JPH06252014A - 固体電解コンデンサ - Google Patents
固体電解コンデンサInfo
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- JPH06252014A JPH06252014A JP6258093A JP6258093A JPH06252014A JP H06252014 A JPH06252014 A JP H06252014A JP 6258093 A JP6258093 A JP 6258093A JP 6258093 A JP6258093 A JP 6258093A JP H06252014 A JPH06252014 A JP H06252014A
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- JP
- Japan
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- resin
- resin layer
- organic semiconductor
- shore hardness
- sealing
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- Pending
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- Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 樹脂封口部の密閉性を長期間にわたって保持
し、諸特性劣化のない高信頼性の有機半導体を固体電解
質として用いた固体電解コンデンサの提供。 【構成】 コンデンサ素子3を予熱状態で、予めTCN
Q錯体からなる加熱溶融液化された有機半導体を一定量
入れた金属ケース4内に収納して有機半導体をコンデン
サ素子3に含浸し、金属ケース4開口部に、ショア硬度
をA−40からD−50とした可撓性を有するエポキシ
樹脂を全封口樹脂容積の50〜90%注入して硬化し第
一樹脂層6を形成し、この第一樹脂層6上に、ショア硬
度をD−80以上とした高硬度性を有するエポキシ樹脂
を全樹脂容積に対して残りの量分を注入して硬化し第二
樹脂層7を形成する。
し、諸特性劣化のない高信頼性の有機半導体を固体電解
質として用いた固体電解コンデンサの提供。 【構成】 コンデンサ素子3を予熱状態で、予めTCN
Q錯体からなる加熱溶融液化された有機半導体を一定量
入れた金属ケース4内に収納して有機半導体をコンデン
サ素子3に含浸し、金属ケース4開口部に、ショア硬度
をA−40からD−50とした可撓性を有するエポキシ
樹脂を全封口樹脂容積の50〜90%注入して硬化し第
一樹脂層6を形成し、この第一樹脂層6上に、ショア硬
度をD−80以上とした高硬度性を有するエポキシ樹脂
を全樹脂容積に対して残りの量分を注入して硬化し第二
樹脂層7を形成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンデンサ素子を収納
したケース開口部の密閉構造を改良した有機半導体を固
体電解質として用いた固体電解コンデンサに関する。
したケース開口部の密閉構造を改良した有機半導体を固
体電解質として用いた固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子情報機器の高度化に伴い、電
子部品の小形化、高性能化が求められるようになってき
ており、電解コンデンサでも、従来の駆動用電解液を含
浸した電解コンデンサよりも小形化の可能なTCNQ錯
体からなる有機半導体を固体電解質として用いた固体電
解コンデンサが実用化されている。
子部品の小形化、高性能化が求められるようになってき
ており、電解コンデンサでも、従来の駆動用電解液を含
浸した電解コンデンサよりも小形化の可能なTCNQ錯
体からなる有機半導体を固体電解質として用いた固体電
解コンデンサが実用化されている。
【0003】従来、TCNQ錯体からなる有機半導体を
固体電解質として用いた固体電解コンデンサは、アルミ
ニウム、タンタル又はニオブなどの弁作用金属箔表面を
エッチング液で粗面化し表面積を拡大した後、陽極酸化
皮膜を生成した陽極箔と、アルミニウム、タンタル又は
