JPH06256021A - 酸化物超伝導体の製造方法 - Google Patents

酸化物超伝導体の製造方法

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JPH06256021A
JPH06256021A JP5061329A JP6132993A JPH06256021A JP H06256021 A JPH06256021 A JP H06256021A JP 5061329 A JP5061329 A JP 5061329A JP 6132993 A JP6132993 A JP 6132993A JP H06256021 A JPH06256021 A JP H06256021A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 臨界電流密度の高い酸化物超伝導体の製造方
法を提供する。 【構成】 組成式がASr2Cu3-xxy(Aは、Ca、Y
及びランタノイド元素からなる元素群から選ばれる1種
類以上の元素又は原子団であり、且つMは、Ti、V、Ga、G
e、Fe、Co、Mo、W及びReからなる元素群から選ばれる1種
類以上の元素又は原子団であり、且つx及びyが夫々
0.05≦x≦0.7、6≦y≦9である)ある酸化物
超伝導体に、該酸化物超伝導体を構成し得る元素群の一
部から構成される非超伝導体及び/又はPt、Rh及び
Agから選ばれる少なくとも1種類以上の元素を生じる
成分が酸化物超伝導体に分散されている成型物を形成
し、酸化物超伝導体の融点よりも高い融点を有する種結
晶と接触させて擬単結晶化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超伝導を応用したマグ
ネット、送電線、エネルギー機器及び医療機器等、各種
分野で利用可能な超伝導特性を有する酸化物超伝導体の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年相次いで発見された銅を含む酸化物
超伝導体は、それ以前に知られていたニオブ系等の超伝
導臨界温度(Tc)を大きく上回るTcを持つ為、多く
の分野で応用研究が進められている。この様な銅を含む
酸化物超伝導体の中で、例えば、Sr、Ln(Lnは、
Y、Ca又はランタノイド元素を表す)、Cu及びOか
らなる超伝導体としては、Japanese Journal Applied P
hysics Vol.26 L804(1987)、Solid State Communicatio
ns Vol.63 535(1987) 、及び日本物理学会1990年秋
の分科会講演予稿集第3分冊234頁 2p-PS-30 にある
様に、YSr2Cu3y の組成を有する超伝導体が知ら
れている。又、Chemistry of Materials Vol.1 331(198
9)においては、一般式が、YSr2Cu3-xxy であ
り、Mが、Al、Fe、Co及びPbのいずれかの元素
であり、且つ0.4≦x≦1.0である組成のものが知
られている。
【0003】一方、超伝導材料の実用特性に大きな影響
を与える臨界電流密度(Jc)を向上させる目的で、超
伝導体に非超伝導体を分散させることが行われている
が、この手法としては、YBa2Cu3y 系の超伝導体
に微細な非超伝導体Y2 BaCuO5 を分散させる方法
であるQMG法が、Japanese Journal Applied Physics
Vol.28 L1189(1989) に記載されており、又、同様の方
法であるMPMG法がProc.2nd ISS Tsukuba 1989 L285
(Spring-Verlag.1990)に記載されており、既に知られて
いる。又、この場合に非超伝導体としてPt及びRhを
用いる手法についても、上記と同様のYBa2Cu3y
系においてPt及びRhを適用するPDMG法が、Phys
ica C Vol.177 L101(1991)に記載されており、既に知ら
れている。又、Agを添加する方法は、従来よりセラミ
