JP3333607B2 - 連続転写法による光学素子の製造法 - Google Patents

連続転写法による光学素子の製造法

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JP3333607B2 JP28571193A JP28571193A JP3333607B2 JP 3333607 B2 JP3333607 B2 JP 3333607B2 JP 28571193 A JP28571193 A JP 28571193A JP 28571193 A JP28571193 A JP 28571193A JP 3333607 B2 JP3333607 B2 JP 3333607B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示素子用色補償
板、液晶表示素子用視野角改良板、光学位相差板、1/
2波長板、1/4波長板、旋光性光学素子などの光学素
子の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶高分子、とりわけねじれネマチック
構造を固定化した液晶高分子からなる光学素子は、液晶
表示用色補償板や液晶表示用視野角改良板として画期的
な性能を示し、液晶表示装置の高性能化、軽量化および
薄型化に寄与している。この光学素子の製造法として、
配向基板上に形成された液晶高分子からなる層を透光性
基板上に転写する方法が提案されている(特開平4−5
7017号、特開平4−177216号)。かかる製造
法によって、配向基板と透光性基板の役割を分離するこ
とが可能になったために、種々の製品形態の光学素子を
製造することができるようになり、とりわけフィルムタ
イプの液晶高分子からなる光学素子への道が開かれた。
【0003】しかしながら、光学素子とりわけ液晶表示
素子用の光学素子に対する要求性能は極めて厳しいもの
があり、特に長尺の光学素子を連続的に製造しようとす
る際に種々の困難な問題に遭遇する。すなわち、液晶高
分子層の直径わずか100μm程度の欠けた部分は光学
的に欠陥とされるので、微小の転写残りも許されない。
また、長尺の液晶高分子層からなる光学素子フィルム
は、製造工程において巻取り工程が不可欠であるが、塑
性変形の大きい粘接着層では変形による光学的な歪みの
ために製品が不良となる。反対に粘接着層が硬すぎる
と、転写時や巻取り時にクラックが発生する。また、こ
れらの転写工程は、液晶高分子の光学性能を維持するた
めに、液晶高分子のTg以下の温度で行う必要がある。
さらに、これらの光学素子は、冷熱サイクル試験、耐熱
試験、耐湿熱試験などの過酷な信頼性試験を満足させる
ものでなければならない。従来の技術では、液晶表示素
子用の光学素子に対するこれらの厳しい要求を満足させ
る処方については何ら開示されていない。さらに、生産
性を高めるために長尺の光学素子を製造するための技術
についても何ら開示されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な現状に鑑み、長尺の配向基板フィルム上に形成された
長尺の液晶高分子層を、長尺の透光性基板フィルム上に
連続的に転写して光学素子製品を製造する手段について
鋭意検討した結果、特定の接着剤を用いて転写すること
により解決できることに着目し、本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】以下に本発明を説明す
る。本発明の第1は、配向基板上に形成された液晶高分
子層よりなる層を、透光性基板上に連続的に転写するに
際し、光硬化型または電子線硬化型のアクリル系オリゴ
マーを主成分とする無溶剤型接着剤を、該液晶高分子層
と透光性基板との間に塗布し、透光性基板上から光また
は電子線を照射して該接着剤を硬化させることにより該
液晶高分子層と透光性基板とを接着し、該接着された液
晶高分子層を配向基板から剥離することにより、該液晶
高分子層を透光性基板上に転写することを特徴とする光
学素子の製造法に関するものである。本発明の第2は、
接着剤が5〜50重量%の極性ビニルモノマーを含むこ
とを特徴とする光学素子の製造法に関するものである。
本発明の第3は、接着剤中の極性ビニルモノマーがN−
ビニル−2−ピロリドンであることを特徴とする光学素
子の製造法に関するものである。
【0006】以下に本発明をさらに説明する。本発明に
おいて、転写すべき物質は液晶性を示す高分子であっ
て、溶融時に液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマ
ーである。光学素子としては、好ましくは均一でモノド
メインなネマチック液晶相またはねじれネマチック液晶
相を示すものである。ここで選択されるサーモトロピッ
ク液晶ポリマーは、液晶状態ではネマチック配向または
ねじれネマチック配向し、液晶転移温度以下の温度領域
ではガラス状態となる液晶高分子である。かかるネマチ
ック液晶相を示すポリマーとしては、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリカーボネート、ポリエステルイミドなど
の主鎖型液晶ポリマー、あるいはポリアクリレート、ポ
リメタクリレート、ポリマロネート、ポリシロキサンな
どの側鎖型液晶ポリマーを挙げることができる。さら
に、これらの液晶ポリマーの主鎖または側鎖に光学活性
単位を共重合した光学活性液晶高分子、低分子もしくは
高分子の光学活性化合物をブレンドした液晶高分子系な
どを例示することができる。なかでも、合成の容易さ、
配向性およびガラス転移点などから、ポリエステルが好
ましい。用いられるポリエステルとしては、半または全
芳香族ポリエステルなどの芳香族ポリエステルが好まし
い。
【0007】本発明で用いるポリエステルとしては、オ
ルト置換芳香族単位を構成成分として含むポリマーが最
