JP3086363B2 - 位相差フィルム及びそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

位相差フィルム及びそれを用いた液晶表示装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に液晶表示装置の着
色補正および視野角増大の為に用いる位相差フィルム及
びその位相差フィルムを備えた液晶表示装置に関する
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、低電圧、低消費電力で
IC回路へ直結して駆動することができること、表示機
能が多様であること、高生産性や軽量化が可能であるこ
と等の多くの特徴を有している。このため、その用途は
拡大している。ワードプロセッサやパーソナルコンピュ
ータ等のOA関連機器に用いるドットマトリクス形液晶
表示装置には現在、液晶分子のツイスト角が160°以
上のツイステッドネマチック液晶表示装置(以後STN
−LCD)が実用化され、主流になっている。これは、
STN−LCDは、従来のツイスト角が90°のツイス
ティッドネマティック液晶表示装置(以後TN−LCD
と呼ぶ)に比べて、高マルチプレックス駆動時において
も高コントラストが得られるためである。
【0003】STN−LCDでは、STN液晶に基づく
楕円偏光により、液晶表示装置の表示の色相が緑色から
黄赤色の色相を呈する。これを解決するため、STN液
晶の複屈折による位相差を補償し、楕円偏光を直線偏光
に戻して着色を打ち消す対策が講じられている。その対
策としては、液晶セルを光学異方体として用いる方法
(NTNモード)、高分子の一軸延伸フィルムを用いる
方法(FTNモード)が提案されている。NTNモード
では、液晶表示装置の一対の偏向板の間に光学異方体と
して液晶セルを一層ないし複数層を設けている。この場
合、一方の偏向板を通過した直線偏光は、液晶素子の液
晶層と光学異方体を通過した時に約400nmから約7
00nmの波長域において長軸方向にほぼ揃った楕円偏
光として得られる。その結果、もう一方の偏向板を通過
した時には特定の波長域が遮断されることなく白色光と
なる。このように、NTNモードは白黒表示では優れて
いるものの、複数の液晶セルを使用するため、高価であ
ること、さらに得られる表示装置が体積、重量共に大き
くなるなどの問題がある。
【0004】FTNモードとして、特開昭63−189
804号公報に偏光顕微鏡によるレターデーション(フ
ィルムの複屈折値(Δn)と厚み(d)の積)の測定値
が200〜350nmもしくは475〜625nmにな
るように一軸方向に延伸したポリカーボネートフィルム
の使用が提案されている。
【0005】また、特開昭63−167304号公報に
は、一軸方向に延伸処理した複屈折性を有するフィルム
またはシートを、光学的主軸(延伸軸)が直交するよう
に二枚以上積層したフィルム積層体が開示されている。
このように、二枚の複屈折フィルム(各レターデーショ
ン値がR、R)を直交して重ねるとその積層体のレ
ターデーションが│R−R│の位相差のフィルムが
得られることを利用することにより、R、Rが大き
なレターデーション値を有していても│R−R│を
90〜180nm、200〜350nm、475〜62
5nm等の範囲に調節することできるので、これによ
り着色を防止できる。
【0006】上記公報は、STN−LCDのFTNモー
ドによる着色除去を目的としたものであり、この点に関
しては改善され白黒表示に近いものが得られる。また、
前記したように、高分子の複屈折フィルム(以後位相差
フィルム)を用いる方法(FTNモード)によれば、得
られる液晶装置が軽量且つ安価であるので、需要の拡
大、その発展に対する期待も大きい。
【0007】しかしながら、この位相差フィルムにおい
ては液晶ディスプレイを真正面から見たときには着色の
除去がほぼ達成できるものの斜めからディスプレイを見
た場合には、わずかな角度変化による着色や画面の表示
内容が消失するというSTN−LCD全般に見られる視
角特性の問題点は解消されておらず、この問題はSTN
−LCDの重大な課題となっている。
【0008】従来から、位相差フィルム用のポリマーと
しては、主に固有複屈折値が正のものが用いられてい
る。図3には、固有複屈折値が正のポリマーの縦一軸延
伸フィルムの延伸軸方向の屈折率nMD、延伸軸と直交す
る方向の屈折率nTDおよびフィルム面法線方向の屈折率
NDが示されている。これらの屈折率の大小関係は、n
MD>nTD≧nNDとなる。従って、入射光がフィルム面に
垂直に入る場合、レターデーションは、Re=(nMD
TD)d{ただし、Re:レターデーション、d:フィ
ルムの厚さ}となる。次に入射光が延伸方向に直交する
面を通る場合、複屈折値は入射角の変化に伴って、Δn
=nMD−nTDからΔn=nMD−nNDの範囲で変化する。
ここで、nMD−nTD≦nMD−nNDであるため、Δnは斜
入射の入射角によって無変化または増大する。一方、光
路長は斜入射により急激に大きくなるため、Re=Δn
・dは斜入射により急激に増大する。一方、入射光がフ
ィルム法線方向から延伸軸方向に傾けて入射した場合、
ΔnはnMD−nTDからnND−nTDまでの急激な変化を伴
うため、光路長の増大によってもその減少を補償するこ
とができず、斜入射の入射角増に伴ってRe=Δn・d
は急激に減少する。原理的にはレターデーションの変化
率が最も小さいといえる一軸延伸フィルムは、すなわち
MD>nTD=nNDの場合であるが、この場合もReは斜
入射に伴う光路長の増大によって大きく変化する。
【0009】このような、STN−LCDの視野角の問
題点を解決するため、位相差フィルムの三次元方向の屈
折率を変化させるとの観点からも検討が行われている。
例えば特開平2−256023号公報には、フィルムの
複屈折値(△n)と厚み(d)の積として定義されるレ
ターデーション(Re)の視角依存性とLCDの視野角
が密接な関係にあるとの知見に基づき、フィルムの法線
方向に実質的に光軸を有するフィルム、具体的には負の
固有複屈折値を有する二軸延伸フィルムと正の固有複屈
折値を有する一軸延伸フィルムとの積層フィルムを液晶
セルと偏光板の間に挿入することによって視野角を大幅
に改善できることが開示されている。
【0010】また、特開平3−206422号公報に
は、正の固有複屈折値を有するポリマーの一軸延伸フィ
ルムと負の固有複屈折値を有するポリマーの一軸延伸フ
ィルムの積層体を液晶セルと偏光板の間に挿入すること
により液晶表示装置における視角特性を大幅に改善でき
ることが開示されている。同様に正と負の複屈折を有す
るフィルムの積層に基づく視野角の問題改良について
は、特開平3−24502号公報にも開示がなされてい
る。上記の特許で用いられる負の複屈折を有するフィル
ムとして開示されているものはいずれもスチレンモノマ
ーを用いた単独あるいは共重合体である。
【0011】本発明者らはスチレン系共重合体の視野角
特性、耐熱性等の改良を主眼とした改良を鋭意行い、共
重合構造及び共重合比、あるいは延伸条件等を特定の条
件にすることによって、性能の改善された負の固有複屈
折値を有するフィルムを用いた位相差フィルムの特許出
願を行った(特願平2−316440号、特願平2−4
10080号、特願平3−47442号)。しかしなが
ら、以上述べたスチレン系モノマーを主とした重合体
は、いずれも脆いものであり、一軸延伸時に破断しやす
い、延伸後のフィルムの加工時(裁断・打ち抜き)に割
れやすい、液晶表示装置として組み上げた後の熱履歴に
より、割れが生じやすいという問題を有していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、膜の脆性及
び割れやすさが著しく改善され、そして熱による複屈折
値の変化が少く、視野角改善効果の優れた位相差フィル
ムを提供することを目的とする。また、本発明は、上記