ニオブ等の弁作用金属箔表面を前記同様エッチング液で
粗面化し表面積を拡大した陰極箔間にクラフト紙又はマ
ニラ紙などからなるスペーサを介在し、前記陽極箔及び
陰極箔の任意な箇所に陽極引出端子及び陰極引出端子を
取着した状態で巻回し形成したコンデンサ素子を、予熱
状態で予めTCNQ錯体からなる有機半導体を入れ、こ
の有機半導体を加熱溶融化した状態の金属ケース内に収
納して有機半導体をコンデンサ素子に含浸し、しかる
後、冷却固化し、前記金属ケース開口部をエポキシ樹脂
などからなる封口樹脂にて密閉してなるものである。
固体電解質として用いた固体電解コンデンサは、アルミ
ニウム、タンタル又はニオブなどの弁作用金属箔表面を
エッチング液で粗面化し表面積を拡大した後、陽極酸化
皮膜を生成した陽極箔と、アルミニウム、タンタル又は
ニオブ等の弁作用金属箔表面を前記同様エッチング液で
粗面化し表面積を拡大した陰極箔間にクラフト紙又はマ
ニラ紙などからなるスペーサを介在し、前記陽極箔及び
陰極箔の任意な箇所に陽極引出端子及び陰極引出端子を
取着した状態で巻回し形成したコンデンサ素子を、予熱
状態で予めTCNQ錯体からなる有機半導体を入れ、こ
の有機半導体を加熱溶融化した状態の金属ケース内に収
納して有機半導体をコンデンサ素子に含浸し、しかる
後、冷却固化し、前記金属ケース開口部をエポキシ樹脂
などからなる封口樹脂にて密閉してなるものである。
【0004】しかして、上記構成になる固体電解コンデ
ンサは、固体電解質として用いる有機半導体としてのT
CNQ錯体は、その伝導度が約10S/cmと、従来の
電解コンデンサの電解液(0.01S/cm)に比べ非
常に高く、このTCNQ錯体を固体電解質として用いる
ことにより、インピーダンスの周波数特性、漏れ電流特
性、温度特性などの諸特性が優れていることから注目す
べき固体電解コンデンサと言える。
ンサは、固体電解質として用いる有機半導体としてのT
CNQ錯体は、その伝導度が約10S/cmと、従来の
電解コンデンサの電解液(0.01S/cm)に比べ非
常に高く、このTCNQ錯体を固体電解質として用いる
ことにより、インピーダンスの周波数特性、漏れ電流特
性、温度特性などの諸特性が優れていることから注目す
べき固体電解コンデンサと言える。
【0005】しかしながら、上記構成になる固体電解コ
ンデンサの金属ケース開口部の密閉技術として、金属ケ
ース開口部への一回の封口樹脂注入で行っており、なお
且つ封口樹脂材としては高硬度の封口樹脂を使用するた
めに、樹脂硬化時に大きな応力が残留し、使用中に応力
が緩和される結果、封口樹脂と金属ケースの間に亀裂が
生じ、内部の有機半導体が外気にさらされて、有機半導
体と外気中の酸素や水蒸気が反応し、有機半導体が劣化
し静電容量の急激な減少、tanδの増加などの要因と
なり、時間の経過とともにコンデンサとしての機能が低
下し、信頼性に劣る欠点を有していた。
ンデンサの金属ケース開口部の密閉技術として、金属ケ
ース開口部への一回の封口樹脂注入で行っており、なお
且つ封口樹脂材としては高硬度の封口樹脂を使用するた
めに、樹脂硬化時に大きな応力が残留し、使用中に応力
が緩和される結果、封口樹脂と金属ケースの間に亀裂が
生じ、内部の有機半導体が外気にさらされて、有機半導
体と外気中の酸素や水蒸気が反応し、有機半導体が劣化
し静電容量の急激な減少、tanδの増加などの要因と
なり、時間の経過とともにコンデンサとしての機能が低
下し、信頼性に劣る欠点を有していた。
【0006】そのため、金属ケースの開口部内面に表面
処理剤を塗布し、金属ケース開口部内面と封口樹脂の密
着性を高める手段を講じ、上記問題点の解消も試みられ
ているが、表面処理剤がコンデンサ特性に悪影響し、上
記問題点の根本的な解決とは成り得なかった。
処理剤を塗布し、金属ケース開口部内面と封口樹脂の密
着性を高める手段を講じ、上記問題点の解消も試みられ
ているが、表面処理剤がコンデンサ特性に悪影響し、上
記問題点の根本的な解決とは成り得なかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、上記構
成になる固体電解質としてTCNQからなる有機半導体
を用いた固体電解コンデンサでは、封口樹脂と金属ケー
スの間に亀裂が生じ、この亀裂部を介して有機半導体と
してのTCNQ錯体が外気中の酸素や水蒸気と反応し、
