JPH06248038A - ポリエーテル系グラフト樹脂及びその製造方法 - Google Patents

ポリエーテル系グラフト樹脂及びその製造方法

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JPH06248038A
JPH06248038A JP50A JP5968793A JPH06248038A JP H06248038 A JPH06248038 A JP H06248038A JP 50 A JP50 A JP 50A JP 5968793 A JP5968793 A JP 5968793A JP H06248038 A JPH06248038 A JP H06248038A
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JP
Japan
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polymer
polyether
resin
vinyl monomer
graft
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JP50A
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Yukihisa Hoshino
幸久 星野
Hidehiro Matsuda
英博 松田
Kazuko Fujii
和子 藤井
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 帯電性の大きいビニル系樹脂に対して、容易
に均一ブレンドができ、ブレンド物の物性低下を来すこ
となく帯電防止性能を付与することのできるポリエーテ
ル系グラフト樹脂を提供する。また、ポリマー型界面活
性剤としても優れるポリエーテル系グラフト樹脂を提供
する。 【構成】 ポリエーテル系ポリマーと、芳香族ビニルモ
ノマー単位を50モル%以上含有するビニル系ポリマー
を含有し、ポリエーテル系ポリマー及びビニル系ポリマ
ーそれぞれの40重量%以上が共有結合によってグラフ
ト結合しており、重量平均分子量が10万〜200万で
あることを特徴とするポリエーテル系グラフト樹脂及び
その製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、埃が付着しにくいビニ
ル系樹脂組成物を製造するための添加剤に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にプラスチックと呼ばれ、成形加工
されている樹脂の多くは、電気絶縁性であるため樹脂表
面に静電気が蓄積されやすく、埃等の微粒子が付着する
問題、及び静電気のスパークにより火花が発生して可燃
物に引火あるいは人体に不愉快なショックを与える問題
等を有している。
【0003】特に、ポリスチレン系やポリ(メタ)アク
リル酸エステル系などのビニル系樹脂は、主鎖が必然的
に電気絶縁性が高い炭素−炭素結合によって構成される
ため、この傾向が強い。
【0004】このような静電気の蓄積を抑制するために
樹脂の電気抵抗を小さくする方法として、界面活性剤を
樹脂に練り込む方法や親水性が強い官能基を有するビニ
ル系モノマーを共重合する方法などが考えられている。
これらの方法のうち、親水性が強い官能基を有するビニ
ル系モノマーを共重合する方法は、強度等他の物性を低
下させ、樹脂本来の物性バランスを崩すなどの問題があ
る上、コストアップにつながるため、実施されている例
は必ずしも多いとはいえない。
【0005】一方、界面活性剤を樹脂に練り込む方法
は、使用量が比較的少量ですみ、物性を落とさず、コス
トアップも最小ですむため有効な方法であり、現在、盛
んに行われているが、低分子量の界面活性剤を用いた場
合は、界面活性剤が表面にブリードして電気抵抗を低下
させる機構のため、水に曝したり濡れ雑巾で拭いたりし
た場合に除去されてしまい、効果が低下する問題があ
る。
【0006】このような問題を解決し、長期にわたって
電気抵抗を低下させる永久制電性を達成するため、ポリ
マー型界面活性剤を使用する種々の方法が提案されてい
る。それらの中で最も一般的なのがポリエーテル系のポ
リマーを使用するものであり、中でも効果が大きいのは
ポリエチレングリコールであるが、これは結晶性である
ため、他の樹脂と均一に混合するのが極めて困難であ
る。
【0007】この問題を解決するために、ポリエチレン
グリコールを化学的に変性する試みが種々行われてい
る。例えば、特開昭59−142242号公報では、末
端にカルボキシル基を持つポリマーとポリエチレングリ
コールの末端官能基を反応させる方法が記載されてい
る。しかしながら、この方法では異種ポリマー間の反発
が大きく、結合反応が進行しにくいために限界がある。
また、特開昭60−23435号公報では、ポリエチレ
ングリコールをエステル基及びアミド基で結合した重合
体をビニル系樹脂に混合する方法が記載されている。し
かしながら、この方法では重合体の極性が極めて大きい