の優れた特性を有する位相差フィルムを用いて、性能の
改良された液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は、不飽和二重
結合を有するポリマーに対して少なくともスチレン系モ
ノマーを含むモノマーを付加重合によりグラフト化させ
ることによって得られるグラフト共重合体を含む負の複
屈折を有する一軸延伸フィルムからなることを特徴とす
る位相差フィルム、及び対向する二枚の電極基板間にね
じれ配向したネマチック液晶を封入してなる液晶素子
と、少なくとも二枚の位相差フィルムを備えた液晶表示
装置において、該位相差フィルムの少なくとも一枚が、
上記の負の複屈折を有する一軸延伸フィルムであること
を特徴とする液晶表示装置、により達成することができ
る。
【0014】本発明の位相差フィルムの好適態様を下記
に示す。 (1)不飽和二重結合を有するポリマーが、共役ジエン
構造を有する単量体より誘導される繰返し単位を有し、
かつそのガラス転移温度が30℃以下である上記位相差
フィルム。 (2)少なくともスチレン系モノマーを含むモノマー
が、少なくともスチレン系モノマーの一種もしくは二種
とアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルとからな
る上記位相差フィルム。 (3)上記グラフト化が、数平均粒子径0.3μm以下
の微粒子状の不飽和二重結合を有するポリマーを用いて
行なわれる上記位相差フィルム。 (4)さらに酸化防止剤を0.01〜10重量%の量に
て含有する上記位相差フィルム。
【0015】本発明の液晶表示装置の好適態様を下記に
示す。 (1)位相差フィルムが、正の複屈折を有する少くとも
1枚の一軸延伸フィルムと負の複屈折を有する少くとも
1枚の一軸延伸フィルムからなる上記液晶表示装置。 (2)負の複屈折を有する一軸延伸フィルムの位相差フ
ィルムの少なくとも一方の表面に、酸化防止剤を0.0
1〜10g/m2 の量にて含有する粘着層が設けられて
いる上記液晶表示装置。 (3)負の複屈折を有する一軸延伸フィルムを構成する
グラフト共重合体の形成に使用される、不飽和二重結合
を有するポリマーが、共役ジエン構造を有する単量体よ
り誘導される繰返し単位を有し、かつそのガラス転移温
度が30℃以下である上記液晶表示装置。 (4)負の複屈折を有する一軸延伸フィルムを構成する
グラフト共重合体の形成に使用される、スチレン系モノ
マーを含むモノマーが、スチレン系モノマーの一種もし
くは二種とアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル
とからなる上記液晶表示装置。 (5)位相差フィルム構成するグラフト共重合体のグラ
フト化が、数平均粒子径0.3μm以下の微粒子状の不
飽和二重結合を有するポリマーを用いて行なわれる上記
液晶表示装置。 (6)位相差フィルムが、さらに酸化防止剤を0.01
〜10重量%の量にて含有する上記液晶表示装置。
【0016】
【発明の詳細な記述】本発明の液晶表示装置について、
添付図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本
発明の液晶表示装置の一例の断面図である。透明基板1
3a、13bおよび透明電極14a、14bが、それぞ
れこの順で積層され、この二枚の電極基板間にねじれ配
向したネマチック液晶15が封入されて液晶素子を構成
している。この液晶素子の一方の電極基板13a上に位
相差フィルム12aが配置され、この位相差フィルム付
き液晶素子を挟んで両側に偏光板11a、11bが配置
され、液晶表示装置を構成している。位相差フィルム
は、偏光板11bと透明基板13bの間にも設けられて
いてもよい。本発明では、位相差フィルム12aは、正
固有複屈折を有するポリマーの一枚の一軸延伸フィ
ルムと、負の固有複屈折を有するポリマーの一枚の一
軸延伸フィルムとからなることが好ましい。そして負の
固有複屈折を有するポリマーが上記特定の構成を有す
るグラフト共重合体である。更に、酸化防止剤を含有す
る粘着層が、位相差フィルム12aと偏光板11a及び
/又は透明基板13aとの間に設けられことが好まし
い。
【0017】図2は、本発明の液晶表示装置の別の一例
を示す断面図である。透明基板23a、23bおよび透
明電極24a、24bが、それぞれこの順で積層され、
二枚の電極基板間にねじれ配向したネマチック液晶25
が封入されて液晶素子を構成している。この液晶素子の
電極基板23a、23b上に、それぞれ位相差フィルム
22a、22bが配置され、この位相差フィルム付き液
晶素子を挟んで両側に偏光板21a、21bが配置さ
れ、液晶表示装置を構成している。位相差フィルム22
aは、正の固有複屈折を有するポリマーの一枚の一軸
延伸フィルムであり、22bは負の固有複屈折を有す
るポリマーの上記グラフト共重合体からなる一軸延伸フ
ィルムである。更に、酸化防止剤を含有する粘着層が、
位相差フィルム22aと偏光板21a及び/又は透明基
板23aとの間、及び/又は位相差フィルム22bと偏
光板21b及び/又は透明基板23bとの間に設けられ
ことが好ましい。また、視角が左右対称になり易いこと
から、上記図2のように、液晶素子を挟んで位相差フィ
ルムが両側に配置されることが好ましい。
【0018】本発明の位相差フィルムに用いるポリマー
は、不飽和二重結合を有するポリマー((A)と称す
る)に対して、少くとも1種以上のスチレン系モノマー
((B)と称する)を付加重合したグラフト共重合体
(本発明のポリマー(C)と称する)である。ポリマー
(A)は、不飽和二重結合を主鎖及び側鎖のいずれに有
していても良い。
【0019】まず本発明のグラフト共重合体(C)のい
わゆる幹を構成するポリマー(A)について説明する。
ポリマー(A)は具体的には、主鎖または側鎖に不飽和
二重結合の繰返し単位を有するポリマーである。この繰
返し単位は、好ましくは共役ジエン構造を有する単量体
の重合によって誘導されるものである。
【0020】上記共役ジエン構造を有する単量体の好ま
しい例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、
1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエ
ン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−
ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−
ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1
−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチ
ル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジ
エン、1−ブロム−1,3−ブタジエン、1−クロルブ
タジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3
−ジクロル−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリク
ロル−1,3−ブタジエン及び2−シアノ−1,3−ブ
タジエンを挙げることができる。これらの中で、1,3
−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタ
ジエンが特に好ましい。
【0021】また、本発明のグラフト共重合体(C)の
幹を構成するポリマー(A)は、上記のジエン構造を有
する単量体とこの単量体以外の疎水性単量体と共重合
したものであってもよい。このような疎水性単量体の例
としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブ
