JPH06116527A - アルミニウム材料の表面に親水性を付与する表面処理 - Google Patents

アルミニウム材料の表面に親水性を付与する表面処理

Info

Publication number
JPH06116527A
JPH06116527A JP29388792A JP29388792A JPH06116527A JP H06116527 A JPH06116527 A JP H06116527A JP 29388792 A JP29388792 A JP 29388792A JP 29388792 A JP29388792 A JP 29388792A JP H06116527 A JPH06116527 A JP H06116527A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal surface
treating agent
hydrophilic metal
hydrophilicity
surface treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29388792A
Other languages
English (en)
Inventor
Yutaka Mochizuki
豊 望月
Kaoru Shimada
薫 島田
Shoichi Anada
敞一 穴田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikkei Techno Research Co Ltd
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nikkei Techno Research Co Ltd
Nippon Light Metal Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikkei Techno Research Co Ltd, Nippon Light Metal Co Ltd filed Critical Nikkei Techno Research Co Ltd
Priority to JP29388792A priority Critical patent/JPH06116527A/ja
Publication of JPH06116527A publication Critical patent/JPH06116527A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属材料の表面に親水性を付与する塗膜を形
成するため、有害な6価クロムを含まない表面処理剤を
提供する。 【構成】 この親水性金属表面処理剤は、皮膜形成成分
としてアクリル酸ポリマー,架橋剤としてバナジウム化
合物及び親水性付与成分としてシリカ源を含んでいる。
好ましい配合割合は、バナジウム化合物をV換算で1〜
10g/l,アクリル酸ポリマーを固形分として1〜5
0g/l,シリカ源をSiO2 換算で1〜50g/l及
びフッ化物をF- 換算で0.1〜5g/lである。親水
性塗膜は、アルミニウム材料の表面を脱脂し乾燥させた
後、親水性金属表面処理剤を塗布し、加熱乾燥すること
により形成される。 【効果】 金属材料の表面に形成された塗膜は、親水
性,耐食性,密着性,耐久性等に優れ、熱交換能を上げ
る狭間隙でフィンを組み立てるときの親水性表面皮膜と
して有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属材料の表面に親水
性を付与する表面処理剤、この表面処理剤を使用した表
面処理方法及び親水性が付与されたアルミニウム製品に
関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料は、用途に応じて水に対して濡
れ性の良好な表面をもつことが要求されることがある。
たとえば、アルミニウム又はアルミニウム合金(以下、
これをアルミニウム材料で総称する)等を熱交換器のフ
ィン等として使用する場合、フィン表面で大気との間に
熱交換が行われるが、冷房時に大気中の水分がフィン裏
面に凝縮する。
【0003】熱交換能力を大きくするためフィン間隙を
狭めた熱交換器にあっては、凝縮した水分が球状となっ
てフィン間にブリッジを形成する。その結果、フィン間
の通風抵抗が増加し、熱交換能力の低下,騒音の発生,
