JPH06255779A - 直動案内装置 - Google Patents

直動案内装置

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JPH06255779A
JPH06255779A JP5039913A JP3991393A JPH06255779A JP H06255779 A JPH06255779 A JP H06255779A JP 5039913 A JP5039913 A JP 5039913A JP 3991393 A JP3991393 A JP 3991393A JP H06255779 A JPH06255779 A JP H06255779A
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Takeki Shirai
武樹 白井
Munenori Watanabe
宗徳 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 運動を案内する転走面が設けられた湾曲する
レール部材と、転走面上で無限循環する転動体を介し
て、転走面に沿う運動の案内及び他方向への拘束を行う
ブロック部材とを有する超音波モータ駆動案内装置に関
し、滑らかで安定した駆動が可能で、空間の利用効率が
良く、直接駆動することができ、スケール等を用いて高
精度の位置決めが可能で、例えば、SEM(走査型電子
顕微鏡) 等のコントローラ等の電子回路部に電磁ノイズ
等の発生による悪影響を与えずに、エネルギー効率の良
い超音波モータ駆動による直動案内装置を提供すること
を目的とする。 【構成】 前記レール部材又はブロック部材の少なくと
も一方には走行面を設け、当該走行面に加圧接触する弾
性体、及び当該弾性体に取り付けられた振動素子を有す
る超音波モータを前記ブロック部材又はレール部材に設
けるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は直動案内装置に係り、特
に、運動を案内する転走面が設けられた湾曲するレール
部材と、転走面上で無限循環する転動体を介して、転走
面に沿う運動の案内及び他方向への拘束を行うブロック
部材とを有する超音波モータで駆動される直動案内装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】図14に第一の従来例に係る直動案内装
置を示す。円弧運動を案内する当該直動案内装置は、同
図に示すように、長手方向に円弧状に湾曲するガイドレ
ール92と、当該ガイドレール92に摺動可能に設けら
れたブロック91と、当該ブロック91に取り付けら
れ、モータ94の回転駆動により当該ブロック91を前
記ガイドレール92に沿って移動させるアーム93と、
モータ94とを有するものである。
【0003】また、図15には第二の従来例に係る直動
案内装置を示す。当該直動案内装置は、例えば、同図に
示すように、第一の従来例と同様に、側面が円弧状に湾
曲するとともに、当該側面には歯102aが刻まれてラ
ックが形成されたガイドレール102と、当該ガイドレ
ール102の前記歯102aに噛み合うピニオン101
a及び当該ピニオン101aを駆動するモータ101b
が設けられ、前記ガイドレール102に沿って移動可能
なブロック101とが設けられたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】さて、以上説明したよ
うに、第一の従来例ではアーム93及びモータを用いて
ブロック91をガイドレール92に沿って移動させるた
め、曲率半径が大きくなればなるほどアーム93の長さ
が長くなり、外形状が大きくなって、場所をとるだけで
なく、ブロック91をアーム93を用いずに直接駆動す
ることはできないという問題点があった。
【0005】また、第二の従来例にあっては、外形状は
大きくないが、ラック及びピニオンを用いているため、
バックラッシュ(がたつき)があり、位置決めを行う際
に十分な精度を与えることはできない。さらに、このバ
ックラッシュのために、ガイドレール92とブロック9
1との相対的な位置関係が安定せず、超音波モータを組
み込んで自走化しようとすると、超音波モータの弾性体
を加圧接触させる際にその位置の変動により生じる荷重
を受ける構造を考慮する必要があり、超音波モータの組
込みが難しいという問題点があった。
【0006】そこで、本発明は、外部荷重を受けても超