テン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、
脂肪族酸のモノエチレン性不飽和炭化水素(アルケン)
エステル(例えば酢酸ビニル、酢酸アリル)、エチレン
性不飽和のモノカルボン酸もしくはジカルボン酸のエス
テル(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタク
リレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメ
タクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシル
アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、t−
ブチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−
ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト)、エチレン性不飽和のモノカルボン酸もしくはジカ
ルボン酸のアミド(例えばt−ブチルアクリルアミド、
t−ブチルメタクリルアミド)及びモノエチレン性不飽
和化合物(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル)等を挙げることができる。これらの中で、エチレ
ン、プロピレン、スチレン、α−メチルスチレン、アク
リル酸もしくはメタクリル酸のエステル、アクリロニト
リル、メタクリロニトリルが特に好ましい。
【0022】上記の共役ジエン構造を有する単量体、そ
の他の疎水性単量体はそれぞれ二種以上用いてもよい。
共役ジエン構造を有する単量体の重合により、ポリマー
(A)中に導入される不飽和構造は、当該分野でよく知
られているようにシス−1,4結合であってもよいし、
トランス1,4−結合、あるいはトランス1,2−結合
であってもよい。
【0023】また、ポリマー(A)はジエン構造を有す
る単量体より誘導される単独重合体であってもよいし、
他の疎水性単量体との共重合体であってもよい。共重合
体の場合、各モノマーが任意の割合で共重合されたいわ
ゆるランダム共重合体でもよいし、ブロック共重合体で
もよい。このような共役ジエンモノマーの重合体及び合
成法に関しては、例えば村橋俊介他編「合成高分子II、
1975年、朝倉書店発行」171頁〜308頁に詳細
に記載されている。
【0024】以上で述べたポリマー(A)の好ましい具
体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体(一般に
SBRと呼ばれ、溶液重合SBRと乳化重合SBRがあ
る。溶液重合SBRとしては、ランダム重合体の他に前
記のブロック共重合体(例えば、ブタジエン−スチレン
ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブ
ロック共重合体)がある)、ブタジエン単独重合体(例
えばシス−1,4−ブタジエン、トランス−1,2−ブ
タジエン、あるいは、これらとトランス−1,4−ブタ
ジエン構造の混在したゴム)、イソプレン単独重合体
(立体構造の例は、ブタジエン重合体に同じ)、スチレ
ン−イソプレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック
共重合体)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(ジエン単量体としては、1,4−ヘキサジエン、ジシ
クロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等を挙げる
ことができる)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体、クロロプレン共重合体、イソブチレン−イソプレン
共重合体、ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体
(アクリル酸エステルとしては、アクリル酸エチル、ア
クリル酸ブチル等)及びブタジエン−アクリル酸エステ
ル−アクリロニトリル共重合体(アクリル酸エステルと
しては前記に同じ)を挙げることができる。
【0025】ポリマー(A)自身のガラス転移温度(T
g)は、位相差フィルムの膜の物理特性の改良のために
重要な因子であり、これを考慮するとTgとしては50
℃以下が一般的であり、30℃以下が好ましく、特に0
℃以下が好ましい。そして、下限は−110℃以上が好
ましい。またポリマー(A)中の共役ジエン単量体成分
の占める割合については上記のガラス転移温度の範囲内
であれば特に制限はないが10ないし100重量%の範
囲が好ましい。
【0026】以上述べたポリマー(A)のうち、特に好
ましい態様としては、ポリマー(A)が乳化重合により
製造され、かつジエン構造を有する単量体より誘導され
る単独重合体(例えば、ブタジエン、イソプレン単独重
合体)またはその共重合体(例えば、前記のSBR)の
分散物(ラテックス)であることである。
【0027】このような分散物においては、ポリマー
(A)は微粒子の形で存在している。グラフト共重合体
(ポリマー(C))は、このポリマー(A)にスチレン
系モノマー等をグラフトすることにより得られるが、こ
のポリマー(A)の粒子径が得られるポリマー(C)
ら形成される位相差フィルムの性質に大きく影響を及ぼ
す。すなわち、ポリマー(A)の粒子径が大きい程、膜
の脆さ及び割れやすさは改良されるが、一方、位相差フ
ィルム自体の透明性は低下する傾向となり、膜の白化に
よる液晶表示装置のコントラスト等の特性への好ましく
ない影響をもたらす。上記両者の特性を考慮すると、ポ
リマー(A)の数平均粒子径は0.3μm以下、特に好
ましくは0.2μm以下である。そして、下限は0.0
0001μm以上が好ましい。
【0028】次にポリマー(A)に対して付加重合する
ことにより、グラフト共重合体(C)を得るために用い
られる単量体(B)について説明する。本発明の共重合
体(C)に於いて、ポリマー(A)を幹と称するなら
ば、単量体(B)の重合体は(A)を起点にしてくし状
に伸びた繰返し単位を有する枝と称することができる。
【0029】本発明に於いて、グラフト重合を行う際の
単量体(B)は少くともスチレン系モノマーを含む一種
以上の単量体である。スチレン系単量体としては、例え
ば、スチレン及びα−メチルスチレン、o−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−
ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキシ
ルスチレン、p−フェニルスチレン、2,5−ジクロロ
スチレン及びp−t−ブチルスチレン等のスチレン誘導
体を挙げることができる。これらの中で、スチレン、あ
るいはスチレンと他のスチレン誘導体の組合せが特に好
ましい。
【0030】また、単量体(B)としては、上記のスチ
レン系単量体以外の他の単量体が含まれていてもよく、
このような単量体としては、例えば、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリ
ル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸、メタクリル酸、ブタジエン、イソプレ
ン、無水マレイン酸、酢酸ビニル、エチレン及びプロピ
レンを挙げることができる。これらの中で、アクリロニ
トリル及びメタクリロニトリルが特に好ましい。これら
は、単独で、スチレン系誘導体と共に使用しても良い
し、複数で使用してもよい。
【0031】本発明に用いられる幹成分ポリマー(A)
は、その構造の違いにより膜物理特性への寄与が変化す
ることから、グラフト共重合体(C)に於ける幹成分ポ
リマー(A)の割合を一義的に決めることは難しい。し