エネルギー消費効率の低下等の欠陥が発生する。フィン
間に発生する凝縮水のブリッジは、フィン表面の親水性
を高めることによって防止することができる。親水性の
高い表面に付着した水分は、球状に凝集することなく、
表面全域に広がり蒸発する。
【0004】熱交換器以外にも、湿潤雰囲気に配置され
た金属部材の表面に雰囲気中の水分が結露することを防
止する場合,光沢表面が要求される金属部材の曇り止め
をする場合,水に対する濡れ性を向上することによって
金属表面から蒸発する水の量を高める場合等でも、金属
表面に親水性を付与する表面処理が必要とされる。
【0005】たとえば、アルミニウム材料の表面に親水
性を付与する方法として、べーマイト化処理,リン酸ク
ロメート処理,親水性塗料の塗布等が知られている。本
出願人等も、クロム化合物,アクリル酸ポリマー,シリ
カ及びフッ酸を配合することによって、親水性を高める
と共に耐久性も向上した表面処理剤を特公昭61−40
305号公報で紹介した。この表面処理剤は、シリカ粉
末の添加によって親水性を向上させ、6価クロムの添加
によって耐食性を向上させている。また、全クロムに対
する6価クロムの比率を規制することにより、皮膜から
クロムの溶出を防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特公昭61−4030
5号公報の表面処理剤を使用するとき、親水性及び耐久
性に優れた皮膜を金属表面に形成することができる。し
かも、長期間にわたり、6価クロム等の有害金属が溶出
することがない。しかし、この表面処理剤は、有害物質
である6価クロムを一成分としていることに問題があ
り、6価クロムに変わる無害で且つ6価クロムと同等の
架橋作用を呈する成分を開発することが望まれる。
【0007】6価クロムを含まない親水性表面処理剤と
して、たとえば特開平2−103133号公報では、ジ
ルコニウム化合物,チタン化合物,ケイ素化合物等を使
用している。しかし、6価クロムに匹敵する架橋作用が
奏されず、形成された皮膜の耐久性が劣る。また、金属
表面に対する密着性にも問題があり、塗布方法に工夫を
要する。
【0008】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、6価クロムに替えてバナジウム化
合物を使用することにより、耐食性,耐久性,施工性等
に優れ、環境に対して無害な親水性皮膜を金属表面に形
成することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の親水性金属表面
処理剤は、その目的を達成するため、皮膜形成成分とし
てアクリル酸ポリマー,架橋剤としてバナジウム化合物
及び親水性付与成分としてシリカ源を含むことを特徴と
する。
【0010】バナジウム化合物は、ポリアクリル酸と架
橋反応し、防食作用を呈する密着性に優れた皮膜を金属
表面に形成する成分である。使用可能なバナジウム化合
物には、代表的なものにバナジン酸アンモニウム及び五
酸化バナジウムがある。また、金属バナジウムを硝酸,
フッ酸,フッ化水素酸等の酸液に溶解し、過剰の酸を揮
散させたものや、オキシ塩化バナジル,塩化バナジル,
バナジン酸カリウム,バナジン酸ナトリウム等を使用す
ることもできる。
【0011】皮膜に親水性を付与するシリカ源は、シリ
カ粉末及び/又はケイ酸塩の状態で使用される。シリカ
には、たとえば無水シリカ,コロイダルシリカ,ヒュー
ムドシリカ,アモルファスシリカ等がある。ケイ酸塩に
は、珪酸ナトリウム,珪酸カリウム,ケイ酸のアルカリ
土類金属塩,ケイ酸アルミニウム等がある。シリカ源
は、粉末として添加する場合、一次粒子及び二次粒子共
に50%以上が1μm以下の微粒として使用することが
好ましい。アクリル酸ポリマーとしては、水溶性又は水
分散性のポリアクリル酸又はそのエステルが使用され
る。たとえば、アクリル酸,アクリル酸メチル,アクリ
ル酸エチル,アクリル酸イソプロピル,アクリル酸n−
ブチル,アクリル酸2−エチル,メタクリル酸,メタク
リル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸イソ
プロピル,メタクリル酸n−ブチル,メタクリル酸イソ
ブチル,マレイン酸,イタコン酸等がある。
【0012】アクリル酸ポリマーは、バナジウム化合物
と架橋反応を起こし、水に対して不溶性になる。そのた
め、水溶性のアクリル酸ポリマーでは、平均分子量1