も好ましいが、オルト置換芳香族単位の代わりにかさ高
い置換基を有する芳香族、あるいはフッ素または含フッ
素置換基を有する芳香族などを構成成分として含むポリ
マーもまた使用することができる。本発明でいうオルト
置換芳香族単位とは、主鎖をなす結合を互いにオルト位
に有するる構造単位を意味する。これらの例としては、
次式化1に示すものが挙げられる。
【化1】 (Xは水素原子、Cl、Br 等のハロゲン原子、炭素数
が1から4のアルキル基もしくはアルコキシル基または
フェニル基を示す。またkは0〜2である。)これらの
なかでも特に好ましい例として、次式化2に示すものを
挙げることができる。
【化2】 (Me はメチル基、Et はエチル基、Bu はブチル基で
ある。以下同じ。)
【0008】本発明で用いられるポリエステルとして
は、(a)ジオール類から誘導される構造単位(以下、
「ジオール成分」という)およびジカルボン酸類から誘
導される構造単位(以下、「ジカルボン酸成分」とい
う) および/または(b)一つの単位中にカルボキシ
ル基と水酸基とを同時に含むオキシカルボン酸類から誘
導される構造単位(以下、「オキシカルボン酸成分」と
いう)を構成成分として含み、好ましくはさらに前記オ
ルト置換芳香族単位を含むポリマーが例示できる。
【0009】これらのうち、ジオール成分としては、次
式化3から化5に示す芳香族および脂肪族のジオールを
挙げることができる。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0010】またジカルボン酸成分としては、次式化7
から化9に示すものを例示することができる。
【化7】 (Zは水素原子、Cl、Br 等のハロゲン原子、炭素数
が1から4のアルキル基もしくはアルコキシル基または
フェニル基を示す。mは0〜2である。)
【化8】
【化9】 なかでも、次式化10に示すものが好ましい。
【化10】
【0011】オキシカルボン酸成分としては、具体的に
は次式化11に示す構造単位を例示することができる。
【化11】
【0012】ジカルボン酸とジオールのモル比は、一般
のポリエステルと同様、大略1:1である(オキシカル
ボン酸を用いる場合は、カルボキシル基と水酸基の割
合)。また、ポリエステル中に占めるオルト置換芳香族
単位の割合は、通常5モル%から40モル%の範囲が好
ましく、さらに好ましくは10モル%から30モル%の
範囲である。5モル%より少ない場合は、ネマチック相
の下に結晶相が現れる傾向があり好ましくない。また4
0モル%より多い場合は、ポリマーが液晶性を示さなく
なる傾向があり好ましくない。
【0013】代表的なポリエステルとしては、次式化1
2から化19に示す構造単位からなるポリマーを挙げる
ことができる。
【化12】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化13】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化14】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化15】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化16】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化17】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化18】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化19】 の構造単位から構成されるポリマー。
【0014】オルト置換芳香族単位に代えて、次式化2
0から化22に示すかさ高い置換基を含む芳香族単位、
あるいはフッ素または含フッ素置換基を含む芳香族単位
を構成成分とするポリマーもまた好ましく用いられる。
【化20】 (Pr はプロピル基である。以下同じ。)
【化21】
【化22】
【0015】これらのポリマーの分子量は、各種溶媒、
例えばフェノール/テトラクロロエタン(重量比:60
/40)混合溶媒中において、30℃で測定した対数粘
度が0.05から3.0に相当するものが好ましく、さら
に好ましくは0.07から2.0の範囲である。対数粘度
が0.05より小さい場合は、得られた液晶高分子の強
度が弱くなり好ましくない。また3.0より大きい場合
は、液晶形成時の粘性が高すぎて、配向性の低下や配向
に要する時間の増加などの点で問題が生じる。
【0016】これらのポリマーの合成法は特に制限され
るものではなく、当該分野で公知の重合法、例えば溶融
重合法あるいは対応するジカルボン酸の酸クロライドを
用いる酸クロライド法で合成される。溶融重合法で合成
する場合は、例えばジカルボン酸とこれに対応するジオ
ールのアセチル化物を、高温、高真空下で重合すること
によって製造することができ、分子量は重合時間の制御
あるいは仕込み組成の制御によって容易に行うことがで
きる。重合反応を促進させるためには、従来から公知の
酢酸ナトリウムなどの金属塩を使用することもできる。
また溶液重合法を用いる場合は、所定量のジカルボン酸
ジクロライドとジオールとを溶媒に溶解し、ピリジンな
どの酸受容体の存在下に加熱することにより、容易に目
的のポリエステルを得ることができる。
【0017】次に、上記ネマチック液晶性ポリマーにね
じれを与えるために混合される光学活性化合物について
説明する。代表的な例としてまず光学活性な低分子化合
物を挙げることができる。光学活性を有する化合物であ
ればいずれも本発明に使用することができるが、ベース
ポリマーとの相溶性の観点から、光学活性を有する液晶
性化合物であることが望ましい。具体的には、次式化2
3および化24に示す化合物ならびにコレステロール誘
導体などを例示することができる。なお、各化学式中の