音波モータに直接の負荷がかからずに超音波モータによ
り安定した駆動を行うことができ、空間の利用効率が良
く、直接駆動することができ、高精度の位置決めが可能
であり、また、SEM(Scan-ning Electron Microscope
;走査型電子顕微鏡) 等のコントローラ等の電子回路部
に電磁ノイズ等の発生による悪影響を与えずに、エネル
ギー効率の良い超音波モータで駆動される直動案内装置
を提供することを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上の技術的課題を解決
するため、本発明は、運動を案内する転走面が設けられ
た湾曲するレール部材と、転走面上で無限循環する転動
体を介して、転走面に沿った運動の案内及び他方向への
拘束を行うブロック部材とを有する案内装置において、
前記レール部材又はブロック部材の少なくとも一方には
走行面を設け、当該走行面に加圧接触する弾性体、及び
当該弾性体に取り付けられた振動素子を有する超音波モ
ータを前記ブロック部材又はレール部材に設けたもので
ある。
【0008】ここで、「無限循環する転動体」とは、前
記ブロック部材及び湾曲するレール部材に設けられた転
走面に沿って転動して(ころがって移動して)当該レー
ル部材とブロック部材との間の運動を案内するボール又
はローラ等をいう。これらのボールまたはローラ等は、
ブロック部材又は湾曲するレール部材の一方又は両方に
設けられた閉じた経路を有する保持器にスベリの殆どな
いコロガリ運動により当該経路内を何回でも(無限に)
整列循環可能に保持されている。「走行面」は前記超音
波モータの弾性体が加圧接触する湾曲するレール部材に
設けられた面であり、請求項2に記載されているよう
に、湾曲するレール部材に形成された内径側若しくは外
径側の少なくとも一方の曲面又は平面の場合がある。
「超音波モータ」は、電磁型モータと異なり、超音波の
振動領域で前記弾性体を振動させることにより、前記弾
性体に加圧接触する動体を移動させるモータをいい、定
在波で駆動する方式と、進行波で駆動する方式とがあ
る。
【0009】
【作用】当該超音波モータ駆動による直動案内装置を使
用するには、前記ブロック部材又は湾曲するレール部材
に設けられた超音波モータに電源を入れ、例えば、前記
振動素子として、圧電素子(電歪素子)等に高周波(超
音波の振動数に対応する振動数の)電圧を印加する。す
ると当該振動素子が超音波の周波数で振動することによ
り前記弾性体を変形させ、前記走行面と弾性体との間
に、ブロック部材と湾曲するレール部材との間で相対的
に移動させるような力が働き、この力により、ブロック
部材とレール部材との間で相対運動させることが可能と
なる。ブロック部材と湾曲するレール部材との間の相対
的な移動を停止させる場合には、電源を切ることにより
ブロック部材はロック状態となる。
【0010】また、超音波モータは加減速を大きくとる
ことができ、また、電磁ノイズが出ないので、コンピュ
ータ等の周辺機器に用いた場合でも誤動作等の悪影響を
与えない。
【0011】
【実施例】続いて、本発明の実施例について図面に従っ
て説明する。図1(a)及び(b)には、第一の実施例
に係る超音波モータ駆動による直動案内装置を示す。同
図(a)に示すように、本実施例に係る超音波モータ駆
動による直動案内装置は、長手方向に円弧状に湾曲し運
動を案内する転走面12aが設けられたレール部材12
と、転走面12aに沿った運動の案内及び他方向への拘
束を行うブロック部材11とを有する。
【0012】レール部材12には前記転走面12aの他
に、レール部材12の長手方向に湾曲する外径側の下側
面に沿った走行面12bが設けられている。同図(a)
のAA線視断面図である同図(b)及び図2に示すよう
に、ブロック部材11には、基部11aと、当該基部1
1aに一体として形成され、前記レール部材12の外径
側に突出したモータ取付け部11bと、前記基部11a
に設けられた保持器に整列循環運動可能に保持され前記
転走面12aと接触して当該面上で無限循環する複数の
ボールを用いた転動体28と、移動させようとする物体
をブロック部材11に取り付けるための孔19と、グリ
ースの供給を行うグリースニップル25と、定在波型超
音波モータ13aとを有する。
【0013】さらに、当該定在波超音波モータ13a
は、同図に示すように、前記レール部材12に設けられ
た走行面12bに加圧接触する弾性体14aと、当該弾
性体14aに取り付けられた振動素子である積層型圧電
