JPH06256754A - 赤外吸収化合物及びそれを用いた光記録媒体 - Google Patents

赤外吸収化合物及びそれを用いた光記録媒体

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JPH06256754A
JPH06256754A JP5067427A JP6742793A JPH06256754A JP H06256754 A JPH06256754 A JP H06256754A JP 5067427 A JP5067427 A JP 5067427A JP 6742793 A JP6742793 A JP 6742793A JP H06256754 A JPH06256754 A JP H06256754A
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JP
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group
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optical recording
recording medium
absorbing compound
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JP5067427A
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Chieko Mihara
知恵子 三原
Takeshi Santo
剛 三東
Hiroyuki Sugata
裕之 菅田
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 溶剤溶解性の良い赤外吸収化合物及びそれを
用いた耐光性、耐熱性の良好な光記録媒体を提供する。 【構成】 式[I][II]等で表わされるトリアリール
アミン系アミニウム塩、ジイモニウム塩化合物及びそれ
を含有する光記録媒体。 (R1 〜R6 はH、一価の有機残基を示し、それぞれ同
じであっても異っていてもよい。また、少なくとも1つ
は、R1 とR2 ,R3 とR4 ,R5 とR6 の組み合わせ
でNとともに(置換)5員環、(置換)6員環、(置
換)7員環を形成する。R7 〜R9 およびR17〜R19
H,ハロゲン基,低級アルキル基,低級アルコキシ基,
CN,OHを示す。X- は陰イオンを示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は赤外吸収化合物及びそれ
を利用した光記録媒体に関し、特に光ディスクまたは光
カードにおいて、耐光性および耐熱性を向上させる赤外
吸収化合物及びそれを用いた光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、光ディスクおよび光カードは、
基体の上に設けた薄い記録層に形成された光学的に検出
可能な小さな(例えば、約1μm)ピツトをらせん状又
は円形および直線状のトラック形態にして高密度情報を
記憶することができる。この様なデイスクに情報を書き
込むには、レーザ感応層の表面に集束したレーザを走査
し、このレーザ光線が照射された表面のみにピツトを形
成し、このピツトをらせん状又は円形および直線状トラ
ツクの形態で形成する。レーザ感応層は、レーザ・エネ
ルギーを吸収して光学的に検出可能なピツトを形成でき
る。例えば、ヒートモード記録方式では、レーザ感応層
は熱エネルギーを吸収し、その個所に蒸発又は融解によ
り小さな凹部(ピツト)を形成できる。また、別のヒー
トモード記録方式では、照射されたレーザ・エネルギー
の吸収により、その個所に光学的に検出可能な濃度差を
有するピツトを形成できる。
【0003】ここで、反射率の高い記録層として有機色
素薄膜を用いることにより、記録ピツトの光学的コント
ラストを高く設定することができる。例えば、有機色素
薄膜として、レーザ光に対する光吸収の大きいポリメチ
ン系色素,アズレン系色素,シアニン系色素,ピリリウ
ム系色素等を用いると、金属光沢(反射10〜50%)
を示す光吸収反射膜が得られ、レーザ記録が可能で、反
射読み出しが可能な光学記録媒体になる。
【0004】特にレーザ光源として発振波長500〜9
00nmの半導体レーザを用いると、装置の小型化、低
コスト化が可能となる利点を有している。しかしなが
ら、有機色素薄膜は、一般に熱および光に対して、物質
変化しやすい等の原因から、記録再生特性および保存安
定性が低下するという問題があった。
【0005】このような有機色素の熱及び光安定性を改
良するため、従来、金属錯体クエンチャーが精力的に研
究されてきた。(例えば、特開昭63−1594号公
報,特開昭63−9576号公報,特開昭63−317
92号公報,特開昭63−67187号公報,特開昭6
3−78794号公報,特開昭63−82789号公報
等)ところが、この系統の化合物の最大の欠点はプラス
チック基板をおさかない汎用有機溶剤への溶解性が低い
ことである。
【0006】そこで、この金属錯体クエンチャーの有機
溶剤への溶解性を向上させる試みが種々なされている
が、満足な結果が得られているものは極くわずかであ
る。また、トリアリルアミン系のアミニウム塩・ジイモ
ニウム塩系化合物も色素の熱及び光安定化剤として精力
的に検討されてきた。(例えば、特開昭60−2361
31号公報,特開平1−38490号公報,特開平1−
31693号公報,特開平1−113482号公報な
ど)
【0007】これらのアミニウム塩・ジイモニウム塩系
化合物は、金属錯体クエンチャーに比較すると溶剤溶解
性は向上しているが、生産性の向上、特に塗布方式で光
記録媒体を製造する場合の塗布インキのポットライフを
伸ばすという点で、より一層の溶解性の向上が求められ
ていた。
【0008】また、光記録媒体、特に光カードは携帯性
に優れているので、使用場所はより広範囲でいろいろな
環境条件に耐え得るものが要求されている。例えば、車
で運搬あるいは車内で放置される場合は、高温になる危
険性が大きい。そのため、光カードの記録層の高温度に
おける、より一層の熱安定性の向上が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の従来の技術の欠点を解決するものであり、著しく溶剤
溶解性の良い赤外吸収化合物及びそれを用いた耐光性お
よび耐熱性に優れた光記録媒体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記一
般式[I]または[II]で表わされる赤外吸収化合物
である。
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R1 〜R6 は水素原子または一価
の有機残基を示し、それぞれ同じであっても異っていて
もよい。また、少なくとも1つは、R1 とR2 ,R3
4 ,R5 とR6 の組み合わせでNとともに置換もしく
