JPH06249284A - 車両用制振装置 - Google Patents

車両用制振装置

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JPH06249284A
JPH06249284A JP4120193A JP4120193A JPH06249284A JP H06249284 A JPH06249284 A JP H06249284A JP 4120193 A JP4120193 A JP 4120193A JP 4120193 A JP4120193 A JP 4120193A JP H06249284 A JPH06249284 A JP H06249284A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は慣性質量を変位させて走行する車両
の横方向の振動を制振する構成とした車両用制振装置を
提供することを目的とする。 【構成】 鉄道用車両1は、車両本体2に横方向(X方
向)の振動(加速度)を制振するための一対の制振装置
3a,3bを有する。この制振装置3a,3bは、大
略、車両本体2の振動に応じて駆動される動吸振器4
a,4bと、動吸振器4a,4bを駆動制御する制御装
置7a,7bと、車両本体2の加速度を検出する加速度
センサ9a,9bとよりなる。制御装置7a,7bは加
速度センサ9a,9bから出力された加速度信号に基づ
いて動吸振器4a,4bの制御量uを演算し、動吸振器
4a,4bに制御量uに応じた電圧を供給する。動吸振
器4a,4bは、慣性質量18を車両1の変位方向とは
逆方向に駆動し、車両1のX方向の振動を制振する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両用制振装置に係り、
特に慣性質量を変位させて走行する車両の横方向の振動
を制振する構成とした車両用制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば鉄道用車両又はモノレール用車両
においては、レール(軌道)に沿って走行する構成であ
り、高速走行時にレールの継ぎ目を通過する際、ポイン
トを通過する際、あるいは強い横風を受けた際、車両が
横方向に振動することがある。
【0003】そのため、車両内の乗客は吊り革あるいは
手摺りに掴まって、転ばないようにしなければならなか
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、従来の車両
には、横方向の加速度が車両に作用してもそれを防止す
る手段が設けられてなく、車両の横揺れを防止すること
ができず、乗り心地が悪く、車両は不安定な状態で走行
していた。そのため、乗客は横揺れに耐えなければなら
ず、特に通勤ラッシュ時になると、吊り革あるいは手摺
りに掴まることのできない乗客も多く、車両に横揺れが
生じた際には乗客の苦痛が大きいといった課題がある。
そこで、本発明は上記課題を解決した車両用制振装置を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、車両に移動自
在に設けられた慣性質量と、該慣性質量を駆動させる駆
動手段と、前記車両の進行方向に対する横方向の変位状
態を検出する検出手段と、該検出手段により検出された
検出信号に基づいて前記駆動手段を駆動制御して前記車
両の振動を制振するように前記慣性質量を駆動させる制
御手段と、よりなることを特徴とする。
【0006】
【作用】車両の横方向の変位状態を検出し、車両の横方
向の変位状態に応じて車両の振動を制振するように慣性
質量を駆動させることにより、車両に発生する横方向の
振動を抑制し、走行安定性を向上させるとともに乗り心
地を向上させることができる。
【0007】
【実施例】図1乃至図3に本発明になる車両用制振装置
の第1実施例が適用された鉄道用車両を示す。
【0008】各図中、鉄道用車両1は、車両本体2の底
部に横方向(X方向)の振動(加速度)を制振するため
の一対の制振装置3a,3bが設けられている。この制
振装置3a,3bは、大略、車両本体2の振動に応じて
駆動される動吸振器4a,4bと、動吸振器4a,4b
を駆動制御する制御装置(制御手段)7a,7bと、車
両本体2の横方向の変位状態を加速度として検出する加
速度センサ(検出手段)9a,9bとよりなる。
【0009】一対の動吸振器4a,4bは夫々車両本体
2の底部に突出する支持部5,6間に設けられている。
一方の動吸振器4aは車両本体2の前部に設けられ、他