かしながら、膜物理特性の改良に必要な量と共に、グラ
フト共重合体(C)が多すぎると膜が柔軟化しすぎて、
熱によるポリマー分子配向緩和が起こりうることを勘案
すると、1〜30重量%が好ましく、特に3〜20重量
%が好ましい。
【0032】重合体の分子量は特に小さいものでなけれ
ば大きな制約はないが、溶液からの製膜を行う場合のポ
リマー溶液の粘度等を勘案すると重量平均分子量で10
万から100万の範囲が好ましく、特に15万から50
万の範囲が好ましい。また、グラフト共重合体(C)に
於ける全構成成分中のスチレン系単量体成分の占める割
合は、複屈折特性発現の観点から重量で50%以上が好
ましく、特に60%以上が好ましい。
【0033】本発明のグラフト共重合体(C)は、通常
行われるラジカル重合法(例えば、乳化重合法、溶液重
合法)で合成を行うことが可能である。このような、重
合法の中で、乳化重合法が好ましい。乳化重合法を利用
すると、重合速度が大きいので高分子量のグラフト共重
合体が得易いこと、またその共重合体が微粒子状で得ら
れるので、塩化メチレン等の溶媒への溶解が容易である
こと等の利点がある。本発明のグラフト共重合体(C)
は組成・構造の異なる二種のポリマーを混合して用いて
もよい。また、グラフト共重合体(C)以外の重合体を
混合してもよい。また、重合法にも依るが本発明に於い
て得られる重合体は、グラフト共重合体とその他の重合
体例えばグラフト反応をうけないポリマー(A)あるい
は、グラフト化しなかったスチレン系ランダム共重合体
が混在しうる。
【0034】以下に本発明のグラフト共重合体(C)の
好ましい具体例について、 (A)主鎖または側鎖に少なくとも不飽和二重結合を有
するポリマー(幹) (B)少なくともスチレン系モノマーを含む1種以上の
モノマーを付加させたポリマー部分(枝) の形で例示する。即ち、(A)に対して(B)をグラフ
ト重合したものを表す。(A)、(B)各々のカッコ内
の数字の比は、各成分に於ける単量体の共重合比(重
量)を表し、(A):(B)は対応する幹成分・枝成分
のポリマーの重量百分率比を表す。
【0035】P−1 (A):(B)=10:90 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(20/80) (B)スチレン/アクリロニトリル/α−メチルスチレ
ン(60/20/20) P−2 (A):(B)=5:95 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(20/80) (B)スチレン/アクリロニトリル/α−メチルスチレ
ン(60/20/20) P−3 (A):(B)=10:90 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(20/80) (B)スチレン/アクリロニトリル(80/20) P−4 (A):(B)=7:93 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(20/80) (B)スチレン/アクリロニトリル(80/20) P−5 (A):(B)=12.5:87.5 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(50/50) (B)スチレン/アクリロニトリル(75/25)
【0036】P−6 (A):(B)=15:85 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(50/50) (B)スチレン/アクリロニトリル/α−メチルスチレ
ン(60/30/10) P−7 (A):(B)=10:90 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(50/50) (B)スチレン/アクリロニトリル/α−メチルスチレ
ン(60/30/10) P−8 (A):(B)=10:90 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(50/50) (B)スチレン/アクリロニトリル(75/25) P−9 (A):(B)=5:95 (A)ポリブタジエン (B)スチレン/アクリロニトリル(70/30) P−10 (A):(B)=10:90 (A)ポリブタジエン (B)スチレン/アクリロニトリル/メタクリロニトリ
ル(75/15/10)
【0037】P−11 (A):(B)=12:88 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(50/50) (B)スチレン P−12 (A):(B)=10:90 (A)スチレン/ブタジエン共重合体(23/77) (B)スチレン/メチルメタクリレート/アクリロニト
リル(70/10/20) P−13 (A):(B)=10:90 (A)ポリイソプレン (B)スチレン/t−ブチルスチレン(70/30)
【0038】P−14 (A):(B)=10:90 (A)アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(50/
50) (B)スチレン/アクリロニトリル(80/20) P−15 (A):(B)=12:88 (A)アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(25/
75) (B)スチレン/アクリロニトリル/α−メチルスチレ
ン(60/20/20) P−16 (A):(B)=10:90 (A)アクリル酸エチル/ブタジエン共重合体(50/
50) (B)スチレン/メチルメタクリレート(80/20) P−17 (A):(B)=15:85 (A)アクリル酸エチル/スチレン/ブタジエン共重合
体(40/30/30) (B)スチレン/メタクリロニトリル(75/25)
【0039】本発明の例示グラフト共重合体は、例え
ば、(A)で表される重合体を乳化重合法で作製または
市販品を購入して得られる水分散物に対し、(B)で表
される単量体を一括投入または滴下しながら、過硫酸カ
リウムと亜硫酸ナトリウムのレドックス開始剤を用い
て、65℃で重合を行ったのち、得られたグラフト重合
体の水分散物を、強酸条件下または塩(例えば食塩)添
加して、あるいは液の凍結−解凍によって凝集させ、ろ
過、そして乾燥させる公知の工程により合成することが
できる。
【0040】本発明のグラフト共重合体の一軸延伸フィ
ルムは、上記グラフト共重合体を用いて溶融製膜あるい
は溶液製膜することにより得られるフィルム、透明基材
に塗布された膜状物も含まれる。又、一軸延伸フィルム
とは、純粋な一軸性フィルムだけでなく、若干二軸性が
付与されていても本質的に一軸性フィルムとして機能す
るものであれば本発明の対象となる。従って、本発明の
グラフト共重合体フィルムに複屈折を発現させるため
に、テンター法による横一軸延伸、ロール間の周速の差
を利用した縦一軸延伸(この場合幅方向の延伸時の自然
収縮を行う場合も制限する場合も含まれる)等の延伸方
法を利用することができる。
【0041】本発明のグラフト共重合体の一軸延伸フィ
ルムの透過率は、70%以上で無彩色が好ましく、さら
に90%以上で無彩色が好ましい。また、上記一軸延伸
フィルムの複屈折を示すレターデーション値(フィルム
の厚さと延伸条件によって決まるが)は、125〜12
00nmが好ましく、さらに380〜700nmが好ま
しい。位相差フィルムの厚さは、5〜1000μmが好
ましく、さらに40〜100μmが好ましい。
【0042】本発明の負の複屈折を有する一軸延伸フィ
ルムは、不飽和二重結合を有するポリマー、すなわち前
述したスチレン/ブタジエン共重合体(SBR)等に、
少なくともスチレン系モノマーを含むモノマーを付加重
合によりグラフト化させることによって得られるグラフ
ト重合体を含んでいる。そして、このSBRに代表され
る不飽和二重結合を有するポリマーが、フィルムの脆さ
あるいは割れ易さを著しく改善している。しかしなが