は末置換の5員環、置換もしくは末置換の6員環、置換
もしくは末置換の7員環を形成する。R7 〜R9 は水素
原子,ハロゲン基,低級アルキル基,低級アルコキシ
基,シアノ基または水酸基を示す。X- は陰イオンを示
す。)
【0013】また、本発明は、有機色素薄膜中に、上記
の一般式[I]または[II]で表わされる赤外吸収化
合物を含有することを特徴とする光記録媒体である。
【0014】さらに、本発明は、下記一般式[III]
または[IV]で表わされる赤外吸収化合物である。
【0015】
【化4】
【0016】(式中、R11〜R16は水素原子または一価
の有機残基を示し、R11〜R16の少なくとも1つは、置
換もしくは末置換のアルコキシアルキル基、置換もしく
は末置換のアルケニル基、置換もしくは末置換のアルキ
ニル基、置換もしくは末置換のシクロアルキル基を示
す。R11〜R16は各々同じであっても異っていてもよ
い。R17〜R19は水素原子,ハロゲン基,低級アルキル
基,低級アルコキシ基,シアノ基または水酸基を示す。
- は陰イオンを示す。)
【0017】また、本発明は、有機色素薄膜中に、上記
の一般式[III]または[IV]で表わされる赤外吸
収化合物を含有することを特徴とする光記録媒体であ
る。
【0018】以下、本発明を詳細に説明する。まず、本
発明の下記一般式[I]または[II]で示される赤外
吸収化合物について説明する。
【0019】
【化5】
【0020】上記一般式[I]および[II]におい
て、R1 〜R6 は水素原子または一価の有機残基を示
す。1価の有機残基としては、例えばアルキル基として
は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i
so−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、
t−ブチル基、n−アミル基、t−アミル基、n−ヘキ
シル基、n−オクチル基、t−オクチル基などを示し、
さらに他のアルキル基、例えば置換アルキル基として
は、例えば2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプ
ロピル,4−ヒドロキシブチル基などのヒドロキシアル
キル基、2−アセトキシエチル基、2−アセトキシプロ
ル基などのアセトキシアルキル基、カルボキシメチル
基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル
基などのカルボキシアルキル基、メトキシメチル基、メ
トキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル
基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプ
ロピル基、エトキシブチル基、プロポキシメチル基など
のアルコキシアルキル基などを示し、アルケニル基とし
ては、例えばビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペ
ンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル
基など、アラルキル基としては、例えばベンジル基、p
−クロロベンジル基、p−メチルベンジル基、2−フェ
ニルメチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニル
プロピル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルエチ
ル基など、アルキニル基としては、例えば、プロパギル
基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基など、シ
クロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、シクロヘプチル基などが好ましい。
【0021】R1 〜R6 は各々異なっていても又は同じ
であってもよい。
【0022】また、R1 とR2 ,R3 とR4 ,R5 とR
6 の組み合せでNとともに置換もしくは末置換の5員
環、置換もしくは末置換の6員環、置換もしくは末置換
の7員環を形成してもよい。置換もしくは末置換の5員
環としてはピロリジン環、置換もしくは末置換の6員環
としてはピペリジン環,モルホリン環,テトラヒドロピ
リジン環,置換もしくは末置換の7員環としてはシクロ
ヘキシアミン環などである。これらの環は、同じであっ
てもまたは異っていてもよい。
【0023】R7 〜R9 は水素原子,ハロゲン基,低級
アルキル基,低級アルコキシ基,シアノ基または水酸基
を示す。R 〜R は各々異なっていても又は同じ
であってもよい。
【0024】X- は、塩素イオン,臭素イオン,ヨウ素
イオン,過塩素酸塩イオン,硝酸塩イオン,ベンゼンス
ルホン酸塩イオン,p−トルエンスルホン酸塩イオン,
メチル硫酸塩イオン,エチル硫酸塩イオン,プロピル硫
酸塩イオン,テトラフルオロホウ酸塩イオン,テトラフ
エニルホウ酸塩イオン,ヘキサフルオロリン酸塩イオ
ン,ベンゼンスルフイン塩酸イオン,酢酸塩イオン,ト
リフルオロ酢塩イオン,プロピオン酢酸塩イオン,安息
香酸塩イオン,シユウ酸塩イオン,コハク酸塩イオン,
マロン酸塩イオン,オレイン酸塩イオン,ステアリン酸
塩イオン,クエン酸塩イオン,一水素二リン酸塩イオ
ン,二水素一リン酸塩イオン,ペンタクロロスズ酸塩イ
オン,クロロスルホン酸塩イオン,フルオロスルホン酸
塩イオン,トリフルオロメタンスルホン酸塩イオン,ヘ
キサフルオロヒ酸塩イオン,ヘキサフルオロアンチモン
酸塩イオン,モリブテン酸塩イオン,タングステン酸塩
イオン,チタン酸塩イオン,ジルコン酸塩イオンなどの
陰イオンを表わす。
【0025】本発明の一般式[I]または[II]で示
される赤外吸収化合物の製造方法は、Chemisch
e Berichte 92巻,245頁(1959
年)に記載されている様な方法で、該当するトリアリー
ルアミンを過塩素酸銀、ヘキサフルオロアンチモン銀等
で酸化処理することによって容易に得ることができる。
例えば、次の過程により製造することができる。
【0026】
【化6】
【0027】上記還元反応により得たアミノ体を選択的
置換化によりアルキル化,アルケニル化,アラルキル
化,アルキニル化,環化などにより置換して最終生成物
を得ることが出来る。R1 からR6 が非対称となる場合
には、このアルキル化を多段階的に行う必要があり、コ
スト的にはR1 からR6 が同一の場合が好ましい。
【0028】次に、本発明による一般式[I]および
[II]の化合物の具体例を挙げるが、これらに限定さ
れるものではない。簡略化のために、X,(R12
(R34 )(R56 )(R789 )と表記す
る。例えば、[I]式で、X- がClO4 -で、R1 とR
2 、R3 とR4 、R5 とR6 の組み合せでNとともに5
員環を形成して、R7 からR9 が水素原子である場合、
