JPH0625272A - 新規な鉄錯体及びその製造方法 - Google Patents

新規な鉄錯体及びその製造方法

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JPH0625272A
JPH0625272A JP18101592A JP18101592A JPH0625272A JP H0625272 A JPH0625272 A JP H0625272A JP 18101592 A JP18101592 A JP 18101592A JP 18101592 A JP18101592 A JP 18101592A JP H0625272 A JPH0625272 A JP H0625272A
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iron complex
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general formula
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JP18101592A
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Hisashi Okada
久 岡田
Tadashi Inaba
正 稲葉
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】適度な酸化力を有し、特にハロゲン化銀写真感
光材料分野で酸化剤として使用される鉄錯体を提供す
る。 【構成】次式の鉄錯体。 (式中、Zは芳香族炭化水素基を形成する非金属原子群
を、Rは置換基を、nは0〜4の整数を、L1 、L2
アルキレン基を、L3 はアルキレン基又はアリーレン基
を、X1 〜X4 はカルボキシレート基、カルボキシ基又
はその塩を、Wはアルキレン基及び/又はアリーレン基
を含む二価の連結基を、Mはカチオンを、aは整数をそ
れぞれ表わす。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化剤として有用であ
り、特にハロゲン化銀写真感光材料分野で使用される酸
化剤、例えばハロゲン化銀カラー写真感光材料の漂白処
理に使われる漂白剤として有用な新規な鉄錯体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄錯体は、医療用、化粧用製剤、
写真用、情報記録材料(磁気記録材料、レーザー記録材
料等)、複写材料(感熱材料、感圧材料等)などに幅広
く用いられているが、特にハロゲン化銀写真感光材料分
野で使用される酸化剤、例えばハロゲン化銀カラー写真
感光材料の減力処理に使われる減力剤や漂白処理に使わ
れる漂白剤として多量に用いられている。漂白剤として
多く用いられてきた鉄錯体としては、エチレンジアミン
四酢酸第二鉄錯塩が挙げられるが、これは漂白性能、そ
のものがあまり高くなく、より迅速な処理が求められる
場合には能力不足であった。一方、漂白性能の高い鉄錯
体としては赤血塩や1,3−プロパンジアミン四酢酸第
二鉄錯塩が開示されているが、このものは酸化還元電位
が高いため共存する化合物の分解を促進する場合があ
り、使用用途が限られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、適度な酸化
力を有し、共存する化合物への悪影響が小さい鉄錯体を
提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記一般
式(I)で表される鉄錯体によって達成された。 一般式(I)
【0005】
【化3】
【0006】(式中、Zは芳香族炭化水素基を形成する
のに必要な原子群を表す。Rは置換基を表す。nは0〜
4の整数を表す。L1 及びL2 は、それぞれアルキレン
基を表す。L3 はアルキレン基又はアリーレン基を表
す。X1 、X2 、X3 及びX4はそれぞれカルボキシレ
ート基、カルボキシ基又はその塩を表す。Wはアルキレ
ン基及び/又はアリーレン基を含む二価の連結基を表
す。Mはカチオンを表す。aは一般式(I)で表される
鉄錯体が中性となるように決定される整数を表す。)
【0007】以下、本発明の鉄錯体について以下に詳細
に説明する。Zは芳香族炭化水素基を形成するのに必要
な原子群を表す。Zで形成される芳香族炭化水素基とし
ては単環又は二環が好ましく、フェニル基又はナフチル
基が挙げられる。より好ましくはフェニル基である。一
般式(I)において、Rで表される置換基としては、ア
ルキル基(例えばメチル基、エチル基)、アラルキル基
(例えばフェニルメチル基)、アルケニル基(例えばア
リル基)、アルキニル基、アルコキシ基(例えばメトキ
