JPH06247825A - 歯科用充填組成物 - Google Patents

歯科用充填組成物

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JPH06247825A
JPH06247825A JP50A JP6272493A JPH06247825A JP H06247825 A JPH06247825 A JP H06247825A JP 50 A JP50 A JP 50A JP 6272493 A JP6272493 A JP 6272493A JP H06247825 A JPH06247825 A JP H06247825A
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哲朗 太田
Hiroyuki Sasaki
裕之 佐々木
Michihiro Ikeda
道弘 池田
Eiji Hattori
英次 服部
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 重合可能な単量体と無機質充填材とを含む歯
科用充填組成物であって、無機質充填材として、 a)平均粒子径1.0〜5.0μmである球形状のジル
コニウム含有ケイ酸塩粒子(A)50〜80重量%と b)粒子径が0.5μm以下であり、かつ粒子径が0.
2μm以下の球形状のシリカ粒子を10〜70重量%含
む球形状のシリカ粒子(B)50〜20重量%との混合
物を用いることを特徴とする歯科用充填組成物。 【効果】 本発明は、無機質充填材の充填量が高く、硬
化物の表面平滑性、光沢及び透明性等の審美性、機械的
強度及び耐久性に優れ、加えて、優れたX線不透過性を
具えた歯科用充填組成物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯科用充填組成物に係
り、更に詳細には、無機質充填材の充填量が高く、硬化
物の表面平滑性、光沢及び透明性等の審美性、機械的強
度及び耐久性に優れ、加えて優れたX線不透過性を有す
る歯科用充填組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、重合可能な単量体と無機質充填材
とよりなる歯科用充填組成物が、各種歯牙欠損部の修復
に広く用いられている。かかる歯科用充填組成物は、ア
クリル系単量体とシリカ又は各種ガラス粉末等の無機質
充填材とよりなり、これら充填組成物の性能が、無機質
充填材の組成,形状,粒子径,粒径分布及び充填量によ
り、大きく影響を受けるため、各種の無機質充填材が従
来より提案されている。当初、無機質充填材としては、
粒子径5〜100μmの粉末が使用され、機械的強度に
問題は認められなかったが、大きな粒子の存在により、
滑らかな表面が得られず、審美性の点で不満が残った。
一方、滑らかな表面を得るため粒子径0.01〜0.0
3μmの合成された超微粒子シリカの使用も提案された
が、充填量がたかだか50重量%で、機械的強度及び耐
久性には問題が多く、十分な満足は得られなかった。
【0003】近年、充填量が高く、機械的強度も優れて
いる無機質充填材として、粒子径10μm以下に調製し
た破砕天然シリカと超微粒子シリカとを併用するハイブ
リッドタイプが提案されている。この場合、確かに機械
的強度及び耐久性は高く、粒子径10μm以下に調製さ
れているため硬化物もある程度の表面平滑性を有してい
るが、なお天然歯に匹敵する審美性とは言い難く、加え
てシリカの使用ではX線不透過性も不十分である。ま
た、粒子径が0.1〜1.0μmの範囲にある球形状の
シリカの使用が、審美性及び機械的強度に優れた歯科用
充填組成物を与えるとの提案も成されている(特開昭5
8−41810)。この場合、比較的小さな粒子の使用
により表面平滑性及び光沢は満足できるが、充填量はた
かだか75重量%であり、機械的強度も低く、かつ吸水
性が高くなり耐久性にも問題が残る。加えて、シリカ
は、X線不透過性はないうえ、重合したアクリル系モノ
マーとの屈折率との屈折率の差が大きく、天然歯なみの
透明性を得るのも困難であった。更に、良好な透明性を
得るために、シリカと周期律表第IV族金属の酸化物を主
な構成成分とする粒子径0.1〜1.0μmの球形状の
無機酸化物の使用が提案されている(特開昭62−89
701)。この場合、屈折率の調整により透明性は良好
で、かつ表面平滑性及び光沢も問題なく、加えて、ジル
コニア等を用いればX線不透過性も満足できる。しか