【0029】
【化7】 ClO4 (CH2 CH2 CH2 CH23 (H,H,H) と表わす。
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】次に、本発明の下記一般式[III]また
は[IV]で示される赤外吸収化合物について説明す
る。
【0036】
【化13】
【0037】上記一般式[III]および[IV]にお
いて、R11〜R16は水素原子または一価の有機残基を示
す。1価の有機残基としては、例えばアルキル基として
は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i
so−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、
t−ブチル基、n−アミル基、t−アミル基、n−ヘキ
シル基、n−オクチル基、t−オクチル基などを示し、
さらに他のアルキル基、例えば置換アルキル基として
は、例えば2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプ
ロピル,4−ヒドロキシブチル基などのヒドロキシアル
キル基、2−アセトキシエチル基、2−アセトキシプロ
ル基などのアセトキシアルキル基、カルボキシメチル
基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル
基などのカルボキシアルキル基、メトキシメチル基、メ
トキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル
基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプ
ロピル基、エトキシブチル基、プロポキシメチル基など
のアルコキシアルキル基などを示し、アルケニル基とし
ては、例えばビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペ
ンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル
基など、アラルキル基としては、例えばベンジル基、p
−クロロベンジル基、p−メチルベンジル基、2−フェ
ニルメチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニル
プロピル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルエチ
ル基など、アルキニル基としては、例えば、プロパギル
基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基など、シ
クロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、シクロヘプチル基などが好ましい。
【0038】R11〜R16は各々異なっていても又は同じ
であってもよい。
【0039】R17〜R19は水素原子,ハロゲン基,低級
アルキル基,低級アルコキシ基,シアノ基または水酸基
を示す。
【0040】X- は、塩素イオン,臭素イオン,ヨウ素
イオン,過塩素酸塩イオン,硝酸塩イオン,ベンゼンス
ルホン酸塩イオン,p−トルエンスルホン酸塩イオン,
メチル硫酸塩イオン,エチル硫酸塩イオン,プロピル硫
酸塩イオン,テトラフルオロホウ酸塩イオン,テトラフ
エニルホウ酸塩イオン,ヘキサフルオロリン酸塩イオ
ン,ベンゼンスルフイン塩酸イオン,酢酸塩イオン,ト
リフルオロ酢塩イオン,プロピオン酢酸塩イオン,安息
香酸塩イオン,シユウ酸塩イオン,コハク酸塩イオン,
マロン酸塩イオン,オレイン酸塩イオン,ステアリン酸
塩イオン,クエン酸塩イオン,一水素二リン酸塩イオ
ン,二水素一リン酸塩イオン,ペンタクロロスズ酸塩イ
オン,クロロスルホン酸塩イオン,フルオロスルホン酸
塩イオン,トリフルオロメタンスルホン酸塩イオン,ヘ
キサフルオロヒ酸塩イオン,ヘキサフルオロアンチモン
酸塩イオン,モリブテン酸塩イオン,タングステン酸塩
イオン,チタン酸塩イオン,ジルコン酸塩イオンなどの
陰イオンを表わす。
【0041】本発明の一般式[III]または[IV]
で示される赤外吸収化合物の製造方法は、Chemis
che Berichte 92巻,245頁(195
9年)に記載されている様な方法で、該当するトリアリ
ールアミンを過塩素酸銀、ヘキサフルオロアンチモン銀
等で酸化処理することによって容易に得ることができ
る。例えば、次の過程により製造することができる。
【0042】
【化14】
【0043】上記還元反応により得たアミノ体を選択的
置換化によりアルキル化,アルケニル化,アラルキル
化,アルキニル化などにより置換して最終生成物を得る
ことが出来る。R11からR16が非対称となる場合には、
このアルキル化を多段階的に行う必要があり、コスト的
にはR11からR16が同一の場合が好ましい。
【0044】次に、本発明による一般式[III]およ
び[IV]の化合物の具体例を挙げるが、これらに限定
されるものではない。簡略化のために、X,(R
1112)(R1314)(R1516)(R171819)と
表記する。例えば、[III]式で、X- がClO
4 -で、R11からR16がメトキシエチル基で、R17からR
19が水素原子である場合、
【0045】
【化15】 ClO4 (C24 OCH3 ,C24 OCH33 (H,H,H) と表わす。
【0046】
【化16】
【0047】
【化17】
【0048】
【化18】
【0049】
【化19】
【0050】上記の一般式[I]〜[IV]で表わされ
るアミニウム塩化合物またはジイモニウム塩化合物は、
極大吸収波長が900nm以上にあり、吸光係数も数万
から十数万程度と大きい吸収ピークを持つ。また、この
ような化合物は光記録媒体の材料としての用途以外に断
熱フイルム,サングラスなどに使われる。
【0051】本発明の光記録媒体は、図1に示す様に、
基板1の上に前記一般式[I]〜[IV]で表わされる
トリアリールアミン系アミニウム塩・ジイモニウム塩化
合物を含有する記録層2を設けることにより形成するこ
とができる。
【0052】基板としては、ポリカーボネート、ポリエ
ステル、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミドなどの
プラスチック、ガラスあるいは金属類などを用いること
ができる。
【0053】記録層として、前記一般式[I]〜[I
V]で表わされるトリアリールアミン系アミニウム塩・
ジイモニウム塩化合物と併用される有機色素薄膜を形成
する近赤外吸収色素としては、一般的に知られている色
素が用いられ、例えばシアニン系色素,メロシアニン系
色素,クロコニウム系色素,スクアリウム系色素,アズ
レニウム系色素,ポリメチン系色素,ナフトキノン系色
素,ピリリウム系色素,フタロシアニン系色素,トリフ
ェニルメタン系色素,キサンテン系色素,アントラキノ
ン系色素,ジオキサジン系色素,テトラヒドロコリン系
