JPH06258524A - 負の固有複屈折値を有するフィルム及び該フィルムを用いた液晶表示装置 - Google Patents

負の固有複屈折値を有するフィルム及び該フィルムを用いた液晶表示装置

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JPH06258524A
JPH06258524A JP5048115A JP4811593A JPH06258524A JP H06258524 A JPH06258524 A JP H06258524A JP 5048115 A JP5048115 A JP 5048115A JP 4811593 A JP4811593 A JP 4811593A JP H06258524 A JPH06258524 A JP H06258524A
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film
polymer
liquid crystal
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negative intrinsic
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JP5048115A
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Junichi Yamanouchi
淳一 山之内
Kentaro Shirato
健太郎 白土
Satoru Toda
悟 戸田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】一軸延伸されたスチレン系重合体フィルムであ
って、該フィルムが主鎖または側鎖に少くとも不飽和二
重結合を有するポリマーに対して少くともスチレン系モ
ノマーを含む1種以上のモノマーを付加重合したグラフ
ト重合体と多価カチオンの少くとも1種を含む負の固有
複屈折値を有するフィルム。 【効果】フィルムのもろさが改良され、それを液晶表示
装置に用いると視野角が改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ツイステッドネマティ
ック液晶、又はコレステリック液晶を使った液晶表示装
置に関するものである。さらに、本発明は該液晶装置の
着色補正及び視野角増大のために用いる位相差フィルム
に関し、さらに詳しくは膜の脆性・強度が改良され、か
つ、着色補正及び視野角増大の特性に優れた位相差フィ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、低電圧、低消費電力で
IC回路への直結が可能であること、表示機能が多様で
あること、高生産性軽量化が可能であること等多くの特
長を有し、その用途は拡大してきた。ワードプロセッサ
やパーソナルコンピュータ等のOA関連機器に用いるド
ットマトリクス形液晶表示装置には現在、液晶分子のツ
イスト角が160°以上のツイステッドネマチック液晶
表示装置(以後STN−LCD)が実用化され主流にな
っている。それはSTN−LCDが従来のツイスト角が
90°のツイステッドネマチック液晶表示装置(TN−
LCD)に比べ、高マルチプレックス駆動時においても
高コントラストが維持できることによっている。
【0003】STNは液晶表示装置の外観の色相を白く
することは不可能であり、緑色から黄赤色の色味を呈
し、表示装置として不適当であった。この問題を解決す
るために一対の偏光板の間に一層又は複数3層の光学異
方体を備える方法が提案されている。この場合一対の偏
光板の一方を通過した直線偏光が液晶素子の液晶層と光
学異方体を通過したとき約400nmから約700nm
の波長域において長軸方向のほぼ揃った楕円偏光が得ら
れる。結果的には、もう一方の偏光板を通過した時に特
定の波長域が遮断されることはなく、白色光となるもの
である。
【0004】又、STN−LCDに着色除去用として利
用される位相差板単独の特許出願も見られる。例えば特
開昭63−189804号は、偏光顕微鏡によるレター
デーション(複屈折値とフィルム厚みの積)の測定値が
200〜350nmもしくは475〜625nmになる
ように一軸方向に延伸したポリカーボネートフィルムに
関するものである。
【0005】又、特開昭63−167304号は、一軸
方向に延伸処理した複屈折性を有するフィルム又はシー
トを、その光学的主軸が直交するように2枚又はそれ以
上重ねたフィルム積層体に関するものである。上記発明
においては二枚の複屈折フィルム(各々のレターデーシ
ョン値がR1 、R2 )を直交して2枚重ね合わせると積
層体のレターデーションが|R1 −R2 |の位相差フィ
ルムが得られることを利用して、R1 、R2 が大きなレ
ターデーション値を有していても|R1 −R2|を90
〜180nm、200〜350nm、475〜625n
m等の範囲に調節できるという効果を狙ったものであ
る。
【0006】上記発明は全てSTN−LCDの着色除去
を目的としたものであり、その点に関して大幅に改善さ
れ、白/黒表示に近いものが得られている。又、高分子
の複屈折フィルム(以後位相差フィルム)を使用する方
法はコストメリットもあり需要が急速に拡大している。
【0007】しかしながら、この位相差フィルムにおい
ては液晶ディスプレイを真正面から見たときには着色の
除去がほぼ達成できるものの斜めからディスプレイを見
た場合には、わずかな角度変化による着色や画面の表示
内容が消失するというSTN−LCD全般に見られる視
角特性の問題点は解消されておらず、この問題はSTN
−LCDの重大な課題となっている。
【0008】さらに詳細に説明すると、固有複屈折値が
正のポリマーの縦一軸延伸フィルムの延伸軸方向の屈折
率をnMD、延伸軸と直交する方向の屈折率をnTD、フィ
ルム面法線線方向の屈折率をnNDとすると、各々の屈折
率の大小関係は下式で表される。
