JPH0625794A - 圧延用ロール及びその製造方法 - Google Patents

圧延用ロール及びその製造方法

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JPH0625794A
JPH0625794A JP5069445A JP6944593A JPH0625794A JP H0625794 A JPH0625794 A JP H0625794A JP 5069445 A JP5069445 A JP 5069445A JP 6944593 A JP6944593 A JP 6944593A JP H0625794 A JPH0625794 A JP H0625794A
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良作 縄田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 微細金属組織と均質性に優れた外殻層を有す
る圧延用ロールおよびその製造方法を提供すること。 【構成】 外殻層を重量比でC1.0〜3.0%、Si
2.0%以下、Mn2.0%以下、Cr2.0〜15.
0%、Mo10.0%以下、V2.0〜8.0%、残部
実質的にFeからなる鋳造材料によって形成し、外殻層
の基地組織の平均寸法を、製品外殻層の表面から深さ5
0mmの範囲で、100μm以下に形成し、製品外殻層
の表面および表面から深さ50mmの位置における基地
組織の寸法を、それぞれm1 ,m2 としたときに、m2
≦1.2m1 としたことを特徴とする圧延用ロール。ま
た、鋳型への外殻層の溶湯を供給する温度をTc ≦T≦
c +90℃(Tcは外殻層形成材料の初晶生成温度)
とし、外殻層の平均積層速度を2〜40mm/分とし
て、遠心鋳造法により、上記組成の外殻層を形成する、
圧延用ロールの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性および耐肌荒
れ性を有する硬質材料からなる外殻層と強靱性材料から
なる内層あるいは軸部とによって構成した圧延用ロー
ル、および遠心鋳造法によって外殻層を形成する圧延用
ロールの製造方法に関するものであり、特に微細組織お
よび均質性に優れた外殻層を有する圧延用ロールおよび
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼材料等の構造材料の圧延に使用され
る熱間あるいは冷間圧延用のロールは、被圧延材料と直
接接触する外殻層について、その鋳造組織が均一である
ことおよび耐摩耗性、耐肌荒れ性、耐クラック性を有す
ることが要求される。このような要求に応えるために
は、外殻層を遠心鋳造法によって形成することが有効で
あり、従来から広く使用されている。この遠心鋳造法に
おいては、中空円筒状であり、かつ、その軸線のまわり
に高速で回転するように構成した鋳型内に、外殻層を形
成すべき溶湯を供給して凝固させるのが最も一般的であ
る。
【0003】この場合、通常鉄鋼材料によって形成され
た鋳型(金型)の内表面と接触した溶湯は急冷されるた
め、ロールを構成する外表面に微細金属組織を得ること
ができる。しかしながら、外表面から内部に至るにつれ
て冷却速度が低く、温度勾配が小となるため、金属組織
が次第に粗大化する。当初は、外殻層の表面が微細組織
で、耐摩耗性、耐肌荒れ性、耐クラック性を有するが、
長時間使用し改削を繰り返すと、外殻層の表面の金属組
織が粗大となり、耐摩耗性をはじめとする前記の諸特性
が低下するという問題点がある。このような問題点を解
決するためには、外殻層を形成すべき溶湯の冷却速度を
高めることが有効であると共に、鋳造組織の均一化のた
めに半径方向のそれぞれの位置における冷却速度を可能
な限り一様にすることが必要である。
【0004】上記外殻層を形成すべき溶湯の冷却速度を
高める手段として、鋳型を水冷する手段をはじめとし
て、溶湯を鋳型の内周面に霧状に吹き付けて鋳造する手
段が提案されている(例えば特開平1−254363号
