JP4988999B2 - 伸縮継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、管同士、或いは流体バルブや管とメーター機器等とを接続する場合に、寸法誤差等を吸収するために使用する伸縮可能な継手に関し、継手本体にユニオンを摺動自在に挿入してなる構成の伸縮継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種伸縮継手の構造を図3に示す。図3において、(イ)は例えば砲金や真鍮からなる中空状の継手本体であって一側外周に接続用雄ネジ部(ロ)を設けると共に、略中央部にレンチ締付用の鍔部(ハ)を周設したものである。また、他側は下述するユニオンが挿入可能な筒体(ニ)とすると共に、その外周に袋ナットが螺合する雄ネジ部(ホ)を設けている。(ヘ)は同様に例えば砲金や真鍮からなるユニオンであり、上記継手本体(イ)の筒体(ニ)内に挿入される先端に二重の凸部(ト)を設け、その間にOリング(チ)を環設したものである。(リ)はユニオン(ヘ)の外周に周設するパッキン、(ヌ)は該パッキンを押さえる樹脂リングであり、固定用袋ナット(ル)によって継手本体(イ)の先端に当接するように取り付け、ユニオン(ヘ)を所定距離摺動自在に保持している。ユニオン(へ)の他側には肉厚の段部(ヲ)を設け、接続ナット(ワ)の抜けを防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の従来の伸縮継手は、砲金や真鍮を切削加工してユニオンを形成する必要上、ユニオン(ヘ)の端部の段部(ヲ)が肉厚となり、軸方向に幅を要する構造となっている。そのため、これに取り付ける接続ナット(ワ)も、有効なネジ部の幅を確保するため、軸幅(L)を大きくする必要があった。また、それに伴い、継手を取り付けた全体の面間距離が大きくなるという問題もあった。
【0004】
また、ユニオンを挿入する側の先端に二重の凸部(ト)があることから、パッキン(リ)や樹脂リング(ヌ)が組み込み難いという製作上の問題も指摘されていた。
【0005】
本発明は従来の伸縮継手のかかる課題に鑑み、継手を取り付けた際の全体の面間距離の短縮化を図ると共に、軽量で組み立てやすい構造で、また水道接水部の銅系材料の水質に与える悪影響および耐食性を考慮して、ステンレス管からなる伸縮継手を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
如上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、継手本体にユニオンを摺動自在に保持してなる伸縮継手において、継手本体の一側の筒体の先端内側に拡開状の段部を設ける一方、円管からなるユニオンは、前記継手本体の筒体に挿入される側の端部付近の外側面に凹溝を設けると共に、当該ユニオンの他方の先端にはフレア加工により鍔部を形成してなり、このユニオンに接続ナットを前記鍔部で係止させて挿着すると共に固定用袋ナットを挿着し、さらに、Oリング及びこれを挟持する保護ワッシャを前記ユニオンの継手本体の筒体に挿入される側からユニオンの凹溝と鍔部の間の周面に挿着した上で、前記凹溝に止め輪を前記筒体の内側を摺動可能に前記ユニオンの周面より突出させて嵌着し、このユニオンを筒体に挿入し前記Oリング及び保護ワッシャを前記段部に嵌入させた上、前記筒体の先端外周に設けた雄ネジ部に前記固定用袋ナットを螺着させて前記Oリング及び保護ワッシャを筒体の先端に挟持固定し、このユニオンを引き出す時に前記突出した止め輪が前記固定した保護ワッシャに突合して係止されるまでの間ユニオンを摺動自在とするという手段を採用した。
【0007】
かかる構成によって、Oリング及びこれを挟持する保護ワッシャをユニオンの継手本体の筒体に挿入される側からユニオンの凹溝と鍔部の間の周面に挿着できるので、Oリングや保護ワッシャの挿着が容易となり、シール部分の組立が容易となると共に、構造が簡単で、面間距離の短縮を図り、さらに漏水等に対しては固定用袋ナットの増し締めで簡単に対応できることが可能となるものである。
【0009】
また、ユニオンの他方の先端拡開方向に鍔部を延成したことによって、接続ナットの抜け落ちを防止すると共に、接続ナットの軸幅を小さくすることが可能となり、これによっても面間距離の短縮を図ることができるようになるものである。即ち、ユニオンが継手本体の一番奥に入り込んだ状態で接続ナットを固定用袋ナットに当接させたとき、施工上の問題からユニオンの先端部分が接続ナットの端面より露出する必要があるが、接続ナットが短縮されることでユニオンも短縮可能となって、その相互関係により大幅な面間距離の短縮が可能となるものである。
【0012】
そして、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、ユニオンがステンレス管からなり、凹溝は絞り加工により設けるという手段を採用した。
【0013】
ステンレス管を採用することで、耐食性が向上し、長期間の伸縮作動性が維持される他、ユニオンの加工が容易で、かつ、全体重量の軽量化を図ることができるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる伸縮継手の構成の好ましい実施形態を図面に従って説明する。図1において、1は中空状の継手本体であり、一側端部の外周に接続用雄ネジ部2を切設すると共に、略中央部に必要に応じて締付レンチ用の鍔部3を周設したものである。また他側はユニオンが挿入可能な筒体4とし、その外周には下述する固定用袋ナットが螺着する雄ネジ部5を設けると共に、先端内周には下述するOリング等を嵌入、保持する拡開状の段部6を設けている。7は例えばステンレスの円管からなるユニオンで、継手本体1に挿入される側の端部付近の外周に例えば絞り加工により凹溝8を設けると共に該凹溝8に止め輪9を嵌着したものである。また、このユニオン7の他端にはフレア加工により鍔部10を形成している。11は例えばメーター機器(図示せず)等に接続する為の雌ネジ部12を有する接続ナットであり、上記ユニオンの鍔部10によって抜け落ちが防止されている。
