JPH06242434A - 光学素子 - Google Patents

光学素子

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JPH06242434A
JPH06242434A JP5064587A JP6458793A JPH06242434A JP H06242434 A JPH06242434 A JP H06242434A JP 5064587 A JP5064587 A JP 5064587A JP 6458793 A JP6458793 A JP 6458793A JP H06242434 A JPH06242434 A JP H06242434A
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crystal polymer
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芳男 辻本
Toshihiro Ichizuka
敏博 市塚
Teruaki Yamanashi
輝昭 山梨
Kenji Hozaki
憲二 穂崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光学的検査が可能で、高温多湿な環境下でも
使用可能で、表面硬度が高く傷つきにくい光学的素子を
提供することを目的とする。 【構成】 光学的等方性を有する硬化アクリル系樹脂層
/配向した液晶高分子層/粘接着剤層/透光性基板層が
この順で積層されてなる積層構造を含む光学素子、及び
光学的等方性を有する硬化アクリル系樹脂層/配向した
液晶高分子層/粘接着剤層/透光性基板層がこの順で積
層されてなる積層構造を含み、該液晶高分子がMD方向
に対して任意の一定角度で配向してなる長尺な光学素子
用積層シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえば液晶表示素子
用色補償板、液晶表示素子用視野角補償板、光学的位相
差板、1/2波長板、1/4波長板、旋光性光学素子な
どの光学素子およびそれに用いられる光学素子または光
学素子用積層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶高分子からなる種々の光学素子が提
案されているが、該液晶高分子それ自体では表面硬さに
劣るために、素子製造時や光学素子組み込み時に傷が付
き易く取り扱いに細心の注意が必要であった。
【0003】表面層の保護のためにはそれ自身粘着性の
ある表面保護フィルムを直接貼合する方法、粘着剤や接
着剤などの粘接着剤を介して表面保護フィルムとしての
透光性フィルムを貼合する方法などがある。
【0004】しかしながら、貼合されるべき表面保護フ
ィルムには、光学素子の微小欠陥の検出やリターデーシ
ョンなどの光学パラメーターの測定のために透光性でか
つ光学的に等方性であることが好ましいが、表面保護フ
ィルムは一般的に高分子フィルムを延伸成形してなるも
のが多いために必ずしも満足できる性質を有していな
い。
【0005】また粘着剤を介して積層する方法も、長時
間の高温多湿な環境下では層間剥がれなどのほか発泡な
どの光学的性質を損なう欠陥を生じるという問題点があ
る。
【0006】さらにまた、光学素子としての液晶高分子
層は膜厚が薄いこともありそれ自体では必ずしも機械的
強度が満足できるものではない。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如
き液晶高分子からなる光学素子の現状に鑑み、光学的検
査が可能で、高温多湿な環境下でも使用可能で、表面硬
度が高く傷つきにくい光学的素子を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
は、光学的等方性を有する硬化アクリル系樹脂層/配向
した液晶高分子層/粘接着剤層/透光性基板層がこの順
で積層されてなる積層構造を含む光学素子に関する。
【0009】また、本発明の第2は、光学的等方性を有
する硬化アクリル系樹脂層/配向した液晶高分子層/粘
接着剤層/透光性基板層がこの順で積層されてなる積層
構造を含み、該液晶高分子の配向がMD方向に対して任
意の一定角度、好ましくは斜め方向で配向してなる長尺
な光学素子用積層シートに関する。
【0010】本発明の第3は、粘接着層を介して偏光フ
ィルムと積層されてなる光学的等方性を有する硬化アク
リル系樹脂層/配向した液晶高分子層/粘接着剤層/透
光性基板層がこの順で積層されてなる積層構造を含む光
学素子、または、粘接着層を介して偏光フィルムと積層
されてなる光学的等方性を有する硬化アクリル系樹脂層
/配向した液晶高分子層/粘接着剤層/透光性基板層が
この順で積層されてなる積層構造を含み、該液晶高分子
の配向がMD方向に対して任意の一定角度、好ましくは
斜め方向で配向してなる長尺な光学素子用積層シートに
関する。
【0011】以下に本発明をさらに説明する。本発明に
おいて積層するべき液晶高分子としては液晶性を示す高
分子であって、溶融時に液晶性を示すサーモトロピック
液晶ポリマーである。溶融時液晶相の構造は、スメクチ
ック、ネマチック、ねじれネマチック(コレステリッ
ク)またはディスコティックのいずれの分子配列構造で
あることもできる。光学素子としては、好ましくは均一
でモノドメインなネマチック液晶相またはねじれネマチ
ック液晶相を示すものである。ここで選択されるサーモ
トロピック液晶ポリマーは、溶融時からその温度をガラ
ス転移温度よりも低い温度に低下させると、液晶相時の
分子配列状態が保持される液晶高分子である。
【0012】このようないわゆる自己メモリー性を有す
るものであるところから、ラビング処理済みの配向基板
を該液晶高分子と積層し、該液晶高分子を溶融し液晶相
を発現されれば、発現した液晶相はラビング面に対応し
て配向する。これを該液晶高分子のガラス転移温度より
も低い温度まで冷却すれば、液晶相時の配向が保存さ
れ、配向が固定化される。このように液晶相に続いてガ
ラス相が発現する様な液晶高分子であるために冷却によ
り配向状態を損なうことなく配向を固定化することがで
きる。
【0013】光学的位相差板、旋光子などの光学素子と
して使用される場合には、液晶時均一でモノドメインな
ネマチック相またはねじれネマチック相を示す液晶高分
子が好ましい。
【0014】これらの液晶高分子の分子量は、各種溶媒
中たとえばフェノール/テトラクロロエタン(60/4
0)混合溶媒中、30℃で測定した対数粘度が0.05
〜3.0、好ましくは0.07〜2.0の範囲にあるも
のである。対数粘度が、0.05より小さい場合、得ら
れた液晶高分子の強度が低下し、また一方3.0を越え
ると液晶形成時の粘度が高すぎて、配向性の低下や配向
に要する時間の増加などの問題点が生じるので好ましく
ない。
【0015】また、これらのポリマーのガラス転移温度
も重要であり、配向固定化した後の配向安定性に影響を
及ぼす。すなわち、使用される使用状態での温度にもよ
るが、一般的には室温で使用するとすると、ガラス転移
温度が室温以上であることが好ましく、特に50℃以上
であることが好ましい。室温よりも低いガラス転移温度
である場合、室温で使用すると一旦固定化した配向の状
態が変化することが予想される。
【0016】液晶表示素子の着色を解消するための色補
償板、直線偏光の方位を回転させたり楕円偏光の方位を
回転させたりするための光学素子としての旋光子などの
光学素子として使用される好適な液晶高分子は、光学活
性な単位を含むものであって、たとえば、均一でモノド
メインなネマチック配向性を示しかつその配向状態を容
易に固定化できるネマチック液晶性高分子に所定量の光
学活性物質を配合してなる組成物、または分子鎖中たと
えば主鎖もしくは側鎖中に光学活性な基を有し均一でモ
ノドメインなねじれネマチック配向性を示しかつその配
向状態を容易に固定化できる液晶性高分子の二種から選
ばれるものである。
【0017】すなわち、ねじれネマチック配向の液晶高
分子相のねじれ角あるいはねじれの方向は、ポリマー中
の光学活性単位の比率、その種類あるいは混合する光学
活性化合物の種類あるいはその量を調整することによっ
て調節することができる。光学活性単位の比率は、組成
物全体に対して0.1〜50重量%、とくに0.5〜3
0重量%が好ましい。ここでいう光学活性単位として
は、別途配合される光学活性化合物を示すこともあり、
また液晶高分子の主鎖もしくは側鎖に存在する光学活性
な基を示すこともある。このように光学活性性を付与し
またその割合を調整することによりねじれ角を0°以上
の任意の角度に調整することができる。
【0018】液晶表示素子用色補償板としては、品質の
高い白黒表示を得るためには、液晶高分子層の光学パラ
メーターの厳密な制御が必要であり、液晶高分子の分子
が基板と垂直方向にらせん軸を有するらせん構造をな
し、そのねじれ角が30度から300度の範囲にあり、
液晶高分子よりなる層の複屈折率Δnと膜厚dとの積Δ
n・dが0.01〜3.0μmの範囲にあることが必要
である。特にTN用の場合はねじれ角は通常30〜15
0°、好ましくは40〜120°、Δn・dは通常0.