【0009】
【数1】
【0010】従って入射光がフィルム面に垂直に入る場
合、Re=(nMD−nTD)dとなる。次に入射光が延伸
方向に直交する面を通る場合、複屈折値は入射角の変化
に伴って△n=nMD−nTDから△n=nMD−nNDの範囲
で変化する。ここで下式の関係の関係が成り立つので△
nは斜入射によって無変化又は増大する。
【0011】
【数2】
【0012】一方光路長は斜入射によって増大するた
め、Re=△n・dは斜入射に伴って急激に増大するこ
とになる。
【0013】又、入射光をフィルム法線方向から延伸軸
方向に傾けて入射した場合、△nはnMD−nNDからnND
−nTDまで急激な変化を伴うため、光路長の増大によっ
てもその減少を補償しきれず斜入射に伴ってRe=△n
・dは急激に減少する。原理的にはレターデーションの
変化率が最も小さい一軸延伸フィルムはnMD>nTD=n
NDの場合であるが、この場合においてもReは斜入射に
伴う光路長の増大によって大きく変化してしまう。
【0014】このような、STN−LCDの視野角の問
題点を位相差フィルムの三次元方向の屈折率を変化させ
ることによって改善できないかどうかの検討も行われて
いる。例えば特開平2−256023号にはフィルムの
複屈折値(△n)と厚み(d)の積として定義されるレ
ターデーション(Re)の視角依存性とLCDの視野角
が密接な関係にあることに基づき、フィルムの法線方向
に実質的に光軸を有するフィルム、具体的には負の固有
複屈折値を有する二軸延伸フィルムと正の固有複屈折値
を有する一軸延伸フィルムとの積層フィルムを液晶セル
と偏光板の間に挿入することによって視野角を大幅に改
善できることが開示されている。
【0015】また、特開平3−206422号には、正
の固有複屈折値を有するポリマーの一軸延伸フィルムと
負の固有複屈折値を有するポリマーの一軸延伸フィルム
の積層体を液晶セルと偏光板の間に挿入することにより
液晶表示装置における視角特性を大幅に改善できること
が開示されている。同様に正と負の固有複屈折を有する
フィルムの積層に基づく視野角の問題改良については、
特開平3−24502号にも開示がなされている。上記
の特許で用いられる負の固有複屈折を有するフィルムと
して開示されているものはいずれもスチレンモノマーを
用いた単独あるいは共重合体である。
【0016】本発明者らはスチレン系共重合体の視野角
特性、耐熱性、脆性(一軸延伸時の破断、加工時の割
れ、液晶表示装置として組み上げた後の熱履歴による割
れ)等の改善を主眼とした改良を鋭意行い、共重合構造
及び共重合比、あるいは延伸条件等によって、性能の改
良された負の固有複屈折を有するフィルムを用いた位相
差フィルムについて特許出願を行った(特開平4−21
5602号、特願平3−293648号、同3−474
42号、同4−321955号)。
【0017】これらのうちでも、主鎖または側鎖に少く
とも不飽和二重結合を有するポリマーに対し、少くとも
スチレン系モノマーを付加重合したグラフト重合体(特
願平4−321955号)はフィルムの脆性改良の点で
顕著な効果を有するものであった。
【0018】しかしながら、このようなグラフト重合体
においても、フィルムの延伸条件によっては(特に、延
伸倍率を大きくしたり、高温で延伸を行った場合に)、
位相差フィルムの脆性が必ずしも十分でないことがあっ
た。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は第一に
製膜、加工時及び液晶表示製品において、膜のもろさ及
び割れやすさを著しく改良することが可能なスチレン系
共重合体組成物及びそれを用いた位相差フィルムを提供
することにある。本発明の目的は第二に、上記の優れた
膜物理性を有し、かつ熱による複屈折値の変化が少く、
視野角改善効果の優れた位相差フィルムを提供すること
にある。本発明の目的は、第三に、上記の優れた特性を
有する位相差フィルムを用いて、性能の改良された液晶
表示装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の前記目的は以下
の手段により達成された。 (1) 一軸延伸されたスチレン系共重合体フィルムであっ
て、該フィルムが主鎖または側鎖に少くとも不飽和二重
結合を有するポリマーに対して少くともスチレン系モノ
マーを含む1種以上のモノマーを付加重合したグラフト
重合体と多価カチオンの少くとも1種含むことを特徴と
する負の固有複屈折値を有するフィルム。 (2) 多価カチオンが、カルシウムイオンであることを特
徴とする前記(1)に記載の負の固有複屈折値を有する
フィルム。
【0021】(3) 主鎖または側鎖に少くとも不飽和二重
結合を有するポリマーが、共役ジエン構造を有する単量
体より誘導される繰返し単位を有し、かつそのガラス転
移温度が30℃以下であることを特徴とする前記(1)
または(2)に記載の負の固有複屈折値を有するフィル
ム。 (4) 対向する2枚の電極基板間にねじれ配向したネマチ
ック液晶を挟持してなる液晶素子と負の固有複屈折値を
有する少くとも1枚のフィルムとを備えた液晶表示装置
において、負の固有複屈折値を有するフィルムが前記
(1)、(2)、たは(3)に記載のフィルムであるこ
とを特徴とする液晶表示装置。
【0022】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明の位相差フィルムに用いるグラフト重合体は、主鎖
または側鎖に少くとも不飽和二重結合を有するポリマー
((A)と称する)に対して、少くともスチレン系モノ
マーを1種以上のモノマー((B)と称する)を付加重
合したグラフト重合体(本発明のポリマー(C)と称す
る)である。
【0023】まず本発明のグラフト重合体(C)のいわ
ゆる幹を構成するポリマー(A)について説明する。ポ
リマー(A)は具体的には、主鎖または側鎖に少くとも
不飽和二重結合の繰返し単位を有するポリマーである。
