JPH0625195U - 竪型断熱低温タンク構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 極低温貯蔵物を高圧状態で大量に貯蔵でき、
しかも敷地面積が小さく低コストの竪型断熱低温タンク
構造を提供すること。 【構成】 基盤１上に支持脚３を介して鉛直に配置され
たボンベ状の内槽４と、該内槽４を所定間隔を隔てて囲
繞して設けられた外槽５と、該外槽５と上記内槽４との
間に充填された保冷材８と、上記内槽４底部と外槽５底
部との間にこれらを仕切って設けられた冷気対流防止材
９とを備えたことを特徴とする竪型断熱低温タンク構
造。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ＬＮ，ＬＯＸ等の極低温貯蔵物を収容する竪型断熱低温タンク構造 に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ＬＮ，ＬＯＸ，ＬＡｒ，ＬＮＧ等の極低温貯蔵物を収容するタンクとして、図 ２に示すような平底円筒タンクＴ₁ や、図３に示す真空断熱タンクＴ₂ が知られ ている。

【０００３】 平底円筒タンクＴ₁ は、基礎スラブａ上にパーライトコンクリート等からなる 底部保冷材層ｂを介して円筒状の内槽ｃを設け、内槽ｃの周りに所定間隔を隔て てこれを囲繞するように外槽ｄを設け、外槽ｄと内槽ｃとの間にパーライト粒等 からなる保冷材ｅを充填して構成されている。

【０００４】 真空断熱タンクＴ₂ は、基盤ｆ上に支持脚ｇを介してボンベ状の内槽ｈを鉛直 に配置し、内槽ｈの周りにこれを囲繞するように外槽ｉを設け、外槽ｉと内槽ｈ との間を真空引きして真空断熱層ｊを形成して構成されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、これらのタンクＴ₁ ，Ｔ₂ には次のような欠点がある。

【０００６】 〔平底円筒タンクＴ₁ について〕 その形状から敷地面積が大きくなることが避けられない。

【０００７】 内槽ｃに収容される極低温貯蔵物（ＬＮ，ＬＯＸ等）の蒸発によりタンク内が 高圧になると、アンカーボルトｋで固定された内槽底板ｌの縁部が反り上がって しまうため、極低温貯蔵物を高圧状態で貯蔵できない。

【０００８】 〔真空断熱タンクＴ₂ について〕 内槽ｈと外槽ｉとの間を真空引きするので、真空力により凹まないように外槽 ｉの板厚を厚く高剛性に成形しなければならず、外槽ｉの材料重量が多くなる。

【０００９】 真空引きする工程が煩雑であり、高コストとなる。

【００１０】 真空引きするため、タンクを大型化することが困難である。

【００１１】 以上の事情を考慮して創案された本考案の目的は、極低温貯蔵物を高圧状態で 大量に貯蔵でき、しかも敷地面積が小さく低コストの竪型断熱低温タンク構造を 提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案は、基盤上に支持脚を介して鉛直に配置され たボンベ状の内槽と、該内槽を所定間隔を隔てて囲繞して設けられた外槽と、該 外槽と上記内槽との間に充填された保冷材と、上記内槽底部と外槽底部との間に これらを仕切って設けられた冷気対流防止材とを備えて構成されている。

【００１３】

【作用】

上記構成によれば、内槽に収容された極低温貯蔵物（ＬＮ等）は、内槽と外槽 の間に充填された保冷材によって極低温状態に保持される。

【００１４】 ここで、内槽がボンベ状に成形されているので、極低温貯蔵物を高圧貯蔵でき る。また、内槽と外槽の間を真空引きしないので、外槽の板厚を薄くできると共 にタンク全体を大型化することが可能となる。また、ボンベ状の内槽を鉛直に支 持して竪型タンクとしているので、占有敷地面積が小さくなる。

【００１５】 他方、内槽底部から外槽底部へ流下する冷気は、内槽底部と外槽底部との間を 仕切って設けられた冷気対流防止材によって遮断され、その対流が防止される。 よって、外槽底部に冷気が逃げることはなく、断熱性が向上する。

【００１６】

【実施例】

以下に本考案の一実施例を添付図面に基づいて説明する。

【００１７】 図１は、竪型断熱低温タンクの側断面図である。図示するように、基盤１上に ベースプレート２および支持脚３を介して、細長いボンベ状の内槽４が鉛直に支 持されている。ベースプレート２はリング状に成形されており、その上に設けら れる支持脚３は円筒状に成形されている。内槽４は、上下端がそれぞれ鏡板４ａ ，４ｂによって蓋されたボンベ状の円筒体から構成されている。この内槽４内に は、ＬＮ，ＬＯＸ，ＬＡｒ，ＬＮＧ等の極低温貯蔵物が収容される。

