JPH0626094Y2 - 苗自動供給装置に於ける姿勢制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は苗自動供給装置に於ける姿勢制御装置に係り、
例えば育苗用苗箱で生育された玉葱のような各種苗を、
テープ巻苗として構成するために、特に苗の根に付着し
た土を分離してスムーズに苗巻取機に供給する苗自動供
給装置に於ける姿勢制御装置に関するものである。

〔従来の技術〕

近時、玉葱の栽培に於いて、所定大きさの箱内を仕切っ
て複数の苗室を構成する育苗用苗箱により、苗を移植時
期までハウス内で生育させた後、この苗を等間隔に保っ
て２本のテープに挟んだテープ巻苗を構成し、このテー
プ巻苗をテープ式自動供給装置にセットして、圃場に移
植することが行われている。

今、第５図を参照して簡単に説明すると、同図は自動苗
供給装置に於ける苗移送装置１の放出端２の部分を示す
ものである。

同図に於いて、３は枠４の先端に設けたコンベヤー受５
に掛けられたコンベヤーで、このコンベヤー３上に複数
の摺接杆６，６，…が前後左右に所定の間隔を保って立
設されている。

しかして、コンベヤー３の摺接杆６，６，…に支持され
た玉葱などの苗７は、放出端２から苗整列装置８の苗ホ
ルダー１０上に放出され、苗ホルダー１０の開閉によ
り、この苗ホルダー１０内に収納された苗７が、苗並べ
コンベヤー１２上のテープ１３に整列して落下させる構
成となっている。

前記苗整列装置８は平面から見て四角形の支持枠１４を
有し、この支持枠１４内に苗ホルダー１０が設けられて
いる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

前記のような育苗用苗箱により生育させた苗７を苗自動
供給装置を使用してテープ巻苗として構成するには、次
のような問題点がある。

一般にハウス内でかん水を少なくして生育した苗７
の葉部は柔軟性がある。このため、育苗用苗箱から押出
し装置の押出し杆を用いて、横一列の苗７を同時に押出
しても、苗移送装置１の放出端２のコンベヤー受５に苗
７自身がこれに巻込まれ、苗整列装置８の苗ホルダー１
０に収納されず、苗移送装置１の下方に落下してしま
う。

したがって、人手により苗を補給する回数が多くなって
人権費がかかり、経済面で無駄が多いという問題があ
る。

一方、苗室内の土壌の水分量が多い場合や、粘土の
ような粘性のある土壌を多量に混ぜた場合には、苗の根
に土が多量に付着して、この土も苗移送装置１のコンベ
ヤー３に移送されて、放出端２より苗７が放出される
時、苗の姿勢を悪くして、苗整列装置８の苗ホルダー１
０に完全に収納できない苗７ａがある。このため、苗を
整列させることができなくなるという問題がある。

また、苗７の根に土１５が多量に付着したものが、
苗移送装置１のコンベヤー３により放出端２より放出さ
れ、苗整列装置８の苗ホルダー１０に収納された時、土
の一部が根から分離してそのまま苗並べコンベヤー１２
のテープ１３上に落下してしまう。

したがって、苗７を巻取る時、２枚のテープ１３，１３
ａ（一方は図示せず）の間に土１５が挟まれて、苗とテ
ープの密着性が悪くなり、苗がずれたままテープ式自動
供給移植機にセットされる。そのため苗を圃場に移植す
る時、株間が不規則になり、作物の生育した状態が悪く
なり、収穫時には減収となり経済面に問題がある欠点が
ある。

本考案は、前記の問題点を解決したもので、苗の根に付
着した土壌を分離し、且つ苗の葉先が整列した状態で、
スムーズに苗を苗巻取機に供給するように工夫した苗自
動供給装置に於ける姿勢制御装置を提供することを目的
とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

前記目的を達成するため、本考案は複数の苗室に苗を生
育させた育苗用苗箱を、苗箱送り装置に起立状に載置さ
せ、苗押出し装置により横一列の苗室毎に苗を起立状に
載置させ、苗押出し装置により横一列の苗室毎に苗を順
次前方に押出して、苗移送装置により所定ピッチ間隔毎
に順次前方に移送し、前記苗移送装置の放出端側に枠材
を四角形に組んでなる支持枠を設置し、この支持枠の内
側に苗移送装置より放出された苗を一旦保持した後、下
方に配置した苗取機のテープ上に落下させるようにした
苗ホルダーを設けてある苗自動供給装置に於いて、前記
苗移送装置の放出端側に駆動装置により互いに内向き巻
込み方向に回転する一対の弾性体よりなるローラを、苗
移送装置により移送される各苗に対向して所定ピッチ間
隔毎に配設したことを特徴とするものである。

