JPH06254365A - ポリアミド系複合中空糸型逆浸透膜の製造方法 - Google Patents

ポリアミド系複合中空糸型逆浸透膜の製造方法

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JPH06254365A
JPH06254365A JP4306593A JP4306593A JPH06254365A JP H06254365 A JPH06254365 A JP H06254365A JP 4306593 A JP4306593 A JP 4306593A JP 4306593 A JP4306593 A JP 4306593A JP H06254365 A JPH06254365 A JP H06254365A
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二郎 坂田
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みどり 望月
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昭夫 福井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多孔質中空糸膜の表面に蒸着重合法によりポ
リアミド系重合体薄膜を形成し、透過性能、分離性能に
優れた複合中空糸型逆浸透膜の製造方法を提供すること
を目的とする。 【構成】 平均分子量6万のデキストランの除去率が9
0%以上の多孔質中空糸膜表面に蒸着重合法によカルボ
キシル基が存在するポリアミド系重合体薄膜を形成する
複合中空糸型逆浸透膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアミド系複合中空
糸型逆浸透膜の製造方法に関する。さらに詳しくは、溶
剤を用いない、いわゆる乾式法によるポリアミド系複合
中空糸型逆浸透膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】逆浸透膜は、かん水、海水等の脱塩によ
る淡水化、あるいは半導体の製造に用いられる超純水の
製造に用いられる。
【0003】逆浸透膜の種類はいくつか知られており、
酢酸セルロース系膜、ポリアミド系膜などの非対称膜、
複合膜がある。
【0004】逆浸透膜の製造方法はいくつか知られてい
る。逆浸透膜は、従来、いわゆる湿式法によって製造さ
れてきた。湿式法の代表的な方法は、選択分離性を有す
る膜を形成し得る重合体の溶液を調製し、膜を凝固溶媒
中に浸漬して、重合体膜を形成させる方法である。酢酸
セルロース膜の製造がその代表的な例である。湿式法で
逆浸透膜を製造する別の方法として、相互に反応して重
合体を形成し得る2種以上の多官能性化合物の溶液を、
相互に混和しない溶剤にそれぞれ溶解させて、2種以上
の溶液を調製し、これら溶液を支持膜上で接触させ、上
記多官能性化合物を相互に界面反応させて、薄膜を形成
させる方法も知られている。
【0005】従来から逆浸透膜として使用されている酢
酸セルロース膜に代わって、最近、ポリスルホン多孔質
支持膜上に架橋ポリアミドからなる機能膜を活性層とし
て有する複合逆浸透膜(ポリアミド系複合逆浸透膜)が
主流となりつつあるが、この複合逆浸透膜も、2種以上
の多官能性化合物の溶液を支持膜上で接触させる湿式法
で製造される場合が多い。このような湿式法によるポリ
アミド系複合逆浸透膜の製造においては、支持膜上で接
触させる溶液の、支持膜に対する濡れ性を改善するため
に、界面活性剤を溶液に加える必要がある。また、多官
能性化合物相互間の反応を容易にするために、例えば触
媒のような第3成分を加えたりすることが必要である。
しかし、このような界面活性剤や第3成分は、支持膜上
に形成される重合体薄膜の必須の構成成分ではなく、む
しろこれらが薄膜中に残存するときは、重合体薄膜の特
性を低下させることがあるという欠点を有する。
【0006】湿式法による重合体薄膜の製造において
は、反応の場が不均一になりやすいという欠点を有し、
その結果、形成した薄膜の厚みが不均一となり斑を生じ
ることも多い。さらに、湿式法による重合体薄膜の製造
においては、溶剤を蒸発させ、回収する必要があるの
で、通常、複雑な製造設備が必要とされる。溶剤を用い
ることは、環境汚染を招くおそれもある。
【0007】他方、すぐれた特性を有する薄膜形成素材
があったとしても、適切な溶剤が見当たらないために、
上記した湿式法によっては、複合膜を得ることができな
いことも往々にしてある。
【0008】従来の湿式法によるポリアミド系複合逆浸
透膜の製造における上記問題点を解決するために、溶剤
を用いない、いわゆる乾式法によるポリアミド系逆浸透