素子151,152と、前記モータ取付け部11bに取
り付けられ当該弾性体14aを前記走行面12bに加圧
接触させるための加圧手段21とを有する。当該加圧手
段21は、前記弾性体14aに線接触してコイルバネ2
0からの弾性力を受けて弾性体14aを押圧するナイフ
エッジ23と、コイルバネ20と、前記モータ取付け部
11bに取り付けられ、当該コイルバネ20の弾性力の
調節を行う調節ネジ22とを有する。
【0014】当該加圧手段21には、図3の(a)に示
すようなナイフエッジ23の他に、同図(b)に示すよ
うに弾性体14aに点接触する針、同図(c)に示すよ
うに小球を先端にもち前記弾性体14aに点接触するボ
ールがある。また、同図(a)(b)(c)に示したナ
イフエッジ23、針、ボール等をベアリングで保持する
ことにより、軸方向には滑らかに動くが半径方向のガタ
ツキをなくすためのミニチュアストロークを用いた場合
を同図(d)に示す。また、同図(f)に示したコイル
バネ20を使用する代わりに、同図(e)に示すように
ボールプランジャーを用いることもできる。この場合ボ
ールプランジャーにはその弾性力を調節するための六角
穴付きネジがボールプランジャーの底部に設けられてい
る。
【0015】さらに、同図(g)には、当該ボールプラ
ンジャーを、板バネに取り付けて加圧手段を構成したも
のを示す。板バネには、同図(h)に示すように、円盤
状のものや、同図(i)に示すように、角板状のものが
ある。
【0016】また、図1、図2及び図4(a)に示すよ
うに、前記弾性体14aは、レール部材12に形成され
た曲面に加圧接触する一対の平行な脚部71a,71a
及びこれを連結する胴部72からなる。脚部71a,7
1aの先端はレール部材12の外径側の曲面の曲率半径
でカットされている。胴部72はその両端部分で胴部7
2又は脚部71a,71aに対して略45°の角度をな
すように面取りされており、その取付面77に積層型圧
電素子151,152が各々接着剤等を用いて取り付け
られている。その際、前記積層型圧電素子151,15
2は前記取付面77の法線方向に伸縮するように取り付
けられている。
【0017】ここで、弾性体14aの素材としては、例
えば、アルミニウム、ジュラルミン、鉄、真珠、あるい
はステンレス鋼等の金属材料、アルミナ、ガラスあるい
は炭化珪素等の無機材料、ポリイミド系樹脂あるいはナ
イロン等の有機材料等が使用できる。また、積層型圧電
素子151,152としては、例えば、PZT(ジルコ
ン酸チタン酸鉛)である。積層型圧電素子に代えて単板
の圧電セラミックを用いても良い。
【0018】外径側の曲面に設けられた走行面に接触す
る弾性体14aの他の例を図4(b)(c)(d)に示
す。図4(b)(c)(d)は、各々外径側の曲面に設
けられた走行面に接触する弾性体141a,142a,
143aを示すものであり、レール部材12の外径側の
曲率半径で脚部73a,75a,76aの先端がカット
されている点、及び胴部72はその両端部分で胴部72
又は脚部71a,71aに対して略45°の角度をなす
ように面取りされており、その取付面77に積層型圧電
素子151,152が各々接着剤等を用いて取り付けら
れている点、弾性体の素材の点、積層型圧電素子に代え
て単板の圧電セラミックを用いることができる点に関し
ては弾性体14aと同様である。
【0019】但し、以下の点で弾性体14aと異なる。
同図(b)の弾性体141aではレール部材12との当
接部分に、当該弾性体141aの主要部分をなすアルミ
ニウム材に代えて磨耗しにくい、潤滑性のある炭素材等
の摩擦材16aが設けられているものである。これによ
り、レール部材12に沿ったブロック11の移動を効率
良くすることができる。
【0020】同図(c)の弾性体142aでは脚部75
aには孔27が、胴部74には孔29を各々設けたもの
である。孔27により、レール部材に沿った方向の振動
を容易にし、孔29により、レール部材に垂直方向の振
動を容易にすることになる。
【0021】同図(d)の弾性体143aではレール部
材12との当接部分に、当該弾性体141aの主要部分
をなすアルミニウム材に代えて磨耗しにくい、潤滑性の
ある炭素材等の摩擦材16aを設けるとともに、弾性体
143aの脚部75aには孔27を、同部74には孔2
9を各々設けたものである。
【0022】その他、弾性体の例としては図5(c)に
示すように、胴部がレール部材の曲率に合わせて湾曲す