色素,トリフェノチアジン系色素,フェナンスレン系色
素、ナフタロシアニン系色素,ナフトラクタム系色素,
アミニウム塩・ジイモニウム塩系色素,金属キレート錯
体系染料などがある。あるいは金属および金属化合物な
ど、例えばAl,Te,Bi,Sn,In,Se,Sn
O,TeO2 ,As,Cdなど、あるいは紫外線吸収剤
などと混合分散あるいは積層してもよい。
【0054】記録層2は塗布法あるいは蒸着法等の種々
の方法により基板1上に形成される。塗布法を用いる場
合には、トリアリールアミン系アミニウム塩・ジイモニ
ウム塩化合物を有機溶媒中に溶解あるいは分散した溶液
を基板1上に塗布することによって形成することができ
る。また、必要に応じて成膜性および塗膜安定性を考慮
してバインダーを記録層中に混合して成膜することもで
きる。
【0055】塗布の際に使用できる有機溶媒は、前述の
トリアリールアミン系アミニウム塩・ジイモニウム塩化
合物を分散状態とするか、或いは溶解状態とするかによ
って異なるが、一般にはアルコール系、ケトン系、アミ
ド系、エーテル系、エステル系、脂肪族ハロゲン化炭化
水素系、芳香族系、脂肪族炭化水素系などの溶媒を用い
ることができる。
【0056】また、バインダーとしては、例えばニトロ
セルロース,エチルセルロース,ポリスチレン,ポリビ
ニルピロリドン,ポリメチルメタクリレート,ポリアミ
ドなどが挙げられる。また、必要により、ワックス、高
級脂肪酸、アミド類(例えば、オレイルアミド)を添加
剤として用いる。
【0057】以上のバインダーにジオクチルフタレー
ト,ジブチルフタレート,トリクレジルフォスフェート
等の可塑剤、鉱油,植物油等の油剤、更にアルキルベン
ゼンスルホン酸ソーダ,ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル等の分散剤及びその他の添加剤を適宜混
合させ記録層の成膜性,塗膜安定性を高めることができ
る。
【0058】塗工は、浸漬コーティング法、スプレーコ
ーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコー
ティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコ
ーティング法、ローラーコーティング法、グラビアコー
ティング法などのコーティング法を用いて行うことがで
きる。
【0059】記録層2中の前記一般式[I]〜[IV]
で表わされるトリアリールアミン系アミニウム塩・ジイ
モニウム塩化合物の含有量は通常5〜70重量%、好ま
しくは10〜50重量%が望ましい。5重量%未満では
光劣化抑制効果が不十分であり、70重量%をこえると
有機色素の量が少なくなり、十分な光吸収性とレーザ光
に対して十分な光反射率を得ることができない。
【0060】また、記録層2の膜厚は100Å〜20μ
m、好ましくは200Å〜1μmが適当である。
【0061】さらに、本発明の光記録媒体は、図2に示
すように、記録層2上に記録及び再生レーザー光に対し
て透明な保護層3を設けることができる。該保護層3
は、基板1側から光を照射する場合は不透明でも差支え
ない。
【0062】また、図3に示すように、基板1と記録層
2の間に下引層4を設けても良い。また、図4に示す様
に、保護層3及び下引層4を共に用いることも可能であ
る。
【0063】下引き層は(a)接着性の向上、(b)水
またはガスなどのバリヤー、(c)記録層の保存安定性
の向上、(d)反射率の向上、(e)溶剤からの基板の
保護および(f)プレグルーブの形成などを目的として
設けられる。(a)の目的に対しては高分子材料、例え
ばアイオノマー樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹
脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の材
料もしくはシランカップリング剤などの種々の物質を用
いることができ、(b),(c)の目的に対しては上記
高分子材料以外に無機化合物、例えばSiO2 ,MgF
2 ,SiO,TiO2 ,ZnO,TiN,SiNなど、
金属または半金属、例えばZn,Cu,S,Ni,C
r,Ge,Se,Cd,Ag,Alなどを用いることが
できる。(d)の目的に対しては金属、例えばAl,A
gなど、または金属光沢を有する有機薄膜、例えばシア
ニン染料、ポリメチン染料、アズレン系染料などを用い
ることができる。そして(e),(f)の目的に対して
は紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを
用いることができる。下引き層の膜厚は50Å〜100
μm、好ましくは200Å〜30μmが適当である。
【0064】また、保護層は、キズ、ホコリ、汚れなど
からの保護および記録層の保存安定性の向上および反射
率の向上を目的として設けられ、その材料としては下引
き層と同じ材料を使用することができる。保護層の膜厚
は100Å以上、好ましくは1000Å以上が適当であ
る。
【0065】この際、下引層および/または保護層中に
は本発明の一般式[I]〜[IV]のトリアリールアミ
ン系アミニウム塩・ジイモニウム塩化合物が含有されて
いてもよい。また、下引き層または保護層には安定剤、
分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑
剤などが含有されていてもよい。
【0066】さらに、本発明による光学記録媒体の別の
構成としては、図1から図4に示した同一構成の2枚の
記録媒体(場合によりその1枚を基板のみとして)を用
い記録層2を内側に配置して密封したいわゆるエアーサ
ンドイッチ構造にしてもよいし、保護層3を介して接着
したいわゆる密着構造(貼り合せ構造)にしてもよい。
密着構造の場合には、その接着層中に本発明の一般式
[I]〜[IV]で表わされるトリアリールアミン系ア
ミニウム塩・ジイモニウム塩化合物が含有されていても
よい。
【0067】以上の様に、本発明においては、有機色素
薄膜、下引層、記録補助層、保護層または接着剤層の少
なくとも1つに、一般式[I]〜[IV]で表わされる
トリアリールアミン系アミニウム塩・ジイモニウム塩化
合物が含有されてもよいが、その含有量は1〜70重量
%、好ましくは10〜50重量%の範囲が好ましい。
【0068】本発明の光記録媒体は、ヘリウム−ネオン
レーザ(発振波長633nm) などのガスレーザの照射
によって記録することも可能であるが、好ましくは75
0nm以上の波長を有するレーザ、特にガリウム−アル
ミニウム−ヒ素半導体レーザ(発振波長830nm) な
どの近赤外あるいは赤外領域に発振波長を有するレーザ
光線の照射によって記録する方法が適している。また、
読み出しのためには、前述のレーザ光線を用いることが
できる。この際、書込みと読み出しを同一波長のレーザ
で行なうことができ、また異なる波長のレーザで行なう
こともできる。
【0069】
【実施例】次に、本発明を実施例に従って詳細に説明す
