JP2686207B2 - 圧延用ロール材 - Google Patents
圧延用ロール材Info
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Description
の材質に関し、特に、耐摩耗性及び耐肌荒れ性に優れた
熱間圧延あるいは冷間圧延用ロールの材質に関するもの
である。
ル組み替え頻度の低減、ロール改削頻度の低減、ロール
原単位の向上のため、耐摩耗性が要求されるとともに、
圧延製品の品質向上のため、耐肌荒れ性が求められる。
このような圧延ロールとして、その材質面から見ると、
従来、高合金グレンロールや高クロム鋳鉄ロールが用い
られていたが、耐摩耗性をさらに向上させるために、近
年、バナジウム炭化物VCを主体とするハイス系ロール
が用いられている。
硬く耐摩耗性に優れ、周囲の基地組織に比べて摩耗が少
なく、圧延を繰り返すに伴ってロール表面にVC炭化物
が突出して浮き出てくる。このため、VC炭化物の分布
が不均一な圧延ロールを使用すると、不均一な凹凸肌と
なり、圧延製品の表面性状が悪化するという問題があ
る。
を均一に分布させた、耐摩耗性及び耐肌荒れ性の極めて
良好なハイス系ロールの材質を得ようとするものであ
る。
につき発明者は種々の実験を行った結果、共晶VC炭化
物は粗大化しオーステナイト粒界に偏析するが、Nを重
量比で0.03〜0.2%添加すると、VC炭化物が高
温で晶出し、微細粒状となり均等に分布することを見い
出した。
化学成分が重量比で、C1〜3%、Si2%以下、Mn
1.5%以下、Cr3〜15%、Mo8%以下、V2〜
8%、N0.03〜0.2%、残部実質的にFe及び不
可避的不純物元素からなることを特徴とする。
なお、含有量は重量比で表わしている。
る。1%未満では炭化物の晶出量が十分でなく、十分な
耐摩耗性が得られない。一方、C量が過剰であると、炭
化物の量が過多となり、靭性、耐クラック性が低下する
ので制限される。
が脆化するため不都合である。
定する作用もある。しかし、1.5%を超えると材質が
脆化するため不都合である。
炭化物を形成するため添加する。添加量が3%未満では
その添加による効果が十分でない。また15%を超える
と、より硬質のVC炭化物の量が少なくなりすぎるた
め、Cr量は15%以下とする。
る。しかし、8%を超えて添加すると、M2 C系あるい
はM6 C系炭化物の形成が多くなり、より硬質のVC炭
化物が減少する。
C炭化物を形成して、圧延用ロールの耐摩耗性向上に最
も寄与する。Vの含有量が2%未満では、VC炭化物の
晶出が十分ではない。一方、Vの含有量が多すぎると、
溶湯の酸化が大きく鋳造欠陥が生じるとともに、遠心鋳
造する時は、その遠心力によって比重の軽いVC炭化物
が内側部分に偏析し健全でなくなる。したがって、Vの
含有量は8%以下にする必要がある。
る元素である。つまり、Nの含有量が0.03%未満で
は、VC炭化物が粗大化しオーステナイト粒界に偏析す
るが、Nの含有量が0.03%以上では、VC炭化物が
微細粒状化し、均一分布することを見出した。しかし、
0.2%を超えても、Nの効果は飽和し、VC炭化物は
微細粒状であり均一に分布し、VC炭化物の形状、分布
に影響しないが、青熱もろさなど悪影響が生じる。
さらに、Ti2%以下を含有してもよい。Tiは、VC
炭化物の微細粒状化、均一分布を促進することを見出し
た。原因はまだ明らかではないが、高温でTiNあるい