し、充填量はやはり75重量%に達せず、曲げ強度はた
かだか900kg/cm2 と機械的強度は低い。更に、
粒子径1〜100μmの粒子と前記の粒子径0.1〜
1.0μmの球形状粒子の併用により、流動性を改良
し、かつ、象牙細管等の細管内部への充填材含有量を高
めるとの提案も成されている(特開昭61−14810
9)。しかるに、この提案は流動性及び細管内部への高
充填材含有量が目的であり、曲げ強度はたかだか100
0kg/cm2 と機械的強度は低く、また、平均粒子径
のかなり大きな粒子の使用より推察すると、表面平滑性
も前述したハイブリッドタイプ同様不満足なものであ
る。以上に述べた如く、硬化物の機械的強度と天然歯に
匹敵する審美性を有し、さらに、臨床上必要な優れたX
線不透過性を有する歯科用充填組成物は、未だ得られて
いない。
【0004】
【本発明が解決しようとする問題点】本発明者等は上述
の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、特定の組成及
び粒子径を有する球形状の無機酸化物の組合わせからな
る混合物を充填材として使用すると、かかる問題点の悉
くが解消されることを見いだし本発明を完成したもので
あって、その目的とするところは、無機質充填材の充填
量が高く、硬化物の表面平滑性、光沢及び透明性等の審
美性、機械的強度及び耐久性に優れ、加えて、優れたX
線不透過性を具えた歯科用充填組成物を提供するにあ
る。本発明の他の目的並びに効果は以下の説明から明ら
かにされよう。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、重合可能
な単量体と無機質充填材とを含む歯科用充填組成物であ
って、無機質充填材として、 a)平均粒子径1.0〜5.0μmである球形状のジル
コニウム含有ケイ酸塩粒子(A)50〜80重量%と b)粒子径が0.5μm以下であり、かつ粒子径が0.
2μm以下の球形状のシリカ粒子を10〜70重量%含
む球形状のシリカ粒子(B)50〜20重量%との混合
物を用いることを特徴とする歯科用充填組成物により達
成される。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
重合可能な単量体としては、歯科用充填組成物に使用さ
れるものであれば、特に限定されるものではなく、種々
の単量体が用いられるが、好ましくは重合可能なビニル
モノマーを用いるのがよい。ビニルモノマーとして最も
代表的なものはアクリル基及び/又はメタクリル基を有
する重合可能なビニルモノマーが挙げられる。
【0007】例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)−アクリル酸n−プロ
ピル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の一官能
性の(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリ
レート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレート、2,2′−ビス〔p−
(γ−メタクリロキシ−β−ヒドロキシプロポキシ)フ
ェニル〕プロパン、ビスフェノールAジメタクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
2,2′−ジ(4−メタクリロキシポリエトキシフェニ
ル)プロパン、1,2−ビス(3−メタクリロキシ−2
−ヒドロキシプロポキシ)エタン等の多官能性(メタ)
アクリレートが挙げられ、また、2,2,4−トリメチ
ルヘキサメチレンジイソシアネートとメタクリル酸オキ
シプロピルとの反応生成物等のウレタン(メタ)アクリ
レート単量体等も好適に使用できる。これらのビニルモ
ノマーは必要に応じて単独で或は混合して使用すればよ
い。また、本発明では、必要に応じて重合開始剤を用い
てもよく、使用する重合開始剤としては、特に限定され
るものではなく公知のものを用いればよい。重合手段と
しては光エネルギーによるもの、過酸化物と促進剤によ
るもの等を用いることができる。
【0008】本発明の歯科用充填組成物の他の成分は無
機質充填材である。本発明で使用する無機質充填材は a)平均粒子径1.0〜5.0μmである球形状のジル
コニウム含有ケイ酸塩粒子(A)と b)粒子径が0.5μm以下であり、かつ粒子径が0.