ため、通常の極性の小さなビニル系樹脂に均一に混合す
ることが困難であり、ビニル系樹脂にカルボキシル基を
導入するなどの工夫が必要になって、コストアップとな
る。
【0008】上記、2例の方法は、いわゆるポリエチレ
ングリコール構造を含むブロック重合体の考え方である
が、一方においてポリエチレングリコール構造を含むグ
ラフト重合体の考え方もある。例えば、特開昭58−9
8317号公報では、片末端にラジカル重合可能なビニ
ル基を有するポリエチレングリコールを他のビニル系モ
ノマーとラジカル共重合する方法が記載されている。し
かしながら、この方法はポリエチレングリコールモノマ
ーが高価である上、ポリエチレングリコール構造が架橋
結合を生じやすいため、共重合比率、即ちポリエチレン
グリコールの含有比率を上げられない問題がある。
【0009】上述の如く、ポリエチレングリコール構造
はラジカル重合中に架橋結合を生じやすい、言い替えれ
ばラジカル連鎖移動反応を起こしやすいことが知られて
おり、この性質を利用してラジカル重合中にポリエチレ
ングリコール鎖にラジカルを発生させ、ここからビニル
系モノマーを重合して主鎖をポリエチレングリコール構
造、側鎖をビニル系ポリマーとするグラフト重合体を製
造する考え方が特開平2−242843号公報に記載さ
れている。この方法は、容易にグラフト物が製造でき、
かつポリエチレングリコールの含有比率を比較的自由に
制御できる優れた方法であるが、従来の方法ではポリエ
チレングリコールとビニル系ポリマーの結合の割合、即
ちグラフト率が低く、ビニル系樹脂と混合しにくかった
り、また、ビニル系樹脂とうまく混合できたとしてもグ
ラフトしていないポリエチレングリコールの存在比が大
きいため、混合物の物性、特に衝撃強度を大きく低下さ
せる問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題点を解決し、その目的とすところは電気抵抗が大き
く、静電気が蓄積し易い性質のビニル系樹脂に対して容
易に均一に混合でき、ビニール系樹脂に帯電防止性能を
付与し、しかも混合物の物性を低下させないポリエーテ
ル系グラフト樹脂を提供することである。また、本発明
の別な目的は、グラフト率が非常に高く、ポリマー型界
面活性剤として優れたポリエーテル系グラフト樹脂を提
供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエーテル
系ポリマー主鎖に対して効率よくラジカルを発生させう
るラジカル重合開始剤を見いだすことによりポリエーテ
ル系グラフト樹脂の生成が可能であるとの考えから鋭意
検討した結果、到達したものである。即ち、本発明はポ
リエーテル系ポリマーと、芳香族ビニルモノマー単位を
50モル%以上含有するビニル系ポリマーを含有し、ポ
リエーテル系ポリマー及びビニル系ポリマーそれぞれの
40重量%以上が共有結合によってグラフト結合してお
り、重量平均分子量が10万〜200万であることを特
徴とするポリエーテル系グラフト樹脂、及び下記一般式
を有する有機過酸化物ラジカル開始剤によってラジカル
重合可能なビニル系モノマーを重合することを特徴とす
る上記ポリエーテル系グラフト樹脂の製造方法である。
一般式
【0012】
【化2】
【0013】(式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5
6 ,R7 ,R8 ,R9 ,R10,R11,R12は水素、ア
ルキル基またはアルケニル基である。)
【0014】本発明において、ポリエーテル系ポリマー
とは、エーテル結合を有する繰り返し構造によって分子
が構成されているポリマーをいい、その繰り返し単位の
数には特に制限はないが、通常は10〜10000の繰
り返し単位数を有するものが好ましく、20〜500の
繰り返し単位数を有するものが特に好ましい。
【0015】また、エーテル構造を有する繰り返し単位
中でエーテル基と結合している炭素には最低1個以上の
水素が結合している必要がある。
【0016】このようなポリエーテル系ポリマーとして
は、例えば、ポリメチレングリコール、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレング
リコール、ポリスチレングリコールなどがあるが、本発
明の効果が高いものとして、特に基本繰り返し構造が−
酸素−炭素−炭素−であるポリエチレングリコール及び
ポリプロピレングリコールが好ましい。
【0017】本発明におけるグラフト樹脂とは、共有結
合による分岐構造を有するポリマーにおいて主鎖と側鎖
の分子構造が異種のものをいい、主鎖はポリエーテル系
ポリマーであり、側鎖はラジカル重合によって重合され
る芳香族ビニル系ポリマーである。そして側鎖の芳香族
ビニル系ポリマーはブレンドされる樹脂と同一、または
互いに相溶するものが好ましい。
【0018】本発明において、側鎖として用いられる芳
香族ビニル系ポリマーはラジカル重合によって重合され
るポリマーであり、スチレン、ビニルトルエン、α−メ
チルスチレなどの芳香族ビニルモノマーの単独または共
重合体及び該芳香族ビニルモノマーの少なくとも1種を