【0015】
また、13は上記ユニオン7に環設したOリングで、保護ワッシャ14、14で挟持したものであり、固定用袋ナット15を螺着することにより継手本体1の段部6に固定する。該Oリング13により、ユニオン7の水密性が維持される。
【0016】
上記構成の伸縮継手は、ユニオンとなるステンレス製円管の端部をフレア加工により鍔部10を形成して接続ナット11の抜け落ちを防止したものであるから、前述した従来の砲金製或いは真鍮製のユニオンのように、肉厚の段部(ヲ)が必要無く、接続ナット11の軸幅を短く構成できるという利点がある。
【0017】
また、ユニオン7の継手本体1に挿入される側には凹溝8を設け、これに止め輪9を嵌着しているから、該止め輪9によって継手本体1からの抜け落ちを防止する一方、Oリング13や保護ワッシャ14を極めて容易に挿着できるようになった。なお、この凹溝8は本発明の目的を達成する観点から同等の効果を有するものであれば良く、絞り加工の他、例えばプレス加工等によって設けることも可能である。
【0018】
なお、上記ユニオン7は上記態様に示すステンレス管に限定されるものではなく、凹溝8や鍔10などを容易に加工できる特性を有するものであれば良く、例えば鉄、チタン、アルミニウム、合成樹脂等で構成することが可能である。
【0019】
次に、図2は本発明にかかる伸縮継手を流体バルブ(B)に直接装着した状態を示すものである。図示するように流体バルブの一端には接続部b1が設けられ、この接続部にOリングb2を介して継手本体1の接続用雄ネジ部2を螺着する。このときユニオン7は止め輪9が保護ワッシャ14に当接するまで摺動自在であり、バルブを含む全体長L1がユニオンの摺動長さL2分だけ伸縮し、施工時に接続ナット側に接続されるメーターボックス(図示せず)内でのメータとの設置距離に誤差を生じた場合にも、該伸縮部分が誤差を吸収して接続することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る伸縮継手は、ステンレス等からなる円管の一端に凹溝を設け、保護ワッシャやOリングを挿着した上で止め輪を嵌着するようにしたので、従来に比べシール部分の組立が極めて容易となった。また、従来のようなパッキンや樹脂リングを必要とせず、構造が簡単となり、全体の面間距離を短縮することが可能となった。
【0021】
また、接続ナットの抜落を防止する手段として管端をフレア加工して鍔部を形成するようにしたので、従来のような肉厚部が無く、接続ナットの軸幅を小さくすることが可能となって、これによっても面間距離の短縮が可能となった。即ち、ユニオンが継手本体の一番奥に入り込んだ状態で接続ナットを固定用袋ナットに当接させたとき、施工上の問題からユニオンの先端部分が接続ナットの端面より露出する必要があるが、接続ナットが短縮されることでユニオンも短縮可能となって、その相互関係により大幅な面間距離の短縮が可能となるものである。
【0022】
さらに、ステンレス管等を使用することによって、耐食性が向上し、また固着を防止して長期間の伸縮作動性の維持を図ることが可能となった。
【0023】
また、ステンレス管等を採用することでユニオンの加工が容易となったほか、ユニオンの軽量化や接続ナットの短縮化で、全体の重量の軽量化を図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る伸縮継手の軸方向の断面図である。
【図2】伸縮継手をバルブに取り付けた状態を示す部分断面図である。
【図3】従来の伸縮継手の例を示す軸方向断面図である。
【符号の説明】
1 継手本体
2 雄ネジ部
3 鍔部
4 筒体
5 雄ネジ部
6 段部
7 ユニオン
8 凹溝
9 止め輪
10 鍔部
11 接続ナット
12 雌ネジ部
13 Oリング
14 保護ワッシャ
15 固定用袋ナット

Claims (2)

  1. 継手本体にユニオンを摺動自在に保持してなる伸縮継手において、継手本体の一側の筒体の先端内側に拡開状の段部を設ける一方、円管からなるユニオンは、前記継手本体の筒体に挿入される側の端部付近の外側面に凹溝を設けると共に、当該ユニオンの他方の先端にはフレア加工により鍔部を形成してなり、
    このユニオンに接続ナットを前記鍔部で係止させて挿着すると共に固定用袋ナットを挿着し、さらに、Oリング及びこれを挟持する保護ワッシャを前記ユニオンの継手本体の筒体に挿入される側からユニオンの凹溝と鍔部の間の周面に挿着した上で、前記凹溝に止め輪を前記筒体の内側を摺動可能に前記ユニオンの周面より突出させて嵌着し、
    このユニオンを筒体に挿入し前記Oリング及び保護ワッシャを前記段部に嵌入させた上、前記筒体の先端外周に設けた雄ネジ部に前記固定用袋ナットを螺着させて前記Oリング及び保護ワッシャを筒体の先端に挟持固定し、
    このユニオンを引き出す時に前記突出した止め輪が前記固定した保護ワッシャに突合して係止されるまでの間ユニオンを摺動自在としたことを特徴とする伸縮継手。
  2. ユニオンがステンレス管からなり、凹溝は絞り加工により設けた請求項1記載の伸縮継手。
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