0,000〜300,000をもつものが望ましい。水
分散型エマルジョンタイプのアクリル酸ポリマーでは、
分子量に関する制約は特にない。
【0013】助剤として含まれるフッ酸又は可溶性フッ
酸塩は、基材表面をエッチングすることによって皮膜の
密着性を向上させると共に、基材金属とバナジウム化合
物との反応生成物を主体とする皮膜に良好な耐食性を付
与する作用を呈する。その詳細なメカニズムは不明であ
るが、フッ酸又は可溶性フッ酸塩がバナジウム化合物と
協動的に基材金属に作用すると共に、シリカ粒子に軽度
の溶解作用を与えアクリル酸ポリマー中にシリカ粒子を
微細に分散させ、緻密で耐久性及び耐食性に優れた親水
性皮膜を形成するものと推察される。使用可能な可溶性
フッ酸塩としては、フッ化ケイ素,フッ化硼素,フッ化
チタニウム,フッ化ジルコニウム,フッ化亜鉛等があ
る。
【0014】本発明の親水性金属表面処理剤は、好まし
くはバナジウム化合物をV換算で1〜10g/l,アク
リル酸ポリマー前駆体を固形分として1〜50g/l,
シリカ源をSiO2 換算で1〜50g/l及びフッ化物
をF- 換算で0.1〜5g/l含有する。各成分が水,
脱イオン水,純水等に添加され、表面処理剤に調製され
る。
【0015】バナジウム化合物の含有量が1g/lより
少ないと架橋反応が十分に進行せず、形成された皮膜の
耐食性が劣る。バナジウム化合物の添加作用は、10g
/l程度で飽和し、それ以上添加しても増量に見合った
効果が得られない。アクリル酸ポリマーの固形分(樹脂
部)が1g/lより少ないと耐食性に寄与する皮膜が十
分に形成されず、逆に50g/lを超える添加量では皮
膜の親水性が低下する。シリカ源は、SiO2 換算で1
g/lより少ないと親水性の改善が不十分である。逆に
50g/lを超える含有量では、形成された皮膜が硬く
なり、後続する成形工程等で金型の摩耗を促進させる原
因となる。フッ化物に由来するF- イオンが0.1g/
l未満であると、アルミ表面のエッチング量が不足し密
着性の向上がみられず、逆に5g/lを超えると金属表
面がエッチング過多になりやすい。
【0016】この基本組成にカルボキシメチルセルロー
スナトリウム(CMC)等の増粘剤を必要に応じて添加
し、表面処理剤を塗布形態に適した粘度に調整しても良
い。また、形成された塗膜の初期親水性を向上させるた
め、適宜の界面活性剤を配合することもできる。界面活
性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム,アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウ
ム等のアニオン系界面活性剤やフッ素系界面活性剤が使
用される。金属表面に対する塗布量は、好ましくは乾燥
後に付着量250mg/m2 以上の塗膜が形成される量
に設定される。塗布手段としては、ロール塗り,ハケ塗
り,浸漬法,スプレー等が採用される。
【0017】親水性金属表面処理剤が塗布された金属表
面は、温度50〜260℃,好ましくは180〜250
℃の温度に20秒〜30分保持することによって乾燥す
る。この温度範囲で乾燥温度を高く設定すると、短時間
で乾燥を完了させることができる。たとえば、乾燥温度
が180℃以上の高温では、20〜60秒の短い乾燥時
間でよい。
【0018】室温の風乾を採用することもできるが、金
属表面が完全に乾燥するまでに長時間を要し、作業性が
悪い。また、ライン中における自然乾燥を採用すると、
乾燥機自体が不要になるものの、長い乾燥ゾーンが必要
になる。この点で、乾燥温度を50℃以上にすることが
好ましい。しかし、260℃を超える乾燥温度では、高
温化に見合った効果が得られず、却って基体金属の材料
強度を低下させる等の悪影響が生じる。
【0019】乾燥が不十分な場合、金属表面に塗布され
た親水性金属表面処理剤の皮膜化が不十分且つ不均一に
なる。その結果、所望の性能が発揮されない皮膜が形成
される。そこで、乾燥温度にもよるが、20秒以上の乾
燥処理を金属表面に施す。しかし、30分を超える乾燥
時間では作業効率の低下を招くため、温度を高めに設定
し、乾燥時間の短縮化を図る。
【0020】乾燥後の金属表面に、親水性塗膜が形成さ
れる。親水性塗膜の付着量は、親水性,耐食性,耐久性
等について所与の特性を得る上から250mg/m2
上であることが好ましい。付着量が250mg/m2