50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好
ましくは70モル%以上と、アクリル酸、アクリル酸ア
ルキルエステル、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキルエステル、メ
タクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリ
ロニトリル、酢酸ビニル、マレイン酸モノアルキルエス
テル、マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸モノア
ルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル等の他の
モノマーの少なくとも1種との共重合体が挙げられる。
【0019】本発明のグラフト樹脂は、好ましくはポリ
エーテル系ポリマー20〜80重量部及びビニル系ポリ
マーを80〜20重量部を含有し、そのうちポリエーテ
ル系ポリマー及びビニル系ポリマーそれぞれの40重量
%以上、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは
60重量%以上が共有結合によるグラフト構造を形成し
ているものである。そしてグラフト樹脂の重量平均分子
量は10万〜200万である。
【0020】主鎖ポリマー成分であるポリエーテル系ポ
リマー全体に対するグラフト構造寄与分の比率が少なけ
れば、他の樹脂とのブレンドが困難になり、ブレンド物
の物性を低下させる。また、側鎖ポリマー成分であるビ
ニル系ポリマー全体に対するグラフト構造寄与分の比率
が少なければ、同様に他の樹脂とのブレンドが困難にな
り、ブレンド物の物性を低下させる。
【0021】本発明において限定しているグラフト構造
寄与分は、側鎖のビニル系ポリマーを重合した直後の状
態に於いての値であり、その後で別途合成したポリマー
等を任意の方法で混合することを妨げるものではない。
【0022】本発明におけるグラフト構造寄与分は、主
鎖ポリマー及び側鎖ポリマーが同時に溶解せず、片方だ
けが溶解する2種の溶媒を用いて抽出し、分離された各
々を定量して求めることができるが、特にその測定法を
限定するものではない。
【0023】本発明におけるポリエーテル系グラフト樹
脂の重量平均分子量は10万〜200万、好ましくは2
0万〜150万である。ここで分子量が小さければ、グ
ラフト効率が乏しくなり、分子量が大きければ埃付着防
止の効果が乏しくなる。
【0024】本発明において、重量平均分子量は標準分
子量ポリスチレンによる検量線を用いて、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定さ
れる。ここで使用する溶出溶剤は特に限定されないが、
ポリエーテル系グラフト樹脂の溶解性の点からクロロホ
ルムを用いるのが好ましい。
【0025】本発明におけるポリエーテル系グラフト樹
脂は、主鎖ポリマーであるポリエーテル系ポリマーの存
在下で、側鎖ポリマーである芳香族ビニル系ポリマーを
ラジカル重合することによって製造される。重合系に存
在させるポリエーテル系ポリマー20〜80重量部に対
してビニルモノマーは80〜20重量部重合させるのが
好ましい。このとき主鎖であるポリエーテル系ポリマー
の分子中にラジカルを発生させることが必要であり、従
って芳香族ビニル系ポリマーをラジカル重合する際にポ
リエーテル系ポリマーを共存させることは必須である。
【0026】本発明においては、ポリエーテル系ポリマ
ーの存在下で側鎖ポリマーである芳香族ビニル系ポリマ
ーをラジカル重合するに際して、下記一般式を有する有
機過酸化物ラジカル開始剤を用いることが必須である。
一般式
【0027】
【化3】
【0028】(式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5
6 ,R7 ,R8 ,R9 ,R10,R11,R12は水素、ア
ルキル基またはアルケニル基である。)
【0029】一般式で表される構造は、ケトンパーオキ
シケタールと呼ばれる構造であり、本構造を有する有機
過酸化物ラジカル開始剤を用いた場合には、特異的に優
れた生成物が得られる。その理由については明かでない
が、生成するラジカルの反応性と関係しているものと推
測できる。即ち、一般式で表される構造がラジカル重合
開始剤として機能する場合、第一段階としてパーオキシ
ケタールの2つの過酸結合(−O−O−)の一方が均一
開裂して2つの酸素ラジカルが生成し、引き続き、もう
一つの過酸結合はパーオキシラジカル(−O−O・)を
放出してケトン基となる。この一連の分解機構を考察す
ると、ラジカル重合に関与する生成ラジカルは、全て、
炭素−水素結合から水素を引き抜く反応性に富む酸素ラ
ジカルである。加えて、従来の知見からも明らかなよう
に、エーテル結合に隣接した炭素と結合している水素は
ラジカルによって引き抜かれやすいこととの相乗効果に
よって非常に高い確率でエーテル基に隣接した炭素上に