TCNQ錯体が劣化してコンデンサ特性が経時劣化し、
信頼性に欠ける欠点をもっていた。
成になる固体電解質としてTCNQからなる有機半導体
を用いた固体電解コンデンサでは、封口樹脂と金属ケー
スの間に亀裂が生じ、この亀裂部を介して有機半導体と
してのTCNQ錯体が外気中の酸素や水蒸気と反応し、
TCNQ錯体が劣化してコンデンサ特性が経時劣化し、
信頼性に欠ける欠点をもっていた。
【0008】本発明は、上記の問題を解決するために成
されたものであり、金属ケース開口部を密閉する封口樹
脂構造を改良することによって、コンデンサ特性劣化と
なる要因を解消し、高信頼性の固体電解質としてTCN
Q錯体からなる有機半導体を用いた固体電解コンデンサ
を提供するものである。
されたものであり、金属ケース開口部を密閉する封口樹
脂構造を改良することによって、コンデンサ特性劣化と
なる要因を解消し、高信頼性の固体電解質としてTCN
Q錯体からなる有機半導体を用いた固体電解コンデンサ
を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明になる固体電解コ
ンデンサは、任意な箇所に引出端子を取着した弁作用用
金属からなる陽極箔と陰極箔間にスペーサを介して巻回
したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する
金属ケースと、この金属ケース内で加熱液化し前記コン
デンサ素子に含浸してなる有機半導体と、前記金属ケー
ス開口部を密閉する封口樹脂からなる固体電解コンデン
サにおいて、前記封口樹脂としてショア硬度がA−40
からD−50の可撓性を有する第一樹脂層と、この第一
樹脂層上に形成したショア硬度がD−80以上の高硬度
性を有する第二樹脂層とからなり、前記第一樹脂層の容
積が全封口樹脂量の50%〜90%であることを特徴と
するものである。
ンデンサは、任意な箇所に引出端子を取着した弁作用用
金属からなる陽極箔と陰極箔間にスペーサを介して巻回
したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する
金属ケースと、この金属ケース内で加熱液化し前記コン
デンサ素子に含浸してなる有機半導体と、前記金属ケー
ス開口部を密閉する封口樹脂からなる固体電解コンデン
サにおいて、前記封口樹脂としてショア硬度がA−40
からD−50の可撓性を有する第一樹脂層と、この第一
樹脂層上に形成したショア硬度がD−80以上の高硬度
性を有する第二樹脂層とからなり、前記第一樹脂層の容
積が全封口樹脂量の50%〜90%であることを特徴と
するものである。
【0010】
【作用】以上のような構成によれば、封口樹脂を構成す
る第一樹脂層がショア硬度をA−40からD−50であ
る可撓性樹脂からなっているため柔軟性に富み、合わせ
て、第一樹脂層の容積が全封口樹脂量の50%〜90%
となっているため、硬化時の残留応力の発生を最低限に
抑えることができ、また、例え応力が残留しても第一樹
脂層が残留応力を吸収するために、第一樹脂層である可
撓性樹脂と金属ケースの間に亀裂が生じることはなく良
好な密閉性が確保でき、有機半導体が外気にさらされる
ことはなく、有機半導体の劣化要因が解消される。
る第一樹脂層がショア硬度をA−40からD−50であ
る可撓性樹脂からなっているため柔軟性に富み、合わせ
て、第一樹脂層の容積が全封口樹脂量の50%〜90%
となっているため、硬化時の残留応力の発生を最低限に
抑えることができ、また、例え応力が残留しても第一樹
脂層が残留応力を吸収するために、第一樹脂層である可
撓性樹脂と金属ケースの間に亀裂が生じることはなく良
好な密閉性が確保でき、有機半導体が外気にさらされる
ことはなく、有機半導体の劣化要因が解消される。
【0011】また、封口樹脂を構成する第二樹脂層がシ
ョア硬度をD−80以上である高硬度樹脂からなってい
るため、引出端子の保持強度を保ち、引出端子に対する
物理的外力がコンデンサ素子を構成する陽極箔に形成し
た誘電体酸化皮膜に伝わることがなく、誘電体酸化皮膜
壊れの要因が解消される。
ョア硬度をD−80以上である高硬度樹脂からなってい
るため、引出端子の保持強度を保ち、引出端子に対する
物理的外力がコンデンサ素子を構成する陽極箔に形成し
た誘電体酸化皮膜に伝わることがなく、誘電体酸化皮膜
