JPH06263789A - 新規イソテトラセノン系物質及びその製造法 - Google Patents

新規イソテトラセノン系物質及びその製造法

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JPH06263789A
JPH06263789A JP5044585A JP4458593A JPH06263789A JP H06263789 A JPH06263789 A JP H06263789A JP 5044585 A JP5044585 A JP 5044585A JP 4458593 A JP4458593 A JP 4458593A JP H06263789 A JPH06263789 A JP H06263789A
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JP
Japan
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sna
streptomyces
isotetracenone
producing
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JP5044585A
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Kenichi Kimura
賢一 木村
Masaji Nakayama
正次 中山
Junji Nakamura
純二 中村
Makoto Yoshihama
誠 吉浜
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 下記式1で示されるイソテラセノン物質SN
A−6850−7。ストレプトミセス属に属する微生物
を培地に培養し、その培地及び菌体の諸物質を採取する
方法、及びストレプトミセス属に属する該物質産生菌。 【効果】 抗菌性が低く、高いアロマターゼ阻害活性を
有し、子宮内膜症、乳癌、子宮体癌、卵管癌等の治療に
有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アロマターゼ阻害活性
を有する新規イソテトラセノン系物質SNA−6850
−7に関する。さらに詳しくは、本発明は、新規なイソ
テトラセノン系物質SNA−6850−7、その製造
法、その製造に使用する新規微生物及びSNA−685
0−7を有効成分とするアロマターゼ阻害剤に関する。
本発明のアロマターゼ阻害活性を有する新規イソテトラ
セノン系物質SNA−6850−7は、アロマターゼ阻
害作用を有し、子宮内膜症、乳癌、子宮体癌、卵巣癌な
どの治療剤の有効成分として有用である。
【0002】
【従来の技術】アロマターゼは、男性ホルモン(テスト
ステロン、アンドロステンジオン)を基質として、女性
ホルモンのエストラジオールまたはエストロンを生成す
るチトクロームP−450系の酵素である。
【0003】一方、女性に特異的な女性ホルモン依存性
の乳癌を代表とする疾患があり、これらは卵巣摘出によ
り周期性エストロゲン増加を喪失させることで外科的な
治療が試みられている。しかし、更年期以降などでは、
外科的に血中エストロゲン量を低下させることは困難で
あり、かつ女性の生理機能を根本的に損なうことがない
内科的治療が求められている。そこで、アロマターゼを
特異的に阻害することにより、全身的にエストロゲン産
生量を低下させ、癌組織へのホルモン移行量を低下させ
ることで癌細胞の増殖を抑えることによる治療効果が期
待できる。また、ある種の乳癌細胞にアロマターゼ活性
が検出されたことから、アロマターゼ阻害剤が癌細胞の
アロマタ−ゼによるオートクライン機構の遮断を介して
より直接的に抗癌作用を発揮する可能性も考えられてい
る。実際、非ステロイド系のアロマターゼ阻害剤として
乳癌の治療にアミノグルテチミドが用いられているが、
副腎のステロイドホルモン産生も抑制されるため、めま
い、運動失調、皮疹などの副作用が知られている。双環
性のイミダゾールであるCGS16949Aも臨床試験
が行われており、これらはアロマターゼがチトクローム
P−450の一種であることから合成された化合物であ
る。さらには、基質の類似体のステロイド系アロマター
ゼ阻害剤としてテストラクトン、4−ヒドロキシアンド
ロステンジオンの臨床試験が行われているが、その効果
