JPH06245658A - 植物栽培の灌水方法 - Google Patents

植物栽培の灌水方法

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JPH06245658A
JPH06245658A JP3232393A JP3232393A JPH06245658A JP H06245658 A JPH06245658 A JP H06245658A JP 3232393 A JP3232393 A JP 3232393A JP 3232393 A JP3232393 A JP 3232393A JP H06245658 A JPH06245658 A JP H06245658A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】植木鉢などの栽培容器を配置するとき灌水樋の
位置に合わせて栽培容器を配置する必要がなく、またマ
ット全体に亘ってほぼ均一に保水できるようにし、さら
には節水を可能とする。 【構成】底板部3に複数の開口部4を有するトレー2の
上に下層に保水層、上層に吸水層を有する給水マット6
を敷設し、前記トレー2の開口部4に紐状あるいはテー
プ状の吸水材5を上下に貫通させ、この吸水材5の上端
を給水マット6の下面に当接させ、また吸水材5の下端
を灌水樋1内の水に浸漬させることにより、灌水樋1内
の水分を吸水材5を介して給水マット6に供給し、給水
マット6の上に載せられた植木鉢7内の土壌に給水する
もので、トレー2上に植木鉢7を配置するとき給水マッ
ト6の上に植木鉢7を載せるだけで良く、また給水マッ
ト6全体に亘ってほぼ均一に保水できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多数の栽培容器に対し
て同時に給水するための植物栽培の灌水方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来の植物栽培の灌水方法としては、複
数本の灌水樋の上方に長手方向に適当間隔おきに植木鉢
を位置させ、下端を前記灌水樋内の水に浸漬させた紐状
の吸水材の上端を植木鉢の下端開口部を貫通させて植木
鉢内の土壌中に位置させ、前記灌水樋内の水分を吸水材
を介して植木鉢内の土壌に供給する方法が知られてい
る。また、ベンチ上に給水性のマットを敷設し、このマ
ットに対して特定箇所から水を供給して、マット上に載
せられた多数の植木鉢に対して植木鉢の底部孔より給水
するとともに、前記ベンチの側部から垂らされたマット
の縁部から余剰水を取り除く方法も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の2つの方法の内、前者の吸水材より植木鉢内の土壌
に給水する方法では、灌水樋の位置に合わせて植木鉢を
配置しなければならないという問題があり、また後者の
ベンチ内に敷設されたマットに特定箇所から水を供給
し、マット上に載せられた多数の植木鉢に対して植木鉢
の底部孔より給水する方法では、マット全体に亘って均
一に保水させることが困難で、植木鉢間の給水量にばら
つきが生じるという問題があった。またこの後者の方法
では、ベンチの側部から垂らされたマットの縁部から余
剰水を垂れ流し状態で排除しており、水の無駄が生じる
という問題があった。
【0004】本発明はこのような課題を解決するもの
で、従来のように灌水樋の位置に合わせて植木鉢などの
栽培容器を配置する必要がなく、またマット全体に亘っ
てほぼ均一に保水できるようにし、さらには節水が可能
な植物栽培の灌水方法を提供することを目的とするもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために次の構成よりなるものである。即ち本発明
は、底板部に複数の開口部を有するトレーの上に下層に
保水層、上層に吸水層を有する給水マットを敷設し、前
記トレーの開口部に紐状あるいはテープ状の吸水材を上
下に貫通させ、この吸水材の上端を前記給水マットの下
