JPH06263562A - 炭酸化反応を利用した高強度セメント硬化体の製造方法 - Google Patents

炭酸化反応を利用した高強度セメント硬化体の製造方法

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JPH06263562A
JPH06263562A JP5431293A JP5431293A JPH06263562A JP H06263562 A JPH06263562 A JP H06263562A JP 5431293 A JP5431293 A JP 5431293A JP 5431293 A JP5431293 A JP 5431293A JP H06263562 A JPH06263562 A JP H06263562A
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cement
carbon dioxide
carbonation
cured
strength
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JP5431293A
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Yasuhiro Suzuki
康弘 鈴木
Kensuke Kanai
謙介 金井
Tatsuo Isohata
達夫 五十畑
Masao Sato
雅男 佐藤
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Sumitomo Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Cement Co Ltd
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B40/00Processes, in general, for influencing or modifying the properties of mortars, concrete or artificial stone compositions, e.g. their setting or hardening ability
    • C04B40/02Selection of the hardening environment
    • C04B40/0231Carbon dioxide hardening

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 セメント硬化体を炭酸ガス中で養生して高強
度化する炭酸化反応を利用した高強度セメント硬化体の
製造方法に関し、セメント硬化体の成形後に水和反応途
中から炭酸ガス中で養生を行うことによって高強度セメ
ント硬化体を得る炭酸化反応を利用した高強度セメント
硬化体の製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 セメントと骨材と水とを混練して得られるセ
メント硬化体を成形して、前養生を行い、セメント鉱物
の水和反応に伴う水酸化カルシウムの生成が始まってか
ら脱型して、セメント中のエーライト(C3 S(3Ca
O・SiO2 を主成分として他の酸化物を固溶する鉱物
質))の水和反応が活発化する加速期以降で、硬化体中
に水酸化カルシウムの結晶が多量に生成する減速期を経
て硬化体が緻密になる定常期に相当するまでの期間につ
き、炭酸ガス雰囲気中で養生するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セメント硬化体を炭酸
ガス中で養生して高強度化する炭酸化反応を利用した高
強度セメント硬化体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、炭酸化によるセメント硬化体の強
度を増進させる方法として、セメントの水和により析出
した水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )を炭酸ガスと
接触させることにより炭酸カルシウム(CaCO3 )に
変化させ、セメント硬化体の細孔を埋め、強度を増進さ
せる方法が知られている。また、石灰と骨材、水等とを
混練し、これを加圧成形した後、炭酸ガスと接触させる
ことにより、石灰の成分である水酸化カルシウムを炭酸
カルシウムに変化させて成形体の空隙を埋め、高強度を
発現させる方法、あるいはまたセメントと石灰とを混合
したものを、骨材、水等と混練して成形し、炭酸ガスと
接触させることによりセメント硬化体の空隙を埋める方
法等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来方法では内部まで炭酸化しにくく、内部まで炭酸
化するためには長時間を必要としていた。そこで、炭酸