はTiCが最初に晶出し、これを核としてVC炭化物が
晶出するためではないかと考えられる。一方、Ti量が
2%を超えると、溶湯の酸化が大きくなりすぎるため好
ましくない。
分に加えて、さらに、W及び/またはNbを添加してW
%+Nb%の値が10以下となるようにしてもよい。W
はMoと同様の作用をし、焼戻し硬さを向上する。しか
し、多量に添加すると、M2C系あるいはM6 C系炭化
物の晶出が多くなり、炭化物が粗大化し靭性が低下する
とともに、より硬質のVCが減少する。他方、NbはV
と同様に硬質炭化物を形成する元素であり、耐摩耗性の
向上を図ることができる。しかし、W%+Nb%の値が
10を超えて、多量に添加すると、より硬質のVC炭化
物の量が少なくなりすぎ、好ましくない。また、Nb量
が過剰であると、溶湯の酸化が大きくなり好ましくな
い。
分に加えて、さらに、Niを2%以下含有してもよい。
Niはオーステナイトを安定化させ、焼入れ性を向上す
るため、大型ロール製造の場合に添加すると特に好まし
い。しかし、2%を超えると、オーステナイトが安定化
しすぎ、残留オーステナイトの分解が困難となるため、
硬さや耐摩耗性が十分に得られなくなる。
Coはロール基地に固溶し、ロールの熱間強度を向上さ
せる作用を有する。したがって、Coの添加は、特に熱
間圧延用ロールの耐摩耗性、耐肌荒れ性の向上に有効で
ある。この効果はCoの添加量が10%であれば十分で
あり、また10%を超えても耐摩耗性及び耐肌荒れ性の
向上が特にみられないので、経済性の点から10%以下
とする。
明する。
CO2 砂型に注入して、圧延摩耗試験用の小型ロール素
材を鋳造した。この素材に1000〜1100℃からの
焼入れ及び500〜550℃での焼戻しの熱処理を施し
た後、外径60mm、内径35mm、長さ40mmのス
リーブ状の試験用ロールを作成した。ロール表面のVC
炭化物の形状、分布を観察するため、アルミナ研磨仕上
の金属組織写真を撮影した。本試験材である試料No. 1
及び試料No. 3の倍率100倍の金属組織写真を、それ
ぞれ、図1、図2に示す。これら金属組織写真におい
て、黒い部分がVC炭化物に相当しているのであるが、
本試験材はVC炭化物が微細粒状となり均一に分布して
いることがわかる。
さ計により測定した結果を表2に示す。次に、この試験
用ロールの圧延摩耗試験を行った。圧延摩耗試験機は図
4に示すとおり、圧延機1と、圧延機1に組み込まれた
上ロール2及び下ロール3と、圧延材Sを予熱する加熱
炉4と、圧延材Sを冷却する冷却水槽5と、圧延中に一
定のテンションを与える巻取り機6と、テンションを調
節するテンションコントローラ7とからなる。試験条件
は以下のとおりである。 圧延材 :SUS 304、厚さ1mm、幅15m
m 圧延距離 :800m 圧延温度 :900℃ 圧下率 :25% 圧延速度 :150m/分 ロール冷却 :水冷
触針式表面粗さ計(SURFCOM) を用いて測定した。各ロー
ルについて摩耗深さを圧延幅において平均して平均摩耗
深さを求めた結果を表2に示す。また、肌荒さを評価す
るために、圧延後に圧延材の表面粗さRmax を触針式表
面粗さ計(SURFCOM) を用いて測定した。求めた結果を表
2に合わせて示す。
例1と同様にして試験用ロールを作製した。試料No. 8
の組成は、本試験材と同種であるが、N0.03%未満
かつTi0.01%未満であり、VC炭化物の微細均一
化を考慮していない点で異なる。この比較材の試料No.