面に当接させ、また吸水材の下端を灌水樋内の水に浸漬
させることにより、前記灌水樋内の水分を吸水材を介し
て前記給水マットに供給し、給水マットの上に載せられ
た栽培容器内の土壌に給水することを要旨とするもので
ある。また本発明に使用される給水マットは、単糸繊度
が3デニール以上7デニール以下の熱可塑性合成繊維か
らなり且つニードリングにより繊維が三次元的に交絡し
た保水率 200%以上のウエッブで構成される保水層と、
単糸繊度が 0.5デニール以上3デニール未満の熱可塑性
合成繊維からなり且つバイレック法での吸水性が50mm以
上、通気度が 100cm3/cm2 /s以下で平滑な表面を有
するウエッブで構成される吸水層とが積層されてなるこ
とを要旨とするものである。さらに本発明に使用される
給水マットは、単糸繊度が3デニール以上7デニール以
下の熱可塑性合成繊維からなり且つニードリングにより
繊維が三次元的に交絡した保水率 200%以上のウエッブ
で構成される保水層と、単糸繊度が 0.5デニール以上3
デニール未満の熱可塑性合成繊維からなり且つバイレッ
ク法での吸水性が50mm以上、通気度が 100cm3 /cm2
s以下で平滑な表面を有するウエッブで構成される吸水
層とを積層したシートの少なくとも保水層に、キチンの
脱アセチル化物が固着されてなることを要旨とするもの
である。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。まず、図
1および図2において、1,1…は複数本の並設された
灌水樋で、これら灌水樋1,1…の上部には合成樹脂製
のトレー2が設けられている。トレー2は周囲に立ち上
がり壁2aを有し、前記立ち上がり壁2aで囲まれた底
板部3には各灌水樋1の上方位置において適当間隔おき
に多数の開口部4,4…が形成されている。5は前記灌
水樋1内の水に下端が浸漬され、上端が前記トレー2の
開口部4を上下に貫通する吸水材で、縄や撚り紐などの
紐状の繊維束や、吸水性を有する不織布あるいは紙をテ
ープ状に切断したものが用いられる。6は前記トレー2
の底板部3上に敷かれた給水マットで、下層に保水層、
上層に吸水層を有し、この給水マット6の下面は前記吸
水材5の上端と当接している。7は前記給水マット6の
上に適当間隔おきに載置される栽培容器としての植木鉢
で、この植木鉢7は前記開口部4の上方位置に配設され
る必要はない。これにより、前記灌水樋1内の水分を吸
水材5を介して前記給水マット6に供給し、給水マット
6の上に載せられた多数の植木鉢7の底部孔より植木鉢
7内の土壌に給水することができる。
【0007】なお、図面に示すものは栽培容器として植
木鉢7を用い、これを給水マット6の上に載置している
が、植木鉢7より大きな箱状の栽培容器を用いて給水マ
ット6の上に載置するようにしても良い。
【0008】次に、前記給水マット6について詳細に説
明する。まず保水層のウエッブについてであるが、使用
される熱可塑性合成繊維としてはポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエス
テルなどのポリエステル系、ポリエチレン、ポリプロピ
レンなどのポリオレフィン系、ナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン610 などのポリアミド系などのポリマーか
らなるものや、これらのブレンド物からなるものが用い
られる。また、繊維としては、これらのポリマー 100%
からなるものの他に、二種以上のポリマーが複合したも
のであっても良い。なお、複合形態としては貼り合わせ
型や芯鞘型、中空型の何れでも使用できる。また、長繊
維、短繊維の何れであっても良い。上記保水層に用いる
熱可塑性合成繊維の単糸繊度は3デニール以上7デニー
ル以下の範囲にあることが必要である。
【0009】単糸繊度が3デニール以下の場合、開繊積
層した後のウエッブのニードリング工程で、単糸繊度が
小さいために繊維が交絡しすぎてでき上ったニードルパ
ンチウエッブは風合が硬く、密度の大きなウエッブしか