この繰返し単位は、好ましくは共役ジエン構造を有する
単量体の重合によって誘導されるものである。
【0024】具体的な共役ジエン構造を有する単量体の
好ましい例としては、1,3−ブタジエン、イソプレ
ン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタ
ジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,
3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,
3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエ
ン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−
ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−
ブタジエン、1−ブロム−1,3−ブタジエン、1−ク
ロルブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、
2,3−ジクロル−1,3−ブタジエン、1,1,2−
トリクロル−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3
−ブタジエン等を挙げることができ、このうち、1,3
−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタ
ジエンが特に好ましい。
【0025】また、本発明のポリマー(C)の幹を構成
するポリマー(A)は、上記のジエン構造を有する単量
体以外の疎水性単量体が共重合されていてもよい。この
ような疎水性単量体の例としては、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、イソブテン、スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルケトン、脂肪族酸のモノエチレン性不飽
和エステル(例えば酢酸ビニル、酢酸アリル)、エチレ
ン性不飽和のモノカルボン酸もしくはジカルボン酸のエ
ステル(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリ
レート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタ
クリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジル
メタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシ
ルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、t
−ブチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2
−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート)
【0026】またはアミド(例えばt−ブチルアクリル
アミド、t−ブチルメタクリルアミド)、モノエチレン
性不飽和化合物(例えばアクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル)等を挙げることができる。このうち、エチレ
ン、プロピレン、スチレン、α−メチルスチレン、アク
リル酸もしくはメタクリル酸のエステル、アクリロニト
リル、メタクリロニトリルが特に好ましい。
【0027】上記の共役ジエン構造を有する単量体、そ
の他の疎水性単量体はそれぞれ2種以上を用いてもよ
い。共役ジエン構造を有する単量体の重合により、ポリ
マー(A)中に導入される不飽和構造は、当該分野でよ
く知られているようにシス−1,4結合であってもよい
し、トランス1,4−結合、あるいはトランス1,2−
結合であってもよい。
【0028】また、ポリマー(A)はジエン構造を有す
る単量体より誘導される単独重合体であってもよいし、
他の疎水性単量体との共重合体であってもよい。共重合
体の場合、各モノマーが任意の割合で共重合されたいわ
ゆるランダム共重合体でもよいし、ブロック共重合体で
もよい。このような共役ジエンモノマーの重合体及び合
成法に関しては、例えば村橋俊介他編「合成高分子II、
1975年、朝倉書店発行」171頁〜308頁に詳細
に記載されている。
【0029】以上述べてきた、ポリマー(A)の好まし
い具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体(一
般にSBRと呼ばれ、溶液重合SBRと乳化重合SBR
がある。溶液重合SBRとしては、ランダム重合体の他
に前記のブロック共重合体(例えば、ブタジエン−スチ
レンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレ
ンブロック共重合体)がある)、
【0030】ブタジエン単独重合体(例えばシス−1,
4−ブタジエン、トランス−1,2−ブタジエン、ある
いは、これらとトランス−1,4−ブタジエン構造の混
在したゴム)、イソプレン単独重合体(立体構造の例
は、ブタジエン重合体に同じ)、スチレン−イソプレン
共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体)、エ
チレン−プロピレン−ジエン共重合体(ジエン単量体と
しては、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエ
ン、エチリデンノルボルネン等)、
【0031】アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、
クロロプレン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重