膜の製造方法が開発されつつある。例えば、特開平4-10
0523号公報には蒸着重合法による成膜法が提案されてい
る。蒸着重合法は、重合すべき2種以上の多官能性化合
物をそれぞれ別個に蒸発させ、支持膜上に蒸着し、つい
で重合させる方法であり、そのことにより、均一な膜厚
の逆浸透膜が得られる。
【0009】しかし、この特開平4-100523号公報に記載
された方法は、平膜に適用されているものであり、実用
的な性能を有する複合中空糸型逆浸透膜の製造方法に関
するものではない。さらに、支持膜としての必要な分画
特性、および表面孔径、さらにこの表面孔径と関連する
透過性能については、上記先行文献に開示されていな
い。また、中空糸膜にポリアミド重合体を蒸着させた場
合の問題点も記載されていない。さらに、一般に、ポリ
アミド重合体調製時の重合反応をスムーズに進行させる
には、モノマーの当量比を1にする必要があるが、その
結果、生成された逆浸透膜の水を透過する量(透水量、
または透過水量)を極端に低下させてしまうのではない
かとの問題があった。このように、実用的な性能を有す
る複合中空糸型逆浸透膜の製造方法は未だ確立されてい
ないのが実情である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解決するものであり、その目的とするところは
実用に供し得るポリアミド系複合中空糸型逆浸透膜の製
造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、中空糸支
持膜表面に少なくとも2種以上の多官能性化合物を蒸着
した後重合させる方法によるポリアミド系複合逆浸透膜
の製造について鋭意検討した。その結果、平均分子量6
万のデキストランの除去率が90%以上、純水の透過量が
50L/m2・D・atm以上である中空糸支持膜の表面孔径が、
ある値より大きくなると支持膜の透水量が大きくなるに
もかかわらず、一般的な予想とは逆に、蒸着重合により
得られた複合膜の透水量は逆に減少すること;および支
持膜の表面孔径がある値より小さくなると支持膜の透水
量が小さくなるにもかかわらず、得られた複合膜の透水
量は逆に増加することを見いだした。なお、ここでは、
表面孔径の大きさは、限外ろ過膜において用いられる高
分子の分画特性を用いて表し、平均分子量6万のデキス
トランの除去率で表している。
【0012】本願発明者らは、この知見に基づきさらに
蒸着材料について検討を重ねた結果、本発明を完成させ
るに至った。
【0013】本発明のポリアミド系複合中空糸型逆浸透
膜の製造方法は、食塩濃度が35,000mg/lの供給水を、温
度25℃および操作圧力55kg/cm2において循環した場合の
塩の除去率が90%以上で、かつ透過水量が50L/m2・D以
上の能力を有するポリアミド系複合中空糸型逆浸透膜の
製造方法であり、該方法は、(1)平均分子量6万のデ
キストランの除去率が90%以上、かつ純水の透過量が5
0L/m2・D・atm(1気圧、1日、1m2当り50L)以上の能
力を有する微多孔性中空糸型支持膜上に、相互に反応し
てポリアミド系重合体薄膜を形成し得る少なくとも2種
の多官能性化合物を蒸着させる工程、(2)該蒸着した
多官能化合物を重合させる工程、を包含し、そのことに
より上記目的が達成される。
【0014】本発明の実用に供し得るポリアミド系複合
中空糸型逆浸透膜を得るためには、支持膜として、平均
分子量6万のデキストランの除去率が90%以上、かつ操
作圧力55kg/cm2における純水の透過量が50L/m2・D・atm
以上の能力を有する微多孔性中空糸型支持膜を使用する
ことが好ましい。上記デキストラン除去率は、平均分子
量6万のデキストランの300ppm水溶液を操作圧力5kg/cm
2、温度25゜Cにて供 給し、60分後の測定値で求めた。デ
キストラン除去率は、次式で示される。
【0015】(1−膜透過液中の溶質の濃度/供給原液
中の溶質の濃度)×100(%)。
【0016】純水の透過量は、操作圧力55kg/cm2、温度
25゜Cにて純水を透過させ、60分後からの透過水量を所定
時間測定して、操作圧力55kg/cm2における純水透過量と
した。透過水量は、1気圧、1日、1m2当りの水量で表
し、単位はl/m2・D・atmとした。
【0017】本発明のポリアミド系複合中空糸型逆浸透
膜の製造に使用する支持膜の材料としては、機械的強
度、化学的安定性などを考慮するとポリスルホン、ポリ
エーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエー
テルイミドなどが好ましい。ポリスルホンが特に好まし
い。
【0018】平均分子量6万のデキストランの除去率が
90%以上、かつ操作圧力55kg/cm2における純水の透過量
