JPH06256367A - ホスフィン化合物の新規製造方法 - Google Patents

ホスフィン化合物の新規製造方法

Info

Publication number
JPH06256367A
JPH06256367A JP4970393A JP4970393A JPH06256367A JP H06256367 A JPH06256367 A JP H06256367A JP 4970393 A JP4970393 A JP 4970393A JP 4970393 A JP4970393 A JP 4970393A JP H06256367 A JPH06256367 A JP H06256367A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
naphthalene
oxodiphenylphosphino
reaction
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4970393A
Other languages
English (en)
Inventor
Sotaro Miyano
壯太郎 宮野
Tetsutaro Hattori
徹太郎 服部
Junichi Sakamoto
純一 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd filed Critical Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Priority to JP4970393A priority Critical patent/JPH06256367A/ja
Publication of JPH06256367A publication Critical patent/JPH06256367A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 温和な条件で収率よく簡便にトリアリールホ
スフィンが得られるホスフィン化合物の製造方法を提供
する。 【構成】 下記一般式〔I〕の1-アルコキシ-2-(オキソ
ジフェニルホスフィノ)ナフタレンと求核試剤とを反応
させて、下記一般式〔II〕の1-置換-2-(オキソジフェ
ニルホスフィノ)ナフタレンを得、次いで1-置換-2-
(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレン〔II〕を還
元して下記一般式〔III〕で表される1-置換-2-(ジフェ
ニルホスフィノ)ナフタレンを得る。 【化1】 【化2】 【化3】 (R1はアルキル基またはアラルキル基を、R2はアルキ
ル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシル基また
はアルキルアミノ基等を示す)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、錯体触媒反応の配位子
として有用なホスフィン化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ルテニウム、ロジウム、パラジウム等の
金属元素、またはこれらの金属塩に第3級ホスフィンを
配位させた錯体には、オレフィンのオリゴメリゼーショ
ン反応、水素添加反応、カルボニル化反応等の触媒とし
て優れた性能を有するものが多い。また、その触媒作用
は使用するホスフィン配位子の微妙な構造の違いにより
著しく左右されることが知られている。これら金属−ホ
スフィン錯体触媒反応に関しては、例えば山本明夫監修
「有機金属化合物」(東京化学同人、1991年刊)、
辻二郎著「有機合成を変えた遷移金属」(化学同人、1
991年刊)等、多くの著書や論文に記載されている。
【0003】上述した第3級ホスフィンの中でも、トリ
フェニルホスフィンをはじめとするトリアリールホスフ
ィンは、酸化や熱に対して安定であり、かつこれを配位
子とする金属錯体が優れた触媒活性を示すことから、オ
レフィンのヒドロホルミル化反応等を工業的規模で行う
際の触媒の原料として大量に使用されている。またトリ
アリールホスフィンは、新規な合成反応の開拓や、より
優れた活性を示す触媒の調製には欠かせないものである
ので、これらの簡便な製造方法の開発が重要な課題とな
っている。
【0004】さらに近年では、キラルなトリアリールホ
スフィンを配位させた不斉錯体触媒が不斉合成反応にお
いて非常に有用であることが報告されている(橋本春
吉、染料と薬品、28, 179 (1983))。この場合、反応は
高度な選択性を示し、生成物の光学純度が実質的に10
0%に達する。さらに、例えば特開昭55-61937号公報や
Y. Uozumi et al, J. Am. Chem. Soc., 113, 9887 (199
1)には、2,2'-(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフ
チル(BINAP)や2-ジフェニルホスフィノ-2'-メト
キシ-1,1'-ビナフチル等が配位された触媒の不斉合成反
応における効果が大きいことが報告されている。
【0005】以上のような背景から、これまで数多くの
トリアリールホスフィンが合成され、これらが配位した
金属錯体の触媒作用が検討されてきた。
【0006】ところで、トリアリールホスフィンの製造
方法としては、例えば以下に示すおよびの方法が知
られている。
【0007】3価または5価のホスフィン化合物に対
し、求核試剤による求核置換反応を行う方法、すなわち
3価のホスフィン化合物では、 5価のホスフィン化合物では、 (但し上記反応式中、Ar1、Ar2およびAr3はアリ
ール基を示し、同一でも異なっていてもよい。Xはハロ
ゲン、アルコキシル基等の陰性脱離基、Mはハロマグネ
シウム、リチウム等の金属含有陽性基を示す)。
【0008】ホスフィドアニオンを求核試剤とする求
核置換反応を行う方法、すなわち、 (但し、上記反応式中、Ar1、Ar2、Ar3、Xおよ
びMは、上記と同様である)。