得られない。従って、3デニール未満で得られたニード
ルパンチウエッブは保水層とした場合、単糸繊度が小さ
いため繊維間の空隙が少なく、水を保持する体積が小さ
くなり、保水性が低下するのである。
【0010】一方、単糸繊度が 7.0デニール以上の場合
はニードリング工程で繊維間の交絡が少なく、ウエッブ
にした場合、単糸がウエッブから剥離し、さらに繊維間
の空隙が大きすぎて保水してもすぐ排出され、保水能力
が不足して植物が枯れるなどのトラブルが発生する。保
水能力としては、JIS−L−1096 6.26.(2) の測定法
で 200%以上が必要であり、これ以下では保水量が不足
して吸水層から植物へ十分に水を供給できなくなる。ま
た、ニードリング条件は保水層を構成するウエッブの単
糸繊度が3デニール以上7デニール以下の範囲の場合、
50回/cm2 〜 150回/cm2 とするのが三次元的に交絡し
た形態を得て保水性を保持するのに好ましい。なお、三
次元的交絡とはシートの厚み方向に立体的に繊維が交絡
していることをいう。さらに保水性を保持する重要な点
は保水層の厚みがあげられ、厚みが小さいと保水量が低
下し植物が枯れることがあり、逆に大きすぎると根腐れ
が発生する。従って、保水層の厚みは 2.0mm〜5.0mm の
範囲が植物栽培には好ましい。上記の構成により保水率
200%以上の保水層となるのである。
【0011】次に、吸水層のウエッブについてである
が、使用される熱可塑性合成繊維としてはポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合
ポリエステルなどのポリエステル系、ポリエチレン、ポ
リプロピレンなどのポリオレフィン系、ナイロン6、ナ
イロン66、ナイロン610 などのポリアミド系などのポリ
マーからなるものや、これらのブレンド物からなるもの
が用いられる。また、繊維としては、これらのポリマー
100%からなるものの他に、二種以上のポリマーが複合
したものであっても良い。なお、複合形態としては貼り
合わせ型や芯鞘型、中空型の何れでも使用できる。ま
た、長繊維、短繊維の何れであっても良い。上記の熱可
塑性合成繊維の単糸繊度としては吸水性および根切り性
の両方を保持するため、 0.5デニール以上3デニール未
満の範囲とする必要があり、好ましくは 1.0〜2.0 デニ
ールが良好である。単糸繊度 0.5デニール未満の場合、
熱圧接ロールで圧接するとフイルム状になって根切り性
能は向上するが吸水性が劣る。また単糸繊度が3デニー
ル以上になると圧接後に得られたウエッブは単糸繊度が
大きいために、繊維間の空隙が大きすぎて根が空隙に侵
入し鉢物の移動時に移動できなく、根を切らなくてはな
らないなどのトラブルが発生する。吸水、根切りの両方
の性能を保持したウエッブは上記熱可塑性合成繊維を開
繊、積層した後、熱圧接ロールで繊維間を圧接すること
により得られる。短繊維の場合はニードリングによって
繊維を三次元的に交絡させた後、熱圧接ロールで圧接す
るなどの方法が一般的である。
【0012】一方長繊維の場合は開繊積層した後、熱圧
接ロールで圧接すれば良い。上記ウエッブは表面が平滑
であることが必要であり、平滑にする方法としては表面
がフラットな熱圧接ロールで圧接すれば良い。このよう
な処理によりウエッブの表面は平滑になって植物の根が
保水層の中に侵入しない。根が保水層に侵入しない目安
としては繊維間の空隙量を測定する通気度があり、通気
度を 100cm3 /cm2 /s以下にする必要がある。通気度
を 100cm3 /cm2 /s以下にするには熱圧接ロールの温
度を高くするか、熱圧接ロールの線圧を上げる手段を用
いると良い。さらに吸水性を向上させたものが必要なと
きには親水性油剤、例えばポリエチレンオキサイド,ポ
リプロピレンオキサイドなどポリエーテル系化合物を配
合した油剤を付着させれば良い。次に吸水性能は給水マ
ットを給水溝に常に入れて給水溝に給水したとき給水マ
ットが給水溝の高さ以上の吸水能力、すなわちJIS−
L−1096 6.26.(2) バイレック法で50mm以上であること