るものを用いても良い。これにより、よりレール部材1
2の形状に合ったブロック部材を製造することができ
る。
【0023】前記積層型圧電素子151,152には、
図5(a)に示す当該圧電素子151,152に接続さ
れたドライバ17から、例えば、四分の一波長(90
°)の位相差のある高周波電圧が各々印加され、超音波
の領域で、前記弾性体14aに定在波の振動が与えられ
る。尚、前記積層型圧電素子と胴部74とのなす角は、
通常、左右が等しくなるか補角になるように設定されて
いる。また、1つの積層型圧電素子が胴部または脚部と
なす角度は45°には限られず、振動の分力の配分を考
えて適宜決定される。
【0024】本実施例に係る定在波型の超音波モータ駆
動による直動案内装置は次のように動作する。前記ブロ
ック部材11に移動させたい物体を前記孔19を用いて
取り付ける。次に電源を投入することにより、前記ブロ
ック部材11に設けられた超音波モータ13aのドライ
バ17から、超音波モータ13aの各積層型圧電素子1
51,152に各々四分の一波長の位相をずらせた高周
波の電圧を印加することにより弾性体14aを加振する
と、胴部72及び脚部71aは積層型圧電素子151、
152を含めた一体のものとして、その素材及び寸法、
形状、振動周波数に応じた定在波振動が発生する。
【0025】この振動は、胴部72及び脚部71aをそ
れぞれその長さ方向に伸縮させる縦振動と、これらの部
材を幅方向に変形させる撓み振動とを起こさせ、これら
の振動の結果、脚部の先端に楕円振動を励起させる。従
って、脚部71aの先端を各々、レール部材12の外径
側の下側面に設けられた走行面に加圧接触させることに
より、ブロック部材11をレール部材12とを相対移動
させることができるので、ブロック部材11は滑らかに
レール部材12に沿って移動する。
【0026】弾性体14aの各々の2本の脚部71a,
71aの先端における楕円振動が同一位相であっても良
いが、適当な位相のずれを生じさせるとさらに効率を高
めることができ、そのためにはそれぞれの脚部に一対の
振動素子を配し、その交流電源の位相を適宜ずらせれば
良い。これにより、前記ブロック部材11はレール部材
12に沿って摺動し、物体を移動させることになる。
【0027】次に、第二の実施例に係る超音波モータ駆
動による直動案内装置を図6及び図7に基づいて説明す
る。本実施例にあっては、第一の実施例と異なり、外径
側の下側面に沿った走行面に代えて、レール部材121
にはその長手方向に湾曲する内径側の下側面に沿って走
行面121cが設けられている。ブロック部材111は
同図(a)のBB線視断面図である同図(b)及び図4
に示すように、基部111aと、当該基部111aに一
体として形成され、前記レール部材121の内径側に突
出したモータ取付け部111bと、ブロック部材111
の運動を転走面に沿って案内し且つ他方向には拘束し前
記基部111aに設けられた保持器に整列循環運動可能
に保持され前記転走面121aと接触して当該上で無限
循環する複数のボール、ローラ等の転動体28と、移動
させようとする物体をブロック部材111に取り付ける
ための孔19と、グリースの供給を行うグリースニップ
ル25と、定在波型超音波モータ13bとを有する。
【0028】尚、図8には、各々内径側の曲面に設けら
れた走行面に加圧接触する弾性体14b,141b,1
42b,143bを示す。これらはその脚部の先端が内
径側の曲面の曲率にカットされている点を除いて、図4
の外径側の曲面に加圧接触する弾性体14a,141
a,142a,143aと同じである。その他、超音波
モータ13bにドライバー17のある点や、弾性体14
b等の材質、動作等は第一の実施例の場合と同じであ
る。
【0029】次に、第三の実施例に係る超音波モータ駆
動による直動案内装置を図9及び図10に基づいて説明
する。本実施例は、第一及び第二の実施例と異なり、図
9(a)のCC線視断面図である同図(b)及び図10
に示すように、湾曲するレール部材122には、その長
手方向に湾曲する外径側及び内径側の下側面に沿って設
けられた走行面122b,122cが設けられ、それに
対応して、ブロック部材112の内径側及び外径側の双
方に超音波モータ13a,13bが設けられている。
【0030】本例では、超音波モータをブロック部材に
2台用いているため、駆動力が第一及び第二の実施例に
比較して強力である。尚、図上第一及び第二の実施例で
用いた符号と同一の符号は同一のものを示すものであ
る。