ックプロセスにおいて知られている。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、前
記した従来例の中で、Japanese Journal Applied Physi
cs Vol.26 L804(1987)、及びSolid State Communicatio
ns Vol.63 535(1987) に記載されている組成において
は、YSr2Cu3y で表される単相の良質な試料を合
成することが出来ず、SrCuO2 、Sr2CuO3
2CuO5 及びSrCu22 等が不純物として多量に
析出する為、使用に耐えうるものではなかった。又、前
記した日本物理学会1990年秋の分科会講演予稿集第
3分冊234頁2p−PS−30 に発表された材料
は、70kbar、1380℃という、一般的には得ら
れない特殊な装置を用いて合成している為、応用するに
は適さないという問題があった。又、例えこの様な特殊
な装置において合成したとしても、該試料の抵抗率がゼ
ロになる温度(ゼロ抵抗温度)は20K程度と低いもの
であった。又、前記したChemistry of Materials Vol.1
331(1989)に発表された材料は、MがCo又はFeで超
伝導を示すものの、ゼロ抵抗温度は10K程度と低く、
超伝導体積分率も2%程度であり、超伝導材料としては
使用に適さないものであった。
【0005】又、前記した超伝導体に非超伝導体を分散
させてJcを向上させる手法である、Japanese Journal
Applied Physics Vol.28 L1189(1989) 、及びProc.2nd
ISSTsukuba 1989 L285(Spring-Verlag.1990)に記載さ
れているQMG法及びMPMG法では、共に、使用する
超伝導体をYBa2Cu3y に限り、且つ該超伝導体中
に分散させる非超伝導体を微細なY2BaCuO5 とす
るものであった。又、前記したPhysica C Vol.177 L101
(1991)に発表されているPDMG法においても、Pt及
びRhを分散させる超伝導体をYBa2Cu3y 系に限
り、又、その手法としては、微細なY2BaCuO5
分散させることを目的とし、その結果としてJcを向上
させるものであった。更に、上述した各種の製造方法に
用いられる超伝導体YBa2Cu3y は本質的に水に弱
い為、上記の各種の製造方法によりJcを向上させるこ
とが出来たとしても、霜等の水分が付着することにより
劣化が生じ、適用する場所を制約するものであった。
【0006】従って、本発明の目的は、超伝導転移温度
(Tc)が高く、しかも水分の影響が少なく、超伝導材
料として臨界電流密度(Jc)の高い優れた特性を有す
る超伝導材料が得られる酸化物超伝導体の製造方法を提
供することにある。又、本発明の他の目的は、超高圧状
態を提供する特殊な合成装置を用いることなく、優れた
特性を有する超伝導材料が得られる酸化物超伝導体の製
造方法を提供することにある。
【0007】
【問題点を解決するための手段】上記の目的は、以下の
本発明によって達成される。即ち、本発明は、組成式が
ASr2Cu3-xxy(Aは、Ca、Y及びランタノイ
ド元素からなる元素群から選ばれる1種類以上の元素又
は原子団であり、且つMは、Ti、V、Ga、Ge、F
e、Co、Mo、W及びReからなる元素群から選ばれ
る1種類以上の元素又は原子団であり、且つx及びyが
夫々0.05≦x≦0.7、6≦y≦9である)で表さ
れる酸化物超伝導体に、該酸化物超伝導体を構成し得る
元素群の一部から構成される非超伝導体及び/又はP
t、Rh及びAgからなる元素群から選ばれる少なくと
も1種類以上の元素を生じる成分が分散されている上記
組成式で表される化合物を主体とする酸化物超伝導体の
成型物を形成させ、しかる後に該酸化物超伝導体の融点
よりも高い融点を有する種結晶と接触させて、上記酸化
物超伝導体を擬単結晶化させることを特徴とする酸化物
超伝導体の製造方法である。
【0008】
【作用】本発明者らは、上記した従来技術の問題点を解
決すべく鋭意研究の結果、酸化物超伝導体を製造する際
に、一般的には超高圧下の条件でしか合成することが出