が50L/m2・D・atm以上の能力を有する微多孔性中空糸型
支持膜は、例えば、実施例1に記載された方法;ポリス
ルホン、および非溶剤としてポリエチレングリコール
(分子量200)をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)と混合
して紡糸原液を得、所定の温度で、所定時間溶解攪拌
し、紡糸原液が均一に溶解していることを確認した後、
脱泡、冷却する;冷却した紡糸原液を二重管構造の中空
糸製造用ノズルから吐出させ、所定の紡速で乾湿式紡糸
を行う;凝固後水洗いし、更に湿熱処理を行う;工程で
製造され得る。
【0019】ポリアミド系重合体薄膜は、以下に記述す
る少なくとも2種の多官能性化合物が支持体上で重合す
ることにより得られる。この薄膜を形成し得る多官能性
化合物は、相互に反応してポリアミド系重合体を形成し
得る化合物であり、従来から知られている任意の多官能
性化合物が用いられ得る。この多官能性化合物として
は、m−フェニレンジアミン、ピペラジン、1,3,5-トリ
アミノベンゼン,p-フェニレンジアミン等のアミン類、
イミン類、アミン誘導体(以下、これらを含めてアミン
類という)、およびトリメシン酸クロライド、イソフタ
ロイルクロライド、テレフタロイルクロライドを含む酸
クロライド等の酸誘導体が挙げられる。好ましい組合せ
としては、高流束を与えると共に、高塩除去率を示す逆
浸透膜を形成し得る化合物の組合せとして、トリメシン
酸クロライドとm−フェニレンジアミンとの組合わせ、
イソフタロイルクロライドとm−フェニレンジアミンと
の組合わせ、トリメシン酸クロライドとピペラジンとの
組合わせ等を挙げることができるが、これらに限定され
るものではない。
【0020】支持体上に形成されたポリアミド系重合体
薄膜には、アミド基と共にカルボキシル基が存在する。
カルボキシル基が存在すると、水和力が改善され、透水
量を増加させ得る。ポリアミド系重合体薄膜中にカルボ
キシル基を含有させるためには、蒸着に使用する酸誘導
体の蒸発量を過剰にし、未反応の反応基を混在させる状
態にすればよい。この状態で生成される膜は、大気中も
しくは反応時に存在する水により加水分解され、膜中に
カルボキシル基を生じ得る。酸誘導体の蒸発量を過剰に
するとは、酸誘導体の供給をアミン類よりも過剰にする
という意味であり、酸誘導体の官能基の数、揮発性、反
応性により供給すべき量は当然変化し得る。酸誘導体を
過剰にするには、実質的にカルボキシル基を含有しない
重合膜を作製する時の酸誘導体の蒸発量よりも、蒸発量
を多くする手段であればいずれも採用し得、酸誘導体の
加熱温度を高温にする、あるいは蒸発量調整用の手段、
例えばシャッターがある場合は、シャッターを余分に開
く方法により過剰に酸誘導体を蒸発させることにより達
成し得る。酸誘導体を過剰にすることは重要であるが、
あまりに過剰にするとポリアミドの重合度が上がらず、
膜の使用時に破損の原因となり得る。カルボキシル基の
誘導基とアミノ基との等量関係で1より大きく3以下、
より好ましくは1より大きく2以下が適当である。
【0021】以下、図1に基づいて、本発明によるポリ
アミド系複合逆浸透膜の製造のための本発明の装置およ
びそれを用いた蒸着方法の一例を説明する。この装置は
排気可能な真空容器1内に蒸着源を収容する蒸発源容器
3および4、蒸着を行うべき中空糸膜支持体を保持する
支持膜ホルダー9を有する。この容器1は加熱手段2に
より、容器3および4は加熱手段5、および6によりそ
れぞれ加熱され得る。容器3および4からの蒸着源の蒸
発速度は、シャッター手段7および8により調節され得
る。
【0022】本発明の方法により、目的とするポリアミ
ド系複合逆浸透膜を製造するには、まず、蒸発源容器
3、および4に多官能性化合物を収納し、真空容器1を
加熱手段2にて所定温度に加熱し、真空容器内を10ー4
〜10ー6Torrの範囲の真空に保持する。必要に応じて加
熱手段5、6によって蒸発源容器3、4を加熱して、多
官能性化合物を蒸発させる。必要に応じて、蒸発源容器
3、4に設けたシャッター手段7、8を開閉して、多官
能性化合物の蒸発量を調節する。支持膜ホルダー9に保
持させた中空糸型支持膜上に多官能性化合物を蒸着さ
せ、重合させる。上記真空容器内の真空度は必ずしも上
記例示に限定されるものではなく、用いる多官能性化合
物の種類やその加熱温度によって適宜に定められる。
【0023】平膜の場合、支持膜をモノマー蒸発源に対
向させた形で蒸着を行えば、支持膜表面全面に均一に重
合体薄膜を形成することが可能である。しかし、中空糸
状の支持膜の場合には、蒸発源からみて影になる部分が
生じるため、そのままで蒸着を行えば、膜厚が不均一と
なる。この膜厚の不均一を解消するためには、中空糸を
回転させる、中空糸を移動させる、蒸発源の数を増やす
