JPH06246022A - ゴルフクラブ用グリップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 打撃時の衝撃を低減させ、打撃時の不快感
の少ないゴルフクラブ用グリップを提供する。打撃時
の衝撃を低減させ、かつ握力の強い人に対しても握った
時のフィーリングが良好なゴルフクラブ用グリップを提
供する。 【構成】 硬度がＪＩＳ−Ａ形硬度計で３５〜５５の
加硫ゴムの成形体でゴルフクラブ用グリップを構成す
る。硬度がＪＩＳ−Ａ形硬度計で３５〜５５の加硫ゴ
ムの成形体で内層を構成し、その内層の表面の全部また
は一部を硬度がＪＩＳ−Ａ形硬度計で５０〜８０でかつ
上記内層より硬度が高い加硫ゴムで被覆することによっ
て、ゴルフクラブ用グリップを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ゴルフクラブ用グリッ
プに関する。

【０００２】

【従来の技術】ゴルフクラブの手元端の端部には、滑り
にくさを付与し、かつ握った時のフィーリング（感触）
を良くするためにグリップが装着されている。

【０００３】従来、このゴルフクラブ用グリップは皮革
製のものが主流を占めてきたが、コスト面や雨天時の使
用で滑るなどの問題があることから、現在は天然ゴムや
合成ゴムを主材として使用したゴム製のものに変ってき
た。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、ゴム製のグリ
ップも握った時のフィーリングを皮革製のものに近づけ
るため、硬度をかなり高くしている。そのため、ボール
を打撃した時の衝撃がかなり大きく、打撃時に不快感を
覚えるという問題がある。

【０００５】したがって、本発明は、ゴム製で打撃時の
衝撃を低減し、打撃時の不快感を少なくしたゴルフクラ
ブ用グリップを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、ゴルフクラブ
用グリップを硬度がＪＩＳ−Ａ形硬度計で３５〜５５の
加硫ゴムの成形物で構成することによって、上記目的を
達成したものである。

【０００７】すなわち、本発明では、ゴルフクラブ用グ
リップの硬度を皮革製のものと同程度にするというゴル
フクラブ用グリップに対する既成概念から脱却して、ゴ
ルフクラブ用グリップを従来より軟らかいＪＩＳ−Ａ形
硬度計で３５〜５５の加硫ゴムの成形物で構成すること
によって、打撃時の衝撃を低減させて、打撃時の不快感
を少なくしたのである。

【０００８】本発明において、ゴルフクラブ用グリップ
を構成する加硫ゴムの硬度をＪＩＳ−Ａ形硬度計で３５
〜５５という特定硬度にするのは、硬度が３５より低い
場合はグリップを握った時に軟らかすぎてかえってフィ
ーリングが低下するためであり、また硬度が５５より高
くなると打撃時の衝撃が大きくなって不快感がするよう
になるからである。そして、この硬度が４０〜５０の範
囲内のものが特に好ましい。

【０００９】ところで、グリップを握った時のフィーリ
ングは使用者の握力の相違によって多少異なる。たとえ
ば、握力の弱い人は、上記のような軟らかい加硫ゴムの
成形物からなるグリップでも握った時のフィーリングが
良好であると感じるが、握力の強い人には軟らかすぎて
頼りなく感じられ、必ずしも良いとは感じない。

【００１０】そこで、本発明者は、上記打撃時の衝撃を
低減できる軟らかい加硫ゴムの表面を硬度の高い加硫ゴ
ムで被覆することによって、打撃時の衝撃を低減する作
用を保持しながら、握力の強い人でも握った時のフィー
リングが良好なゴルフクラブ用グリップをも提供できる
ようにしたのである。

【００１１】すなわち、本発明者は、硬度がＪＩＳ−Ａ
形硬度計で３５〜５５の加硫ゴムの成形物で内層を構成
し、その内層の表面の全部または一部を硬度がＪＩＳ−
Ａ形硬度計で５０〜８０の範囲でかつ上記内層より硬度
が高い加硫ゴムで被覆することによって、打撃時の衝撃
を低減する作用を保持しながら、握力の強い人でも握っ
た時のフィーリングが良好なゴルフクラブ用グリップも
提供したのである。

【００１２】上記内層を被覆する加硫ゴムは使用者の握
力により硬度を変えることが好ましく、握力が５０以上
の人は硬度がＪＩＳ−Ａ形硬度計で６０〜８０のものが
好ましく、握力５０以下の人は硬度がＪＩＳ−Ａ形硬度
計で５０〜７０のものが好ましい。