【0031】続いて、第四の実施例に係る超音波モータ
駆動による直動案内装置を図11にしたがって説明す
る。同図に示すように、本実施例では、前述した第一の
実施例乃至第三の実施例の場合と同様に、レール部材1
23は長手方向に湾曲する。
【0032】また、本実施例では、同図(a)に示すよ
うに、前記弾性体34の脚部の先端はレール部材123
の曲率0の走行面に加圧接触するために、曲率0にカッ
トされている点で、第一乃至第三の実施例に係る弾性体
と異なる。
【0033】さらに、本実施例では、超音波モータを取
り付けるモータ取付け部113bは、第一の実施例乃至
第三の実施例と異なり、ブロック部材113の基部11
3aと一体に設けられているのではなく、ネジにより別
体に取り付けられている。また、超音波モータの弾性体
34をレール部材123の走行面123bに加圧接触さ
せるための加圧手段としては、前述した、図3(g)及
び図3(i)に関する板バネ220と、当該板バネ22
0にネジ止めされたボールプランジャー223とを設け
たものである。当該ボールプランジャー223には、そ
の弾性力を調節する六角穴付きネジがついている。
【0034】図11で、同図(a)はブロック部材11
3及びレール部材123の平面図であり、一部にI−I
線で切り欠いて表示している。同図(b)はブロック部
材113及びレール部材123の正面図であり、II−II
線で切り欠いて表示している。切った部分を断面表示し
ている。また同図(a)の前記I−I線の位置をも示し
ている。同図(c)は側面図であり、IV−IV線及びV−
V線で切り欠いて表示している。本例では、第一乃至第
三の実施例と異なり、超音波モータ取付け部は基部と別
体にネジで取り付けられているため、既存の基部を用い
て容易に加工することができる。
【0035】次に第五の実施例に係る超音波モータ駆動
による直動案内装置を図12に基づいて説明する。本実
施例に係る超音波モータ駆動による直動案内装置は、同
図(a)に示すように、長手方向に湾曲し、運動を案内
する転走面32a及び超音波モータ33の弾性体34が
加圧接触する走行面32bが長手方向に沿ってその中央
に溝状に形成されたレール部材32と、前記転走面32
a上で無限循環する転動体28を介して運動を案内し、
かつ他方向には拘束されたブロック部材31とを有し、
当該ブロック部材31には定在波型超音波モータ33が
設けられている。
【0036】当該定在波型超音波モータ33には、同図
(a)のFF線視断面図である同図(b)及び同図
(c)に示すように、第一乃至第四の実施例と異なり、
超音波モータ33は、レール部材32の上平面に設けら
れた前記走行面32bに加圧接触する弾性体34と、当
該弾性体34に取り付けられた振動素子151,152
と、当該弾性体34を前記走行面32bに加圧接触させ
る加圧手段であるボール43、弾性的に加圧するための
コイルバネ40及び弾性力の調節を行う調節ネジ42と
を有するものである。また、図上第一及び第二の実施例
で用いた符号と同一の符号は同一のものを示すものであ
る。
【0037】本実施例に係る超音波モータ33の弾性体
34は、例えば、図5(b)に示すように、前記レール
部材32の長手方向に沿った曲率に合わせて湾曲してい
るものを用いても良い。但し、その脚部の先端の前記走
行面32bの当接部分は曲率0の平面状にカットされて
いる。
【0038】本実施例では、前記レール部材32の上面
に溝上の走行面32bが形成されているため、超音波モ
ータによる走行の駆動がより確実となる。
【0039】さらに、第六の実施例に係る超音波モータ
駆動による直動案内装置について図13に基づいて説明
する。図13(a)に示すように、運動を案内する転走
面52aを有する長手方向に沿って円弧状に湾曲するレ
ール部材52と、転走面52a上で無限循環する転動体
を介して運動を案内し、かつ他方向には拘束されたブロ
ック部材51とを有する。当該ブロック部材51は、第
一乃至第五の実施例と異なり、前記定在波型の超音波モ
ータに代えて、進行波型の超音波モータ53を設けたも
のである。尚、図上第一及び第二の実施例で用いた符号
と同一の符号は同一のものを示す。
【0040】当該超音波モータ53は、同図(b)の一
部切り欠き断面図に示すように、レール部材52の湾曲
しない上平面に加圧接触する弾性体54と、前記振動素
子として、当該弾性体54に取り付けられ時間的に位相
の異なる電圧が各々印加されて進行波を発生させ、ブロ
ック部材51の前後方向に沿ってリニアに並べられ、当