ら、上記不飽和二重結合を有するポリマーは、空気中で
光あるいは熱により劣化し易いので、本発明の一軸延伸
フィルムは、空気中で長時間の光照射あるいは高温下に
曝された場合に、劣化して、脆く、割れ易くなるの問
題があり、フィルム中に劣化防止のため酸化防止剤を含
有させることが好ましい。
【0043】本発明に使用される酸化防止剤の例として
は、SBR等の未加硫ゴムの安定化剤、すなわちヒンダ
ードフェノール系化合物、アミン系化合物及びイミダゾ
ール系化合物を挙げることができ、この安定化剤と共に
フォスファイト系化合物またはイオウ含有化合物を併用
することが好ましい。上記酸化防止剤については、キー
ク・オスマーのエンサイクロペディア・オブ・ケミカル
・テクノロジー(第3版、14巻、404頁)、ラバー
・ケミカル・テクノロジー(36巻、1497頁、19
63年)及び同(59巻、842頁、1986年)に記
載されている。酸化防止剤の好ましい例を下記に示す。
【0044】
【化1】
【0045】
【化2】
【0046】
【化3】
【0047】上記酸化防止剤は、グラフト共重合体の一
軸延伸フィルム中に一般に0.01〜10重量%の量で
含まれており、0.05〜10重量%が好ましく、更に
0.05〜5重量%が好ましい。使用される酸化防止剤
は、二種以上で使用しても良く、特にヒンダードフェノ
ールとフォスファイト系化合物を併用することが好まし
い。
【0048】本発明のグラフト共重合体の一軸延伸フィ
ルムである位相差フィルムを位相差板として、液晶表示
装置に組み込む方法について説明する。本発明で使用さ
れる位相差板は、位相差フィルムのみの場合もあるが、
通常、偏光板、保護フィルム、他の複屈折性を有するフ
ィルム等を粘着剤を用いて積層したものである。
【0049】図8に、本発明で使用される位相差板の構
成を表わす断面図を示す。位相差板は、グラフト共重合
体からなる負の複屈折を有する一軸延伸フィルム(位相
差フィルム)81上に、粘着層82を介して偏光板83
が設けられた構成を有する。偏光板としては、一般に偏
光フィルムや、偏光フィルムを樹脂層やガラス層で補強
あるいは保護したものが使用される。偏光フィルムの形
成は、例えば、ポリビニルアルコール系延伸フィルム等
の親水性フィルムを、ヨウ素あるいは二色性染料で処理
することにより行なうことができる。また、粘着剤とし
ては、例えば、SBR等のゴム、シリコーン及びポリア
クリレート等の透明性の良好なものが好ましい。また、
グラフト共重合体からなる負の複屈折を有する一軸延伸
フィルム81の反対側の表面には、同様に粘着層を介し
てガラス板を接着することができる。従って、グラフト
共重合体からなる負の複屈折を有する一軸延伸フィルム
81の両面には、粘着層が設けられることになる。この
場合、粘着層中に、前記酸化防止剤を含有させることに
より、空気中で光あるいは熱による劣化を防止すること
ができる。従って、粘着層中に酸化防止剤を含有させる
ことが好ましい。粘着層中の酸化防止剤は、前記フィル
ム中に含有される酸化防止剤と同じ材料を使用すること
ができる。粘着層中の酸化防止剤の含有量は、一般に
0.01〜10g/m2 の量であり、そして0.05〜
10g/m2 が好ましく、更に0.05〜5g/m2
好ましい。
【0050】本発明における、正の複屈折を有する一軸
延伸フィルムと負の複屈折を有する一軸延伸フィルムと
の積層体においてはフィルム法線方向のレターデーショ
ンは互いに加算され消滅されることなしに全方位斜入射
に対してレターデーションの変化が極めて小さいフィル
ムや適度なレターデーション変化を有するフィルムなど
目的により自在にコントロールできるという優れた効果
がある。
【0051】特にこれらの効果が顕著に現われるケース
は、正の複屈折を有する一軸延伸フィルムと負の複屈折
を有する一軸延伸フィルムがその延伸軸が互いに直交す
るように積層されたときである。これと同様の効果即ち
全方位に対してレターデーション変化の小さいフィルム
積層体は、正の複屈折を有する一軸延伸フィルムと正の
複屈折を有する一軸延伸フィルムとの直交積層体や、負
の複屈折を有する一軸延伸フィルムと負の複屈折を有す
る一軸延伸フィルムとの直交積層体においては共に実現
されないものであり、特開平3−206422号の構成
によってのみ実現されるものである。
【0052】正の複屈折を有する一軸延伸フィルムと負
の複屈折を有する一軸延伸フィルムとの積層体において
は、各々の一軸延伸フィルムの分子の配向レベルを延伸
等によって制御することによって、積層体のレターデー
ションの視角依存性をほとんどなくすることも適度の変
化をつけることも自在にコントロールできるため、ST
N−LCDの光学特性に応じて、レターデーションの視
角特性を適合できるため、STN−LCDにおける偏光
板と液晶セルの間に位相差フィルムとして配設した場合
にSTN−LCDの視野角を大幅に拡大できることが認
められた。
【0053】更に詳細に説明すると、90゜(度)以上
特に180°〜330゜のねじれ角を有するツイスティ
ッドネマティック液晶、又はコレステリック液晶を使っ
た液晶表示装置における液晶セルの複屈折性に起因する
着色現象をなくすると共に視野角、高コントラスト域の
拡大を可能とする液晶表示装置に関するものであり、フ
ィルム法線方向のレターデーションに関しては、正の
複屈折を有するポリマーから形成されるフィルムの
一軸延伸におけるレターデーションと負の固有複屈折
を有するポリマーから形成されるフィルムの一軸延伸に
おけるレターデーションの加算値が得られる。
【0054】ただし、該正、負の複屈折を有する一軸延
伸フィルムの延伸軸が一致した場合にはレターデーショ
ンは打ち消され、好ましくはない。従って該フィルム積
層体の延伸軸は互いに略直交に配置されるのが好まし
い。具体的には該フィルムの延伸軸のなす角度が70°
乃至110°が最も好ましい。
【0055】ただし、該正、負の複屈折を有するフィル
ムが液晶セルを介して両側に配置される場合はその限り
でない。つまり該フィルムは常に積層されて使われて
も、液晶セルの両サイドに配置されてもよいし、偏光板
の液晶セル側の保護フィルムを兼用しても構わない。特
に偏光板保護フィルムとして使った場合は視野角拡大の
機能と共に低コスト化を実現できるメリットがある。
【0056】さて、本発明において正の複屈折を有する
フィルムは、光の透過性が70%以上で無彩色であるこ
とが好ましく、更に好ましくは光の透過性が90%以上
で無彩色である。
【0057】正の複屈折を有するフィルムに用いるポリ
マーとして制約はないが、具体的にはポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポ
リフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリア
ミドイミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビ
ニル、セルロース、ポリエステル系高分子等が好まし
く、特にポリカーボネート系高分子、ポリアリレート系
高分子、ポリエステル系高分子等、固有複屈折値が大き
く溶液製膜により面状の均質なフィルムを作りやすい高
分子が好ましい。
【0058】又、上記ポリマーは、単にホモポリマーだ
けでなく、コポリマー、それらの誘導体、ブレンド物等
であってもよい。本発明における負の複屈折を有するフ
ィルムにおいても、光の透過性が70%以上で無彩色で
あることが好ましく、更に好ましくは光の透過性が85
%以上で無彩色である。
【0059】ポリマー自身が有する固有複屈折値の絶対
値は小さくても厚みを大きくするか延伸倍率を大きくす
ることによって十分に利用できるのであるがそれらの制
約を受けないためには、固有複屈折値は好ましくは絶対
値で0.02以上、より好ましくは0.04以上であ
る。又、一旦延伸によって配向した分子が液晶表示素子
の製造工程や表示中での昇温による配向緩和を防ぐため