2μm以下の球形状のシリカ粒子を10〜70重量%含
む球形状のシリカ粒子(B)の少なくとも2つの群から
なる混合物であることが必要である。このような粒子を
用いることにより、無機質充填材の充填量が高く、硬化
物の機械的強度及び天然歯に匹敵する審美性を有し、さ
らに、優れたX線不透過性を有する歯科用充填組成物を
得ることができる。
【0009】本発明の粒子径の大なる平均粒子径1.0
〜5.0μmの球形状の粒子はジルコニウム含有ケイ酸
塩で、一方粒子径の小なる粒子径が0.5μm以下の球
形状の粒子はシリカであることが必要である。粒子径の
大なる粒子としては、天然歯に匹敵する透明性を与える
ために、使用する単量体の重合物との屈折率差の小さい
粒子が好ましく、また、同時にX線不透過性を付与する
ために、ジルコニウム、バリウム及び/又はストロンチ
ウム等の元素を含有するケイ酸塩粒子が用いられるが、
球形状粒子の製造の容易さ及び硬化後の歯科用充填組成
物の耐久性より、ジルコニウム含有ケイ酸塩粒子が最適
である。なお、該ジルコニウム含有ケイ酸塩粒子のジル
コニウム含量はジルコニア換算で5〜50重量%が好ま
しい。ジルコニウム含量がジルコニア換算で5重量%よ
り少ないと、重合した単量体の屈折率に近付けることが
できず透明性が不足し、かつ、臨床上必要なX線不透過
性を得ることもできない。一方、ジルコニア換算で50
重量%を越えると、粒子自体の屈折率が高くなりすぎ、
重合した単量体の屈折率に近付けることができず、返っ
て不透明なものしか得られない。一方、粒子径の小なる
粒子としては、シリカが最適である。まず、かかる小粒
子径の球形状のシリカは、従来より公知であり、その製
造法も確立し、安定した入手が可能である。また、透明
性に関しても、後に述べるように、0.2μm以下の粒
子を含むことにより、適度の透明性を有し自然な審美性
を与える。加えて、シランカップリング剤等の表面処理
材による表面処理効果も顕著で、硬化物の機械的強度及
び耐久性も顕著に向上する。特に、粒子径の小なる粒子
の場合、その比表面積が大きくなることより、表面処理
効果の機械的強度等に及ぼす影響は大きく、この点で
も、シリカの使用が他の粒子、例えば、ジルコニウム含
有ケイ酸塩、チタン含有ケイ酸塩及びバリウムガラス等
の使用より格段に優れている。かかるシリカとしては、
特にアルコキシシランの加水分解重合によって合成され
た球状シリカが好適である。なお、これらのシリカは乾
燥後、500℃以上で焼成したものを用いるのが好まし
い。
【0010】本発明で用いるジルコニウム含有ケイ酸塩
粒子(A)は、平均粒子径が1.0〜5.0μmである
ことが必要であり、好ましくは1.0〜3.0μmであ
る。該粒子(A)の平均粒子径が5.0μmを越える
と、硬化物表面の平滑性及び光沢が劣り、また該粒子
(A)の平均粒子径が1.0μmより小さいと、硬化物
表面の平滑性及び光沢は良好であるが、次に述べるシリ
カ粒子(B)との粒子径の差が小さくなるため、無機質
充填材の充填量を高めることができず、機械的強度が低
く、吸水性及び変色等の耐久性に問題のある充填組成物
しか得ることができない。なお、本発明の無機質充填材
が高い充填量を与える理由は、大きい粒子(A)の作る
間隙により小さい粒子(B)が充分に充填されることに
よると考えられるので、該粒子(A)と(B)との粒子
径の差が小さいのは好ましくない。なお、前述のジルコ
ニウム含有ケイ酸塩粒子とは、例えば、テトラエチルシ
リケートとテトラブチルジルコネートの加水分解重合に
より合成されるが、必ずしも本製造法のみに限定される
ものではない。次に、本発明のシリカ粒子(B)は、前
述の如くジルコニウム含有ケイ酸塩粒子(A)の間隙に
充分に充填され、無機質充填材の充填量を高めるため
に、該粒子(B)の粒子径は実質的に0.5μm以下で
あることが必要であり、より好ましくは0.05〜0.
