JP2004292322A - 水溶性アミド連結体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水溶性基を持つアミド化合物を効率良く製造する。
【解決手段】下記の一般式(I)で表わされる化合物を酸アミド化反応によって製造するに当り、該反応を有機溶媒、水及び相間移動触媒を用いて行う水溶性アミド連結体の製造方法。
【化1】
式中、A1及びA2はそれぞれアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基を表し、Lはアリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。X及びYはそれぞれ−CONH−、−SO2NH−を表し、−CONH−基、−SO2NH−基のいずれの末端にA1又はA2基の結合するかは特に制限はない。但し、一般式(I)で表わされる分子内の置換基に−SO3Mなどの水溶性基(ここでMは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はピリジニウムを表す。)を少なくとも2つ以上含有する。
【選択図】 なし
【解決手段】下記の一般式(I)で表わされる化合物を酸アミド化反応によって製造するに当り、該反応を有機溶媒、水及び相間移動触媒を用いて行う水溶性アミド連結体の製造方法。
【化1】
式中、A1及びA2はそれぞれアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基を表し、Lはアリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。X及びYはそれぞれ−CONH−、−SO2NH−を表し、−CONH−基、−SO2NH−基のいずれの末端にA1又はA2基の結合するかは特に制限はない。但し、一般式(I)で表わされる分子内の置換基に−SO3Mなどの水溶性基(ここでMは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はピリジニウムを表す。)を少なくとも2つ以上含有する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水溶性基を持つアミド化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般式(I)で表せる化合物は、染料、写真、医薬用中間体として知られた化合物である。この化合物の合成方法は幾つか知られており、反応溶媒として水のみを用いる方法(例えば、非特許文献1参照)、や水−テトラヒドロフランを用いる方法(例えば、特許文献1参照)、などが知られている。しかし、これらの方法では反応が遅かったり、途中で止まったりするので、収率が悪く、副生成物も多いため、精製が困難である。
又、相間移動触媒を使用していないとエーテル‐水を用いていても反応操作が複雑になったりする(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
国際公開第97/19916号パンフレット
【特許文献2】
米国特許第4,129,591号明細書
【非特許文献1】
「ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリー(Journal of Medical Chemistry)」,1993年,第36巻,p.1996
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における問題を解決し、水溶性基を持つアミド化合物を効率良く製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、以下の発明により解決された。すなわち、
下記の一般式(I)で表わされる化合物を酸アミド化反応によって製造するに当り、該反応を有機溶媒、水及び相間移動触媒を用いて行うことを特徴とする水溶性アミド連結体の製造方法。
【0006】
【化2】
【0007】
式中、A1及びA2はそれぞれアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基を表し、Lはアリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。X及びYはそれぞれ−CONH−、−SO2NH−を表し、−CONH−基、−SO2NH−基のいずれの末端にA1又はA2基の結合するかは特に制限はない。但し、一般式(I)で表わされる分子内の置換基に水溶性基を少なくとも2つ以上含有する。
【0008】
【発明の実施の形態】
一般式(I)について詳しく説明する。