には素材のTg(ガラス転移点)が90度以上、より好
ましくは100度以上更に好ましくは110度以上であ
る。
【0060】また、一軸延伸されて複屈折値を持つフィ
ルムの厚みは特に制限はないが、10μm〜1mmの範囲
が好ましい。以下、実施例によって本発明を詳細に説明
する。
【0061】
【実施例】[実施例1及び比較例1] 前記した本発明のグラフト重合体を含む、表1に示すポ
リマー各170gをメチレンクロライド830gに溶解
した。この溶液を乾燥後の膜厚が100μmになるよう
ガラス板上に流延し、5分間室温で放置した。次いで、
45℃の温風で20分間乾燥し、ガラス板から剥ぎ取っ
た。剥ぎ取ったフィルムを枠に張り付け70℃で1時間
乾燥し、更に110℃で15時間乾燥した後、115℃
の温度条件下で市販の引張試験機を用いて200%の一
軸延伸を行ない、負の複屈折を有するフィルムを得、試
料とした。尚、上記表1に示す本発明のグラフト重合体
は、表1に示す平均粒子径を有するポリマー(A)に単
量体(B)がグラフ重合したものである。次に、得ら
れた試料を以下の評価に供した。
【0062】(1) 脆性 延伸方向(MD)に10mm、延伸方向に垂直な方向(T
D)に35mmの試料片を切り取った。図4に示すような
脆性測定機に、試料を取りつけ、MDに平行な折り目が
できるように折り曲げ、破損する折り曲げ角θを読みと
った。折り曲げ(180°から0°)に要する時間を、
表1に示す如く約3秒と約1秒の二点で評価を行った。
θは小さい方が好ましく、実際上は3秒での折り曲げで
10°以下であることが必要である。
【0063】(2) 打抜適性 図5に示す、押え板b(塩化ビニル製)、剛鉄製の刃
c、ゴム製マットd、そして木製の台eからなるトムソ
ン打抜機を用意した。トムソン打抜機の18cm×16cm
のゴム製マットd上に、MDが長辺と45°になるよう
に5枚重ねて置いて打抜き、4すみから内側に入るクラ
ックを観察した。押え板bから5枚目の4すみの中で最
も長いクラックの長さを測定した。実際上5mm以下であ
ることが必要である。
【0064】(3) 耐熱性 (2) で打抜いた試料を粘着剤を用いてガラス板に貼り付
け、クロスニコルにした二枚の偏光板の間に試料のMD
が偏光軸と45°になるように置き、透過光強度の波長
依存性からレターデーションを測定した。さらに、90
℃4時間及び70℃120時間の熱処理をした後、もう
一度レターデーションを測定し、熱処理後と熱処理前の
レターデーションの差(熱処理後−熱処理前)から、レ
ターデーションの低下率(%)を求めた。実際上3%以
下であることが必要とされる。また、熱処理で割れが生
じてはならない。以上の評価結果を表1に示す。脆性、
抜打適性、耐熱性が明らかに本発明により改良されてい
ることが判る。
【0065】
【表1】
【0066】 表1 ──────────────────────────────────── サンプ ポリマー 脆性 打抜適性 耐熱性 割れ ルNo. (粒子径:μm) (°) (mm) (%) 3秒 1秒 ──────────────────────────────────── 実施例1 1 P−1(0.09) 2 10 1 1.5 なし 2 P−2(0.09) 8 10 2 0.9 なし 3 P−3(0.09) 0 5 1 1.3 なし 4 P−4(0.09) 7 10 1 0.7 なし 5 P−5(0.25) 0 0 1 1.5 なし 6 P−6(0.13) 0 5 1 1.4 なし 7 P−7(0.13) 0 10 1 0.9 なし 8 P−8(0.18) 0 5 2 2.0 なし比較例1 9 PS 40 60 15 2.5 あり 10 St/AN 共重合体(a) 32 40 10 1.7 あり 11 St/AN 共重合体(b) 25 40 8 1.3 あり 12 St/AN/BD共重合体 20 30 8 1.5 あり ──────────────────────────────────── 注)PS:ポリスチレン St/AN 共重合体(a) :スチレン/アクリロニトリル共重
合体(St/AN =75/25) St/AN 共重合体(b) :スチレン/アクリロニトリル共重
合体(St/AN =40/60) St/AN/BD共重合体:スチレン/アクリロニトリル/ブタ
ジエン共重合体(St/AN/BD=68/29/3)
【0067】[実施例2及び比較例2]表1に示したポ
リマーをメチレンクロライドに溶解し、20重量%溶液
とした。この溶液をステンレスバンド上に流延し、連続
的に剥ぎ取って乾燥し、該フィルムを115℃の温度条
件下で周速の異なるロール間で一軸延伸し、430nm
のレターデーション値の負の複屈折を有するロールフィ
ルムを得、試料とした(試料No.1〜12)。得られ
た試料を実施例1と同様の評価した。本発明のグラフト
重合体からなる実施例2のフィルム(試料No.1〜
8)が、比較例2(試料No.9〜12)のフィルムに
比べて脆性、打抜き適性、そして耐熱性において優れて
いることを確認した。
【0068】[実施例3]重量平均分子量10万のポリ
カーボネートをメチレンクロライドに溶解し、20重量
%溶液とした。この溶液をステンレスバンド上に流延
し、連続的に剥ぎ取って乾燥し、ポリカーボネートフィ
ルムを得た。該フィルムを170℃の温度条件下で周速
の異なるロール間で一軸延伸し、430nmのレターデ
ーション値を有するポリカーボネート一軸延伸フィルム
を得、試料とした。
【0069】次に図6に示す、バックライトBL、偏光
板P1 、後の位相差フィルムD1 、液晶セルLC、前の
位相差フィルムD2 及び偏光板P2 からなるシャープ
(株)製ワードプロセッサーWD−A550を用意し
た。このワードプロセッサーWD−A550の液晶セル
の前後にある位相差フィルムを取り除き、後の位相差フ
ィルムのかわりに該ポリカーボネートフィルムを配設
し、前の位相差フィルムのかわりに実施例2の脆性、打
ち抜き適性の良かった本発明のグラフト重合体からなる
フィルムを配設し、液晶表示パネルを作成した。但し、
各フィルムの光軸は図7に示すよう購入時と全く同一に
した。得られた液晶パネルの表示特性として、駆動状態
と非駆動状態における正面からのコントラスト比及び着
色度、そしてコントラスト比が2以上になる角度(視野
角)を測定し、液晶表示パネルを評価した。
【0070】[比較例3]実施例3において前後の位相
差フィルムのかわりに両方とも上記ポリカーボネートフ
ィルムを用い、表示特性を評価した。実施例3と比較例
3の結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】 表2 ──────────────────────────────────── パネル ポリマー 正面 正面着色 視野角 No. コントラスト比 (白) (度) ──────────────────────────────────── 実施例3 1 P−1 5.5 無 −60〜61 2 P−2 5.3 無 −62〜63 3 P−3 5.6 無 −62〜63 4 P−4 5.3 無 −61〜64 5 P−5 5.0 無 −60〜62 6 P−6 5.8 無 −60〜61 7 P−7 5.2 無 −62〜65 8 P−8 5.8 無 −60〜62比較例3 9 PC 5.3 無 −39〜41 ──────────────────────────────────── 注)PC:ポリカーボネート
【0073】表2からわかるように、正面から見た時の
着色度は全てほぼ完全な白黒表示が得られているが、視
野角については比較例3に比べて本発明のグラフト重合
体からなるフィルムを使用した実施例3の方がはるかに
優れている。
【0074】[実施例4]表3に示したポリマー及び酸
化防止剤を使用した以外は、実施例1と同様にして負の
複屈折を有する一軸延伸フィルムを得、試料とした(試
料No.1〜8)。得られた試料を実施例1と同様に脆
性を評価した。また、試料を85℃の恒温槽中に、4日
