JPH06245790A - オリゴペプチド混合物およびその製造方法 - Google Patents

オリゴペプチド混合物およびその製造方法

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JPH06245790A
JPH06245790A JP50A JP6129893A JPH06245790A JP H06245790 A JPH06245790 A JP H06245790A JP 50 A JP50 A JP 50A JP 6129893 A JP6129893 A JP 6129893A JP H06245790 A JPH06245790 A JP H06245790A
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oligopeptide
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 小麦蛋白質をバチルス属細菌由来のアルカリ
プロテアーゼでpH8.0〜11.0、温度40〜70℃で加水分
解するか、或いは該加水分解後に更に微生物又は植物由
来の中性プロテアーゼでpH6.0〜8.0、温度40〜60℃で
加水分解して、重量平均分子量200〜1000;ジ及びトリ
ペプチド含量50重量%以上;遊離アミノ酸含量10重量%
以下及びグルタミン含量30重量%以上のオリゴペプチド
混合物を得る方法、並びにそれにより得られたオリゴペ
プチド混合物。 【効果】 本発明のオリゴペプチド混合物はジ及びトリ
ペプチド含量が多いため消化管での消化吸収性に優れ消
化吸収能の低い高齢者、乳幼児、病人等への蛋白質素材
として有用で、グルタミンを多量に含むため侵襲時又は
腸管機能障害時のエネルギー源として有用であり且つ加
熱加工に対して安定で広範な用途に使用可能であり、本
発明の方法による場合はかかる有益なオリゴペプチド混
合物を小麦蛋白質から安全に且つ高収率で経済的に生産
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオリゴペプチド混合物お
よびその製造方法に関する。詳細には、本発明で得られ
るオリゴペプチド混合物は、消化管での吸収性に優れ、
侵襲時や腸管機能障害時の栄養源として極めて有用であ
り且つ熱安定性にも優れており、経管・経口栄養剤とし
て極めて有用であり、特に本発明の方法による場合はそ
のような優れた特性を有するオリゴペプチド混合物を極
めて安全に且つ高収率で経済的に製造することができ
る。
【0002】
【従来の技術】栄養成分や機能性食品などに使用するた
めに、牛乳や卵に含まれる動物性蛋白質、大豆、小麦、
トウモロコシなどに含まれる植物蛋白質などを蛋白分解
酵素(プロテアーゼ等)で加水分解して低分子量のペプ
チドにすることが従来から色々試みられている。特に、
アミノ酸が2個または3個結合したジペプチドおよびト
リペプチドは、消化管での吸収性に優れていることによ
り、経管・経口栄養剤、機能性飲料などの素材として注
目されている。
【0003】しかし、プロテアーゼの選択、酵素反応の
厳密な制御の困難さなどの点から、ジペプチドやトリペ
プチド含量の高いオリゴペプチド混合物を効率良く製造
することがこれまで困難であった。特に、小麦蛋白質は
水に溶けにくいところから、プロテアーゼにより分解し
難く、そのため小麦蛋白質の加水分解による分子量の高
いペプチド類の製造法は既に色々開発されているもの
の、ジペプチドやトリペプチド含量の多い低分子量のオ
リゴペプチド混合物は未だ得られていないのが現状であ
る。
【0004】ところで、近年、臨床栄養学の進歩によっ
て、分岐鎖アミノ酸、グルタミンなどの特定のアミノ酸
が、生体侵襲等のストレス負荷時の蛋白質やアミノ酸の
代謝異常に対して極めて有効であり良好な医療効果を有
することが判明している[岡田;“化学と生物”,27,
585(1989)]。そして、分岐鎖アミノ酸は肝不全など
に対する栄養剤として既に利用されており、ペプチド態
での応用も試みられている。また、グルタミンは腸管エ
ネルギー源として重要であり、生体侵襲時やストレス負
荷時の窒素平衡の改善剤、中心静脈栄養法施行時にみら
れる消化管粘膜萎縮防止などの小腸機能の改善剤、胃潰
瘍や十二指腸潰瘍用の医薬などとしての効果が確認され
ている[吉村ら;“医学のあゆみ”149,385(1989)、
鈴江;“臨床栄養”80,289(1992)、大熊;“輸液と
栄養”13,1(1989)など]。
【0005】しかし、グルタミンは輸液や経管・経口栄
養剤の素材として有益であるにも拘わらず、アミノ酸の
形態では熱に不安定であり、その機能を充分に発揮でき
ないため、化学処理によってアシル化、アセチル化など
の誘導体にしたり、化学合成によってジペプチドやトリ
ペプチドに転換して使用することが試みられている[W.