方の動吸振器4bは車両本体2の後部に設けられてお
り、上からみると車両本体2の中心Oに対して対称にな
るように配置されている。尚、上記加速度センサ9a,
9bの代わりに車両本体2の変位状態を検出する他の形
式のセンサ(例えば変位センサ、速度センサなど)を設
けても良い。
【0010】又、一対の動吸振器4a,4bは夫々制御
装置7a,7bにより個々に制御され、車両本体2の前
部、後部の横方向の振動を制振するように駆動される。
車両本体2の前部と後部には、夫々車両本体2の加速度
を検出する加速度センサ9a,9bが設けられており、
各制御装置7a,7bは加速度センサ9a,9bから出
力された加速度信号に基づいて動吸振器4a,4bを駆
動制御する。
【0011】11,12は台車で、車両本体2の前部と
後部の底部に設けられ、夫々4個の車輪13を転動自在
に支持している。各車輪13は車軸14の両端に設けら
れ、レール15上を転動する。又、車軸14の両端はば
ね16により押圧されており、台車11,12のベース
11a,12aはこのばね16により弾力的に支持され
ている。又、台車11,12のベース11a,12aの
左右両端と車両本体2との間には空気ばね17が介在
し、車両本体2はこの空気ばね17により弾力的に支持
されている。
【0012】従って、車両本体2は上記ばね16及び空
気ばね17を介して前部の台車11と後部の台車12上
に載置された状態でレール15に沿って走行するため、
台車12に上下方向の振動が発生した場合、ばね16及
び空気ばね17によりその加速度が吸収される。
【0013】次に動吸振器4a,4bについて説明す
る。
【0014】上記動吸振器4a,4bはともに同一構成
であるので、ここでは一方の動吸振器4aの構成につい
て説明する。
【0015】動吸振器4aは、平板状の慣性質量18
と、この慣性質量18の移動をガイドする一対のガイド
シャフト19,20と、慣性質量18を貫通しボールね
じ機構21に螺合するボールねじシャフト22と、この
ボールねじシャフト22を回転駆動する駆動モータ(駆
動手段)23とよりなる。
【0016】図3,図4に示すように、慣性質量18は
X方向に平行に横架された一対のガイドシャフト19,
20に摺動自在に支持され、且つ一対のガイドシャフト
19,20の中間をX方向に回転自在に横架されたボー
ルねじシャフト22に螺合されているため、ボールねじ
シャフト22の回転量に応じてX方向に駆動される。従
って、例えば車両1がレール15の継ぎ目を通過する
際、あるいは強い横風を受けた際に車両に生ずる横方向
の加速度による変位と逆方向に慣性質量18が移動して
車両1に生ずる横方向の振動を制振する。
【0017】図5に示すように、制御装置7a,7b
は、加速度センサ9a,9bから出力されたX方向の加
速度信号のうち所定の周波数以下の加速度をカットする
ハイパスフィルタ24と、このハイパスフィルタ24を
通過した加速度信号をデジタル信号に変換するA/D変
換器25と、このA/D変換器25から出力された信号
に基づいて動吸振器4a,4bへの制御量を演算するC
PU26と、CPU26から出力された制御量の信号を
アナログ信号に変換するD/A変換器27と、D/A変
換器27から出力された信号に応じた電圧を駆動モータ
23に出力するモータドライバ28とより大略構成され
ている。
【0018】尚、上記ハイパスフィルタ24のカットオ
フ周波数は制振したい加速度の周波数よりも低い周波数
(本実施例では、車両本体2の固有振動数である1KHz
よりも低い値)に設定されている。
【0019】ここで、図6を参照して制振装置3aのC
PU26が実行する制振処理につき説明する。
【0020】図6中、CPU26は例えば5msec毎に図
6の処理を繰り返し実行している。CPU26はステッ
プS1(以下「ステップ」を省略する)で、先ず、初期
値(例えば、ばね16及び空気ばね17のばね定数、減
衰係数、車両1の質量等)が入力される。
【0021】次に、S2で車両1にX方向への加速度が
発生して加速度センサ9aから加速度信号が出力される
と、S3に進み加速度を2回積分して変位を求める。続
いて、上記S1で入力された初期値に基づいて比例定数
−kを求め、この比例定数−kをS3で算出された変位
に掛けて駆動モータ23への制御力uを求める。そし
て、S4でこの制御力uに指令値を掛けて車両1に発生
したX方向の加速度の大きさに応じた電圧を求める。
【0022】その後、S5に進み、駆動モータ23へ車
両1に発生したX方向の加速度の大きさに応じた電圧を