A1及びA2はそれぞれアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、アルキル基としては、炭素数1〜20、好ましくは、炭素数1〜10の置換のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、2−スルホエチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基が挙げられる。アリール基としては、炭素数6〜20、好ましくは、炭素数6〜10の置換のアリール基であり、例えば3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基、5,7−ジスルホ−2−ナフチル基、3,6−ジスルホ−2−ナフチル基が挙げられ、好ましくは5,7−ジスルホ−2−ナフチル基、3,6−ジスルホ−2−ナフチル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、炭素数2〜20、好ましくは、炭素数2〜10、更に好ましくは、炭素数2〜8の置換もしくは無置換の、5又は6員環のヘテロ環基であり、例えば2−フリル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。この中で、好ましくはアリール基またはヘテロ環基であり、更に好ましくはアリール基である。
【0009】
Lはアリール基またはヘテロ環基を表し、アリール基としては、炭素数6〜20、好ましくは、炭素数6〜10の置換のアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基、アンスラニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、炭素数2〜20、好ましくは、炭素数2〜10、更に好ましくは、炭素数2〜8の置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、例えば3,5−(1,2,4−トリアゾール)−ジイル基、3,5−イソチアゾールジイル基、2,6−ピリジンジイル基、2,6−ピラジンジイル基、2,6−ピリミジンジイル基、3,6−ピリダジンジイル基、1,4−フタラジンジイル基が挙げられる。この中で、好ましくはアリール基である。
【0010】
X及びYはそれぞれ−CONH−、−SO2NH−を表し、好ましくは−CONH−である。
一般式(I)は水溶性基を2つ以上含有し、好ましくは2〜8個有する。水溶性基の好ましい例としては−SO3M又は−CO2Mがある。この水溶性基はフリー体でも塩でもよく、塩の場合の対塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウムである。そのうちアルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましく、特に好ましいのはNaおよびKである。アンモニウム基としては、例えばアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムが挙げられ、そのうちアンモニウムが好ましい。
【0011】
以下に本発明の方法で合成出来る化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】
【化7】
【0017】
【化8】
【0018】
【化9】
【0019】
本発明の製造方法は、相間移動触媒を用いた有機溶媒及び水の2層系での反応場でアミド化する方法で、好ましくは酸ハライド化合物とアミン化合物を用いる。
一般式(I)で表される水溶性アミド連結体は、例えば以下に示すスキーム▲1▼、▲2▼又は▲3▼で合成できる。
【0020】
【化10】
【0021】
上記式中A1、A2及びLは一般式(I)と同じものを表わし、−SO3M、−CO2M基のような水溶性基を、化合物6、13、23中に合計で2個以上存在させる必要な数だけ有する。上記の各スキーム▲1▼〜▲3▼の化合物6及び13の−NHCO−基と、化合物23の−SO2NH−基が、それぞれ一般式(I)のX又はYの一例を示す。
また上記▲1▼〜▲3▼中Zはハロゲン原子(塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子など)を示す。
また上記式から明らかなように、本発明における酸アミド化反応とは出発化合物中の−NH2基と−COZ基もしくは−SO2Z基の反応により−CONH−又は−SO2NH−結合を形成することを意味する。
【0022】
▲1▼のスキームにおいて、化合物1と化合物2とはモル比で、好ましくは1:0.9〜1:2、より好ましくは1:0.95〜1:1.2とする。
また、化合物4と化合物5とはモル比で好ましくは1:0.9〜1:2、より好ましくは1:0.95〜1:1.2とする。化合物3のニトロ基の還元は常法に従って行うことができる。
【0023】
▲2▼のスキームにおいて化合物10と化合物11とはモル比で好ましくは1:1.8〜1:4、より好ましくは1:1.95〜1:2.8である。
▲3▼のスキームにおいて化合物20と化合物21とは、好ましくは1:1.8〜1:4、より好ましくは1:1.95〜1:2.8とする。
【0024】
本発明の工程は、先ず、アミン化合物を有機溶媒と水の両方が入った容器に添加し、これに相間移動触媒と塩基を加え攪拌する。ここに酸ハライド化合物を有機溶媒に溶解させた溶液を添加又は滴下し、更に攪拌を続ける。相間移動触媒が無くても反応は進行するが、反応時間が長くなり、得られる化合物の収量及び純度が低下する。
反応終了後、冷却するか若しくは水層を取り出して水溶性有機溶媒を加えるかして析出させた結晶を濾過する。又は水層を取り出して脱塩し、水を留去するかそのまま水溶液として取り出す。
【0025】