シ基、エトキシ基)、アリール基(例えばフェニル基、
p−メチルフェニル基)、アミノ基(例えばジメチルア
ミノ基)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ
基)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルア
ミノ基)、ウレイド基、ウレタン基、アリールオキシ基
(例えばフェニルオキシ基)、スルファモイル基(例え
ばメチルスルファモイル基)、カルバモイル基(例えば
カルバモイル基、メチルカルバモイル基)、アルキルチ
オ基(メチルチオ基)、アリールチオ基(例えばフェニ
ルチオ基)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル
基)、スルフィニル基(例えばメタンスルフィニル
基)、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、
臭素原子、フッ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボ
キシ基、ホスホノ基、アリールオキシカルボニル基(例
えばフェニルオキシカルボニル基)、アシル基(例えば
アセチル基、ベンゾイル基)、アルコキシカルボニル基
(例えばメトキシカルボニル基)、アシルオキシ基(例
えばアセトキシ基)、カルボンアミド基、スルホンアミ
ド基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基などが挙げられる。
【0008】上記置換基で炭素原子を有する場合、好ま
しくは炭素数1〜4のものであり、Rとしては、アルキ
ル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミ
ノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチ
オ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ
基、カルボキシ基、ホスホノ基、アルコキシカルボニル
基、アシルオキシ基、カルボンアミド基、スルホンアミ
ド基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、スルホニ
ルアミノ基、スルファモイル基、アルキルチオ基、ヒド
ロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、カルボ
キシ基、ホスホノ基、カルボンアミド基、スルホンアミ
ド基がより好ましく、アルキル基、ヒドロキシ基、ニト
ロ基、ハロゲン原子、カルボキシ基が更に好ましい。
【0009】また、nが2以上の場合、Rは同一であっ
ても異なっていてもよく、R同士が連結して環を形成し
てもよい。R同士が連結した環としては例えばベンゼン
環が挙げられる。nとしては0又は1が好ましく、0が
特に好ましい。L1 、L2 及びL3 で表されるアルキレ
ン基は、直鎖又は分岐していてもよく、好ましくは炭素
数1〜6のものである。L3 で表わされるアリーレン基
は、好ましくは炭素数6〜10のものであり、特にフェ
ニレン基が好ましい。
【0010】L1 、L2 及びL3 はそれぞれ異なってい
ても良く、置換基を有していてもよい。置換基としては
例えばRで挙げた置換基が挙げられる。L1 及びL2
して好ましくはメチレン基又はエチレン基であり、より
好ましくはメチレン基である。L3 として好ましくは、
メチレン基、エチレン基又はフェニレン基であり、より
好ましくはメチレン基、エチレン基であり、特に好まし
くはメチレン基である。
【0011】X1 、X2 、X3 及びX4 はそれぞれ独立
にカルボキシレート基、カルボキシ基又はその塩を表
す。即ち、本発明の鉄錯体においては、X1 、X2 、X
3 及びX4 はCOO- のように全て解離しているものば
かりでなく、COOHのように解離性水素やその塩が混
在していてもよい。
【0012】Wで表わされる二価の連結基は好ましくは
下記一般式(W)で表わすことができる。 一般式(W) −(W1 −D)m −W2 − 式中、W1 は炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキレン
基(炭素数5〜10のシクロアルキレン基を含む)、炭
素数6〜10のアリーレン基又は炭素数7〜10のアラ
ルキレン基又は二価のヘテロ環基を表わす。Dは−O
−、−S−、−N(Pw)−、二価のヘテロ環基を表わ
す。W2 は炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキレン基
(炭素数5〜10のシクロアルキレン基を含む)、又は
炭素数6〜10のアリーレン基又は炭素数7〜10のア