出力する。従って、車両1の前部及び後部が夫々Xa方
向に変位したときは、そのときの加速度,変位の大きさ
に応じた加速度で動吸振器4aの慣性質量18が共にX
b方向に駆動される。
【0023】尚、制振装置3bのCPU26においても
上記図6に示す処理を同様に実行している。
【0024】従って、車両1の前部がXa方向に変位
し、車両1の後部がXb方向に変位したときは、前部の
動吸振器4aの慣性質量18がXb方向に駆動され,後
部の動吸振器4bの慣性質量18がXa方向に駆動され
る。このように、車両1の前部及び後部のX方向の振動
は各制御装置7a,7bにより個別に制御された動吸振
器4a,4bの制振動作により制振される。よって、車
両1の乗客はほとんどX方向の振動を感じることがな
く、車両1の乗り心地がかなり向上するとともに車両1
の走行安定性も向上し、より安全性も高められる。
【0025】又、車両1の走行安定性が向上するため、
レール15に作用する横方向の力が減少し、車輪13に
よるレール15の摩耗が緩和され、その結果レール15
の寿命が延びる。
【0026】ここで、上記制御力uを演算する際、X方
向の加速度の大きさに応じた最適値を演算する演算方法
についてさらに詳しく説明する。
【0027】本実施例では、上記構成の車両1を数学モ
デルに置き換えて動吸振器4a,4bへの制御量の最適
値を演算する。
【0028】図7は上記構成とされた車両1をモデル化
した図である。
【0029】同図中、m1 は車両1の質量、x1 は車両
1のX方向の変位、m2 は慣性質量18の質量、x2
慣性質量18の変位、k1 は台車11,12に設けられ
たばね16及び空気ばね17のばね定数、c1 は減衰係
数である。この振動系においては、質量m1 の振動は質
量m2 の変位方向及び加速度によってキャンセルされ
る。従って、質量m2 の慣性質量18を駆動するための
制御量uの最適値は、質量m2 に対するばね定数k2
減衰係数c2 を任意に設定することにより求まる。
【0030】図7に示す物理座標系におけるシステムの
状態ベクトルxT (t)、
【0031】
【数1】
【0032】を用いて運動方程式を状態方程式で表現す
ると次式のようになる。
【0033】
【数2】
【0034】但し、u(t)は制御ベクトル、p(t)
は入力加速度である。
【0035】
【数3】
【0036】以上の状態方程式で表せるシステムにおい
て、動吸振器4a,4bの制振動作は図7におけるばね
定数k2 、減衰係数c2 を任意に設定することにより最
適化することができる。
【0037】1次モードに対する最適同調ω2 、最適減
衰率ζ2 は次式のように表せる。
【0038】 ω2 /ω1 =1/(μ2 +1) …(5) μ2 =m2 /M1 …(6) ζ2 =√3μ2 /8(1+μ2 3 …(7) 但し、ω1 は1次モードの固有振動数、μ2 は動吸振器
4a,4bと車両1との質量比、M1 は最大振幅におけ
る1次モード等価質量である。
【0039】そして、ばね定数k2 、減衰係数c2 の最
適値は次式により求まる。
【0040】 k2 =m2 ・ω2 2 …(8) c2 =2m2 ・ω2 ・ζ2 …(9) 上記(8)(9)より動吸振器4a,4bの制御力u
(t)は、次式により求まる。
【0041】
【数4】
【0042】従って、動吸振器4a,4bは、上記のよ
うにして演算された制御力で慣性質量18が車両1の変
位方向とは逆のX方向に駆動され、車両1のX方向の振
動が制振される。
【0043】図8及び図9に本発明の第2実施例を示
す。
【0044】両図中、31はモノレール用車両で、車両
本体32の底部に横方向(X方向)の振動(加速度)を
制振するための一対の制振装置3a,3b(第1実施例
の制振装置と同一構成)が設けられている。車両本体3
2の上部には、一対のアーム33,34が設けられてお
り、このアーム33,34に吊下されて走行する。
【0045】一方のアーム33は車両本体32の前部に
設けられ、他方のアーム34は車両本体32の後部に設
けられている。さらに、アーム33,34は上端が逆U
字状に形成され、高所に設けられたコンクリート製のレ
ール35に嵌合する凹部33a,34aを有する。この
凹部33a,34aの両側内壁には、レール35の側面
に転動自在に当接する車輪(図示せず)が設けられてお
り、モノレール用車両31はこの車輪が回転駆動される
ことによりレール35に沿って走行する。
【0046】尚、上記のようにレール35の側面を転動
する車輪は、レール35の凹凸通過による振動を吸収で