ラジカルが生成し、ここからビニル系モノマーのラジカ
ル重合が開始することから高いグラフト率が得られるも
のと考えられる。
【0030】本発明における一般式に相当する有機過酸
化物の例としては、2−オクタノン−ジターシャリブチ
ルパーオキシケタール、シクロヘキサノン−ジターシャ
リブチルパーオキシケタール、3,3,5−トリメチル
−ジターシャリブチルパーオキシケタール等のパーオキ
シケタール類がある。
【0031】本発明によって得られる樹脂は、これまで
知られていない程、高いグラフト率を有するポリエーテ
ル系グラフト樹脂であり、それによって優れた効果を発
現する。
【0032】本発明において用いられる前述のビニル系
モノマーはラジカル重合によって側鎖ポリマーを生成す
る。
【0033】本発明において、ポリエーテル系ポリマー
存在下でビニル系モノマーをラジカル重合するとき、そ
の重合形態は任意である。即ち、ポリエーテル系ポリマ
ーだけの存在下で行う塊状重合やトルエン、キシレン、
エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノー
ル、ブタノール、水などの既知の溶媒を用いて行う溶液
重合等が可能である。また、ポリエーテル系ポリマーが
可溶でビニル系ポリマーが不溶な溶媒中で不均一重合さ
せる懸濁重合や乳化剤の存在下で行う乳化重合等も可能
である。
【0034】ジエチルエーテル、テトラヒドロフランな
どのエーテル系溶媒は、それ自身がラジカル連鎖移動を
起こしやすい部分を有するため、重合溶媒として用いる
ことは好ましくないが、グラフト率を制御(低下)させ
る場合に使用できる。
【0035】
【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を更
に詳細に説明する。実施例及び比較例において、埃付着
試験は次の方法で同時に行った。 埃付着試験方法 厚さ3mm,幅3cm×5cmの平板試験片を射出成形
によって作成し、これを、水平に立てたアクリル板に固
定した。固定する直前に少量のメタノールを染み込ませ
た薄紙で試験片表面を洗浄した。これに、50cm離れ
たところに設置した扇風機から均一に送風し、8時間放
置した後、試験片を外して重量を測定し、その直後に処
理前と同様に少量のメタノールを染み込ませた薄紙で付
着した埃を洗浄して、再度重量を測定した。この洗浄に
よって減少した重量を埃付着量とした。
【0036】実施例1 撹拌機を付けた4つ口ガラス製1リットルフラスコにポ
リエチレングリコール(日本油脂社製PEG#1100
0、Mn=10、500)300g及びトルエン300
gを秤量し、130℃のオイルバスで加熱し、トルエン
還流状態(113〜115℃)にした。ここに、スチレ
ン300gと3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン
−ジターシャリブチルパーオキシケタール(日本油脂社
製商品名パーヘキサ3M)12gの混合物を2時間かけ
て滴下し、その後、2時間還流を続けて重合を完結し
た。
【0037】重合終了後、生成物をステンレス製バット
に移し、これをそのまま減圧乾燥機(120℃、10m
mHg以下)で12時間乾燥し、揮発分を除去した。得
られたグラフト樹脂は白色半透明の固体であり、収量は
594g(収率99%)であった。得られたグラフト樹
脂のGPC(ポリスチレン換算)で測定した分子量の結
果を表1に示す。
【0038】得られたグラフト樹脂20gをトルエン1
00g中で加熱還流し、グラフト樹脂を溶解させた後、
室温20℃で一晩静置して、ポリエチレングリコール成
分を析出させた。これを減圧濾過で溶液と分離し、析出
物は30gのトルエンで洗浄した後、減圧乾燥機で乾燥
し、重量を測定した。乾燥させた析出物2gをメタノー
ルを抽出溶媒としたソックスレー抽出器で恒量に達する
まで抽出した。トルエン及びメタノール溶液はそのまま
濃縮・乾燥し、重量を測定した。これらをNMRによっ
て分析したところ、トルエン可溶分は非グラフトのポリ
スチレンであり、メタノール抽出分は非グラフトのポリ
エチレングリコールであった。また、メタノール抽出の
残分はポリスチレンとポリエチレングリコールの双方が
確認された。この分離・抽出操作の結果を表1に示す。
【0039】グラフト樹脂を2及び10重量%とゴム含
有ポリスチレン樹脂(電気化学社製デンカスチロールH
I−E40)を98及び90重量%をそれぞれ2軸押出
機でブレンドした。このブレンド物は均一に分散した状
態で得られた。このブレンド物を射出成形によって衝撃
強度測定用の1号A試験片を作成し、そそまま切欠きを
付けないでJIS K7110に準じた測定によってア
イゾット衝撃強度を測定した。衝撃強度及び埃付着試験
の結果を併せて表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】実施例2 分子量の異なるポリエチレングリコール(日本油脂社製
PEG#4000、Mn=4、000)を用いた以外は
全て実施例1と同様にしてグラフト樹脂を作成した。得
られた樹脂は白色固体で、収量は591g(収率98.