等の手段を取り得、影となる部分をなくし得る。更に、
別の方法では、蒸着装置内の温度を、重合体形成用多官
能性化合物の蒸発源の内いずれか高温のものの温度より
も高く保つことにより、多官能性化合物の吸脱着を盛ん
にし、影の部分にも堆積させる方法が有効であり得る。
【0024】
【作用】本願発明者らは、中空糸型支持膜上にポリアミ
ド系重合体を蒸着し、重合させてポリアミド系複合中空
糸型逆浸透膜を製造するに際し、中空糸支持膜の表面孔
径が大きくなると支持膜の透水量が大きくなるにもかか
わらず、蒸着重合により得られた複合膜の透水量は逆に
減少するという現象を見いだした。その原因の一つは、
支持膜の孔内まで蒸着が進行し、孔の奥深くまで蒸着重
合層が形成され、その結果、孔をふさぐことになり、複
合膜としての透過抵抗が増加するためと推察される。
【0025】本願発明は、支持膜の孔内まで蒸着重合層
が形成されない程度に表面孔径を小さくするとともに、
水和を起こし易いように膜中にイオン性の基であるカル
ボキシル基を含有させることにより、この問題点を解決
して完成されたものであり、これによって、実用に供し
得るポリアミド系中空糸型逆浸透膜が作製可能となっ
た。
【0026】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。ポリスルホン(Amoco社製 Udel P-3500)30重量
部、非溶剤としてポリエチレングリコール(分子量20
0)25.9重量部をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)44.1重
量部に混合し、100゜C、12時間溶解攪拌した。紡糸原液
が均一に溶解していることを確認した後、100゜Cで1時間
脱泡を行い、紡糸原液を60゜Cに冷却した後、紡糸原液吐
出部外径660μm、内径500μm(スリット幅80μm)、芯
ガス吐出部直径200μmを有する二重管構造の中空糸製造
用ノズルから紡糸原液、芯ガスを吐出させ、30m/分の紡
速で乾湿式紡糸を行った。凝固後水洗いし、更に90゜Cの
熱水で1時間湿熱処理を施した。得られた中空糸支持膜
の外径は160μmで内径は60μmであった。この中空糸支
持膜を100本束ね片端を樹脂で固め、中空糸を開口さ
せ、中空糸の有効長が35cmのミニモジュールを得た。こ
の中空糸支持膜の純水透過量は、50L/m2・D・atmでデキス
トランの除去率は92.9%であった。
【0027】この中空糸を図1に示すように真空容器内
の支持膜ホルダー9の位置に設置した。多官能性化合物
として、トリメシン酸クロライドとm−フェニレンジア
ミンを用い、それぞれ蒸発源容器3、4にいれた。真空
容器の温度を加熱手段2により加熱し、38゜Cに保っ
た。容器内の圧力を1×10ー5Torrに排気後、蒸発源容
器3、4の温度を加熱手段5、6によりそれぞれ36゜
C、35゜Cに保った。シャッター7、8を開いて真空容
器内の圧力を約1×10ー4Torrに保ち30分間成膜し
た。この重合体薄膜の化学構造は図2の赤外分光スペク
トルに示すように、1760cmー1にカルボキシル基もしく
は、酸クロライド誘導体に帰属できる吸収がみられるこ
とから、アミド結合(1680ー1660、1610cmー1の吸収)と
ともに、カルボキシル基が含まれた重合体薄膜であるこ
とが明かとなった。この中空糸型逆浸透膜の逆浸透特性
を表1に示す。透水量も多く、塩除去率の高い膜が得ら
れることがわかる。
【0028】上記蒸着により製造されたポリアミド系複
合逆浸透膜の透水量、塩除去率は以下のようにして求め
た。中空糸型ポリアミド系複合逆浸透膜の片端を開口
し、両端を樹脂で固めて得られたミニモジュールを圧力
容器に装着し、中空糸膜の外側に食塩濃度35、000mg/lの
供給水を、温度25℃、圧力55Kg/cm2で循環させ、逆浸透
性能を測定した。透過水量は、単位膜面積、単位時間あ
たりの水量で表し、単位はL/m2・Dとした。塩除去率は、
次式で求めた。塩濃度の計算方法はJIS k3805に従
った。
【0029】塩除去率=(1−透過水の塩濃度/供給水
の塩濃度)×100(%)
【0030】
【表1】
【0031】
【比較例1】紡糸原液を、ポリスルホン 32重量部、テ
トラエチレングリコール(TEG)18重量部、ラウリルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム(LBS)0.1重量部、N-メチル
-2-ピロリドン(NMP) 24.95重量部、およびジメチルアセ
トアミド(DMAC)24.95重量部を混合することにより
得、この紡糸原液を40゜Cにて中空糸製造用ノズルから吐
出させたこと以外は実施例と同様にして中空糸支持膜を
得た。この支持膜の純水透過量は、51.0L/m2・D・atmであ