来なかったYSr2Cu3y と同様の構造を有する酸化
物超伝導体に、特定の非超伝導体を分散させ、且つ特定
の種結晶を用いて該酸化物超伝導体を擬単結晶化するこ
とにより製造すれば、得られる超伝導体の配向性及び密
度を高め、超伝導体材料としての特性の向上が達成され
ることを知見して本発明に至った。尚、YSr2Cu3
y と同様の構造を有する酸化物超伝導体に、特定の非
超伝導体を微細に分散させることにより、ピンニング力
を高めることが出来、磁場中においても酸化物超伝導体
の劣化を小さくすることが出来る。即ち、酸化物超伝導
体中に非超伝導体を微細に分散させることで、磁束が動
かない様に固定される結果、超伝導体のエネルギーの高
まりが抑えられ、超伝導状態が安定に保たれる。又、上
記の製造方法によれば、他の銅酸化物超伝導体と比較し
て、耐水性に優れた超伝導体が合成される。更に、上記
の製造方法によれば、超高圧条件を用いることなく優れ
た特性の超伝導体が合成される。
【0009】
【好ましい実施態様】次に、好ましい実施態様を挙げて
本発明を更に詳細に説明する。本発明は、組成式がAS
2Cu3-xxy で表される酸化物超伝導体に分散さ
せる非超伝導体として、該酸化物超伝導体の構成し得る
元素群の一部から構成される非超伝導体と、Pt、Rh
及びAgからなる元素群から選ばれる少なくとも1種類
以上の元素を生じる成分のどちらか一方又は両方を選択
し、且つ特定の種結晶を用いて擬単結晶化させることを
特徴とする製造方法である。即ち、本発明方法では、先
ず、組成式がASr2Cu3-xxy で表され、式中の
Aが、Ca、Y及びランタノイド元素からなる元素群か
ら選ばれる1種類以上の元素又は原子団であり、且つM
が、Ti、V、Ga、Ge、Fe、Co、Mo、W及び
Reの元素群から選ばれる1種類以上の元素又は原子団
であり、且つ0.05≦x≦0.7、6≦y≦9である
酸化物超伝導体が用いられる。
【0010】又、本発明方法では、上記した酸化物超伝
導体に分散させる非超伝導体として、上記のASr2
3-xxy で表される超伝導化合物を構成し得る元
素群の一部から構成される非超伝導体と、Pt、Rh及
びAgからなる元素群から選ばれる少なくとも一種類以
上の元素を生じる成分のどちらか一方又は両方が用いら
れる。又、これらは、酸化物超伝導体に微細に分散され
ていることが好ましいが、非超伝導体が小さければ小さ
い程好ましい。これらの分散させる非超伝導体の酸化物
超伝導体内での夫々の役割は、明確ではないが、これら
のうちPt、Rhは、核となりその周囲の構成元素より
なる非超伝導体の成長を阻害させる効果があるといわれ
ており、分散させる非超伝導体の粒径を小さくするする
役割もあると考えられる。又、分散させる非超伝導体の
うちAgは、材料中の構造欠陥部分等に析出して材料の
安定化を図る役割や酸素を材料中に導入する役割がある
と考えられ、Agを添加すると、超伝導特性が向上す
る。
【0011】更に、本発明においては、酸化物超伝導体
中における上記したこれら非超伝導体の分散量を最適化
させることが好ましい。即ち、この際の分散させる量と
しては、酸化物超伝導体の主成分である組成式ASr2
Cu3-xxy で表される成分が100に対し、分散さ
れる上記した非超伝導体の重量比を、好ましくは、5〜
30、更に好ましくは10〜25とする。上記した様
に、分散させる非超伝導体の夫々の役割は微妙に異なる
為、使用する酸化物超伝導体や製造条件等により非超伝
導体の夫々の最適な分散量は異なり明確には規定出来な
いが、下記に挙げる傾向がある。先ず、Pt、Rhの分
散量は重量比でせいぜい5%未満としないと、超伝導特
性をかえって悪くする傾向がある。更に、単独で用いて
もその効果は小さい為、SrLn24等の非超伝導体と
同時に使用することが所期の目的を達成する上ではより
好ましい。又、分散させるAg及びSrLn24等の非
超伝導体の量としては、5〜20%とするのが最も好ま
しい。
【0012】又、本発明において、酸化物超伝導体を擬
単結晶化させる際に用いられる種結晶としては、ASr
2Cu3-xxy で表される成分が主体である上記の酸