05〜3.0μmさらに好ましくは0.1〜2.8μm
の範囲が適当であり、STN用の場合は、ねじれ角は通
常150〜300°、好ましくは170〜280°、Δ
n・dは通常0.1〜1.5μmさらに好ましくは0.
3〜1.2μmの範囲が適当である。前述の液晶高分子
またはその組成物を利用するならば容易に前記した配向
固定化し所定の膜厚とすることができる。
【0019】そのほか、液晶表示用視野角補償板、コレ
ステリックフィルターとしては、ねじれ角が360°以
上の高分子液晶層が用いられる。1/2波長板、1/4
波長板および旋光性を有することを必要としない光学的
位相差板はねじれ構造を有しないネマチック液晶高分子
が用いられるが、光学パラメーターの厳密な制御が必要
である。光学パラメーターとしては高分子液晶層のΔn
・dが0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μm
の範囲であることが必要である。
【0020】いずれにしろ、高分子液晶を用いるならば
このような光学パラメーターの厳密な制御は容易に行う
ことができる。
【0021】以下においては本発明において使用するに
好適な材料を例示する。すなわち、自身は光学活性基を
有せずネマチック液晶性を示す液晶高分子、自身は光学
活性基を有せずネマチック液晶性を示す液晶高分子であ
るベースポリマーに配合すべき光学活性化合物ならびに
それ自身が光学活性基を有してねじれネマチック液晶性
を示す液晶高分子を順次説明する。
【0022】用いられるポリマーとしては、好ましくは
液晶状態ではねじれネマチック配向し、液晶転移点以下
ではガラス状態となるものはすべて使用でき、例えば光
学活性なポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、ポリエステルイミドなどの主鎖型液晶ポリマー、あ
るいはポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリマ
ロネート、ポリシロキサンなどの側鎖型液晶ポリマーな
どを例示することができる。また光学活性でないポリエ
ステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル
イミドなどの主鎖型液晶ポリマー、あるいはポリアクリ
レート、ポリメタクリレート、ポリマロネート、ポリシ
ロキサンなどの側鎖型液晶ポリマーなどに、他の低分子
あるいは高分子の光学活性化合物を加えたポリマーなど
を例示することができる。なかでも合成の容易さ、配向
性、ガラス転移点などからポリエステルが好ましい。用
いられるポリエステルとしてはオルソ置換芳香族単位を
構成成分として含むポリマーが最も好ましいが、オルソ
置換芳香族単位の代わりにかさ高い置換基を有する芳香
族、あるいはフッ素または含フッ素置換基を有する芳香
族などを構成成分として含むポリマーもまた使用するこ
とができる。本発明で言うオルソ置換芳香族単位とは、
主鎖をなす結合を互いにオルソ位とする構造単位を意味
する。これらの例としては、
【化1】 (Xは水素、Cl,Br等のハロゲン、炭素数が1から
4のアルキル基もしくはアルコキシ基またはフェニル基
を示す。またkは0〜2である)などがある。これらの
なかでも特に好ましい例として次のようなものを例示す
ることができる。
【化2】 (Me;メチル基、Et;エチル基、Bu;ブチル基)
【0023】本発明で用いれるポリエステルとしては、
(a)ジオール類より誘導される構造単位(以下、ジオ
ール成分という)およびジカルボン酸類より誘導される
構造単位(以下、ジカルボン酸成分という)および/ま
たは(b)一つの単位中にカルボン酸と水酸基を同時に
含むオキシカルボン酸類より誘導される構造単位(以
下、オキシカルボン酸成分という)を構成成分として含
み、好ましくはさらに前記オルソ置換芳香族単位を含む
ポリマーが例示できる。
【0024】これらのうち、ジオール成分としては次の
ような芳香族および脂肪族のジオールを挙げることがで
きる。
【化3】 (Yは水素、Cl,Br等のハロゲン、炭素数1から4
のアルキル基もしくはアルコキシまたはフェニル基を示
す。1は0〜2である。)
【化4】 (nは2から12の整数を表わす)
【化5】 なかでも
【化6】 などが好ましく用いられる。
【0025】またジカルボン酸成分としては次のような
ものを例示することができる。
【化7】 (Zは水素、Cl,Br等のハロゲン、炭素数が1から
4のアルキル基もしくはアルコキシまたはフェニル基を
示す。mは0〜2である。)、
【化8】
【化9】 なかでも、
【化10】 などが好まLい。
【0026】オキシカルボン酸成分としては、具体的に
は次のような単位を例示することができる。
【化11】
【0027】ジカルボン酸とジオールのモル比は、一般
のポリエステルと同様、大略1:1である(オキシカル
ボン酸を用いている場合は、カルボン酸基と水酸基の割
合)。またポリエステル中に占めるオルソ置換芳香族単
位の割合は通常5モル%から40モル%の範囲が好まし
く、さらに好ましくは10モル%から30モル%の範囲
である。5モル%より少ない場合は、ネマチック相の下
に結晶相が現われる傾向があり好ましくない。また40
モル%より多い場合は、ポリマーが液晶性を示さなくな
る傾向があり好ましくない。代表的なポリエステルとし
ては次のようなポリマーを例示することができる。
【化12】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化13】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化14】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化15】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化16】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化17】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化18】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化19】 の構造単位から構成されるポリマー。
【0028】オルソ置換芳香族単位に変えて次に示すよ
うなかさ高い置換基を含む芳香族単位、あるいはフッ素
または含フッ素置換基を含む芳香族単位を構成成分とす
るポリマーもまた好ましく用いられる。
【化20】
【化21】
【化22】
【0029】これらのポリマーの分子量は、各種溶媒中
たとえばフェノール/テトラクロロエタン(60/40
(重量比))混合溶媒中、30℃で測定した対数粘度が
通常0.05から3.0が好ましく、さらに好ましくは
0.07から2.0の範囲である。対数粘度が0.05
より小さい場合、得られた高分子液晶の強度が弱くなり
好ましくない。また3.0より大きい場合、液晶形成時
の粘性が高すぎて、配向性の低下や配向に要する時間の
増加など問題点が生じる。
【0030】これらポリマーの合成法は特に制限される
ものではなく、当該分野で公知の重合法、例えば溶融重
合法あるいは対応するジカルボン酸の酸クロライドを用
いる酸クロライド法で合成される。溶融重合法で合成す
る場合、例えば対応するジカルボン酸と対応するジオー
ルのアセチル化物を、高温、高真空下で重合させること
によって製造でき、分子量は重合時間のコントロールあ
るいは仕込組成のコントロールによって容易に行える。
重合反応を促進させるためには、従来から公知の酢酸ナ
トリウムなどの金属塩を使用することもできる。また溶
液重合法を用いる場合は、所定量のジカルボン酸ジクロ
ライドとジオールとを溶媒に溶解し、ピリジンなどの酸
受容体の存在下に加熱することにより、容易に目的のポ
リエステルを得ることができる。
【0031】これらネマチック液晶性ポリマーにねじれ
を与えるために混合される光学活性化合物について説明
すると、代表的な例としてまず光学活性な低分子化合物
をあげることができる。光学活性を有する化合物であれ
ばいずれも本発明に使用することができるが、ベースポ
リマーとの相溶性の観点から光学活性な液晶性化合物で
あることが望ましい。具体的には次のような化合物を例
示することができる。
【化23】
【化24】 コレステロール誘導体、など。
【0032】本発明で用いられる光学活性化合物とし
て、次に光学活性な高分子化合物をあげることができ
る。分子内に光学活性な基を有する高分子化合物であれ
ばいずれも使用することができるが、ベースポリマーと
の相溶性の観点から液晶性を示す高分子化合物であるこ
とが望ましい。例として光学活性な基を有する液晶性の
ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリマロネー
ト、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
エステルアミド、ポリカーボネート、あるいはポリペプ
チド、セルロースなどをあげることができる。なかでも