合体、ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体(アク
リル酸エステルとしては、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル等)、ブタジエン−アクリル酸エステル−アク
リロニトリル共重合体(アクリル酸エステルとしては前
記に同じ)等を挙げることができる。
【0032】ポリマー(A)自身のガラス転移温度(T
g)は、位相差フィルムの膜物理性の改良のために重要
であり、Tgとして50℃以下好ましくは30℃以下で
あり、特に好ましくは0℃以下である。またポリマー
(A)中の共役ジエン単量体成分の占める割合について
は上記のガラス転移温度の範囲内であれば特に制限はな
いが10ないし100重量%の範囲が好ましい。
【0033】次にポリマー(A)に対して付加重合する
ことにより、グラフト重合体(C)を得るために用いら
れる単量体(B)について説明する。本発明の重合体
(C)に於いて、ポリマー(A)を幹と称するならば、
単量体(B)の重合体は(A)を起点にしてくし状に伸
びた繰返し単位を有する枝と称することができる。
【0034】本発明に於いて、グラフト重合を行う際の
単量体(B)は少くともスチレン系モノマーを含む1種
以上の単量体である。スチレン系単量体としては、具体
的には、スチレン及びα−メチルスチレン、o−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、
p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボ
キシルスチレン、p−フェニルスチレン、2,5−ジク
ロロスチレン、p−t−ブチルスチレンの如きスチレン
誘導体が含まれ、このうち、スチレン、あるいはスチレ
ンと他のスチレン誘導体の組合せが特に好ましい。
【0035】また、単量体(B)としては、上記のスチ
レン系単量体以外の他の単量体が含まれていてもよく、
この様な単量体としては、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、メタアクリ
ル酸メチル、メタアクリル酸エチル、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸、メタクリル酸、ブタジエン、イソプレン、無水マレ
イン酸、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン等を挙げる
ことができ、このうち、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリルが特に好ましい。これらは、単独で、スチレン
系誘導体と共重合してもよいし、複数用いてもよい。
【0036】本発明に用いられるグラフト共重合体
(C)に於ける幹成分ポリマー(A)の割合は、その構
造により、膜物理性能への寄与が変化しうることから一
義的に決めることは難しいが、膜物理性能の改良に必要
な量あるいは、多すぎると膜が柔軟化しすぎて、熱によ
るポリマー分子配向緩和が起こりうることを勘案すると
好ましくは1ないし30重量%、特に好ましくは3ない
し20重量%である。
【0037】重合体の分子量は特に小さいものでなけれ
ば大きな制約はないが、溶液からの製膜を行う場合のポ
リマー溶液の粘度等を勘案すると重量平均分子量で10
万から100万の範囲が好ましく、特に好ましくは15
万から50万の範囲である。グラフトポリマー(C)に
於ける全構成成分中のスチレン系単量体成分の占める割
合は、複屈折特性発現の観点から重量で30%以上が好
ましく、特に好ましくは40%以上である。
【0038】本発明のグラフトポリマー(C)は、通常
行われるラジカル重合法(例えば、乳化重合法、溶液重
合法)で合成を行うことが可能である。本発明のグラフ
ト重合体(C)は組成・構造の異なる2種を混合して用
いてもよい。また、グラフト重合体(C)以外の重合体
を混合してもよい。また、重合法にも依るが本発明に於
いて得られる重合体は、グラフト重合体とその他の重合
体例えばグラフト反応をうけない重合体(A)あるい
は、グラフト反応をしなかったスチレン系ランダム共重
合体が混在しうる。
【0039】以下に本発明のグラフト重合体(C)の好
ましい具体例について、 (A)主鎖または側鎖に少なくとも不飽和二重結合を有
するポリマー(幹) (B)少なくともスチレン系モノマーを含む1種以上の
モノマーを付加させたポリマー部分(枝) の形で例示するが本発明はこれに限定されない。つま
り、(A)に対して(B)をグラフト重合したもの、を
表す。(A)、(B)各々のカッコ内の数字の比は、各
成分に於ける単量体の共重合比(重量)を表し、
(A):(B)は対応する幹成分・枝成分のポリマーの
重量百分率比を表す。
【0040】P−1,2 (A)スチレン/ブタジエン
共重合体(23/77) (B)スチレン/アクリロニトリル/α−メチルスチレ
ン(60/20/20) P−1 (A):(B)=10:90 P−2 (A):(B)=5:95 P−3,4 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(2
3/77) (B)スチレン/アクリロニトリル(80/20) P−3 (A):(B)=9.1:90.1 P−4 (A):(B)=7:93 P−5 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(5
0/50) (B)スチレン/アクリロニトリル(75/25) (A):(B)=12.5:87.5
【0041】P−6,7 (A)スチレン/ブタジエン
共重合体(50/50) (B)スチレン/アクリロニトリル/α−メチルスチレ
ン(60/30/10) P−6 (A):(B)=15:85 P−7 (A):(B)=10:90 P−8 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(5