【0009】上記2つの方法にあるように、従来のトリ
アリールホスフィンの製造方法ではリン原子上で脱離基
を第3のアリール基に置換するものがほとんどであった
(日本化学会編「新実験化学講座」、12(丸善株式会
社、1971年刊))。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
公知の製造方法においては、以下に示すような問題があ
った。まず、上記従来の方法では入手可能なリン化合
物、すなわちAr1Ar2P-XおよびAr1Ar2P(=
O)X(上記の方法)、Ar1Ar2P-M(上記の
方法)におけるアリール基Ar1およびAr2の選択の範
囲が狭いことから、得られるトリアリールホスフィンの
種類が著しく制限されるという問題があった。第2に、
光学的に純粋であるキラルなトリアリールホスフィンを
得るには、芳香族求核置換反応に必要な300℃以上で
の厳しい反応を含む、多段階の反応工程や煩雑な光学分
割操作を必要とする等の問題があった(H.Takaya et a
l, J. Org. Chem., 51, 629 (1986))。これに対し、既
存のホスフィン化合物中のキラルな有機残基を化学修飾
して他のキラルな有機残基に変換することにより、新た
なキラルなホスフィン化合物を得る方法も開示されてい
る(特開平62-178594号公報)。しかし、上記公報にお
いても出発原料となるホスフィン化合物自体の製造方法
に上述した問題を有している。
【0011】本発明は、上記問題を解決すべくなされた
ものであり、温和な条件で収率よく簡便にトリアリール
ホスフィンが得られる、ホスフィン化合物の製造方法を
提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の下記一般式〔I
I〕で表される1-置換-2-(オキソジフェニルホスフィ
ノ)ナフタレンの製造方法は、下記一般式〔I〕で表さ
れる1-アルコキシ-2-(オキソジフェニルホスフィノ)
ナフタレンと求核試剤とを反応させる工程を含み、その
ことにより上記目的が達成される。
【0013】
【化6】
【0014】(式中、R1は炭素原子数が1〜20であ
る、アルキル基またはアラルキル基を示す)。
【0015】
【化7】
【0016】(式中、R2は炭素原子数が1〜20であ
る、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキ
シル基、オキシアラルキル基、アルキルアミノ基または
アラルキルアミノ基を示す)。
【0017】本発明の下記一般式〔III〕で表される1
−置換−2−(ジフェニルホスフィノ)ナフタレンの製
造方法は、下記一般式〔I〕で表される1−アルコキシ
−2−(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレンと求
核試剤とを反応させて、下記一般式〔II〕で表される1
−置換−2−(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレ
ンを得る工程と、1−置換−2−(オキソジフェニルホ
スフィノ)ナフタレン〔II〕を還元する工程とを含み、
そのことにより上記目的が達成される。
【0018】
【化8】
【0019】(式中、R1は炭素原子数が1〜20であ
る、アルキル基またはアラルキル基を示す)。
【0020】
【化9】
【0021】(式中、R2は炭素原子数が1〜20であ
る、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキ
シル基、オキシアラルキル基、アルキルアミノ基または
アラルキルアミノ基を示す)。
【0022】
【化10】
【0023】(式中、R2は炭素原子数が1〜20であ
る、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキ
シル基、オキシアラルキル基、アルキルアミノ基または
アラルキルアミノ基を示す)。
【0024】本発明の好ましい実施態様としては、上記
求核試剤が下記一般式〔IV〕で表される炭素中心求核試
剤である。
【0025】R2a−M1 〔IV〕 (式中、R2aは炭素原子数が1〜20である、アルキル
基、アラルキル基または炭素原子数が1〜20のアリー
ル基であり、M1はMgCl、MgBr、MgIまたは
Liである)。
【0026】他の好ましい実施態様としては、上記求核
試剤が下記一般式〔V〕で表される酸素中心求核試剤で
ある。
【0027】R2b−M2 〔V〕 (式中、R2bは炭素原子数が1〜20である、アルコキ
シル基またはオキシアラルキル基であり、M2はLi、
NaまたはKである)。
【0028】さらに他の好ましい実施態様としては、上
記求核試剤が下記一般式〔VI〕で表される窒素中心求核
試剤である。
【0029】R2c−M3 〔VI〕 (式中、R2cは炭素原子数が1〜20である、アルキル
アミノ基またはアラルキルアミノ基であり、M3はL
i、NaまたはKである)。
【0030】次に、本発明を詳しく説明する。
【0031】一般に芳香族求核置換反応は、基質として
芳香環に強い電子吸引性基を有する化合物を用いるか、
あるいは反応条件を厳しくする必要がある(J.March, "
Advanced Organic Chemistry", 4th ed., Willey, New
York (1992))。しかし、本発明では上記一般式〔II〕
で表される1-アルコキシ-2-(オキソジフェニルホスフ
ィノ)ナフタレンの1-アルコキシル基を容易に他の置換
基に置換させることができるので、温和な条件下での芳
香族求核置換反応が可能となる。これは、化学反応論
的、芳香族合成化学的に重要でかつ新しい知見である。
なお、本発明のホスフィン化合物の製造方法では、1-置
換-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレン〔I
I〕の製造方法と、この製造方法を1工程として含む1-
置換-2-(ジフェニルホスフィノ)ナフタレン〔III〕の
製造方法とを挙げ、この2つの製造方法によって本発明