〔作用〕

苗移送装置の放出端から放出された苗は、互いに内向き
巻込み方向に回転する一対のローラの苗葉の先端より巻
込まれて、常に一定の姿勢で、且つ根に付着した土が砕
かれて根から分離した状態で苗ホルダーに落下される。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図〜第４図を参照しながら
説明する。なお、第５図の各部と共通部分には共通符号
を用いて説明する。

第１図は本考案の姿勢制御装置を苗自動供給装置に取付
けた状態を示す概略斜視図、第２図は同一部切欠側面
図、第３図は同一部切欠平面図、第４図は同一部切欠正
面図である。

第１図に於いて苗箱送り装置１６は、次のように構成さ
れている。

１７は起立状に立設された苗箱載台で、左右両端部の側
板１８，１８と底板１９とで断面コ字状に構成されてお
り、底板１９の下端部に苗押出し装置２１の押出し杆２
２，２２，…が貫通する横長状の窓孔と、窓孔の下側両
端部に小孔をそれぞれ設けている。

２３は苗箱載台１７の下端両端部に取付けた送り歯車
で、この送り歯車２３は、例えば苗押出し操作が終了す
ると、一ピッチ駆動するようにして育苗用苗箱２５が横
一列の苗室２６分だけ下動する構成としてある。また、
育苗用苗箱２５の苗室２６で生育させた苗７を取出す苗
押出し装置２１は、育苗用苗箱２５の後方に取付具２８
を介して設けた支持台３０上に配置してある。

したがって、前記押出し装置２１に於ける各押出し杆２
２，２２，…の先端部は、苗箱載台１７の窓孔を経て育
苗用苗箱２５の各苗室２６の孔にそれぞれ貫通され、苗
７は苗室２６の開口部からそれぞれ押出すことができ、
順次押出し杆２２，２２，…の前後往復作動により、連
続的に苗７を苗室２６から苗箱載台１７の前方に取出す
ことができる。

このようにして取出された苗７は、苗移送装置１によ
り、その葉身部の矯正と共に、所定の等間隔を保って苗
巻取機３０に順次移送されるものである。

つまり、３２は前方が広がっている略扇形状の取付枠
で、この取付枠３２は取付金具３３を介して前記苗箱送
り装置１６の苗箱載台１７に連結してあり、この取付枠
３２に設けたコンベヤー受（図示省略）に、無端構成
で、基端側は前記育苗用苗箱２５の横一列の苗室２６，
２６，…と一致するピッチ間隔とし、先端側は順次広げ
て隣接し合う間隔を幅広なピッチ間隔に形成した曲線の
伝動用コンベヤー３，３，…を複数列に配してなるコン
ベヤー群を設けてある。

前記コンベヤー３，３，…のリンクに取付けた基板上か
らは複数本の摺接杆６，６，…が立上がっており、この
摺接杆６，６，…によって苗の葉部がガイドされ移送さ
れる。

次に、本考案の要旨である苗移送装置１の先端部に設け
られた姿勢制御装置３５を説明する。

３６，３６は外形状が円柱状の一対のローラで、このロ
ーラ３６，３６は苗移送装置１の苗７を移送する一定ピ
ッチ間隔に並設されたコンベヤー３，３，…の最終の放
出端２の前方に近接されて、前記一定ピッチ間隔と同間
隔に、且つ互いに内向き巻込み方向に回転自在に設けら
れている。

前記一対のローラ３６，３６は苗７を巻込む時、苗をつ
ぶさないため、ゴム、スポンジなどの弾性体から形成さ
れている。また、このローラ３６，３６の中心に孔３７
を設け、この孔３７に軸３８を挿入固着するものであ
る。図示の場合、ローラ３６とローラ３６は互いに接触
させているが、挟まれた苗７が落下しない程度の間隙を
設けてもよい。

また、前記軸３８はローラ３６，３６の上部にベヤリン
グ４０を内接したベヤリングケース４１に軸支され、ベ
ヤリングケース４１は腕杆４２に連設されている。この
腕杆４２の両端部は苗移送装置１側に近設して、この苗
移送装置１の取付枠３２に設けた支持板４７に取付けて
ある。