並びに副作用の面から治療薬としては未だ満足のいくも
のではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、このよ
うな状況下でこれまでの薬剤とは異なる構造のアロマタ
ーゼ阻害剤について、広く微生物代謝産物に求めて探索
した結果、放線菌の培養物中にユニークなアロマターゼ
阻害活性を有する物質を見出した。そして、この物質を
同定し、新規物質であることを確認した。なお、本発明
の物質のように、放線菌の培養物など天然から得られる
アロマターゼ阻害剤は、合成阻害剤には認められないユ
ニ−クで複雑な構造であって、特異的な活性や体内での
吸収、排泄、安定性、副作用軽減など、これまでのアロ
マターゼ阻害剤に認められなかった有利な点が望みう
る。
【0005】すなわち、本発明の課題は、アロマターゼ
阻害活性を有する新規イソテトラセノン系物質を提供す
ることにある。また、他の課題は、このようなアロマタ
ーゼ阻害活性を有する新規イソテトラセノン系物質を生
産する方法およびその方法に使用する微生物を提供する
ことにある。さらに本発明の課題は、この新規イソテト
ラセノン系物質を有効成分とするアロマターゼ阻害剤を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】まず、本発明者らは、全
国の各地方から得られる土壌を用いてアロマターゼ阻害
物質を産生する微生物の検索を行った。その結果、茨城
県水戸市の草地の地表から約1cmの土壌中に存在する
微生物の発酵産物が強いアロマターゼ阻害活性を示すこ
とを見出し、この菌を単離同定した。
【0007】さらに、詳細に説明すると、本発明者ら
は、茨城県水戸市の地表から約1cmの土壌を採取し、
飽和湿度状態で風乾し、60℃で加熱し、滅菌水を加
え、超音波処理を行って微生物を抽出した。そして、こ
の抽出液を分離用培地に塗布し、培養を行って前記の微
生物を単離採取した。さらに、この菌を培養し、その発
酵産物を〔1−β− 3H〕アンドロステンジオンを基質
とするアロマターゼ(人胎盤ミクロソーム画分)酵素反
応液に加え、遊離される 3H−H2 Oをコントロールと
比較することによってアロマターゼ阻害活性を測定した
〔Chem.Pharm.Bull.、第38巻、28
34頁、1990年〕。その結果、前記微生物の発酵産
物が他の地方の土壌から分離した微生物の発酵産物に比
べて著しく高いアロマターゼ阻害活性を示したので、発
酵産物から活性本体を分離、精製し、イソテトラセノン
系物質SNA−6850−7を得るに至った。
【0008】そこで、本発明のアロマターゼ阻害活性を
有する新規イソテトラセノン系物質SNA−6850−
7を産生する菌の菌学的性質を調べたところ、次のよう
な性質を示すことが判明した。
【0009】(1)形態上の性質 走査型電子顕微鏡による観察では、気菌糸の先端に胞子
が直鎖状に繋がっている。胞子は、短円筒形であり、そ
の表面は滑らかで0.8μm×1.7μm程度の大きさ
を示している。
【0010】(2)各種培地上の生育状態 シュクロース・硝酸塩、グルコース・アスパラギン、グ
リセリン・アスパラギン(ISP培地 No.5)、ス
ターチ・無機塩(ISP培地 No.4)、チロシン
(ISP培地 No.7)、栄養、イースト・麦芽(I
SP培地 No.2)、オートミール(ISP培地 N
o.3)及びペプトン・イースト・鉄(ISP培地 N
o.6)の9種の寒天培地を用い、27℃で3週間培養
したところ、表1に示すような結果となった。
【表1】 ──────────────────────────────────── 培地 3日 7日 14日 21日 ──────────────────────────────────── シュクロース・硝酸塩 +− + ++ ++ グルコース・アスパラギン +− + ++ ++ グリセリン・アスパラギン +− + ++ ++ スターチ・無機塩 + ++ ++ ++ チロシン +− + ++ ++ 栄養 +− + ++ ++ イースト・麦芽 +− ++ ++ ++ オートミール +− + ++ ++ ペプトン・イースト・鉄 + ++ ++ ++ ──────────────────────────────────── −;非生育、+−;微弱、+;普通、++;良
【0011】(3)炭素源の同化性 プリドハム・ゴットリーブ寒天培地に、L−アラビノー