5μmの範囲にあるのが望ましい。該粒子(B)におい
て粒子径が0.05μmより小さい粒子が多くなると、
該粒子(B)の比表面積が増大し、かえって充填量が低
下し、機械的強度が低下する傾向がある。更に、本発明
のシリカ粒子(B)は可視光線の波長(約0.4〜0.
7μm)の半分より小さい0.2μm以下の粒子径を有
するシリカ粒子を該粒子(B)全量に対して10〜70
重量%含むことが必須である。該0.2μm以下の粒子
径を有するシリカ粒子が10重量%より少ないと、歯科
用充填組成物硬化物の可視光線の透過性が低下する傾向
があり、硬化物の透明性が低下し、本発明の目的とする
天然歯に匹敵する審美性が得られない。一方、該0.2
μm以下の粒子径を有するシリカ粒子が70重量%を越
えると、比表面積が増大するため充填量が低下し、本発
明の目的とする優れた機械的強度及び耐久性を得ること
ができない。なおシリカ粒子(B)のうち、0.2μm
以下の粒子径を有するシリカ粒子を(B−1)とし、
0.2μmより大きく0.5μm以下の粒子径を有する
シリカ粒子を(B−2)とするとき、前述のジルコニウ
ム含有ケイ酸塩粒子(A)とシリカ粒子(B)との関係
と同様、粒子(B−2)と粒子(B−1)との粒子径と
の差が大きい場合、粒子(B−2)の間隙に粒子(B−
1)が充分に充填され、より高い充填量を得ることが可
能となるため、粒子(B−2)の平均粒子径が粒子(B
−1)の平均粒子径の2倍以上であることが好ましい。
なお、ジルコニウム含有ケイ酸塩粒子及びシリカ粒子の
粒子径,粒子径分布及び粒子含有量の測定は種々の方法
が採用され、代表的な例としては、走査型あるいは透過
型の電子顕微鏡写真を用いる方法、レーザー回折法、遠
心沈降法等が挙げられるが、これらの方法に限定される
ものではない。
【0011】なお、本発明のジルコニウム含有ケイ酸塩
粒子(A)及びシリカ粒子(B)は球形状であること
が、無機質充填材の高充填量及び歯科用充填組成物硬化
物表面の平滑性及び光沢に好適である。更に、本発明の
ジルコニウム含有ケイ酸塩粒子(A)は、無機質充填材
全体に対して50〜80重量%含まれることが必要であ
り、50重量%より少ないと、充填量が低下し、機械的
強度が低下するばかりでなく、臨床上必要なX線不透過
性を得ることもできず、80重量%を越えると、該
(A)粒子の間隙を充填するべきシリカ粒子(B)が不
足し、かえって、充填量が低下する傾向を示し、また、
比較的大きな粒子が増加するため、硬化物表面の平滑性
及び光沢も低下し、審美性に関しても、不満足なものと
なる。一方、本発明のシリカ粒子(B)は、無機質充填
材全体に対して、50〜20重量%であり、50重量%
を越えると、該粒子(B)の比表面積が大きくなり、充
填量が低く機械的強度が低下し、20重量%より少ない
と、(A)粒子の間隙を充分に充填できず、機械的強
度、審美性とも不満足なものとなる。なお、本発明の効
果を阻害しない範囲で、他の非球形状の無機質粒子を加
えてもよく、その配合割合は無機質充填材全体に対して
10重量%以下が望ましい。
【0012】本発明のジルコニウム含有ケイ酸塩粒子
(A)及びシリカ粒子(B)は、重合可能な単量体にそ
のまま混合練和して、歯科用充填組成物を製造すること
ができるが、重合可能な単量体に混合する前に該粒子
(A)及び(B)をあらかじめ混合して用いるのが、よ
り高い無機質充填材の充填量を得るうえで好ましい。該
粒子の予備的な混合方法としては、湿式混合,乾式混合
等特に限定されないが、湿式混合法としては、アルコー
ル類,グリコール類等の極性溶媒中での混合が有効であ
る。また、乾式混合法としては、通常用いられる各種混
合機を使用することができるが、特に気流中で粒子を混
合する気流型混合機の内、ジェットミル型,エアブレン