満であると、金属表面に十分な親水性が付与されない。
また、形成された親水性塗膜が島状になり易く、金属表
面に対する密着性も低下する。
【0021】
【作 用】本発明の親水性金属表面処理剤に含まれるバ
ナジウム化合物は、アルミニウムが水と反応してアルミ
ニウム水和酸化物になることを抑制し、基材の耐食性を
向上させる。更に、アクリル酸ポリマー中のカルボキシ
ル基と架橋反応し、水に対して不溶な樹脂皮膜を生成す
る作用を呈する。このバナジウム化合物の作用は、6価
クロムに匹敵し、しかも有害な溶出物を生じることがな
い。また、助剤として添加されるフッ化物は、アルミニ
ウム基材に作用して基材と皮膜との界面にフッ化アルミ
ニウム,珪フッ化アルミニウム等の境界層を形成する。
この境界層は、皮膜の密着性及びアルミニウム基材の耐
食性を向上させる。更に、フッ化物により軽度の溶解作
用がシリカ源に付与され、シリカ化合物表面を活性化し
て、樹脂皮膜との結合力及び親水耐久性を高める。
【0022】
【実施例】本発明に従った親水性金属表面処理剤に要求
される主な特性は、金属表面に対する密着性,防食作用
及び親水性付与作用である。そこで、これらの特性につ
いて調査した。
【0023】−金属表面に対する密着性及び防食作用− 厚み0.10mmのアルミニウム合金箔AA3102
に、次の4種類の溶液を塗布し、風乾或いは240℃に
30秒加熱する乾燥を行った。 ポリアクリル酸のみの溶液 ポリアクリル酸+シリカ粉末の溶液 ポリアクリル酸+シリカ粉末+フッ酸の溶液 ポリアクリル酸+シリカ粉末+フッ酸+バナジン酸
アンモニウムの溶液
【0024】次いで、各塗膜を純水に浸漬し、0.5時
間浸漬後の塗膜付着量を計量することにより、密着性を
調査した。また、沸騰水に0.5時間浸漬した後、各試
験片の重量を測定することにより、アルミニウム水和酸
化物(ベーマイト)の生成量を調査した。調査結果を示
す表1において、純水浸漬後の塗膜量が大きいことは、
形成された塗膜の密着性が良好であることを意味する。
また、沸騰水浸漬後の重量増加が大きいことは、金属表
面から塗膜が剥れ、多量のベーマイトが生成したこと、
すなわち耐食性に劣ることを意味する。
【0025】
【表1】
【0026】表1の試験番号A7に示されているよう
に、バナジン酸アンモニウムを含む表面処理剤は、アル
ミニウム表面に塗布した後、風乾だけの乾燥によっても
水に対して不溶な皮膜を形成することが判る。また、沸
騰水に30分間浸漬してアルミニウム水和酸化物を生成
させる耐食性試験でも、バナジン酸アンモニウムを含有
する試験番号A7及びA8の塗膜は、試験番号A1〜A
6の塗膜に比較して極めて重量増加が少なく、アルミニ
ウム水和酸化物の生成が抑制されていた。このことは、
バナジン酸アンモニウムの配合によって、塗膜の密着
性,耐久性及び耐食性が改善されていることを示す。更
に、沸騰水浸漬後の試験片表面を観察したところ、試験
番号A1〜A6の試験片では表面が黒変化していたのに
対し、試験番号A7及びA8の試験片では沸騰水浸漬前
とほとんど変わらない表面状態を呈していた。
【0027】−アルミニウム表面に対する防食効果− バナジン酸塩を含有する表面処理剤は、表1の結果から
みても、アルミニウムに対する防食作用に優れ、アルミ
ニウム表面の黒変化を抑制し、且つ密着性に優れた皮膜
を形成することが判る。ここでは、更に水道水と接触す
る雰囲気におけるアルミニウム材料の変化に与えるバナ
ジウム塩の影響を調査した。試験は、各種バナジウム塩
をppmレベルで含有させた水道水にアルミニウム試験
片AA3102を浸漬し、30分間沸騰させた後、アル
ミニウム表面の黒変化を測定することによって行った。
黒変化は、水道水のみに試験片を浸漬して沸騰させた場
合の黒化度を1点とし、沸騰水に30分間浸漬した後で
も初期のアルミニウム光沢を保っている状態を10点と
して相対評価した。黒化度が大きいものほど、耐食性が
良好であることを意味する。調査結果を表2に示す。な
お、表2においては、水道水に重クロム酸カリウムを添
加したものを比較例として掲げた。
【0028】
【表2】
【0029】表2から明らかなように、水道水中にバナ
ジウムイオンを共存させるとき、6価クロムを含有する
水道水に匹敵するべーマイト生成に対する抑制力が働い
ていることが判る。すなわち、微量のバナジウムイオン
を添加することによって、アルミニウムに対する防食作
用が得られている。なお、防食作用は、バナジウムイオ