ス、D−キシロース、D−フラクトース、シュクロー
ス、イノシトール、L−ラムノース、ラフィノース、D
−マンニトールの8種を各々1%添加して観察したとこ
ろ、表2に示すような結果となった。
【表2】 ──────────────────────────────────── 炭素源 3日 7日 14日 21日 ──────────────────────────────────── L−アラビノース − + + + D−キシロース − + + + D−フラクトース − + + + シュクロース − +− +− +− イノシトール − + + + L−ラムノース − + + + ラフィノース − +− + + D−マンニトール − + + + ──────────────────────────────────── −;非生育、+−;極弱、+;普通
【0012】(4)生育の温度 イースト・麦芽寒天培地において、17〜47℃で生育
を観察したところ、表3に示すような結果となった。
【表3】 ──────────────────────────────────── 温度(℃) 3日 7日 14日 21日 ──────────────────────────────────── 17 + + ++ ++ 22 + ++ ++ ++ 27 + ++ ++ ++ 32 + ++ ++ ++ 37 + ++ ++ ++ 42 + + + + 47 − − − − ──────────────────────────────────── −;非生育、+−;微弱、+;普通、++;良
【0013】(5)生理的性質 (a)ゼラチンの液化 陰性 (b)澱粉の分解 陽性 (c)脱脂乳のペプトン化 陰性 (d)メラニン様色素の生成 陰性
【0014】(6)細胞壁組成 長谷川等の方法〔J.Gen.Appl.Microb
iol.、第29巻、319頁、1983年〕により、
SNA−6850−7株の菌体中の2,6−ジアミノピ
メリン酸を分析した結果、LL型であった(細胞壁タイ
プI型)。
【0015】以上の顕微鏡学的観察及び細胞壁組成の分
析結果から、Bergey’s Manual of
Systematic Bacteriology V
olume 4(1989年)を参考にするとSNA−
6850株はストレプトミセス属に類するものと考えら
れ、ストレプトミセス sp.(Streptomyc
es sp.)SNA−6850と命名した。
【0016】本発明者らは、上述した性質を有するSN
A−6850株を他の公知の株と区別するため、工業技
術院微生物工業技術研究所に受託番号微工研菌寄第13
006号(FERM P−13006)として寄託し
た。
【0017】そこで、このSNA−6850株を、グル
コース2%、可溶性澱粉1%、大豆粉2.5%、肉エキ
ス0.1%、乾燥酵母0.4%、塩化ナトリウム0.2
%、リン酸水素二カリウム0.005%からなり、オー
トクレーブで滅菌した後、pHを7.0となるように調
整した液体培地に接種し、27℃で好気的条件下に振盪
または攪拌して前培養及び本培養を行って菌体を増殖さ
せ、この培養液からアロマターゼ阻害物質を単離した。
この単離は、前記の培養液と菌体より活性画分を有機溶
媒で抽出し、その抽出物をクロロホルムに懸濁し、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーに付し、吸着物をクロ
ロホルム:メタノール(100:5)の溶媒で溶出し
た。なお、活性画分の抽出に用いる有機溶媒としては、
アセトン、メタノールなどを用いることが好ましい。こ
の活性画分を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
に付し、さらに、濃縮、凍結乾燥することによって茶黄
色の粉末を得た。
【0018】この茶黄色の粉末の理化学的性質を調べた
ところ、次に示すような性質があった。そして、新規な
イソテトラセノン系物質であることが判明したので、S
NA−6850−7と命名した。
【0019】理化学的性質 (1)構造式
【式2】
【0020】(2)分子式 C313612 (3)マススペクトル(SI−MS) (M+Na)+ =623 図1のとおり
【0021】(4)高分解能マススペクトル(HRFA
B−MS) 理論値:623.2105 実測値:623.2098 (5)融点 187℃〜192℃(dec.)