該方向に沿って各々伸縮可能な複数の圧電素子(電歪素
子)55と、前記弾性体54を前記レール部材52の上
面に加圧接触させるための層状に並べられたばねやゴム
等で形成された加圧手段60と、前記進行波を吸収して
反射波の発生を防止するゴム、プラスティック等で形成
され、弾性体54の進行方向の前端及び後端に設けられ
た終端吸収材(振動吸収材)57と、を有する。
【0041】ここで、前記弾性体54はブロック部材5
1の進行方向に沿って櫛状に凹凸が形成されるととも
に、定在波型の超音波モータの場合と同様に、アルミニ
ウム等の金属で形成され、前記圧電素子55は、例え
ば、積層型のPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)や単板の
圧電セラミック等で形成される。本例では、前記弾性体
54が加圧接触する走行面52bは前記レール部材52
の上面に設けられていることになる。
【0042】複数の前記圧電素子55は、例えば、前記
ブロック51の前後方向に沿って、交互に逆向きに分極
するように前記弾性体54に貼りつけられ、電圧を印加
することにより、伸びと縮みの歪みが交互に発生し、こ
の歪みは弾性体54内部を弾性波として伝搬進行し、ブ
ロック部材51の前端及び後端で前記終端吸収材57に
より吸収される。弾性体の表面を縦波と横波との合成さ
れた進行波が伝搬すると、表面上の質点は楕円運動をす
ることになり、弾性体54が設けられたブロック部材5
1は加圧接触したレール部材52に沿って移動する。
【0043】その他、例えば、各振動素子である圧電素
子の分極方向を2個ずつ交互に逆方向に並べ、2個のう
ちの一方と他方とに各々四分の一波長(1/4 周期)をず
らした高周波電圧を印加する場合等がある。
【0044】本実施例に係る超音波モータ駆動による直
動案内装置は次のように動作する。電源を投入すること
により、前記ブロック部材51に搭載された超音波モー
タ53の、ブロック部材11の前後方向に並べられた複
数の圧電素子53の各素子毎に各々に高周波電圧を印加
する。すると、交互に逆向きに分極した圧電素子は、交
互に伸びと縮みの歪みが発生する。この歪みは弾性体内
部を弾性波として伝搬する。
【0045】弾性体の表面を縦波と横波の合成された進
行波がレール部材に沿ったブロック部材51の前後方向
に進み、その両端に設けられた前記終端吸収材57によ
り吸収される。その際に、前記弾性体の表面の各点を楕
円運動させ、ブロック51はレール部材52の上面に沿
って移動する。
【0046】さらに、進行波型の超音波モータには以上
の例に限られず、例えば、定在波を組み合わせて進行波
を発生させるようにしても良い。即ち、弾性体に2層の
圧電セラミックスを互いに1/4 波長(90°)ずつずら
せて貼り、それぞれの圧電セラミックスに時間的に90°
以上のずれた交流電圧を印加することにより、各圧電セ
ラミックスは定在波振動を行うが、その2つの定在波を
合成した、弾性体の振動は時間とともに進む進行波とな
る。
【0047】以上説明した実施例にあっては、長手方向
に円弧状に湾曲する場合のレール部材について説明した
が、当該場合に限られることなく、例えば、螺旋状に湾
曲するレール部材に対しても適用することができる。さ
らに、前記振動素子は、圧電素子に限られず、例えば磁
歪素子を用いても良いし、弾性体の胴部及び脚部の位
置、形状及び構造は前述したものに限られない。
【0048】また、以上の説明では、湾曲するレール部
材を固定して、ブロック部材がレール部材に沿って動く
場合について説明したが、逆にブロック部材を固定し、
レール部材が動くように設けても良い。以上述べたよう
に、各実施例にあっては、運動を案内する転走面が設け
られたレール部材と、転走面上で無限循環する転動体を
介して、転走面に沿って運動を案内し、かつ他方向には
拘束されるブロック部材とを有する案内装置に、超音波
モータを設けるようにしている。従って、外部荷重を受
けても、ブロック部材と湾曲するレール部材との間の間
隔は一定に保たれている。そのため、超音波モータ自体
には負荷がかからず、弾性体とレール部材との間の距離
や圧力の大きさは変動しない。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る直動
案内装置では、超音波モータによりブロック部材または
湾曲するレール部材を駆動するようにしている。したが
って、ブロック部材と湾曲するレール部材との間の間隔