【００１３】上記２層構造のゴルフクラブ用グリップ
は、内層が軟らかい加硫ゴムで構成され、被覆層は内層
より硬度が高い加硫ゴムで構成されているが、その作製
にあたっては、通常、未加硫時にそれぞれに対応したゴ
ム組成物を所定の形状となるように貼り合わせておき、
それを加硫する方法が採用される。そして、この２層構
造のゴルフクラブ用グリップの場合、その内層を被覆す
る被覆層は０．５〜２．０ｍｍの厚みにするのが好まし
い。

【００１４】グリップを握った時のフィーリングは、前
記のように、握力によって異なるので、握力の弱い人に
とっては、上記２層構造のグリップの内層を前記の硬度
範囲内で低目の硬度の加硫ゴムで構成する方が、打撃時
の衝撃がより少ない好ましいゴルフクラブ用グリップと
なる。

【００１５】また、得られたグリップは、１層構造のも
の、２層構造のものを問わず、滑りにくさや手触り感な
どを向上させるために、表面をサンドペーパーなどでバ
フがけ（研摩）してもよい。

【００１６】なお、本発明において、硬度をＪＩＳ−Ａ
形硬度計で測定したものに定義しているが、このＪＩＳ
−Ａ形硬度計とは、正式には、ＪＩＳ Ｋ ６３０１
（加硫ゴム物理試験方法）のスプリング式硬さ試験機Ａ
形をいう。

【００１７】

【実施例】つぎに、実施例をあげて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。

【００１８】実施例１〜５および比較例１〜３ 表１に示すＡ〜Ｅの組成のゴム組成物を調製し、得られ
たゴム組成物を温度１６５℃、圧力４０ｋｇｆ／ｃｍ²
で５分間圧縮成形することによって加硫した。得られた
加硫ゴムの硬度をＪＩＳ−Ａ形硬度計で測定した。その
結果も表１に示す。なお、表１中の各成分の配合量は重
量部によるものであり、配合成分の詳細は表１の後に示
す。

【００１９】

【表１】

【００２０】配合成分の詳細： 天然ゴム： ＲＳＳ ♯３ ＥＰＰＭ： エスプレン５０５Ａ（商品名、住友化学
工業社製のエチレンプロピレンジエンゴム） ＳＢＲ： ＳＢＲ１５０２（日本ゼオン社製のスチ
レンブタジエンゴム） 充填剤： ハードクレー 老化防止剤： ノクラック ＮＳ−６（商品名、大内新
興化学工業社製）

【００２１】つぎに、上記Ａ〜Ｅのゴム組成物を用い、
下記の構成でウッド１番クラブ用のグリップを作製し
た。その際の加硫は前記と同様に４０ｋｇｆ／ｃｍ² の
加圧下で１６５℃、５分間圧縮成形することにより行っ
た。

【００２２】実施例１〜５のゴルフクラブ用グリップ 実施例１：加硫ゴムＢ（硬度３８）の一体成形物 実施例２：加硫ゴムＣ（硬度４５）の一体成形物 実施例３：加硫ゴムＤ（硬度５３）の一体成形物 実施例４：加硫ゴムＣ（硬度４５）からなる内層の表面
を厚み約１ｍｍの加硫ゴムＥ（硬度７０）で被覆した成
形物 実施例５：加硫ゴムＣ（硬度４５）からなる内層の表面
を厚み約１ｍｍの加硫ゴムＤ（硬度５３）で被覆した成
形物

【００２３】比較例１〜３のゴルフクラブ用グリップ 比較例１：加硫ゴムＡ（硬度３０）の一体成形物 比較例２：加硫ゴムＥ（硬度７０）の一体成形物 比較例３：硬度（ＪＩＳ−Ａ形硬度計）が６０の加硫ゴ
ムの一体成形物からなる市販のゴルフクラブ用グリップ

【００２４】図１はゴルフクラブ用グリップの一例を模
式的に示す断面図であり、図２はゴルフクラブ用グリッ
プの他例を模式的に示す断面図である。

【００２５】図中、１はグリップであり、図１に示すグ
リップ１は加硫ゴムの一体成形物からなり、実施例１〜
３のグリップはこの図１に示すタイプのものに相当す
る。図２に示すグリップは軟らかい加硫ゴムで内層２を
構成し、その内層２の表面を該内層２より硬度の高い加
硫ゴムで被覆したもので、３はその被覆層であり、実施
例４〜５のグリップはこの図２に示すタイプのものに相
当する。なお、比較例１〜３のグリップはいずれも図１
に示すタイプのものである。

【００２６】つぎに、上記グリップをウッド１番クラブ
に装着し、そのグリップを握った時のフィーリングをプ
ロおよびトップアマ（計２０人）に評価させ、その結果
を表２に評価１−１と評価１−２として表示し、また、
そのグリップを装着したクラブでゴルフボールを打撃
し、その打撃時のフィーリングをプロおよびトップアマ
（計２０人）に評価させ、その結果を表２に評価２−１
と評価２−２として表示した。