を構成するものとする。
【0032】本発明において原料として用いる上記1-ア
ルコキシ-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレ
ン〔I〕は例えば、安価に入手できる1-ナフトールより
下記反応式に従って容易に製造することができる。
【0033】
【化11】
【0034】(上記反応式中、R1は、炭素原子数1〜
20のアルキル基またはアラルキル基であり、Xは、塩
素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子である。n−BuL
iは、ブチルリチウム、TMEDAは、N,N,N',N'-テト
ラメチルエチレンジアミンを示す)。
【0035】上記化合物〔VIII〕は、水素化ナトリウム
の存在下、1-ナフトール〔VII〕とハロゲン化アルキル
1Xとのエーテル化反応により得ることができる。す
なわち、1-ナフトール〔VII〕はアルカリ溶液中で1-ナ
フトキシドイオンとして存在し、このイオンが求核体と
して働きハロゲン化アルキルR1Xを攻撃し、ハロゲン
化物イオンX-を置換する。上記ハロゲン化アルキルR1
Xとしては、例えばヨウ化メチル、ヨウ化エチル、臭化
n−オクチル、臭化イソプロピル、臭化エチル、塩化ベ
ンジル等が挙げられ、また反応溶媒として極性非プロト
ン性溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、N−メチルピロリドン、N,N,N',N'-テトラメ
チルウレア等が挙げられる。上記反応は、窒素雰囲気
下、室温〜100℃の適宜な温度で1〜20時間攪拌す
ることにより完結し得る。
【0036】上記1-アルコキシ-2-(オキソジフェニル
ホスフィノ)ナフタレン〔I〕は、N,N,N',N'-テトラメ
チルエチレンジアミンの存在下、ブチルリチウムにより
上記化合物〔VIII〕の2位をリチオ化し、その後クロロ
ジフェニルホスフィンと反応させて上記化合物〔VIII〕
の2-ジフェニルホスフィノ体とし、ついで酢酸等の溶媒
を用い、過酸化水素で酸化することにより得ることがで
きる。前半の反応、つまり2-ジフェニルホスフィノ化反
応においては、溶媒としてヘキサン−エーテルを用い、
窒素雰囲気下、室温で0.5〜2時間攪拌を行うことに
より完結し得、また後半の酸化反応では溶媒として酢酸
等を用い、室温〜70℃の適宜な温度で0.1〜1時間
攪拌させることにより完結し得る。
【0037】本発明の1-置換-2-(オキソジフェニルホ
スフィノ)ナフタレン〔II〕の製造方法は、下記反応式
に従って1-アルコキシ-2-(オキソジフェニルホスフィ
ノ)ナフタレン〔I〕と求核試剤とを反応させる工程を
含む。
【0038】
【化12】
【0039】(上記反応式中、R1、R2およびPhの定
義は上記と同様である)。
【0040】上記反応では、1-アルコキシ-2-(オキソ
ジフェニルホスフィノ)ナフタレン〔I〕の2位に結合
しているオキソジフェニルホスフィノ基が電子吸引基と
して働き、芳香族求核置換反応における有力な活性化基
となるため、求核試剤によってナフタレン環の1位に種
々の置換基を導入することができる。この場合、求核試
剤としては、炭素中心求核試剤、酸素中心求核試剤およ
び窒素中心求核試剤を挙げることができる。
【0041】上記炭素中心求核試剤としては、下記一般
式〔IV〕で表される化合物を用いることができる。
【0042】R2a−M1 〔IV〕 上記一般式〔IV〕中、R2aとしては、例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、2−メ
チルヘプチル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、
1−(1−ナフチル)エチル基、1−(2−ナフチル)
エチル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル
基、2−メトキシ−1−ナフチル基等の炭素原子数1〜
20のアルキル基、アラルキル基およびアリール基等が
挙げられる。また、M1としては、例えばMgCl、M
gBr、MgIおよびLiが挙げられる。なお、M1
MgCl、MgBr、MgIの場合には、上記求核試剤
がグリニヤール試薬となる。
【0043】上記酸素中心求核試剤としては、下記一般
式〔V〕で表される化合物を用いることができる。
【0044】R2b−M2 〔V〕 (式中、R2bは炭素原子数が1〜20である、アルコキ
シル基またはオキシアラルキル基であり、M2はLi、
NaまたはKである)。
【0045】上記酸素中心求核試剤としては、例えばエ
タノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノ
ール、オクタノール、2-メチルヘプタノール、l−メン
トール、ベンジルアルコール、1-フェニルエタノール、
1-(1-ナフチル)エタノール、1-(2-ナフチル)エタノ
ール等の炭素原子数1〜20の第1級または第2級アル
キルアルコール、またはアラルキルアルコールから誘導
される金属アルコキシド、好ましくはリチウム、ナトリ
ウム、カリウム等のアルカリ金属アルコキシドが挙げら
れる。
【0046】上記窒素中心求核試剤としては、下記一般
式〔VI〕で表される化合物を用いることができる。
【0047】R2c−M3 〔VI〕 (式中、R2cは炭素原子数が1〜20である、アルキル
アミノ基またはアラルキルアミノ基であり、M3はL
i、NaまたはKである)。
【0048】上記窒素中心求核試剤としては、例えばメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2-メチルヘ
プチル基、1-フェニルエチル基、1-(1-ナフチル)エチ
ル基、1-(2-ナフチル)エチル基等の炭素原子数が1〜
20の第1級または第2級アルキル基、またはアラルキ
ル基を有するアルキルアミンまたはアラルキルアミン等
から誘導される金属アミド、好ましくはリチウム、ナト
リウム、カリウム等のアルカリ金属アミドを挙げること