0/50) (B)スチレン/アクリロニトリル(75/25) (A):(B)=10:90 P−9 (A)ポリブタジエン (B)スチレン/アクリロニトリル(70/30) (A):(B)=5:95 P−10 (A)ポリブタジエン (B)スチレン/アクリロニトリル/メタクリロニトリ
ル(75/15/10) (A):(B)=10:90
【0042】P−11 (A)スチレン/ブタジエン
共重合体(50/50) (B)スチレン (A):(B)=12:88 P−12 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(2
3/77) (B)スチレン/メチルメタクリレート/アクリロニト
リル(70/10/20) (A):(B)=10:90 P−13 (A)ポリイソプレン (B)スチレン/t−ブチルスチレン(70/30) (A):(B)=10:90
【0043】P−14 (A)アクリロニトリル/ブ
タジエン共重合体(50/50) (B)スチレン/アクリロニトリル(80/20) (A):(B)=10:90 P−15 (A)アクリロニトリル/ブタジエン共重
合体(25/75) (B)スチレン/アクリロニトリル/α−メチルスチレ
ン(60/20/20) (A):(B)=12:88 P−16 (A)アクリル酸エチル/ブタジエン共重
合体(50/50) (B)スチレン/メチルメタクリレート(80/20) (A):(B)=10:90 P−17 (A)アクリル酸エチル/スチレン/ブタ
ジエン共重合体(40/30/30) (B)スチレン/メタクリロニトリル(75/25) (A):(B)=15:85
【0044】本発明のグラフト重合体は、乳化重合、懸
濁重合、溶液重合、塊状重合等の種々の方法で合成が可
能であるが、多価カチオンの導入の容易さの点で乳化重
合法が好ましい。乳化重合は、水あるいは水と水に混和
しうる有機溶媒(たとえばメタノール、エタノール、ア
セトン、イソプロピルアルコール等)の混合溶媒中でモ
ノマーを乳化させラジカル重合開始剤を用いて一般に3
0℃ないし役100℃、好ましくは40℃ないし約90
℃の温度で行なわれる。水に混和しうる有機溶媒の量は
水に対して体積比で0〜100%、好ましくは0〜30
%である。
【0045】重合反応は、通常重合すべき単量体にたい
し、0.05〜5重量%のラジカル重合開始剤と上記の
界面活性剤の約0.1〜10重量%を用いて行なわれ
る。重合開始剤としては、アゾビス化合物、パーオキサ
イド、ハイドロパーオキサイド、レドックス触媒など、
たとえば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、tert−
ブチルパーオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、
イロプロピルパーカーボネート、2,4−ジクロロベン
ゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサ
イド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオ
キサイド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−ア
ゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライドな
どがある。
【0046】乳化剤としては、アニオン性界面活性剤
(例えばオレイン酸ソーダ、不均化ロジン酸ソーダ、ド
デシル硫酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソー
ダ)、非イオン性界面活性剤(例えばポリオキシエチレ
ンモノノニルフェニルエーテル(エチレンオキシド付加
モル数=30)、ポリオキシエチレンモノドデシルエー
テル(エチレンオキシド付加モル数=20))、カチオ
ン性界面活性剤(例えばN−ドデシルピリジニウムクロ
リド)等を用いることができるが、カルボン酸系のアニ
オン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤が特に
好ましい。
【0047】この際にスチレン系モノマーを含む1種以
上のモノマーは、全量一括で添加してもよいが、重合熱
の回避等の観点から、分割ないし滴下等の手段を用いる
のが好ましい。また界面活性剤は幹を構成するポリマー
調製時に全量添加しておいても良いし、各重合プロセス
で各々分割添加しても良い。
【0048】次に本発明に用いられる多価カチオンにつ
いて説明する。具体例としては、二価のカチオンとして
Ca2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Cu2+、Zn2+、Sn2+、Mn2+、Fe
2+、Pb2+、三価のカチオンとしてAl3+、Fe3+、四価のカ
チオンとしてSn4+、Ce4+等を挙げることができるが、こ
のうちCa2+、Mg2+、Ba2+、Al3+が好ましく、Ca2+が特に
好ましい。
【0049】次に多価カチオンをポリマー中に含有せし
める方法について以下に説明する。本発明において上記
の多価カチオンを含む化合物の大部分はグラフト重合体
及びその溶媒(塩化メチレン等)には溶解しない。した
がって、グラフト重合体の粉末と二価カチオンを含む化
合物を混合、溶融して、製膜を行ったり、グラフト重合
体の有機溶媒溶液に多価カチオン化合物を添加して溶液
からの製膜を行うことは、膜のにごり(ヘイズ)が著し
くなるため、性能の点から問題である。
【0050】本発明では、グラフト重合体を乳化重合法
で製造し、その重合もしくは粉体化工程において水溶性
の多価カチオン化合物をグラフト重合体中に含ませるこ
とで膜の透明性を悪化させないことがわかった。但し、
重合時のラテックスの安定性を勘案すると、粉体化工程
に於いて多価カチオン化合物を含ませることが好まし
い。
【0051】以下にさらに詳細に説明する。乳化重合に