壊れの要因が解消される。
【0012】なお、この場合、第一樹脂層のショア硬度
をA−40からD−50とするのは、ショア硬度がA−
40未満であると、外部からの物理的な衝撃により、内
部のコンデンサ素子が直接衝撃を受け易く漏れ電流不良
が発生し、ショア硬度がD−50を越えた場合、残留応
力の吸収性能が低下し、樹脂と金属ケースの間に亀裂が
生じる理由に基づくものである。
をA−40からD−50とするのは、ショア硬度がA−
40未満であると、外部からの物理的な衝撃により、内
部のコンデンサ素子が直接衝撃を受け易く漏れ電流不良
が発生し、ショア硬度がD−50を越えた場合、残留応
力の吸収性能が低下し、樹脂と金属ケースの間に亀裂が
生じる理由に基づくものである。
【0013】また、第二樹脂層のショア硬度をD−80
以上とするのは、D−80未満の場合は、外部からの物
理的な衝撃に対し、引出端子の保持強度を保つことがで
きないためである。
以上とするのは、D−80未満の場合は、外部からの物
理的な衝撃に対し、引出端子の保持強度を保つことがで
きないためである。
【0014】また、第一樹脂層の容積を全封口樹脂量の
50%〜90%とするのは、50%未満の場合、残留応
力の吸収性能が低下し、良好な密閉性が確保できず、静
電容量の変化が大きく、90%を越えた場合、引出端子
の保持強度が保てなくなる理由に基づくものである。
50%〜90%とするのは、50%未満の場合、残留応
力の吸収性能が低下し、良好な密閉性が確保できず、静
電容量の変化が大きく、90%を越えた場合、引出端子
の保持強度が保てなくなる理由に基づくものである。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
して説明する。すなわち、図1に示すように、まず例え
ばアルミニウム箔表面をエッチング液で粗面化し表面積
を拡大した後、誘電体酸化皮膜を生成した陽極箔と、ア
ルミニウム箔表面を前記同様エッチング液で粗面化し表
面積を拡大した陰極箔間にクラフト紙又はマニラ紙など
からなるスペーサを介在し、任意な箇所それぞれに陽極
引出端子1又は陰極引出端子2を取着して巻回し形成し
たコンデンサ素子3を、アジピン酸アンモニウムなどの
水溶液で再化成し巻回過程で生じた誘電体酸化皮膜の修
復を行ったコンデンサ素子3を予熱状態で、予めTCN
Q錯体からなる加熱溶融化された有機半導体を一定量入
れた例えばアルミニウムからなる金属ケース4内に収納
して有機半導体をコンデンサ素子3に含浸し、しかる
後、冷却固化し、含浸されない残余の有機半導体溶融液
を金属ケース4内底面部に固化状態の有機半導体5とし
て形成する。
して説明する。すなわち、図1に示すように、まず例え
ばアルミニウム箔表面をエッチング液で粗面化し表面積
を拡大した後、誘電体酸化皮膜を生成した陽極箔と、ア
ルミニウム箔表面を前記同様エッチング液で粗面化し表
面積を拡大した陰極箔間にクラフト紙又はマニラ紙など
からなるスペーサを介在し、任意な箇所それぞれに陽極
引出端子1又は陰極引出端子2を取着して巻回し形成し
たコンデンサ素子3を、アジピン酸アンモニウムなどの
水溶液で再化成し巻回過程で生じた誘電体酸化皮膜の修
復を行ったコンデンサ素子3を予熱状態で、予めTCN
Q錯体からなる加熱溶融化された有機半導体を一定量入
れた例えばアルミニウムからなる金属ケース4内に収納
して有機半導体をコンデンサ素子3に含浸し、しかる
後、冷却固化し、含浸されない残余の有機半導体溶融液
を金属ケース4内底面部に固化状態の有機半導体5とし
て形成する。
【0016】次に前記金属ケース4開口部に、ショア硬
度をA−40からD−50とした可撓性を有するエポキ
シ樹脂を全封口樹脂容積の50〜90%注入して硬化し
第一樹脂層6を形成し、次にこの第一樹脂層6上に、シ
ョア硬度をD−80以上とした高硬度性を有するエポキ
シ樹脂を全樹脂容積に対して残りの量分を注入して硬化
し第二樹脂層7を形成し、しかる後、高温雰囲気中で端
子間に定格電圧を印加してエージング処理を行い、外装
スリーブ(図示せず)を被覆して完成品としてなるもの
である。
度をA−40からD−50とした可撓性を有するエポキ
シ樹脂を全封口樹脂容積の50〜90%注入して硬化し
第一樹脂層6を形成し、次にこの第一樹脂層6上に、シ
ョア硬度をD−80以上とした高硬度性を有するエポキ