り、デキストラン除去率は50.4%であった。
【0032】この膜を支持膜として用い、実施例と同様
に処理して、中空糸型逆浸透膜を得た。その逆浸透特性
を表1に示す。塩除去率、透水量とも、実施例に比べ劣
ることがわかる。
【0033】
【比較例2】紡糸原液を、ポリスルホン 32.5重量部、T
EG 18重量部、LBS 0.1重量部、NMP24.7重量部、およびD
MAC 24.7重量部を混合することにより得、この紡糸原液
を40゜Cにて中空糸製造用ノズルから吐出させたこと以外
は実施例と同様にして中空糸支持膜を得た。この支持膜
の純水透過量は50.0L/m2・D・atm、デキストラン除去率は
88.0%であった。
【0034】この膜を支持膜として用い、実施例と同様
に処理し中空糸型逆浸透膜を得た。その逆浸透特性を表
1に示す。塩除去率、透水量とも実施例に比べ劣ること
がわかる。
【0035】実施例、比較例1および比較例2のデータ
を支持膜のデキストラン除去率と、中空糸型逆浸透膜の
RO性能(透水量、塩除去率)の関係を図3に示す。デ
キストラン除去率が90部以上で逆浸透特性が大幅に向
上しているのがわかる。
【0036】
【比較例3】紡糸原液を、ポリスルホン 31.5重量部、T
EG 18重量部、LBS 0.1重量部、NMP25.2重量部、およびD
MAC 25.2重量部を混合することにより得た以外は、実施
例と同様にして中空糸支持膜を得た。この支持膜の純水
透過量は21.0L/m2・D・atm、デキストラン除去率は97.2%
であった。
【0037】この膜を支持膜として用い、実施例と同様
に処理して中空糸型逆浸透膜を得た。その逆浸透特性を
表1に示す。塩除去率、透水量とも実施例に比べ劣るこ
とがわかる。
【0038】
【比較例4】紡糸原液を、ポリスルホン 30重量部、TEG
18重量部、LBS 0.1重量部、NMP 20.9重量部、およびDM
AC 31.0重量部を混合することにより得、この紡糸原液
を40゜Cにて中空糸製造用ノズルから吐出させたこと以外
は、実施例と同様にして中空糸支持膜を得た。この支持
膜の純水透過量は73.0L/m2・D・atm、デキストラン除去率
は53.0%であった。
【0039】この膜を支持膜として用い、成膜時間を1
時間としたこと以外は、実施例と同様に処理し複合膜を
得た。その逆浸透特性を表1に示す。塩除去率、透水量
とも実施例に比べ劣ることがわかる。
【0040】
【比較例5】紡糸原液を、ポリスルホン 33重量部、TEG
18重量部、LBS 0.1重量部、NMP 24.45重量部、およびD
MAC 24.45重量部を混合することにより得、紡糸原液を4
0゜Cにて中空糸製造用ノズルから吐出させたこと以外は
実施例と同様にして中空糸支持膜を得た。この支持膜の
純水透過量は40.0L/m2・D・atm、デキストラン除去率は5
0.0%であった。
【0041】この膜を支持膜として用い、実施例と同様
に処理し中空糸型逆浸透膜を得た。その逆浸透特性を表
1に示す。塩除去率、透水量とも実施例に比べ劣ること
がわかる。
【0042】
【比較例6】トリメシン酸クロライドの蒸発源容器3の
温度を24゜Cにしたこと以外は、実施例と同じ方法で、
中空糸型逆浸透膜を得た。この逆浸透膜表面の重合体薄
膜の赤外分光スペクトルを図4に示す。これから明らか
なように、この重合体薄膜には、1760cmー1の吸収がみら
れず、カルボキシル基が含まれない重合体であることが
わかる。この重合体薄膜を有する逆浸透膜の特性を表1
に示す。塩除去率は高いものの、透水量は実施例の複合
膜に比べ非常に低いことがわかる。
【0043】
【比較例7】真空容器の温度を24゜Cにしたこと以外は
実施例と同じ手法により、中空糸型逆浸透膜を得た。こ
の逆浸透膜の特性を表1に示す。透水量は高いものの、
塩除去率は実施例の膜に比べ非常に低いことがわかる。
【0044】
【発明の効果】本発明の方法によれば、平均分子量6万
のデキストランの除去率が90%以上、かつ純水の透過量
が50L/m2・D・atm以上の能力を有する微多孔性中空糸型
支持膜上に、ポリアミド系重合体薄膜を形成することに
より、塩の除去率が90%以上、かつ透過水量が50L/m2
・D以上の能力を有するポリアミド系複合中空糸型逆浸透
膜が得られる。また、微多孔性中空糸状膜の表面孔径と
透過水量、及び重合体薄膜の化学構造を適切にすること
により、高塩除去率を有すると共に、高透水性を有する
中空糸状逆浸透膜を得ることができる。本発明による複
合逆浸透膜は、例えば、かん水、海水等の脱塩による淡
水化や半導体の製造に用いられる超純水の製造に好適に
用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるポリアミド系複合中空糸型逆浸透
