JPH06252057A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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JPH06252057A
JPH06252057A JP3511493A JP3511493A JPH06252057A JP H06252057 A JPH06252057 A JP H06252057A JP 3511493 A JP3511493 A JP 3511493A JP 3511493 A JP3511493 A JP 3511493A JP H06252057 A JPH06252057 A JP H06252057A
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dimer
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Yoshiko Hiraoka
佳子 平岡
Masao Mashita
正夫 真下
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 良質な III族元素を含む化合物半導体膜を、
より容易に成膜することを可能にした半導体装置の製造
方法を提供する。 【構成】 基板上に、GaおよびInから選ばれる少なくと
も 1種の III族元素を含む化合物半導体膜を、ALEや
MOCVD等のCVD法により形成する工程において、
III族元素の原料として、ダイマー構造を有すると共
に、基板表面までダイマー構造のままで到達し得る有機
金属化合物原料、例えばGaH(CH3 2 、 GaH2 CH3 、In
H(CH3 2 等を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体装置の製造方法
に係り、特に III族元素を含む化合物半導体薄膜の形成
工程を含む半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、化合物半導体膜の成長技術は急速
な進歩を遂げ、MOCVD(Metalorg-anic Chemical Va
por Deposition) 法、ALE(Atomic Layer Epitaxy)法
等の成長法により、 1原子あるいは 1分子層単位の制御
が可能になってきている。特に、周期律表の III族原料
と V族原料とを交互に供給し、 III族原子層と V族原子
層を 1層毎に制御しながら成長させるALE法は、新材
料、新デバイス等を実現するための重要な技術である。
【0003】ところで、ALE法をミクロ的に見ると、
次のような現象が起こっていると考えられる。例えば、
原料としてトリメチルガリウム[TMG:Ga(CH3 3 ]
を用いて、GaAsをALE成長する際、表面をAsが覆って
いる状態に、Gaの層を 1層成長させる場合を考えると、
まず原料ガスのTMGが表面で分解する。次に、GsがAs
と結合する。そのとき、Asの上に到達したGaはAsと結合
するが、既にGaが結合した場所にGaが到達した場合に
は、Gaの上にGaが堆積することなく、表面から脱離す
る。このようにして、As層上にGaの層が 1層堆積したと
ころで、成長が飽和する。この飽和機構を一般にセルフ
・リミッティングという。
【0004】ALEを実現するためには、 III族と V族
の両方について、原料ガスが表面で分解すると同時に、
セルフ・リミッティング機構が働くように、適当な基板
温度を設定する必要がある。一般に、この条件を満足す
る基板温度範囲は狭いため、良質な膜を成長させたり、
新材料を成長させる際の妨げになっている。
【0005】例えば、化合物半導体の中でも、最もよく
使われるGaAsについては、 AsH3 とTMGを原料とし
て、ALE成長が行われている。しかし、ALEが実現
できる基板温度範囲は狭く限られているため、欠陥の少
ない良質な膜がなかなか得られないという問題がある。
すなわち、TMGを原料として用いると、TMGが分解
し、かつ欠陥が生じないような基板温度では、Asの上は
もちろんGaの上にもGaが堆積してしまい、セルフ・リミ
ッティング機構が働かないという欠点があり、良質なGa
の単原子層膜を得ることができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、GaAs