ラルキレン基を表わす。Pwは水素原子又は−COOM
1 、−PO3 2 3 、−OHもしくは−SO3 4
置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル基もしくは炭
素数6〜10のアリール基を表わす。M1 、M2 、M3
及びM4 はそれぞれカチオンを表す。M1 、M2
3 、M4 で表されるカチオンとしては、アルカリ金属
(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アンモニウ
ム(アンモニウム、テトラエチルアンモニウムなど)、
ピリジニウムなどを挙げることができる。Wで表わされ
る連結基は置換基を有していてもよく、置換基としては
例えばRで表される置換基を挙げることができる。二価
のヘテロ環基としてはヘテロ原子が窒素である5〜6員
環のものが好ましく、例えばイミダゾリル基、ピリジル
基、ピラゾリル基、ピラミジル基、ピリダジル基があげ
られ、特に隣あった炭素原子が二価の結合手となるもの
が更に好ましい。W1 及びW2 としては炭素数2〜4の
アルキレン基が好ましい。
【0013】mは0〜3の整数を表わし、mが2又は3
の時にはW1 −Dは同じであっても異なっていてもよ
い。mは0〜2が好ましく、0又は1が更に好ましく、
0が特に好ましい。Wの具体例としては例えば以下のも
のが挙げられる。
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】Mで表されるカチオンとしては、アルカリ
金属(Li+ 、Na+ 、K+ 、Cs + など)、アルカリ
土類金属(Ca2+、Mg2+など)、アンモニウム(アン
モニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルア
ンモニウム、テトラブチルアンモニウム、1,2−ジエ
チレンアンモニウムなど)、ピリジニウム、ホスホニウ
ム(テトラブチルホスホニウム)などを挙げることがで
きる。aは、一般式(I)で表される鉄錯体が中性とな
るように決定される整数であるが、好ましくは0〜5の
整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。ま
た、aが2以上の場合にはMは同じであってもよいし、
異なっていてもよい。以下に一般式(I)で表される鉄
錯体の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定される
ものではない。尚、本発明の鉄錯体は勿論、水和物を形
成してもよい。
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
【化9】
【0021】
【化10】
【0022】次に本発明の鉄錯体の合成法について説明
する。本発明の鉄錯体は下記一般式(II)で表される化
合物と鉄塩を反応させることで合成することができる。
【0023】
【化11】
【0024】(式中、Z、R、n、L1 、L2 、L3
1 、X2 、X3 、X4 、W、M及びaは一般式(I)
のそれぞれと同義である。X1 ′、X2 ′及びX3 ′は
一般式(II)のそれぞれと同義である。)本発明の鉄錯
体において配位子となる一般式(II)で表される化合物
は、例えば下記に示すように、1−カルボキシ−2−ハ
ロゲン置換芳香族誘導体のハロゲン原子をジアミン誘導
体で置換した後、ハロゲン置換アルキルカルボン酸と反
応させることにより合成できる。
【0025】
【化12】
【0026】(式中、Z、R、n及びWは一般式(I)
のそれぞれと同義である。X4 ′は一般式(II)のそれ
と同義である。Lは一般式(II)のL1 、L2 、L3
同義であり、X′は一般式(II)のX1 ′、X2 ′、X
3 ′と同義である。tは0、1又は2を表す。)
【0027】1−カルボキシ−2−ハロゲン置換芳香族
誘導体におけるハロゲン原子をジアミン誘導体で置換す
るには、ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル
ソサイエティ、第80巻、800頁(1958)を参
考にして合成でき、例えば、溶媒中、1−カルボキシ−
2−クロル置換芳香族誘導体とジアミン誘導体とを混合
し、炭酸カリウムと触媒量の銅を加え、加熱還流して対
応するジアミン誘導体(B)が得られる。原料の芳香族
誘導体のハロゲン原子がヨードの場合には銅触媒を加え
なくとも目的物が得られる。
【0028】ここで使用する溶媒としては反応に関与し
ない限り限定されないが、例えばアルコール(例えばメ
タノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノー
ル、ペンタノール等)、またジオキサン、ジメチルホル
ムアミド等が挙げられる。この反応は溶媒を使用しなく