ベースとなるネマチック液晶性ポリマーとの相溶性か
ら、芳香族主体の光学活性なポリエステルが最も好まし
い。具体的には次のようなポリマーを例示することがで
きる。
【化25】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化26】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化27】 (n=2〜12)の構造単位から構成されるポリマー、
【化28】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化29】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化30】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化31】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化32】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化33】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化34】 の構造単位から構成されるポリマー、
【化35】 の構造単位から構成されるポリマー。
【0033】これらのポリマー中に占める光学活性な基
の割合は、通常0.5モル%〜80モル%であり、好ま
しくは5モル%〜60モル%が望ましい。
【0034】これらのポリマーの分子量は、たとえばフ
ェノール/テトラクロロエタン中、30℃で測定した対
数粘度が0.05から5.0の範囲が好ましい。対数粘
度が5.0より大きい場合は粘性が高すぎて結果的に配
向性の低下を招くので好ましくなく、また0.05より
小さい場合は組成のコントロールが難しくなり好ましく
ない。
【0035】本発明の光学素子はまた、他の光学活性化
合物を用いることなく自身で均一でモノドメインなねじ
れネマチック配向をし、かつその配向状態を容易に固定
化できる高分子液晶を用いることによっても製造でき
る。これらのポリマーは主鎖中に光学活性基を有し自身
が光学活性であることが必須であり、具体的には光学活
性なポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポ
リエステルイミドなどの主鎖型液晶ポリマー、あるいは
ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシロキサ
ンなどの側鎖型液晶ポリマーなどを例示することができ
る。なかでも合成の容易さ、配向性、ガラス転移点など
からポリエステルが好ましい。用いられるポリエステル
としてはオルソ置換芳香族単位を構成成分として含むポ
リマーが最も好ましいが、オルソ置換芳香族単位の代わ
りにかさ高い置換基を有する芳香族、あるいはフッ素ま
たは含フッ素置換基を有する芳香族などを構成成分とし
て含むポリマーもまた使用することができる。これらの
光学活性なポリエステルは、今まで説明してきたネマチ
ック液晶性ポリエステルに、さらに光学活性なジオー
ル、ジカルボン酸、オキシカルボン酸を用いて次に示す
ような光学活性基を導入することにより得られる。(式
中、*印は光学活性炭素を示す)
【化36】
【化37】 など。
【0036】これらのポリマーの分子量は、各種溶媒中
たとえばフェノール/テトラクロロエタン(60/4
0)混合溶媒中、30℃で測定した対数粘度が0.05
から3.0が好ましく、さらに好ましくは0.07から
2.0の範囲である。対数粘度が0.05より小さい場
合、得られた高分子液晶の強度が弱くなり好ましくな
い。また3.0より大きい場合、液晶形成時の粘性が高
すぎて、配向性の低下や配向に要する時間の増加などの
問題が生じる。これらのポリマーの重合は溶融重縮合
法、あるいは酸クロライド法によって行うことができ
る。
【0037】以上述べてきた本発明の液晶性高分子の代
表的な例としては、具体的には、
【化38】 Ch;コレステリル基、で示されるポリマー(m/n=
通常99.9/0.1〜80/20、好ましくは99.
5/0.5〜90/10、さらに好ましくは99/1〜
95/5)
【化39】 で示されるポリマー(m/n=通常99.9/0.1〜
80/20、好ましくは99.5/0.5〜90/1
0、さらに好ましくは99/1〜95/5)
【化40】 で示されるポリマー(m/n=通常99.9/0.1〜
70/30、好ましくは99.5/0.5〜90/1
0、さらに好ましくは99/1〜95/5、p,q;2
〜20の整数)
【化41】 で示されるポリマー(m/n=通常99.9/0.1〜
70/30、好ましくは99.5/0.5〜90/1
0、さらに好ましくは99/1〜95/5、p,q;2
〜20の整数)
【化42】 で示されるポリマー(m/n=通常99.9/0.1〜
80/20、好ましくは99.5/0.5〜90/1
0、さらに好ましくは99/1〜95/5)
【化43】 で示されるポリマー(m/n=0.5/99.5〜10
/90、好ましくは1/99〜5/95)
【化44】 で示されるポリマー(m/n=0.5/99.5〜10
/90、好ましくは1/99〜5/95)
【化45】 で示されるポリマー(K=l+m+n、K/n=99.
5/0.5〜90/10、好ましくは、99/1〜95
/5、l/m=5/95〜95/55)
【化46】 で示されるポリマー(K=l+m+n、K/n=99.
5/0.5〜90/10、好ましくは、99/1〜95
/5、l/m=5/95〜95/55)
【化47】 で示されるポリマー混合物((A)/(B)=通常9
9.9/0.1〜80/20(重量比)、好ましくは9
9.5/0.5〜85/5、さらに好ましくは99/1
〜95/5、K=l+m、l/m=75/25〜25/
75、P=q+r、P/q=80/20〜20/80)
【化48】 (B)コレステリルベンゾエート で示されるポリマー混合物((A)/(B)=通常9
9.9/0.1〜70/30(重量比)、好ましくは9
9.5/0.5〜80/20、好ましくは99/1〜9
0/10、m=K+l、K/l=80/20〜20/8
0)
【化49】 で示されるポリマー混合物((A)/(B)=通常9
9.9/0.1〜70/30(重量比)、好ましくは9
9.5/0.5〜80/20、好ましくは99/1〜9
0/10、K=l+m、l/m=25/75〜75/2
5、P=q+r、p/r=20/80〜80/20) (なお、*印は光学活性炭素を示す)などが挙げられ
る。
【0038】いずれにしろ液晶高分子としてポリエステ
ル系ポリマーを採用すれば、保護層あるいは粘接着剤層
として使用するアクリル系樹脂との接着性がよく好まし
いものである。
【0039】液晶高分子は、配向基板により配向が規制
される。液晶高分子の配向を規制する配向基板とは、液
晶高分子の配向を規制するための基板であって、これは
適宜の基材上に形成された高分子フィルムであることも
できる。前記したとおり本発明における長尺なフィルム
という意味は、一定の長さを有する連続しているフィル
ムを意味し、工業的にはロール巻された形態で供給され
得るような連続フィルムを意味する。もちろん、ロール
巻の形態が必須ではなく、適宜に折り畳まれた連続フィ
ルムであってもよい。長尺フィルムの長さは、場合によ
り10000mという長尺に達することもある。
【0040】配向基板を構成する高分子としては、ラビ
ング処理による有機薄膜表面が物理的または物理化学的
に配向し、その後該ラビング処理済み表面と接触した液
晶高分子が該ラビング処理に対応して配向し得るような
ものならばいずれのものも採用することができ、熱硬化
性樹脂または熱可塑性樹脂のいずれであることができ
る。たとえばポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂などの熱硬化性樹脂、ナイロンなどのポリアミド;ポ
リエーテルイミド;ポリエーテルケトン;ポリエーテル
エーテルケトン(PEEK);ポリケトン;ポリエーテ
ルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;ポリフェ
ニレンオキサイド;ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリアセ
タール;ポリカーボネート;ポリ(メタ)アクリレー
ト;トリアセチルセルロース(TAC)などのセルロー
ス系樹脂;ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂な
どが例示される。
【0041】上記高分子フィルムそれ自身にラビング処
理をすることもできるし、またこれら高分子フィルムを
基材としてその表而に上記例示される他の高分子からな
る有機薄膜を形成してなるものも例示される。またこの
ような有機薄膜の該基材としては、上記高分子フィルム
のほかに、銅、ステンレス、鋼などの金属箔であること
もできる。
【0042】そのほか、該配向基板それ自体を、銅、ス
テンレス、鋼などの金属箔とすることもできる。この場
合は、もちろんこれら金属箔自体がラビング処理され