ができる。
【0049】上記各求核試剤の使用量は、1-アルコキシ
-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレン〔I〕に
対し、1.2〜10倍モルが好ましい。上記使用量が
1.2倍モル未満の場合には反応が完結し難く、また上
記使用量が10倍モルを超える場合にはそれに見合う効
果が得られないので得策でない。溶媒は、求核試剤の種
類によって異なり、求核試剤が炭素中心求核試剤(R2a
−M1)の場合には、エーテル、テトラヒドロフラン、
ベンゼン、トルエンまたはこれらの混合溶媒等が用いら
れ、酸素中心求核試剤(R2b−M2)の場合には、ジメ
チルホルムアミド等、極性非プロトン性溶媒が用いら
れ、窒素中心求核試剤(R2c−M3)の場合には、エー
テル−ヘキサン、テトラヒドロフラン−ヘキサン等の混
合溶媒が用いられる。また、上記反応は、反応温度が−
20〜110℃、反応時間が0.5〜48時間の範囲で
実施される。上記求核試剤では反応によってR2とMの
結合部のみが開裂するため、上記に挙げた求核試剤〔I
V〕、〔V〕および〔VI〕のうち、置換基R2a、R2bおよ
びR2cとしてキラルな置換基を選択すれば、1位にキラ
ルな残基を含むホスフィン化合物を不斉合成することが
できる。
【0050】本発明の1-置換-2-(ジフェニルホスフィ
ノ)ナフタレン〔III〕の製造方法は、上記工程と、1-
置換-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレン〔I
I〕を還元する工程とを含み、これによりトリアリール
ホスフィンを得るものである。還元方法としては、公知
の方法、例えば日本化学会編「新実験化学講座」(丸善
株式会社、1971年)15巻、130頁記載のヒドロ
シラン還元法等の方法が好ましく用いられる。この還元
反応は下記反応式に従う。
【0051】
【化13】
【0052】上記還元反応は、還元剤として例えばトリ
クロロシラン、フェニルシラン等を用い、反応溶媒とし
て例えばトリエチルアミン、キシレン、トルエンを用い
るか、無溶媒下、トリエチルアミン、ピリジン等を加え
た塩基性条件下または中性条件下で行うことができる。
また、反応温度は80〜200℃とし、反応時間は1〜
10時間とする。
【0053】以上説明した本発明のホスフィン化合物の
製造方法はさらに、ビアリール結合軸の回転障害に起因
するアトロプ異性体のラセミ体の合成にも適用すること
ができる。例えば、前述した不斉合成反応で使用する触
媒の配位子として有用な2-ジフェニルホスフィノ-2'-メ
トキシ-1,1'-ビナフチルのラセミ体は、下記反応式に従
って容易に製造することができる。
【0054】
【化14】
【0055】得られた上記2-ジフェニルホスフィノ-2'-
メトキシ-1,1'-ビナフチルのラセミ体〔X〕を公知の方
法により光学分割すれば、軸不斉ビアリール基を含むキ
ラルなトリアリールホスフィンを得ることができる。な
お、上記化合物〔IX〕の代わりに例えば1-アルコキシ-2
-(オキソビアリールホスフィノ)ナフタレン、1-アル
コキシ-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1
-アルコキシ-2-(オキソビアリールホスフィノ)ベンゼ
ンによっても、上記と同様の反応を行い得ることは明ら
かであり、これらも本発明の範囲に含まれる。
【0056】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0057】(実施例1) 1-メトキシ-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフ
タレンの合成 還流冷却器と滴下ロートとを備えた2口フラスコ(200m
l)に、水素化ナトリウム(60%オイルサスペンジョ
ン、2.40g、60.0mmol)を仕込み、系内を窒素置換し
た。これに、ジメチルホルムアミド(30ml)を加えて懸
濁し、1-ナフトール(5.76g、40.0mmol)のジメチルホ
ルムアミド(30ml)溶液を滴下して室温で30分間攪拌
した。さらに、ヨウ化メチル(8.52g、60.0mmol)を2
分間かけて滴下した後、室温で30分間、60℃で1時
間攪拌し、反応を完結させた。放冷後、2Nの塩酸(10
0ml)を加えて反応を停止し、エーテル(100ml)で3回
抽出し、有機層を合わせ、2N炭酸ナトリウム水、5%
チオ硫酸ナトリウム水および水の各々100mlで洗浄し
た。溶媒を留去した後、減圧下に蒸留(122〜124℃/5
mmHg)して、無色透明油状の1-メトキシナフタレン
(5.90g、収率93%)を得た。 次に、滴下ロートを備
えた2口フラスコ(100ml)を窒素置換し、上記1-メト
キシナフタレン(1.58g、10.0mmol)、エーテル(25m
l)およびテトラメチルエチレンジアミン(1.16g、10.0
mmol)を仕込んだ。室温で攪拌下、これに1.58Mブ
チルリチウム(ヘキサン溶液、6.80ml、10.7mmol)を約
10分間かけて滴下し、2時間攪拌した。さらに、これ
にクロロジフェニルホスフィン(2.21g、10.0mmol)を
約5分間かけて滴下し、その後2時間攪拌して反応を完
結させた。しかる後、2Nの塩酸(200ml)を加えて反
応を停止し、エーテル(100ml)で希釈して常法により
処理した後、溶媒を留去して粗生成物(4.42g)を得
た。
【0058】上記粗生成物を酢酸(50ml)に溶解してナ
スフラスコ(500ml)に仕込み、これに30%過酸化水
素水(1.0ml)を加えた。70℃まで20分間かけて昇
温し、70℃で10分間攪拌して反応を完結させた。放
冷後、これにベンゼン(100ml)を加え、氷冷しながら
さらに20%水酸化ナトリウム(200ml)をゆっくり加
え、常法により処理した。溶媒を留去した後、シリカゲ
ルを充填したカラム(移動相:ヘキサン/酢酸エチル
(1/1))で精製し、白色結晶の1-メトキシ-2-(オ
キソジフェニルホスフィノ)ナフタレン(2.37g、収率6