有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、酢酸エチル、酢酸メチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、エチルエーテルなどが用いられるが、非極性溶媒が好ましく、特にトルエンが好ましい。
有機溶媒の使用量としては、使用する酸ハライドを溶解させる量が必要であり、酸ハライドの重量に対し、1〜50倍量使用する。精製のことを考慮すると、1〜20倍量が好ましく、更に好ましくは1〜10倍量である。
【0026】
水としては、水道水、精製水が用いられるが、精製水が好ましい。
水の使用量としては、生成する化合物の重量に対し、1〜50倍量使用する。精製のことを考慮すると、1〜20倍量が好ましく、更に好ましくは1〜10倍量である。
【0027】
相間移動触媒としては、4級アミン塩類、ポリエーテル類が用いられ、4級アミン塩類としてはテトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラヘキシルアンモニウムクロライド、テトラヘキシルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロマイド、デカシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。ポリエーテル類としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、15−クラウン−5、18−クラウン−6、クリプタント[2.2.2] などが挙げられる。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールが好ましく、特にポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、が好ましい。
相間移動触媒の使用量としては、使用するアミン化合物の重量に対し、1/10000〜1/10倍量使用する。1/10000〜1/100倍量が好ましく、更に好ましくは1/2000〜1/500倍量である。
【0028】
塩基としては、有機塩基、無機塩基が用いられ、有機塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルアニリン、ピリジン、2,6‐ルチジン、テトラメチルグワニジン、酢酸ナトリウムなどが挙げられ、無機塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二ナトリウムなどが挙げられる。
塩基の使用量としては、反応させるアミノ基のモル数と反応基質に含まれるスルホン酸とカルボン酸のモル数を合わせたモル数に対し0.8〜3倍モルが好ましくは0.9〜2倍モルが好ましいが、特に好ましくは、当量モルの塩基を使用する。
【0029】
反応温度としては、0〜80℃で行なうが、10〜60℃で行なうのが好ましい。
【0030】
水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0031】
【実施例】
以下に、本発明による実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
実施例1
例示化合物6)の合成
アミノJ酸ジナトリウム塩(11.4g)と酢酸ナトリウム(3.6g)を水(30ml)に溶解し、これにイソフタル酸クロライド(3.0g)とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(10mg)を溶解したトルエン溶液(25ml)を添加し、室温にて2時間激しく攪拌する。反応後、静置してから水層を取り出し、これに攪拌しながらエタノール(90ml)を添加する。1時間攪拌後、濾過し、エタノールで洗浄、乾燥して例示化合物6)を11.7g(純度93%)(収率89%)得た。
【0033】
比較例1
例示化合物6)の合成をポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを抜いて行なう。
アミノJ酸ジナトリウム塩(11.4g)と酢酸ナトリウム(3.6g)を水(30ml)に溶解し、これにイソフタル酸クロライド(3.0g)を溶解したトルエン溶液(25ml)を添加し、室温にて24時間激しく攪拌する。反応後、静置してから水層を取り出し、これに攪拌しながらエタノール(90ml)を添加する。1時間攪拌後、濾過し、エタノールで洗浄、乾燥して例示化合物6)を8.5g(純度88%)(収率61%)得た。
【0034】
実施例2
例示化合物30)の合成
アミノR酸モノナトリウム塩(11.8g)と酢酸ナトリウム(5.1g)を水(90ml)に溶解し、これにイソフタル酸クロライド(3.0g)とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(10mg)を溶解したトルエン溶液(30ml)を添加し、室温にて5時間激しく攪拌する。反応後、氷冷下で2時間攪拌し、攪拌後、濾過し、メタノールで洗浄、乾燥して例示化合物30)を10.2g得た。
【0035】
実施例3
例示化合物34)の合成
アミノR酸モノナトリウム塩(18.7g)と酢酸ナトリウム(10.1g)を水(90ml)に溶解し、これに2,5−チオフェンジカルボニルクロライド(5.5g)とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(10mg)を溶解したトルエン溶液(40ml)を添加し、室温にて4時間激しく攪拌する。反応後、濾過し、メタノールで洗浄、乾燥して例示化合物34)を15.3g得た。