化を迅速に進行させるため、加圧した炭酸ガス中で養生
したり、圧力の異なる系の間に硬化体を置き、炭酸ガス
を通過させる等の方法が試みられているが、これらの方
法は施設が大がかりなものとなる。また、高周波加熱に
より硬化体の含水率を調節し、均一にすることにより炭
酸化を迅速に進行させる方法等も知られているが、特殊
な装置を必要とするため実用的ではない等の種々の問題
点を有している。
【0004】本発明は、従来の技術における前記問題点
を解消するためのものであり、そのための課題は、セメ
ント硬化体の成形後に水和反応途中から炭酸ガス中で養
生を行うことによって高強度セメント硬化体を得る炭酸
化反応を利用した高強度セメント硬化体の製造方法を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を達
成できるようにするため、炭酸化反応を利用した高強度
セメント硬化体の製造方法として、セメントと骨材と水
とを混練して得られるセメント硬化体を成形して、前養
生を行い、セメント鉱物の水和反応に伴う水酸化カルシ
ウムの生成が始まってから脱型して、セメント中のエー
ライト(C3 S(3CaO・SiO2 を主成分として他
の酸化物を固溶する鉱物質))の水和反応が活発化する
加速期以降で、硬化体中に水酸化カルシウムの結晶が多
量に生成する減速期を経て硬化体が緻密になる定常期に
相当するまでの期間につき、炭酸ガス雰囲気中で養生す
ることを特徴とする。
【0006】また、セメント中のエーライトの水和反応
が活発化する加速期以降は、エーライト水和率が20%
以上であることが望ましい。
【0007】前記炭酸ガス雰囲気の養生条件は炭酸ガス
濃度が低いものでよく、炭酸ガス濃度を1%以上、10
0%以下とすることが望ましく、この場合に5%以上と
することが好ましい。炭酸ガス温度は特に限定されない
が、30〜80℃とすることが望ましく、この場合に4
0℃以上とすることが好ましい。炭酸ガス以外の成分を
含んでいる燃焼廃ガス等も温度だけを調整して使用して
も良い。
【0008】また、この炭酸化反応を利用した高強度セ
メント硬化体の製造方法としては、セメント20〜50
重量部及び骨材80〜50重量部を混練し、更に水/セ
メント比0.35〜0.70となるように水を加えて混
練し、成形して養生を行い、セメント鉱物の水和に伴う
水酸化カルシウムの生成が始まってから脱型して、炭酸
ガス中で養生することが望ましい。
【0009】前記セメントは水和に伴い水酸化カルシウ
ムを生成するあらゆるセメントを含むものとし、前記骨
材は岩石質の砂、粗骨材、これらの鉱物質微粉末、各種
建材に利用されている木片、パルプ、または繊維等を含
むことができる。
【0010】
【作用】本発明の製造方法によれば、セメントと骨材と
水とを混練して得られるセメント硬化体の炭酸化を促進
し、セメント硬化体の曲げ強度を高くする。特に、エー
ライト水和率が20%以上とすると、水和物の組織中に
多数存在する空間、空隙に、炭酸ガスが拡散して炭酸化
の深さを深くする。
【0011】前記炭酸ガス中での養生条件は炭酸ガス濃
度が低くてもよく、炭酸ガス濃度を1%以上、100%
以下とすることが望ましく、この場合に5%以上とする
ことが好ましい条件であり、これにより炭酸化の深さを
向上させる。炭酸ガス温度は30〜80℃とすることが
望ましく、この場合に40℃以上とすることが好まし
く、このようにすることによって前養生における強度発
現から比較して著しく曲げ強度および炭酸化深さを向上
させる。炭酸ガス以外の成分を含んでいる燃焼廃ガス等
も温度だけを調整して使用しても曲げ強度および炭酸化
深さを向上させる。
【0012】また、本発明の製造方法には、使用される
セメントの種類、骨材の種類、セメントと骨材との混合
比率、水/セメント比等については特に限定されない
が、特にセメント20〜50重量部及び骨材80〜50
重量部を混練し、更に水/セメント比0.35〜0.7
0となるように水を加えて混練し、成形して養生を行
い、セメント鉱物の水和に伴う水酸化カルシウムの生成
が始まってから脱型して、炭酸ガス中で養生することに
より、格段に速い速度でセメント硬化体の炭酸化を進行
させて高強度のセメント硬化体が得られる。
【0013】前記セメントには水和に伴い水酸化カルシ
ウムを生成するあらゆるセメントを含み、また、前記骨
材は岩石質の砂、粗骨材、これらの鉱物質微粉末、各種
建材に利用されている木片、パルプ、または繊維等を含
んで良く、非常に幅の広い適用が可能となり、セメント
硬化体の利用度が高くなる。前記セメントとしては、市
販品の各種セメント又は公知の特殊セメントを使用する
ことができ、好ましくは一般に市販されているポルトラ
ンドセメントが使用されるので、通常製造されるセメン
ト硬化体を効果的に高強度化する。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 (1) 供試体 表1に示す組成の普通ポルトランドセメントを使用し、