ンの濃度4.4ppm以上で顕著に発現した。
【0030】−親水性及び耐食性に与えるバナジウム化
合物の影響− 表1に示した試験番号A7及びA8のアクリル酸ポリマ
ー+シリカ粉末+フッ酸+バナジン酸アンモニウムの組
成を基本として、各成分の含有量及び塗膜付着量を変化
させた。また、バナジン酸アンモニウムに替わる他のバ
ナジン酸塩やケイ酸塩を使用した。
【0031】調製した各表面処理剤を、予め脱脂したア
ルミニウム合金AA3102の箔に塗布した。表3にお
ける試験番号B1〜B5では表面処理剤をロールコータ
又はバーコータで塗布し、試験番号B6では表面処理剤
浴中に試験片を瞬時浸漬して引き上げる浸漬法を採用し
た。実際に熱交換器フィンに親水性を付与させるには、
コイル状に巻いたアルミニウム箔に予め親水性表面処理
剤を塗布するプレコート法,熱交換器を組み立てた後で
親水性表面処理剤の浴中に浸漬するポストコート法があ
るが、試験番号B6の塗布方法は後者に属する。
【0032】表面処理剤を塗布した試験片を240℃に
30秒間保持して、試験片表面に加熱乾燥した。乾燥後
の塗膜について、親水性及び耐食性試験を行った。 親水性試験:塗膜形成直後の表面に10μlの純水を滴
下し、1分後に塗膜表面に存在している水滴の直径を測
定し、その直径(mm)で初期親水性を表した。また、
塗膜が形成された試験片を7時間流水に浸漬した後で1
7時間室内で風乾することを1サイクルとし、このサイ
クルを10回繰り返した後の試験片について、同様に純
水を滴下して水滴の直径を測定し、10サイクル後の親
水性を調査した。この親水性試験で水滴の直径が10m
mを超えるものは、親水性が良好であると判定される。
【0033】耐食性試験:JIS Z2371に準じた
塩水噴霧試験及びJIS H4001に準じた湿潤試験
をそれぞれ500時間行った後、各試験片の表面状態を
観察した。表面状態の変化に基づき耐食性を判定し、試
験前とほとんど変わらない表面状態を維持しているもの
を◎,塗膜面に流れ模様が観察されたものを○,全面に
アルミニウム水和酸化物が生成し白濁した表面状態を呈
したものを×と評価した。
【0034】
【表3】
【0035】表3に示されているように、試験番号B5
及びB6の試験片は、親水性及び耐食性の双方共に満足
する特性をもっている。このことから、必要とする特性
をもった塗膜を形成するためには、付着量を250mg
/m2 以上にすることが必要であると推察される。
【0036】表3に掲げた表面処理剤は、何れも3〜5
センチポイズ程度の粘度をもっており、水とほぼ同等の
低粘性液体である。粘度が低い表面処理剤は、ポストコ
ート法では塗布に際して支障をきたすことがないが、プ
レコート法では粘度不足のために塗布ができない場合が
ある。このような場合、増粘剤としてカルボキシメチル
セルロースナトリウム(CMC)を3〜5g/l添加す
ることにより、表面処理剤の粘度を上昇させる。
【0037】或いは、ポリアクリル酸に替えてポリアク
リル酸ナトリウム+ポリアクリル酸の組合せを採用する
ことによって、表面処理剤を適当な粘度に調節すること
もできる。また、界面活性剤の添加によって、初期親水
性を向上させることもできる。たとえば、試験番号B5
及びB6の表面処理剤にフッ素系界面活性剤である商品
名フロラードFC95(住友スリーエム社)を0.1g
/l添加したとき、初期親水性は10mmから13mm
に上昇した。
【0038】−他のバナジウム化合物を含む表面処理剤
− 各成分を種々変更した表面処理剤をアルミニウム合金A
A3102の箔に塗布し、同様に加熱乾燥した。形成さ
れた塗膜について、表3と同様に親水性試験及び耐食性
試験を行った。試験結果を表4に示す。なお、五酸化バ
ナジウムを使用した試験番号C1〜C3では、五酸化バ
ナジウムが水に難溶でありそのままでは使用できない
が、希過酸化水素水に溶解することを利用し、表面処理
剤溶液を調製した。すなわち、五酸化バナジウム5gを
水500mlに懸濁させた後、30%H22 溶液30
mlを加え、常温で撹拌することにより五酸化バナジウ
ムを溶解させた。調製された表面処理溶液は、pH1.
9で橙色を呈していた。
【0039】
【表4】
【0040】表4に示されているように、モリブデン酸
塩を使用した試験番号C4及びC5の試験片では、初期
親水性及び塩水噴霧後の耐食性の何れにも劣っていた。
シリカ粉末に替えてアルミナ粉末を使用した試験番号C
