JPH0624632Y2 - 薄肉鋼管と継手部との接続構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の目的 （産業上の利用分野） 本考案は、冷温水、油、空気、ガス等の配管に用いる薄
肉ステンレス鋼管などの薄肉鋼管と管継手、バルブなど
の継手部との接続構造に関し、取扱いが容易であり、し
かも確実強固に接続ができ、信頼性の高い接続構造に関
するものである。

（従来の技術） 薄肉であるためにねじ接続が困難な薄肉ステンレス鋼管
などの薄肉鋼管と管継手、バルブ等の継手部との接続
は、薄肉鋼管の接続端近くの外周面に環状の突起又は溝
を設け、これに継手部を固定し、薄肉鋼管と継手部との
間にパッキンを装着して漏れ止めをする構造が多く用い
られており、これに関する考案が多く提案されている。

実開昭５９−１０７３９０号公報記載の薄肉ステンレス
鋼管と継手の接続構造がその一例である。

特に図示しないが、この構造では、薄肉ステンレス鋼管
に山型突起部を外側に張り出させるので、薄肉ステンレ
ス鋼管に割れ傷を生ずるおそれがある。また、パッキン
の増し締めができないので、漏れを生じた時の処置がで
きない。更に、薄肉ステンレス鋼管が挿入されている継
手とナットの部分が短いので、薄肉ステンレス鋼管が曲
げられた時に、パッキンの圧縮状態に影響して、漏れを
生じ易い。更にまた、薄肉ステンレス鋼管を引き出した
り押し込んだりする力が加わると、山型突起部が潰され
てパッキンの圧縮状態が悪くなり、漏れを生ずるなど、
数多くの欠陥を有している。

実開昭５５−１５４８７８号公報記載の管継手は、特に
図示しないが、上述のような欠陥のない薄肉鋼管と継手
部との接続構造を有するものである。すなわち、管に環
状溝を内方へ張り出させて形成するので、割れ傷を生ず
るおそれがなく、パッキンがＯリングであるので、増し
締めをしなくても漏れることがない。更に、管が挿入さ
れている継手本体の部分が長く袋ナットでも保持してい
るので、管が曲げられてもパッキンであるＯリングのシ
ール性にあまり影響を及ぼさない。更に又、管を引き出
したり押し込んだりする力が加わっても、パッキンであ
るＯリングのシール性に影響を及ぼさない。

しかしながら、この構造では、カラーと袋ナットが抜け
止めリングに接する部分が直角角部であって、管が曲げ
られたり、引き出されたり押し込まれたりする力が加わ
ると、上記の角部が潰れ、パッキンであるＯリングの圧
縮度が緩和されて漏れ易くなる欠点を有している。更に
また、カラー及び袋ナットが抜け止めリングに接する位
置が抜け止めリングの断面中心から断面半径の０．４倍
以下の距離だけ外側になっているに過ぎないので、カラ
ーと抜け止めリングの接触線と袋ナットと抜け止めリン
グの接触線との線間距離は、その最も狭い場合でも抜け
止めリングの断面直径のほぼ０．９２倍に過ぎず、管が
引き出されたり押し込まれたりすると、抜け止めリング
が袋ナットとカラーの間に押し出されて、抜け止めリン
グが環状溝から外れ、管継手の継手部と鋼管との接続が
不確実になって、外れるという重大な欠陥を有してい
る。

本考案者は、このような実情に鑑みて、先に、上述のよ
うな欠陥のない薄肉鋼管と継手部との接続構造に関する
考案を出願した（実開平１−１０６６８９号公報）。第
６図は、その考案の一実施例を示す部分縦断面図であ
る。

第６図において、２１は薄肉鋼管、２２は環状溝、２３
は環状保持リング、２５は継手部２４の継手本体、２６
は環状ブッシング、２７は環状パッキンであり、これら
の部品は、後で述べる本考案の実施例における同じ名称
の部品と同じ構造のものである。

この構造において、３０及び３１は、一対の環状挟持リ
ングであって、この環状挟持リング３０及び３１は環状
保持リング２３を挟持しており、環状ブッシング２６を
締め込むと、環状挟持リング３１が環状保持リング２３
を介して環状挟持リング３０を押し、環状保持リング３
０が環状パッキン２７を圧縮する。

この構造では、環状挟持リング３０，３１が２部品必要
であり、しかも、薄肉鋼管２１に曲げたり、押し込んだ
り引き抜いたりする力が加わると、環状保持リング２３
と環状挟持リング３０，３１との接触部に強い圧縮面圧
が生じ、これら接触部が圧縮変形するおそれがある。こ
のような変形が生ずると、環状挟持リング３０と同３１
との間の距離が小さくなり、環状パッキン２７に作用す
る圧縮力が減少し、時には環状パッキン２７のシール作
用を減退させて、漏れを生ずることになるという欠点を
有している。更には、部品点数が多いという原因から、
組立性にも難点を有している。