シ樹脂を全樹脂容積に対して残りの量分を注入して硬化
し第二樹脂層7を形成し、しかる後、高温雰囲気中で端
子間に定格電圧を印加してエージング処理を行い、外装
スリーブ(図示せず)を被覆して完成品としてなるもの
である。
【0017】以上のような構成になる固体電解コンデン
サによれば、第一樹脂層6は、ショア硬度をA−40か
らD−50とした可撓性を有し、なお且つ、第一樹脂層
6の容積が全封口樹脂量の50%〜90%となっている
ため、硬化時に内部に残留する応力が小さく、また、残
留応力を吸収してしまうために第一樹脂層6と金属ケー
ス4内面間に亀裂が生じ難く、有機半導体が外気と接す
ることがなく、有機半導体の劣化要因が解消され、静電
容量の減少率改善に大きく貢献する。
サによれば、第一樹脂層6は、ショア硬度をA−40か
らD−50とした可撓性を有し、なお且つ、第一樹脂層
6の容積が全封口樹脂量の50%〜90%となっている
ため、硬化時に内部に残留する応力が小さく、また、残
留応力を吸収してしまうために第一樹脂層6と金属ケー
ス4内面間に亀裂が生じ難く、有機半導体が外気と接す
ることがなく、有機半導体の劣化要因が解消され、静電
容量の減少率改善に大きく貢献する。
【0018】また、第一樹脂層6上に形成した第二樹脂
層7がショア硬度をD−80以上である高硬度樹脂から
なっているため、陽極引出端子1及び陰極引出端子2の
保持強度が保持され、陽極引出端子1及び陰極引出端子
2に対する物理的外力がコンデンサ素子1を構成する陽
極箔に形成した誘電体酸化皮膜に伝わることがなく、誘
電体酸化皮膜壊れの要因が解消され、漏れ電流特性の劣
化を抑えることができる。
層7がショア硬度をD−80以上である高硬度樹脂から
なっているため、陽極引出端子1及び陰極引出端子2の
保持強度が保持され、陽極引出端子1及び陰極引出端子
2に対する物理的外力がコンデンサ素子1を構成する陽
極箔に形成した誘電体酸化皮膜に伝わることがなく、誘
電体酸化皮膜壊れの要因が解消され、漏れ電流特性の劣
化を抑えることができる。
【0019】次に、上記構成において、第一樹脂層6の
ショア硬度をA−40からD−50とし、且つ、この第
一樹脂層6の容積を全封口樹脂量の50%〜90%と
し、更に、第二樹脂層7のショア硬度をD−80以上と
する理由について説明する。
ショア硬度をA−40からD−50とし、且つ、この第
一樹脂層6の容積を全封口樹脂量の50%〜90%と
し、更に、第二樹脂層7のショア硬度をD−80以上と
する理由について説明する。
【0020】すなわち、公知の手段で粗面化し、表面に
誘電体酸化皮膜を生成したアルミニウム陽極箔と公知の
手段で粗面化したアルミニウム陰極箔間にクラフト紙を
介在し、前記陽極箔及び陰極箔それぞに引出端子を取着
して巻回してなるコンデンサ素子に、前述した手段を講
じ金属ケース内でTCNQ錯体を含浸し、アルミニウム
ケース開口部にショア硬度を各種それぞれに設定して第
一樹脂層を形成した固体電解コンデンサの第一樹脂層の
ショア硬度の違いによる漏れ電流(a)及び145℃、
100時間放置後アルコール液に30秒浸漬し静電容量
がプラス10%以上変化したものを不良と見做したとき
の密閉不良率(b)を調べた結果、図2に示す通りで、
ショア硬度A−40未満では漏れ電流が大きく、ショア
硬度D−50を越えると密閉性が悪く、漏れ電流及び密
閉性の両特性を確保する上で、第一樹脂層のショア硬度
としてA−40からD−50にする必要があることが確
認された。
誘電体酸化皮膜を生成したアルミニウム陽極箔と公知の
手段で粗面化したアルミニウム陰極箔間にクラフト紙を
介在し、前記陽極箔及び陰極箔それぞに引出端子を取着
して巻回してなるコンデンサ素子に、前述した手段を講
じ金属ケース内でTCNQ錯体を含浸し、アルミニウム
ケース開口部にショア硬度を各種それぞれに設定して第
一樹脂層を形成した固体電解コンデンサの第一樹脂層の
ショア硬度の違いによる漏れ電流(a)及び145℃、
100時間放置後アルコール液に30秒浸漬し静電容量
がプラス10%以上変化したものを不良と見做したとき
の密閉不良率(b)を調べた結果、図2に示す通りで、
ショア硬度A−40未満では漏れ電流が大きく、ショア
硬度D−50を越えると密閉性が悪く、漏れ電流及び密
閉性の両特性を確保する上で、第一樹脂層のショア硬度