るが、これらに限定されるものではない。但し、特に説
明のないかぎり部は重量部を示す。
【0070】○一般式[I]または[II]で表わされ
る赤外吸収化合物に係る実施例 合成例1 250ml のオートクレーブにトリス(4−ニトロフェ
ニル)アミン15.8部、5%パラジウム−カーボン水
添触媒1.5部、エタノール100ml を入れ、水素ガ
スを圧力5.0kg/cm2 ,90℃で理論量吸収まで
攪拌させた。反応終了後、エタノール300ml を加え
て熱濾過し、触媒を除いた。母液を溶媒留去し、7.9
部のトリス(4−アミノフェニル)アミンを得た。高速
液クロ分析により純度は99.5%であった。
【0071】NMR(d6 −DMSO)分析により、δ
4.20〜5.02ppmに6H分のアミノ基の吸収、
δ6.09〜6.80ppmにブロードなダブレットの
12H分の芳香族環の吸収を測定した。
【0072】<[I]−(2)の合成>上記アミノ体2
部をジメチルホルムアミド16部、無水炭酸水素ナトリ
ウム0.6部、2,5−ジブロモペンタン1.8部とと
もに、100〜130℃で加熱攪拌をした。35時間反
応後、反応液を氷水200部にあけ、酢酸エチルで抽出
した。乾燥後、シリカゲルカラムで精製した。取得量
2.2部、赤外吸光分析によりアミノ基のNH伸縮振動
による吸収の消失を確認した。
【0073】この化合物1部をアセトン20部中に分散
させ、攪拌下、当モルの過塩素酸銀を加えた。室温下1
時間反応させたのち、析出した銀をロ別し、ロ液をイソ
プロピルエーテルで希釈し放置し、析出結晶をロ取し
た。取得量1.3部。
【0074】このようにして合成した[I]−(2)
は、吸収極大波長が980.8nmの赤外部に大きな吸
収をもつ化合物であった。 元素分析 C334244 Clとして 計算値 ; C:66.71, H:7.12 N:
9.43 実測値 ; C:66.52, H:7.35 N:
9.37
【0075】<[II]−(2)の合成>[I]−
(2)の合成に使ったトリス(4−(2−メチル−1−
ピロリジニル)フェニル)アミン1部をアセトン18部
中に分散させ、攪拌下2倍モルのヘキサフルオロアンチ
モン酸銀を加えた。室温下1時間反応させたのち、析出
した銀をロ別しロ液をイソプロピルエーテルで希釈し
た。0.58部の析出結晶を濾取した。このようにして
合成した[II]−(2)は、吸収極大波長が982n
mの赤外部に大きな吸収をもつ化合物であった。
【0076】以上説明した例はアニオンが過塩素酸およ
びヘキサフルオロアンチモン酸銀の場合であるが、他の
アニオンにする場合は、それに相当する銀塩を用いるこ
とにより容易に目的とする化合物を得ることが出来る。
例えば、AgBF4 ,AgSO4 ,AgNO3 ,AgS
364 CH3 ,AgSO3 CF3 などの銀塩を用
いることが出来る。また、この他に、電解酸化により得
ることも出来る。
【0077】次に一般式[I]および[II]で表され
る赤外吸収化合物を光記録材料として利用した実施例に
ついて述べる。
【0078】実施例1 ウォーレットサイズの厚さ0.4mmのポリカーボネー
ト(以下「PC」と略記する)基板上に熱プレス法によ
りプレグループを設け、その上にポリメチン系色素とし
てIR−820(日本化薬製)と前記赤外吸収化合物
[I]−(2)の混合物(重量比80:20)3重量部
を、ジアセントアルコール97重量部に溶解させた液を
バーコート法により塗布した後、乾燥して950Åの記
録層を得た。
【0079】さらにその上に、アクリル酸エステル−エ
チレン共重合体ドライフィルムを介して、ウォーレット
サイズの厚さ0.3mmのPC基板と熱ロール法により
密着構造の光記録媒体を作製した。
【0080】こうして作製した本実施例の光記録媒体を
X−Y方向に駆動するステージ上に取り付け、発振波長
830nmの半導体レーザを用いて厚さ0.4mmのP
C基板側より有機薄膜記録層に、記録パワー3.5mW
で記録パルス80μsecでY軸方向に情報を書き込
み、読み出しパワー0.4mWで再生し、そのコントラ
スト比
【0081】
【数1】 を測定した。
【0082】さらに、前記条件で作製した同一記録媒体
を85℃ドライ(dry)の条件下に1000時間放置
して環境保存安定性試験を行った後の反射率(830n
m測定)およびコントラスト比をキヤノン内製評価機を
用いて測定した。また、同一の記録媒体に1KW/m2
のキセノンランプ光を100時間照射し耐光安定性試験
を行い、反射率およびコンラスト比を測定した。結果を
表−1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】実施例2〜8 実施例1で用いたポリメチン系色素と赤外吸収化合物を
下記表−2,表−3に示したポリメチン色素または他の
色素と赤外吸収化合物との組合せにかえて実施例1と同
様の方法で記録媒体を作製し、それぞれ実施例2〜8の
光記録媒体とした。上記実施例2〜8の光記録媒体を実
施例1と同様の方法で測定し、その結果を表−4に示
す。
【0085】比較例1,2 実施例2および6で用いた赤外吸収化合物それぞれN
o.[I]−(16)および[II]−(4)を除いた
以外は、実施例1と同様の方法で光記録媒体を作製し、
評価した。その結果を表−4に示す 比較例3 実施例6で用いた赤外吸収化合物No.[II]−
(4)を下記化合物に変えた以外は、実施例1と同様の
方法で光記録媒体を作製し、評価した。その結果を表−
4に示す。
【0086】
【化20】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】実施例9〜13 直径130mmφ、厚さ1.2mmのインジェクション
成形によりプレグルーブを設けたPC基板上に、下記表
−5に示す有機色素と前記赤外吸収化合物の混合物6重
量部をジアセトンアルコール94重量部に溶解させた液
をスピン塗布により厚さ1000Åの記録層を設けた。
このようにして得た媒体の内周側と外周側に0.3mm
のスペーサーをはさみ、紫外線硬化型接着剤で他のPC
基板と貼合せエアーサンドイッチ構造の光記録媒体を得
た。
【0091】こうして作成した光学的記録媒体をターン
テーブル上に取り付け、ターンテーブルをモータで18
00rpmに回転させて、発振波長830nmの半導体
レーザを用いて、基板側より有機薄膜記録層に、記録パ
ワー8mWで記録周波数3MHzで情報を書込み、読み
出しパワー0.8mWで再生し、その再生波形をスペク
トル解析(スキヤニングフイルター、バンド幅30KH
z)してC/N比(キヤリヤ/ノイズ比)を測定した。
【0092】次に、同じ記録媒体を前記測定条件で記録
した部分を繰り返し105 回読み出し後のC/N比を測
定した。こうして作成した光記録媒体を実施例1と同様
の条件の環境保存安定性試験および耐光安定性試験を行
い、その後の反射率およびC/N比を測定した。その結
果を表−6に示す。
【0093】比較例4、5 実施例10および13で用いた赤外吸収化合物No.