化物超伝導体と比較して融点が高いものであることが必
要であり、好ましくは、5℃以上、更に好ましくは10
℃以上高いものが好適に用いられる。
【0013】又、本発明においては、上記の様に、酸化
物超伝導体に特定の非超伝導体を分散し、これを特定の
種結晶を用いて擬単結晶化させるが、好適な反応条件と
しては、酸素を5%以上含む雰囲気中で、ASr2Cu
3-xxy で表される特定の組成を有する超伝導体の共
晶温度以上包晶温度以下の温度で包晶反応を利用して、
非超伝導体を分散させ且つ種結晶から擬単結晶化させた
後、徐冷する。更に、HIP等の2000気圧程度に容
易に達成し得る圧力下でアニールしてもよい。以上の様
な方法により製造される酸化物超伝導体は、非超伝導体
(特に、SrLn24)が分散された場合に包晶反応が
起き、この結果、配向性に優れ、密度が高められた優れ
た特性の超伝導体材料を容易に得ることが出来る。
【0014】本発明の製造方法は、上記の構成を有する
限りいずれのものでもよいが、好適な態様の一つは、超
伝導体に分散させる非超伝導体が、組成式SrLn24
(Lnが、Y、Ho、Dy及びGdのいずれかであ
る)で表される非超伝導体と、Pt、Rh及びAgから
なる元素群から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を
生じる成分のどちらか一方又は両方であり、且つ種結晶
として組成式Ln2CuO4 (Lnが、Sm、Eu及び
Gdのいずれかである)で表される化合物を使用して、
酸化物超伝導体を擬単結晶化させる方法である。
【0015】更に、本発明の別の好ましい態様として
は、組成式がASr2Cu3-xxyで表される特定の組
成を有する超伝導体に、組成式SrLn24 (Ln
が、Y、Ho、Dy及びGdのいずれかである)で表さ
れる非超伝導体と、Pt、Rh及びAgからなる元素群
から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を生じる成分
のどちらか一方又は両方が分散されている成型物を、組
成式BSr2Cu3-xxy (Bは、ASr2Cu3-xx
y で表される酸化物超伝導体の組成式中のAとは異な
り、且つBがAと同様に、Ca、Y及びランタノイド元
素からなる元素群から選ばれる1種類以上の元素又は原
子団である)で表され且つASr2Cu3-xxy に比
べ融点の高い種結晶を用いて擬単結晶化させる方法であ
る。この際に使用する種結晶としては、融点がASr2
Cu3-xxy に比べて、好ましくは5℃以上、更に好
ましくは 10℃以上高いものを用いる。これに対し種
結晶の融点が、ASr2Cu3-xxy の融点と同様の
値あるいは低い値のものを使用した場合には、種結晶と
して機能し得ず、優れた物性の酸化物超伝導体を得るこ
とが出来ない。
【0016】以上の様な本発明の製造方法により得られ
る銅酸化物材料は、製造する際の熱処理条件や使用する
化合物の組成や物性等により、配向性、密度、Tc及び
Jcの異なる酸化物超伝導体が得られる。例えば、組成
式ASr2Cu3-xxy で表される超伝導体のMを、
Mo、W及びReからなる元素群から選ばれる1種類以
上の元素又は原子団とし、超伝導体に分散させる非超伝
導体を、Agを生じる成分とSrLn24 の両方と
し、種結晶として、Ln2CuO4 或は上記の超伝導体
として用いたASr2Cu3-xxy に比べ融点の高い
BSr2Cu3-xxy を使用する。この場合、得られ
る酸化物超伝導体の配向性及び密度は高くなり、又、T
c及びJcも高くなる。この際、得られる酸化物超伝導
化合物の配向性及び密度は、分散される非超伝導体の
量、用いる種結晶の種類及び熱処理温度等により異なる
が、配向性はおおむね種結晶の方位と一致しており、密
度も理論密度の95〜99%にまで達する。又、Tc
は、十数〜70Kにまで、Jcは5Kにおいて数千〜1
0000(A/cm2 )になる。
【0017】従って、本発明の製造方法により得られる
酸化物超伝導体は、液体ヘリウム温度での利用は勿論、
簡単な冷却器によっても利用することが出来る。又、本
発明の製造方法により得られる酸化物超伝導体は、水に