ダー型またはジェット・オー・マイザー型等が好適に使
用できる。なお、予備混合した粒子の使用が、無機質充
填材の高充填量を与える理由は必ずしも明らかではない
が、より大きい粒子の間隙に小さい粒子が充填しやすい
粒子分布をしているものと推測される。
【0013】なお、本発明の無機質充填材は、あらかじ
め表面処理して用いることが重合可能な単量体との分散
混合性向上の点で望ましい。かかる表面処理としては、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,ビニ
ルトリエトキシシラン,ビニルトリクロロシラン及びビ
ニルアセトキシシラン等の有機珪素化合物系表面処理剤
(シランカップリング剤)が好適に用いられ、表面処理
法は通常の方法で可能である。ついで、無機質充填材と
重合可能な単量体を混合練和し、歯科用充填組成物を調
製すればよい。調製は通常の方法で可能であるが、前記
無機質充填材が充填組成物全体に対して80重量%以上
配合するのが、機械的強度等の点で好ましい。また、本
発明の組成物には、所望により、重合禁止剤,着色剤,
紫外線吸収剤等を添加することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例
に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比
較例においては、テトラエチルシリケートとテトラブチ
ルジルコネートの加水分解重合により合成した球状ジル
コニウム含有ケイ酸塩粒子及びアルコキシシランの加水
分解重合によって合成した球状シリカ粒子を用い、下記
〔1〕の方法で各無機質粒子の表面処理並びに重合可能
な単量体を調製した後、混合練和により充填組成物を作
製し、〔2〕の方法で試験片を作製し、各物性の測定を
行った。
【0015】〔1〕 各無機質粒子の表面処理 処理は各無機質粒子に対して、4重量%のγ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学製)とと
もに水−エタノール溶媒中で、混合攪拌した後80℃で
2時間、更に105℃で5時間熱風乾燥機内で乾燥、シ
ラン処理無機質粒子を調製した。
【0016】 重合可能な単量体の調製 ジメタクリロキシエチルトリメチルヘキサメチレンジ−
ウレタン(UDMA:新中村化学製)とトリエチレング
リコールジメタクリレート(TEGDMA:新中村化学
製)を70:30(重量%)の比で配合した単量体混合
物に光重合開始剤としてカンファーキノン(Aldri
ch製)0.5重量%、重合促進剤としてN,N−ジメ
チルアミノエチルメタクリレート(東京化成製)0.5
重量%を添加し、重合可能な単量体混合物を調製した。
【0017】〔2〕 1.試験片の作製 1)圧縮強度 充填組成物を、内径3mm,高さ6mmの穴を有するス
テンレススチール製金型の穴に充填し、上下両面をガラ
ス板で圧接、可視光照射器エコノライト(ヨシダ製)に
て上下両面より各々40秒間光照射を行った。金型より
離型し試験片とした。
【0018】2)曲げ強度 充填組成物を、厚さ2mm,幅2mm,長さ25mmの
ステンレススチール製金型の穴に充填し、上下両面をガ
ラス板で圧接、技工用光重合器ライトエース(ヨシダ
製)にて上下両面より各々120秒間光照射を行った。
金型より離型し試験片とした。
【0019】3)吸水率 充填組成物を、厚さ3mm,幅15mm,長さ20mm
のステンレススチール製金型の穴に充填し、上下両面を
ガラス板で圧接後、2)と同様の重合方法により、試験
片を作製、更に各面を240番のSiC研磨紙にて研磨
した。
【0020】4)透明性 充填組成物を、内径20mm,厚さ1mmの穴を有する
ステンレススチール製金型の穴に充填し、上下両面をガ
ラス板で圧接後、2)と同様の重合方法により試験片を