が必要である。50mm未満になると保水層に水分が到達し
なく植物が枯れることになる。また、給水性能と根切り
性能の両者の性能を同時に向上させる目的で熱圧接ロー
ルで圧接されたウエッブにアクリル系の樹脂を付着させ
るのも好ましい。次に保水層と吸水層を積層するには、
例えば低融点の高分子粉末を保水層の上に分散し乾燥機
の中で熱処理するか、または熱圧接ロールで熱圧接すれ
ば良い。あるいは保水層または吸水層の何れかの繊維を
鞘部に低融点ポリマーを用いた芯鞘型複合繊維とし、熱
圧接ロールを使用して繊維間を熱接着しても良い。この
ようにして得られたマットは上層に吸水性と根切り性能
を付与した層を備え、下層に保水性能を付与した層を備
えている。
【0013】本発明における給水マットとしてはかかる
構成のマットが使用され、さらにこのマットの少なくと
も保水層に、キチンの脱アセチル化物が固着されたもの
を使用するようにしても良い。
【0014】抗菌抗カビ防臭成分であるキチンの脱アセ
チル化物としては、例えば主としてカニ、エビなどの甲
殻類の外殻からカルシウム、タンパク質などの狭雑物を
酸およびアルカリ処理で除去して得られるキチンを酸処
理あるいは酵素処理することによって脱アセチル化した
分子量数十万のアミノ基を有する高分子量ポリマー、い
わゆるキトサンが挙げられる。また、キトサンを酸ある
いは酵素処理で適度に分解した分子量数千から数万の比
較的低分子量のポリマーであっても良い。このキトサン
の脱アセチル化度は、有機酸への溶解性および抗菌性か
ら考慮して、50%以上であることが好ましい。
【0015】ここでいう脱アセチル化度とは、次のよう
な方法で測定された値をいう。試料約2gを2Nの塩酸
水溶液200 ml中に投入し、室温で30分間攪拌する。次
いで、ガラスフィルターで濾過して塩酸水溶液を除去し
た後、200 mlメタノール中に投入して30分間攪拌す
る。これをさらにガラスフィルターで濾過し、フレッシ
ュなメタノール200 ml中に投入し、30分間攪拌する。
このメタノールによる洗浄操作を4回繰り返した後、風
乾および真空乾燥し、次いで、その約0.2gを精秤し、1
00 mlの三角フラスコに取り、イオン交換水40mlを
加えて30分間攪拌する。さらに、この溶液をフェノール
フタレインを指示薬として0.1 Nの苛性ソーダ水溶液で
中和滴定する。脱アセチル化度(A)は、数1によって
求められる。
【0016】
【数1】
【0017】ただし、aは試料の重量(g)、fは0.1
Nの苛性ソーダ水溶液の力値、bは0.1 Nの苛性ソーダ
水溶液の滴定量(ml)である。本発明に使用される給
水マットは前記キチンの脱アセチル化物、例えばキトサ
ンまたはキトサン軽度分解物の有機酸塩の水溶性処理液
が塗布され、その後乾燥されるものである。塗付の方法
としては、浸漬法、噴霧法など通常の方法を用いること
ができる。塗付は、給水マット製造工程中のどの工程で
行なっても差し支えなく、保水層、吸水層に各々単独で
塗布しても良く、あるいは保水層、吸水層を積層後に水
溶性処理液を塗布しても良い。また、保水層のみに塗布
しても良く、その塗布を保水層、吸水層を積層後に行な
う場合は、水溶性処理液を保水層側から塗布すれば良
い。
【0018】前記処理液の調整は、次の方法により行な
う。まずキトサンまたはキトサン軽度分解物を水に膨潤
させた後、酸に溶解する。可溶化のために使用する酸と
しては、蟻酸、酢酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸、グ
ルコン酸、酒石酸などの有機酸を用いることができる。
【0019】前記処理液を塗布した後の乾燥は通常の熱
風循環乾燥機で行ない、水分を蒸発させることでキチン
の脱アセチル化物の有機酸塩をマットの構成繊維表面上
に固着させる。乾燥温度は、通常前記マットを構成する
熱可塑性重合体の融点より5℃以上低い温度とする。塗
付速度はマットの生産速度で良く、通常数〜10m/分で
あり、最大100 m/分の高速処理も可能で、何ら生産速
度を制限するものではない。塗付方法、塗付速度、処理