【００２７】さらに、各グリップのインパクトハンマー
による振動減衰係数を測定し、その結果を表２に評価３
として表示した。

【００２８】グリップを握った時のフィーリングの評価
を評価１−１と評価１−２に分け、また打撃した時のフ
ィーリングの評価を評価２−１と評価２−２に分けてい
るのは、使用者の握力の相違によって評価が異なること
があるためである。表２の評価項目について要約すると
次の通りである。

【００２９】評価１−１：握力５０以上のプロおよびト
ップアマのグリップを握った時のフィーリング

【００３０】評価１−２：握力５０未満のプロおよびト
ップアマのグリップを握った時のフィーリング

【００３１】評価基準： ○： 良好でしっかりしている △： 良好であるが頼りない ×： 頼りない（悪い）

【００３２】評価２−１：握力５０以上のプロおよびト
ップアマの打撃時のフィーリング

【００３３】評価２−２：握力５０未満のプロおよびト
ップアマの打撃時のフィーリング

【００３４】評価基準： ○： 良好 △： どちらでもない ×： 痛い（悪い）

【００３５】評価３：インパクトハンマーによる振動減
衰係数 インパクトハンマー ＰＣＢ製 チャージアンプ 同上 高速フーリエ交換機 横河ヒューレットパッカード社
製

【００３６】使用クラブ 住友ゴム工業社製ＦＸ３１（商品名）カーボンシャフト
使用

【００３７】方法 グリップの上に加速度ピックアップを取り付け、ヘッド
をインパクトハンマーで打撃し、グリップ上に取り付け
た加速度ピックアップで振動を測定し、インパクト時の
振動を入力、ピックアップの振動を出力としてその伝達
関数より減衰係数を求める。

【００３８】

【表２】

【００３９】表２に示すように、実施例１〜５のグリッ
プは、打撃時のフィーリングが評価２−１、評価２−２
の少なくとも一方は良好であり、悪いもの（×印のも
の）はまったくなく、本発明によれば、打撃時の衝撃が
低減され、打撃時の不快感が少なくなることがわかる。

【００４０】また、グリップを握った時の感触は、握力
の相違によって評価結果が若干異なるが、実施例１〜５
のグリップは評価１−１または評価１−２のいずれかが
良好であり、評価１−１、評価１−２の両方とも悪いも
の（×印のもの）はまったくなかった。

【００４１】これに対し、硬度３０の加硫ゴムの一体成
形物からなる比較例１のグリップは、グリップを握った
時のフィーリングが評価１−１、評価１−２とも悪く、
また打撃時のフィーリングも評価２−１、評価２−２と
も良好とまではいたらなかった。

【００４２】また、硬度７０の加硫ゴムの一体成形物か
らなる比較例２のグリップや市販品の比較例３のグリッ
プは、打撃時のフィーリングが評価２−１、評価２−２
の両方とも悪かった。

【００４３】

【発明の効果】本発明では、硬度がＪＩＳ−Ａ形硬度計
で３５〜５５の加硫ゴムの成形体でゴルフクラブ用グリ
ップを構成することにより、打撃時の衝撃を低減させ、
打撃時の不快感の少ないゴルフクラブ用グリップを提供
することができた。

【００４４】また、本発明では、硬度がＪＩＳ−Ａ形硬
度計で３５〜５５の加硫ゴムの成形体で内層を構成し、
その内層の表面の全部または一部を硬度がＪＩＳ−Ａ形
硬度計で５０〜８０でかつ上記内層より硬度が高い加硫
ゴムで被覆することにより、打撃時の衝撃を低減させ、
かつ握力の強い使用者に対しても握った時のフィーリン
グが良好なゴルフクラブ用グリップを提供することがで
きた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のゴルフクラブ用グリップの一実施例を
模式的に示す断面図である。

【図２】本発明のゴルフクラブ用グリップの他の実施例
を模式的に示す断面図である。

【符号の説明】

１：グリップ ２：内層 ３：被覆層

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 硬度がＪＩＳ−Ａ形硬度計で３５〜５５
   の加硫ゴムの成形物からなることを特徴とするゴルフク
   ラブ用グリップ。
2. 【請求項２】 硬度がＪＩＳ−Ａ形硬度計で３５〜５５
   の加硫ゴムの成形物からなる内層の表面の全部または一
   部を、硬度がＪＩＳ−Ａ形硬度計で５０〜８０でかつ上
   記内層より硬度が高い加硫ゴムで被覆したことを特徴と
   するゴルフクラブ用グリップ