【0022】(6)比旋光度
【数1】
【0023】(7)紫外線吸収スペクトル
【数2】 図2のとおり
【0024】(8)赤外線吸収スペクトル(KBr法) 図3のとおり
【0025】(9) 1H NMRスペクトル(400M
Hz) 重クロロホルム溶液中TMSを基準物質として測定し
た。図4のとおり
【0026】(10)13C NMRスペクトル(125
MHz) 重クロロホルム溶液中TMSを基準物質として測定し
た。図5のとおり
【0027】(11)溶解性 メタノ−ル、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ア
セトン、水に可溶、ヘキサンに不溶 (12)物質の色及び性状 茶黄色粉末 (13)薄層クロマトグラフィ−〔担体;シリカゲルプ
レ−ト F254(メルク社製)、0.25mm、展開
溶媒;クロロホルム:メタノール=5:1〕 Rf値 0.39 (14)高速液体クロマトグラフィー保持時間〔カラ
ム;逆相カラムCAPCELL PAK C18(資生堂
(株)製、4.6×250mm)、溶媒;メタノール:
0.1%TFA水溶液=45:55、流速;1ml/
分、検出;220nm、分析温度;40℃〕 7.6分 既知物質の同様の条件での保持時間は、Aquayam
ycinが、6.0分、Urdamycin Gが、1
6.7分、Kerriyamycin Bが、26.4
分である。
【0028】本発明の新規イソテトラセノン系物質SN
A−6850−7のアロマターゼ阻害活性及び抗菌活性
について、次のように測定した。
【0029】(1)アロマターゼ阻害活性 人胎盤ミクロソームの調製は次のようにして行った。人
胎盤の膜を除き、残りの組織を1.1%塩化カリウムで
洗浄して血液を除いた。この胎盤組織を細断後5mM
DTTと0.25Mシュクロースを含む67mMリン酸
カリウム緩衝液(pH7.5)中でホモゲナイズを行っ
た。ホモゲナイズ液を10,000×gで30分間遠心
分離し上清を得た。この上清を104,000×gで6
0分間の超遠心分離を行い、沈澱したミクロソーム画分
を20mg蛋白質/mlになるように5mM DTTを
含む67mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)に懸
濁した。0.5mlづつミクロソーム画分の懸濁液を分
注したものを−80℃に保存し、使用時に溶解して用い
た。
【0030】酵素活性阻害の測定法を以下に示す。基本
的には、E.A.Thompsonらの方法〔J.Bi
ol.Chem.、第249巻、5364頁、1974
年〕を一部改良して行った〔Chem.Pharm.B
ull、第38巻、2834頁、1990年〕。すなわ
ち、100mM KCl、1mM EDTA、10mM
リン酸緩衝液(pH 7.5)、0.5mM NADP
H、2μM〔1−β−3H〕アンドロステンジオン、被
験試料のメタノール溶液50μl、上記人胎盤ミクロソ
ーム画分10μlを混合して全量600μlとし、37
℃で30分間振盪培養した。反応後2mlのクロロホル
ムを加えて40秒間攪拌し、1,470×gで15分間
遠心分離して、アンドロステンジオンの芳香族化によっ
て生じた3H−H2 Oを分離した。そこから0.1ml
を取り、液体シンチレーションカウンターで放射活性を
測定し、阻害剤を加えず溶媒のみで反応させた対照との
結果を比較して阻害率を求めた。
【0031】基質(アンドロステンジオン)の濃度が2
μMの場合において、酵素活性を50%阻害するのに必
要な阻害剤の濃度は、3.1μMであった。同時に測定
した既知類縁化合物の酵素活性を50%阻害するのに必
要な阻害剤の濃度は、Aquayamycinが、7.