[II]−(2)および[I]−(25)を除いた以外
は、実施例10および13と同様の方法で光記録媒体を
作製し、評価した。その結果を表−6に示す。
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】実施例14、15 直径130mmφ、厚さ1.2mmのポリメチルメタク
リレート(以下「PMMA」と略記する)基板上に、エ
ポキシ−アクリレート系紫外線硬化樹脂を用いて2P法
(フォト・ポリマー法)で厚さ30μのプレグルーブを
設けた。その基板上に、下記表−7に示す有機色素と赤
外吸収化合物の組み合せの混合物2重量部を1,2−ジ
クロルエタン98重量部に溶解させた液をスピナー塗布
法により塗布し、乾燥膜厚900Åの有機薄膜記録層を
得た。こうして作成した光記録媒体を実施例9〜13と
同様の方法で測定し、評価した。その結果を表−8に示
す。
【0097】実施例16、17 下記表−7に示す有機色素と赤外吸収化合物の組み合せ
の混合物4重量部とニトロセルロース樹脂(オーハレス
ラツカー,ダイセル化学(株)製)1重量部をジアセト
ンアルコール95重量部に混合させた液をスピナー塗布
法により、プレグルーブを設けた直径130mmφ、厚
さ1.2mmのポリカーボネート基板上に塗布し、乾燥
膜厚950Åの有機薄膜記録層を得た。こうして作成し
た光学記録媒体を実施例9〜13と同様の方法で測定し
た。その結果を表−8に示す。
【0098】
【表7】
【0099】
【表8】
【0100】実施例18 前記実施例1の有機色素と前記赤外吸収化合物No.
[I]−(5)の混合物(重量比80:20)3重量部
をジアセトンアルコール97重量部に溶解させた液を、
実施例1で用いたウォーレットサイズのプレグルーブ付
きの0.4mm厚PC基板に、ロールコート法により、
乾燥膜厚1000Åの記録層を作成した。この様にし
て、200枚のPC基板に連続的に記録層を作製した。
【0101】その後、記録層上に実施例1と同様の方法
で、密着構造の光記録媒体を作製した。1枚目、10枚
目、50枚目、100枚目、200枚目に作製した光記
録媒体について、X−Y方向に駆動するステージ上に取
り付け、発振波長830nmの半導体レーザを用いて、
厚さ0.4mmのPC基板側より、スポットサイズ3μ
mφ、記録パワー10mW、記録周波数150KHzで
Y軸方向に情報を記録し、読み出しパワー0.5mWで
再生し、その再生波形をスペクトル解析(スキャンニン
グフィルター、バンド幅1KHz)してC/N比を測定
した。その結果を表−9に示す。
【0102】比較例6 実施例18で用いた赤外吸収化合物No.[I]−
(5)を下記の赤外吸収化合物に変えた以外は実施例1
8と同様の方法で光記録媒体を作製し、実施例18と同
様の方法で、C/N比を測定した。結果を表−9に示
す。
【0103】
【化21】
【0104】
【表9】
【0105】比較例6においては、枚数が増えるにつれ
て、ノイズレベルが上がり、C/N比が低下した。これ
は、比較例6で用いた赤外吸収化合物の溶剤溶解性が十
分でなく、複数枚の基板に塗布した時におこる塗布溶液
のわずかな濃度変化によっても容易に固形物、例えば微
結晶の析出が生じ、これがノイズの原因になったと考え
られる。これに対し、本発明の一般式[I]または[I
I]で表わされるトリアリールアミン系アミニウム塩・
ジイモニウム塩化合物は、プラスチックをおかさない溶
剤への溶解性が高く、塗布工程における多少の濃度変化
によっても結晶が生じにくいため、記録層中に結晶が混
入することがなくノイズレベルの低い光記録媒体を得る
ことができると考えられる。
【0106】○一般式[III]または[IV]で表わ
される赤外吸収化合物に係る実施例 合成例2 250ml のオートクレーブにトリス(4−ニトロフェ
ニル)アミン15.0部、5%パラジウム−カーボン水
添触媒1.5部、エタノール100ml を入れ、水素ガ
スを圧力5.0kg/cm2 ,90℃で理論量吸収まで
攪拌させた。反応終了後、エタノール300ml を加え
て熱濾過し、触媒を除いた。母液を溶媒留去し、7.9
部のトリス(4−アミノフェニル)アミンを得た。高速
液クロ分析により純度は99.4%であった。
【0107】NMR(d6 −DMSO)分析により、δ
4.20〜5.01ppmに6H分のアミノ基の吸収、
δ6.07〜6.80ppmにブロードなダブレットの
12H分の芳香族環の吸収を測定した。
【0108】<[III]−(1)の合成>上記アミノ
体2部をジメチルホルムアミド15部、無水炭酸水素ナ
トリウム0.6部、メトキシエチルヨーダイド4.2部
とともに、100〜130℃で加熱攪拌をした。36時
間反応後、反応液を氷水200部にあけ、酢酸エチルで
抽出した。乾燥後、シリカゲルカラムで精製した。取得
量2.1部、赤外吸光分析によりアミノ基のNH伸縮振
動による吸収の消失を確認した。
【0109】この化合物1部をアセトン19部中に分散
させ、攪拌下、当モルの過塩素酸銀を加えた。室温下1
時間反応させたのち、析出した銀をロ別し、ロ液をイソ
プロピルエーテルで希釈し放置し、析出結晶をロ取し
た。取得量0.5部。
【0110】このようにして合成した[III]−
(1)は、吸収極大波長が976nmの赤外部に大きな