W.Souba;J.Parent.Ent.NUtr.,9,608(1985),特開昭63
−51399号公報、特開昭62−151156号公報
など]。しかし、こられの従来法は化学的方法であるた
めに完全性の点で問題があること、そして高価なアミノ
酸を原料にするためにコストが高くなるなどの理由から
未だ実用化されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、消化
管での消化吸収性に優れたジペプチドおよびトリペプチ
ドの含量が高く、しかも有益なグルタミン含量の多いオ
リゴペプチド混合物を安全に且つ安価に提供できるよう
にすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
本発明者らが研究を続けた結果、バチルス属細菌の生産
するアルカリプロテアーゼを用いて特定のpHおよび温
度条件下で小麦蛋白質を特定時間加水分解すると、ジペ
プチドおよびトリペプチドの含量が高く且つグルタミン
を多量に含有する有益なオリゴペプチド混合物が効率よ
く得られることを見出した。更に、本発明者らは、上記
のアルカリプロテアーゼ処理の後に更に特定の条件下で
微生物または植物の生産する中性プロテアーゼによる加
水分解処理を施すと、上記の有益なオリゴペプチド混合
物をより高い収率で得ることができることを見出し、そ
れらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、小麦蛋白質をプロテ
アーゼで分解して得られるオリゴペプチド混合物であっ
て、下記の〜の特性; 重量平均分子量が200〜1000である; ジペプチドおよびトリペプチドの合計含量が50重量
%以上である; 遊離アミノ酸含量が10重量%以下である; グルタミン含量が30重量%以上である; を有していることを特徴とするオリゴペプチド混合物で
ある。
【0009】更に、本発明は、上記〜の特性を有す
るオリゴペプチド混合物の製造方法であり、その方法と
して、(1)小麦蛋白質をバチルス属細菌の生産するア
ルカリプロテアーゼ(以下単に「アルカリプロテアー
ゼ」ということがある)を用いてpH8.0〜11.
0、温度40〜70℃で5〜30時間加水分解して該オ
リゴペプチド混合物を製造する方法、または(2)小麦
蛋白質をバチルス属由来アルカリプロテアーゼを用いて
pH8.0〜11.0、温度40〜70℃で2〜10時
間加水分解した後、微生物または植物に由来する中性プ
ロテアーゼを(以下単に「中性プロテアーゼ」というこ
とがある)用いて更にpH6.0〜8.0、温度40〜
60℃で5〜20時間加水分解して該オリゴペプチド混
合物を製造する方法、を採用するものである。また、本
発明は、上記〜の特性を有するオリゴペプチド混合
物を含有する経管・経口栄養剤を包含する。
【0010】本発明の製造方法で使用する小麦蛋白質
は、グルテンから主としてなっており、他にアルブミ
ン、グロブリン等の蛋白質を含有することが知られてい
る。
【0011】そして本発明において、上記(1)の方法
により行う場合は、小麦蛋白質のアルカリプロテアーゼ
による加水分解処理をpH8.0〜11.0、好ましく
はpH9.0〜10.0、温度40〜70℃、好ましく
は50〜60℃で5〜30時間、好ましくは10〜20
時間行って、そこで生成したオリゴペプチド混合物を回
収することにより目的とするオリゴペプチド混合物を得
ることができる。
【0012】また、上記(2)の方法により行う場合
は、小麦蛋白質をアルカリプロテアーゼを用いてpH
8.0〜11.0、好ましくはpH9.0〜10.0、
温度40〜70℃、好ましくは50〜60℃で、2〜1
0時間、好ましくは5〜10時間加水分解した後、中性
プロテアーゼを用いて更にpH6.0〜8.0、好まし
くは6.5〜7.5、温度40〜60℃、好ましくは5
0〜60℃で5〜20時間、好ましくは10〜15時間
加水分解処理を行うことにより目的とするオリゴペプチ