対して劣化も少なく安定であり、更に、原料として重金
属等の毒性を有するものを使用していない為、安全性が
高い。更に、本発明の製造方法により得られる酸化物超
伝導体は、密度が約5〜6(g/cm3 )であり、従来
の酸化物超伝導体と比較しても、約2〜3割軽くなって
いる。従って、本発明方法により得られる酸化物超伝導
体をシールドや磁気浮上用のバルク材として利用する場
合に特に有効である。
【0018】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。 (実施例1〜実施例3)先ず、原料として、Y23
SrCO3 、WO3 及びCuOを用い、重量比におい
て、YSr2Cu2.80.2y に対して10%のSrY2
4 が生じる様に、適当な配合比に原料を秤量した後、
乾式混合した。次に、得られた混合物を、950〜11
00℃の温度で、酸素を5%以上含む酸化雰囲気中で反
応させて仮焼きし、降温後粉砕した。更に、この生成物
に、重量比において5%のAgが生ずる様に、原料とし
てAg2Oを適当な混合比に秤量後添加し、乾式混合し
た。次に、得られた混合物を、φ30mm、厚み5mm
のペレット状に加圧成型した後、白金るつぼ内に入れ、
1100〜1400℃の温度で20分間半溶融後、室温
まで速やかに冷却した後、粉砕及び混合した。得られた
混合物を、再び、φ30mm、厚み4mmのペレット状
に加圧成型した。最後に、以上の様にして得られた成型
物に、種結晶をc面で接触させて1000〜1150℃
に加熱後、950〜1000℃まで毎時1〜3℃の割合
で徐冷して、本発明の実施例1〜実施例3の酸化物超伝
導体を夫々合成した。この際に使用した種結晶として
は、実施例1についてはSm2CuO4 、実施例2につ
いてはEu2CuO4 、実施例3についてはGd2CuO
4 の夫々の単結晶を、約1mm×1mm×0.3mmの
大きさに切り出して用いた。又、これらの種結晶は、Y
Sr2Cu2.80.2y と比べて融点が、実施例1につ
いては170℃、実施例2については150℃、実施例
3については110℃、夫々高かった。
【0019】以上の様にして合成された実施例1〜実施
例3の酸化物超伝導体について、表面を研磨して、X線
回折により配向性を調べた。その結果、種結晶のc面と
接していた面において、強い(0 0 l(エル))反
射が観測され、同時に種結晶の方位とほぼ一致している
ことを確認した。又、実施例1〜実施例3の酸化物超伝
導体の密度を寸法から求めたところ、いずれも理論密度
の95%以上に相当する約5.7(g/cm3 )であっ
た。この値は、既存の銅酸化物超伝導体YBa2Cu3
7 と比較しても、比重において2割程度軽くなってい
る。更に、室温から液体ヘリウムの温度範囲で、4端子
法による電気抵抗測定及びSQUIDによる磁化率の測
定を行った。表1に実施例1〜実施例3の酸化物超伝導
体の組成比、種結晶の種類及び臨界電流密度(Jc)を
示した。ここでJcは、磁化ヒステリシスよりBean
モデルを仮定して求めた、ゼロ磁場下、5Kにおける値
を示してある。この結果、実施例1〜実施例3の本発明
の酸化物超伝導体のJcは全て7000(A/cm2
以上の高い値を示すことが分かる。
【0020】
【表1】表1 実施例1〜3における組成式と種結晶の
種類及びJc値
【0021】(比較例1)実施例1と同様の原料を夫々
用い、YSr2Cu2.80.2y に比べ、融点が 90℃
低いYBa2Cu3y を種結晶として使用した以外は、
実施例1と同様の方法で比較用の酸化物超伝導体を合成
した。得られた比較用の酸化物超伝導体においては、Y
Ba2Cu3y の結晶は種結晶として機能しておらず、
X線回折により配向性を調べたところ、様々な方位の結
晶粒が集合したものであることが判明した。更に、比較
用の酸化物超伝導体について、密度を求めたところ、約
5.5(g/cm3 )であり、実施例1の酸化物超伝導
体に比べて低い値であった。又、Jcも3200(A/
cm2 )と、実施例のものに比べて約1/2〜1/3と
低い値であった。以上の結果から、本発明方法におい