のような III族元素を含む化合物半導体膜を、ALE法
等の有機金属原料を用いたCVD法で形成しようとした
場合、従来の III族原料では、セルフ・リミッティング
機構が働く基板温度が極めて狭いために、良質な化合物
半導体膜が得られないという問題が生じている。
【0007】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、良質な III族元素を含む化合物半導
体膜を、より容易に成膜することを可能にした半導体装
置の製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体装置の製
造方法は、基板上に、GaおよびInから選ばれる少なくと
も 1種の III族元素を含む化合物半導体膜を、CVD法
により形成する工程を有する半導体装置の製造方法にお
いて、前記化合物半導体膜の形成工程で、前記III族元
素の原料として、ダイマー構造を有すると共に、前記基
板表面まで前記ダイマー構造のままで到達し得る有機金
属原料を用いることを特徴としている。
【0009】
【作用】本発明の半導体装置の製造方法においては、 I
II族元素の原料として、ダイマー構造を有すると共に、
基板表面までダイマー構造のままで到達し得る有機金属
原料を用いている。ここで、上記条件を満足する III族
原料、例えばGa原料として、ジメチル水素ガリウム[D
MGH:GaH(CH3 2 ] を例として、従来のTMGと比
較しつつ、CVD法の 1種であるALEによる化合物半
導体(例えばGaAs)膜の成長過程について説明する。
【0010】DMGHやTMGの安定な状態は、図1お
よび図2に示すように、 2個の分子が結合したダイマー
状態である。これは、本発明者らが非経験的分子軌道法
を用いて解明した事実である。従って、低温ではこれら
の分子は、(DMGH)2 や(TMG)2 なるダイマー
構造をとっている可能性が高い。ところが、DMGHと
TMGではダイマーの安定度に大きな違いがあり、TM
Gダイマーがモノマーに分解するのに必要なエネルギー
は〜 1kcal/molと極めて小さいのに対し、DMGHでは
〜30kcal/molと比較的大きい。この結果から、ALE成
長の際に、原料としてTMGを用いると、TMGは気相
ではダイマーにならずモノマー状態で基板表面に到達
し、モノマーが表面反応に寄与する。これに対して、D
MGHダイマーがモノマーに分解するのに必要なエネル
ギーは大きいため、原料としてDMGHを用いると、気
相ではモノマーに分解せず、ダイマーのまま基板表面に
到達する。
【0011】上記したダイマー構造の(DMGH)
2 と、モノマー状のTMGとでは、反応性が非常に異っ
ており、モノマーの方が色々な原子と反応する。ALE
を広い基板温度範囲で実現するためには、 III族原料は
V族とは反応するが、 III族とは反応しにくいことが望
ましい。
【0012】このようなALEの成膜条件に対して、
(DMGH)2 は、図3に示すように、基板1上に堆積
した膜2の最表面に存在する V族原子、例えばAsとは反
応しやすいが、Gaとはそれほど反応しないため、広い基
板温度範囲で、基板1表面のAsと(DMGH)2 中の 1
個のGaが結合を作り、残りのGaは脱離する。また、基板
1表面のGaと(DMGH)2 とは、ダイマーの安定性が
高いために反応せず、(DMGH)2 のまま脱離する。
これにより、基板表面のAsの上のみにGaが一層堆積し、
Gaの上にはGaが堆積しない、セルフ・リミッティング機
構が広い基板温度範囲で実現可能となる。これに対し
て、モノマー状のTMGは反応性が高いため、図4に示
すように、基板1の温度を少し高く設定して、表面状態
を改善しようとすると、基板表面のGaとも反応してしま
う。従って、Gaの上にGaが堆積することになり、Gaの単
原子層膜を得ることができない。
【0013】すなわち、ダイマーの安定性が高く、気相
でモノマーに分解しないような III族原料を用いること
によって、ダイマー構造のままで基板表面に到達し、ダ
イマーが直接膜成長に寄与する。そして、ダイマーはモ
ノマーより表面の III族原子と結合しにくいため、正規
の結合相手である V族原子上のみに堆積し、 III族原子
の上には III族原子が堆積しない、セルフ・リミッティ
ング機構が広い基板温度範囲で実現可能となる。このよ
うに、より広い基板温度範囲でALEが実現できるとい