る。
【0043】長尺な連続フィルムの基材上に配向基板と
しての有機薄膜を形成する方法は、該基材が長尺な連続
フィルムであることからたとえばダイコーターなどの安
価な方法によることができる。たとえば、ポリイミドな
どの熱硬化性樹脂溶液をコート後、加熱硬化させて有機
薄膜を得る方法またはポリビニルアルコールなどの熱可
塑性樹脂溶液をコート後、溶剤を除去して有機薄膜を得
る方法などの方法を採用することができる。
【0044】ラビング処理を受ける配向基板としての有
機薄膜を構成する高分子として、特に好ましいものはポ
リイミドなどの熱硬化性樹脂またはポリエチレンテレフ
タレート、ポリフェニレンサルファイド、PEEK、ポ
リビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂である。これら
は、耐熱性が高く、後述する液晶高分子の液晶相の熱固
定化のための加熱操作においてもラビング処理が安定に
保存されるので好ましい。
【0045】本発明においてラビング処理すべき材料と
して特に好ましいものは、長尺な自立性のある高分子フ
ィルムそれ自身をラビング処理してなり、特に積層すべ
き基材などを使用しないものである。かかる目的に好適
な長尺なフィルムとしては、上記例示のフィルムのうち
熱可塑性樹脂からなるフィルム、たとえばポリエチレン
テレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、PEE
K、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂などが例
示される。
【0046】このようなフィルムは、通常のTダイ押出
法などの成形方法により容易に長尺な連続フィルムとし
て得ることができる。厚みは、適宜に選択できるがたと
えば10μm〜10mmの範囲から採用することができ
る。幅も適宜であるが通常は1〜200cmの範囲から
選択される。
【0047】また、このような熱可塑性樹脂フィルム
は、後述のラビング処理による効果を妨げない範囲で公
知の方法によりMD方向に対して1軸方向または2軸方
向に適宜に延伸されたフィルムであることができる。
【0048】ラビング処理は、そのラビング方向は特に
限定されないが、長尺なフィルムの場合にはその長尺な
連続フィルムのMD方向に対して所定の角度でもって斜
め方向にラビングするものが好ましい。
【0049】MD方向に対する斜め方向の角度は、液晶
表示素子における液晶の所定の配向方向に対応させるべ
く、別途設定される。たとえば、MD方向に対して45
°以上の角度に設定し得る。
【0050】液晶高分子の液晶状態が単なるネマチック
でモノドメイン配向している場合には、液晶高分子フィ
ルムの表裏で配向方向が異なることはなく、ラビングし
た方向と液晶高分子の配向方向とは一致する。従って、
所定の角度でもってMD方向に対し斜め方向に配向して
なる長尺な液晶高分子フィルムを得るためには、配向基
板もまた同様の所定の角度でもってMD方向に対し斜め
方向にラビングされてなる必要がある。
【0051】しかしながら、当該液晶高分子がねじれを
有するネマチックであってもモノドメインな配向すると
きは、液晶高分子膜の表裏でその配向方向が異なるとき
がある。すなわち、ラビングされた配向基板と接する面
の液晶高分子層の配向は確かに該配向基板のラビング方
向と同一方向である。しかし、反対の面における配向は
液晶高分子層の膜厚および光学活性単位の割合で決定さ
れる角度だけ方向が変わり、その結果、通常は配向基板
のラビング方向とは一致しない場合があることとなる。
【0052】たとえばねじれネマチックでモノドメイン
配向する液晶高分子の場合には、必ずしも配向基板のラ
ビング方向はMD方向に対して斜め方向である必要はな
い。好ましい態様としては、いずれかの面の配向がMD
方向に斜め方向である限り、たとえばMD方向に平行に
ラビングされた配向基板により配向させても良いのであ
る。
【0053】ラビング処理操作は、任意の方法で行うこ
とができる。たとえば長尺なフィルムのMD方向に対し
て斜め方向にラビングする場合を図1により説明する。
配向基板としての長尺な連続フィルム(12)をMD方
向に移送するステージ(11)上に、長尺フィルム(1
2)およびそのMD方向に対して任意の角度で斜めにラ
ビングロール(10)を配置し、該長尺フィルム(1
2)を搬送しながら該ラビングロール(10)を回転さ
せ、該フィルム(12)表面をラビング処理する。ラビ
ングロール(10)とステージ(11)の移動方向とが
成す角度は自在に調整し得る機構である。
【0054】ラビングロール表面には、適宜のラビング
材が貼付してある。ラビング材としては、ラビング処理
される配向基板の種類に応じて適宜に選択され、織布、
フェルト、ラバー、刷毛などが使用され特に限定されな
いが、通常はナイロン、綿などの織布が選択される。配
向基板それ自身が金属箔である場合などには、さらにサ
ンドペーパーまたは皮革などのラビング材もまた使用す
ることもできる。
【0055】ラビング処理では、配向基板表面の硬度を
勘案して、配向基板表面を一定方向に擦ることが大切で
ある。かかる観点から、ラビング圧力、ラビングロール
の回転数などを適宜に設定する。通常は、配向基板を
0.5〜100m/分、好ましくは1〜30m/分の速
度で移送させ、ラビングロール回転数は配向基板の移送
速度に対する周速比として1〜1000、好ましくは5
〜200の範囲から選択される。ラビング圧力は、わず
かにラビング材が接する程度でよく、ラビング材が布で
ある場合などには、毛先の押し込み程度が100μm〜
5000μm、好ましくは100μm〜2000μm程
度とすることができる。
【0056】ラビング処理済みの配向基板は、ついでラ
ビング面が前記液晶高分子と接するように積層される。
該ラビング処理済みの配向基板のラビングに応じて液晶
が配向する。
【0057】前記液晶高分子は、任意の方法で長尺なフ
ィルムとされる。たとえば、適宜の溶剤に溶解させ塗布
後、乾燥させてフィルムを形成する方法あるいは、Tダ
イなどにより液晶高分子を溶融押し出しするなどの方法
によることができる。膜厚などの品質の点から溶液塗
布、乾燥による方法が適当である。
【0058】すなわち、まず液晶高分子を所定の割合で
溶剤に溶解し溶液を調整する。この際の溶媒はポリマー
の種類によって異なるが、通常はアセトン、メチルエチ
ルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;テトラヒ
ドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;クロロホル
ム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロ
エチレン、テトラクロロエチレン、オルソジクロロベン
ゼンなどのハロゲン化炭化水素;これらの混合溶媒;こ
れらとフェノールとの混合溶媒;ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒;ジメチ
ルスルホキシド;N−メチルピロリドンなどの溶媒を使
用することができる。溶液の濃度は、ポリマーの粘性に
より異なるが、通常は5〜50重量%の範囲であり、好
ましくは10〜30重量%の範囲である。
【0059】次にこの溶液を、所定の角度でもってMD
方向に対し斜め方向にラビング処理してなる長尺な配向
基板に塗布をする。
【0060】塗布の方法としては、特に限定されず、た
とえばスロットダイコート法、スライドダイコート法、
カーテンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬
引き上げ法などを採用することができる。塗布後、溶剤
を乾燥により除去する。
【0061】ラビング処理してなる配向基板上、たとえ
ば所定の角度でもってMD方向に対し斜め方向にラビン
グ処理してなる長尺な配向基板上に、液晶高分子層を形
成した後に、所定温度で所定時間加熱し、冷却すること
により、液晶高分子の配向を固定化させることができ
る。
【0062】固定化の温度は、界面効果による配向を助
ける意味で固定化の際のポリマーの粘性は低い方がよ
い。すなわち加熱温度は高い方がよい。しかしながら、
余りに高い温度ではコストの上昇と共に作業性が悪化す
るので好ましくない。かかる観点から一般的には50〜
300℃、好ましくは100〜250℃の範囲で、10
秒〜60分、好ましくは30秒〜30分の範囲から選択
される。加熱手段は、適宜に採用することができ、たと
えば赤外線加熱、温風加熱、熱ロール加熱、誘電加熱、
電気ヒーターによる加熱などである。
【0063】いずれにしろ、ガラス転移温度以上で等方
相への転位温度以下の温度で、液晶分子が充分配向する
時間加熱処理をすることが肝要である。
【0064】加熱後、該液晶高分子のガラス転移温度以
下に冷却することにより固定化する。液晶相に続いてガ
ラス相が発現するために冷却により配向状態を損なうこ
となく配向を固定化することができる。
【0065】冷却速度は特に限定されず、任意に選択さ