膜の製造に用いる装置の一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明の方法により得られた、中空糸支持膜上
に形成されたポリアミド重合体薄膜の赤外分光スペクト
ルである。
【図3】実施例、比較例1および比較例2のデータを支
持膜のデキストラン除去率と、複合膜のRO性能(透水
量、塩除去率)の関係を示す図である。
【図4】比較例6の手法により得られたポリアミド重合
体薄膜の赤外分光スペクトルである。
【符号の説明】
1:真空容器 2:加熱手段 3:蒸発源容器 4:蒸発源容器 5:加熱手段 6:加熱手段 7:シャッター 8:シャッター 9:中空糸支持膜ホルダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大黒 宏司 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 熊野 淳夫 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 坂田 二郎 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41の 1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 望月 みどり 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41の 1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 福井 昭夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩の除去率が90%以上、かつ透過水量が
    50L/m2・D以上の能力を有するポリアミド系複合中空糸
    型逆浸透膜の製造方法であって、 (1)平均分子量6万のデキストランの除去率が90%以
    上、かつ純水の透過量が50L/m2・D・atm以上の能力を有
    する微多孔性中空糸型支持膜上に、相互に反応してポリ
    アミド系重合体薄膜を形成し得る少なくとも2種の多官
    能性化合物を蒸着させる工程、および、 (2)該蒸着した多官能化合物を重合させて、該支持膜
    上にてポリアミド重合体を形成する工程、を包含する、
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記微多孔性中空糸型支持膜が、ポリス
    ルホン系の膜である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 カルボキシル基を有するポリアミド系重
    合体薄膜が、前記微多孔性中空糸型支持膜上に形成され
    る、請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記多官能性化合物の1つが酸誘導体で
    あり、該酸誘導体の蒸発量を過剰にすることにより、カ
    ルボキシル基を有するポリアミド系重合体薄膜が形成さ
    れる、請求項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記蒸着に用いる蒸着装置内の温度を、
    上記蒸発源である多官能性化合物のうちのいずれか高温
    のものの温度よりも高く保つ、請求項1記載の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101017896B1 (ko) * 2009-04-29 2011-03-04 한국화학연구원 내화학성이 우수한 중공사형 역삼투막 및 이의 제조방법
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US8147735B2 (en) 2008-07-09 2012-04-03 Eltron Research & Development, Inc. Semipermeable polymers and method for producing same
JP2014118417A (ja) * 2012-12-13 2014-06-30 Kojima Press Industry Co Ltd ポリユリア及びその製造方法並びにコンデンサ素子及びその製造方法
JP2015530229A (ja) * 2012-07-19 2015-10-15 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー カルボン酸官能性の増加による複合ポリアミド膜

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