公報参照)。また外殻層に発生する偏析その他の材質的
欠陥を防止し、かつ均質性を向上させるために、遠心鋳
造手段における溶湯の注湯位置を移動させる内容の提案
もある(例えば特公昭50−33021号公報参照)。
さらに外殻層を形成する材料についても研究開発が盛ん
であるが、現在では遠心鋳造法による外殻層の材質とし
ては、主として高合金鋳鉄、高クロム鋳鉄、高クロム鋳
鋼等が使用されている。また、最近では、高速度鋼系の
材質も提案されている(例えば特開昭60−12440
7号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記外殻層を形成する
材料のうち、熱間圧延用または冷間圧延用に使用される
ロールにおいては、鋳造組織の粗大化や偏析等による不
均一性が発生すると、耐摩耗性や耐肌荒れ性が低下して
圧延用ロールの原単位を悪化、増大させたり、被圧延材
の品質を劣化させる。一方、近年における圧延材は次第
に高級化する傾向が大であるため、圧延用ロールに対す
る要求が頻に厳しくなってきており、外殻層の組織微細
化および均一性を従来以上に高める必要がある。
【0006】上記高速度鋼系材料により外殻層を形成し
た場合に、表面付近は鋳型からの急冷作用によって金属
組織は微細になるが、内部においては急冷作用が緩慢と
なるため、金属組織が粗くなる。このため外殻層の表面
付近では、金属組織が微細であることによって、耐摩耗
性、耐肌荒れ性に優れ、一方、外殻層の内部において
は、金属組織が粗いことから、耐摩耗性の低下および肌
荒れの発生傾向が大であるという問題点がある。
【0007】次に、遠心鋳造法によって外殻層を形成す
る場合に、内部に鋳造欠陥や金属組織の不均一が発生す
ることがあるという問題点がある。すなわち、外殻層の
内部においては表面より冷却速度が小さく、また温度勾
配も小であるために、溶湯中に含有されるガス、溶質元
素、不純物等の内面側への排出が困難となる。このため
溶湯の凝固中においてこれらが捕捉されて、炭化物偏
析、粗大化した金属組織が存在する偏析、ガス欠陥等が
発生することとなるのである。
【0008】本発明は上記の問題点を解決し、微細な金
属組織および均質性に優れた外殻層を有する圧延用ロー
ルおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者等は、遠心鋳造法により種々の実験、検討
を行った結果、外殻層を形成すべき溶湯の供給温度およ
び積層速度を適切に制御することにより、外殻層の凝固
中の部位の冷却速度と温度勾配を増大させ、外殻層の内
部組織の粗大化を防止し、鋳造欠陥のない外殻層を得る
ことができることを見出した。
【0010】すなわち、第1の本発明においては、耐摩
耗性および耐肌荒れ性を有する硬質材料からなり、遠心
鋳造法によって製作される外殻層と強靱性材料からなる
内層あるいは軸部とによって構成した圧延用ロールにお
いて、外殻層を重量比でC1.0〜3.0%、Si2.
0%以下、Mn2.0%以下、Cr2.0〜15.0
%、Mo10.0%以下、V2.0〜8.0%、さら
に、これ以外に、W20.0%以下、Ni3.0%以
下、Co10.0%以下、N0.03〜0.2%を、そ
れぞれ単独または複合して含有することができ、残部実
質的にFeおよび不可避的不純物元素からなる鋳造材料
によって形成すると共に、外殻層の基地組織の平均寸法
を製品外殻層の表面から深さ50mmの範囲において、
画像解析法による30μmを超える基地の平均径を10
0μm以下に形成し、かつ製品外殻層の表面および表面
から深さ50mmの位置における基地組織の寸法を、そ
れぞれ、m1 ,m2 としたときに、m2 ≦1.2m1
する、という技術的手段を採用した。
【0011】さらに、第2の発明においては、遠心鋳造
法により、重量比でC1.0〜3.0%、Si2.0%
以下、Mn2.0%以下、Cr2.0〜15.0%、M
o10.0%以下、V2.0〜8.0%、さらに、これ
以外に、W20.0%以下、Ni3.0%以下、Co1