うことは、例えば成長膜中に導入される欠陥がなるべく
少なくなるような基板温度に設定することが可能となる
ことを意味している。これによって、より良質な化合物
半導体薄膜を 1原子層単位で制御して成長させることが
可能となる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0015】この実施例では、本発明の半導体装置の製
造方法を、ALE法に適用した例について述べる。AL
E法では、 III族原料と V族原料を交互に供給し、 III
族原子層と V族原子層を 1層ごとに成長する。
【0016】図5は、本発明の製造方法における化合物
半導体膜の形成工程を、GaAs半導体膜のALEに適用し
た際の装置構成を模式的に示す図である。同図におい
て、11は反応炉であり、この反応炉11内には基板1
2が配置されている。反応炉11には、Ga原料容器13
およびAs原料容器14が接続されている。
【0017】ここで、上記Ga原料としては、ダイマー構
造をとると共に、気相ではモノマーに分解せず、ダイマ
ー構造のままで基板12の表面まで到達し得る有機Ga化
合物を用いる。一般に、Ga原料のいくつかはダイマーが
安定な構造であるが、ダイマーがモノマーに分解するの
に必要なエネルギーによっては気相で分解して、モノマ
ーが表面反応に寄与し、セルフ・リミッティング機構が
実現しにくくなる。従って、基板表面に到達するまでダ
イマー構造を維持し得るような、ダイマーの安定性が高
い原料を用いる。具体的には、ダイマーからモノマーへ
の分解に必要なエネルギーが大きい有機Ga化合物を原料
を用いる。上記分解に必要なエネルギーは、10kcal/mol
以上であることが好ましい。
【0018】上記したような条件を満足するGa原料とし
ては、TMGの 3個のアルキル基の内の 1つを水素に置
き換えた原料であるDMGH[GaH(CH3 2 ] 、水素原
子が2個結合した GaH2 CH3 、メチル基の替わりにエチ
ル基が結合した GaH(C2 H 52 や GaH2 C2 H 5 、さ
らにメチル基の替わりに他のアルキル基やフェニル基等
が結合した有機Ga化合物原料等が挙げられる。これら
は、水素を介してGaとGaが強く結合するために、安定性
の高いダイマーが得られる。
【0019】また、上記水素を介して結合した有機Ga原
料以外に、例えば図6や図7に示すように、GaF(CH3
2 や GaCl(CH3 2 等の弗素や塩素を介して結合した有
機Ga原料も、安定なダイマー結合を形成するため、本発
明におけるGa原料として用いることができる。
【0020】上記したようなGa原料は、キャリアガス(H
2 )で希釈して反応炉11に供給する。また、As原料と
しては、例えば AsH3 を用いる。この AsH3 も同様に、
キャリアガス(H2 )で希釈して反応炉11に供給する。
【0021】上述したようなALE成膜装置を用いてGa
As半導体膜を形成するには、まず基板12を適当な温
度、例えば 300℃〜 600℃の範囲の温度に加熱した後、
キャリアガス(H2 )で希釈したAs原料を反応炉11に供
給し、基板12上にAsの 1原子層膜を形成する。次い
で、As原料を排気した後、キャリアガス(H2 )で希釈し
たGa原料を供給する。この際、Ga原料はダイマー構造の
ままでのAsの原子層膜上に到達するため、セルフ・リミ
ッティング機構が広い基板温度で働いて、一旦堆積した
Gaの上には堆積せず、Gaの 1原子層膜が形成される。こ
れらを交互に繰り返すことによって、GaAs半導体膜を得
ることができる。
【0022】上記実施例の具体例として、Ga原料にGaH
(CH3 2 を用いると共に、As原料として AsH3 を用い
て、これらを交互に供給したところ、 300℃〜 600℃の
従来より広い基板温度範囲で半導体基板(GaAs基板)1
2上に、良好にALE成長が実現できた。しかも、得ら
れたGaAs膜の結晶の光学特性をPL測定により評価した
ところ、従来のALE成長膜よりも半値幅の狭いスペク
トルが得られ、良質なGaAs半導体膜を得られていること
を確認した。
【0023】この実施例においては、Ga原料として、ダ
イマー構造をとると共に、そのダイマー構造のままで基
板表面まで到達し得る、安定性の高いダイマー結合を形
成する有機Ga化合物を用いているため、 300℃〜 600℃
の広い基板温度範囲でALE成長させることが可能であ
った。よって、成長膜に欠陥が生じないような基板温度