JIS−R−5201に準じて、水/セメント比= 0.6
5 でモルタルを成形する。表2に示す計9種類の前養生
を行った後、脱型し、脱型したモルタルを図1に示す寸
法に切断し、モルタル1の二側面には炭酸ガスの進入を
防ぐために合成樹脂2を被覆する。このための被覆樹脂
としてはエポキシ樹脂を使用する。樹脂被覆の後、温度
20℃および60℃、湿度60%RH、濃度10%の炭
酸ガス中で、養生温度を20℃および60℃の2水準に
変化させて所定材令まで養生を行った。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】(2) 試験方法 物性の測定は、曲げ強度および炭酸化深さについて
測定した。 曲げ試験は、インストロン万能試験機を用いて前養
生および炭酸化養生を行ったモルタルについて実施し
た。 炭酸化深さの測定は、供試体の破断面にフェノール
フタレイン1%エタノール溶液を噴霧し、無着色部分の
厚みから炭酸化深さを測定した。
【0018】硬化体の解析は、細孔径分布測定、水和率
測定、生成物の同定、および組織観察等について行っ
た。 細孔径分布測定および組織観察の例としては、水銀
圧入法により細孔径分布の測定及び走査型電子顕微鏡に
よる微細組織観察を行った。 水和率の例としては、測定前養生終了時にセメント
協会標準試験方法に基づいて水酸化カルシウム量を測定
し、併せて粉末X線回析法により未水和のエーライト量
からエーライトの水和率を測定した。 生成物の同定および組織観察の例としては、炭酸化
前後の試料について粉末X線回析法により生成物を同定
し、そして走査型電子顕微鏡により組織観察を行った。
【0019】(3) 試験結果 上記試験方法によって以下のような結果を得た。 (3.1) 炭酸化温度の影響 図2に養生時間と曲げ強度との関係を示す。この図にお
いて、実線は前養生における強度発現を、破線は炭酸化
養生における強度発現を示す。そして、図3には炭酸化
時間と炭酸化深さとの関係を示した。両図とも左側から
前養生温度20℃、40℃、60℃の場合を示し、上段
は炭酸化温度20℃、下段は炭酸化温度60℃の場合を
示している。これらの結果より、60℃で炭酸化すると
曲げ強度が著しく向上し、炭酸化深さも非常に大きくな
った。また、前養生温度が低い時や前養生時間が短い時
に曲げ強度が大きく、炭酸化深さが深くなった。従っ
て、セメントが水和した硬化体の炭酸化では内部への炭
酸ガスの拡散がより支配的であり、拡散速度は温度が高
くなるほど大きくなるため炭酸化深さは深くなり、それ
に伴って曲げ強度も大きくなると考えられる。
【0020】中性化深さと時間に関する関係である√t
則を、炭酸化深さDと養生時間tとの関係として適用す
ることにより炭酸化速度係数k=D/√tの値を求め、
炭酸化温度による炭酸化速度係数の違いを求めたものを
図4に示す。この結果によると、炭酸化温度が高いほど
炭酸化速度係数の値が大きくなり、より炭酸化しやすい
ことを示しており、それに伴い炭酸化後の曲げ強度も大
きくなっている。また、前養生温度が低く前養生時間が
短いほど、炭酸化速度係数が大きくなっている。
【0021】(3.2) 前養生温度、時間の影響 時間を短くした時の前養生時間と、その場合のセメント
中のエーライトの水和率および炭酸化後の曲げ強さとの
関係を図5に示す。この結果により、それぞれの前養生
温度によって最も曲げ強さの大きくなる前養生時間が存
在し、この時のセメント中のエーライトの水和率は、前
養生温度によって異なるが、水和反応の段階としては、
いずれの温度においてもエーライトの水和反応の減速期
(図中の第IV期)から定常状態への移行期(図中の第V
期)に相当している。
【0022】前養生40℃の場合の前養生時間と水酸化
カルシウム生成量および細孔量の変化を図6に示す。こ
の結果、水酸化カルシウム生成量および細孔量の変化が
小さくなった時と、炭酸化後の曲げ強さが最も大きくな
った時の前養生時間とが一致しており、この時がエーラ
イトの水和反応の減速期(図中の第IV期)から定常状態
への移行期(図中の第V期)に相当することが細孔量の
減少からも確認された。
【0023】炭酸化硬化体では、セメントの水和反応に
より析出した水酸化カルシウムが炭酸カルシウムへと変
化することにより強度増進が起こるため、セメントの水
和反応の進行に伴う水酸化カルシウムの生成量が多いほ
ど炭酸化による曲げ強さの伸びも大きくなるが、セメン
トの水和反応の進行により細孔量も減少するため、炭酸
ガスのセメント硬化体中への拡散が阻害され、曲げ強さ
の伸びが小さくなる。従って、炭酸化後の曲げ強さが最
も大きくなる前養生時間を境として炭酸化後の曲げ強さ
の支配要因が変わり、それ以前ではセメントの水和反応
の程度が主たる支配要因となり、それ以降ではセメント
硬化体中への炭酸ガスの拡散が主たる支配要因となると
