lの範囲が好
ましい。シリカゾルが1g/l未満では、十分な親水性
が得られない。逆に、20g/lを超える添加量では、
親水性の改良効果が飽和し、また形成される皮膜が硬く
なるため、後続する成型工程において金型の摩耗を促進
させる原因になる。水溶性樹脂,架橋剤及びコロイダル
シリカを配合し、更にpH調整剤として水溶性炭酸塩を
加え、表面処理剤のpHを7〜11に調整する。pH調
整剤としては、種々の無機化合物が使用できるが、発明
者等の研究の結果、溶液の安定性,塗布の容易性,得ら
れた皮膜の親水性等を総合的に考慮すると、水溶性炭酸
塩が最も優れていることが判明した。水溶性炭酸塩とし
ては、炭酸アンモニウム,炭酸水素アンモニウム,炭酸
カリウム,炭酸水素カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸水
素ナトリウム,セスキ炭酸ナトリウム等が使用される。
【0011】水溶性炭酸塩の添加量は、表面処理剤のp
Hが7〜11になる量に設定される。pH7未満では十
分な親水性が発揮されず、pHが11を超えると揮発性
プレスオイル塗布・乾燥後の親水性低下が大きくなる。
本発明で使用する親水性金属表面処理剤は、この他に界
面活性剤及びフッ酸の1種又は2種以上を補助成分とし
て含むことができる。界面活性剤は、皮膜の初期親水性
を向上させる作用を呈する。界面活性剤としては、アル
キルベンゼンスルホン酸ナトリウム,アルキルジフェニ
ルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面
活性剤やフッ素系界面活性剤が使用される。
【0012】また、皮膜が形成された後で、更に水溶性
炭酸塩を塗布・乾燥させるとき、皮膜の親水性が一層向
上する。なお、この場合、水溶性炭酸塩に代えて、界面
活性剤を使用することもできる。形成された皮膜の初期
親水性を向上させるため、適宜の界面活性剤を配合する
こともできる。界面活性剤としては、アルキルベンゼン
スルホン酸ナトリウム,アルキルジフェニルエーテルジ
スルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤やフッ
素系界面活性剤が使用される。
【0013】助剤として含まれるフッ酸又は可溶性フッ
酸塩は、基材表面をエッチングすることによって皮膜の
密着性を向上させると共に、基材金属とバナジウム化合
物との反応生成物を主体とする皮膜に良好な耐食性を付
与する作用を呈する。その詳細なメカニズムは不明であ
るが、フッ酸又は可溶性フッ酸塩がバナジウム化合物と
協動的に基材金属に作用すると共に、シリカ粒子に軽度
の溶解作用を与えアクリル酸ポリマー中にシリカ粒子を
微細に分散させ、緻密で耐久性及び耐食性に優れた親水
性皮膜を形成するものと推察される。使用可能な可溶性
フッ酸塩としては、フッ化ケイ素,フッ化硼素,フッ化
チタニウム,フッ化ジルコニウム,フッ化亜鉛等があ
る。フッ化物に由来するF- イオンが0.1g/l未満
であると、アルミ表面のエッチング量が不足し密着性の
向上がみられず、逆に5g/lを超えると金属表面がエ
ッチング過多になりやすい。
【0014】本発明の親水性金属表面処理剤は、塗布形
態に応じて適当な粘度に調製するため、ヒドロキシエチ
ルセルロース,カルボキシメチルセルロース等のナトリ
ウム塩,カリウム塩,アンモニウム塩等の増粘剤を含む
ことができる。水溶性樹脂として使用されるカルボキシ
メチルセルロースも、増粘剤としての作用を呈する。更
には、イソプロピルアルコール,エチルセルソルブ等の
有機溶剤を適宜添加しても良い。親水性表面処理剤に含
まれる親水性樹脂,増粘剤等に、カビが発生する場合が
ある。このような場合には、パラヒドロキシ安息香酸ブ
チル等の防カビ剤を添加することが好ましい。防カビ剤
は、その種類にもよるが、たとえばパラヒドロキシ安息
香酸ブチルでは0.1〜1重量%の範囲で添加される。
これら各成分を水,脱イオン水,純水等に添加し、表面
処理剤を調製する。金属表面に対する塗布量は、好まし
くは乾燥後に付着量250mg/m2 以上の皮膜が形成
される量に設定される。塗布手段としては、ロール塗
り,ハケ塗り,浸漬法,スプレー等が採用される。
【0015】親水性金属表面処理剤が塗布された金属表
面は、温度50〜260℃,好ましくは180〜250
℃の温度に20秒〜30分保持することにより乾燥す
る。180〜250℃の温度範囲で乾燥温度を高く設定
すると、短時間で乾燥を完了させることができる。たと
えば、乾燥温度が180℃以上の高温では、20〜60
秒の短い乾燥時間でよい。しかし、260℃を超える乾
燥温度では、高温化に見合った効果が得られず、却って