6%)を得た。なお、この化合物は、以下に示す物性値
により確認した。
【0059】融点:140〜141℃ IR(KBr):1198cm-1 1 HNMR(CDCl3):δ=3.67(3H,s,O
CH3)、7.4〜8.2(16H,m,Ar−H)。
【0060】1-ブチル-2-(オキソジフェニルホスフ
ィノ)ナフタレンの合成 まず、求核試剤を以下の方法で合成した。還流冷却器と
滴下ロートを備えた2口フラスコ(50ml)にマグネシウ
ム細片(110mg、4.53mg-atm)を仕込み、系内を窒素置
換した。超音波照射下に1-ブロモブタン(124mg、0.905
mmol)のエーテル(3.5ml)溶液を約5分間かけて滴下
し、さらに1.5時間超音波照射下に浴温約50℃で還
流を行った。これにベンゼン(2.5ml)を加え、室温ま
で放冷し、本実施例の求核試剤であるn-ブチルマグネシ
ウムブロマイド(グリニヤール試薬)を得た。
【0061】次に、上記で得られた1-メトキシ-2-
(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレンと上記求核
試剤との反応を行った。すなわち、還流冷却器を備えた
2口フラスコ(50ml)を窒素置換し、これに上記で得
られた1-メトキシ-2-(オキソジフェニルホスフィノ)
ナフタレン(179mg、0.500mmol)のベンゼン(2.5ml)
溶液を仕込み、上記で得られたn-ブチルマグネシウムブ
ロマイド溶液を約5分間かけて滴下した後、還流下、油
浴温度70℃で10時間反応を行った。放冷後、この反
応液に2N塩酸(20ml)を加えて反応を停止し、エーテ
ル(10ml)で希釈して常法により処理した。溶媒を留去
した後、シリカゲルを充填したカラム(移動相:ヘキサ
ン/酢酸エチル(2/1))で精製し、泡状物質の1-ブ
チル-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレン(1
41mg、収率73%)を得た。なお、この化合物は、以下に
示す物性値により確認した。
【0062】融点:115〜116℃ 元素分析:計算値% C,81.23;H,6.55 実測値% C,81.25;H,6.66 IR(KBr):1194cm-1 1 HNMR(CDCl3):δ=0.97(3H,t,−
CH3)、1.2〜1.5(4H,m,-(CH2)-CH
3)、3.44(2H,t,Ar−CH2−)、7.1〜
7.8(16H,m,Ar−H)。
【0063】なお、以下の実施例2〜10ではすべて、
実施例1で得られた1-メトキシ-2-(オキソジフェニ
ルホスフィノ)ナフタレンを用いた。
【0064】(実施例2) 1-(2-メトキシフェニル)-2-(オキソジフェニルホスフ
ィノ)ナフタレンの合成 求核試剤として表1に示すグリニヤール試薬を実施例1
に記載の方法と同様にして合成し、その後これを、実
施例1と同様にして、実施例1で得られた1-メトキ
シ-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレンと反
応させ、目的物を得た。結果を表1に示す。
【0065】(実施例3) 2-(オキソジフェニルホスフィノ)-2'-メトキシ-1,
1'-ビナフチルの合成 溶媒としてエーテルの代わりにテトラヒドロフランを用
いて、実施例1と同様の方法で表1に示す求核試剤
(グリニヤール試薬)を合成し、その後これを、実施例
1と同様にして、実施例1で得られた1-メトキシ-2
-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレンと反応さ
せ目的物を得た。結果を表1に示す。
【0066】2-(ジフェニルホスフィノ)-2'-メトキ
シ-1,1'-ビナフチルの合成 この工程は、上記で得られた2-(オキソジフェニルホ
スフィノ)-2'-メトキシ-1,1'-ビナフチルの還元反応を
行ってトリアリールホスフィンを得るものである。
【0067】まず、還流冷却器を備えた2口フラスコ
(10ml)を窒素置換し、これに上記で得られた2-(オ
キソジフェニルホスフィノ)-2'-メトキシ-1,1'-ビナフ
チル(96.8mg、0.200mmol)、トリエチルアミン(84.9m
g、0.839mmol)を仕込み、キシレン(1ml)を加えて溶
解した。次いで、トリクロロシラン(109mg、0.805mmo
l)を加え、110〜120℃で3.5時間攪拌し、反
応を完結させた。放冷後、10%水酸化ナトリウム(30
ml)を加えて反応を停止し、ベンゼン(20ml)で希釈し
て常法により処理し、溶媒を留去した。しかる後、シリ
カゲルを充填したカラム(移動相:ヘキサン/ベンゼン
(1/1))で精製し、白色結晶の2-(ジフェニルホス
フィノ)-2'-メトキシ-1,1'-ビナフチル(88.0mg、収率
94%)を得た。なお、この化合物は、以下に示す物性値
により確認した。
【0068】融点:156〜159℃ IR(KBr):1265cm-1 1 HNMR(CDCl3):δ=3.34(3H,s,−
OCH3)、6.8〜8.1(22H,m,Ar−
H)。
【0069】(実施例4) 1-ブトキシ-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフ
タレンの合成 まず、求核試剤を以下の方法で合成した。還流冷却器と
滴下ロートを備えた2口フラスコ(50ml)を窒素置換
し、これに1-ブタノール(2.5ml)とナトリウム細片(1
20mg、5.22mg-atm)を仕込み、50℃で30分間攪拌
し、ナトリウムを完全に溶解させた。減圧下(5mmH
g)、150℃で過剰の1-ブタノールを留去し、本実施
例の求核試剤であるナトリウムブトキシドを調製した。
【0070】次に、実施例1で得られた1-メトキシ-2
-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレンと上記求
核試剤との反応を行った。上記ナトリウムブトキシド溶
液にジメチルホルムアミド(5ml)を加えて懸濁し、さ
らに上記実施例1で得られた1-メトキシ-2-(オキソ