間保存した後、上記と同様にして脆性を評価した。得ら
れた結果を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】 表3 ──────────────────────────────────── サンプ ポリマー 酸化防止剤 脆性 脆性(4日後) ルNo. No. No. (g) (°) (°) 3秒 1秒 3秒 1秒 ──────────────────────────────────── 実施例4 1 P−3 S−2 (0.85) 0 3 0 5 2 P−3 S−3 (0.85) 0 3 0 6 3 P−4 S−4 (1.70) 5 8 5 10 4 P−5 S−7 (2.00) 0 0 0 5 5 P−8 S−2 (0.85) 0 2 0 0 6 P−3 S−2 (0.43) 0 2 0 0 S−11 (0.42) 7 P−3 −− 0 5 25 30 8 P−8 −− 0 5 15 30 ──────────────────────────────────── 表3から明らかなように、酸化防止剤を含有する本発明
のグラフト共重合体からなるフィルム(試料No.1〜
6)は、85℃で4日経過後でも良好な脆性を示してい
るが、酸化防止剤を含有しないフィルム(試料No.7
〜8)は85℃4日後には充分な脆性が得られず、割れ
易くなっている。
【0077】[実施例5]表4に示す、実施例1及び4
のフィルム(位相差フィルム)及びポリアクリレート系
粘着剤(粘着層形成)を使用して、図9に示すような複
合体を作成した。複合体は、位相差フィルム91、位相
差フィルム91の一方の面に粘着層92を介して設けら
れた偏光板93及び位相差フィルム91のもう一方の面
に粘着層94を介して設けられたガラス(厚さ:1.1
mm)95からなる。上記複合体(試料No.1〜8)
の端部(周縁から5mmの位置)及び中央部のレターデ
ーション測定した。さらに、試料を85℃の恒温槽中
に、4日間保存した後、上記と同様にしてレターデーシ
ョンを測定した。4日後レターデーションと初期のレタ
ーデーションとの差(4日後−初期)を表4に示す。
【0078】
【表4】
【0079】 表4 ──────────────────────────────────── 複合体 フィルム 酸化防止剤 レターデーションの差 No. No. 粘着層92中 粘着層94中 No.(g/m2) No.(g/m2) 端部 中央 ──────────────────────────────────── 実施例5 1 No. 3(実施例1)S−2 (0.4) −− +2 +1 2 No. 3(実施例1)S−2 (0.2) S−2 (0.2) +2 +1 3 No. 8(実施例1)S−2 (0.3) S−2 (0.3) +2 +1 4 No. 1(実施例4) −− −− +3 +1 5 No. 5(実施例4)S−2 (0.3) S−2 (0.3) +1 +1 6 No. 6(実施例4) −− −− +2 +2 7 No. 3(実施例1) −− −− +12 −8 8 No. 8(実施例1) −− −− +11 −6 ──────────────────────────────────── 表4から明らかなように、酸化防止剤を含有しない本発
明のグラフト共重合体からなるフィルムでも、酸化防止
剤を含有する粘着層が形成されることにより(複合体N
o.1〜3)、特に端部におけるレターデーションの増
加が抑えられている。また酸化防止剤を含有しているグ
ラフト共重合体からなるフィルムでも、酸化防止剤を含
有する粘着層が形成された(複合体No.4〜6)場合
には、さらにレターデーションの増加が抑えられる。
【0080】[実施例6]図6に示す構成で、D1 及び
2 に表5に示す位相差フィルムを用い、P1 −D1
1 −LC、LC−D2 及びD2 −P2 の間に表5に示
す酸化防止剤を含有するポリアクリレート系粘着剤(粘
着層形成)を使用した以外は、実施例3と同様にして、
液晶表示パネルを作成した。得られた液晶パネルの表示
特性として、正面からのコントラスト比及び60℃の恒
温槽中に120時間保存した後の正面からのコントラス
ト比を測定した。素の結果を表5に示す。
【0081】
【表5】
【0082】 表5 ──────────────────────────────────── パネ フィルム 酸化防止剤 コントラスト ル No. 粘着層LC-D2 中 粘着層P2D2中 初期/保存後 No. D12 No.(g/m2) No.(g/m2) ──────────────────────────────────── 実施例5 1 PC No. 3(実施例1) S−2 (0.4) −− 5.4 /5.5 2 PC No. 8(実施例1) S−2 (0.3) S−2 (0.3) 5.6 /5.4 3 PC No. 1(実施例4) −− −− 5.8 /5.7 4 PC No. 5(実施例4) S−2 (0.3) S−2 (0.3) 5.5 /5.6 5 PC No. 6(実施例4) −− −− 5.6 /5.3 6 PC No. 3(実施例1) −− −− 5.5 /4.1 ──────────────────────────────────── 表5から明らかなように、酸化防止剤を含有しないフィ
ルムでも、酸化防止剤を含有する粘着層が形成された場
合(パネルNo.1、2及び4)、そして酸化防止剤を
含有するフィルムの場合、共に経時的にコントラストの
低下が見られなかった。
【0083】[実施例7]前記した本発明のグラフト重
合体P−3及びP−9のそれぞれ170gをメチレンク
ロライド830gに溶解した。この溶液を乾燥後の膜厚
が100μmになるようガラス板上に流延し、5分間室
温で放置した。次いで、45℃の温風で20分間乾燥
し、ガラス板から剥ぎ取った。剥ぎ取ったフィルムを枠
に張り付け70℃で1時間乾燥し、更に110℃で15
時間乾燥した後、115℃の温度条件下で市販の引張試
験機を用いて適宜延伸率を変更して一軸延伸を行なうこ
とにより430、440及び570nmの三種類のレタ
ーデーション値の複屈折を有するフィルムを得、試料と
した。次に、得られた試料を以下の評価に供した。
【0084】(1) 脆性 延伸方向(MD)に10mm、延伸方向に垂直な方向(T
D)に35mmの試料片を切り取った。図4に示すような
脆性測定機に、試料を取りつけ、MDに平行な折り目が
できるように非常にゆっくりと折り曲げ、破損する折り
曲げ角θを読みとった。θは小さい方が好ましく、実際
上は10°以下であることが必要である。
【0085】(2) 耐熱性 実施例7で得られた試料を粘着剤を用いて、一軸延伸方
向(MD)がガラス板と平行になるようにガラス板に貼
り付け、その上にクロスニコルにした二枚の偏光板の間
に試料のMDが偏光軸と45°になるように置き、90
℃、80%RHの条件下で約300時間保存した後、割
れが発生するか否かを観察した。
【0086】[比較例4] ポリスチレンをメチレンクロライドに溶解し、20重量
%溶液とした。この溶液をステンレスバンド上に流延
し、連続的に剥ぎ取って乾燥し、該フィルムを115℃
の温度条件下で周速の異なるロール間で、周速を適宜変
更することにより一軸延伸して、430、440及び
70nmの三種類のレターデーション値の負の複屈折を
有するロールフィルムを得、試料とした。得られた試料
を実施例7と同様に評価した。以上の評価結果を表6に
示す。
【0087】
【表6】
【0088】
【0089】[実施例8及び比較例5] 重量平均分子量10万のポリカーボネートをメチレンク
ロライドに溶解し、20重量%溶液とした。この溶液を
ステンレスバンド上に流延し、連続的に剥ぎ取って乾燥
し、ポリカーボネートフィルムを得た。該フィルムを1
70℃の温度条件下で周速の異なるロール間で、周速を
適宜変更することにより一軸延伸して、420、430
及び440nmの三種類のレターデーション値を有する
ポリカーボネート一軸延伸フィルムを得た。