0.0%以下、N0.03〜0.2%を、それぞれ単独
または複合して含有することができ、残部実質的にFe
および不可避的不純物元素からなる外殻層を形成する圧
延用ロールの製造方法において、中空円筒状であり、か
つ、その軸線のまわりに回転自在に形成した鋳型へ前記
外殻層の溶湯を供給する温度TをTC ≦T≦TC +90
℃(ただし、TC は外殻層を形成する材料の初晶生成温
度である。)とすると共に、前記外殻層の平均積層速度
を2〜40mm/分とする、という技術的手段を採用し
た。
【0012】
【作用】以下、本発明の耐摩耗性及び耐肌荒れ性を有す
る硬質材料からなる外殻層の各合金元素の組成範囲の限
定理由について詳細に説明する。
【0013】C:1.0〜3.0重量% Cは耐摩耗性向上のための炭化物の形成に必要である
が、その量が多くなるにつれて耐クラック性が低下す
る。従って、1.0〜3.0%の範囲内であることが必
要である。その量が1.0%未満の場合、晶出あるいは
析出炭化物量が少なすぎ、耐摩耗性の点で十分でない。
一方Cが3.0%を越えると、耐摩耗性は良好である
が、耐クラック性が低下する傾向を示す。Cのより好ま
しい量は1.3〜2.0%である。
【0014】Si:2.0重量%以下 Siは脱酸剤として必要な元素である。またN6 C炭化
物中に固溶してW、Moなどの高価な元素を置換し、節
減するのに有効である。その量が多くなると脆化が生じ
やすいので、2.0重量%以下とする。少ないと脱酸効
果がなく、鋳造欠陥を生じやすい。Siのより好ましい
量は0.3〜1.5%である。
【0015】Mn:2.0重量%以下 Mnは脱酸作用とともに不純物であるSをMnSとして
固定する作用がある。しかし2.0%を越えると残留オ
ーステナイトが生じやすくなり、安定して十分な硬さを
維持できない。その量が少ないと脱酸性に乏しく、好ま
しくない。Mnのより好ましい量は0.3〜1.5%で
ある。
【0016】Cr:2.0〜15.0重量% Crは2.0%未満で焼入れ性に劣り、また15.0%
を超えるとクロム系炭化物が過多となるため不都合であ
る。Cr系炭化物例えばN236 はMC、M2Cと比較
して硬さが低く、耐摩耗性を低下させる。Crのより好
ましい量は3.0〜10.0%である。
【0017】Mo:10.0重量%以下 Moは焼入れ性と高温硬さを得るために必要であるが、
10%を超えるとCとVとMoとのバランスにおいてM
6 C、M2 C系炭化物が増加し、靱性及び耐肌荒性の点
で好ましくないので、Mo含有量の上限は10.0%で
ある。より好ましいMoの含有量は2.0〜8.0%で
ある。
【0018】V:2.0〜8.0重量% Vは耐摩耗性の向上に効果のあるMC系炭化物を形成す
るための必須元素である。従って2.0%未満では十分
な効果がなく、また8.0%より多いと、溶湯の酸化が
激しくなり、粘性の増加によって健全な鋳造品が得られ
難くなる。Vのより好ましい量は2.0〜6.0%であ
る。
【0019】さらに、本発明の外殻層用鋳造材料は上記
元素以外にW,Ni,Co,Nをそれぞれ単独または複
合して含有することができる。
【0020】W:20.0重量%以下 Wは高温硬さの維持の点で必要であるが、20.0%を
越えるとM6 C系炭化物が増加して靱性及び耐肌あれ性
の点で好ましくないので、上限を20.0%とする。よ
り好ましいWの量は2.0〜15.0%である。
【0021】Ni:3.0重量%以下 Niは焼入れ性を向上する作用を有する。従って3.0
%以下の量添加することができる。しかしそれより多い
と残留オーステナイトの増加を招き、割れや圧延中の肌
荒れ等の問題が生ずるので最大3.0%まで含有するこ
とができる。好ましくは0.1〜1.5%である。
【0022】Co:10.0重量%以下 Coは基地に固溶することによってカーバイトの析出を
遅らせ、基地の軟化を防ぐことができる。つまり、焼戻
し軟化抵抗と二次硬化の点で有用な元素である。しか
し、10.0%を越えると効果の飽和と製造原価の上昇
がおこるため好ましくないCoのより好ましい量は1.