れる。たとえば、該加熱された液晶高分子を加熱域から
ガラス転移点以下の雰囲気中へ移行させるのみで固定化
される。生産効率を向上させる目的で、空気冷却あるい
は水などの冷媒冷却を採用することができる。
【0066】固定化後の液晶高分子フィルムの膜厚は、
液晶高分子フィルムがねじれネマチック構造にもとずい
て機能する範囲であれば特に制限はない。光の波長によ
って異なるが、たとえばディスプレイ用途などの可視光
が重要である分野においては、0.05μm以上、好ま
しくは1μm以上、より好ましくは2μm以上である。
0.05μm未満では精度の良い膜厚調整が困難となる
ので好ましくない。膜厚の上限は特に制限はないが、余
り厚くなると光学素子としての規制力が弱まり好ましく
なく、この観点から100μm以下、好ましくは30μ
m以下の範囲が適当である。
【0067】本発明においては、下の配向基板が所定の
一定角度でもってMD方向に対しラビング処理してなる
長尺な配向基板であるので、このラビング処理に対応し
て所定の一定角度でもってMD方向に対L配向してなる
長尺な液晶高分子フィルムが得られる。好ましい態様と
しては、MD方向に対して斜め方向に配向してなる液晶
高分子フィルムである。
【0068】所定の角度でもってMD方向に対し斜め方
向にラビング処理してなる長尺な配向基板それ自体が、
機械的強度を有し自立性ある透光性基板であるときは固
定化された積層体それ自身を、そのままあるいは適宜に
偏光性基板と組み合わせることにより光学素子に使用で
きる。通常は、支持体としての適宜の透光性基板上に移
行させて最終的には光学素子として使用される。
【0069】該透光性基板の厚みは特に限定されない
が、通常はある程度は厚みがないと自立性または支持性
が失われるなどの点から1〜1000μmの範囲から選
択される。
【0070】透光性基板としては、透明性および光学的
等方性を有し、液晶高分子層を支持できるものならば特
に限定されないが、長尺なものである必要があるところ
からプラスチックフィルム、たとえばポリメチル(メ
タ)アクリレートなどのポリアクリレート、ポリスチレ
ン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリ
フェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリエチレ
ンサルファイド、アモルファスポリオレフィン、トリア
セチルセルロースなどを例示できる。また光線透過率
(たとえば可視光など対象とする各用途における波長域
での光線透過率を意味する。以下同様。)は85%以
上、好ましくは90%以上が必要である。
【0071】該透光性基板への移行は、任意の方法によ
ることができ、たとえば転写法によることができる。こ
の方法は、適宜の粘接着剤層を液晶高分子層側または透
光性基板側に形成させ、これに一方を粘接着させて移行
させる方法である。この粘接着剤層としては、光学的等
方性を有する透光性である限り任意のものが使用でき、
アクリル系、エポキシ系、エチレン−酢酸ビニル系、ゴ
ム系などの粘接着剤が使用できる。
【0072】貼着する基板が透光性であることから、透
光性基板を光硬化型アクリル樹脂系接着剤により液晶高
分子層に貼合後、これを外側から光照射することにより
光硬化させて接着後、剥離すれば容易に転写が可能であ
る。かかる硬化アクリル樹脂層の厚さは、0.05〜5
0μmの範囲から選択される。また光線透過率は85%
以上、好ましくは90%以上が必要である。
【0073】接着剤としての硬化アクリル樹脂層は硬化
性のアクリル系オリゴマーまたはモノマーを塗布し、こ
れを硬化させることにより形成される。
【0074】使用される硬化性のアクリレートは、たと
えば光硬化型アクリル系接着剤として公知のものが使用
でき、たとえばポリエステルアクリレート、エポキシア
クリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアク
リレート、シリコーンアクリレートなどの各種アクリル
系オリゴマーまたはモノマーなどの単独、これらの混合
物またはこれらと各種反応性希釈剤との混合物が例示さ
れる。
【0075】これら硬化性アクリル系樹脂の硬化方法は
特に限定されないが、たとえば加熱硬化、レドックス系
常温硬化、嫌気硬化、紫外線、電子線などの活性線硬化
などが例示される。好ましい硬化方法は、紫外線、電子
などの活性線による光硬化法である。光硬化法では、熱
の発生がないかまたは少ないので熱固定化された液晶高
分子の配向に影響が少なく好ましい。
【0076】熱ラジカル重合開始剤としては、例えばベ
ンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキサイド、等
のジアシルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド
類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド
類、パーオキシエステル類およびアゾビスイソブチロニ
トリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾビス類な
どが利用でき、使用量は樹脂の0.1〜10重量%でよ
い。
【0077】また、活性線により硬化させる場合の、光
硬化開始剤としてはたとえば、ベンゾインエーテル、ベ
ンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ヒ
ドロキシフェニルケトン、1,1−ジクロロアセトフェ
ノン、チオキサントン類、あるいはアミン併用のベンゾ
フェノン類などが例示される。これらもその使用量は樹
脂の0.1〜10重量%でよい。
【0078】このようにして得られた積層フィルムの好
ましい態様としては、液晶高分子と透光性基板とが積層
された長尺な積層シートであってその配向はMD方向に
対して斜め方向であるので経済的であって生産性が高
い。
【0079】本発明においては、液晶高分子上にその表
面を保護するための保護層を形成する。該保護層は、光
学的等方性を有する硬化性アクリレートからなる硬化ア
クリル系樹脂層自体とすることもできるし、また硬化性
アクリル樹脂を接着剤として透光性フィルムを接着する
ことによっても構成することができる。いずれも硬化ア
クリル樹脂層は硬化性のアクリル系オリゴマーまたはモ
ノマーを表面に塗布し、これを硬化させることにより形
成される。
【0080】使用される硬化性のアクリレートは、アク
リル系接着剤、硬化性ブラスチックコーティング剤また
はブラスチックスのハードコート剤として公知のものが
使用でき、たとえばポリエステルアクリレート、エポキ
シアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテル
アクリレート、シリコーンアクリレートなどの各種アク
リル系オリゴマーまたはモノマーなどの単独、これらの
混合物またはこれらと各種反応性希釈剤との混合物が例
示される。
【0081】これら硬化性アクリル系樹脂の硬化方法は
特に限定されないが、たとえば加熱硬化、レドックス系
常温硬化、嫌気硬化、紫外線、電子線などの活性線硬化
などが例示される。好ましい硬化方法は、紫外線、電子
などの活性線による光硬化である。光硬化法では、熱の
発生がないかまたは少ないので熱固定化された液晶高分
子の配向に影響が少なく好ましい。
【0082】熱ラジカル重合開始剤としては、例えばベ
ンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキサイド、等
のジアシルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド
類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド
類、パーオキシエステル類およびアゾビスイソブチロニ
トリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾビス類な
どが利用でき、使用量は樹脂の0.1〜10重量%でよ
い。
【0083】また、活性線により硬化させる場合の、光
硬化開始剤としてはたとえば、ベンゾインエーテル、ベ
ンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ヒ
ドロキシフェニルケトン、1,1−ジクロロアセトフェ
ノン、チオキサントン類、あるいはアミン併用のベンゾ
フェノン類などが例示される。これらもその使用量は樹
脂の0.1〜10重量%でよい。
【0084】硬化後のアクリル樹脂層の硬度は、それ自
体を表面保護層とする場合には鉛筆硬度で2B以上が好
ましい。これより低い硬度では、傷が付き易く好ましく
ない。もちろん、後記するように該硬化アクリル樹脂層
が接着剤層である場合には、液晶高分子層の保護は接着
すべき前記透光性フィルムが負担するので、特に硬度を
必要とすることはない。また光線透過率は85%以上、
好ましくは90%以上が必要である。かかる要件を満た
すべく光硬化後の硬化アクリル樹脂層の厚さは、0.1
〜200μm、好ましくは0.5〜50μmの範囲であ