としてA−40からD−50にする必要があることが確
認された。
【0021】また、第一樹脂層の構成を除き上記と同じ
く手段で構成した金属ケース開口部にショア硬度A−4
5の第一樹脂層を形成し、この第一樹脂層上にショア硬
度D−85の第二樹脂層を形成してなる固体電解コンデ
ンサにおける全封口樹脂量に対する第一樹脂層の容積割
合の違いによる2000時間経過後の静電容量変化率
(c)及び引出端子を4.5kgで引張った後の漏れ電
流(d)を調べた結果、図3に示す通りで、第一樹脂層
の容積割合が50%未満では静電容量変化率(c)が大
きく、90%を越えると漏れ電流(d)が大きくなり、
全封口樹脂量に対する第一樹脂層の容積割合として50
〜90%の範囲内で適宜設定する必要がある点が確認さ
れた。
く手段で構成した金属ケース開口部にショア硬度A−4
5の第一樹脂層を形成し、この第一樹脂層上にショア硬
度D−85の第二樹脂層を形成してなる固体電解コンデ
ンサにおける全封口樹脂量に対する第一樹脂層の容積割
合の違いによる2000時間経過後の静電容量変化率
(c)及び引出端子を4.5kgで引張った後の漏れ電
流(d)を調べた結果、図3に示す通りで、第一樹脂層
の容積割合が50%未満では静電容量変化率(c)が大
きく、90%を越えると漏れ電流(d)が大きくなり、
全封口樹脂量に対する第一樹脂層の容積割合として50
〜90%の範囲内で適宜設定する必要がある点が確認さ
れた。
【0022】更に、第二樹脂層のショア硬度の違いによ
る外部からの物理的な衝撃に対する引出端子の保持強度
を調べた結果、D−80以上必要であることが確認され
た。
る外部からの物理的な衝撃に対する引出端子の保持強度
を調べた結果、D−80以上必要であることが確認され
た。
【0023】次に、本発明による実施例Aと従来技術に
よる従来例Bの特性比較について述べる。
よる従来例Bの特性比較について述べる。
【0024】(実施例A)アルミニウム箔表面をエッチ
ング液で粗面化し表面積を拡大した後、誘電体酸化皮膜
を生成した陽極箔と、アルミニウム箔表面を前記同様エ
ッチング液で粗面化し表面積を拡大した陰極箔間にクラ
フト紙又はマニラ紙などからなるスペーサを介在し、任
意な箇所それぞれに陽極引出端子又は陰極引出端子を取
着して巻回後、3%のアジピン酸アンモニウム水溶液中
で電圧を印加し、巻回により破壊された誘電体皮膜を修
復しコンデンサ素子を形成する。一方、アルミニウムか
らなる円筒形の金属ケースにTCNQ錯体を入れて、約
300℃に加熱した平面ヒーター上に乗せて、TCNQ
錯体を溶融液化させる。次に、約300℃に予備加熱さ
せた前記コンデンサ素子を、金属ケース内に含浸し、即
座に金属ケースを冷却水に浸して、TCNQ錯体を冷却
固化させる。次に、ショア硬度がA−45であるエポキ
シ樹脂を、必要充填量の60%注入し60℃で2時間加
熱硬化させて第一樹脂層とし、次に第一樹脂層上にショ
ア硬度がD−85であるエポキシ樹脂を、必要充填量の
残り40%注入し50℃で1時間、さらに105℃で1
時間加熱硬化させ、しかる後、105℃中で端子間に定
格電圧を1時間印加しエージングを行って固体電解コン
デンサとした。
ング液で粗面化し表面積を拡大した後、誘電体酸化皮膜
を生成した陽極箔と、アルミニウム箔表面を前記同様エ
ッチング液で粗面化し表面積を拡大した陰極箔間にクラ
フト紙又はマニラ紙などからなるスペーサを介在し、任
意な箇所それぞれに陽極引出端子又は陰極引出端子を取
着して巻回後、3%のアジピン酸アンモニウム水溶液中
で電圧を印加し、巻回により破壊された誘電体皮膜を修
復しコンデンサ素子を形成する。一方、アルミニウムか
らなる円筒形の金属ケースにTCNQ錯体を入れて、約
300℃に加熱した平面ヒーター上に乗せて、TCNQ
錯体を溶融液化させる。次に、約300℃に予備加熱さ
せた前記コンデンサ素子を、金属ケース内に含浸し、即
座に金属ケースを冷却水に浸して、TCNQ錯体を冷却
固化させる。次に、ショア硬度がA−45であるエポキ
シ樹脂を、必要充填量の60%注入し60℃で2時間加
熱硬化させて第一樹脂層とし、次に第一樹脂層上にショ
ア硬度がD−85であるエポキシ樹脂を、必要充填量の
残り40%注入し50℃で1時間、さらに105℃で1
時間加熱硬化させ、しかる後、105℃中で端子間に定