0〜7.0%である。
【0023】N:0.03〜0.2重量% Nの含有量は0.03〜0.2%であるのが好ましい。
この範囲のNは本発明材料において焼戻し硬さの向上に
効果がある。しかし、過剰になると材質が脆化するの
で、含有量の上限は0.2%以下である。より好ましく
は0.03〜0.1%である。
【0024】上記元素以外は不純物を除いて実質的に鉄
からなる。不純物として主なものはP及びSであるが、
Pは脆化防止のため0.1%以下であり、Sは同様に
0.06%以下であり、少ないほど好ましい。
【0025】さらに第1の発明において、外殻層の基地
組織の平均寸法が100μmを越えると、圧延用ロール
として要求される耐摩耗性および耐肌荒れ性を著しく低
下させるため好ましくない。上記要件を外殻層の表面か
ら深さ50mmの範囲に規定したのは、圧延用ロールの
使用される深さ(最大削り代)と対応させたためであ
る。また、m2 >1.2m1 であると、改削によって外
殻層を加工した場合に、耐摩耗性および耐肌荒れ性を著
しく低下させると共に、ロール原単位を低下させるため
不都合である。
【0026】次に第2の発明における溶湯の供給温度お
よび外殻層の積層速度の限定理由について述べる。
【0027】(1)Tc ≦T≦Tc +90℃ 通常遠心鋳造法においては、外殻層を形成すべき溶湯を
収容する取鍋から鋳込漏斗に鋳込む温度、いわゆる鋳込
温度を制御するのであるが、本発明における溶湯の供給
温度とは、鋳型(通常は金型が使用される)内面に落下
する際の溶湯の温度である。そして、いわゆる鋳込温度
は、温度低下を考慮して、供給温度より高く設定する必
要がある。外殻層を形成すべき溶湯は、その材料の初晶
生成温度Tc に対して+0℃〜+90℃の温度範囲で鋳
型に供給する必要がある。ノズル中で凝固を始めるた
め、健全な外殻層を形成できなくなり、不都合である。
【0028】この場合、溶湯が鋳型内に供給されると直
ちに初晶オーステナイトを発生することになり、鋳型内
に供給された溶湯は直ちに凝固を開始することになる。
T>Tc +90℃であると、溶湯が凝固するまでの時間
が長すぎるため大きな冷却速度が得られず、金属組織が
粗大化して、好ましくない。一方、T<Tc ℃である
と、溶湯が鋳込ノズル中で凝固を始めるため、健全な外
殻層を形成できなくなり、不都合である。
【0029】 (2)外殻層の平均積層速度 2〜40mm/分 本発明における外殻層の平均積層速度とは、外殻層を鋳
造して形成する外殻層の厚さを鋳込み所要時間で割った
値、すなわち、単位時間あたりに溶湯が積層されて外殻
層の厚さが増加する速度をいう。一般に、遠心鋳造法に
おける外殻層の鋳込み速度は、鋳込んだ溶湯が回転する
鋳型内面に確実に巻き付くことを勘案して、平均積層速
度を50〜200mm/分に設定している。これに対し
て本発明における平均積層速度を大幅に低く設定してい
るのは、外殻層を形成すべき溶湯の凝固界面の進行速度
に同調させて溶湯を供給するためである。このように凝
固界面の進行速度に合わせた速度で外殻層を形成すべき
溶湯を供給し、外殻層を逐次積層することにより、凝固
界面の前方には常に薄い層状の溶湯プールを保持しつ
つ、これを半径方向に移動させることができるようにな
るのである。
【0030】上記溶湯プールは薄い層状であるため熱容
量が小さいから、鋳型およびすでに凝固完了している外
殻層への熱伝導あるいは放熱により、大きな冷却速度を
得ることができる。また上記の薄い層状の溶湯プール内
において、初晶生成温度近傍から固相線凝固温度まで変
化することになるため、大きな温度勾配が得られるので
ある。前記の薄い層状の溶湯プールを外殻層の積層中に
おいて一定に保持し、平行移動させれば、上記のような
大きな冷却速度と温度勾配は、外殻層の内部の位置にお
いても確保することができ、金属組織の微細化および均
一化、鋳造欠陥の防止に寄与する。しかし、外殻層の平
均積層速度が40mm/分を越えると、前記効果が期待
できず、従来同様の外殻層形成態様となり、外殻層内部
の金属組織の粗大化を招くため好ましくない。一方、外
殻層の積層速度が2mm/分未満であると、溶湯の供給
が溶湯の凝固界面の進行に追従できず健全な外殻層を形
成できないため不都合である。
【0031】
【実施例】本発明をさらに以下の実施例により詳細に説
明する。
【0032】実施例1 内径420mm、胴長1530mmの鋳型を用い、遠心
鋳造法によって、表1に示す組成の外殻層を総鋳込重量
700kg、肉厚60mmに鋳造してスリーブロールを
製造した。
【0033】
【表1】
【0034】いずれも鋳造内面における塗型材の厚さを
2.5mmとし、鋳型の回転数は外殻層を形成すべき溶
湯の表面における遠心力の重力倍数が140Gとなるよ
うに設定した。なお初晶生成温度を示差熱分析によって
測定したところTc =1390℃であった。溶湯の供給