液粘度などの違いによる付着量の調節は、噴霧量、絞り
率あるいは処理液濃度の変更など通常の方法により行な
われる。以上に述べたごとく処理液の塗付はマット製造
工程上オンラインであっても、一旦巻き取ったマットに
塗付するオフラインであっても良い。
【0020】
【作用】本発明の植物栽培の灌水方法は従来のように灌
水樋の位置に合わせて栽培容器を配置する必要がなく、
給水マットの上に栽培容器を載せるだけで良く、またト
レーの複数の開口部を貫通する吸水材により吸い上げた
水を給水マットに供給することにより給水マット全体に
亘ってほぼ均一に保水でき、さらには給水マットの縁部
から余剰水を垂れ流し状態で排除する必要がないので、
節水が可能となる。また、下層の保水層は吸水した水分
や水溶性肥料を必要な時間保持したり、過剰分を排出し
たりする機能が付与されており、植物栽培の自動吸水シ
ステムには有効に用いられる。さらに、少なくとも保水
層にキチンの脱アセチル化物を付与することにより、長
時間の栽培中にも抗菌、抗カビ性が発現される。キトサ
ンの抗菌作用についてはカビの増殖抑制作用やEscheric
hia coli(大腸菌)、Staphylococcus aureus (黄色ぶ
どう球菌)、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)、Baci
llus subtilis (枯草菌)などのグラム陽性、グラム陰
性細菌に対する増殖抑制作用が報告されている。これら
抗菌作用の機作の詳細は不明であるが、四級化したキト
サンのカチオン性アミノ基によって菌の細胞壁中の陰イ
オン構成物質が吸着され、その結果細胞壁の生合成が阻
害あるいは壁内外の物質の能動輸送が阻止されるため、
抗菌作用が発現されるものと推定されている。
【0021】
【実施例】次に本発明を実施例によってさらに具体的に
説明する。実施例における給水マットの性能測定評価お
よびポリマー特性値測定は下記の方法で行なった。 (1) 保水性能(JIS−L−1096 6.26.(2) の吸水率を
測定する方法で測定した) (2) 吸水性B法(バイレック法){JIS−L−1096
6.26.(2) のB法(バイレック法)で測定した} (3) 通気性A法(JIS−L−1096 6.27.(1) の測定方
法で測定した) (4) 極限粘度(フェノールと四塩化エタン等重量混合溶
媒を用い、20℃にて測定した)
【0022】実施例1 融点 260℃極限粘度[η]=0.68のポリエチレンテレフ
タレートを孔径0.35mm、ホール数 160の紡糸口金を用
い、溶融温度 285℃で紡糸口金より吐出し、紡糸速度45
00m/分でエアーサッカーにて吸引した後、金網ネット
上に捕集し、空気延伸後の単糸繊度が3デニールのウエ
ッブを得た。このようにして得たポリエステル長繊維ウ
エッブをニードルパンチ機械(針;オルガン社製PPD
−1# 40)にて針密度70回/cm2 で処理し、繊維を三次
元的に交絡させ、仕上目付250g/m 2 、厚さ3mmの保水
層用ウエッブを作成した。次に保水層と同じ方法で2デ
ニールの長繊維ウエッブを得た後、 210℃に加熱された
表面フラットの熱圧接ロールで線圧50kg/cmで圧接し、
表面が平滑な吸水層用ウエッブを作成した。さらに表面
毛羽を防止し、マットの中に根が侵入するのを防止する
処置として、アクリル系樹脂(大日本インキ化学工業
(株)製)商品名ボンコートJH−56エマルジョンタイ
プを含浸させた。また、吸水性を向上させるため、脂肪
酸エステル、ノニオン活性剤、カチオン活性剤を主成分
とする親水性油剤の原液をアクリルバインダーの固形分
重量に対し、 0.5%投入し、同浴で固形分重量に対し16
%になるように含浸させた。引き続き 160℃のピンテン
ター乾燥機で乾燥を行なった。得られたマットの仕上目
付は50g /m2 であった。このマットの吸水性能を評価
するためにバイレック法で測定した結果12cmであった。
また根切り性能を評価するために通気性、フラジール試
験機で通気度を測定したところ、14cm3 /cm2 /sであ