よって得られたラッテクスを粉体化する手段として簡便
なのは、ラテックスと濾過可能なレベルまで凝集させ、
濾過、乾燥を行い粉体とする方法である。乳化重合分野
でよく知られている様に、ラテックスの凝集法に対して
は、ラテックスを凍結したのち解凍する方法や塩を添加
する、あるいは液pHを急激に変化させる等の方法が考
えられる。
【0052】このうち、凍結−解凍法は手間のかかるプ
ロセスで実用性がない。本発明に於いて有用な方法の1
つとしては、多価カチオンの塩の水溶液とラテックスを
混合し、凝集させる方法である。得られた凝集ラテック
スを濾別し、乾燥することにより、多価カチオンを含む
グラフト重合体を得ることができる。また、ラテックス
凝集させ、濾別する際に、多価カチオン化合物の水溶液
にポリマー粉体を含浸させたり、濾別する過程での湿粉
の洗浄液として多価カチオン水溶液を用いてもよい。こ
の場合は、凝集手段として酸性水溶液(好ましくはpH
が3以下)へのラテックスの添加、あるいは多価カチオ
ン化合物を含む酸性水溶液へのラテックスの添加等を好
ましく用いることができる。
【0053】本発明において重合体に対する多価カチオ
ン化合物の導入量は、得られるフィルムの脆性の観点か
らは多い程好ましいが、フィルム透明性(ヘイズ)の観
点から、その導入量には上限があり、グラフト重合体に
対し好ましくは10ないし400ppm特に好ましく
は、20ないし300ppmの範囲である。
【0054】以下に本発明の多価カチオンを含有するグ
ラフト重合体の好ましい合成例を示す。
【0055】合成例1 Ca2+イオンを含む例示化合物P−3の合成 (1) グラフト重合体ラテックスの合成 攪拌装置、還流冷却管を装着した40リットルの反応容
器に、オレイン酸ソーダ88.0g、亜硫酸水素ナトリ
ウム11.2g、炭酸水素ナトリウムの1モル/リット
ル液140g、イソプロピルアルコール2200ml、蒸
留水19.8g、スチレン/ブタジエン(23/77:
重量比)ラテックス(乳化剤としてオレイン酸ソーダを
モノマーに対して3重量%使用、粒子径85nm、固形
分40.5%)2172gを入れ、窒素気流下、65℃
に加熱した。
【0056】過硫酸カリウム12.8gを蒸留水800
gにとかしたものを添加した後、スチレン7040g、
アクリロニトリル1760gの混合液、及び過硫酸カリ
ウム6.4gを蒸留水2000gにとかした液をそれぞ
れ5時間で滴下が完了するように等速で滴下を開始し
た。
【0057】滴下終了後、1時間加熱攪拌を行ったの
ち、過硫酸カリウム6.4gを蒸留水800gにとかし
た液を加え、さらに3時間加熱攪拌を続けた。室温まで
冷却、濾過してラテックス36.1kg(平均粒子径13
6nm:コールターサブミクロンアナライザー(日科
機)で測定)を得た。
【0058】(2) 粉体化 (2) −比較用粉体化合物P−3−Aの合成
【0059】0.32%硫酸水溶液(pH=1.48)
1000gを入れた3リットル三つ口フラスコに、攪拌
しながら上記のラテックス1000gを20分間にわた
って滴下し、ラテックスを凝集させた。滴下完了後30
分かけてフラスコ内塩が85℃となるまで加熱し、さら
に20分間85℃で加熱攪拌を続けた。室温まで冷却し
た後、凝集したポリマー分を濾紙を用いて減圧濾過し、
湿粉を5リットルのイオン交換水で水洗し、乾燥して比
較用ポリマー粉体Aを255g得た。得られた粉体の重
量平均分子量は39.0万であった。
【0060】(2) −カルシウムイオンを含む水溶液を
用いたラテックスの凝集・粉体化 上記(2) −において硫酸水溶液1000gを表1に示
すような塩化カルシウムと硫酸の混合水溶液1000g
にかえた以外は全く同じにして、本発明のポリマー粉体
P−3−1〜P−3−6を作成した。ポリマー粉体中の
Ca2+含量は、蛍光X線測定(原子吸光法で検量線を作製
し補正)により求めた。
【0061】
【表1】
【0062】(2) −カルシウムイオンを含む水による
凝集粉体の洗浄 上記(2) −において、水洗水を表2に示す塩化カルシ
ウム水溶液にかえた以外は全く同じにして本発明のポリ
マー粉体P−3−7〜P−3−11を作成した。また、
上記−1において、凝集したポリマーを遠心濾過し、
水道水を流しながら、1時間かけて洗浄し、乾燥を行っ
た以外は全く同じにした本発明のポリマーP−3−12
を作成した。
【0063】
【表2】
【0064】本発明の複屈折フィルムは前記のようにし
て得られた共重合体を有機溶媒に溶解して、流延し、通
常の延伸法によって延伸して作ることができる。膜厚や
延伸倍率を調整することによってレターデーション値を
調整できる。
【0065】本発明の負の固有複屈折値を有するフィル
ムを、ねじれ配向したネマチック液晶を挟持してなる液
晶素子と組合せて液晶表示装置に導入する際には、本発
明の負の固有複屈折値を有するフィルムの1枚のみを用
いてもよいし、同一またはそれぞれ異なる負の固有複屈
折値を有する2枚以上の位相差フィルムを用いてもよ
い。また正の固有複屈折値を有する少くとも1枚のフィ
ルムと組合せて用いてもよい。
【0066】好ましい態様である正の固有複屈折値を有
するポリマーから形成される一軸延伸フィルムと負の固
有複屈折値を有するポリマーから形成される一軸延伸フ
ィルムとの積層体について説明すると、フィルム法線方
向のレターデーションは互いに加算され、消滅されるこ
となしに全方位斜入射に対してレターデーションの変化
が極めて小さいフィルムや適度なレターデーション変化
を有するフィルムなど、目的により自在にコントロール
できるという優れた効果がある。
【0067】特にこれらの効果が顕著に現われるケース
は、正の固有複屈折値を有するポリマーの一軸延伸フィ
ルムと負の固有複屈折値を有するポリマーの一軸延伸フ
ィルムがその延伸軸が互いに直交するように積層された
ときである。これと同様の効果即ち全方位に対してレタ
ーデーション変化の小さいフィルム積層体は、正の固有
複屈折値を有するポリマーから形成される一軸延伸フィ