3の試験片では、耐食性は満足されるものの、親水性に
劣っていた。これに対し、五酸化バナジウムを使用した
試験番号C1,C2の試験片では、何れも親水性に優
れ、バナジウム酸アンモニウムに匹敵する良好な耐食性
を呈した。
【0041】−シリカ源による影響− シリカ源として、シリカ粉末の他に、コロイダルシリカ
及び珪酸ナトリウムを使用し、同様に表面処理剤を調製
した。得られた表面処理剤をアルミニウム合金AA31
02の箔に塗布し、加熱乾燥した。塗膜が形成された試
験片の物性を、表5に示す。
【0042】
【表5】
【0043】表5に掲げた表面処理剤は、プレコート用
に使用するため、CMCを添加して粘度を調整した。表
5から明らかなように、シリカ(SiO2 )換算で同量
のシリカ源を使用した場合、シリカ粉末を含む表面処理
剤を使用した試験番号E1が親水性に最も優れた塗膜を
形成している。
【0044】−総 合 評 価− 表6に示す配合割合で各種表面処理剤を調製した。乾燥
後の膜厚が0.5μmとなる量で、各表面処理剤を厚み
0.10mmのアルミニウム合金箔AA3102に塗布
し、240℃に30秒間加熱して乾燥を行った。試験片
表面に形成された塗膜の物性を調査したところ、表6に
示すように何れも優れた親水性,耐食性及び塗膜密着性
を呈していた。これに対し、本発明で規定した範囲を外
れる割合で各成分を配合した表面処理剤にあっては、表
7に示すように親水性,耐食性及び塗膜密着性の何れか
が劣り、全てに満足する物性を備えた塗膜が得られなか
った。
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、バナジウム化合物を架橋剤として使用することによ
って、アルミニウム材料等の金属表面に対して親水性,
耐食性,密着性,耐久性等に優れた塗膜を形成してい
る。使用される親水性金属表面処理剤は、6価クロム等
の有害金属を含んでいないため、環境に悪影響を及ぼす
ことがない。また、親水性が付与された金属材料を、た
とえば熱交換器のフィン等として使用するとき、凝縮し
た水分がフィン表面で球状に溜ることによって通風抵抗
を増加させることがなく、熱交換能力を初期の高い状態
に維持することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F28F 1/10 9141−3L (72)発明者 穴田 敞一 東京都港区三田3丁目13番12号 日本軽金 属株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 皮膜形成成分としてアクリル酸ポリマ
    ー,架橋剤としてバナジウム化合物及び親水性付与成分
    としてシリカ源を含むことを特徴とする親水性金属表面
    処理剤。
  2. 【請求項2】 バナジン酸アンモニウム,5酸化バナジ
    ウム,金属バナジウムを溶解させた無機酸溶液から選ば
    れた1種又は2種以上の化合物をバナジウム化合物とし
    て使用する請求項1記載の親水性金属表面処理剤。
  3. 【請求項3】 超微粒子状無水シリカ,コロイダルシリ
    カ,アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれた1種又は2種以
    上をシリカ源として使用する請求項1記載の親水性金属
    表面処理剤。
  4. 【請求項4】 水溶性アクリル酸,水分散性アクリル
    酸,それらのエステルから選ばれた1種又は2種以上を
    アクリル酸ポリマーとして使用する請求項1〜3の何れ
    かに記載の親水性金属表面処理剤。
  5. 【請求項5】 助剤としてフッ酸,可溶性フッ酸塩等の
    フッ化物を含む請求項1〜4の何れかに記載の親水性金
    属表面処理剤。
  6. 【請求項6】 バナジウム化合物をV換算で1〜10g
    /l,アクリル酸ポリマーを固形分として1〜50g/
    l,シリカ源をSiO2 換算で1〜50g/l及びフッ
    化物をF- 換算で0.1〜5g/l含有することを特徴
    とする親水性金属表面処理剤。
  7. 【請求項7】 アニオン系界面活性剤及び/又はフッ素
    系界面活性剤が添加された請求項1〜6の何れかに記載
    の親水性金属表面処理剤。
  8. 【請求項8】 カルボキシメチルセルロースのナトリウ
    ム塩,カリウム塩,アンモニウム塩,ヒドロキシエチル
    セルロース等の増粘剤が添加された請求項1〜6の何れ