吸収をもつ化合物であった。 元素分析 C3654104 Clとして 計算値 ; C:58.57, H:7.37 N:
7.59 実測値 ; C:58.42, H:7.51 N:
7.57
【0111】<[IV]−(1)の合成>[III]−
(1)の合成に使ったトリス(4−ジメトキシエチルア
ミノフェニル)アミン1部をアセトン22部中に分散さ
せ、攪拌下2倍モルの六フッ化アンチモン酸銀を加え
た。室温下1時間反応させたのち、析出した銀をロ別し
ロ液をイソプロピルエーテルで希釈した。0.61部の
析出結晶を濾取した。このようにして合成した[IV]
−(1)は、吸収極大波長が980nmの赤外部に大き
な吸収をもつ化合物であった。
【0112】以上説明した例はアニオンが過塩素酸およ
び六フッ化アンチモン酸銀の場合であるが、他のアニオ
ンにする場合は、それに相当する銀塩を用いることによ
り容易に目的とする化合物を得ることが出来る。例え
ば、AgBF4 ,AgSO4 ,AgNO3 ,AgSO3
64 CH3 ,AgSO3 CF3 などの銀塩を用いる
ことが出来る。また、この他に、電解酸化により得るこ
とも出来る。
【0113】次に一般式[III]および[IV]で表
される赤外吸収化合物を光記録材料として利用した実施
例について述べる。
【0114】実施例19 ウォーレットサイズの厚さ0.4mmのポリカーボネー
ト(以下「PC」と略記する)基板上に熱プレス法によ
りプレグループを設け、その上にポリメチン系色素とし
てIR−820(日本化薬製)と前記赤外吸収化合物
[III]−(1)の混合物(重量比75:25)3重
量部を、ジアセントアルコール97重量部に溶解させた
液をバーコート法により塗布した後、乾燥して900Å
の記録層を得た。
【0115】さらにその上に、アクリル酸エステル−エ
チレン共重合体ドライフィルムを介して、ウォーレット
サイズの厚さ0.3mmのPC基板と熱ロール法により
密着構造の光記録媒体を作製した。
【0116】こうして作製した本実施例の光記録媒体を
X−Y方向に駆動するステージ上に取り付け、発振波長
830nmの半導体レーザを用いて厚さ0.4mmのP
C基板側より有機薄膜記録層に、記録パワー3.5mW
で記録パルス80μsecでY軸方向に情報を書き込
み、読み出しパワー0.4mWで再生し、そのコントラ
スト比
【0117】
【数2】 を測定した。
【0118】さらに、前記条件で作製した同一記録媒体
を65℃,85%RHの条件下に1000時間放置して
環境保存安定性試験を行った後の反射率(830nm測
定)およびコントラスト比をキヤノン製評価機を用いて
測定した。また、同一の記録媒体に1KW/m2 のキセ
ノンランプ光を100時間照射し耐光安定性試験を行
い、反射率およびコンラスト比を測定した。結果を表−
10に示す。
【0119】
【表10】
【0120】実施例20〜26 実施例19で用いたポリメチン系色素と赤外吸収化合物
を下記表−11,表−12に示したポリメチン色素また
は他の色素と赤外吸収化合物との組合せにかえて実施例
19と同様の方法で記録媒体を作製し、それぞれ実施例
20〜26の光記録媒体とした。上記実施例20〜26
の光記録媒体を実施例19と同様の方法で測定し、その
結果を表−13に示す。
【0121】比較例7,8 実施例20および24で用いた赤外吸収化合物それぞれ
No.[III]−(2)および[IV]−(35)を
除いた以外は、実施例19と同様の方法で光記録媒体を
作製し、評価した。その結果を表−13に示す 比較例9 実施例24で用いた赤外吸収化合物No.[III]−
(35)を下記化合物に変えた以外は、実施例19と同
様の方法で光記録媒体を作製し、評価した。その結果を
表−13に示す。
【0122】
【化22】
【0123】
【表11】
【0124】
【表12】
【0125】
【表13】
【0126】実施例27〜31 直径130mmφ、厚さ1.2mmのインジェクション
成形によりプレグルーブを設けたPC基板上に、下記表
−14に示す有機色素と前記赤外吸収化合物の混合物6
重量部をジアセトンアルコール94重量部に溶解させた
液をスピン塗布により厚さ950Åの記録層を設けた。
このようにして得た媒体の内周側と外周側に0.3mm
のスペーサーをはさみ、紫外線硬化型接着剤で他のPC
基板と貼合せエアーサンドイッチ構造の光記録媒体を得
た。
【0127】こうして作成した光学的記録媒体をターン
テーブル上に取り付け、ターンテーブルをモータで18
00rpmに回転させて、発振波長830nmの半導体
レーザを用いて、基板側より有機薄膜記録層に、記録パ
ワー8mWで記録周波数3MHzで情報を書込み、読み
出しパワー0.8mWで再生し、その再生波形をスペク
トル解析(スキヤニングフイルター、バンド幅30KH
z)してC/N比(キヤリヤ/ノイズ比)を測定した。
【0128】次に、同じ記録媒体を前記測定条件で記録
した部分を繰り返し105 回読み出し後のC/N比を測
定した。こうして作成した光記録媒体を実施例19と同
様の条件の環境保存安定性試験および耐光安定性試験を
行い、その後の反射率およびC/N比を測定した。その
結果を表−15に示す。
【0129】比較例10、11 実施例29および31で用いた赤外吸収化合物No.