符号*は、光学活性炭素であることを示す(以下同
じ)。
【化23】
【化24】
【0018】次に、本発明で用いる光学活性化合物とし
て、高分子化合物を挙げることができる。分子内に光学
活性な基を有する高分子化合物であればいずれも使用す
ることができるが、ベースポリマーとの相溶性の観点か
ら、液晶性を示す高分子化合物であることが望ましい。
例えば、光学活性な基を有する液晶性のポリアクリレー
ト、ポリメタクリレート、ポリマロネート、ポリシロキ
サン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミ
ド、ポリカーボネート、あるいはポリペプチド、セルロ
ースなどを挙げることができる。なかでもベースとなる
ネマチック液晶性ポリマーとの相溶性の点から、芳香族
主体の光学活性ポリエステルが最も好ましい。具体的に
は次式化25から化35に示す構造単位からなるポリマ
ーを挙げることができる。
【化25】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化26】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化27】 (n=2〜12)の構造単位から構成されるポリマー。
【化28】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化29】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化30】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化31】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化32】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化33】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化34】 の構造単位から構成されるポリマー。
【化35】 の構造単位から構成されるポリマー。
【0019】これらの光学活性な高分子化合物中に占め
る光学活性な基の割合は、通常0.5〜80モル%であ
り、好ましくは5〜60モル%である。
【0020】また、上記光学活性な高分子化合物の分子
量は、例えばフェノール/テトラクロロエタン中、30
℃で測定した対数粘度が0.05から5.0の範囲に相当
するものが好ましい。対数粘度が5.0より大きい場合
は、粘性が高すぎて結果的に配向性の低下を招き、また
0.05より小さい場合は、組成の調整が難しくなるた
め、いずれも好ましくない。
【0021】本発明の光学素子はまた、それ自体が均一
でモノドメインなねじれネマチック配向を示し、かつそ
の配向状態を容易に固定化できる液晶高分子を用いるこ
とによっても製造することができる。これらの液晶高分
子は、主鎖中に光学活性基を有し光学活性であることが
必須であり、具体的には光学活性なポリエステル、ポリ
アミド、ポリカーボネート、ポリエステルイミドなどの
主鎖型液晶ポリマー、あるいはポリアクリレート、ポリ
メタクリレート、ポリシロキサンなどの側鎖型液晶ポリ
マーなどを例示することができる。なかでも合成の容易
さ、配向性、ガラス転移点などの点からポリエステルが
好ましい。用いられるポリエステルとしては、オルト置
換芳香族単位を構成成分として含むポリマーが最も好ま
しいが、オルト置換芳香族単位の代わりにかさ高い置換
基を有する芳香族、あるいはフッ素または含フッ素置換
基を有する芳香族などを構成成分として含むポリマーも
また使用することができる。これらの光学活性なポリエ
ステルは、上記で説明したネマチック液晶性ポリエステ
ルに、さらに光学活性なジオール、ジカルボン酸、オキ
シカルボン酸を用いて、次式化36および化37に示す
ような光学活性基を導入することにより得られる。
【化36】
【化37】
【0022】これらのポリマーの分子量は、各種溶媒、
例えばフェノール/テトラクロロエタン(重量比:60
/40)混合溶媒中において、30℃で測定した対数粘
度が0.05から3.0に相当するものが好ましく、さら
に好ましくは0.07から2.0の範囲である。対数粘度
が0.05より小さい場合は、得られた液晶高分子の強
度が弱くなり好ましくない。また3.0より大きい場合
は、液晶形成時の粘性が高すぎて、配向性の低下や配向
に要する時間の増加などの問題が生じる。これらのポリ
マーの重合は溶融重縮合法、あるいは酸クロライド法に
よって行うことができる。
【0023】以上説明した本発明の液晶性高分子の代表
的な具体例を、次式化38から化48に示す。
【化38】 で示されるポリマー(m/n:通常99.9/0.1〜8
0/20、好ましくは99.5/0.5〜90/10、さ
らに好ましくは99/1〜95/5)。
【化39】 で示されるポリマー(m/n:通常99.9/0.1〜8
0/20、好ましくは99.5/0.5〜90/10、さ
らに好ましくは99/1〜95/5)。
【化40】 で示されるポリマー(m/n:通常99.9/0.1〜7
0/30、好ましくは99.5/0.5〜90/10、さ
らに好ましくは99/1〜95/5;p、q:2〜20
の整数)。
【化41】 で示されるポリマー(m/n:通常99.9/0.1〜7
0/30、好ましくは99.5/0.5〜90/10、さ
らに好ましくは99/1〜95/5;p、q:2〜20
の整数)。
【化42】 で示されるポリマー(m/n:通常99.9/0.1〜8
0/20、好ましくは99.5/0.5〜90/10、さ
らに好ましくは99/1〜95/5)。
【化43】 で示されるポリマー(m/n:0.5/99.5〜10/
90、好ましくは1/99〜5/95)。
【化44】 で示されるポリマー(k=l+m+n、k/n=99.