    かに記載の親水性金属表面処理剤。
  9. 【請求項9】 アルミニウム材料の表面を脱脂し乾燥さ
    せた後、請求項1〜8の何れかに記載の親水性金属表面
    処理剤を塗布し、加熱乾燥することを特徴とするアルミ
    ニウム材料の表面処理方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8の何れかに記載の親水性
    金属表面処理剤から形成された塗膜が付着量250mg
    /m2 以上で形成されているアルミニウム製品。
JP29388792A 1992-10-07 1992-10-07 アルミニウム材料の表面に親水性を付与する表面処理 Pending JPH06116527A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29388792A JPH06116527A (ja) 1992-10-07 1992-10-07 アルミニウム材料の表面に親水性を付与する表面処理

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29388792A JPH06116527A (ja) 1992-10-07 1992-10-07 アルミニウム材料の表面に親水性を付与する表面処理

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06116527A true JPH06116527A (ja) 1994-04-26

Family

ID=17800442

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29388792A Pending JPH06116527A (ja) 1992-10-07 1992-10-07 アルミニウム材料の表面に親水性を付与する表面処理

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06116527A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000256579A (ja) * 1999-03-08 2000-09-19 Nippon Light Metal Co Ltd 親水性塗料組成物及びその組成物からなる親水性皮膜
WO2000075397A1 (fr) 1999-06-04 2000-12-14 Calsonickansei Corp. Echangeur thermique en alliage d'aluminium
EP1136591A1 (en) * 1998-10-15 2001-09-26 Nihon Parkerizing Co., Ltd. Hydrophilizing agent for metallic material, hydrophilizing fluid, method of hydrophilizing, metallic material, and heat exchanger
EP1254940A4 (en) * 2000-01-17 2005-03-30 Henkel Kgaa PROCESSING AGENT PROVIDING HYDROPHILIC QUALITY AND CORROSION RESISTANCE, AND FLUID AND HYDROPHILIZATION PROCESS

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1136591A1 (en) * 1998-10-15 2001-09-26 Nihon Parkerizing Co., Ltd. Hydrophilizing agent for metallic material, hydrophilizing fluid, method of hydrophilizing, metallic material, and heat exchanger
EP1136591A4 (en) * 1998-10-15 2005-01-12 Henkel Corp HYDROPHILATION SOLUTION FOR METAL MATERIAL, HYDROPHILICATING LIQUID, METHODS OF HYDROPHILICATION, METAL MATERIAL AND HEAT EXCHANGER