に設定することができ、これにより良質のGaAs半導体膜
を得ることが可能となった。これに対して、従来のよう
にTMGを原料として用いた場合には、ALE成長がで
きたのは 400℃〜 500℃の狭い温度範囲であった。これ
により、成長膜に欠陥が多い等の問題を生じた。
【0024】なお、上記実施例においては、 III族元素
としてGaを用いた場合について説明したが、In元素を用
いる場合においても、安定なダイマーを形成するような
原料、例えばInH(CH3 2 、 InCl(CH3 2 等を用いる
ことによって、同様な効果が得られる。また、上記実施
例では、ALE法による成長の場合を説明したが、 III
族原料と V族原料を同時に供給するような、いわゆるM
OCVD法でも同様な効果が得られる。さらに、有機金
属原料を分子線として供給するような、CBEやMOM
BEにも本発明による原料を用いた成長方法は適用でき
る。
【0025】また、上述した実施例においては、安定性
の高いダイマー結合を形成する有機III族化合物原料と
して、DMGH[GaH(CH3 2 ]等を反応炉に直接的に
供給する例について説明したが、例えばTMG[Ga(C
H3 3 ]等のGa原料と水素(H2)との混合ガスに予め熱
処理を加え、Ga原料と水素とを反応させて、TMGをGa
H(CH3 2 や GaH2 CH3 等の水素化物に分解した後に、
反応炉に供給することも可能である。また、In原料の場
合にも、同様に H2 による分解反応を利用することがで
きる。
【0026】ところで、上述したTMG等の H2 による
分解反応は、成長膜中への炭素の混入抑制にも寄与す
る。すなわち、ALE法やMOCVD法等の成長方法に
おける問題点の一つとして、有機金属原料に含まれる炭
素が不純物として混入することが挙げられる。炭素はキ
ャリアトラップとして作用し、素子の性能を劣化させる
ため、炭素の混入量をいかに少なくするかは、膜成長の
重要なポイントの 1つである。 III-V族化合物半導体の
場合、炭素の混入量に影響を与えるパラメータの1つ
に、 V族原料の III族原料に対する比率、いわゆる V族
/III族比がある。 V族原料としては、一般に水素化物、
例えばPH3 、 AsH3 が多用されているが、上記した V族
/III族比が小さいと、炭素不純物がより多く膜に取り込
まれることが知られている。
【0027】本発明者らは、上記 V族/III族比の効果の
メカニズムを理論的に検討した結果、次のことが明らか
になった。すなわち、まず V族の水素化物について、熱
分解過程を非経験的分子軌道法を用いて計算した結果、
これらの化合物は Hラジカルを 3個放出することが分っ
た。さらに、 Hラジカルが III族原料に与える影響を計
算した結果、 Hラジカルは III族原子と炭素との結合を
切ることが分った。従って、水素化 V族原料の割合が多
いと、放出される Hラジカルの量が増加するために、 I
II族原料に含まれている炭素が、 III族原子に結合した
まま成長膜に取り込まれる確率が減少し、結果として炭
素の混入が制御されることが明らかになった。
【0028】しかし、水素化 V族原料は毒性が非常に高
く、従って安全性の点から、近年有機 V族原料等の他の
原料に置き換える方向にある。また、水素化 V族原料
は、一般に分解温度が高く、効率が悪いことからも、よ
り分解温度が低い有機 V族原料が注目されている。有機
V族原料は毒性が低い上に、分解効率も高いという利点
を有するが、放出される Hラジカルの量が少ないため、
炭素の取り込みが増加してしまう。また、ALEでは、
III族原料と V族原料を交互に供給するため、III族原
子層を成長する際には、 V族原料が放出する Hラジカル
の効果が期待できず、炭素の取り込みが増加してしま
う。これらの問題を解決する手段として、Hラジカルを
反応炉に供給するという方法があるが、水素分子の結合
エネルギーは非常に大きいので、水素分子から水素ラジ
カルを発生させるためには、大掛かりな装置が必要にな
る。
【0029】このような点に対して、TMG等の H2
よる分解反応を利用する方法は、大掛かりな装置等を必
要とせずに、 III族原子と炭素との結合を切ることがで
きるため、成長膜中への炭素の混合を防止することが可
能となる。この H2 による分解反応を利用する方法は、
例えば図8に示すように、水素分子が直接Gaと Cの結合
を切るのに必要なエネルギーが低いことを利用してい
る。