きるようにばね(図示せず)等により押圧支持されてい
る。従って、モノレール用車両31は、車両本体32が
上記一対のアーム33,34に吊下された状態で走行す
るため、例えばレール35の継ぎ目を通過する際はX方
向に揺れながら走行することになり、特に風の強い日に
は車両本体32が直進しているときでも横風を受けて車
両本体32がX方向に揺れながら走行することになる。
【0047】そのため、上記車両本体32の底部には、
横方向(X方向)の振動(加速度)を制振するための一
対の動吸振器4a,4b(第1実施例の動吸振器と同一
構成)が設けられている。一対の動吸振器4a,4bは
夫々車両本体2の底部に突出する支持部5,6間に設け
られている。一方の動吸振器4aは車両本体2の前部に
設けられ、他方の動吸振器4bは車両本体2の後部に設
けられている。
【0048】又、一対の動吸振器4a,4bは夫々制御
装置7a,7bにより個々に制御され、車両本体32の
前部、後部の横方向の振動を制振するように駆動され
る。車両本体32の前部と後部には、夫々車両本体32
の加速度を検出する加速度センサ9a,9bが設けられ
ており、各制御装置7a,7bは加速度センサ9a,9
bから出力された加速度信号に基づいて動吸振器4a,
4bの制御量uを演算し、動吸振器4a,4bの駆動モ
ータ23に制御量uに応じた電圧を供給する。
【0049】従って、動吸振器4a,4bはモノレール
用車両31がレール35の凹凸あるいはカーブを通過す
る際、あるいは強い横風を受けた際、車両本体32のX
方向の振動をキャンセルする方向に慣性質量18に駆動
してモノレール用車両31のX方向の振動を制振する。
これにより、モノレール用車両31は横揺れすることな
く安定に走行することができ、乗り心地が向上する。
【0050】尚、上記実施例では、車両の底部に一対の
動吸振器を設けたが、これに限らず、例えば車両の上部
に設けても良い。
【0051】又、制振装置の設置数は、1台の車両に対
して3台以上設置する構成としてもよい。
【0052】又、上記実施例では、鉄道用車両とモノレ
ール用車両とを一例として挙げたが、これに限らず、例
えばリニアモータ用車両等にも適用できるのは勿論であ
る。
【0053】又、上記実施例では、慣性質量をモータで
駆動したが、駆動手段としてはこれに限らず、例えば油
圧アクチュエータあるいは空気圧力により作動するアク
チュエータなどを使用しても良い。
【0054】
【発明の効果】上述の如く、本発明になる車両用制振装
置は、車両の変位状態を検出し、車両の変位に応じて車
両の振動を制振するように慣性質量を駆動させることに
より、車両に発生する横方向の振動を抑制することがで
き、よって走行安定性を向上させるとともに、乗り心地
を向上させることができる等の特長を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる車両用制振装置の第1実施例を説
明するため車両を正面からみた要部を示す図である。
【図2】図1に示す鉄道用車両を側面からみた要部を示
す図である。
【図3】図1に示す鉄道用車両を上方からみた図であ
る。
【図4】慣性質量の縦断面図である。
【図5】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】CPUが実行する処理を説明するためのフロー
チャートである。
【図7】鉄道用車両及び動吸振器の振動系を説明するた
めの数学モデルの図である。
【図8】本発明になる第2実施例のモノレール用車両を
正面からみた図である。
【図9】図8のモノレール用車両を側面からみた図であ
る。
【符号の説明】
1 鉄道用車両 2 車両本体 3a,3b 制振装置 4a,4b 動吸振器 7a,7b 制御装置 9a,9b 加速度センサ 11,12 台車 18 慣性質量 23 駆動モータ 31 モノレール用車両 32 車両本体 33,34 アーム 35 レール

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に移動自在に設けられた慣性質量
    と、 該慣性質量を駆動させる駆動手段と、 前記車両の進行方向に対する横方向の変位状態を検出す
    る検出手段と、 該検出手段により検出された検出信号に基づいて前記駆
    動手段を駆動制御して前記車両の振動を制振するように
    前記慣性質量を駆動させる制御手段と、 よりなることを特徴とする車両用制振装置。
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