基体金属の材料強度を低下させる等の悪影響が生じる。
また、加熱装置を使用することなく、自然乾燥或いは温
風乾燥で金属表面を乾燥させることも可能である。
【0016】乾燥が不十分な場合、金属表面に塗布され
た親水性金属表面処理剤の皮膜化が不十分且つ不均一に
なる。その結果、所望の性能が発揮されない皮膜が形成
される。そこで、乾燥温度にもよるが、20秒以上の乾
燥処理を金属表面に施す。しかし、30分を超える乾燥
時間では作業効率の低下を招くため、温度を高めに設定
し、乾燥時間の短縮化を図る。乾燥後の金属表面に、親
水性皮膜が形成される。親水性皮膜の付着量は、親水
性,耐食性,耐久性等について所与の特性を得る上から
250mg/m2 以上であることが好ましい。付着量が
250mg/m2 未満であると、金属表面に十分な親水
性が付与されない。また、形成された親水性皮膜が島状
になり易く、金属表面に対する密着性も低下する。
【0017】形成された親水性皮膜に更に水溶性炭酸
塩,界面活性剤等を塗布し、乾燥させても良い。この後
処理によって、皮膜の親水性が更に向上する。特に水溶
性炭酸塩の添加量が少なく中性付近の表面処理剤から生
成した皮膜では、揮発性のプレス油塗布後にプレス油の
種類によって親水性が著しく低下することがある。この
ような場合、塗布・乾燥によって形成された皮膜に水溶
性炭酸塩の希薄水溶液又は界面活性剤溶液を塗布し、必
要に応じて120℃程度に加熱して水分を蒸発させて乾
燥させることにより、親水性を改良することができる。
このとき使用する水溶性炭酸塩水溶液の濃度は0.2〜
1.0%の範囲に、界面活性剤水溶液の濃度は0.05
〜0.2の範囲にあることが好ましい。界面活性剤とし
ては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム,アルキ
ルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアニ
オン系界面活性剤やフッ素系界面活性剤が使用される。
【0018】
【実施例】
実施例1:表1は、本発明に従った親水性金属表面処理
剤の配合例を示し、表2は比較のために調製した表面処
理剤の配合例を示す。何れの例においても、水溶性樹脂
としてポリアクリル酸、架橋剤としてバナジン酸アンモ
ニウム、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを使
用した。また、水溶性炭酸塩としては、試験番号1〜4
及び8〜10の配合例では炭酸カリウムを、試験番号5
及び6の配合例では炭酸ナトリウムを、試験番号7の配
合例では炭酸水素ナトリウムを、試験番号12の配合例
では水酸化ナトリウムを使用した。試験番号11の配合
例では、水溶性炭酸塩の添加によるpH調整は行わなか
った。
【表1】
【表2】
【0019】調製された親水性皮膜形成用溶液を厚み
0.10mmのアルミニウム合金箔AA3102に塗布
し、240℃に30秒間保持することにより乾燥させ
た。このとき、乾燥後の親水性皮膜の付着量が250m
g/m2 となるように塗布量を調整した。冷却後に、親
水性皮膜が形成されたアルミニウム合金箔上に水滴10
μlを載せ、1分後の水滴の直径を測定することにより
初期親水性を調査した。次いで、ポリエステル系のプレ
ス油を塗布し120℃で10分間乾燥させた後で、同様
に滴下した水滴に拡がりで親水性を調査した。更に、水
道水に7時間浸漬し室内に17時間放置する乾湿サイク
ルを10回繰り返した後で、親水性を調査した。この親
水性試験において、直径8mm以上の範囲に水滴が広が
るものは、従来の親水性金属表面剤に比較して濡れ性、
すなわち親水性が良好なものである。
【0020】調査結果を示す表3から明らかなように、
本発明に従った試験番号1〜7では何れの親水性試験に
おいても直径8mm以上の範囲に水滴が拡がっており、
優れた親水性が付与されていることが判る。これに対
し、水溶性樹脂の配合割合が多すぎる試験番号8では、
表4に示すように所定の初期親水性が得られるものの、
プレス油塗布後及び乾湿サイクル後の親水性が劣ってい
た。表面処理溶液のpHが低い試験番号9,11及びコ
ロイダルシリカの配合量が少ない試験番号10では、何
れの親水性も低い値を示した。また、pH調整剤として
水酸化ナトリウムを使用した試験番号12では、pHが
12.1と高く、コロイダルシリカがゲル化し、塗布が
困難になった。また、得られた皮膜の親水性も低い値を
示した。
【表3】
【表4】
【0021】実施例2:ポリアクリル酸3g/l,コロ
イダルシリカ8g/l,バナジン酸アンモニウム1g/
l,炭酸カリウム3g/l及びカルボキシメチルセルロ
ースを配合したpH7の表面処理剤を、実施例1と同様