（考案が解決しようとする課題） 本考案は、上記の従来技術の実情及びこれに鑑みて考案
した上述の本考案者が先に出願した考案の欠点を改善す
るために案出したもので、上記薄肉鋼管と継手部との接
続構造が有する次の課題を解決しようとするものであ
る。

（１）薄肉鋼管に環状の係止部を形成する時に、割れ傷
を生じる。また、ステンレス鋼管等の薄肉鋼管を拡管す
るには、特殊工具が必要で、作業性が悪い。

（２）パッキンの増し締めができないため、漏れを生じ
たときの処置ができない。

（３）薄肉鋼管が曲げられたり、引き出されたり押し込
まれたりすると、パッキンの圧縮状態が悪くなり、漏れ
を生ずる。

（４）薄肉鋼管が引き出されたり、押し込まれたりする
と、継手部と薄肉鋼管との接触が不確実になり、外れ易
い。

（５）環状挟持リングが２部品必要であるため、組立性
が良くない。

考案の構成 （課題を解決するための手段） 本考案は、次のような手段によって、上述した課題を解
決しようとするものである。

すなわち、本考案は、薄肉ステンレス鋼管などの薄肉鋼
管と管継手、バルブなどの継手部との接続構造であっ
て、該薄肉鋼管の外周面に断面ほぼ半円形の環状溝を設
け、該環状溝に断面円形の環状保持リングを嵌装し、該
継手部の継手本体の内周面に奥から拡径円錐面、円筒面
及びめねじを順次形成し、該拡径円錐面と該薄肉鋼管の
該外周面とで形成される断面三角形の環状空間に断面略
三角形状の環状パッキンを装着し、該円筒面と該薄肉鋼
管の該外周面とで形成される断面長方形の環状空間に該
環状保持リングに外嵌する環状外嵌リングを装着し、該
環状外嵌リングは、直径方向に少なくとも２分割され、
該めねじと該薄肉鋼管の該外周面とで形成される断面ほ
ぼ長方形の環状空間に該めねじに螺合し該薄肉鋼管に外
嵌する環状ブッシングを螺入し、該環状外嵌リングは、
内周面に該環状保持リングに外接する山型溝を形成し、
環状外嵌リングの一側面を環状パッキンの側面に当接さ
せ、かつ外嵌リングの他側面を環状ブッシングの先端面
に当接させたものである。そして、該環状外嵌リング
は、直径方向に２分割され、かつ一方の分割部が薄肉部
によって接続されているのが好ましい。更に、環状外嵌
リングと環状パッキンとの間に薄板リングを介在させ
て、環状パッキンの押し込み面を安定させるように構成
しても良い。また、該環状保持リングは円周上の１個所
に切断部を有するＣ字形リングであることが好ましく、
該環状パッキンは断面が内周側へ開口したほぼＶ字形で
あるのが好ましい。

（作用） 本考案の薄肉鋼管と継手部との接続構造の作用を以下に
説明すると、先ず、薄肉ステンレス鋼管などの薄肉鋼管
に、その外周面に断面ほぼ半円形の環状溝を、薄肉鋼管
を内方へ張り出させて形成するので、外方へ張り出させ
て環状突起を形成する場合とは異なり、割れ傷を生ずる
ことはない。又、特殊工具を必要としないため、作業性
が良い。

環状パッキンは、環状ブッシングを継手本体にねじ込む
ことによって、環状外嵌リングを介して圧縮することに
より増し締めをして、漏れを止めることができる。

また、環状外嵌リングは、直径方向に少なくとも２分割
されているので、部品点数が少なく、組立性が良好であ
る。

なお、環状パッキンは、断面を内周面へ開口したほぼＶ
字形に形成するなど、シール性と増し締め性の優れた形
状にすることによって、パッキン効果を一層高めること
ができる。

また、たとえ薄肉鋼管が曲げられた場合でも、薄肉鋼管
が継手本体と環状ブッシングで保持されている部分が長
く、更に、薄肉鋼管は、環状溝に嵌装された環状保持リ
ングに外嵌する環状外嵌リングを介して、継手本体の円
筒面で保持されており、環状パッキンに影響を及ぼすこ
とがなく、環状パッキンの圧縮状態が悪くなることがな
いので漏れを生じない。