さらに、ローラ３６，３６を回転させる方法を説明する
と、各ローラ３６，３６を取付けた軸３８の上部に隣り
のローラ３６の軸３８と互いに噛合した歯車４３を連設
させる。この軸３８のうち、任意の軸を上側に延出させ
て駆動軸４５を設け、この駆動軸４５の上部にスプロケ
ット４６を取付ける。そして、取付枠３２に固着した支
持板４７に設けたモータなどの駆動装置４８の軸４９に
取付けた駆動スプロケット５１などと、前記スプロケッ
ト４６をローラチェーン５２を介して連動連結し、それ
により一対をなす各ローラ群を互いに内向き方向に回転
させる。

なお、図示していないが、スプロケット４６，５１に代
えてＶプーリを使用してもよい。

続いて、前記姿勢制御装置３５の下方に位置する苗整列
装置８を簡単に説明する。この苗整列装置８に於いて、
取付枠３２の先端から下方に下げた位置に設けられた支
持板４４の内方には支持枠５３が配設され、この支持枠
５３の内側に苗ホルダー１０が設けられている。

前記支持枠５３は四角形の枠からなり、その両側板から
それぞれ突出した駆動支軸５４と支軸５５を前記支持板
４４の両側部に軸支させている。そして、支持板４４に
アーム５６を介してモータなどの駆動装置５７を取付
け、その駆動軸５８に偏心カム６０を取付け、この偏心
カム６０を前記駆動支軸５４と一体に設けた当て板６１
に接触させ、且つ支持枠５３の重心を前記支軸の位置よ
りずらして設けてある。したがって、偏心カム６０の回
転により、支持枠５３は所定の角度範囲で駆動支軸５４
と支軸５５を支点として回動傾斜できるものである。

また、苗ホルダー１０は、２枚の平板６２，６２を共通
の軸６３に回動自在に支持させた蝶番構造であり、前記
の平板６２，６２を所定の間隔で複数組並設して構成さ
れる。しかも、隣接する軸６３，６３に設けられる平板
６２と平板６２の間は開閉自在に設けられている。しか
して、前記苗ホルダー１０の中心、つまり、隣接する軸
６３，６３に設けられている平板６２，６２の中間部
は、苗移送装置１を構成する各伝動用コンベヤー３のピ
ッチに揃えて、このコンベヤー上の苗が苗ホルダー１０
の中央に落下するように配設されている。

前記苗ホルダー１０を構成する左右の平板６２，６２を
回動させる手段を説明する。左右の平板６２，６２の外
端面にピン６５，６５が左右側でそれぞれ上下に位置を
ずらして設けられている。６６，６７は上下２段に並行
に、且つ横方向に延長して設けられている連結棒であ
る。各連結棒６６，６７に所定の間隔を於いて長孔状の
係合孔（図示省略）が設けられており、この係合孔が前
記左右の平板６２，６２のピン６５，６５に係合されて
いる。

また、６９は支持枠５３に設けられた台７０に取付けら
れているソレノイド等の作動装置である。この作動装置
６９のリンク７１には、ピン７２を介して、腕杆７３が
連結されている。腕杆７３は支軸７４を介して支持枠５
３に揺動自在に支持されている。そして、支軸７４を挟
んでその上下側にピン７５，７５を介して連結棒６６，
６７を連結している。

したがって、作動装置６９の可動部が直線運動すること
により、リンク７１、腕杆７３を介して上下の連結棒６
６，６７がそれぞれ左右に交互に直線運動する。この
時、２枚一組の平板６２，６２は、それぞれ軸６３を支
点として揺動し、隣合って位置する軸６３，６３に配設
された平板６２，６２の間を開閉するもので、閉じてい
る時これら各平板６２，６２の間に苗７を保持し、開い
ているとき下方に落下させることができる。

〔実施例の作用〕

ハウス内で育苗用苗箱２５により苗７を生育させ、この
育苗用苗箱２５を苗箱送り装置１６の苗箱載台１７に載
置して、苗押出し装置２１を作動させ、押出し杆２２に
より横一列の苗室の苗７を前方の苗移送装置１側に押出
す。それにより、苗７は苗移送装置１を構成するコンベ
ヤー３の摺接杆６，６，…により矯正されながら移送さ
れ、且つ所定のピッチ間隔にて、姿勢制御装置３５を構
成するローラ３６，３６に送り込まれる。このローラ３
６，３６は互いに内向き巻込み方向に回転して苗７を巻
込む時、苗７の根に付着した土１５は互いに接触するロ
ーラ３６，３６によって砕かれて下方に落下して苗７か
ら分離される。