温度は、従来法においてTc +85℃、発明法において
c +50℃である。次に発明法における溶湯の供給に
際して、積層速度12mm/分の溶湯を供給し、所要時
間5分で鋳込みを完了した。
【0035】なお発明法においては、溶湯の凝固界面の
進行速度を測定するために、溶湯厚10mmおよび40
mm形成時において、鋳込受口内の残りの溶湯に硫化鉄
を200g添加し、サルファープリントによる検出を試
みた。上記のようにして鋳造した外殻層から機械加工に
よって試験片を採取した。図2は、本発明の実施例にお
けるサルファープリント試験の結果を模式的に示す図で
ある。また、表2に試験片の調査結果を示す。
【0036】
【表2】
【0037】図2に示すように、溶湯厚10mm形成時
においては、溶湯の凝固界面の位置は、外殻層の表面
(鋳型の内面)から8mmの位置であったことから、表
2に示すように未凝固の溶湯のプールの層厚は2mm、
凝固界面の平均進行速度は9.6mm/分(0.16m
m/秒)であった。また溶湯厚40mm形成時において
は溶湯の凝固界面の位置は33mmの位置であったこと
から、未凝固の溶湯プールの層厚は7mm、凝固界面の
平均進行速度は10.0mm/分(0.17mm/秒)
であることが認められる。
【0038】上記外殻層の金属組織を観察した。その結
果、基地組織は外殻層の外表面はもちろん、外表面から
深さ50mmの部位においても微細かつ均質であること
を確認した。
【0039】実施例2 次に、内径1130mm、胴長1593mmの鋳型を用
いて、実施例1と同様の遠心鋳造法によって、表3に示
す化学組成の外殻層を肉厚100mmに鋳造してスリー
ブロールを製造した。
【0040】
【表3】
【0041】いずれも鋳型内面における塗型材の厚さを
2.0mmとし、鋳型の回転数は外殻層を形成すべき溶
湯の表面における遠心力の重力倍数が120Gとなるよ
うに設定した。なお初晶生成温度を示差熱分析によって
測定したところTc =1335℃であった。溶湯の供給
温度は従来法においてTc +85℃、発明法においてT
c +50℃である。
【0042】発明法における溶湯の供給は、実施例1と
同様に行った。但し、全溶湯厚(外殻層の肉厚100m
m)の30%に相当する溶湯厚30mmは積層速度12
0mm/分で溶湯を供給し、残りの溶湯厚70mmに対
しては積層速度11mm/分で溶湯を供給し、所要時間
6分37秒で鋳込みを完了した。したがって、平均積層
速度は約15mm/分である。
【0043】実施例1と同様に、鋳造した外殻層から機
械加工によって試験片を採取し調査した。また鋳放し時
の仕上げ代を切削および研削した製品外殻層の外表面か
ら片肉深さ25mmおよび50mmの位置において、全
長1530mmにわたって超音波内部探傷、肉眼検査、
マクロエッチングにより鋳造欠陥と偏析の有無を調査し
た。
【0044】図1に実施例2の発明法と従来法の製品外
殻層の表面部および表面から深さ50mmの部位の濃腐
食した金属組織を示す。これらの金属組織において、黒
色に見える部分が基地組織であり、白色に見える部分が
炭化物である。また、実施例2の発明法と従来法の製品
外殻層の表面部および表面から深さ50mmの部位の金
属組織の大きさを画像解析法により定量化した。基地組
織の大きさ(面積)が真円に換算して直径が30μmを
超えるものについて測定し、その平均直径を求めた。測
定は基地組織部を濃腐食により黒化し20視野で行な
い、その平均値を基地組織寸法とした。その結果、従来
法においては、基地組織の寸法は表面部では83μmで
あるが、深さ50mmの部位では113μmに粗大化し
ていた。これに対して、発明法においては、基地組織の
寸法が75μmであり、深さ50mmの部位においても
88μmであった。これらの結果から、本発明のロール
は表面から内部にわたって微細な金属組織を形成してい
ることが確認された。
【0045】次に、超音波内部探傷の結果、いずれの外
殻層にも異常は認められなかった。しかしながら、従来
法による外殻層には、表面から深さ25mmの位置に1
カ所φ1mm、深さ50mmの位置に1か所φ1mmの
炭化物の偏析が肉眼検査によって認められた。また、肉
眼検査およびマクロエッチングの結果、従来法によるも
のにおいては、表面から深さ25mmの位置に組織むら
(偏析)のあることが確認された。これに対して、発明
法の外殻層においては、肉眼検査およびマイクロエッチ
ングによって異常は認められず、また鋳造欠陥および偏
析の存在もなく、健全な外殻層であることが確認され
た。
【0046】
【発明の効果】本発明は上記のような構成および作用を
なすものであるから、従来問題であった、遠心鋳造製の
外殻層を有する圧延用ロールの内部金属組織の粗大化お
よび鋳造欠陥や偏析等の組織不均一性を解消することが
でき、圧延用ロールの品質向上、ロール原単位の低減に