0μM、Kerriamycin Bが、7.6μM、
Urdamycin Gが、10.5μMであり、いづ
れの既知類縁化合物よりも強いアロマターゼ阻害活性を
示した。
【0032】また、Linewever−burk P
lotにて阻害形式を調べると、SNA−6850−7
物質は拮抗阻害様式を示し、阻害定数は、Ki=3.1
μMであった。
【0033】(2)抗菌活性 新規イソテトラセノン系物質SNA−6850−7の1
4種の細菌、カビ、酵母に対する抗菌活性を8mm径の
ペーパーディスクを用いて測定した。SNA−6850
−7をペーパーディスク当たり20μgの濃度にて作用
させた時の抗菌活性を阻止円の大きさ(mm)で表し
た。その結果を表5に示す。
【表5】 ──────────────────────────────────── 菌 名 阻止円 (mm) ──────────────────────────────────── Escherichia coli BE 1186 0 Salmonella typhimurium TV 119 0 Salmonella typhimurium SL 1102 0 Pseudomonas aeruginosa N-10 (L-form) 14 Staphylococcus aureus IFO 12732 + Bacillus subtilis rec + 0 Bacillus subtilis rec - 0 Micrococcus luteus IFO 12708 11 Mycobacterium phlei IFO 3158 0 Xanthomonas oryzae IFO 3312 26 Alternaria mali IFO 8984 0 Pyricularia oryzae IFO 5994 0 Candida albicans IFO 1594 0 Chlorella vulgaris 0 ──────────────────────────────────── +;10mm以下の阻止円を表す。
【0034】以上のように、本発明の新規イソテトラセ
ノン系物質SNA−6850−7は、類縁既知化合物
(Aquayamycin, Kerriamycin
B,Urdamycin G)よりも、各種微生物に
対する抗菌作用が著しく低く、特異的に高いアロマター
ゼ阻害活性を示すので、子宮内膜症、乳癌、子宮体癌、
卵巣癌などの治療剤の有効成分として極めて有用であ
る。
【0035】本発明の新規イソテトラセノン系物質SN
A−6850−7は、常法により、錠剤、散剤、カプセ
ル剤、注射剤、吸入剤、あるいは外用剤などの製剤とす
ることができ、経口または非経口投与により、子宮内膜
症、乳癌、子宮体癌、卵巣癌などの治療剤として臨床に
供される。また、薬剤の投与量は、治療すべき症状や投
与方法により左右されるが、通常成人男子体重kg当
り、1〜100mgを1日1回乃至数回に分けて投与す
る。
【0036】下記に本発明の具体的な実施例を示す。
【実施例1】茨城県水戸市の地表から約1cmの土壌を
採取し、これを飽和湿度状態で7日間室温風乾後、60
℃で1時間加熱した。このような処理を行った土壌を滅
菌水で10倍に希釈し、1分間の超音波処理を行った。
これを分離用培地(グルコース 5g/l、NaCl
0.5g/l、K2 HPO4 0.5g/l、MgSO4
・7H2 O 0.5g/l、酵母エキス 0.5g/
l、L−アスパラギン0.5g/l、可溶性澱粉 5g
/l、FeSO4 ・7H2 O 0.01g/l、寒天1
8g/l、サイクロヘキシミド 20mg/l、pH
7.0に調整)に塗布し、27℃で培養を行って生育す
る微生物を単離した。この菌を同定したところ前記の菌
学的性質を示した。この菌株をストレプトミセス s
p.SNA−6850株と命名し、工業技術院微生物工
業技術研究所に寄託した(受託番号:微工研菌寄第13
006号)。
【0037】
【実施例2】グルコ−ス2%、可溶性デンプン1%、大
豆粉2.5%、肉エキス0.1%、乾燥酵母0.4%、
塩化ナトリウム0.2%、K2HPO40.005%からなる
培地をpH8.4に調製した後、500mlの三角フラ
スコにそれぞれ70mlずつ分注し、120℃で20分
間殺菌した。この培地にストレプトミセス・エスピ−S
NA−6850株(微工研菌奇第13006号)の斜面
培地より1白金耳を接種し、27℃で3日間振盪培養
(200rpm)を行った。これを同様の培地を含むフ
ラスコ50本にそれぞれ2ml接種し、27℃で4日間
振盪培養(pH7.7)を行った。遠心分離によって菌
体を除去し、上清2.35lを得た。菌体はアセトンで
抽出してアセトンを除いた後上清と合わせ、等量の酢酸
エチルで3回抽出し、抽出物を凍結乾燥したところ2.