更に、薄肉鋼管が引き出されたり、押し込まれたりして
も、環状パッキンの圧縮状態を緩めることがないので、
このため漏れることがない。

また、薄肉鋼管が引き出されたり、押し込まれたりして
も、環状保持リングは、環状外嵌リングの山型溝によっ
て外方への移動が抑止されているので、薄肉鋼管と継手
部との接続が不確実になって外れることがない。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に従って説明する。

第１図は、本考案の薄肉鋼管と継手部との接続構造の、
一実施例を示す部分縦断面図である。

第１図において、１は薄肉ステンレス鋼管などの薄肉鋼
管、２は管継手、バルブなどの継手部、３は薄肉鋼管１
の外周面、４は外周面３に設けた断面ほぼ半円形の環状
溝、５は環状溝４に嵌装した断面円形の環状保持リン
グ、６は継手部２の継手本体、７は継手本体６の内周
面、８，９及び１０は夫々該内周面７に奥から順次形成
した拡径円錐面、円筒面及びめねじである。また、１１
は前記拡径円錐面８と薄肉鋼管１の外周面３とで形成さ
れる断面三角形の環状空間に装着した環状パッキン、１
２は前記円筒面９と薄肉鋼管１の外周面３とで形成され
る断面長方形の環状空間に装着した断面長方形の環状空
間に装着され環状保持リング５に外嵌する環状外嵌リン
グであり、該環状外嵌リング１２には、内周面に環状保
持リング５に外接する山型溝１３が形成してある。

また、１４はめねじ１０と薄肉鋼管１の外周面３とで形
成される断面ほぼ長方形の環状空間にめねじ１０に螺合
し薄肉鋼管１に外嵌する環状ブッシングである。

第２図は、環状外嵌リング１２の実施例を示す側面図及
び縦断面図であり、環状外嵌リング１２は、同図に示さ
れているように、直径方向に２分割され、かつ一方の分
割部１５が薄肉部１６によって接続されているのが好ま
しい。なお、少なくとも２分割されていればよく、３以
上分割されていてもよい。

第３図は、環状パッキン１１の種々の断面形状の実施例
を示した部分縦断面図で、同図（ｂ）及び（ｄ）は、断
面を内周側へ開口したほぼＶ字形にして、シール性と増
し締め性を向上せしめたものである。また、同図（ｃ）
及び（ｄ）は、継手部２の拡径円錐面８に接する面に、
鋸歯状突起手段を施し、シール性を向上せしめたもので
ある。

次に、第４図（ａ）及び同図（ｂ）は、環状保持リング
５の実施例を示した図であって、同図において、１７は
切断部であって、同図（ａ）は１個所切断部１７を有
し、同図（ｂ）は２個所に切断部を有している。この切
断部１７の設定数は任意であるが、複数個にすると、環
状保持リング５を薄肉鋼管に嵌装するのが容易となる。

更に、第５図は、他の実施例を示したもので、環状外嵌
リング１２と環状パッキン１１との間に薄板リング１８
を介在させて、環状パッキン１１の押し込み面を安定さ
せるように構成している。

次に、第１図に示した上記実施例の作用について説明す
る。

先ず、薄肉ステンレス鋼管などの薄肉鋼管１に、その外
周面３に断面ほぼ半円形の環状溝４を、薄肉鋼管１を内
方へ張り出させて形成するので、外方へ張り出させて環
状突起を形成する場合とは異なり、割れ傷を生ずること
はない。また、この際、特殊工具を必要としないので、
作業性が良い。

環状パッキン１１は、環状ブッシング１４を継手本体６
にねじ込むことによって、環状外嵌リング１２を介して
圧縮することにより増し締めして、漏れを止めることが
できる。

なお、環状パッキン１１は、第３図（ｂ）及び（ｃ）の
ように断面ほぼＶ字形に形成するなど、シール性と増し
締め性の優れた形状にすることによって、パッキン効果
を一層高めることができる。

また、たとえ薄肉鋼管１が曲げられた場合でも、薄肉鋼
管１が継手本体６と環状ブッシング１４で保持されてい
る部分が長く、更に、薄肉鋼管１は、環状溝４に嵌装さ
れた環状保持リング５に外嵌する環状外嵌リング１２を
介して、継手本体６の円筒面９で保持されており、環状
パッキン１１に影響を及ぼすことがなく、環状パッキン
１１の圧縮状態が悪くなることがないので漏れを生じな
い。