5/0.5〜90/10、好ましくは99/1〜95/
5、l/m=5/95〜95/55)。
【化45】 で示されるポリマー(k=l+m+n、k/n=99.
5/0.5〜90/10、好ましくは99/1〜95/
5、l/m=5/95〜95/55)。
【化46】 で示されるポリマー混合物〔(A)/(B)は通常9
9.9/0.1〜80/20(重量比)、好ましくは9
9.5/0.5〜85/5、さらに好ましくは99/1〜
95/5;k=l+m、l/m=75/25〜25/7
5、p=q+r、p/q=80/20〜20/80〕。
【化47】 で示されるポリマー混合物〔(A)/(B)は通常9
9.9/0.1〜70/30(重量比)、好ましくは9
9.5/0.5〜80/20、好ましくは99/1〜90
/10;m=k+l、k/l=80/20〜20/8
0〕。
【化48】 で示されるポリマー混合物〔(A)/(B)は通常9
9.9/0.1〜70/30(重量比)、好ましくは9
9.5/0.5〜80/20、好ましくは99/1〜90
/10;k=l+m、l/m=25/75〜75/2
5、p=q+r、q/r=20/80〜80/20〕。
【0024】液晶高分子として上記ポリエステル系ポリ
マーを採用すれば、接着剤層として使用するアクリル系
樹脂との接着性がよく好ましいものである。液晶高分子
は、配向基板により配向が規制される。配向基板は、適
宜の基材上に形成された高分子フィルムであることもで
きる。
【0025】本発明において用いることができる配向基
板フィルムは、長尺の連続延伸フィルムをそのまま用い
るか、あるいは長尺の連続フィルムのMD(長手)方向
に対して平行または所定の角度で斜め方向にラビング処
理し、このラビング処理面と接触した液晶高分子がラビ
ング処理の方向に対応して配向し得るものである。この
ような配向基板フィルムとしては、ポリイミド、エポキ
シ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂;ナイロン
などのポリアミド;ポリエーテルイミド;ポリエーテル
ケトン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリケトン;ポ
リエーテルスルホン;ポリフェニレンサルファイド;ポ
リフェニレンオキサイド;ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;
ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリアクリレー
ト、ポリメタクリレート;トリアセテートセルロースな
どのセルロース系樹脂;ポリビニルアルコールなどの熱
可塑性樹脂などが例示される。
【0026】上記高分子フィルムは、それ自体にラビン
グ処理を施すことができ、またこれらの高分子フィルム
を基材として、その表面に上記のような他の高分子から
なる有機薄膜を形成してなるものでもよい。また、この
ような基材上に形成される有機薄膜の基材としては、上
記高分子フィルムの他に、銅、ステンレス鋼、鋼などの
金属箔とすることもできる。その他、前記配向基板それ
自体を、銅、ステンレス鋼、鋼などの金属箔で形成する
こともできる。本発明において特に好ましい配向基板
は、長尺の自立性のある高分子フィルムそれ自体をラビ
ング処理してなり、特に積層すべき基材などを使用しな
いものである。かかる目的に好適な長尺フィルムとして
は、上記のフィルムのうち、熱可塑性樹脂からなるフィ
ルム、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリフェニ
レンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ
ビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂である。熱硬化性
樹脂フィルムとしては、ポリイミドが好適に用いられ
る。
【0027】ここで、長尺フィルムとは、一定の長さを
有する連続したフィルムを意味し、工業的にはロール巻
きされた形態で供給され得るような連続フィルムをい
う。もちろん、ロール巻の形態が必須ではなく、適宜に
折り畳まれた連続フィルムでもよい。長尺フィルムの長
さは、場合により10,000mの長さに達することも
ある。
【0028】長尺の配向基板フィルム上へ長尺の液晶高
分子層を形成する操作は任意の方法で行うことができ
る。すなわち、液晶高分子を適宜の溶剤に溶解させ、ロ
ールコーターなどの塗工設備を用いて塗布、乾燥させて
液晶高分子層を形成する方法、あるいは、Tダイなどに
より液晶高分子を溶融押出しするなどの方法を用いるこ
とができる。また、膜厚などの品質の観点から、溶液塗
布および乾燥による方法が適当である。塗布方法は特に
限定されず、例えば、ロールコート法、カーテンコート
法、またはスロットコート法などのダイコート法などを
採用することができる。塗工幅としては、通常10〜
2,000mm、好ましくは100〜1,000mmの範
囲で選択される。塗布後、溶剤を乾燥により除去する。
【0029】MD方向に対し平行に、またはMD方向に
対し所定の角度で斜めの方向にラビング処理してなる長
尺の配向基板上に、液晶高分子層が形成された後に、所
定の温度で所定時間加熱することにより、液晶高分子を
配向させ、次にTg(ガラス転移温度)以下の温度に冷
却することによって液晶構造を固定化する。固定化後の
液晶高分子層の膜厚は特に制限はない。光の波長によっ
て異なるが、例えば、ディスプレー用途などの可視光が
重要である分野においては、0.1μm以上、好ましく
は2μm以上、より好ましくは3μm以上である。0.