ド混合物を得ることができる。
【0013】上記(2)の方法を採用する場合は、アル
カリプロテアーゼによる加水分解によって得られた生成
物を含む液のpHを中性プロテアーゼが作用する上記し
た範囲に調節してそのまま中性プロテアーゼによる加水
分解を継続しても、またはアルカリプロテアーゼによる
加水分解により得られた生成物を一旦液から回収し、そ
れをpH6.0〜8.0に調節した水性媒体中などに再
度分散または溶解させて中性プロテアーゼにより加水分
解してもよい。
【0014】本発明の上記(1)の方法によっても、
〜の特性を有するオリゴペプチド混合物を50%以上
の高い収率で得ることができるが、上記(2)の方法を
採用した場合には、それよりも一層高い収率で〜の
特性を有するオリゴペプチド混合物を得ることができ、
しかもこのオリゴペプチド混合物はより高いジペプチド
およびトリペプチド含量を有している。
【0015】上記(1)の方法および(2)の方法のい
ずれの場合も、バチルス属細菌の生産するアルカリプロ
テアーゼによる加水分解処理は、小麦蛋白質を水等の水
性媒体中に分散または溶解させた状態で行うのがよく、
使用するプロテアーゼの種類等により適宜調節する必要
があるが、通常、水性媒体中における小麦蛋白質の濃度
を約5〜15重量%程度にして加水分解処理を行うのが
よい。
【0016】アルカリプロテアーゼとしては、バチルス
属細菌の生産するアルカリプロテアーゼであればいずれ
も使用でき、例えばスブチリシン等を挙げることがで
き、それらのアルカリプロテアーゼはノボインダストリ
ージャパン社製の「アルカラーゼ」、上田化学工業社製
の「オリエンタラーゼ22」、大和化成社製の「プロチ
ンA」などとして入手することができる。アルカリプロ
テアーゼは1種類のみを使用しても、またはアルカリプ
ロテアーゼ同士が互いに悪影響を及ぼさないかぎりは複
数種を併用してもよい。複数のアルカリプロテアーゼを
使用する場合は、複数のアルカリプロテアーゼを同時に
存在下させて加水分解を行っても、または1種類ずつ逐
次に用いて加水分解を行ってもよい。
【0017】また、アルカリプロテアーゼはフリーの状
態で使用しても、固定化して使用してもよく、いずれの
場合も乾燥した小麦蛋白質100g当たり0.05〜2
g(約1万〜40万units)、好ましくは0.1〜1g
(約2万〜20万units)の割合で使用するのがよい。
【0018】そして、上記(1)の方法によってオリゴ
ペプチドを製造する場合は、アルカリプロテアーゼによ
る加水分解処理を、通常、加水分解度が約70〜95%
の状態になるまで上記した条件下で行った後、アルカリ
プロテアーゼを加熱処理またはpHの低下などの任意の
方法で失活させて、生成したオリゴペプチドを混合物の
形態で回収するのがよい。
【0019】また、上記(2)の方法による場合は、ア
ルカリプロテアーゼによる加水分解処理を、通常、加水
分解度が約60〜80%の状態になるまで上記した条件
下で行った後、液のpHを6.0〜8.0の中性領域に
調節して、或いは生成物を一旦回収した後pH6.0〜
8.0の水性媒体に分散または溶解させて、中性プロテ
アーゼを使用して、上記した条件下に更に加水分解を行
う。
【0020】この(2)の方法で用いる中性プロテアー
ゼとしては、微生物または植物に由来する中性プロテア
ーゼであればいずれも使用でき、例えば金属プロテアー
ゼ、パパインなどを挙げることができ、それらの中性プ
ロテアーゼは、天野製薬社製の「プロテアーゼアマノ
N」、ヤクルト社製の「アロアーゼAP−10」、上田
化学工業社製の「オリエンターゼ90N」、大和化成社
製の「プロチンPC10F」などとして入手することが
できる。中性プロテアーゼは1種類のみを使用しても、
または中性プロテアーゼ同士が互いに悪影響を及ぼさな
いかぎりは複数種を併用してもよい。複数の中性プロテ
アーゼを使用する場合は、複数の中性プロテアーゼを同
時に存在下させて加水分解を行っても、または1種類ず