【0036】
実施例4
例示化合物35)の合成
アミノR酸モノナトリウム塩(6.3g)と酢酸ナトリウム(3.4g)を水(30ml)に溶解し、これに3,5−ピラゾールジカルボニルクロライド(1.6g)とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(10mg)を溶解したトルエン溶液(15ml)を添加し、室温にて4時間激しく攪拌する。反応後、濾過し、メタノールで洗浄、乾燥して例示化合物35)を4.8g得た。
【0037】
【発明の効果】
本発明によって染料、写真、医薬用中間体として知られた水溶性基を持つアミド化合物を簡便に収率良くかつ効率的に製造することが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は水溶性基を持つアミド化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般式(I)で表せる化合物は、染料、写真、医薬用中間体として知られた化合物である。この化合物の合成方法は幾つか知られており、反応溶媒として水のみを用いる方法(例えば、非特許文献1参照)、や水−テトラヒドロフランを用いる方法(例えば、特許文献1参照)、などが知られている。しかし、これらの方法では反応が遅かったり、途中で止まったりするので、収率が悪く、副生成物も多いため、精製が困難である。
又、相間移動触媒を使用していないとエーテル‐水を用いていても反応操作が複雑になったりする(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
国際公開第97/19916号パンフレット
【特許文献2】
米国特許第4,129,591号明細書
【非特許文献1】
「ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリー(Journal of Medical Chemistry)」,1993年,第36巻,p.1996
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における問題を解決し、水溶性基を持つアミド化合物を効率良く製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、以下の発明により解決された。すなわち、
下記の一般式(I)で表わされる化合物を酸アミド化反応によって製造するに当り、該反応を有機溶媒、水及び相間移動触媒を用いて行うことを特徴とする水溶性アミド連結体の製造方法。
【0006】
【化2】
【0007】
式中、A1及びA2はそれぞれアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基を表し、Lはアリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。X及びYはそれぞれ−CONH−、−SO2NH−を表し、−CONH−基、−SO2NH−基のいずれの末端にA1又はA2基の結合するかは特に制限はない。但し、一般式(I)で表わされる分子内の置換基に水溶性基を少なくとも2つ以上含有する。
【0008】
【発明の実施の形態】
一般式(I)について詳しく説明する。
A1及びA2はそれぞれアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、アルキル基としては、炭素数1〜20、好ましくは、炭素数1〜10の置換のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、2−スルホエチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基が挙げられる。アリール基としては、炭素数6〜20、好ましくは、炭素数6〜10の置換のアリール基であり、例えば3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基、5,7−ジスルホ−2−ナフチル基、3,6−ジスルホ−2−ナフチル基が挙げられ、好ましくは5,7−ジスルホ−2−ナフチル基、3,6−ジスルホ−2−ナフチル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、炭素数2〜20、好ましくは、炭素数2〜10、更に好ましくは、炭素数2〜8の置換もしくは無置換の、5又は6員環のヘテロ環基であり、例えば2−フリル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。この中で、好ましくはアリール基またはヘテロ環基であり、更に好ましくはアリール基である。
【0009】
Lはアリール基またはヘテロ環基を表し、アリール基としては、炭素数6〜20、好ましくは、炭素数6〜10の置換のアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基、アンスラニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、炭素数2〜20、好ましくは、炭素数2〜10、更に好ましくは、炭素数2〜8の置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、例えば3,5−(1,2,4−トリアゾール)−ジイル基、3,5−イソチアゾールジイル基、2,6−ピリジンジイル基、2,6−ピラジンジイル基、2,6−ピリミジンジイル基、3,6−ピリダジンジイル基、1,4−フタラジンジイル基が挙げられる。この中で、好ましくはアリール基である。