る。
【0085】以上の方法により、光学的等方性を有する
硬化アクリル系樹脂層/配向した液晶高分子層/粘接着
剤層/透光性基板層がこの順で積層されてなる光学素子
用積層シートが製造される。
【0086】また、必要に応じて硬化アクリル樹脂層の
表面を、さらに表面保護のために光学的に等方性である
透光性保護フィルムを貼合することにより表面保護機能
を増大させることができる。このようにさらに透光性の
保護フィルムの貼合を行う場合、硬化性アクリル樹脂と
して、前述のアクリル系硬化性樹脂のうち光硬化性樹脂
を使用して接着し透光性の保護フィルムを貼合した後
に、外側から光を照射して硬化させることができる。
【0087】該透光性保護フィルムとしては、前述の透
光性基板において説明した材料の中から適宜に選択され
使用される。この透光性保護フィルムの光線透過率は8
5%以上、好ましくは90%以上が必要である。またそ
の厚さは、0.1〜500μm、好ましくは1〜200
μmの範囲である。
【0088】本発明により得られた光学的等方性を有す
る硬化アクリル系樹脂層/配向した液晶高分子層/粘接
着剤層/透光性基板層がこの順で積層されてなる積層構
造を含む光学素子は、好ましくは光線透過率が80%以
上、より好ましくは85%以上である。
【0089】一般に製品としての光学素子の表面保護の
ためにそれ自身粘着性を有する仮の保護フィルムを貼着
することが多い。これは、使用時には、すなわち液晶表
示素子などと貼合されるときには剥離されて使用され
る。本発明においても、このような種類の保護フィルム
は任意に使用することができる。
【0090】本発明の積層シートは必要に応じて、液晶
表示素子の色補償板などとして使用されるときにはさら
に偏光板と積層される。かかる場合でも、長尺な連続フ
ィルムであるために同じく連続の長尺な偏光板と容易に
連続的に積層操作を行うことができる。なお、このよう
な偏光板との積層は、偏光フィルムの透過軸と液晶高分
子層との配向方向を一定の関係を有する様に積層する必
要があるが、本発明の液晶高分子配向層は任意の方向に
配向角度を設定できるために容易に連続的な積層が可能
である。
【0091】偏光板としては公知の偏光フィルムが使用
でき、たとえばポリビニルアルコールやポリビニルブチ
ラールなどの透明高分子フィルムの長尺な一軸延伸フィ
ルムにヨウ素を吸収させたものまたは二色性染料を含浸
させたものなどが使用できる。偏光フィルムとしては、
前述したものと同様な適宜の透光性基板で偏光フィルム
を挟んだ三層構造のものを使用することができる。
【0092】偏光フィルムと液晶高分子フィルムとの積
層においても、公知の透光性の粘接着剤を介して積層す
ることができる。
【0093】具体的には、粘着剤により偏光板を光学的
等方性を有する硬化アクリル系樹脂層/配向した液晶高
分子層/粘接着剤層/透光性基板層がこの順で積層して
なる積層シートあるいは透光性保護フィルム/硬化アク
リル系樹脂層/配向した液晶高分子層/粘接着剤層/透
光性基板層がこの順で積層してなる積層シートの、上下
いずれかの面もしくは上下面の両方に粘接着剤を介して
偏光板を貼合することにより製造される。なお、粘着す
るための粘接着剤層の厚みは、いずれにしろ1〜100
μmの範囲から選択される。
【0094】本発明の長尺な積層シートは、適宜に偏光
板などと配向を合わせて貼合された後、切断し、たとえ
ば液晶表示素子に貼合されて光学素子として機能する。
【0095】
【発明の効果】硬化アクリル系樹脂層は光学的に等方性
でありまた表面硬度も充分であるので、得られた光学素
子は、光学的検査が可能で、高温多湿下の環境での使用
に耐え、また製造時や光学素子組み込み時の傷の発生が
抑制される。そのほか、粘着剤を介しての保護フィルム
の使用と比較すると、光学素子全体の厚みを低減するこ
とができ、また軽量であってコスト面からも安価なもの
となる。
【0096】そのほか、以下の特徴を有する。 1)前記積層シートが連続の長尺フィルムであるため
に、生産性および経済性が向上する。 2)前記積層シート内の液晶高分子層の配向角度が任意
に制御できるために、光学素子を組み上げるに際し、液
晶高分子を無駄なく切り出せるために経済性に優れ、歩
留まりが向上する。さらに、前記積層シートと偏光フィ
ルムとを積層する場合には、偏光フィルムの透過軸に対
して特定の配向方向を設定できるために、両者を連続的
に積層することができる。 3)液晶高分子層の配向角度は、高分子を延伸させて配
向させた光学素子と比較してより広い範囲を有する。 4)同じく、高分子を延伸により配向させた光学素子よ
りも光学的な欠陥が著しく少ない。
【0097】
【実施例】以下実施例により本発明を詳述する。なお実
施例で用いた各分析法は以下のとおりである。 (1)ねじれ角およびΔn・dの測定 ねじれ角は偏光解析法により、またΔn・dはエリプソ
メーターにより測定したデータを解析処理して決定し
た。 (2)対数粘度の測定 ウッベローデ型粘度計を用いて、フェノール/テトラク
ロロエタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で
測定した。
【0098】(液晶高分子溶液の調製例1)(I)式で
示した光学活性ポリマー(対数粘度0.23)の18w
t%トリクロロエタン溶液を調整した。
【化50】
【0099】(液晶高分子溶液の調製例2)(II)式
で示した混合ポリマー(ベースポリマーの対数粘度=
0.21、Tg=60℃、光学活性ポリマーの対数粘度
=0.18)の20wt%ジメチルフォルムアミド溶液
を調整した。
【化51】
【0100】(液晶高分子溶液の調製例3)(III)
式で示した混合ポリマーの20wt%フェノール/テト
ラクロロエタン(60/40重量比)溶液を調整した。
【化52】
【0101】(液晶高分子溶液の調製例4)(IV)式
で示した混合ポリマーの20wt%フェノール/テトラ
クロロエタン(60/40重量比)溶液を調整した。
【化53】
【0102】(液晶高分子溶液の調製例5)(V)式で
示した単一ポリマーの20wt%フェノール/テトラク
ロロエタン(60/40重量比)溶液を調整した。な
お、このポリマーは光学活性基を有しない。
【化54】
【0103】製造例1 図1に示す装置により、配向基板としてのポリエーテル
エーテルケトン(PEET)からなる20cm幅、厚み
80μmのフィルムを20m/分の速度で搬送しなが
ら、ナイロン布を巻き付けた150mmφのラビングロ
ールをPEEKフィルムのMD方向に対して45°に設
定し、ナイロン布の毛先の押し込みを500μmとして
1500rpmで回転させることにより連続的にラビン
グをし、ロールに巻き取りを行った。
【0104】ポリマー溶液の調製例1で得られたポリマ
ー溶液を、上記ラビング処理をした長尺フィルム上にロ
ールコート法により塗布、乾燥し、100℃×20分間
加熱処理をして液晶高分子の配向を固定化した。
【0105】このフィルムを厚さ100μmのアクリル
系粘着剤付きである透明なトリアセチルセルロース(T
AC)フィルムに常法に従い転写し、偏光顕微鏡により
観察すると、暗視野が回転角として180°毎に現れた
ので、配向が完全であることが確認された。またそのと
き、偏光子の透過軸に対して直角となる方向はポリエチ
レンテレフタレートフィルムのMD方向に対して45°
となる方向であった。この補償層のねじれ角は−228
°、Δn・dは0.835μmであった。
【0106】このようにして液晶高分子(式I)層/ア
クリル系粘着剤層/TACフィルム層からなる長尺な三
層積層シートを得た。
【0107】製造例2 図1に示す装置により、配向基板としてのPEEKから
なる20cm幅、厚み50μmのフィルムを20m/分
の速度で搬送しながら、ナイロン布を巻き付けた150
mmφのラビングロールをPEEKフィルムのMD方向
に対して45°に設定し、ナイロン布の毛先の押し込み
を500μmとして1500rpmで回転させることに
より連続的にラビングをし、ロールに巻き取りを行っ
た。
【0108】溶液の調製例2で得られたポリマー溶液
を、上記ラビング処理をした長尺フィルム上にスロット
ダイコート法により塗布、乾燥し、200℃×45分間
加熱処理をして液晶高分子の配向を固定化した。
【0109】このフィルムを透明フィルムである厚さ1
00μmのポリエーテルスルフォン(PES)フィルム
に常法に従いアクリル系接着剤により転写し、偏光顕微
鏡により観察すると、暗視野が回転角として180°毎
に現れたので、配向が完全であることが確認された。ま
たそのとき、偏光子の透過軸に対して直角となる方向は
PEEKフィルムのMD方向に対して45°となる方向
であった。
【0110】このようにして液晶高分子(式II)層/
アクリル系接着剤層/PESフィルム層からなる長尺な
三層積層シートを得た。この補償層のねじれ角は−23
1°、Δn・dは0.84μmであった。
【0111】製造例3 図1に示す装置により、配向基板としてのPEEKから
なる20cm幅、厚み50μmのフィルムを20m/分
の速度で搬送しながら、ナイロン布を巻き付けた150
mmφのラビングロールをPEEKフィルムのMD方向