6gの粗物質が得られた。これをクロロホルム溶液10
mlに懸濁し、シリカゲル(Kisel gel 6
0、70〜230メッシュ、メルク社製)カラムクロマ
トグラフィ−(3.4×50cm)に付し、同じ溶媒
1,000mlとクロロホルム:メタノ−ル=100:
1の溶媒、クロロホルム:メタノ−ル=100:3の溶
媒、各500mlで不純物を段階的に溶出させた後、ク
ロロホルム:メタノール=100:5の溶媒1,000
mlで活性成分を溶出させ、515mgの活性成分を得
た。これをメタノ−ルに溶解し、溶離液としてメタノー
ル:水=55:45を用い、カラムとしてCapcel
pak(20×250mm)を用い、高速液体クロマ
トグラフィーにより分取した。得られたSNA−685
0−7物質を含む溶液を減圧下で濃縮し、凍結乾燥を行
うことにより、高純度の新規イソテトラセノン系物質S
NA−6850−7の茶黄色粉末17.8mgを得た。
【0038】
【実施例3】実施例2によって得られたSNA−685
0−7茶黄色粉末100mgを乳糖、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカル
シウム、ステアリン酸マグネシウムと混合し、加圧成型
して錠剤を製造した。この錠剤はアロマターゼ阻害剤と
して子宮内膜症の治療に1日1錠経口投与される。
【0039】
【発明の効果】本発明の新規イソテトラセノン系物質S
NA−6850−7は、類縁既知化合物よりも、各種微
生物に対する抗菌作用が著しく低く、特異的に高いアロ
マターゼ阻害活性を示すので、子宮内膜症、乳癌、子宮
体癌、卵巣癌などの治療剤の有効成分として極めて有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の新規イソテトラセノン系物質SNA−
6850−7のSI−MSスペクトルを示す。
【図2】本発明の新規イソテトラセノン系物質SNA−
6850−7の紫外線吸収スペクトルを示す。
【図3】本発明の新規イソテトラセノン系物質SNA−
6850−7の赤外線吸収スペクトル(KBr)を示
す。
【図4】本発明の新規イソテトラセノン系物質SNA−
6850−7の 1H NMRスペクトル(400MH
z、CDCl3 )を示す。
【図5】本発明の新規イソテトラセノン系物質SNA−
6850−7の13C NMRスペクトル(125MH
z、CDCl3 )を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:465) (C12P 17/16 C12R 1:465)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の構造式で示されるイソテトラセノン
    系物質SNA−6850−7。 【式1】
  2. 【請求項2】 ストレプトミセス属(Streptom
    yces)に属しSNA−6850−7産生能を有する
    SNA−6850−7産生菌を培地に培養し、得られる
    培養上清および/または菌体からSNA−6850−7
    を採取することを特徴とする新規イソテトラセノン系物
    質SNA−6850−7の製造法。
  3. 【請求項3】 SNA−6850−7産生菌が、ストレ
    プトミセス sp.(Streptomyces
    p.)SNA−6850(微工研菌寄第13006号)
    である請求項2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 受託番号微工研菌寄第13006号(F
    ERM P−13006)であるストレプトミセス s
    p.(Streptomyces sp.)に属しSN
    A−6850−7産生能を有するSNA−6850−7
    産生菌株。
  5. 【請求項5】 イソテトラセノン系物質SNA−685
    0−7を有効成分とするアロマターゼ阻害剤。
JP5044585A 1993-02-09 1993-02-09 新規イソテトラセノン系物質及びその製造法 Pending JPH06263789A (ja)

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JP5044585A JPH06263789A (ja) 1993-02-09 1993-02-09 新規イソテトラセノン系物質及びその製造法

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