て、種結晶として用いることが出来るものは、酸化物超
伝導体を構成するASr2Cu3-xxy に比べて融点
の高いものである必要があり、又、かかる種結晶を用い
ることにより酸化物超伝導体を擬単結晶化することが出
来、この結果、配向性及び密度が上昇し、ひいてはJc
が向上することが分かる。
【0022】(実施例4〜実施例6)原料として、Y2
3 、SrCO3 、WO3 、ReO3 、MoO3 、Cu
O、及びAg2Oを用い、且つ種結晶として、実施例4
ではGdSr2Cu2.80.2y を、実施例5ではGd
Sr2Cu2.8Re0.2y を、実施例6ではGdSr2
2.8Mo0.2y を夫々用いて、実施例1〜実施例3と
同様の方法により実施例4〜実施例6の酸化物超伝導体
を合成した。各実施例で使用したこれらの種結晶は、Y
Sr2Cu2.80.2y と比べて融点が、実施例1につ
いては 15℃、実施例2については10℃、実施例3
については10℃、夫々高かった。上記の様にして得ら
れた夫々の酸化物超伝導体の表面を研磨し、X線回折に
より配向性を調べたところ、種結晶のc面と接していた
面において、強い(0 0l(エル))反射が観測さ
れ、同時に、種結晶の方位とほぼ一致していることが確
認された。又、夫々の酸化物超伝導体の密度を寸法から
求めたところ、いずれも理論密度の95%以上に相当す
る約5.7(g/cm3 )であった。この値は、既存の
銅酸化物超伝導体YBa2Cu37 と比較しても、比重
において2割程度軽くなっている。更に、室温から液体
ヘリウムの温度範囲で、4端子法による電気抵抗測定及
びSQUIDによる磁化率の測定を行った。表2に夫々
の例における組成比、種結晶の種類及びJcを示した。
ここでJcは、磁化ヒステリシスよりBeanモデルを
仮定して求めた、ゼロ磁場下、5Kにおける値を示して
ある。表2から、得られた実施例4〜実施例6の酸化物
超伝導体は、全てJcが8000(A/cm2 )以上の
優れた超伝導材料であることが分かる。
【0023】又、図1に本発明の実施例4で示された酸
化物超伝導体の磁化ヒステリシスより求めたJcの磁場
依存性を示す。図1より、実施例4で得られた酸化物超
伝導体は、5Kの温度下、ゼロ磁場下で10000(A
/cm2 )のJcを示すことが分かる。又、10000
エルステッドの磁場下においても、3000(A/cm
2 )のJcを有することが分かる。尚、他の実施例にお
いても図1と同様の結果が得られた。
【0024】
【表2】表2 実施例4〜実施例6における組成式と種
結晶の種類及びJc値
【0025】更に、実施例4で得られた酸化物超伝導体
について、耐水性試験を行った。この結果、40℃飽和
蒸気圧下において、従来の代表的な超伝導体であるYB
2Cu3y が1週間で原料まで分解してしまったのに
対し、実施例4で示された酸化物超伝導体は、同様の条
件下で3か月放置した後も超伝導特性に殆ど変化が見ら
れなかった。以上のことから、本発明方法により合成さ
れた酸化物超伝導体は、非常に耐水性に優れていること
がわかる。
【0026】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の酸化物超伝
導体の製造方法は、下記に挙げた優れた効果を有する。 (1) 本発明の酸化物超伝導体の製造方法は、特殊な
装置を要する超高圧下の製造条件を必要とせず、大気圧
中で安定に合成することが出来る。 (2) 本発明の製造方法により合成された酸化物超伝
導体は、通常の焼結体と比べて配向性及び密度が高く、
はるかに高い臨界電流密度(Jc)を有し、又、超伝導
臨界温度(Tc)も液体ヘリウム温度をはるかに超えて
いる優れた超伝導特性を有する材料である。従って、本
発明の製造方法により合成される酸化物超伝導体は、簡
易な冷却装置によっても利用することが出来る。又、本
発明の酸化物超伝導体の製造方法により合成された酸化
物超伝導体は、ピンニングを担う特定の非超伝導体が微
細に分散されている為、磁場中においても超伝導特性の
劣化が少ない。 (3) 又、本発明の製造方法により合成された酸化物
超伝導体は、比重が約5〜6(g/cm3 )であり、既