【0090】実施例7及び比較例4で得られたフィルム
及び上記ポリカーボネート一軸延伸フィルムは、下記の
液晶パネルのコントラスト比を最高にすべくレターデー
ション値を調整したものである。ワードプロセッサーW
D−A551またはエプソンパーソナルコンピューター
PC386NWのSTN液晶セルを利用して、下記の液
晶表示パネルの構成([I]、[II]及び[II
I])となるように、上記複屈折フィルム(位相差フィ
ルム)を上記液晶セルに装着し、駆動状態と非駆動状態
における正面からのY値を輝度計により測定した。そし
て、このY値からコントラスト比を求めた。コントラス
ト比が2:1以上になる上下(上方向+)及び左右(左
方向+)の視野角の範囲を測定し、液晶表示パネルを評
価した。上記結果を表7に示す。
【0091】
【表7】
【0092】 表7 ──────────────────────────────────── パネ ポリマー 液晶 パネル レターデ コント 視野角(度) ルNo. パネル 構成 ーション ラスト 上下方向 左右方向 値(nm) ──────────────────────────────────── 実施例8 1 P−3 エプソン [I] 570 12:1 70〜−40 30 〜−35 2 P−3 シャープ [III] (1)430 14:1 75〜−42 32 〜−38 (2)430 3 P−9 シャープ [III] (1)440 15:1 85〜−45 35 〜−40 (2)440比較例5 4 PS エプソン [I] 570 12:1 70〜−38 28 〜−32 5 PC シャープ [II] (1)420 10:1 20〜−25 25 〜−30 (2)430 6 PC シャープ [III] (1)430 12:1 25〜−30 30 〜−35 (2)440 ──────────────────────────────────── 注) PS:ポリスチレン PC:ポリカーボネート [パネル構成]視認側から順に示す。 [I]保護フィルム/粘着層/偏光フィルム/粘着層/
複屈折性フィルム/粘着層/液晶セル/粘着層/偏光フ
ィルム [II]保護フィルム/粘着層/偏光フィルム/粘着層/
複屈折性フィルム(1) /粘着層/複屈折性フィルム(2)
/粘着層/液晶セル/粘着層/偏光フィルム [III ]保護フィルム/粘着層/偏光フィルム/粘着層
/複屈折性フィルム(1) /粘着層/液晶セル/粘着層/
複屈折性フィルム(2) /粘着層/偏光フィルム
【0093】
【発明の効果】本発明のグラフト共重合体からなる位相
差フィルムは、脆性及び耐熱性が向上しており、これを
用いた液晶表示装置は、表示画面の着色がほとんどな
く、広い視野角で高いコントラスト比を示す。従って、
本発明の液晶表示装置は、視認性に優れたものであると
いうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の一例の断面図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の別の一例を示す断面図
である。
【図3】縦一軸延伸フィルムの三次元の屈折率について
説明するための模式図である。
【図4】脆性測定機に試料を取り付けて、折り曲げ途中
の状態示す図である。
【図5】トムソン打抜機の断面図である。
【図6】WD−A550の液晶セルの構成を示す断面図
である。
【図7】WD−A550の液晶セルの正面から見た光軸
構成を示す断面図である。
【図8】本発明で使用される位相差板の構成を示す断面
図である。
【図9】本発明でレターデーションの評価に使用された
位相差フィルム、偏光板及びガラス板が粘着層により接
着された複合体の構成を表わす断面図を示す。
【符号の説明】
11a、11b、21a、21b 偏光板 12a、22a、22b 位相差フィルム 13a、13b、23a、23b 透明基板 14a、14b、24a、24b 透明電極 15、25 液晶 nMD 縦一軸延伸フィルムの延伸軸方向の屈折率 nTD 延伸軸と直交する方向の屈折率 nND フィルム面法線方向の屈折率 θ:折り曲げ角 a:試料 b:押え板(塩化ビニル製) c:剛鉄製の刃 d:ゴム製マット e:木製の台 BL:バックライト P1 :偏光板 D1 :後の位相差フィルム LC:液晶セル D2 :前の位相差フィルム P2 :偏光板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸田 悟 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写 真フイルム株式会社内 (72)発明者 小園 祐子 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写 真フイルム株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−56802(JP,A) 特開 平3−109523(JP,A) 特開 昭56−125703(JP,A) 特開 平3−141322(JP,A) 特開 平3−141303(JP,A) 特開 平4−215602(JP,A) 特開 平4−265906(JP,A) 特開 平5−257014(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/30

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和二重結合を有するポリマーに対し
    て少なくともスチレン系モノマーを含むモノマーを付加
    重合によりグラフト化させることによって得られるグラ
    フト共重合体からなる負の複屈折を有する一軸延伸フィ
    ルムであることを特徴とする位相差フィルム。
  2. 【請求項2】 不飽和二重結合を有するポリマーが、共
    役ジエン構造を有する単量体より誘導される繰返し単位
    を有し、かつそのガラス転移温度が30℃以下である請
    求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 【請求項3】 少なくともスチレン系モノマーを含むモ
    ノマーが、スチレン系モノマーの一種もしくは二種とア
    クリロニトリルまたはメタクリロニトリルとからなる請
    求項1に記載の位相差フィルム。
  4. 【請求項4】 上記グラフト化が、数平均粒子径0.3
    μm以下の微粒子状の不飽和二重結合を有するポリマー
    を用いて行なわれる請求項1に記載の位相差フィルム。
  5. 【請求項5】 さらに、酸化防止剤を0.01〜10重
    量%の量にて含有する請求項1に記載の位相差フィル
    ム。
  6. 【請求項6】 対向する二枚の電極基板間にねじれ配向
    したネマチック液晶を封入してなる液晶素子と、少なく
    とも二枚の位相差フィルムを備えた液晶表示装置におい
    て、 該位相差フィルムの少なくとも一枚が、不飽和二重結合
    を有するポリマーに対して少なくともスチレン系モノマ
    ーを含むモノマーを付加重合によりグラフト化させるこ
    とによって得られるグラフト共重合体からなる負の複屈
    折を有する一軸延伸フィルムであることを特徴とする液
    晶表示装置。
  7. 【請求項7】 該位相差フィルムが、正の複屈折を有す
    る少くとも1枚の一軸延伸フィルムと負の複屈折を有す
    る少くとも1枚の一軸延伸フィルムからなる請求項6に
    記載の液晶表示装置。
  8. 【請求項8】 該負の複屈折を有する一軸延伸フィルム
    の位相差フィルムの少なくとも一方の表面に、酸化防止
    剤を0.01〜10g/m2 の量にて含有する粘着層が
    設けられている請求項6に記載の液晶表示装置。
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