【0010】
X及びYはそれぞれ−CONH−、−SO2NH−を表し、好ましくは−CONH−である。
一般式(I)は水溶性基を2つ以上含有し、好ましくは2〜8個有する。水溶性基の好ましい例としては−SO3M又は−CO2Mがある。この水溶性基はフリー体でも塩でもよく、塩の場合の対塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウムである。そのうちアルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましく、特に好ましいのはNaおよびKである。アンモニウム基としては、例えばアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムが挙げられ、そのうちアンモニウムが好ましい。
【0011】
以下に本発明の方法で合成出来る化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】
【化7】
【0017】
【化8】
【0018】
【化9】
【0019】
本発明の製造方法は、相間移動触媒を用いた有機溶媒及び水の2層系での反応場でアミド化する方法で、好ましくは酸ハライド化合物とアミン化合物を用いる。
一般式(I)で表される水溶性アミド連結体は、例えば以下に示すスキーム▲1▼、▲2▼又は▲3▼で合成できる。
【0020】
【化10】
【0021】
上記式中A1、A2及びLは一般式(I)と同じものを表わし、−SO3M、−CO2M基のような水溶性基を、化合物6、13、23中に合計で2個以上存在させる必要な数だけ有する。上記の各スキーム▲1▼〜▲3▼の化合物6及び13の−NHCO−基と、化合物23の−SO2NH−基が、それぞれ一般式(I)のX又はYの一例を示す。
また上記▲1▼〜▲3▼中Zはハロゲン原子(塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子など)を示す。
また上記式から明らかなように、本発明における酸アミド化反応とは出発化合物中の−NH2基と−COZ基もしくは−SO2Z基の反応により−CONH−又は−SO2NH−結合を形成することを意味する。
【0022】
▲1▼のスキームにおいて、化合物1と化合物2とはモル比で、好ましくは1:0.9〜1:2、より好ましくは1:0.95〜1:1.2とする。
また、化合物4と化合物5とはモル比で好ましくは1:0.9〜1:2、より好ましくは1:0.95〜1:1.2とする。化合物3のニトロ基の還元は常法に従って行うことができる。
【0023】
▲2▼のスキームにおいて化合物10と化合物11とはモル比で好ましくは1:1.8〜1:4、より好ましくは1:1.95〜1:2.8である。
▲3▼のスキームにおいて化合物20と化合物21とは、好ましくは1:1.8〜1:4、より好ましくは1:1.95〜1:2.8とする。
【0024】
本発明の工程は、先ず、アミン化合物を有機溶媒と水の両方が入った容器に添加し、これに相間移動触媒と塩基を加え攪拌する。ここに酸ハライド化合物を有機溶媒に溶解させた溶液を添加又は滴下し、更に攪拌を続ける。相間移動触媒が無くても反応は進行するが、反応時間が長くなり、得られる化合物の収量及び純度が低下する。
反応終了後、冷却するか若しくは水層を取り出して水溶性有機溶媒を加えるかして析出させた結晶を濾過する。又は水層を取り出して脱塩し、水を留去するかそのまま水溶液として取り出す。
【0025】
有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、酢酸エチル、酢酸メチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、エチルエーテルなどが用いられるが、非極性溶媒が好ましく、特にトルエンが好ましい。
有機溶媒の使用量としては、使用する酸ハライドを溶解させる量が必要であり、酸ハライドの重量に対し、1〜50倍量使用する。精製のことを考慮すると、1〜20倍量が好ましく、更に好ましくは1〜10倍量である。
【0026】
水としては、水道水、精製水が用いられるが、精製水が好ましい。
水の使用量としては、生成する化合物の重量に対し、1〜50倍量使用する。精製のことを考慮すると、1〜20倍量が好ましく、更に好ましくは1〜10倍量である。
【0027】
相間移動触媒としては、4級アミン塩類、ポリエーテル類が用いられ、4級アミン塩類としてはテトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラヘキシルアンモニウムクロライド、テトラヘキシルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロマイド、デカシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。ポリエーテル類としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、15−クラウン−5、18−クラウン−6、クリプタント[2.2.2] などが挙げられる。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールが好ましく、特にポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、が好ましい。