とも目的物を得ることが出来る。
【0029】触媒としては、銅粉の他にCuCl、Cu
Br、CuI、CuO、Cu2 O等の銅塩を用いること
も出来る。その量は、1−カルボキシ−2−ハロゲン置
換芳香族誘導体に対して、モル濃度で2%以上、10%
以下が望ましい。ジアミン誘導体(B)とハロゲン置換
アルキルカルボン酸との反応は、通常溶媒中で行われ
る。溶媒としては反応に関与しない限り限定されない
が、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール等)等を用いると有利に進行する。反応は、
塩基存在下で行うことが好ましく塩基としては、アルカ
リ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム等)または三級アミン(トリエチルア
ミン等)が挙げられる。
【0030】また、一般式(II)において、L1
2 、L3 がエチレンの場合、その合成にはハロゲン置
換アルキルカルボン酸の代わりに、アクリル酸を用いる
こともできる。一般式(II)で表される化合物と反応さ
せる鉄塩としては、例えば、硫酸第二鉄塩、塩化第二鉄
塩、硝酸第二鉄塩、硫酸第二鉄アンモニウム、燐酸第二
鉄塩、酸化第二鉄などが挙げられる。ここで使用する溶
媒としては、反応に関与しない限り限定されるものでは
ない。例えば、水、アルコール系(メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール
等)、ジオキサン、ジメチルホルムアミド等が挙げられ
る。好ましくは、水及びアルコール系溶媒であり、特に
水が好ましい。この反応では、配位子である一般式(I
I)で表される化合物及び得られる鉄錯体を溶解させる
ために、塩基(例えばアンモニア水)を添加し、pHを
3〜12に調節することが好ましく、更にはpH3〜8
に調節することが好ましく、特に4〜7に調節すること
が好ましい。反応温度は、通常0〜100℃で行える
が、好ましくは10〜80℃である。
【0031】本発明の鉄錯体の単離は、通常の方法で行
なうことができるが、pHの調整は特に重要である。p
Hが低すぎる場合には、安定な鉄錯体ができず、また高
すぎる場合には、溶解性の高いヒドロキソ錯体や水酸化
鉄が生成してしまい、目的とする鉄錯体の単離が困難と
なる。このような観点から、本発明の鉄錯体の合成は、
pH0.5〜12で行うことが可能であるが、pH1〜
10が好ましく、pH1〜7がより好ましい。この際の
pH調節には、酸(例えば、硝酸、硫酸、塩酸)又は塩
基(例えば、アンモニア水、NaOH、KOH)を使用
すればよい。本発明の化合物は、結晶として単離された
ものであり、これにより、種々の鉄錯体の応用分野への
展開が可能となる。
【0032】
【実施例】次に、本発明の鉄錯体の合成について代表的
な合成例を持って説明する。 実施例1、化合物I−1の合成 1−(1) 化合物I−1の配位子化合物(II−1)の合成
【0033】
【化13】
【0034】o−ヨード安息香酸10.3g(4.15
×10-2mol)、炭酸カリウム10.3g(7.45×1
-2mol)をエチレンジアミン97g(1.61mol)に懸
濁させ、4時間加熱還流した。反応液に水30mlを加
え、ナスフラスコに移し、溶媒を減圧留去した。水40
mlを加え、ビーカーに移し、濃塩酸でpH9に調整し
た。生じた沈殿を濾取し、ビーカーに入れ、水200ml
を加えて濃塩酸でpH1に調整した。生じた沈殿を濾取
し、水で洗浄後、減圧乾燥を行ない、灰色結晶II−1a
を4.9g(2.26×10-2mol)を得た。収率54
%。また化合物II−1aは別の合成法でも得られる。そ
の合成法を以下に示す。
【0035】
【化14】
【0036】o−クロル安息香酸31.4g(2.01
×10-1mol)、炭酸カリウム25.6g(1.85×1
-1mol)、エチレンジアミン32ml(4.79×10-1
mol)を1−ペンタノール68mlに懸濁させ、銅粉0.3
g(4.72×10-3)を加えて5時間加熱還流した。
水200mlを反応液に加え、溶媒を共沸させ取り除い
た。熱いうちに濾過し、冷却後に1:1(vol 比)塩酸
水溶液でpH7.8に調整した。生じた沈殿を濾取し、
200mlのエタノールで洗浄した。熱い1:1塩酸水溶
液に溶解した後、濾過し冷却した。生じた沈殿を濾取
し、ビーカーにあけ、水100ml、28%アンモニア水
100ml及び活性炭0.5gを加えて良く攪拌した。溶
液を濾過した後、濃塩酸でpH1.6に調整した。生じ
た沈殿を濾取し、水で洗浄後、乾燥することにより灰色
結晶1aを15.7g(7.25×10-2mol)得た。収
率36%。
【0037】上記で合成した化合物II−1a4.9g
(2.26×10-2mol)、クロル酢酸10.0g(1.