考えられる。
【0024】各水和反応段階における水和物の状態を顕
微鏡観察した結果、上記考察から各水和反応の段階にお
ける炭酸化によって、セメント硬化体では次のようにな
ると考えられる。 (1) 誘導期から加速期(第II期から第III期) 水和物の組織に空間、空隙が多いので、炭酸ガスが拡散
しやすく炭酸化の深さは大きくなるが、図6に示される
ように、水酸化カルシウムの生成量がまだ少ないため空
間の充填する炭酸カルシウムの生成量も少なく、かつ細
孔量が大きいために細孔を埋める効果が少なく、炭酸化
後の曲げ強さの伸びが小さい。 (2) 減速期(第IV期) この時期になると、未水和粒子の表面はすでに水和物で
おおわれ、未水和粒子間も水和物で埋まり始めており、
細孔量や水酸化カルシウムの生成量もほぼ安定してきて
いるため、この時期に炭酸化を始めると、水酸化カルシ
ウムの量も充分で炭酸ガスの拡散も起こりやすい。 (3) 定常状態(第V期) 水和反応がほぼ安定してきたこの時期には、空間、空隙
が少なく、非常に緻密な状態になり、細孔量も小さくな
っている。このため、炭酸ガスの拡散が阻害され、炭酸
化反応が停滞してしまう。
【0025】(3.3) 炭酸化生成物の分析 炭酸化反応を利用して養生を行うことによって生成され
た物質の分析には、細孔径分布、微細構造、および
生成物の同定を行った。 細孔径分布 炭酸ガス中で養生を行った供試体の模式図を図7に示
し、炭酸化した部分(炭酸化部)1aと炭酸化していな
い部分(未炭酸化部)1bとから採取した試料、および
炭酸化を行う前の供試体から採取した試料についての細
孔径分布を図8に示し、また、a)60℃で3日間前養
生した試料およびb)20℃で1日間前養生した後60
℃の炭酸ガス中で養生した供試体の炭酸化した部分の試
料についての細孔径分布を図9に示した。
【0026】図8に示されているように、炭酸化された
部分は、炭酸化を行う前の試料および未炭酸化の部分に
比べて、明らかに細孔量が減少しており、温度による水
和反応の促進による影響だけでなく、炭酸化による細孔
量低減効果が認められる。一方、図9に示されているよ
うに、試料a)では曲げ強さが60Kgf/cm、試料b)では
曲げ強さが100Kgf/cm であった。この結果によると、曲
げ強さは試料b)の方が試料a)の方よりも強くなり、
細孔は試料a)の方が試料b)よりも小さくなっている
ため、炭酸化に伴う曲げ強さの増加は細孔量の減少だけ
では説明がつかなくなっている。
【0027】 微細構造 20℃及び60℃の炭酸ガス中で養生した試料の電子顕
微鏡観察の結果では、60℃で炭酸化養生した試料はセ
メント水和物の表面に炭酸カルシウムの結晶が析出して
全体を覆っているが、20℃で炭酸化養生した試料は炭
酸化深さが深いもののセメント水和物の表面を覆ってし
まうほどには析出していない。このような観察結果か
ら、高温度で炭酸化した硬化体では、未水和セメント粒
子の表面にできた炭酸カルシウムが、他の未水和粒子の
表面にできた炭酸カルシウムと結合して、曲げ強度を増
していくものと考えられ、そのために、前記した細孔量
の減少だけでは説明がつかない炭酸化に伴う曲げ強さの
増加は、高温度における炭酸化により、セメント硬化体
中に連続した炭酸カルシウムの層が生成することにより
生じたものと考えられる。
【0028】 生成物の同定 粉末X線回析の結果より、炭酸化された試料中には炭酸
カルシウムが析出しており、大部分がカルサイトであっ
た。そして、少量のバテライト及びアラゴナイトも確認
されている。しかし、養生条件による生成物の違いやそ
の量の違いは認められなかった。
【0029】
【発明の効果】本発明による炭酸化反応を利用した高強
度セメント硬化体の製造方法では、セメントと骨材と水
とを混練して得られるセメント硬化体の炭酸化を、水和
反応が余り進行していない状態から炭酸化反応を起こさ
せることにより、炭酸ガスによるセメントの水和反応促
進作用と、生成した炭酸カルシウムの細孔埋設作用とを
共に効果的に利用させることができて、炭酸化を容易に
かつ短時間で内部まで進行させることができ、高強度の
セメント硬化体を得ることができる。そして、セメント
と骨材と水とを混練して得られるセメント硬化体の炭酸
ガス養生を、特に、エーライト水和率が20%以上にな
ると炭酸ガス雰囲気の養生を行うことによって、水和物
の組織中に多数存在する空間、空隙に、炭酸ガスが拡散
して炭酸化の深さを効果的に深くすることができ、セメ
ント硬化体の曲げ強度を高くすることができる。
【0030】前記炭酸ガス中での養生条件は炭酸ガス濃
度が低くてもよく、炭酸ガス濃度を1%以上、100%
以下とすることが望ましく、この場合に5%以上とする
ことが好ましい条件であり、これにより炭酸化の深さを
向上させることができる。炭酸ガス温度は30〜80℃
とすることが望ましく、この場合に40℃以上とするこ
とが好ましく、このようにすることによって前養生にお