相間移動触媒の使用量としては、使用するアミン化合物の重量に対し、1/10000〜1/10倍量使用する。1/10000〜1/100倍量が好ましく、更に好ましくは1/2000〜1/500倍量である。
【0028】
塩基としては、有機塩基、無機塩基が用いられ、有機塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルアニリン、ピリジン、2,6‐ルチジン、テトラメチルグワニジン、酢酸ナトリウムなどが挙げられ、無機塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二ナトリウムなどが挙げられる。
塩基の使用量としては、反応させるアミノ基のモル数と反応基質に含まれるスルホン酸とカルボン酸のモル数を合わせたモル数に対し0.8〜3倍モルが好ましくは0.9〜2倍モルが好ましいが、特に好ましくは、当量モルの塩基を使用する。
【0029】
反応温度としては、0〜80℃で行なうが、10〜60℃で行なうのが好ましい。
【0030】
水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0031】
【実施例】
以下に、本発明による実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
実施例1
例示化合物6)の合成
アミノJ酸ジナトリウム塩(11.4g)と酢酸ナトリウム(3.6g)を水(30ml)に溶解し、これにイソフタル酸クロライド(3.0g)とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(10mg)を溶解したトルエン溶液(25ml)を添加し、室温にて2時間激しく攪拌する。反応後、静置してから水層を取り出し、これに攪拌しながらエタノール(90ml)を添加する。1時間攪拌後、濾過し、エタノールで洗浄、乾燥して例示化合物6)を11.7g(純度93%)(収率89%)得た。
【0033】
比較例1
例示化合物6)の合成をポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを抜いて行なう。
アミノJ酸ジナトリウム塩(11.4g)と酢酸ナトリウム(3.6g)を水(30ml)に溶解し、これにイソフタル酸クロライド(3.0g)を溶解したトルエン溶液(25ml)を添加し、室温にて24時間激しく攪拌する。反応後、静置してから水層を取り出し、これに攪拌しながらエタノール(90ml)を添加する。1時間攪拌後、濾過し、エタノールで洗浄、乾燥して例示化合物6)を8.5g(純度88%)(収率61%)得た。
【0034】
実施例2
例示化合物30)の合成
アミノR酸モノナトリウム塩(11.8g)と酢酸ナトリウム(5.1g)を水(90ml)に溶解し、これにイソフタル酸クロライド(3.0g)とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(10mg)を溶解したトルエン溶液(30ml)を添加し、室温にて5時間激しく攪拌する。反応後、氷冷下で2時間攪拌し、攪拌後、濾過し、メタノールで洗浄、乾燥して例示化合物30)を10.2g得た。
【0035】
実施例3
例示化合物34)の合成
アミノR酸モノナトリウム塩(18.7g)と酢酸ナトリウム(10.1g)を水(90ml)に溶解し、これに2,5−チオフェンジカルボニルクロライド(5.5g)とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(10mg)を溶解したトルエン溶液(40ml)を添加し、室温にて4時間激しく攪拌する。反応後、濾過し、メタノールで洗浄、乾燥して例示化合物34)を15.3g得た。
【0036】
実施例4
例示化合物35)の合成
アミノR酸モノナトリウム塩(6.3g)と酢酸ナトリウム(3.4g)を水(30ml)に溶解し、これに3,5−ピラゾールジカルボニルクロライド(1.6g)とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(10mg)を溶解したトルエン溶液(15ml)を添加し、室温にて4時間激しく攪拌する。反応後、濾過し、メタノールで洗浄、乾燥して例示化合物35)を4.8g得た。
【0037】
【発明の効果】
本発明によって染料、写真、医薬用中間体として知られた水溶性基を持つアミド化合物を簡便に収率良くかつ効率的に製造することが出来る。
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2003
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Cited By (3)
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