1μm未満では精度よく膜厚を調整することが困難とな
るので好ましくない。また、あまりり厚くなると光学素
子としての規制力が弱まり好ましくなく、この観点から
1,000μm以下、好ましくは500μm以下の
範囲が適当である。本発明においては、下の配向基板が
所定の角度でラビング処理された長尺配向基板であるか
ら、このラビング処理に対応した角度に配向した長尺液
晶高分子フィルムが得られる。
【0030】透光性基板用フィルムとしては、透明性お
よび光学的等方性を有し、液晶高分子層を支持できるも
のであれば特に限定されないが、長尺のものを必要とす
るところから、プラスチックフィルム、例えば、ポリメ
チルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネー
ト、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリアリレート、ポリエチレンサルファイド、アモ
ルファスポリエチレン、トリアセチルセルロースなどを
挙げることができる。また、基板用フィルムの厚さは
0.5〜200μm、好ましくは1〜100μmの範囲
である。
【0031】以上に述べたような長尺配向基板フィルム
の上に形成された液晶高分子層を、長尺透光性基板フィ
ルムの上に接着剤を用いて、連続的に転写するプロセス
を次に説明する。長尺の配向基板フィルム上に形成され
た液晶高分子層あるいは長尺の透光性基板フィルムの少
なくとも一方に接着剤の塗布を行い、接着剤を介して長
尺の両基板フィルムを貼り合せた後、接着剤層を硬化さ
せて、配向基板フィルム/液晶高分子層/硬化接着剤層
/透光性基板フィルムからなる積層フィルムを形成す
る。次にこの積層フィルムから配向基板フィルムのみを
連続的に剥離することによって、液晶高分子層を配向基
板フィルムから透光性基板フィルム側に連続的に転写し
て、巻取りロールに巻取る。
【0032】このプロセスの流れにおいて、基本的に要
求されることは、 連続的に如何なる転写ミスも許されないこと、 製造工程上、巻取りが不可欠であるため、液晶高分
子層/硬化接着剤層/透光基板フィルムからなる積層フ
ィルムの巻取りが可能な接着剤が必須であること、 全工程中液晶高分子層の光学性能を維持するため
に、液晶高分子のTg以下で処理できること、および 製造された光学素子は過酷な信頼性試験を満足する
こと などが最低条件として挙げられる。従って、これらの条
件を満たすための接着剤としては、、、について
は液晶高分子と透光性基板フィルムに対して適切な接着
力を有すると共に、柔軟性を兼ね備えた強靭な硬化性能
を与えるものが必要であり、、の製造過程における
要求との光学素子の信頼性試験における要求とを同一
の接着剤で満たさなければならない。また、の要件を
満たすための接着剤の硬化手段を選択することが必要で
ある。さらに、多くの光学用途には、接着剤が光学的に
等方性であることも必要である。
【0033】本発明の目的を達成するためには、上記の
ような厳しい要求条件を満たす接着剤が必須であり、鋭
意検討を行なった結果、ついに特定の接着剤を見出し、
本発明を完成した。本発明で用いる無溶剤型の接着剤
は、光硬化型または電子線硬化型のアクリル系オリゴマ
ーを主成分とするものである。接着剤の硬化手段として
光硬化法または電子線硬化法を用いることにより、連続
転写に必須の極めて短時間の高速硬化が可能になると共
に、液晶高分子のTg温度以下における硬化処理を可能
にしたものである。
【0034】本発明で用いる無溶剤型接着剤は、光硬化
型または電子線硬化型のアクリル系オリゴマーを主成分
とするもので、そのアクリル系オリゴマーは公知のもの
が使用できる。例えば、ポリエステルアクリレート、エ
ポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエー
テルアクリレート、シリコーンアクリレートなどのラジ
カル重合性を示す各種のアクリル系オリゴマーの単独ま
たはこれらの混合物が例示される。これらのアクリル系
オリゴマーのうち、ポリエステルアクリレート、エポキ
シアクリレート、ウレタンアクリレートの使用が好まし
い。これらのアクリル系オリゴマーは、本発明で用いる
接着剤組成物の主成分となるもので、硬化後に被着体と
の接着力を発生させる基本成分単位である。
【0035】ポリエステルアクリレートオリゴマーを構
成する成分としては、アクリル酸と種々の多価アルコー
ルと多塩基酸からなるポリエステル化合物との反応物で
あり、多価アルコールとしてはエチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジ
エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ジプロ
ピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエ
リスリトールなどがある。また、多塩基酸としては、フ
タル酸、アジピン酸、マレイン酸、トリメリット酸、イ
タコン酸、こはく酸、テレフタル酸、アルケニルこはく
酸などが例示される。これらのポリエステルアクリレー