に対して45°に設定し、ナイロン布の毛先の押し込み
を500μmとして1500rpmで回転させることに
より連続的にラビングをし、ロールに巻き取りを行っ
た。
【0112】溶液の調製例3で得られたポリマー溶液
を、上記ラビング処理をした長尺フィルム上にロールコ
ーターにより塗布、乾燥し、200℃×20分間加熱処
理をして液晶高分子の配向を固定化した。
【0113】この液晶高分子層上に、紫外線硬化型接着
剤であるアクリル系接着剤が塗布されたTACフィルム
を貼合して紫外線を外側から照射することにより硬化さ
せ液晶高分子層とTACフィルムとを接着した。
【0114】その後、PEEKフィルムから剥離させて
転写することにより液晶高分子(式III)層/光硬化
アクリル系接着剤層/TACフィルム層からなる長尺な
三層積層シートを得た。
【0115】これは、暗視野が回転角として180°毎
に現れたので、配向が完全であることが確認された。ま
たそのとき、偏光子の透過軸に対して直角となる方向は
PEEKフィルムのMD方向に対して45°となる方向
であった。この補償層のねじれ角は−90°、Δn・d
は2.0μmであった。
【0116】製造例4 図1に示す装置により、配向基板としてのポリイミドか
らなる20cm幅、厚み125μmのフィルムを20m
/分の速度で搬送しながら、ナイロン布を巻き付けた1
50mmφのラビングロールをPEEKフィルムのMD
方向に対して45°に設定し、ナイロン布の毛先の押し
込みを500μmとして1500rpmで回転させるこ
とにより連続的にラビングをし、ロールに巻き取りを行
った。
【0117】溶液の調製例4で得られたポリマー溶液
を、上記ラビング処理をした長尺フィルム上にダイコー
ターによりキャスト、乾燥し、200℃×40分間加熱
処理をして液晶高分子の配向を固定化した。
【0118】この液晶高分子フィルム上に、紫外線硬化
型接着剤であるアクリル系接着剤が塗布されたTACフ
ィルムを貼合して紫外線を外側から照射することにより
硬化させ液晶高分子層とTAC層とを接着した。
【0119】その後、ポリイミドフィルムから剥離させ
て転写することにより液晶高分子(式IV)層/光硬化
アクリル系接着剤層/TACフィルム層からなる長尺な
三層積層シートを得た。これは、暗視野が回転角として
180°毎に現れたので、配向が完全であることが確認
された。またそのとき、偏光子の透過軸に対して直角と
なる方向はポリイミドフィルムのMD方向に対して45
°となる方向であった。この補償層のねじれ角は−23
1°、Δn・dは0.84μmであった。
【0120】このようにして液晶高分子(式IV)層/
光硬化アクリル系接着剤層/TACフィルム層からなる
長尺な三層積層シートを得た。
【0121】実施例1 製造例1で得られた液晶高分子(式I)層/アクリル系
粘着剤層/TACフィルム層からなる三層積層シートの
該液晶高分子層の表面上に、表1記載の紫外線硬化型ま
たは電子線硬化型アクリル系オリゴマーの溶液をスロッ
トダイコート法により塗布し、紫外線または電子線を照
射させてアクリル系オリゴマーを重合硬化させた。硬化
アクリル系樹脂層の厚さは、約5μmであった。
【0122】このようにして硬化アクリル系樹脂層/液
晶高分子(式I)層/アクリル系粘着剤層/TACフィ
ルム層からなる長尺な四層積層シートを得た。
【0123】これらのサンプルについて、高温多湿試験
(60℃×90%RHX500h)、光学的パラメータ
ーおよび表面層硬度の測定(鉛筆硬度)の結果は表1に
示す。以下においても同様である。
【0124】実施例2 製造例1で得られた液晶高分子(式I)層/アクリル系
粘着剤層/TACフィルム層からなる三層積層シート
の、液晶高分子層の表面上に、表1記載の紫外線硬化型
または電子線硬化型アクリル系オリゴマーの溶液をカー
テンコート法により塗布した後、100μmのTACフ
ィルムを貼合した。その後紫外線を照射して硬化させる
ことによりTACフィルム層/硬化アクリル系樹脂層/
液晶高分子(式I)層/粘着剤層/TACフィルム層か
らなる長尺な五層積層シートを得た。
【0125】実施例3 製造例2で得られた液晶高分子(式II)層/アクリル
系接着剤層/PESフィルム層からなる三層積層シート
の、液晶高分子層の表面上に表1記載の紫外線硬化型ま
たは電子線硬化型アクリル系オリゴマーの溶液をバーコ
ートにより塗布し、紫外線または電子線を照射させてア
クリル系オリゴマーを重合硬化させた。硬化アクリル系
樹脂層の厚さは、約10μmであった。このようにして
硬化アクリル系樹脂層(厚さ10μm)/液晶高分子
(式II)層/アクリル系接着剤層/PESフィルム層
からなる長尺な四層積層シートを得た。
【0126】実施例4 製造例2で得られた液晶高分子層(式II)/アクリル
系接着剤層/PESフィルム層からなる三層積層シート
の、液晶高分子層の表面上に、表1記載の紫外線硬化型
アクリル系オリゴマーの溶液をロールコートにより塗布
した後、100μmのTACフィルムを貼合した。その
後紫外線を照射して硬化させることによりTACフィル
ム層/硬化アクリル系樹脂/液晶高分子(式II)層/
アクリル系接着剤層/PESフィルム層からなる長尺な
五層積層シートを得た。
【0127】実施例5 製造例3で得られた液晶高分子層(式III)/光硬化
アクリル系接着剤層/TACフィルム層からなる三層積
層シートの、液晶高分子層の表面上に表1記載の紫外線
硬化型または電子線硬化型アクリル系オリゴマーの溶液
をバーコーターにより塗布し、紫外線または電子線を照
射させてアクリル系オリゴマーを重合硬化させた。硬化
アクリル系樹脂層の厚さは、約10μmであった。
【0128】このようにして硬化アクリル系樹脂層(厚
さ5μm)/液晶高分子(式III)層/アクリル系接
着剤層/TACフィルム層からなる長尺な四層積層シー
トを得た。
【0129】実施例6 製造例3で得られた液晶高分子層(式III)/光硬化
アクリル系接着剤層/TACフィルム層からなる三層積
層シートの、液晶高分子層の表面上に、表1記載の紫外
線硬化型または電子線硬化型アクリル系オリゴマーの溶
液をバーコーターにより塗布し、TACフィルムをさら
に貼合して、紫外線を照射し硬化させることによりTA
Cフィルム層/硬化アクリル樹脂層(厚さ10μm)/
液晶高分子(式III)層/光硬化アクリル系接着剤層
/TACフィルム層からなる長尺な五層積層シートを得
た。
【0130】実施例7 製造例4で得られた液晶高分子層(式IV)/光硬化ア
クリル系接着剤層/TACフィルム層からなる三層積層
シートの、液晶高分子層の表面上に、表1記載の紫外線
硬化型または電子線硬化型アクリル系オリゴマーの溶液
をバーコーターにより塗布し、紫外線を照射して硬化さ
せることにより硬化アクリル樹脂層(厚さ10μm)/
液晶高分子(式IV)層/光硬化アクリル接着剤層/T
ACフィルム層からなる長尺な四層積層シートを得た。
【0131】実施例8 ポリマー溶液調製例5のポリマー溶液を使用して、製造
例1および実施例1と同様にして硬化アクリル系樹脂層
/液晶高分子(式V)層/アクリル系粘着剤層/TAC
フィルム層からなる長尺な四層積層シートを得た。この
液晶嵩分子(式V)層はねじれ構造を有しないものであ
ったので、たとえばねじれ構造を必要としない光学的位
相差板として使用可能であった。
【0132】実施例1〜8で得られた積層シートの高温
多湿試験、その表面硬度を測定した結果を表1にそれぞ
れまとめた。
【0133】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】長尺フィルム状の配向基板をそのMD方向に対
して斜め方向にラビングする装置の平面図である。
【符号の説明】 10 ラビングロール 11 配向基板を搬送するステージ 12 長尺フィルム状の配向基板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】ここで、液晶高分子フィルムのねじれの方
向は次のように定義される。すなわち、液晶高分子フィ
ルム面に対して垂直に入射した光の偏波面が時計方向に
変化しながら該フィルム中を通過していく場合のねじれ
方向を右ねじれまたはマイナスと定義する。液晶表示素
子の着色を解消するための色補償板、直線偏光の方位を
回転させたり楕円偏光の方位を回転させたりするための
旋光子などの光学素子として使用される場合において
は、好適な液晶高分子としてはそれ自身が光学活性基を
有するとともにねじれネマチック液晶性を示す光学活性
ポリマー、または自身は光学活性基を有しないネマチッ
ク液晶性を示すベースポリマーと光学活性化合物との組
成物の二通りがあるものである。液晶表示素子用色補償
板としては、品質の高い白黒表示を得るためには、液晶
高分子層の光学パラメーターの厳密な制御が必要であ
り、液晶高分子の分子が基板と垂直方向にらせん軸を有
するらせん構造をなし、そのねじれ角が30度から30
0度の範囲にあり、液晶高分子よりなる層の複屈折率△
nと膜厚dとの積△n・dが0.01〜3.0μmの範
囲にあることが必要である。特にTN用の場合はねじれ
角は通常30〜150°、好ましくは40〜120°、