存の銅酸化物超伝導体と比較しても、約2〜3割程度軽
くなっており、バルク材として利用される場合に特に効
果が高い。 (4) 本発明の製造方法により合成された酸化物超伝
導体は、他の銅酸化物超伝導体と比較して、重金属及び
炭酸バリウム等の毒性の強いものを使用していない為、
安全性に優れる。 (5) 更に、本発明の製造方法により合成された酸化
物超伝導体は、他の銅酸化物超伝導体と比較して、耐水
性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例4の酸化物超伝導体の
臨界電流密度の磁場依存性を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C01G 31/00 ZAA 39/00 ZAA Z 47/00 ZAA 49/00 ZAA A 51/00 ZAA A C04B 35/00 ZAA 8924−4G C30B 29/22 501 B 8216−4G H01B 13/00 565 D 7244−5G // H01B 12/00 ZAA 7244−5G

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式がASr2Cu3-xxy (A
    は、Ca、Y及びランタノイド元素からなる元素群から
    選ばれる1種類以上の元素又は原子団であり、且つM
    は、Ti、V、Ga、Ge、Fe、Co、Mo、W及び
    Reからなる元素群から選ばれる1種類以上の元素又は
    原子団であり、且つx及びyが夫々0.05≦x≦0.
    7、6≦y≦9である)で表される酸化物超伝導体に、
    該酸化物超伝導体を構成し得る元素群の一部から構成さ
    れる非超伝導体及び/又はPt、Rh及びAgからなる
    元素群から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を生じ
    る成分が上記酸化物超伝導体に微細に分散されている上
    記組成式で表される化合物を主体とする酸化物超伝導体
    の成型物を形成させ、しかる後に該酸化物超伝導体の融
    点よりも高い融点を有する種結晶と接触させて、上記酸
    化物超伝導体を擬単結晶化させることを特徴とする酸化
    物超伝導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 組成式ASr2Cu3-xxy で表され
    る超伝導体を構成する成分と、該酸化物超伝導体を構成
    し得る元素群の一部から構成される非超伝導体及び/又
    はPt、Rh及びAgからなる元素群から選ばれる少な
    くとも1種類以上の元素を生じる成分との重量比が、前
    者100に対して後者が5〜30である請求項1に記載
    の酸化物超伝導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 非超伝導体が、組成式SrLn24(L
    nは、Y、Ho、Dy及びGdのいずれかである)で表
    される非超伝導体である請求項1に記載の酸化物超伝導
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】 種結晶が、組成式BSr2Cu3-xxy
    (Bは、ASr2Cu3-xxy で表される酸化物超伝
    導体の組成式中のAとは異なり、且つBがAと同様に、
    Ca、Y及びランタノイド元素からなる元素群から選ば
    れる1種類以上の元素又は原子団である)で表される酸
    化物である請求項1に記載の酸化物超伝導体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 酸素を5%以上含む雰囲気中で、ASr
    2Cu3-xxy で表される超伝導体の共晶温度以上包
    晶温度以下の温度で酸化物超伝導体の製造を行う請求項
    1に記載の酸化物超伝導体の製造方法。
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