JP2000256579A (ja) * 1999-03-08 2000-09-19 Nippon Light Metal Co Ltd 親水性塗料組成物及びその組成物からなる親水性皮膜
WO2000075397A1 (fr) 1999-06-04 2000-12-14 Calsonickansei Corp. Echangeur thermique en alliage d'aluminium
US6869677B1 (en) 1999-06-04 2005-03-22 Calsonickansei Corporation Heat exchanger made of aluminum alloy
EP1254940A4 (en) * 2000-01-17 2005-03-30 Henkel Kgaa PROCESSING AGENT PROVIDING HYDROPHILIC QUALITY AND CORROSION RESISTANCE, AND FLUID AND HYDROPHILIZATION PROCESS

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4973359A (en) Surface treatment chemical and bath for forming hydrophilic coatings and method of surface-treating aluminum members
US4650527A (en) Hydrophilic surface-treating process for an aluminum article
US4671825A (en) Method for formation of hydrophilic corrosion-resistant coating on the surface of metallic material
JP4334709B2 (ja) 熱交換器の化成皮膜用酸性洗浄剤、熱交換器の酸洗方法、熱交換器の処理方法および熱交換器
JP3373802B2 (ja) アルミニウム材の親水性処理方法及びその下地処理剤並びに親水性塗料
JP5265892B2 (ja) アルミニウム系金属材料製フィン材の製造方法、及び当該製造方法により製造されるアルミニウム系金属材料製フィン材
WO2001020058A1 (en) Pre-paint treatment of metal and product thereof
EP1447460A1 (en) Rust prevention coating agent and method of rust-proofing
JP6055086B2 (ja) アルミニウム製熱交換器の表面処理方法
JPH06116527A (ja) アルミニウム材料の表面に親水性を付与する表面処理
JPH06264001A (ja) アルミニウム材料の表面に親水性を付与する表面処理
JP3748085B2 (ja) クロムフリー電磁鋼板表面処理用組成物及び表面処理電磁鋼板
US5009962A (en) Surface treatment chemical and bath for forming hydrophilic coatings and method of surface-treating aluminum members
JP3983386B2 (ja) クロメート防錆処理剤
JPH06264003A (ja) アルミニウム材料の表面に防カビ性及び親水性を付与する表面処理
JP2780250B2 (ja) 親水性表面処理剤、親水性表面処理浴及びアルミニウム材の表面処理方法
JPH086063B2 (ja) 親水性表面処理剤及び処理方法
JP3225793B2 (ja) 高親水性塗料
JPH086064B2 (ja) 親水性表面処理剤及び処理方法
JP3890908B2 (ja) 有機親水性塗料組成物及び親水性皮膜を有する熱交換器用アルミニウム材
JP3373801B2 (ja) アルミニウム材の下地処理方法及び下地処理剤
JP3278475B2 (ja) 3価クロム化合物ゾル組成物、およびその製造方法
JPH11106939A (ja) アクリル樹脂含有金属表面処理組成物、処理方法及び処理金属材料
JPH1183384A (ja) 熱交換器用プレコートフィン材
JPH02105873A (ja) 高親水性塗料