つ逐次に用いて加水分解を行ってもよい。
【0021】また、アルカリプロテアーゼの場合と同様
に、中性プロテアーゼはフリーの状態で使用しても、固
定化して使用してもよく、いずれの場合も最初に使用す
る乾燥した小麦蛋白質100g当たり0.05〜2g
(約2万〜80万units)、好ましくは0.1〜1g
(約4万〜40万units)の割合で使用するのがよい。
【0022】そして、中性プロテアーゼによる加水分解
処理を、通常、加水分解度が約70〜95%の状態にな
るまで上記したpH6.0〜8.0、温度40〜60℃
の条件下で5〜20時間行った後、中性プロテアーゼを
加熱やpH低下またはpH上昇などの任意の方法で失活
させ、生成した小麦蛋白質を液から回収することによ
り、上記〜の特性を有するオリゴペプチド混合物を
得ることができる。
【0023】ここで、本明細書中における小麦蛋白質の
加水分解度は、いずれも0.75Mトリクロロ酢酸(T
CA)への溶解率で示したものであり、次の数式1で表
される。
【0024】
【数1】加水分解度(%)={(0.75M TCA溶解蛋白
量)/(全蛋白量)}×100
【0025】また、本明細書中のプロテアーゼ活性(uni
t)はすべて下記の方法により測定したものである。プロテアーゼ活性の測定法 基質として米国メルク社製のハマーステインカゼイン1
%溶液を用い、アンソン−萩原変法[赤堀四郎編 “酵
素研究法”第2巻、第237頁(昭和36年1月10
日、朝倉書店発行)]により測定した。反応は30℃で
30分間行い、1分間に1μgのチロシン相当量を遊離
するのに要する酵素量を1unitとした。
【0026】上記の(1)の方法または(2)の方法に
より得られたオリゴペプチド混合物の回収方法は特に限
定されず任意の方法で行うことができる。例えば、上記
(1)または(2)の方法により得られたオリゴペプチ
ド混合物はいずれも加水分解処理に用いた水性媒体中に
可溶であるので、加水分解処理後に不溶物を遠心分離、
濾過、デカンテーション等の通常の固液分離法により分
離して除いて液体分を回収し、それを乾燥して目的とす
るオリゴペプチド混合物を得る方法を採用することがで
きる。
【0027】また、更に純度の高いオリゴペプチド混合
物を得たい場合には、不溶物を除去した後の液体を活性
炭、珪藻土等の吸着剤を用いて処理して液中に含まれる
不純物を吸着除去し、後に残った液を必要に応じて更に
濃縮してから、噴霧乾燥、凍結乾燥、加熱乾燥などの任
意の方法で乾燥させて、オリゴペプチド混合物を固体と
して回収するとよい。その際に加熱乾燥を行う場合は、
生成物が熱変性しない温度(通常約70〜80℃以下)
を採用するのがよく、また乾燥処理は、得られる固体分
中の水分含量が約10重量%以下になるまで行うのがよ
い。
【0028】そして、上記した本発明の(1)の方法ま
たは(2)の方法を行うことによって、上記した〜
の特性、すなわち、重量平均分子量が200〜100
0;ジペプチドおよびトリペプチドの合計含量がオリ
ゴペプチド混合物の重量に基づいて50重量%以上;
遊離アミノ酸含量がオリゴペプチド混合物の重量に基づ
いて10重量%以下;およびグルタミン含量がオリゴ
ペプチド混合物の重量に基づいて30重量%以上である
本発明のオリゴペプチド混合物を得ることができる。
【0029】ここで、本発明のオリゴペプチド混合物の
重量平均分子量、ジペプチドおよびトリペプチドの含
量、グルタミン含量および遊離アミノ酸含量は次のよう
にして測定したものである。
【0030】重量平均分子量:PolyLC社のPolyHYDROX
YETHYL Aspartamide カラムを用いた高速液体クロマト
グラフィーにて、溶離液50mM蟻酸、流速0.5ml
/分、検出220nmの紫外吸収の条件下に測定した。
その際のデータ解析は、分子量既知のオリゴペプチド6
種類(Bradykinin=1060、Gly-Gly-Tyr-Arg AcOH H2O=