8について、実施例1と同様に得た倍率100倍の金属
組織写真を図3に示す。また、実施例1と同様にして摩
耗試験を行い、ロールの摩耗深さを圧延幅において平均
して平均摩耗深さを求め、圧延材の表面粗さRmax を求
めた。その結果を表2に示す。また硬さを測定した結果
を表2に合わせて示す。
し、胴径450mmφ、胴長750mmの複合ロールを
以下に示す手順により製造した。
解した。Nの添加は、窒化フェロクロムを溶解原料とし
て用いた。溶湯を1450℃で回転する遠心鋳造用鋳型
内に450kg鋳込んだ。同時に外殻層内面の酸化防止
用フラックスを吹き込んだ。外殻層を鋳込み、15分後
に、鋳型の回転を停止し鋳型を直立させ、直ちに内層と
なるダクタイル鋳鉄を1400℃にて鋳込んだ。そし
て、室温まで冷却後、鋳型を解体し、粗加工を行い、1
000℃から放冷焼入れし、その後550℃にて3回の
焼戻しを行う熱処理を行った。熱処理後に超音波探傷及
びカラーチェックにて、欠陥のない健全なロールである
ことを確認した。
タイル鋳鉄であるロールの製造例を示す。溶湯成分は表
4に示すとおりである。
は、溶湯中にN2 ガスを吹き込んで行った。20°傾斜
式の遠心鋳造機上の回転鋳型内に、外殻層用溶湯を鋳込
み温度1420℃で3000kg注入し、その直後内面
の酸化を防止するためフラックスを吹き込んだ。外殻層
が凝固した直後に鋳型の回転を停止して直立させ、鋳型
を外殻層とともに吊り上げて、あらかじめ直立させてお
いたロールジャーナル部を鋳込む鋳型の上に載せ、さら
にその上にロールジャーナル部となる鋳型を載せ、ダク
タイル鋳鉄の内層材を1390℃で注入して鋳型内に充
満した。
を施して超音波探傷した結果、外殻層、境界部、内層と
もに健全であることを確認した。
を有し、かつ、VC炭化物が微細粒状に、均一に分布
し、さらに、圧延材の表面粗さが、従来の圧延用ロール
により得られる圧延材の1/2程度と極めて耐肌荒れ性
が優れた圧延用ロールを製造することが可能となった。
このことはロールの寿命延長のみならず、ロール交換頻
度の低減、製品形状の改善、圧延スケジュールの自由度
の増加等とともに、製品表面性状の向上、品質の改善等
の効果をもたらすものである。
鏡写真である。
鏡写真である。
写真である。
略を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 化学成分が重量比でC1〜3%、Si2
%以下、Mn1.5%以下、Cr3〜15%、Mo8%
以下、V2〜8%、N0.03〜0.2%、残部実質的
にFe及び不可避的不純物元素からなることを特徴とす
る圧延用ロール材。 - 【請求項2】 請求項1に記載の圧延用ロール材におい
て、上記化学成分がさらに重量比でTi0.01〜2%
を含むことを特徴とする圧延用ロール材。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の圧延用ロ
ール材において、前記化学成分がさらにW及び/または
Nbを含み、重量比でW%+Nb%の値が10以下であ
ることを特徴とする圧延用ロール材。 - 【請求項4】 請求項1から請求項3までのいずれか1
つに記載の圧延用ロール材において、前記化学成分がさ
らに重量比でNi2%以下を含むことを特徴とする圧延
用ロール材。 - 【請求項5】 請求項1から請求項4までのいずれか1
つに記載の圧延用ロール材において、前記化学成分がさ
らに重量比でCo10%以下を含むことを特徴とする圧
延用ロール材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10242092A JP2686207B2 (ja) | 1992-03-30 | 1992-03-30 | 圧延用ロール材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10242092A JP2686207B2 (ja) | 1992-03-30 | 1992-03-30 | 圧延用ロール材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05271867A JPH05271867A (ja) | 1993-10-19 |
JP2686207B2 true JP2686207B2 (ja) | 1997-12-08 |
Family
ID=14326962
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10242092A Expired - Lifetime JP2686207B2 (ja) | 1992-03-30 | 1992-03-30 | 圧延用ロール材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2686207B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
BR9702366A (pt) * | 1996-06-18 | 1999-07-20 | Kawasakistell Coporation | Rolo para laminação a quente tendo resistência à abrasão intensificada e segregação de carbonetos reduzida |
JP4569122B2 (ja) * | 2004-02-18 | 2010-10-27 | Jfeスチール株式会社 | 熱間圧延用ロール外層材および熱間圧延用複合ロール |
DE112014007041T5 (de) * | 2014-10-07 | 2017-09-14 | Aktiebolaget Skf | Stahllegierung |
-
1992
- 1992-03-30 JP JP10242092A patent/JP2686207B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05271867A (ja) | 1993-10-19 |
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