06×10-1mol)を水30mlに懸濁させ、5N水酸化ナ
トリウム55ml(0.275mol)を徐々に加えpH9〜
11に保った。内温60℃で5時間、90℃で3時間攪
拌した。冷却後、反応液をビーカーに移し、濃塩酸でp
H1に調整した。生じた沈殿を濾取し、再びビーカーに
入れ、水100mlを加えた。5N水酸化ナトリウムを加
えてpH4に調整後、濾過し、濃塩酸でpH1.6に調
製した。生じた沈殿を濾取し、水で洗浄後減圧乾燥する
ことにより、白色結晶(II−1)を2.8g(7.90
×10-3mol)得た。収率35%。融点222〜224℃
(分解)。
【0038】 元素分析値 C15182 8 ・1/2H2 O H C N 計算値(%) 5.12 50.85 7.81 実測値(%) 5.13 50.79 7.88 1 HNMR (D2 O+NaOD) δppm δ2.67 (t 2H) δ3.12 (s 4H) δ3.23 (t 2H) δ3.68 (s 2H) δ6.93−7.01(m 2H) δ7.25−7.40(m 2H) また、化合物II−1は、化合物II−1aの2塩酸塩II−
1bによっても同様に得ることができる。
【0039】
【化15】
【0040】但し、化合物II−1bとクロロ酢酸の反応
の際には、塩酸中和分のアルカリを化合物II−1aのと
きよりも余分に添加する必要がある。化合物II−1bは
以下の合成法によって得られる。500mlの三つ口フラ
スコに、無水炭酸カリウム25.6g(0.184mo
l)、o−クロル安息香酸31.4g(0.201mol)、
エチレンジアミン28.8g(0.479mol)、n−ア
ミルアルコール68ml、銅粉0.3g(4.72×10
-3)を加え、5時間加熱還流した。その反応液に水20
0mlを添加し、攪拌後、濾過した。アミルアルコールと
残りのエチレンジアミンを除去するため、減圧蒸留し
た。残渣に水300mlを加えて溶解し、氷浴で冷却しな
がら、1:1塩酸水溶液でpH7.8に調整した。析出
した黄色沈澱を濾取し、エタノール160mlで洗浄し
た。少量の1:1塩酸水溶液で再結晶させ、目的物II−
1bを38.7g(収率76%)得た。
【0041】1−(2) 化合物I−1の合成 1−(1) で合成した配位子化合物II−1 10.9g
(0.030mol)と硝酸鉄(III) 9水和物12.1g
(0.030mol)を水40mlに懸濁させ、29%アンモ
ニア水を加え、pH4.0に合わせて加熱溶解した。濾
過後、反応液を約半分に濃縮し、析出した固体を濾取し
た。これを水で再結晶した後、冷水、アセトンで洗浄
し、乾燥することにより黄色固体として化合物I−1の
2水和物を10.0g(0.0217mol)得た。収率7
2%。融点≧228℃(分解)
【0042】 IRスペクトル(KBr)νc =0 1608cm-1、1658cm-1 元素分析値 C15183 8 Fe・2H2 O(分子量460.21) H(%) C(%) N(%) 計算値 4.82 39.15 9.13 実測値 4.70 39.11 9.08
【0043】実施例2.化合物I−2の合成 1−(1) で合成した化合物II−1 3.63g(0.0
10mol)と硝酸鉄(III) 9水和物4.04g(0.01
0mol)を水20mlに懸濁させ、炭酸ナトリウムを加えp
H5.0に合わせて加熱溶解した。濾過後、反応液を減
圧濃縮し、セファデックスG−25(Sephadex G−2
5、50−150μ:アルドリッチ(Aldrich)社製)を
用い、ゲル濾過クロマトグラフィー(溶解液:水)によ
り精製した。溶解液を濃縮後、少量の水とメタノール/