トオリゴマーは、最初にポリエステル化合物を作り、次
にポリエステル化合物をアクリル化して製造されてい
る。
【0036】エポキシアクリレートオリゴマーは、種々
のエポキシ樹脂オリゴマーのエポキシ基をアクリル酸で
エステル化した公知のものが使用できる。エポキシ樹脂
オリゴマーの構成としては、ビスフェノールAとエピク
ロルヒドリンからなるビスフェノールA型、フェノール
ノボラックとエピクロルヒドリンからなるノボラック型
および脂環型のものが例示される。
【0037】ウレタンアクリレートオリゴマーは、トリ
レンジイソシアネートのようなイソシアネート基(−N
CO)を有するものに、ヒドロキシル基を有するアクリ
レートを反応させたものが挙げられる。分子の中央部を
1,6−ヘキサンジオールやエチレングリコール等のジ
オールとアジピン酸からなるポリエステルにし、その両
端をイソシアネート基を配置しアクリル化したものなど
が例示される。
【0038】これらの各アクリル系オリゴマーは本発明
で用いる接着剤組成の主成分となるものであるが、その
特徴は一般的には次のとおりである。すなわち、ポリエ
ステルアクリレートの特徴は、他のオリゴマーとの相溶
性がよく、比較的低粘度のものが得られ易く、反応性が
高く、また嫌気性が強いことである。エポキシアクリレ
ートの特徴は、硬化性に優れ、硬度と柔軟性を兼ね備え
ており、かつ酸素に対しては比較的影響を受け難い。ウ
レタンアクリレートは硬化性に優れ、強靭な硬化膜が得
られる。
【0039】アクリル系オリゴマー主成分の含有量は、
各オリゴマー成分の種類や含有量により一概に限定でき
ないが、一般的には50重量%以上含有させることが好
ましい。
【0040】これらのアクリレートオリゴマーを主成分
とする接着剤は、本発明の効果をよりよく発揮させるた
めには、極性ビニルモノマーを5〜50重量%添加した
ものが使用される。極性ビニルモノマーは、主成分の各
アクリレートオリゴマーによく適合して、微小の転写残
りや欠陥のない安定な液晶高分子層の連続転写を可能に
し、かつ硬化接着剤層を含む積層長尺フィルムの巻取り
ができるように被着物との密着性の向上や柔軟な硬化性
を与えるなどの改良を実現して、本目的を達成してい
る。極性ビニルモノマーは低粘度であり、溶解性が大き
いので、各アクリル系オリゴマーの粘度調整ができるこ
と、また共重合性に優れ、硬化物に柔軟性を付与した
り、被着部との密着性向上作用を与え、さらには硬化後
は硬化物の構造の一部となり無溶剤化できるなどの特徴
がある。
【0041】本発明において使用できる極性ビニルモノ
マーは、分子中に1つのビニル基を有する極性モノマー
である。具体的には、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリ
ロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリルアクリレ
ート、テトラヒドロフルフリル誘導体のアクリレート、
N−ビニル−2−ピロリドンなどが例示される。これら
の極性ビニルモノマーは単独または2種類以上を混合し
て用いても差し支えないが、その含有量は接着剤中5〜
50重量%が本発明の効果を発揮させるために必要であ
る。極性ビニルモノマーのうちで、本発明の効果を顕著
に発揮するものとしては、N−ビニル−2−ピロリドン
が挙げられる。極性ビニルモノマーとしてN−ビニル−
2−ピロリドン単独で用いてもよく、また他の極性ビニ
ルモノマーと併用しても差し支えない。
【0042】アクリル系オリゴマーを主成分とし、N−
ビニル−2−ピロリドンを含む極性ビニルモノマーから
なる接着剤を使用することにより、安定な連続転写に必
要な液晶高分子および透光性基板に対する接着力が大幅
に向上すると共に、強靭でかつ適度の柔軟性を兼ね備え
た硬化物が形成されることによって、転写時の微小の転
写残りや剥がれ等の欠陥を全く起こさない連続的な転写
が可能となり、また転写時および巻取り時の硬化接着剤
のクラックの発生も皆無にすることができる。さらにこ
の連続転写法により製造された光学素子は、冷熱サイク
ル、耐熱、耐湿熱などの過酷な信頼性試験の条件を満た
すことができる。
【0043】本発明において使用する接着剤の粘度は、
25℃で5〜10,000cp、好ましくは10〜2,0
00cpである。
【0044】本発明のポリエステルアクリレート、エポ
キシアクリレート、ウレタンアクリレートなどの各アク
リル系オリゴマーおよびN−ビニル−2−ピロリドンな
どの極性ビニルモノマーからなる接着剤の硬化方法とし
ては、連続的に硬化処理を行う必要があること、また液
晶高分子の光学性能を維持するために液晶高分子の配向
を乱さないTg以下の温度で行う必要があることから、
極めて短時間で、かつ比較的低温度で硬化させることが
できる光硬化または電子線硬化などが用いられる。光硬
化法の例としては紫外線硬化が具体的に挙げられる。
【0045】紫外線硬化においては、光開始剤を加えた
接着剤とする必要があるが、接着剤の組成としては、紫
外線硬化用と電子線硬化用とは同じでよい。紫外線硬化
の光開始剤としては公知のものが使用でき、ベンゾイン
アルキルエーテル、ベンゾフェノン、アセトフェノン、