518、Ile-Ala-Pro=299、Leu-Gly-Gly=246、Gly-Gly=
132、Gly=75)を用いて校正曲線を作成し、システムイ
ンスツルメンツ社製のGPC解析システムにて実施し
た。
【0031】ジペプチドおよびトリペプチドの含量:上
記の重量平均分子量の測定法と同じ方法を行って、重量
平均分子量が125〜397のペプチドの合計量測定し
て、それをジペプチドおよびトリペプチドの合計含量と
し、各実施例で得られたオリゴペプチド混合物の重量に
対する割合(重量%)を求めた。
【0032】グルタミン含量:オリゴペプチド混合物を
常法にて塩酸加水分解し、アミノ酸分析を行い、この時
のグルタミン量をAとした。また、遊離のグルタミン量
をBとし、A−Bにより求めた。
【0033】遊離アミノ酸含量:試料から蛋白質を除い
た後、Phenyl isothiocyanate化し、ウォーターズ社のP
ICO-TAG システムにてアミノ酸組成を分析し、オリゴペ
プチド混合物の重量に対する遊離アミノ酸の含量(重量
%)として求めた。
【0034】上記〜の特性を有する本発明のオリゴ
ペプチドは、水によく溶けて沈殿物の生成がなく、遊離
アミノ酸に特有な不快な臭いも少なく、食品や医薬品と
して通常用いられている他の物質との相性もよく、高い
ジペプチドおよびトリペプチド含量を有し、しかも輸液
や経管・経口栄養剤の素材と極めて有益なグルタミンを
多量に有している。そのため、経管・経口栄養剤とし
て、更には機能性成分として各種飲料やスープなどの飲
食物や飼料中に添加して有効に使用することができる。
【0035】
【実施例】以下に、本発明を実施例を挙げて具体的に説
明するが本発明はそれによって限定されない。
【0036】《実施例 1》粉末小麦蛋白質(Bunge Bio
products Pty.Ltd製「Special Fine Dry Gluten」)13
3.5kgを0.05Nのアンモニア水870リットル
に撹拌下に溶解し(pH10.0)、オリエンターゼ2
2BFを500g(1000units/小麦蛋白質1g)
を添加して55℃で5時間反応させた。次に、塩酸を用
いて液のpHを7.0に調節した後、オリエンターゼ9
0Nを500g(4000units/小麦蛋白質1g)添
加し、60℃で15時間反応させた。その時点で50%
L−乳酸を約15リットル加えて液のpHを4.5に調
整した後90℃で20分間加熱してプロテアーゼを失活
させた。冷却後、活性炭(武田薬品工業社製「タケコー
ル50W」)10kgを加えて1時間撹拌した後、珪藻
土を濾過助剤としてフィルタープレス処理を行って透明
な濾液を得た。この濾液を減圧濃縮した後、プレートヒ
ーターで殺菌し、次いで噴霧乾燥して粉末状のオリゴペ
プチド混合物82kgを得た(小麦蛋白質に対するオリ
ゴペプチド混合物の収率61.4%)。
【0037】上記した得られたオリゴペプチド混合物の
特性を上記の方法で測定したところ、オリゴペプチド混
合物の重量平均分子量は420、オリゴペプチド混合物
重量に対するジペプチドおよびトリペプチドの合計含量
は59.8重量%、グルタミン含量は33.9重量%お
よび遊離アミノ酸含量は7.2重量%であった。なお、
参考のために、表1にこの実施例1で得られたオリゴペ
プチド混合物のアミノ酸組成を示す。
【0038】《実施例 2》実施例1で使用したのと同
じ粉末小麦蛋白質133.5kgを0.02Nのアンモ
ニア水870リットルに撹拌下に溶解した後、水酸化ナ
トリウムでpHを9.8に調整し、オリエンターゼ22
BFを1kg(2000units/小麦蛋白質1g)添加
して60℃で0.5時間反応させた。水酸化ナトリウム
でpHを9.5に再調整した後、更に60℃で10時間
反応させた。その時点で50%L−乳酸を約15リット
ル加えて液のpHを4.5に調整し、90℃で20分間
加熱してプロテアーゼを失活させた。冷却後、実施例1
で用いたのと同じ活性炭10kgを加えて1時間撹拌し
た後、珪藻土を濾過助剤としてフィルタープレス処理を