ジフェニルホスフィノ)ナフタレン(179mg、0.500mmo
l)を加え、50℃で1時間攪拌した。放冷後、2N塩
酸(30ml)を加えて反応を停止し、エーテル(20ml)で
希釈して常法により処理し、溶媒を留去した。しかる
後、シリカゲルを充填したカラム(移動相:ヘキサン/
酢酸エチル(4/1))で精製し、白色結晶の1-ブトキ
シ-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレン(156
mg、収率78%)を得た。なお、この化合物は、以下に示
す物性値により確認した。
【0071】融点:108〜110℃ 元素分析:計算値% C,77.98;H,6.29 実測値% C,78.22;H,6.39 IR(KBr):1187cm-1 1 HNMR(CDCl3):δ=0.77(3H,t,−
CH3)、1.23(2H,m,−CH2−CH3)、
1.60(2H,t,−OCH2−CH2−)、3.97
(2H,t,−OCH2−)、7.3〜8.1(16H,
m,Ar−H)。
【0072】1-ブトキシ-2-(ジフェニルホスフィ
ノ)ナフタレンの合成 実施例3と同様の方法により、上記で得られた1-ブ
トキシ-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレン
の還元反応を行い、目的物(収率99%)を得た。
【0073】(実施例5) 1-イソプロポキシ-2-(オキソジフェニルホスフィ
ノ)ナフタレンの合成 求核試剤として表1に示す化合物を実施例4に記載の
方法と同様にして合成し、その後これを、実施例4と
同様にして、実施例1で得られた1-メトキシ-2-(オ
キソジフェニルホスフィノ)ナフタレンと反応させ、目
的物を得た。結果を表1に示す。
【0074】(実施例6) 1-(l−メントキシ)-2-(オキソジフェニルホスフ
ィノ)ナフタレンの合成 まず、求核試剤を以下の方法で合成した。還流冷却器を
備えた2口フラスコ(10ml)を窒素置換し、これにl−
メントール(3.13g、20.0mmol)と水素化ナトリウム
(60%オイルサスペンジョン、720mg、18.0mmol)を
仕込んだ。これを80℃で1時間加熱し、本実施例の求
核試剤であるナトリウム−l−メントキシドを調製し
た。
【0075】次に、実施例1で得られた1-メトキシ-2
-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレンと上記求
核試剤との反応を行った。上記ナトリウム−l−メント
キシド溶液にジメチルホルムアミド(5ml)を加えて懸
濁し、さらに上記実施例1で得られた1-メトキシ-2-
(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレン(2.15g、
6.00mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した。放冷後、
2N塩酸(50ml)を加えて反応を停止し、エーテル(50
ml)で希釈して常法により処理し、溶媒を留去した。さ
らに減圧下(150℃/1.5mmHg)で過剰のl−
メントールを留去した後、シリカゲルを充填したカラム
(移動相:ヘキサン/酢酸エチル(8/1))で精製
し、ガラス状物質の1-(l−メントキシ)-2-(オキソ
ジフェニルホスフィノ)ナフタレン(827mg、収率29
%)を得た。なお、この化合物は、以下に示す物性値に
より確認した。
【0076】 元素分析:計算値% C,79.64;H,7.31 実測値% C,79.61;H,7.29 [α]20.5 D=+5.4°(c1.46,CDCl3) IR(KBr):1200cm-1 1 HNMR(CDCl3):δ=0.6〜1.8(18
H,m,メントキシの−OCH<以外)、4.60(1
H,m,−OCH<)、7.0〜8.2(16H,m,
Ar−H)。
【0077】1-(l−メントキシ)-2-(ジフェニル
ホスフィノ)ナフタレンの合成 実施例3と同様の方法により、上記で得られた1-
(l−メントキシ)-2-(オキソジフェニルホスフィ
ノ)ナフタレンの還元反応を行い、目的物(収率95
%)を得た。
【0078】(実施例7) 1-((R)-α-フェニルエトキシ)-2-(オキソジフェニル
ホスフィノ)ナフタレンの合成 求核試剤として表1に示すナトリウムアルコキシドを実
施例6に記載の方法と同様にして合成し、その後これ
を、実施例6と同様にして、実施例1で得られた1-
メトキシ-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレ
ンと反応させ、目的物を得た。結果を表1に示す。
【0079】(実施例8) 1−(N−ブチルアミノ)−2−(オキソジフェニル
ホスフィノ)ナフタレンの合成 まず、求核試剤を以下の方法で合成した。2口フラスコ
(10ml)を窒素置換し、これにn-ブチルアミン(81.0m
g、1.11mmol)とテトラヒドロフラン(2ml)を仕込ん
だ。これを−78℃に冷却し、1.58Mブチルリチウ
ム(ヘキサン溶液、0.635ml、1.00mmol)をゆっくり滴
下し、そのままで10分間、0℃で1時間攪拌し、本実
施例の求核試剤であるリチウム-n-ブチルアミドを調製
した。
【0080】次に、実施例1で得られた1-メトキシ-2
-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレンと上記求
核試剤との反応を行った。別に用意した2口フラスコ
(10ml)を窒素置換し、実施例1で得られた1-メトキ
シ-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレン(179
mg、0.500mmol)のテトラヒドロフラン(2.5ml)溶液を
仕込み、−20℃に冷却した。これに上記求核試剤リチ
ウム-n-ブチルアミドを温度上昇に気を付けながらゆっ
くりと滴下し、そのまま1時間攪拌した。放冷後、飽和
塩化アンモニウム水(20ml)を加えて反応を停止し、エ
ーテル(20ml)で希釈して常法により処理し溶媒を留去