寄与するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例2および従来法における、それ
ぞれ、製品外殻層の表面部および表面から深さ50mm
の位置の金属組織を示す顕微鏡写真である。
【図2】サルファープリント試験の結果を模式的に示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/00 301 L 302 E 38/24

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐摩耗性及び耐肌荒れ性を有する硬質材
    料からなり、遠心鋳造法によって製作される外殻層と強
    靱性材料からなる内層あるいは軸部とによって構成した
    圧延用ロールにおいて、外殻層を重量比でC1.0〜
    3.0%、Si2.0%以下、Mn2.0%以下、Cr
    2.0〜15.0%、Mo10.0%以下、V2.0〜
    8.0%、残部実質的にFeおよび不可避的不純物元素
    からなる鋳造材料によって形成すると共に、外殻層の基
    地組織の平均寸法を製品外殻層の表面から深さ50mm
    の範囲において、画像解析法による30μmを超える基
    地の平均径を100μm以下に形成し、かつ製品外殻層
    の表面および表面から深さ50mmの位置における基地
    組織の寸法を、それぞれ、m1 ,m2 としたときに、m
    2 ≦1.2m1 としたことを特徴とする圧延用ロール。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の圧延用ロールにおい
    て、前記外殻層が、さらに、Wを20.0重量%以下含
    有することを特徴とする圧延用ロール。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の圧延用
    ロールにおいて、前記外殻層が、さらに、Niを3.0
    重量%以下含有することを特徴とする圧延用ロール。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3までのいずれか1
    つに記載の圧延用ロールにおいて、前記外殻層が、さら
    に重量比でCoを10.0%以下含有することを特徴と
    する圧延用ロール。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4までのいずれか1
    つに記載の圧延用ロールにおいて、前記外殻層が、さら
    に重量比でNを0.03〜0.2%含有することを特徴
    とする圧延用ロール。
  6. 【請求項6】 遠心鋳造法により、重量比でC1.0〜
    3.0%、Si2.0%以下、Mn2.0%以下、Cr
    2.0〜15.0%、Mo10.0%以下、V2.0〜
    8.0%、残部実質的にFeおよび不可避的不純物元素
    からなる外殻層を形成する圧延用ロールの製造方法にお
    いて、中空円筒状であり、かつ、その軸線のまわりに回
    転自在に形成した鋳型へ前記外殻層の溶湯を供給する温
    度TをTC ≦T≦TC +90℃(ただし、TC は外殻層
    を形成する材料の初晶生成温度である。)とすると共
    に、前記外殻層の平均積層速度を2〜40mm/分とし
    たことを特徴とする圧延用ロールの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の圧延用ロールの製造方
    法において、前記外殻層が、さらに、Wを20.0重量
    %以下含有することを特徴とする圧延用ロールの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項6または請求項7に記載の圧延用
    ロールの製造方法において、前記外殻層が、さらに、N
    iを3.0重量%以下含有することを特徴とする圧延用
    ロールの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項6から請求項8までのいずれか1
    つに記載の圧延用ロールの製造方法において、前記外殻
    層が、さらに重量比でCoを10.0%以下含有するこ
    とを特徴とする圧延用ロールの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項6から請求項9までのいずれか
    1つに記載の圧延用ロールの製造方法において、前記外
    殻層が、さらに重量比でNを0.03〜0.2%含有す
    ることを特徴とする圧延用ロールの製造方法。
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