作製した。圧縮強度、曲げ強度及び透明性試験片は、作
製後直ちに37℃水中へ24時間浸漬後、各試験を行っ
た。また、吸水率試験片は、作製後37℃大気中に、重
量が恒量値に達するまで保管し、試験を行った。
【0021】5)表面光沢及び平滑性 充填組成物を、光照射20秒にて平板状に硬化させ、該
光照射平面のホワイトポイント(松風製)による研磨面
を、表面光沢の肉眼観察及び表面粗さ(Rmax)測定
の試験片とした。
【0022】6)X線不透過性 充填組成物を、内径10mm,厚さ1mmの穴を有する
ステンレススチール製金型の穴に充填し、上下両面をガ
ラス板で圧接後、2)と同様の重合方法により試験片を
作製した。
【0023】2.試験方法 1)圧縮強度 インストロン万能試験機(MODEL 4206)を用
い、クロスヘッドスピード2mm/minで行った。 2)曲げ強度 インストロン万能試験機(MODEL 4206)を用
い、クロスヘッドスピード0.5mm/minで行っ
た。
【0024】3)吸水率 37℃大気中に保管、重量が恒量値(m1 )に達した時
点より、37℃水中に浸漬、24時間後の重量(m2
を測定、下記式より吸水率を算出した。 (m2 −m1 )/試験片表面積 4)透明性 色差計(東京電色製MODEL TC−1)を用いて、
試験片の背後に標準白板を置いた場合の明度(LW
と、背後に標準黒板を置いた場合の明度(LB )を測
定、下記式より算出した。 (1−LB /LW )×100 なお、この試験方法では、値が大きいほど透明性が高く
なる。値が25以上のものを優、25未満20以上のも
のを良、20未満のものを不良と判定した。 5)表面光沢及び平滑性 試験片のホワイトポイント研磨面の表面光沢を肉眼にて
観察、更に該研磨面を表面粗さ測定機(東京精密製サー
フコム100A)を用い、基準長さ0.25mmにおけ
る表面粗さ(Rmax)を測定した。 6)X線不透過性 X線装置(ソフテックスSCMB12)で試験片を撮影
した。同じ厚さの人歯エナメル質及び象牙質も同時に撮
影し、肉眼観察にて、エナメル質より優れているものを
優、エナメル質〜象牙質程度のものを良、象牙質より劣
るものを不良と判定した。
【0025】実施例1〜5 表1に記載のジルコニウム含有ガラス粒子と表2に記載
の非晶質シリカ粒子を表4に記載の量比で、前記の重合
性単量体と混合練和することにより、それぞれ充填組成
物を調製し、前記項目に従い、試験を行った。結果を表
4に示す。なお、表1及び表2に記載の最大粒子径及び
平均粒子径は、無機充填材粒子の走査型電子顕微鏡写真
の単位視野内に観察される粒子の粒子径及び粒子数より
求めた。
【0026】比較例1〜8 表1,表2及び表3に記載の無機質充填材粒子A,B及
びCを表5に記載の量比で、前記の重合性単量体と混合
練和することにより、それぞれ充填組成物を調製し、前
記項目に従い、試験を行った。なお、各粒子は前記各無
機質粒子の表面処理に従い、シラン表面処理をあらかじ
め行った。また、最大粒子径及び平均粒子径は実施例1
〜5と同じ方法で測定した。結果を表5に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】表4及び表5から明らかなように、球状ジ
ルコニウム含有ケイ酸塩粒子(A)を50〜80重量%
かつ、球状シリカ粒子(B)を50〜20重量%の範囲
で配合した混合無機質粒子を用いた実施例の充填組成物
は、比較例に示す充填組成物に比べ、充填材の充填量が
80重量%と高いにもかかわらず、硬化後の強度は高
く、吸水率も非常に低かった。また、表面の光沢、平滑
性及び透明性も高く、優れた審美性を有していたうえ、
更に、臨床上十分なX線不透過性も有し、すべての点で
バランスのとれた歯科用充填組成物が得られた。