行って透明な濾液を得た。この濾液を減圧濃縮した後、
プレートヒーターで殺菌し、次いで噴霧乾燥して粉末状
のオリゴペプチド混合物80kgを得た(小麦蛋白質に
対するオリゴペプチド混合物の収率59.9%)。
【0039】上記で得られたオリゴペプチド混合物の特
性を上記した方法で測定したところ、オリゴペプチド混
合物の重量平均分子量は540、オリゴペプチド混合物
重量に対するジペプチドおよびトリペプチドの合計含量
は50.4重量%、グルタミン含量は34.3重量%お
よび遊離アミノ酸含量は5.8重量%であった。なお、
参考のために、表1にこの実施例2で得られたオリゴペ
プチド混合物のアミノ酸組成を示す。
【0040】
【表1】
【0041】上記表1の結果から、本発明の上記(2)
の方法に相当する実施例1、および上記(1)の方法に
相当する実施例2のいずれの場合も、ジペプチドおよび
トリペプチドの合計含量並びにグルタミン含量がいずれ
も高く、しかも遊離アミノ酸含量の極めて少ない有益な
オリゴペプチド混合物を小麦蛋白質から高収率で得るこ
とができること、特にアルカリプロテアーゼで加水分解
した後更に中性プロテアーゼで加水分解を行う実施例1
の方法による場合は、ジペプチドおよびトリペプチドの
合計含量が一層多いオリゴペプチド混合物を得ることが
できることがわかる。
【0042】
【発明の効果】本発明のオリゴペプチド混合物は、ジペ
プチドおよびトリペプチドを多く含むため、消化管での
消化吸収性に優れ、消化吸収能力の低下している高齢
者、乳幼児、病人などへの蛋白質素材として極めて有用
である。また、本発明のオリゴペプチド混合物はグルタ
ミンを多量に含んでいるため、侵襲時または腸管機能障
害時のエネルギー源として有用であり、しかもグルタミ
ンは遊離態ではなくペプチド態で存在していることによ
り加熱などの加工に対して安定であり、広範な用途に使
用可能である。そして、本発明のオリゴペプチド混合物
は遊離アミノ酸含量が少ないため、遊離アミノ酸に特有
な不快な風味がなく、経口投与時の受容性に優れ、且つ
浸透圧も低いので下痢などの症状を起こしにくい。更
に、本発明の方法による場合は、それ自体が有用な食品
素材である小麦蛋白質から安全性の高いオリゴペプチド
混合物を極めて高い収率で経済的に生産性よく製造する
ことができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小麦蛋白質をプロテアーゼで分解して得
    られるオリゴペプチド混合物であって、下記の〜の
    特性; 重量平均分子量が200〜1000である; ジペプチドおよびトリペプチドの合計含量が50重量
    %以上である; 遊離アミノ酸含量が10重量%以下である; グルタミン含量が30重量%以上である; を有していることを特徴とするオリゴペプチド混合物。
  2. 【請求項2】 小麦蛋白質をバチルス属細菌の生産する
    アルカリプロテアーゼを用いてpH8.0〜11.0、
    温度40〜70℃で5〜30時間加水分解して請求項1
    のオリゴペプチド混合物を製造する方法。
  3. 【請求項3】 小麦蛋白質をバチルス属細菌の生産する
    アルカリプロテアーゼを用いてpH8.0〜11.0、
    温度40〜70℃で2〜10時間加水分解した後、微生
    物または植物に由来する中性プロテアーゼを用いて更に
    pH6.0〜8.0、温度40〜60℃で5〜20時間
    加水分解して請求項1のオリゴペプチド混合物を製造す
    る方法。
  4. 【請求項4】 請求項1のオリゴペプチド混合物を含有
    する経管・経口栄養剤。
JP06129893A 1993-02-26 1993-02-26 オリゴペプチド混合物およびその製造方法 Expired - Lifetime JP3202093B2 (ja)

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