ルムと正の固有複屈折値を有するポリマーから形成され
る一軸延伸フィルムとの直交積層体や、負の固有複屈折
値を有するポリマーから形成される一軸延伸フィルムと
負の固有複屈折値を有するポリマーから形成される一軸
延伸フィルムとの直交積層体においては共に実現されな
いものであり、特開平3−206422号の構成によっ
てのみ実現されるものである。
【0068】さて、正の固有複屈折を有するポリマーか
ら形成される一軸延伸フィルムと負の固有複屈折値を有
するポリマーから形成される一軸延伸フィルムとの積層
体においては、各々の一軸延伸フィルムの分子の配向レ
ベルを延伸等によって制御することによって、積層体の
レターデーションの視角依存性をほとんどなくすること
も適度の変化をつけることも自在にコントロールできる
ため、STN−LCDの光学特性に応じて、レターデー
ションの視角特性を適合できるため、STN−LCDに
おける偏光板と液晶セルの間に位相差フィルムとして配
設した場合にSTN−LCDの視野角を大幅に拡大でき
ることが認められた。
【0069】更に詳細に説明すると、90°以上特に1
80°〜330°のねじれ角を有するツイスティッドネ
マティック液晶、又はコレステリック液晶を使った液晶
表示装置における液晶セルの複屈折性に起因する着色現
象をなくすると共に視野角、高コントラスト域の拡大を
可能とする液晶表示装置に関するものであり、フィルム
法線方向のレターデーションに関しては、正の固有複屈
折値を有するポリマーから形成されるフィルムの一軸延
伸におけるレターデーションと負の固有複屈折値を有す
るポリマーから形成されるフィルムの一軸延伸における
レターデーションの加算値が得られる。
【0070】ただし、該正、負の固有複屈折値を有する
ポリマーの一軸延伸フィルムの延伸軸が一致した場合に
はレターデーションは打ち消され、好ましくはない。従
って該フィルム積層体の延伸軸は互いに略直交に配置さ
れるのが好ましい。具体的には該フィルムの延伸軸のな
す角度が70°乃至110°が最も好ましい。
【0071】ただし、該正、負の固有複屈折値を有する
フィルムが液晶セルを介して両側に配置される場合はそ
の限りでない。つまり該フィルムは常に積層されて使わ
れなくても、液晶セルの両サイドに配置されてもよい
し、偏光板の液晶セル側の保護フィルムを兼用しても構
わない。特に偏光板保護フィルムとして使った場合は視
野角拡大の機能と共に低コスト化を実現できるメリット
がある。又、本発明におけるフィルムとは、一般的に考
えられているフィルムだけでなく、ある基材に塗布され
た膜状物も含まれる。又、一軸延伸フィルムとは、純粋
な一軸性フィルムだけでなく、若干二軸性が付与されて
いても本質的に一軸性フィルムとして機能するものであ
れば本発明の対象となる。
【0072】従って、テンター法による横一軸延伸、ロ
ール間の周速の差を利用した縦一軸延伸、この場合幅方
向の延伸時の自然収縮を行う場合も制限する場合も含ま
れる。さて、本発明において正の固有複屈折値を有する
フィルムは、光の透過性が70%以上で無彩色であるこ
とが好ましく、更に好ましくは光の透過性が90%以上
で無彩色である。ここで固有複屈折値(△n°)は分子
が理想的に一方向に配向したときの複屈折値を意味し、
近似的に下式で表される。
【0073】
【数3】
【0074】該、正の固有複屈折値を有するフィルムに
用いるポリマーとして制約はないが、具体的にはポリカ
ーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホ
ン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリオレフィン、
ポリ塩化ビニル、セルロース、ポリエステル系高分子等
が好ましく、特にポリカーボネート系高分子、ポリアリ
レート系高分子、ポリエステル系高分子等、固有複屈折
値が大きく溶液製膜により面状の均質なフィルムを作り
やすい高分子が好ましい。
【0075】又、上記ポリマーは、単にホモポリマーだ
けでなく、コポリマー、それらの誘導体、ブレンド物等
であってもよい。本発明における負の固有複屈折値を有
するフィルムにおいても、光の透過性が70%以上で無
彩色であることが好ましく、更に好ましくは光の透過性
が85%以上で無彩色である。
【0076】固有複屈折値の絶対値は小さくても厚みを
大きくするか延伸倍率を大きくすることによって十分に
利用できるのであるがそれらの制約を受けないために
は、固有複屈折値は好ましくは絶対値で0.02以上、
より好ましくは0.04以上である。又、一旦延伸によ
って配向した分子がLCDの製造工程や表示中での昇温
による配向緩和を防ぐためには素材のTg(ガラス転移
点)が90度以上、より好ましくは100度以上であ
る。また、一軸延伸されて複屈折値を持つフィルムの厚
みは特に制限はないが、10μ〜1mmの範囲が好まし
い。以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。以
下、実施例によって本発明を詳細に説明する。
【0077】
【実施例】
実施例1 前記した本発明の多価カチオンを含んだグラフト重合体
を含む、表3に示すポリマー各170gをメチレンクロ
ライド830gに溶解した。この溶液を10%相対湿度
条件下、乾燥後の膜厚が100μmになるようガラス板
上に流延し、5分間室温で放置した後、45℃の温風で
20分間乾燥し、ガラス板から剥ぎ取った。剥ぎ取った
フィルムを枠に張り付け70℃で1時間乾燥し、更に1
10℃で15時間乾燥した後、Tg+10℃の温度条件下
で市販の引張試験機を用いて200%及び250%の一
軸延伸をし試料とした。次に、得られた試料を以下の評
価に供した。
【0078】(1) ヘイズ 作成したフィルムのうち200%延伸の試料について、
ヘイズメーター(日本電触(株)モデル1001DP)
により5ケ所ヘイズを測定し、その平均値から該フィル
ムのヘイズを求めた。ヘイズの許容レベルは実際上1.