しかも苗７は、苗移送装置１によって移送された状態の
姿勢で苗７の葉先から瞬時にローラ３６，３６に巻込ま
れ、苗整列装置８の苗ホルダー１０に常に一定の姿勢で
放出される。

なお、苗ホルダー１０内の苗７を苗並べコンベヤー１２
の下側テープ１３上に落下させるには、作動装置６９を
作動させ、各平板６２，６２の間を開く。それにより、
閉じた状態の平板６２，６２で保持されていた苗７は下
方に落下するものである。

また、偏心カム６０により駆動装置５４と支軸５５を支
点として支持枠５３が回動傾斜する時、苗ホルダー１０
内の苗７は傾斜下方に移動して、苗７の根元部が揃えら
れて下方に落下する。

以上のように、苗並べコンベヤー１２に整列された苗７
は、苗巻取機３０により２本のテープ１３，１３ａによ
ってテープ巻苗７７を作り、これをテープ式自動供給移
植機にセットして苗を圃場に移植することができるもの
である。

〔考案の効果〕

本考案に係る苗自動供給装置に於ける姿勢制御装置によ
ると、次の効果がある。

ハウス内でかん水を少なくして生育された苗を育苗
用苗箱から苗押出し装置の押出し杆により横一列に苗を
押出した時、苗の葉部は柔軟性があっても、苗移送装置
の放出端に設置した苗の姿勢制御装置のローラにより、
苗葉の先端より確実に巻込まれて、スムーズに次の苗整
列装置の苗ホルダーに移送することができる。よって、
苗巻取機での人手による補給が不要になり、人件費など
のコストが低減し、経済的である。

また、ハウス内で育苗用苗箱を床土より取外す前
に、かん水を多くすることにより苗室内の土壌に水分量
が多かった場合や、粘土のような粘性のある土壌を多量
に混合した場合には、苗が育苗用苗箱より押出された
時、根に多量の土が付着したまま苗移送装置により移送
されても、姿勢制御装置のローラにより土が根から分離
され、土は下に落下し、苗のみ放出させるので、苗の姿
勢を常に安定して、苗整列装置の苗ホルダーに一定の整
列状態にして収納することができる。

苗の根に付着した土の分離が可能であるため、苗巻
取機のテープ上に苗のみが落下し、苗を巻取りテープ苗
として構成しても、苗とテープの密着性が良好となり、
苗と苗のピッチは一定になる。このため、苗を圃場に移
植すると株間が一定となり、作物の生育状態が良く、収
穫時には安定がよく、経済的に向上するというすぐれた
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る姿勢制御装置を苗自動供給装置に
取付けた状態を示す概略斜視図、第２図は同一部切欠側
面図、第３図は同一切欠平面図、第４図は同一部切欠正
面図、第５図は従来例の一部切欠側面図である。 １…苗移送装置、２…放出端、８…苗整列装置、１０…
苗ホルダー、１３，１３ａ…テープ、１６…苗箱送り装
置、２１…苗押出し装置、２２…押出し杆、２５…育苗
用苗箱、３５…姿勢制御装置、３６…ローラ、４２…腕
杆。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の苗室に苗を生育させた育苗用苗箱
   を、苗箱送り装置に起立状に載置させ、苗押出し装置に
   より横一列の苗室毎に苗を前方に押出して、苗移送装置
   により所定ピッチ間隔毎に順次前方に移送し、前記苗移
   送装置の放出端側に枠材を四角形に組んでなる支持枠を
   設置し、この支持枠の内側に、苗移送装置より放出され
   た苗を一旦保持した後、下方に配置した苗巻取機のテー
   プ上に落下させるようにした苗ホルダーを設けてなる苗
   自動供給装置に於いて、 前記苗移送装置の放出端側に駆動装置により互いに内向
   き巻込み方向に回転する一対の弾性体からなるローラ
   を、苗移送装置により移送される各苗に対向して所定ピ
   ッチ間隔毎に配設したことを特徴とする苗自動供給装置
   に於ける姿勢制御装置。