【0033】実施例6 前述した球状ジルコニウム含有ケイ酸塩粒子A−Iと粒
子径0.4μm以下で、かつ0.2μm以下の球状粒子
を30重量%含み、更に、0.2μm以下の粒子の平均
粒子径が0.11μm、一方、0.2〜0.4μmの粒
子の平均粒子径が0.33μmである球状シリカ粒子B
−IVとを重量比62/38の割合で、ジェットミル型気
流型混合機によりあらかじめ混合した。得られた予備混
合粒子に前記〔1〕の方法で表面処理を行い、得られた
表面処理混合粒子と前記〔1〕の重合可能な単量体を用
い、歯科用充填組成物を調製した。なお、全組成物中の
充填材含有量は88重量%であった。得られた歯科用充
填組成物を用い、前記〔2〕の方法で試験片を作製し、
各物性の測定を行ったところ、圧縮強度3820kg/
cm2 、曲げ強度1550kg/cm2 、吸水率0.5
7mg/cm2 であって、透明性は30.3と優秀で、
表面光沢及び平滑性も優れ、加えて、X線不透過性も優
秀であった。
【0034】実施例7 前述した球状ジルコニウム含有ケイ酸塩粒子A−IVと粒
子径0.3μm以下で、かつ0.2μm以下の球状粒子
を60重量%含む、球状シリカ粒子B−Vとを重量比5
5/45の割合で、ジェットミル型気流型混合機により
あらかじめ混合した。得られた予備混合粒子に前記
〔1〕の方法で表面処理を行い、得られた表面処理混合
粒子と前記〔1〕の重合可能な単量体を用い、歯科用充
填組成物を調製した。なお、全組成物中の充填材含有量
は86重量%であった。得られた歯科用充填組成物を用
い、前記〔2〕の方法で試験片を作製し、各物性の測定
を行ったところ、圧縮強度3610kg/cm2 、曲げ
強度1510kg/cm2 、吸水率0.62mg/cm
2 であって、透明性は38.7と優秀で、表面光沢及び
平滑性も優れ、更に、X線不透過性も優れていた。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、本発明で特定したジル
コニウム含有ケイ酸塩粒子及びシリカ粒子を特定割合で
重合可能な単量体に配合した歯科用充填組成物では、球
形状の大粒子間の間隙に透明性に影響を与えない小粒子
が効率よく充填されるため、無機質充填材の充填量を高
めることができ、機械的強度が高く低吸水性であり、硬
化物表面の光沢及び平滑性に優れ、透明性も高く天然歯
に匹敵する審美性を有しているうえ、臨床上必要なX線
不透過性も有する、あらゆる部位への使用が可能なバラ
ンスのよい歯科用充填組成物が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 服部 英次 横浜市緑区鴨志田町1000番地

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合可能な単量体と無機質充填材とを含
    む歯科用充填組成物であって、無機質充填材として、 a)平均粒子径1.0〜5.0μmである球形状のジル
    コニウム含有ケイ酸塩粒子(A)50〜80重量%と b)粒子径が0.5μm以下であり、かつ粒子径が0.
    2μm以下の球形状のシリカ粒子を10〜70重量%含
    む球形状のシリカ粒子(B)50〜20重量%との混合
    物を用いることを特徴とする歯科用充填組成物。
  2. 【請求項2】 無機質充填材が充填組成物全体に対し
    て、80重量%以上配合されてなる請求項1記載の歯科
    用充填組成物。
  3. 【請求項3】 ジルコニア換算で5〜50重量%のジル
    コニウムを含有する球形状のジルコニウム含有ケイ酸塩
    粒子を用いることを特徴とする請求項1及び2記載の歯
    科用充填組成物。
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