次に、薄肉鋼管１が引き出されたり、押し込まれたりし
ても、環状パッキン１１の圧縮状態を緩めることがない
ので、このため漏れることがない。

更に、薄肉鋼管１が引き出されたり、押し込まれたりし
ても、環状保持リング５は、環状外嵌リング１２の山型
溝１３によって外方への移動が抑止されているので、薄
肉鋼管１と継手部２との接続が不確実になって外れるこ
とがない。また、環状外嵌リング１２は、第２図のよう
に、直径方向に２分割し、かつ一方の分割部１５が薄肉
部１６によって接続されていると、環状外嵌リング１２
がばらばらにならず、また、環状保持リング５に外嵌す
るのに便利であり、極めて実用価値に優れている。

また、環状保持リング５は、第４図（ａ）のように円周
上の１個所に切断部１７を有するＣ字形リングにする
と、環状保持リング５がばらばらにならず便利である。
第４図（ｂ）には、環状保持リング５に切断部１７を２
個所設けた例が示してあるが、このように切断部１７を
複数個設けると、環状保持リング５を薄肉鋼管１に嵌装
するのが容易である。

考案の効果 以上説明したことから明らかなように、本考案の薄肉鋼
管と継手部との接続構造によれば、次のような優れた効
果が得られる。

（１）薄肉鋼管に環状の係止部を形成する時に、割れ傷
を生じない。また、薄肉鋼管を拡管する特殊工具を必要
とせず、溝を薄肉鋼管の外方から容易に形成し得られ、
作業性に優れている。

（２）パッキンの増し締めができ、万一の場合でも漏れ
を止めることができる。

（３）薄肉鋼管が曲げられたり、引き出されたり押し込
まれたりしても、パッキンの圧縮状態が悪くなって漏れ
を生ずることがない。

（４）薄肉鋼管が引き出されたり、押し込まれたりして
も、継手部と薄肉鋼管との接続が確実であり、外れるこ
とがない。

（６）環状外嵌リングが、直径方向に少なくとも２分割
になっているので、それだけ部品点数が少なく、組立性
に優れている等の有用な効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の薄肉鋼管と継手部との接続構造の一実
施例を示す部分縦断面図、第２図は本考案で使用する環
状外嵌リングの一実施例を示す側面図及び縦断面図、第
３図（ａ）乃至（ｄ）は本考案で使用する環状パッキン
の種々の断面形状の実施例を示す部分縦断面図、第４図
（ａ）及び（ｂ）は本考案で使用する環状保持リングの
切断部の異なる実施例を示す側面図、第５図は本考案の
薄肉鋼管と継手部との接続構造の他の実施例を示す部分
縦断面図であり、第６図は本考案の出願人が先に出願し
た薄肉鋼管と継手部との接続構造を示す部分縦断面図で
ある。 １……薄肉鋼管、２……継手部 ３……外周面、４……環状溝 ５……環状保持リング、６……継手本体 ７……内周面、８……拡径円錐面 ９……円筒面、１０……めねじ １１……環状パッキン、１２……環状外嵌リング １４……環状ブッシング、１５……分割部 １６……薄肉部、１７……切断部 １８……薄板リング

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】薄肉ステンレス鋼管などの薄肉鋼管と管継
   手、バルブなどの継手部との接続構造であって、該薄肉
   鋼管の外周面に断面ほぼ半円形の環状溝を設け、該環状
   溝に断面円形の環状保持リングを嵌装し、該継手部の継
   手本体の内周面に奥から拡径円錐面、円筒面及びめねじ
   を順次形成し、該拡径円錐面と該薄肉鋼管の該外周面と
   で形成される断面三角形の環状空間に、断面が内周側へ
   閉口したほぼＶ字形である環状パッキンを装着し、該円
   筒面と該薄肉鋼管の該外周面とで形成される断面長方形
   の環状空間に該環状保持リングに外嵌する環状外嵌リン
   グを装着し、該環状外嵌リングは、直径方向に２分割さ
   れ、かつ一方の分割部が薄肉部によって接続されてお
   り、更に、該環状外嵌リングと環状パッキンとの間に薄
   板リングを介在させると共に、該めねじと該薄肉鋼管の
   該外周面とで形成される断面ほぼ長方形の環状空間に該
   めねじに螺合し該薄肉鋼管に外嵌する環状ブッシングを
   螺入し、該環状外嵌リングは、内周面に該環状保持リン
   グに外接する山型溝を形成し、環状外嵌リングの一側面
   を環状パッキンの側面に当接させ、かつ外嵌リングの他
   側面を環状ブッシングの先端面に当接させたことを特徴
   とする薄肉鋼管と継手部との接続構造。
2. 【請求項２】該環状保持リングは円周上の１個所に切断
   部を有するＣ字形リングである請求項１記載の薄肉鋼管
   と継手部との接続構造。