[IV]−(1)および[III]−(10)を除いた
以外は、実施例29および31と同様の方法で光記録媒
体を作製し、評価した。その結果を表−15に示す。
【0130】
【表14】
【0131】
【表15】
【0132】実施例32、33 直径130mmφ、厚さ1.2mmのポリメチルメタク
リレート(以下「PMMA」と略記する)基板上に、エ
ポキシ−アクリレート系紫外線硬化樹脂を用いて2P法
(フォト・ポリマー法)で厚さ30μのプレグルーブを
設けた。その基板上に、下記表−16に示す有機色素と
赤外吸収化合物の組み合せの混合物2重量部を1,2−
ジクロルエタン98重量部に溶解させた液をスピナー塗
布法により塗布し、乾燥膜厚800Åの有機薄膜記録層
を得た。こうして作成した光記録媒体を実施例27〜3
1と同様の方法で測定し、評価した。その結果を表−1
7に示す。
【0133】実施例34、35 下記表−17に示す有機色素と赤外吸収化合物の組み合
せの混合物4重量部とニトロセルロース樹脂(オーハレ
スラツカー,ダイセル化学(株)製)1重量部をジアセ
トンアルコール95重量部に混合させた液をスピナー塗
布法により、プレグルーブを設けた直径130mmφ、
厚さ1.2mmのポリカーボネート基板上に塗布し、乾
燥膜厚900Åの有機薄膜記録層を得た。こうして作成
した光学記録媒体を実施例27〜31と同様の方法で測
定した。その結果を表−17に示す。
【0134】
【表16】
【0135】
【表17】
【0136】実施例36 前記実施例19の有機色素と前記赤外吸収化合物No.
[III]−(41)の混合物(重量比80:20)3
重量部をジアセトンアルコール97重量部に溶解させた
液を、実施例19で用いたウォーレットサイズのプレグ
ルーブ付きの0.4mm厚PC基板に、ロールコート法
により、乾燥膜厚1000Åの記録層を作成した。この
様にして、200枚のPC基板に連続的に記録層を作製
した。
【0137】その後、記録層上に実施例19と同様の方
法で、密着構造の光記録媒体を作製した。1枚目、10
枚目、50枚目、100枚目、200枚目に作製した光
記録媒体について、X−Y方向に駆動するステージ上に
取り付け、発振波長830nmの半導体レーザを用い
て、厚さ0.4mmのPC基板側より、スポットサイズ
3μmφ、記録パワー10mW、記録周波数150KH
zでY軸方向に情報を記録し、読み出しパワー0.5m
Wで再生し、その再生波形をスペクトル解析(スキャン
ニングフィルター、バンド幅1KHz)してC/N比を
測定した。その結果を表−18に示す。
【0138】比較例12 実施例36で用いた赤外吸収化合物No.[III]−
(41)を下記の赤外吸収化合物に変えた以外は実施例
36と同様の方法で光記録媒体を作製し、実施例36と
同様の方法で、C/N比を測定した。結果を表−18に
示す。
【0139】
【化22】
【0140】
【表18】
【0141】比較例12においては、枚数が増えるにつ
れて、ノイズレベルが上がり、C/N比が低下した。こ
れは、比較例12で用いた赤外吸収化合物の溶剤溶解性
が十分でなく、複数枚の基板に塗布した時におこる塗布
溶液のわずかな濃度変化によっても容易に固形物、例え
ば微結晶の析出が生じ、これがノイズの原因になったと
考えられる。これに対し、本発明の一般式[III]ま
たは[IV]で表わされるトリアリールアミン系アミニ
ウム塩・ジイモニウム塩化合物は、プラスチックをおか
さない溶剤への溶解性が高く、塗布工程における多少の
濃度変化によっても結晶が生じにくいため、記録層中に
結晶が混入することがなくノイズレベルの低い光記録媒
体を得ることができると考えられる。
【0142】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の一般式
[I]〜[IV]で示される赤外吸収化合物およびそれ
を用いて光記録媒体とすることにより、 赤外吸収化合物がプラスチックをおかさない汎用有機
溶剤に対する溶解性が著しくよいため、光記録媒体の生
産性が大幅に向上する。 耐光性が良く、再生劣化の少ない光記録媒体が得られ
る。 耐熱性が良く、光記録媒体の保存安定性が著しく向上
する。 等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の一実施態様を示す断面図
である。
【図2】本発明の光記録媒体の他の実施態様を示す断面
図である。
【図3】本発明の光記録媒体の他の実施態様を示す断面
図である。
【図4】本発明の光記録媒体の他の実施態様を示す断面
図である。
【符号の説明】
1 基板 2 記録層 3 保護層 4 下引層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式[I]または[II]で表わ
    される赤外吸収化合物。 【化1】 (式中、R1 〜R6 は水素原子または一価の有機残基を
    示し、それぞれ同じであっても異っていてもよい。ま
    た、少なくとも1つは、R1 とR2 ,R3 とR4 ,R5
    とR6 の組み合わせでNとともに置換もしくは末置換の
    5員環、置換もしくは末置換の6員環、置換もしくは末
    置換の7員環を形成する。R7 〜R9 は水素原子,ハロ
    ゲン基,低級アルキル基,低級アルコキシ基,シアノ基
    または水酸基を示す。X- は陰イオンを示す。)
  2. 【請求項2】 有機色素薄膜中に、請求項1記載の一般
    式[I]または[II]で表わされる赤外吸収化合物を
    含有することを特徴とする光記録媒体。
  3. 【請求項3】 下記一般式[III]または[IV]で
    表わされる赤外吸収化合物。 【化2】 (式中、R11〜R16は水素原子または一価の有機残基を
    示し、R11〜R16の少なくとも1つは、置換もしくは末
    置換のアルコキシアルキル基、置換もしくは末置換のア
    ルケニル基、置換もしくは末置換のアルキニル基、置換
    もしくは末置換のシクロアルキル基を示す。R11〜R16
    は各々同じであっても異っていてもよい。R17〜R19
    水素原子,ハロゲン基,低級アルキル基,低級アルコキ
    シ基,シアノ基または水酸基を示す。X- は陰イオンを
    示す。)
  4. 【請求項4】 有機色素薄膜中に、請求項1記載の一般
    式[III]または[IV]で表わされる赤外吸収化合
    物を含有することを特徴とする光記録媒体。
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JP2008260738A (ja) * 2007-04-13 2008-10-30 Fujifilm Corp トリアリールアミン誘導体
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