【００１８】 内槽４の周りには、所定間隔を隔ててこれを囲繞するように外槽５が設けられ ている。外槽５は、内槽４より一回り太い円筒体と、その上下端に取り付けられ た蓋体５ａ，５ｂから構成されている。上部蓋体５ａは鏡板状に成形されており 、下部蓋体５ｂはコーン状の支持部６と円板状の底板部７とからなっている。こ のコーン状支持部６は、上記支持脚３に取り付けられており、実質的に外槽５を 支持するものである。

【００１９】 外槽５と内槽４との間には、パーライト粒等からなる保冷材８が充填される。 保冷材８は、外槽５の上部蓋体５ａを取り付ける前に、上方から投入され重力に より自然積層させる。このとき保冷材８が内槽底部（鏡板４ｂ）の下方にまでま わり込むように、円筒状の支持脚３には内槽底部（鏡板４ｂ）と外槽底部（下部 蓋体５ｂ）との間に位置させて図示しないマンホールが開口されている。

【００２０】 内槽底部４ｂと外槽底部５ｂとの間には、これらを仕切って冷気対流防止材９ が設けられている。冷気対流防止材９は円形に裁断されたアルミ布からなり、そ の円周部が円筒状の支持脚３の内面に接着あるいはネジ止め固定されている。こ の構成によれば、内槽底部４ｂと外槽底部５ｂとの間の保冷材８は、冷気対流防 止材９により上下に仕切られる。

【００２１】 以上の構成からなる本実施例の作用について述べる。

【００２２】 内槽４内に収容された極低温貯蔵物（ＬＮ等）は、内槽４と外槽５の間に充填 された保冷材８によって極低温状態に保持される。

【００２３】 ここで、内槽４の上下端が鏡板状に曲面成形されているので、極低温貯蔵物を 高圧貯蔵しても、図２に破線で示す如く底板ｌが湾曲変形することはない。よっ て、平底円筒タンクＴ₁ よりも高圧貯蔵できる。また、細長いボンベ状の内槽４ を鉛直に支持して竪型タンクとしているので、平底円筒タンクＴ₁ よりも占有敷 地面積が小さくなる。

【００２４】 また、内槽４と外槽５の間を真空引きしないので、真空断熱タンクＴ₂ よりも 外槽５の板厚を薄くでき、外槽材料重量が少なくてすむと共に建設工程の短縮化 が可能となる。よって、低コストとなる。また、真空引きしないので、強度面で 有利であり、真空断熱タンクＴ₂ よりもタンク全体を大型化することが可能とな る。

【００２５】 他方、内槽底部４ｂから外槽底部５ｂへ流下する冷気は、内槽底部４ｂと外槽 底部５ｂとの間を仕切って設けられた冷気対流防止材９（アルミ布）によって遮 断され、その対流が防止される。よって、冷気が外槽底部５ｂに逃げることはな く、断熱性が向上する。このように冷気の外槽底部５ｂへの対流が防止されるの で、外槽底部５ｂにおける霜付きを未然に防止できる。また、基盤１が低温にな らないので、基盤１にパーライトコンクリート等の高価な低温材を用いる必要が ない。

【００２６】 なお、筒体状の支持脚３に外槽底部５ｂよりも下方に位置させて風通穴（図示 せず）を設け、支持脚３に伝わった冷気を風と熱交換させることにより、霜付き を防止するようにしてもよい。

【００２７】

【考案の効果】

以上説明したように本考案に係る竪型断熱低温タンク構造によれば、次の如き 優れた効果を発揮できる。

【００２８】 (1) 占有敷地面積に対して極低温貯蔵物を高圧状態で大量に貯蔵でき、そのうえ 低コストで製造できる。

【００２９】 (2) 内槽底部から外槽底部へ流下する冷気の対流を防止できるので、断熱性が向 上し、外槽底部における霜付きを未然に防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す竪型断熱低温タンク構
造の側断面図である。

【図２】従来例を示す平底円筒タンクの側断面図であ
る。

【図３】従来例を示す真空断熱タンクの側断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 基盤 ３ 支持脚 ４ 内槽 ５ 外槽 ８ 保冷材 ９ 冷気対流防止材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 基盤上に支持脚を介して鉛直に配置され
   たボンベ状の内槽と、該内槽を所定間隔を隔てて囲繞し
   て設けられた外槽と、該外槽と上記内槽との間に充填さ
   れた保冷材と、上記内槽底部と外槽底部との間にこれら
   を仕切って設けられた冷気対流防止材とを備えたことを
   特徴とする竪型断熱低温タンク構造。