った。二種のウエッブ層を接着するために保水層の上に
ポリエチレン粉末を1m2 当り10g 程度分散させた後、
160℃の加熱ロールで熱圧接し、さらに 180℃のバンド
乾燥機内を通して乾燥した。得られたマットは仕上目付
310g/m2 で厚み3.0mm であった。このマットの評価結
果を表1に示す。
【0023】実施例2〜6、比較例1〜3 実施例2〜6、比較例1〜2はポリエチレンテレフタレ
ート繊維の単糸繊度を変更し、比較例3はニードルパン
チをしない以外他の条件は全て実施例1に準じて試作し
た。
【0024】
【表1】
【0025】根切り性;実施例および比較例の給水マッ
トをシクラメン鉢で6ケ月テスト栽培した結果、 鉢下の孔より根が伸びているが給水マットに侵入してい
なかった…○ 鉢下の孔より根が伸びているが給水マットに侵入してい
た …× 給水マットの総合評価; 給水マットとして使用
可能 …○ 給水マットとして使用不可能 …× その結果、表1から明らかなように比較例1では保水層
の単糸繊度が大きくウエッブ層の空隙が大きくなって保
水率が低下した。比較例2では吸水層の単糸繊度が大き
くウエッブ層の空隙が大きくなって通気度が高くなり、
根切り性が悪化した。比較例3では保水層のウエッブに
ニードルパンチ処理が施されていないため、保水率が低
下した。
【0026】実施例7 実施例において、キチンの脱アセチル化物として、BL
型粘度計を用い、試料濃度1重量%、温度20℃で測定し
た粘度が9.8 センチポイズ、脱アセチル化度が91.6%の
キトサンを用いた。なお、このキトサン1重量部に対し
イオン交換水25重量部を加えてキトサンを膨潤させた
後、氷酢酸0.2 重量部と、イオン交換水23.8重量部を加
え、キトサン処理原液を作成し、塗布液とした。また、
シェイクフラスコ法(繊維製品衛生加工協議会認定の抗
菌効果試験方法)により菌減少率(%) を測定し、抗菌性
を評価した。なお、前記評価にあたっては使用菌株とし
てK.pneumoniae ATCC4352 を用いた。
【0027】そして前記実施例1で得られたマットにキ
トサン酢酸塩水溶液を保水層側から塗布し、温度 120℃
の熱風循環乾燥機で乾燥した。得られたマットの評価結
果を表2に示す。
【0028】実施例8〜11、比較例4〜7 実施例8〜11、比較例4〜7はポリエチレンテレフタ
レート繊維の単糸繊度を変更し、比較例6はニードルパ
ンチせず、比較例7はキトサン酢酸塩水溶液の代りにイ
オン交換水を噴霧塗布した以外は全て実施例7と同様に
処理した。得られたマットの評価結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】根切り性;実施例および比較例の給水マッ
トをシクラメン鉢で6ケ月テスト栽培した結果、 鉢下の孔より根が伸びているが給水マットに侵入してい
なかった…○ 鉢下の孔より根が伸びているが給水マットに侵入してい
た …× 給水マットの評価; 給水マットとして使用
可能 …○ 給水マットとして使用不可能 …× 抗菌抗カビ性給水マットの総合評価;給水マットとして
使用可能 …○ 給水マットとして使用不可能 …× その結果、表2から明らかなように比較例4〜6の菌減
少率は大きく好ましい値であるが、比較例4では保水層
の単糸繊度が大きくウエッブ層の空隙が大きくなって保
水率が低下した。比較例5では吸水層の単糸繊度が大き
くウエッブ層の空隙が大きくなって通気度が高くなり、
根切り性が悪化した。比較例6では保水層のウエッブに
ニードルパンチ処理が施されていないため、保水率が低
下した。また、比較例7では菌減少率の効果が見られな
かった。
【0031】実施例12 キトサン酢酸塩水溶液を保水層のみに塗布した以外は実
施例8と同様にしてマットを得た。得られたマットの評
価結果を表2に示す。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、従来のよ
うに灌水樋の位置に合わせて栽培容器を配置する必要が
なく、給水マットの上に栽培容器を載せるだけで良く、