にアルミニウム合金箔の表面に塗布,乾燥させ、親水性
皮膜を形成した。次いで、表5に示す炭酸カリウム水溶
液或いはフッ素系界面活性剤水溶液をスプレーした。こ
のように二段処理で形成された皮膜について、実施例1
と同様に初期親水性,プレス油塗布後の親水性及び乾湿
サイクル後の親水性を調査した。
【表5】
【0022】表5から明らかなように、試験番号13〜
16の皮膜は、同じ表面処理剤で形成した試験番号1の
皮膜に比較して、初期,プレス油塗布後及び乾湿サイク
ル後の何れにおいても親水性が向上していることが判
る。
【0023】実施例3:ポリアクリル酸0.3重量%,
コロイダルシリカ0.8重量%,カルボキシメチルセル
ロース0.15重量%,バナジン酸アンモニウム0.1
重量%及び炭酸カリウム0.5重量%を水に溶解した溶
液に、防カビ剤として各種濃度でパラヒドロキシ安息香
酸ブチルを添加し、実施例1と同様にアルミニウム合金
箔の表面に親水性皮膜を形成した。得られた皮膜の耐食
性及び皮膜密着性を調査したところ、防カビ剤の添加に
よって親水性,耐食性及び皮膜密着性が低下しないこと
が確認された。
【0024】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、pH調整剤として水溶性炭酸塩を配合した親水性金
属表面処理剤を調製することにより、溶液としての安定
性が改善され、親水性に優れた皮膜をAl等の金属表面
に形成することができる。使用される親水性金属表面処
理剤は、6価クロム等の有害金属を含んでいないため、
環境に悪影響を及ぼすことがない。また、親水性が付与
された金属材料を、たとえば熱交換器のフィン等として
使用するとき、凝縮した水分がフィン表面で球状に溜る
ことによって通風抵抗を増加させることがなく、熱交換
能力を初期の高い状態に維持することが可能となる。ま
た、親水性金属表面処理剤で処理された金属材料は、そ
の優れた表面性状,親水性,耐久性等を活かし、フィン
以外のたとえば水回り構造材としても使用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 201/00 PDC 7415−4J F28F 1/12 G 9141−3L

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性樹脂,コロイダルシリカ,水溶性
    炭酸塩及び架橋剤を有効成分として含む親水性金属表面
    処理剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の成分に加え、更にカルボ
    キシメチルセルロースのナトリウム塩,カリウム塩,ア
    ンモニウム塩,ヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤
    が添加された親水性金属表面処理剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の成分に加え、更に
    防カビ剤を添加した親水性金属表面処理剤。
  4. 【請求項4】 炭酸アンモニウム,炭酸水素アンモニウ
    ム,炭酸カリウム,炭酸水素カリウム,炭酸ナトリウ
    ム,炭酸水素ナトリウム及びセスキ炭酸ナトリウムから
    選ばれた1種又は2種以上を請求項1記載の水溶性炭酸
    塩として含む親水性金属表面処理剤。
  5. 【請求項5】 界面活性剤及びフッ酸の1種又は2種以
    上を補助成分として含む請求項1〜4の何れかに記載の
    親水性金属表面処理剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載の親水性金
    属表面処理剤をアルミニウム材料に塗布し、乾燥させる
    ことにより親水性皮膜を形成させるアルミニウム材料の
    表面処理方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の親水性皮膜を形成させた
    後、更に水溶性炭酸塩溶液を塗布し乾燥させるアルミニ
    ウム材料の表面処理方法。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の親水性皮膜を形成させた
    後、更に界面活性剤溶液を塗布し乾燥させるアルミニウ
    ム材料の表面処理方法。
  9. 【請求項9】 請求項6〜8の何れかの方法により、付
    着量250mg/m2 以上の付着量で形成された親水性
    皮膜を有するアルミニウム製品。
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