は一定に保たれるので、超音波モータに係る圧力の変動
はなく、駆動が滑らかに、かつ安定して行うことができ
る。さらに、小型、軽量で簡単な構造をもつので、全体
をコンパクトに場所をとらずに形成することができて空
間の利用効率が良い。また、ブロックを直接駆動(ダイ
レクトドライブ)することができるとともに、超音波モ
ータを停止させた場合にはロック状態となり保持力が良
い。さらに、急激な加減速が可能である。したがって、
スケール等を用いて制御ループを組めば、より高精度の
位置決めが可能である。また、電磁気のノイズを発生し
ないため、SEM(Scaning Electron Microscope ;走査
型電子顕微鏡) 等のコントローラ等の電子回路内でも利
用でき、磁気信号を用いた媒体の信号を消す等の問題も
なくコントローラ等の電子回路にも悪影響を及ぼさな
い。その他、ノイズや発生する熱が小さいためエネルギ
ー効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施例に係る超音波モータ駆動による直
動案内装置を示す図
【図2】第一の実施例に係るブロック部材に設けられた
超音波モータを示す図
【図3】第一の実施例に係る加圧手段を示す図
【図4】第一の実施例に係る超音波モータの外径側の弾
性体を示す図
【図5】実施例に係る定在波型の超音波モータの構造及
び他の弾性体の例を示す図
【図6】第二の実施例に係る超音波モータ駆動による直
動案内装置の斜視図
【図7】第二の実施例に係るブロック部材に設けられた
超音波モータを示す図
【図8】第二の実施例に係る超音波モータの内径側の弾
性体を示す図
【図9】第三の実施例に係る超音波モータ駆動による直
動案内装置を示す図
【図10】第三の実施例に係るブロック部材に設けられ
た超音波モータを示す図
【図11】第四の実施例に係る超音波モータ駆動による
直動案内装置を示す図
【図12】第五の実施例に係る超音波モータ駆動による
直動案内装置を示す図
【図13】第六の実施例に係る超音波モータ駆動による
直動案内装置を示す図
【図14】第一の従来例を示す直動案内装置を示す図
【図15】第二の従来例に係る直動案内装置を示す図
【符号の説明】
11,111,112,113,31,51 ブロック
部材 11a,111a,112a,113a,31a,51
a 基部 11b,111b,112b,113b,31b,51
b モータ取付け部 12,121,122,123,32,52 レール部
材 12a,121a,122a,123a,32a,52
a 転走面 12b,121b,122b,123b,32b,52
b 走行面 13,33,53 超音波モータ 14(14a,14b),141(141a,141
b),142(142a,142b),143(143
a,143b),144,145 弾性体(外径側、内
径側) 16a,16b 摩擦材 17 ドライバ 18 ネジ用孔 20,40 コイルバネ(加圧手段) 22,42 加圧調節ネジ 23 ナイフエッジ 28 転動体 25 グリースニップル 71a,b,73a,b,75a,b,76a,b 脚
部 72,74 胴部 77 取付面 151,152 積層型圧電素子

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運動を案内する転走面(12a)が設け
    られた湾曲するレール部材(12)と、 転走面(12a)上で無限循環する転動体(28)を介
    して、転走面に沿う運動の案内及び他方向への拘束を行
    うブロック部材(11)とを有する案内装置において、 前記レール部材(12)又はブロック部材(11)の少
    なくとも一方には走行面(12b)を設け、 当該走行面(12b)に加圧接触する弾性体(14)、
    及び当該弾性体(14)に取り付けられた振動素子(1
    5)を有する超音波モータ(13)を前記ブロック部材
    (11)又はレール部材(12)に設けたことを特徴と
    する直動案内装置。
  2. 【請求項2】 前記走行面(12b)は、円弧状に湾曲
    するレール部材(12)の外径側、内径側、若しくは、
    外径及び内径の両側に形成された曲面、又は、前記レー
    ル部材(12)に形成された平面に沿って設けられたこ
    とを特徴とする請求項1記載の直動案内装置。
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