格電圧を1時間印加しエージングを行って固体電解コン
デンサとした。
【0025】(従来例B)アルミニウム箔表面をエッチ
ング液で粗面化し表面積を拡大した後、誘電体酸化皮膜
を生成した陽極箔と、アルミニウム箔表面を前記同様エ
ッチング液で粗面化し表面積を拡大した陰極箔間にクラ
フト紙又はマニラ紙などからなるスペーサを介在し、任
意な箇所それぞれに陽極引出端子又は陰極引出端子を取
着して巻回後、3%のアジピン酸アンモニウム水溶液中
で電圧を印加し、巻回により破壊された誘電体酸化皮膜
を修復しコンデンサ素子を形成する。一方、アルミニウ
ムからなる円筒形の金属ケースにTCNQ錯体を入れ
て、約300℃に加熱した平面ヒーター上に乗せて、T
CNQ錯体を溶融液化させる。次に、約300℃に予備
加熱させた前記コンデンサ素子を、金属ケース内に含浸
し、即座に金属ケースを冷却水に浸して、TCNQ錯体
を冷却固化させる。次に、ショア硬度がD−85である
エポキシ樹脂を、必要充填量注入し加熱硬化させ、しか
る後、105℃中で定格電圧を端子間に1時間印加しエ
ージングを行って固体電解コンデンサとした。
ング液で粗面化し表面積を拡大した後、誘電体酸化皮膜
を生成した陽極箔と、アルミニウム箔表面を前記同様エ
ッチング液で粗面化し表面積を拡大した陰極箔間にクラ
フト紙又はマニラ紙などからなるスペーサを介在し、任
意な箇所それぞれに陽極引出端子又は陰極引出端子を取
着して巻回後、3%のアジピン酸アンモニウム水溶液中
で電圧を印加し、巻回により破壊された誘電体酸化皮膜
を修復しコンデンサ素子を形成する。一方、アルミニウ
ムからなる円筒形の金属ケースにTCNQ錯体を入れ
て、約300℃に加熱した平面ヒーター上に乗せて、T
CNQ錯体を溶融液化させる。次に、約300℃に予備
加熱させた前記コンデンサ素子を、金属ケース内に含浸
し、即座に金属ケースを冷却水に浸して、TCNQ錯体
を冷却固化させる。次に、ショア硬度がD−85である
エポキシ樹脂を、必要充填量注入し加熱硬化させ、しか
る後、105℃中で定格電圧を端子間に1時間印加しエ
ージングを行って固体電解コンデンサとした。
【0026】しかして、上記実施例Aと従来例Bの10
5℃中に2000時間無負荷放置した後の静電容量減少
率の平均値とバラツキを比較したところ、表1に示すよ
うな結果が得られた。
5℃中に2000時間無負荷放置した後の静電容量減少
率の平均値とバラツキを比較したところ、表1に示すよ
うな結果が得られた。
【0027】なお、試料は、実施例A及び従来例Bとも
に定格16V−15μFで、数量はそれぞれ100個で
ある。
に定格16V−15μFで、数量はそれぞれ100個で
ある。
【0028】
【表1】
【0029】表1から明らかなように、従来例Bのもの
は静電容量減少率の平均値及びバラツキが非常に大き
く、長期的な使用に対する信頼性に欠けるものであり、
このことは、封口樹脂として硬度の硬い樹脂を使用して
いるために、最初の樹脂硬化時に内部に応力が残留し、
その後長時間高温雰囲気にさらされていることにより、
金属ケースと封口樹脂の間に亀裂が生じ、TCNQ錯体
と外気が接して劣化し、静電容量が大幅に低下すること
によるものである。
は静電容量減少率の平均値及びバラツキが非常に大き
く、長期的な使用に対する信頼性に欠けるものであり、
このことは、封口樹脂として硬度の硬い樹脂を使用して
いるために、最初の樹脂硬化時に内部に応力が残留し、
その後長時間高温雰囲気にさらされていることにより、
金属ケースと封口樹脂の間に亀裂が生じ、TCNQ錯体
と外気が接して劣化し、静電容量が大幅に低下すること
によるものである。
【0030】これに対して、実施例Aのものは、密閉性
を左右する第一樹脂層として可撓性樹脂を使用している
ために、残留応力を吸収緩和し、亀裂の発生を抑えてお
り、長期的な使用においても静電容量減少率が小さい固
体電解コンデンサを得ることができる効果を実証した。
を左右する第一樹脂層として可撓性樹脂を使用している
ために、残留応力を吸収緩和し、亀裂の発生を抑えてお
り、長期的な使用においても静電容量減少率が小さい固
体電解コンデンサを得ることができる効果を実証した。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、密閉性良好にして、長