5%)であった。その他の結果を表1に示す。
【0042】実施例3 ラジカル重合開始剤として、2−オクタノン−ジターシ
ャリブチルパーオキシケタール(日本油脂社製商品名パ
ーヘキサV)を用いて、実施例1と同様に重合し、グラ
フト樹脂を作成した。得られたグラフト樹脂は白色固体
で、収量は593g(収率98.8%)であった。その
他の結果を表1に示す。
【0043】実施例4 ポリエチレングリコール(日本油脂社製PEG#110
00、Mn=10,500)300gとスチレン300
g及び3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン−ジタ
ーシャリブチルパーオキシケタール(パーヘキサ3M)
6gを撹拌機の付いた4つ口ガラス製1リットルフラス
コに秤量し、オイルバスで加熱しながら、約1時間かけ
て90℃まで昇温した。続いて、90℃で4時間重合し
た後、トルエン300gを加え、還流温度で2時間加熱
して重合を完結した。その後、実施例1と同様に処理し
て、白色固体のグラフト樹脂578g(収率 96.3
%)を得た。測定結果を表1に示す。
【0044】比較例1 ラジカル重合開始剤として、2,2−アゾビスイソブチ
ロニトリル(和光純薬社製試薬)を用いて、実施例1同
様に重合した。その結果、白色固体の樹脂597g(収
率 99.5%)を得た。測定結果を表1に示す。
【0045】この樹脂を実施例と同様にゴム含有ポリス
チレンとブレンドしようとしたが、均一にブレンドでき
ず、明らかに分離した状態であった。このため、射出成
形で十分な試験片を作成するこができず、ブレンド物の
評価もできなかった。
【0046】比較例2 ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド
(日本油脂社製ナイパーB)を用いて、実施例1と同様
に重合を行い、白色固体の樹脂596g(収率99.3
%)を得た。分離・抽出の測定結果を表1に示したが、
ブレンド物は比較例1と同様の状態となったため、評価
ができなかった。
【0047】比較例3 ブランクとして、グラフト樹脂をブレンドしないゴム含
有ポリスチレン(電気化学社製デンカスチロールHI−
E4)を2軸押出機で押出し、作製した試験片について
衝撃強度及び埃付着試験を行った。結果を表1に示す。
【0048】
【発明の効果】以上の通り、本発明のポリエーテル系グ
ラフト樹脂はポリスチレンと均一にブレンドすることが
でき、ブレンド物に対する埃の付着を著しく抑制でき
る。また、グラフト樹脂を少量添加することにより、ブ
レンド物の衝撃強度が若干ながらも改善されている。従
って、本発明にかかるグラフト樹脂は、本発明の目的を
達成している。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエーテル系ポリマーと、芳香族ビニ
    ルモノマー単位を50モル%以上含有するビニル系ポリ
    マーを含有し、ポリエーテル系ポリマー及びビニル系ポ
    リマーそれぞれの40重量%以上が共有結合によってグ
    ラフト結合しており、重量平均分子量が10万〜200
    万であることを特徴とするポリエーテル系グラフト樹
    脂。
  2. 【請求項2】 ポリエーテル系ポリマーの存在下で、一
    般式 【化1】 (式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 ,R7
    8 ,R9 ,R10,R11,R12は水素、アルキル基また
    はアルケニル基である。)を有する有機過酸化物ラジカ
    ル開始剤によって芳香族ビニルモノマー単独、または該
    芳香族ビニルモノマーとラジカル重合可能なビニル系モ
    ノマーを(共)重合することを特徴とするポリエーテル
    系グラフト樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 芳香族ビニルモノマーがスチレンである
    ことを特徴とする請求項1記載のポリエーテル系グラフ
    ト樹脂。
  4. 【請求項4】 ポリエーテル系ポリマーの基本繰り返し
    構造単位が、−酸素−炭素−炭素−、であり、その繰り
    返し単位数が10〜10000であることを特徴とする
    請求項1記載のポリエーテル系グラフト樹脂。
JP50A 1993-02-24 1993-02-24 ポリエーテル系グラフト樹脂及びその製造方法 Pending JPH06248038A (ja)

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