またトレーの複数の開口部を貫通する吸水材により吸い
上げた水を給水マットに供給することにより給水マット
全体に亘ってほぼ均一に保水でき、さらには給水マット
の縁部から余剰水を垂れ流し状態で排除する必要がない
ので、節水が可能となる。また、下層の保水層は吸水し
た水分や水溶性肥料を必要な時間保持したり、過剰分を
排出したりする機能が付与されており、植物栽培の自動
吸水システムには有効に用いられる。さらに、少なくと
も保水層にキチンの脱アセチル化物を付与することによ
り、常に湿潤した状態でも長期にわたり、各種のバクテ
リヤ、カビ類の繁殖が妨げられ、栽培中の植物の根が腐
ったりして、成長が妨げられることもなく、品質安定
性、生育不良の発生防止、植物管理の省力化などにつな
がるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による植物栽培の灌水方法を示す断面図
である。
【図2】同植物栽培の灌水方法に用いるトレーの斜視図
である。
【符号の説明】
1 灌水樋 2 トレー 2a 立ち上がり壁 3 底板部 4 開口部 5 吸水材 6 給水マット 7 植木鉢

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底板部に複数の開口部を有するトレーの
    上に下層に保水層、上層に吸水層を有する給水マットを
    敷設し、前記トレーの開口部に紐状あるいはテープ状の
    吸水材を上下に貫通させ、この吸水材の上端を前記給水
    マットの下面に当接させ、また吸水材の下端を灌水樋内
    の水に浸漬させることにより、前記灌水樋内の水分を吸
    水材を介して前記給水マットに供給し、給水マットの上
    に載せられた栽培容器内の土壌に給水することを特徴と
    する植物栽培の灌水方法。
  2. 【請求項2】 給水マットは、単糸繊度が3デニール以
    上7デニール以下の熱可塑性合成繊維からなり且つニー
    ドリングにより繊維が三次元的に交絡した保水率 200%
    以上のウエッブで構成される保水層と、単糸繊度が 0.5
    デニール以上3デニール未満の熱可塑性合成繊維からな
    り且つバイレック法での吸水性が50mm以上、通気度が 1
    00cm3 /cm2 /s以下で平滑な表面を有するウエッブで
    構成される吸水層とが積層されてなることを特徴とする
    請求項1記載の植物栽培の灌水方法。
  3. 【請求項3】 給水マットは、単糸繊度が3デニール以
    上7デニール以下の熱可塑性合成繊維からなり且つニー
    ドリングにより繊維が三次元的に交絡した保水率 200%
    以上のウエッブで構成される保水層と、単糸繊度が 0.5
    デニール以上3デニール未満の熱可塑性合成繊維からな
    り且つバイレック法での吸水性が50mm以上、通気度が 1
    00cm3 /cm2 /s以下で平滑な表面を有するウエッブで
    構成される吸水層とを積層したシートの少なくとも保水
    層に、キチンの脱アセチル化物が固着されてなることを
    特徴とする請求項1記載の植物栽培の灌水方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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GB2393376A (en) * 2002-09-29 2004-03-31 Romulo Bareng Paulino System for domestic cultivation of exotic plants
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JP2013100269A (ja) * 2011-10-12 2013-05-23 Unitika Ltd 抗菌性を有する潅水マット

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