8以下である。 (2) 脆性 延伸方向(MD)に10mm、延伸方向に垂直な方向(T
D)に35mmの試料片を切り出し、図1に示すようにM
Dに平行な折り目ができるようにゆっくりと折り曲げ、
破損する角度θを読みとった。破損しない場合には0°
とした。θは小さい方が好ましく、実際上10°以下で
あることが必要である。
【0079】(3) 耐熱性 図2に示す18cm×16cmトムソン打抜機を用い、MD
が長辺と45°になるようにしてフィルムを打ち抜い
た。打抜いた試料を粘着剤を用いてガラス板に貼り付
け、クロスニコルにした2枚の偏光板の間に試料のMD
が偏光軸と45°になるように置き透過光強度の波長依
存性からレターデーションを測定した後、90℃4時間
及び70℃120時間の熱処理をした後、もう一度レタ
ーデーションを測定し、レターデーションの低下率
(%)を求めた。実際上3%以下であることが必要とさ
れる。また、該熱処理で割れが生じてはならない。以上
の評価結果を表3に示す。
【0080】なお表中に示したポリマーのうちP−3以
外のポリマーに関してはそれぞれ合成例1の方法に準じ
て作成した。すなわち、たとえばP−1−3、P−1−
A、P−6−12は、原料のラテックスが異なる以外は
P−3−3、P−3−A、P−3−12と全くく同じ方
法で作成したことを示す。但し、P−6−8′は、塩化
カルシウムの代わりに塩化マグネシウムを同一量用いた
ものである。
【0081】表3より、本発明においてグラフト重合体
に対し、多価の無機塩を適度に含有せしめることによっ
て、ヘイズ、耐熱性を実質的に変化させることなく、
(特に高延伸倍率域での)脆性の改良が可能となること
が明らかである。
【0082】
【表3】
【0083】実施例2 表3に示したポリマーをメチレンクロライドに溶解し、
20重量%溶液とした。この溶液をステンレスバンド上
に流延し、連続的に剥ぎ取って乾燥し、該フィルムを(T
g+10) ℃の温度条件下で周速の異なるロール間で一軸延
伸し、430nmのレターデーション値を有するロール
フィルムを得た。得られたスチレン系フィルムの片面に
粘着剤のシートを貼り付け、反対側の面に塩化ビニル製
の保護フィルムをラミネートし試料とした。得られた試
料を実施例1と同様の評価したが本発明のグラフト重合
体からなるフィルムが、比較例に比べて脆性に優れてお
り、透明性(ヘイズ)、耐熱性も良いことを確認した。
【0084】実施例3 重量平均分子量10万のポリカーボネートをメチレンク
ロライドに溶解し、20重量%溶液とした。この溶液を
ステンレスバンド上に流延し、連続的に剥ぎ取って乾燥
し、ポリカーボネートフィルムを得た。該フィルムを1
70℃の温度条件下で周速の異なるロール間で一軸延伸
し、430nmのレターデーション値を有するポリカー
ボネート一軸延伸フィルムを得た。得られたポリカーボ
ネーフィルムの両面に実施例2と同様にして粘着剤シー
トと保護フィルムを着け試料とした。
【0085】次に図3の(1) に示す構成のシャープ
(株)製ワードプロセッサーWD−A550の液晶セル
の前後にある位相差フィルムを取り除き、後の位相差フ
ィルムのかわりに該ポリカーボネートフィルムを配設
し、前の位相差フィルムのかわりに実施例2の該スチレ
ン系フィルムのうちで、脆性の良かった本発明の多価カ
チオンとグラフト重合体、またはP−3−Aからなるフ
ィルムを配設した。但し、各フィルムの光軸は図3(2)
に示すよう購入時と全く同一にした。得られた液晶パネ
ルの表示特性として、駆動状態と非駆動状態における正
面からのコントラスト比及び着色度、コントラスト比が
2以上になる角度(視野角)を評価した。結果を表4に
示す。
【0086】比較例1 実施例3で使用したワードプロセッサーWD−A550
の購入時表示特性を評価した。結果を表4に示す。
【0087】比較例2 実施例3において前後の位相差フィルムのかわりに両方
とも該ポリカーボネートフィルムを用い、表示特性を評
価した。結果を表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】表4より、視野角については、比較例1、
2と比べ、本発明のフィルムははるかに優れている。ま
た、視野角、コントラスト比、着色とも本発明のフィル
ムは、比較のポリマーP−3−Aと同等の性能を示すこ
とができ、かつ実施例1、2に記載のように脆性を改良
できることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】脆性測定機に試料をとりつけたところを示す。
【図2】トムソン打抜機の断面を示す。
【図3】 (1) は、WD−A550の液晶セルの構成を示す。 (2) は、 〃 の正面から見た光軸
構成を示す。
【符号の説明】
θ:折り曲げ角 a:試料 b:押え板(塩化ビニル製) c:剛鉄製の刃 d:ゴム製マット e:木製の台 BL:バックライト P1 :偏光板 D1 :後の位相差板 LC:液晶セル D2 :前の位相差板 P2 :偏光板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一軸延伸されたスチレン系重合体フィル
    ムであって、該フィルムが主鎖または側鎖に少くとも不
    飽和二重結合を有するポリマーに対して少くともスチレ
    ン系モノマーを含む1種以上のモノマーを付加重合した
    グラフト重合体と多価カチオンの少くとも1種を含むこ
    とを特徴とする負の固有複屈折値を有するフィルム。
  2. 【請求項2】 多価カチオンが、カルシウムイオンであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の負の固有複屈折値
    を有するフィルム。
  3. 【請求項3】 主鎖または側鎖に少くとも不飽和二重結
    合を有するポリマーが、共役ジエン構造を有する単量体
    より誘導される繰返し単位を有し、かつそのガラス転移
    温度が30℃以下であることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の負の固有複屈折値を有するフィルム。
  4. 【請求項4】 対向する2枚の電極基板間にねじれ配向
    したネマチック液晶を挟持してなる液晶素子と負の固有
    複屈折値を有する少くとも1枚のフィルムとを備えた液
    晶表示装置において、負の固有複屈折値を有するフィル
    ムが請求項1、2または3に記載のフィルムであること
    を特徴とする液晶表示装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006525154A (ja) * 2003-05-01 2006-11-09 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 光学フィルムの反りを低減するための材料、構造、および方法
JP2006313335A (ja) * 2005-04-08 2006-11-16 Asahi Kasei Chemicals Corp 位相差板

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