エタノール混合溶媒により再結晶した後、エタノール、
アセトンで洗浄し、乾燥することにより黄色固体として
化合物I−2の2水和物を3.16g(0.00679
mol)得た。収率68%。
【0044】融点≧240℃(分解) IRスペクトル(KBr)νc =0 1640cm-1 元素分析値 C15142 8 NaFe・2H2 O(分子量465.16) H(%) C(%) N(%) 計算値 3.90 38.73 6.02 実測値 3.92 38.51 5.85
【0045】実施例3.化合物I−3の合成 3−(1) 化合物I−3の化合物(II−2)の合成 下記の配位子化合物(II−2)を下記のようにして合成
した。
【0046】
【化16】
【0047】o−ヨード安息香酸25.3g(0.10
2mol)、炭酸カリウム17.0g(0.123mol)を
1,3−プロパンジアミン166g(2.24mol)に懸
濁させ、15時間加熱還流した。水30mlを加え、溶媒
を減圧留去した後、水を150ml加えてビーカーに移し
た。濃塩酸でpH1に調整した後、生じた結晶を濾取
し、乾燥させることにより白色結晶II−2aを6.25
g(2.71×10-2mol)を得た。収率27%。
【0048】上記で合成した化合物II−2a6.25g
(2.71×10-2mol)、クロル酢酸15.0g(1.
59×10-1mol)を水50mlに加え、水酸化ナトリウム
9.17g(2.29×10-1mol)を水50mlに溶解し
た溶液を滴下してpH9〜11を保った。内温60℃で
3時間、90℃で3時間攪拌した。冷却後、反応液をビ
ーカーにあけpH1.6に調整し、冷蔵庫に放置した。
二週間後析出した結晶を濾取し、乾燥することにより、
白色結晶として(II−2)を3.7g(9.58×10
-3mol)得た。収率43%。融点167〜170℃。
【0049】 元素分析値 C16202 8 ・H2 O H C N 計算値(%) 5.73 49.74 7.25 実測値(%) 5.61 49.92 7.41 1 HNMR (D2 O+NaOD) δppm δ1.95 (m 2H) δ3.22 (t 2H) δ3.53 (t 2H) δ3.68 (s 4H) δ3.98 (s 2H) δ7.2−7.9 (m 4H)
【0050】3−(2) 化合物I−3の合成 3−(1) で合成した化合物II−2 2.43g(6.2
9mmol) と硝酸鉄(III) 9水和物2.40g(5.94
mmol) を水10mlに懸濁させ、29%アンモニア水を加
え、pH5.0に合わせた。析出した固体を濾取し、水
で再結晶した後、冷水、メタノールで洗浄し、乾燥する
ことにより黄色固体としてI−3を2.24g(5.1
1mmol) 得た。 収率86% 融点≧200℃(分解)
【0051】 IRスペクトル(KBr)νc =0 1642cm-1 元素分析値 C16203 8 Fe(分子量438.20) H(%) C(%) N(%) 計算値 4.60 43.86 9.59 実測値 4.49 43.63 9.35
【0052】化合物I−3の単結晶X線構造解析によ
り、判明した構造を以下に示す。
【0053】
【化17】
【0054】実施例4.酸化還元電位の測定 サイクリックボルタンメトリーにより、本発明の鉄錯体
I−1、I−3、I−4の酸化還元電位を測定した。結
果を下記表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】 *支持電解質 〔KNO3 〕=1.0M 0.4M CH3COOH/CH3COONH4 Buffer 参照電極 ; SSCE 作用電極 ; グラッシーカーボン 対照電極 ; 白金電極 キレート濃度; 10mM