期間の使用においても諸特性劣化のない高信頼性の有機
半導体を固体電解質として用いた固体電解コンデンサを
得ることができる。
期間の使用においても諸特性劣化のない高信頼性の有機
半導体を固体電解質として用いた固体電解コンデンサを
得ることができる。
【図1】本発明の一実施例に係る固体電解コンデンサを
示す断面図。
示す断面図。
【図2】第一樹脂層のショア硬度に対する密閉不良率及
び漏れ電流特性を示す特性曲線図。
び漏れ電流特性を示す特性曲線図。
【図3】第一樹脂層の容積割合に対する静電容量変化率
及び漏れ電流特性を示す特性曲線図。
及び漏れ電流特性を示す特性曲線図。
1 陽極引出端子 2 陰極引出端子 3 コンデンサ素子 4 金属ケース 5 固化状態の有機半導体 6 第一樹脂層 7 第二樹脂層
Claims (1)
- 【請求項1】 任意な箇所に引出端子を取着した弁作用
金属からなる陽極箔と陰極箔間にスペーサを介して巻回
したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する
金属ケースと、この金属ケース内で加熱液化し前記コン
デンサ素子に含浸してなる有機半導体と、前記金属ケー
ス開口部を密閉する封口樹脂からなる固体電解コンデン
サにおいて、前記封口樹脂としてショア硬度がA−40
からD−50の可撓性を有する第一樹脂層と、この第一
樹脂層上に形成したショア硬度がD−80以上の高硬度
性を有する第二樹脂層とからなり、前記第一樹脂層の容
積が全封口樹脂量の50%〜90%であることを特徴と
する固体電解コンデンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6258093A JPH06252014A (ja) | 1993-02-25 | 1993-02-25 | 固体電解コンデンサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6258093A JPH06252014A (ja) | 1993-02-25 | 1993-02-25 | 固体電解コンデンサ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06252014A true JPH06252014A (ja) | 1994-09-09 |
Family
ID=13204405
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6258093A Pending JPH06252014A (ja) | 1993-02-25 | 1993-02-25 | 固体電解コンデンサ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06252014A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006196680A (ja) * | 2005-01-13 | 2006-07-27 | Toyota Motor Corp | コンデンサ装置および車両 |
US20100328847A1 (en) * | 2008-02-21 | 2010-12-30 | Sanyo Electric Co., Ltd. | Solid electrolytic capacitor and method for manufacturing the same |
-
1993
- 1993-02-25 JP JP6258093A patent/JPH06252014A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006196680A (ja) * | 2005-01-13 | 2006-07-27 | Toyota Motor Corp | コンデンサ装置および車両 |
US20100328847A1 (en) * | 2008-02-21 | 2010-12-30 | Sanyo Electric Co., Ltd. | Solid electrolytic capacitor and method for manufacturing the same |
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