【0030】上記分解反応のメカニズムの詳細を以下に
のべる。代表的な有機Ga原料であるTMG[Ga(C
H3 3 )]は単独で加熱すると、Gaと Cの結合が切れ
て、 Ga(CH3 2 +CH3 のように分解することが知られ
ている。本発明者らは、非経験的分子軌道法で理論的に
計算した結果、この分解に必要なエネルギーは77kcal/m
olであることが分った。さらに計算の結果、残りのCH3
がとれる分解反応、すなわちGa(CH3 2 → Ga(CH3
+CH3 、および Ga(CH3 )→Ga+CH3 にそれぞれ必要な
エネルギーも同程度の大きさであることが分った。この
結合エネルギーから、GaとCH3 の結合を切るためには、
原料を 600℃以上に長時間置く必要があり、技術的に困
難となる。また、たとえGaとCH3 の結合を切ったとして
も、生成するGa(CH3 2 、 Ga(CH3 )およびGaは活性
であるため、再結合したり、微小不純物と反応したり、
装置の表面で複雑な反応をしたすることから、取り扱い
が非常に難しい。
【0031】これに対して、TMGと水素ガス(H2 )と
の反応について、非経験的分子軌道法で理論的に検討し
た結果、 Ga(CH3 3 + H2 →GaH(CH3 2 +CH4 なる
反応が、35kcal/molという比較的小さいエネルギーで起
こることが分かった。この反応は詳細に見ると、Gaと C
の結合の間に、 H2 分子が入り込み、同時に H2 分子が
分解して、 1個の HはGaと結合し、他の 1個の Hは Cと
結合することにより、Gaと Cの結合を切ってしまうとい
うものである。
【0032】例えば、 Ga(CH3 3 → Ga(CH3 2 +CH3 、 H2 → H+ H、 Ga(CH3 2 + H→GaH(CH3 2 、CH3 + H→CH4 のように反応が進む場合には、 H2 → H+ Hの分解反応
に必要なエネルギーが一番大きく、95kcal/molであるの
で、この経路で反応が進むためには、95kcal/mol のエ
ネルギーが必要である。しかし、すでに述べた計算によ
り、 Ga(CH3 3 + H2 →GaH(CH3 2 +CH4 という反
応素過程があり、しかも35kcal/molという比較的小さい
エネルギーで反応が進み、さらに GaH(CH3 2 + H2 → GaH2 CH3 +CH4 GaH2 CH3 + H2 → GaH3 +CH4 のように、 H2 分子が次々にGaと Cの間に入り込み、Ga
と Cの結合を切るような反応が、同様に35kcal/molのエ
ネルギーで起こる。また、反応の結果生成する分子は、
ラジカルや活性分子ではないため、扱いが比較的容易で
ある。
【0033】このように、TMG等の III族原料の H2
による分解反応を利用することによって、 III族原料中
の III族原子と炭素原子との結合を低エネルギーで切る
ことができると共に、反応後に生成する分子はラジカル
や活性分子ではないため、安定して成長膜中への炭素の
混入を防止することができる。よって、 V族原料が放出
する Hラジカルの効果が期待できないALEや、放出さ
れる Hラジカルの量が少ない有機 V族原料を用いる際
に、特に有効である。
【0034】また、上記分解反応を利用する具体的な方
法としては、図9に示すように、キャリアガスとして H
2 ガスが混合されたTMG等の III族原料の供給配管1
5の途中に、ヒータ16等を設置するだけでよく、大掛
かりな装置等を必要とすることもない。よって、容易に
炭素の混入防止対策として利用することができる。
【0035】次に、上述した III族原料の H2 による分
解反応を利用した膜形成工程の具体例について述べる。
【0036】まず、図9に示したALE成長装置を利用
した例について説明する。まず、 V族原料としては AsH
3 を用い、この AsH3 は従来通りキャリアガス(H2 )で
希釈して供給した。 V族原料を排気した後、Ga原料を供
給するのであるが、その際にキャリアガス(H2 )で希釈
したTMGを、ヒータ16で 300℃に加熱した供給配管
15の中を流した後に、成長槽11内に導入した。
【0037】このようにして成長したALE膜(GaAs
膜)は、従来の成長方法による膜に比べ、炭素の混入量
が少なく、このGaAs半導体膜を用いた半導体装置は、良
好な電気、光特性を示した。
【0038】次に、MOCVDに適用した例について説
明する。MOCVDでは、例えば図10に示すように、