△n・dは通常0.05〜3.0μmさらに好ましくは
0.1〜2.8μmの範囲が適当であり、STN用の場
合は、ねじれ角は通常150〜300°、好ましくは1
70〜280°、△n・dは通常0.1〜1.5μmさ
らに好ましくは0.3〜1.2μmの範囲が適当であ
る。前述の液晶高分子またはその組成物を利用するなら
ば容易に前記した配向固定化し所定の膜厚とすることが
できる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】用いられるポリマーとしては、光学活性で
ないポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポ
リエステルイミドなどの主鎖型液晶ポリマー、あるいは
ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリマロネー
ト、ポリシロキサンなどの側鎖型液晶ポリマーなどを
示することができる。なかでも合成の容易さ、配向性、
ガラス転移点などからポリエステルが好ましい。用いら
れるポリエステルとしてはオルソ置換芳香族単位を構成
成分として含むポリマーが最も好ましいが、オルソ置換
芳香族単位の代わりにかさ高い置換基を有する芳香族、
あるいはフッ素または含フッ素置換基を有する芳香族な
どを構成成分として含むポリマーもまた使用することが
できる。本発明で言うオルソ置換芳香族単位とは、主鎖
をなす結合を互いにオルソ位とする構造単位を意味す
る。これらの例としては、 (Xは水素、Cl,Br等のハロゲン、炭素数が1から
4のアルキル基もしくはアルコキシ基またはフェニル基
を示す。またkは0〜2である)などがある。これらの
なかでも特に好ましい例として次のようなものを例示す
ることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】これらのうち、ジオール成分としては次の
ような芳香族および脂肪族のジオールを挙げることがで
きる。 (Yは水素、Cl,Br等のハロゲン、炭素数1から4
のアルキル基もしくはアルコキシまたはフェニル基を示
す。1は0〜2である。) (nは2から12の整数を表わす) なかでも などが好ましく用いられる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】本発明で用いられる光学活性化合物とし
て、次に光学活性な高分子化合物をあげることができ
る。分子内に光学活性な基を有する高分子化合物であれ
ばいずれも使用することができるが、ベースポリマーと
の相溶性の観点から液晶性を示す高分子化合物であるこ
とが望ましい。例として光学活性な基を有する液晶性の
ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリマロネー
ト、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
エステルアミド、ポリカーボネート、あるいはポリペプ
チド、セルロースなどをあげることができる。なかでも
ベースとなるネマチック液晶性ポリマーとの相溶性か
ら、芳香族主体の光学活性なポリエステルが最も好まし
い。具体的には次のようなポリマーを例示することかで
きる。 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 (n=2〜12)の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー、 の構造単位から構成されるポリマー。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】本発明の光学素子はまた、他の光学活性化
合物を用いることなく自身で均一でモノドメインなねじ
れネマチック配向をし、かつその配向状態を容易に固定
化できる高分子液晶を用いることによっても製造でき
る。これらのポリマーは主鎖中に光学活性基を有し自身
が光学活性であることが必須であり、具体的には光学活
性なポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポ
リエステルイミドなどの主鎖型液晶ポリマー、あるいは
ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシロキサ
ンなどの側鎖型液晶ポリマーなどを例示することができ
る。なかでも合成の容易さ、配向性、ガラス転移点など
からポリエステルが好ましい。用いられるポリエステル
としてはオルソ置換芳香族単位を構成成分として含むポ
リマーが最も好ましいが、オルソ置換芳香族単位の代わ
りにかさ高い置換基を有する芳香族、あるいはフッ素ま
たは含フッ素置換基を有する芳香族などを構成成分とし
て含むポリマーもまた使用することができる。これらの
光学活性なポリエステルは、今まで説明してきたネマチ
ック液晶性ポリエステルに、さらに光学活性なジオー
ル、ジカルボン酸、オキシカルボン酸を用いて次に示す
ような光学活性基を導入することにより得られる。(式
中、*印は光学活性炭素を示す) など。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】以上述べてきた本発明の液晶性高分子の代
表的な例としては、具体的には、 Ch;コレステリル基、で示されるポリマー(m/n=
通常99.9/0.1〜80/20、好ましくは99.
5/0.5〜90/10、さらに好ましくは99/1〜
95/5) で示されるポリマー(m/n=通常99.9/0.1〜
80/20、好ましくは99.5/0.5〜90/1
0、さらに好ましくは99/1〜95/5) で示されるポリマー(m/n=通常99.9/0.1〜
70/30、好ましくは99.5/0.5〜90/1
0、さらに好ましくは99/1〜95/5、p,q;2
〜20の整数) で示されるポリマー(m/n=通常99.9/0.1〜
70/30、好ましくは99.5/0.5〜90/1
0、さらに好ましくは99/1〜95/5、p,q;2
〜20の整数) で示されるポリマー(m/n=通常99.9/0.1〜
80/20、好ましくは99.5/0.5〜90/1
0、さらに好ましくは99/1〜95/5) で示されるポリマー(m/n=0.5/99.5〜10
/90、好ましくは1/99〜5/95) で示されるポリマー(=1+m+n、/n=99.
5/0.5〜90/10、好ましくは、99/1〜95
/5、1/m=5/95〜95/55) で示されるポリマー(=1+m+n、/n=99.
5/0.5〜90/10、好ましくは、99/1〜95
/5、1/m=5/95〜95/55) で示されるポリマー混合物((A)/(B)=通常9
9.9/0.1〜80/20(重量比)、好ましくは9
9.5/0.5〜85/5、さらに好ましくは99/1
〜95/5、=1+m、1/m=75/25〜25/
75、=q+r、p/q=80/20〜20/80) (B)コレステリルベンゾエート で示されるポリマー混合物((A)/(B)=通常9
9.9/0.1〜70/30(重量比)、好ましくは9
9.5/0.5〜80/20、好ましくは99/1〜9
0/10、m=+1、/1=80/20〜20/8
0) で示されるポリマー混合物((A)/(B)=通常9
9.9/0.1〜70/30(重量比)、好ましくは9
9.5/0.5〜80/20、好ましくは99/1〜9
0/10、=1+8、1/m=25/75〜75/2
5、=q+r、/r=20/80〜80/20) (なお、*印は光学活性炭素を示す)などが挙げられ
る。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】ラビング処理操作は、任意の方法で行うこ
とができる。たとえば長尺なフィルムのMD方向に対し
て斜め方向にラビングする場合を図1により説明する。
配向基板としての長尺な連続フィルム(12)をMD方
向に移送するステージ(11)上に、長尺フィルム(1
2)およびそのMD方向に対して任意の角度で斜めにラ
ビングロール(10)を配置し、該長尺フィルム(1
2)を搬送しながら該ラビングロール(10)を回転さ
せ、該フィルム(12)表面をラビング処理する。ラビ
ングロール(10)と該フィルム(12)の搬送方向と
が成す角度は自在に調整し得る機構である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的等方性を有する硬化アクリル系樹
    脂層/配向した液晶高分子層/粘接着剤層/透光性基板
    層がこの順で積層されてなる積層構造を含む光学素子。
  2. 【請求項2】 光学的等方性を有する硬化アクリル系樹
    脂層/配向した液晶高分子層/粘接着剤層/透光性基板
    層がこの順で積層されてなる積層構造を含み、該液晶高
    分子がMD方向に対して任意の一定角度で配向してなる
    長尺な光学素子用積層シート。
  3. 【請求項3】 粘接着層を介して偏光フィルムと積層さ
    れてなる請求項1または2のいずれかに記載の光学素子
    または光学素子用積層シート。
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