【0057】
【発明の効果】本発明の鉄錯体は、適度な酸化力を有し
ており、悪作用が小さく、医療用、化粧用製剤、写真
用、情報記録材料、複写材料等の使用に適している。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】従来、鉄錯体は、医療用、化粧用製剤、
写真用、情報記録材料(磁気記録材料、レーザー記録材
料等)、複写材料(感熱材料、感圧材料等)などに幅広
く用いられているが、特にハロゲン化銀写真感光材料分
野で使用される酸化剤、例えばハロゲン化銀写真感光材
料の減力処理に使われる減力剤や漂白処理に使われる漂
白剤として多量に用いられている。漂白剤として多く用
いられてきた鉄錯体としては、エチレンジアミン四酢酸
第二鉄錯塩が挙げられるが、これは漂白性能、そのもの
があまり高くなく、より迅速な処理が求められる場合に
は能力不足であった。一方、漂白性能の高い鉄錯体とし
ては赤血塩や1,3−プロパンジアミン四酢酸第二鉄錯
塩が開示されているが、このものは酸化還元電位が高い
ため共存する化合物の分解を促進する場合があり、使用
用途が限られていた。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】実施例2.化合物I−2の合成 1−(1)で合成した化合物II−1 3.63g
(0.010mol)と硝酸鉄(III)9水和物4.
04g(0.010mol)を水20mlに懸濁させ、
炭酸ナトリウムを加えpH5.0に合わせて加熱溶解し
た。濾過後、反応液を減圧濃縮し、セファデックスG−
25(Sephadex G−25、50−150μ:
アルドリッチ(Aldrich)社製)を用い、ゲル濾
過クロマトグラフィー(溶離液:水)により精製した。
溶離液を濃縮後、少量の水とメタノール/エタノール混
合溶媒により再結晶した後、エタノール、アセトンで洗
浄し、乾燥することにより黄色固体として化合物I−2
の2水和物を3.16g(0.00679mol)得
た。収率68%。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される鉄錯体。 一般式(I) 【化1】 (式中、Zは芳香族炭化水素基を形成するのに必要な非
    金属原子群を表す。Rは置換基を表す。nは0〜4の整
    数を表す。L1 及びL2 はそれぞれアルキレン基を表
    す。L3 はアルキレン基又はアリーレン基を表わす。X
    1 、X2 、X3 及びX4 はそれぞれカルボキシレート
    基、カルボキシ基又はその塩を表す。Wはアルキレン基
    及び/又はアリーレン基を含む二価の連結基を表す。M
    はカチオンを表す。aは一般式(I)で表される鉄錯体
    が中性となるように決定される整数を表す。)
  2. 【請求項2】 下記一般式(II)で表される化合物と鉄
    塩を反応させ、請求項1に記載の一般式(I)で表され
    る鉄錯体を製造する方法において、該鉄錯体をpH1〜
    7の範囲で単離することを特徴とする鉄錯体を製造する
    方法。 一般式(II) 【化2】 (式中、Z、R、n、L1 、L2 、L3 及びWは一般式
    (I)におけるそれぞれと同義である。X1 ′、
    2 ′、X3 ′及びX4 ′はカルボキシ基又はその塩を
    表す。)
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