III族原料の供給配管15と V族原料の供給配管17と
を、原料混合供給配管18に接続することによって、 I
II族原料と V族原料を同時に供給する。その際に、 III
族原料はキャリアガス(H2 )と共に加熱した後、反応炉
11に導入した。その結果、従来より、低い V族/III族
比でもって、炭素不純物の少ない良質な膜が得られた。
【0039】なお、 V族原料としては、従来通り AsH3
やPH3 のような水素化物を用いても、TBAs (AsC(CH
3 3 )等を用いても、同様に良好な結果が得られた。
また、Ga原料としてTMG以外の他のアルキルガリウ
ム、例えばTEG(Ga(C2 H 53 )を用いた場合も同
様な結果が得られた。また、より一般的に様々な有機Ga
を用いた場合も同様であった。さらに、 III族原料とし
てGa以外の元素、例えばInやAlを用いた場合も、同様に
H2 ガスと加熱することにより、良好な効果が得られる
ことを確認した。またさらに、MOCVDやALE以外
にも、有機金属を原料とする他の成長方法、たとえばC
BEにおいても、 H2 による分解反応を利用する方法は
有効である。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の半導体装
置の製造方法によれば、より広い基板温度範囲で、セル
フ・リミッティング機構が機能すると共に、結合相手元
素と結合しやすい III族原料を用いているため、より広
い基板温度範囲でALE等のCVD法による成膜が実現
可能となる。よって、欠陥の少ない良質な膜が成長でき
るような基板温度が設定でき、結果として良質な化合物
半導体膜を得ることが可能となる。そして、このような
化合物半導体膜を用いることによって、高性能な半導体
装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で用いる III族原料の一例と
してDMGHのダイマー構造を示す図である。
【図2】従来の III族原料であるTMGのダイマー構造
を示す図である。
【図3】本発明によるGa原料としてDMGHを用いた場
合のALEによる膜成長過程を模式的に示す図である。
【図4】従来のGa原料としてTMGを用いた場合のAL
Eによる膜成長過程を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施例で用いたALE成長装置の概略
構成を示す図である。
【図6】本発明の製造方法で用いる III族原料の他の例
を示す図である。
【図7】本発明の製造方法で用いる III族原料のさらに
他の例を示す図である。
【図8】TMGの H2 による分解反応を説明するための
図である。
【図9】III族原料の H2 による分解反応を利用したA
LE成長装置の一例を示す図である。
【図10】III族原料の H2 による分解反応を利用した
MOCVD成長装置の一例を示す図である。
【符号の説明】 1、12……基板 2………成長膜 11……反応炉 13……Ga原料容器 14……As原料容器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、GaおよびInから選ばれる少な
    くとも 1種の III族元素を含む化合物半導体膜を、CV
    D法により形成する工程を有する半導体装置の製造方法
    において、 前記化合物半導体膜の形成工程で、前記 III族元素の原
    料として、ダイマー構造を有すると共に、前記基板表面
    まで前記ダイマー構造のままで到達し得る有機金属原料
    を用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。
JP3511493A 1993-02-24 1993-02-24 半導体装置の製造方法 Withdrawn JPH06252057A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9587310B2 (en) 2001-03-02 2017-03-07 Applied Materials, Inc. Lid assembly for a processing system to facilitate sequential deposition techniques

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