ける強度発現から比較して著しく曲げ強度および炭酸化
深さを向上させることができる。炭酸ガス以外の成分を
含んでいる燃焼廃ガス等も温度だけを調整して使用した
としても曲げ強度および炭酸化深さを向上させることが
できる。
【0031】また、使用されるセメントの種類、骨材の
種類、セメントと骨材との混合比率、水/セメント比等
については特に限定されないが、特にセメント20〜5
0重量部及び骨材80〜50重量部を混練し、更に水/
セメント比0.35〜0.70となるように水を加えて
混練し、成形して養生を行い、セメント鉱物の水和に伴
う水酸化カルシウムの生成が始まってから脱型して、炭
酸ガス中で養生することにより、格段に速い速度でセメ
ント硬化体の炭酸化を進行させることができ、高曲げ強
度のセメント硬化体を得ることができる。
【0032】また、セメントは水和に伴い水酸化カルシ
ウムを生成するあらゆるセメントを含み、また、前記骨
材は岩石質の砂、粗骨材、これらの鉱物質微粉末、各種
建材に利用されている木片、パルプ、または繊維等を含
むことができるので、非常に幅の広い適用が可能とな
り、高強度のセメント硬化体の利用度を高めることがで
きる。前記セメントとしては、市販品の各種セメント又
は公知の特殊セメントを使用することができ、好ましく
は一般に市販されているポルトランドセメントが使用で
きるので、通常製造されるセメント硬化体を効果的に高
強度化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料寸法を示す斜視図である。
【図2】養生時間と曲げ強度との関係を示すグラフであ
る。
【図3】養生時間と炭酸化深さとの関係を示すグラフで
ある。
【図4】前養生時間と炭酸化速度係数との関係を示すグ
ラフである。
【図5】前養生時間とエーライトの水和率ならびに炭酸
化後の曲げ強度を示すグラフである。
【図6】前養生時間と炭酸化後の曲げ強度との関係を示
すグラフである。
【図7】試料の縦断面図である。
【図8】同一試料内の細孔分布を示すグラフである。
【図9】処理条件の違いによる細孔分布を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 セメント硬化体 1a 炭酸化部 1b 未炭酸化部 2 合成樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 雅男 千葉県船橋市豊富町585番地 住友セメン ト株式会社中央研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメントと骨材と水とを混練して得られ
    るセメント硬化体を成形して、前養生を行い、セメント
    鉱物の水和反応に伴う水酸化カルシウムの生成が始まっ
    てから脱型して、セメント中のエーライトの水和反応が
    活発化する加速期以降で、硬化体中に水酸化カルシウム
    の結晶が多量に生成する減速期を経て硬化体が緻密にな
    る定常期に相当するまでの期間につき、炭酸ガス雰囲気
    中で養生することを特徴とする炭酸化反応を利用した高
    強度セメント硬化体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記セメント中のエーライトの水和反応
    が活発化する加速期以降は、エーライト水和率が20%
    以上であることを特徴とする請求項1記載の炭酸化反応
    を利用した高強度セメント硬化体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記炭酸ガス雰囲気の養生条件は、炭酸
    ガス濃度を1%以上、100%以下とすることを特徴と
    する請求項1または請求項2記載の炭酸化反応を利用し
    た高強度セメント硬化体の製造方法。
  4. 【請求項4】 この場合に5%以上とすることを特徴と
    する請求項3記載の炭酸化反応を利用した高強度セメン
    ト硬化体の製造方法。
  5. 【請求項5】 炭酸ガス温度は30〜80℃とすること
    を特徴とする請求項3記載の炭酸化反応を利用した高強
    度セメント硬化体の製造方法。
  6. 【請求項6】 炭酸ガス温度は40℃以上とすることを
    特徴とする請求項3記載の炭酸化反応を利用した高強度
    セメント硬化体の製造方法。
  7. 【請求項7】 炭酸ガス成分を含んでいる燃焼廃ガスを
    調整して使用することを特徴とする請求項3記載の炭酸
    化反応を利用した高強度セメント硬化体の製造方法。
JP5431293A 1993-03-15 1993-03-15 炭酸化反応を利用した高強度セメント硬化体の製造方法 Pending JPH06263562A (ja)

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