した。しかる後、シリカゲルを充填したカラム(移動
相:ヘキサン/酢酸エチル(4/1))で精製し、淡黄
色結晶の1-(N−ブチルアミノ)-2-(オキソジフェニ
ルホスフィノ)ナフタレン(174mg、収率87%)を得
た。なお、この化合物は以下に示す物性値により確認し
た。
【0081】融点:105〜107℃ 元素分析:計算値% C,78.17;H,6.56;
N,3.51 実測値% C,78.14;H,6.55;N,3.5
7 IR(KBr):1176cm-1 1 HNMR(CDCl3):δ=0.77(3H,t,−
CH3)、1.2〜1.5(4H,m,-(CH22-C
3)、3.13(2H,t,−NHCH2−)、6.8
〜8.3(16H,m,Ar−H)。
【0082】1-(N−ブチルアミノ)-2-(ジフェニ
ルホスフィノ)ナフタレンの合成実施例3と同様の方
法により、上記で得られた1-(N−ブチルアミノ)-2
-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレンの還元反
応を行い、目的物(収率92%)を得た。
【0083】(実施例9) 1−(N−イソプロピルアミノ)−2−(オキソジフ
ェニルホスフィノ)ナフタレンの合成 求核試剤として表1に示すリチウムアミドを実施例8
に記載の方法と同様にして合成し、その後これを、実施
例8と同様にして、実施例1で得られた1-メトキシ
-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレンと反応
させ、目的物を得た。結果を表1に示す。
【0084】(実施例10) 1-((S)-α-フェニルエチルアミノ)-2-(オキソ
ジフェニルホスフィノ)ナフタレンの合成 求核試剤として表1に示すリチウムアミドを実施例8
に記載の方法と同様にして合成し、その後これを、実施
例8と同様にして、実施例1で得られた1-メトキシ
-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレンと反応
させ、目的物を得た。結果を表1に示す。
【0085】1-((S)-α-フェニルエチルアミノ)
-2-(ジフェニルホスフィノ)ナフタレンの合成 実施例3と同様の方法により、上記で得られた1-
((S)-α-フェニルエチルアミノ)-2-(オキソジフ
ェニルホスフィノ)ナフタレンの還元反応を行い、目的
物(収率90%)を得た。
【0086】
【表1】
【0087】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のホスフィン化合物の製造方法によれば、温和な条件で
収率よく1-置換-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナ
フタレンを容易に得ることができ、この化合物を還元す
ることによりトリアリールホスフィン、すなわち1-置換
-2-(ジフェニルホスフィノ)ナフタレンを得ることが
できる。また本発明では、上記1-置換-2-(ジフェニル
ホスフィノ)ナフタレンの1位にキラルな置換基を含む
ものも製造が可能である。さらに本発明は、例えばビア
リール結合軸の回転障害に起因するアトロプ異性体のラ
セミ体の製造も可能であり、このことは不斉合成反応に
必要な不斉錯体触媒を製造する際に極めて有用である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式〔I〕で表される1-アルコキ
    シ-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレンと求
    核試剤とを反応させる工程を含む、下記一般式〔II〕で
    表される1-置換-2-(オキソジフェニルホスフィノ)ナ
    フタレンの製造方法。 【化1】 (式中、R1は炭素原子数が1〜20である、アルキル
    基またはアラルキル基を示す)。 【化2】 (式中、R2は炭素原子数が1〜20である、アルキル
    基、アラルキル基、アリール基、アルコキシル基、オキ
    シアラルキル基、アルキルアミノ基またはアラルキルア
    ミノ基を示す)。
  2. 【請求項2】 下記一般式〔I〕で表される1−アルコ
    キシ−2−(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタレン
    と求核試剤とを反応させて、下記一般式〔II〕で表され
    る1−置換−2−(オキソジフェニルホスフィノ)ナフ
    タレンを得る工程と、 1−置換−2−(オキソジフェニルホスフィノ)ナフタ
    レン〔II〕を還元する工程とを含む、下記一般式〔II
    I〕で表される1−置換−2−(ジフェニルホスフィ
    ノ)ナフタレンの製造方法。 【化3】 (式中、R1は炭素原子数が1〜20である、アルキル
    基またはアラルキル基を示す)。 【化4】 (式中、R2は炭素原子数が1〜20である、アルキル
    基、アラルキル基、アリール基、アルコキシル基、オキ
    シアラルキル基、アルキルアミノ基またはアラルキルア
    ミノ基を示す)。 【化5】 (式中、R2は炭素原子数が1〜20である、アルキル
    基、アラルキル基、アリール基、アルコキシル基、オキ
    シアラルキル基、アルキルアミノ基またはアラルキルア
    ミノ基を示す)。
  3. 【請求項3】 前記求核試剤が下記一般式〔IV〕で表さ
    れる炭素中心求核試剤である、請求項1または2に記載
    の製造方法。 R2a−M1 〔IV〕 (式中、R2aは炭素原子数が1〜20である、アルキル
    基、アラルキル基またはアリール基であり、M1はMg
    Cl、MgBr、MgIまたはLiである)。
  4. 【請求項4】 前記求核試剤が下記一般式〔V〕で表さ
    れる酸素中心求核試剤である、請求項1または2に記載
    の製造方法。 R2b−M2 〔V〕 (式中、R2bは炭素原子数が1〜20である、アルコキ
    シル基またはオキシアラルキル基であり、M2はLi、
    NaまたはKである)。
  5. 【請求項5】 前記求核試剤が下記一般式〔VI〕で表さ
    れる窒素中心求核試剤である、請求項1または2に記載
    の製造方法。 R2c−M3 〔VI〕 (式中、R2cは炭素原子数が1〜20である、アルキル
    アミノ基またはアラルキルアミノ基であり、M3はL
    i、NaまたはKである)。
JP4970393A 1993-03-10 1993-03-10 ホスフィン化合物の新規製造方法 Pending JPH06256367A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4970393A JPH06256367A (ja) 1993-03-10 1993-03-10 ホスフィン化合物の新規製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4970393A JPH06256367A (ja) 1993-03-10 1993-03-10 ホスフィン化合物の新規製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06256367A true JPH06256367A (ja) 1994-09-13

Family

ID=12838553

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4970393A Pending JPH06256367A (ja) 1993-03-10 1993-03-10 ホスフィン化合物の新規製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06256367A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1312162C (zh) * 2005-05-27 2007-04-25 复旦大学 具备空穴电子双通道结构的有机膦化合物及其氧化物和制备方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1312162C (zh) * 2005-05-27 2007-04-25 复旦大学 具备空穴电子双通道结构的有机膦化合物及其氧化物和制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5376743B2 (ja) アダマンチル基を有するホスファンリガンド、その製造および接触反応におけるその使用
KR100840135B1 (ko) 디포스핀의 제조방법 및 이의 용도
JP2733880B2 (ja) 光学活性三級ホスフィン化合物およびこれを配位子とする遷移金属錯体
JPH0713076B2 (ja) ロジウム―ジホスフイン錯体及びその製造方法
JP3313805B2 (ja) ホスフィン化合物およびこれを配位子とする遷移金属−ホスフィン錯体
JP4567450B2 (ja) 新規ニッケル−、パラジウム−及び白金−カルベン錯体、それらの製造及び触媒反応における使用
Hope et al. Recovery and recycle of fluoroalkyl-derivatised BINAP ligands using FRP silica gel
JP2968545B2 (ja) 二座配位子の製造
JP2000198794A (ja) 軸不斉化合物の製造方法、その製造中間体、新規な軸不斉化合物を配位子とする遷移金属錯体、不斉水素化触媒及び不斉炭素−炭素結合形成触媒
JP3789508B2 (ja) 光学活性非対称ジホスフィン及び該化合物の存在下にて光学活性体を得る方法
JPH06256367A (ja) ホスフィン化合物の新規製造方法
JP4028625B2 (ja) ホスフィン化合物およびそれを配位子とするロジウム錯体
JP5599664B2 (ja) 光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体の製造方法
WO2005016943A1 (ja) 新規な遷移金属錯体、及び該錯体を用いた光学活性アルコールの製造法
Tuba et al. Synthesis, structure, and reactivity of fluorous phosphorus/carbon/phosphorus pincer ligands and metal complexes
JP2003206295A (ja) 光学活性ジホスフィン配位子
JP2000508656A (ja) アリールジホスフィンとそれを含む触媒
JPH07330786A (ja) 光学活性3級ホスフィン化合物、これを配位子とする遷移金属錯体およびこれを用いる製造法
Fan et al. Rhodium catalyzed asymmetric Pauson-Khand reaction using SDP ligands
JP7014882B2 (ja) ホスフィノベンゼンボラン誘導体の製造方法、1,2-ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体の製造方法及び遷移金属錯体
JP7411650B2 (ja) 金属錯体、中間体、その製造方法および使用
Lansing Jr Investigations into late transition metal pincer complexes as possible direct partial oxidation catalysts
WO2019230479A1 (ja) ホスフィノベンゼンボラン誘導体の製造方法、1,2-ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体の製造方法及び遷移金属錯体
EP1250341B1 (en) A method of generating a functionalised arylphosphine
WO2005010013A1 (ja) 新規光学活性リンキラルジホスフェタン化合物、該化合物の中間体、及び該化合物を配位子とする遷移金属錯体