ミヒラーケトン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイ
ルベンゾエート、チオキサントン類あるいはアミン併用
のベンゾフェノン類などが例示される。これらの使用量
は接着剤に対して0.1〜10重量%でよい。硬化の程
度は特に限定されるものではなく、未反応アクリル系オ
リゴマーや極性ビニルモノマーがにじみ出ない程度であ
ればよい。硬度としては6B以上が望ましいが、実用的
な接着力が実現していれば、特に限定されるものではな
い。
【0046】次に、以上に述べた紫外線または電子線硬
化型の接着剤を用いて、配向基板上に形成された液晶高
分子層を透光性基板に連続転写するプロセスを説明す
る。すなわち(1)長尺の配向基板フィルム上に形成さ
れた液晶高分子層または長尺の透光性基板フィルムの少
なくとも一方への接着剤の塗布、(2)接着剤塗布後の
長尺の両基板フィルムの貼合わせ、(3)貼合わせ後の
積層フィルムへの紫外線または電子線の照射による接着
剤の硬化、(4)接着剤の硬化後に配向基板フィルムの
みの剥離、(5)長尺の透光性基板フィルム側に転写さ
れた液晶高分子層/硬化接着層/透光性基板からなる長
尺の光学素子フィルムの巻取りなどの工程からなる。こ
れらの工程を0.5〜100m/minの範囲の速度で連続的
に行う。
【0047】長尺の配向基板フィルム上に形成された液
晶高分子層または長尺の透光性基板フィルムの少なくと
も一方への接着剤の塗布方法としては、一般に行われて
いる連続フィルムへの塗布手段であるロールコート法、
カーテンコート法、スロットコート法などのダイコート
法、スプレーコート法などを用いることができ、特に限
定されない。塗布する接着剤の厚みは0.5〜200μ
m、好ましくは1〜100μmであり、200μm以上
に厚いと接着剤の硬化速度が減少するため硬化が不十分
となることもあるので好ましくない。
【0048】接着剤を塗布した後の両基板フィルムの貼
り合わせでは、一般に行われているラミネート手段によ
り行なえるが、貼合わせ時に気泡の混入を徹底的に排除
するように行う。塗布および貼合わせ後の接着剤層の硬
化は、用いる接着剤に応じて適宜の条件により、紫外線
または電子線を長尺の貼合わせフィルムの幅方向に均一
に照射することにより行うことができる。
【0049】接着剤層の硬化後、配向基板フィルムのみ
を連続的に剥離することにより、配向基板フィルム上に
形成された液晶高分子層を硬化接着剤層を介して透光性
基板フィルム側に連続的に転写し、巻取りロールに巻取
る。この連続的な転写工程は極めて重要であり、その使
用装置、配向基板フィルムの剥離方法、用いた接着剤硬
化物の透光性基板フィルムおよび液晶高分子への接着性
能、硬化度などの因子が大きく影響を及ぼす。連続転写
部としては、両基板フィルムを振動によるバタツキ、よ
じれなどを生じさせないで常に一定でかつ安定な状態を
保持して、連続的に分離できる設備を用いて処理するこ
とによって、液晶高分子層を透光性基板フィルム側に転
写できる。その際、転写部の条件が不適切で両基板フィ
ルムの分離が不安定であると、液晶高分子層の転写がで
きず、配向基板フィルム側に一部が残ってしまい、不完
全な転写となる。またこれらの条件などが適切であった
としても、用いる接着剤硬化物の接着性能や硬度などが
適切でない場合には、微小な転写残りや、転写時の液晶
高分子層のクラックや剥がれ、また硬化接着剤層のクラ
ックなどの欠陥を発生させる。さらに、欠陥のない安定
な連続転写が行えたとしても、接着剤が不適切であると
硬化接着剤を含む転写フィルムの巻取り時に硬化接着剤
層にクラックが入り欠陥となる。上記のように、この連
続転写プロセスでは用いる接着剤の性能が連続転写結果
に極めて著しい影響を有する。以上の連続転写を、本発
明の接着剤を用いることによって、転写ミス、クラッ
ク、剥がれなどの欠陥がなく、安定して行うことが可能
となり、また製造された光学素子は十分な信頼性を有す
るものである。
【0050】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳述する。な
お実施例において用いた分析法、試験法は以下のとおり
である。 <対数粘度の測定>ウッベローデ型粘度計を用いて、フ
ェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重量比:60
/40)の中で、30℃において粘度を測定した。 <光学素子の信頼性試験>透光性基板フィルムに転写さ
れた液晶高分子層からなる光学素子を150×200m
mのサイズにカットし、液晶高分子層の側に粘着剤付き
の偏光板を貼付けた後、厚み2mmでサイズ200×3
00mmの青板ガラスに、光学的等方性のアクリル系粘
着剤を介して透光性基板側の面を貼付けた。次に、65
℃、5kg/cm2の条件下で40分間オートクレーブ処理し
て、信頼性試験サンプルを作製した。次の信頼性試験を
行ない、剥がれ、クラックおよび液晶高分子層の変形な
どについて観察した。 信 頼 性 試 験 高 温 80℃×500h 高温高湿 60℃、90%RH×500h 低 温 −30℃×500h サイクル −30℃×0.5h〜60℃×0.5h:
15サイクル
【0051】<液晶高分子溶液の調製例1>94.0重
量%のベースポリマー(化49、対数粘度=0.18、
Tg=95℃)および6.0重量%の光学活性ポリマー
(化50、対数粘度=0.13)からなる混合ポリマー
を含む15重量%のフェノール/テトラクロロエタン
(60/40重量比)溶液を調製した。
【化49】
【化50】 なお、各化学式の角括弧([ ])の右下の数値は、ポ
リマーの各構成単位のモル%を示す(以下同じ)。
【0052】<液晶高分子溶液の調製例2>次の化51
で示すポリマー(対数粘度=0.18、Tg=95℃)
を含む15重量%のフェノール/テトラクロロエタン
(60/40重量比)溶液を調製した。
【化51】
【0053】<配向基板フィルム上への液晶高分子層の
形成例>MD方向に対して平行または斜め方向にラビン
グ処理した、幅500mm、厚み100μmの長尺のポ
リエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリフェニレ
ンサルファイドの各フィルムのラビング処理面上に、ロ
ールコーターを使用して液晶高分子溶液の調製例1およ
び2の溶液を400mm幅で塗布した後乾燥し、次に2
20℃で15分間加熱処理して液晶高分子を配向させ、
さらに室温まで冷却して液晶構造を固定化した。このよ
うにして表1に示す長尺の液晶高分子層/配向基板フィ
ルムP−1からP−5を調製した。
【0054】
【表1】
【0055】<実施例1〜7>図1に示すような基板フ
ィルムの繰出し工程1、接着剤塗布工程2、貼合せ工程
3、紫外線、電子線による接着剤硬化工程4、両基板の
貼合せフィルムの分離工程5および配向基板、製品フィ
ルムの巻取り工程6の各工程からなる装置を使用して、
接着剤を用いた連続転写法による光学素子の製造を行っ
た。配向基板フィルム上に液晶高分子層を形成したフィ
ルム7(各P−1からP−5)を繰出し域Bに、透光性
基板フィルム8として500mm幅、厚み80μm、長
さ500mのトリアセチルセルロースフィルムまたはポ
リエーテルスルホンフィルムを繰出し域Aにセットし、
接着剤として市販の紫外線硬化型接着剤UV−A、UV
−B、電子線硬化型接着剤EB−Aを用いて、P−1か
らP−5のフィルムの液晶高分子層上にグラビアコート
法により幅400mm、厚さ10μmの塗布を行った。
接着剤、UV−A、UV−BおよびEB−Aの種類と性
状については表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】接着剤を塗布した後、透光性基板フィルム
8を塗布接着剤層の上に空気を巻き込まないよう注意し
て貼合わせた後、透光性基板フィルム8の上から接着剤
の種類に対応して、紫外線または電子線を所定量照射し
て接着剤層の硬化を行った。次に貼合わせた配向基板/
液晶高分子層/硬化接着剤層/透光性基板からなる積層
フィルムから配向基板フィルムを剥離し、液晶高分子層
を硬化接着剤層を介して透光性基板フィルム8の側へ転
写させ巻取った。上記の一連の操作を10m/minの速度
で連続的に実施した。転写結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】<実施例8〜12>接着剤として紫外線硬
化型接着剤UV−C、D、EおよびFを用いて塗布厚さ
を5μmとし、処理速度を30m/minとした。その他は
実施例1〜7の方法に準じて、光学素子の製造を行っ
た。接着剤UV−C、D、EおよびFの種類と性状につ
いては表4に、また転写結果については表5に示す。
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】<比較例1>配向基板フィルム上に液晶高
分子層を形成したフィルムP−1を繰出し域Bに、透光
性基板フィルム8として500mm幅、厚み80μm、
長さ500mのトリアセチルセルロースフィルムに市販
のアクリル系粘着剤を約50μmの厚さ、幅40cmに
塗布したフィルムを繰出し域Aにセットし、保護フィル
ムを剥取りつつ、液晶高分子層がアクリル系粘着面と密
着して空気を巻き込まないように注意しながら貼合わせ
た。次に、貼合わせた配向基板/液晶高分子層/粘着剤
層/トリアセチルセルロースフィルムからなる積層フィ
ルムから、配向基板フィルムを剥離し、液晶高分子層を
粘着剤層を介してトリアセチルセルロースフィルム上へ
転写させた。この一連の操作を10m/minの速度で連続
的に実施し、直径6インチのコアに巻取った。なお、図
1の装置において、接着剤塗布工程2と硬化工程4は省
略した。液晶高分子層の99%は転写されたが、1%弱
の小面積の転写残りが点在しているのが認められ、液晶
表示素子用の光学素子としては不合格であった。また、
信頼性試験の結果、高温高湿試験において液晶高分子層
に微小な変形が全面にわたって起こっていることが判っ
た。
【0063】<比較例2>配向基板フィルム上に液晶高
分子層を形成したP−5フィルムを繰出し域Bに、透光
性基板フィルムとして500mm幅、厚み80μm、長
さ500mのトリアセチルセルロースフィルムに市販の
アクリル系粘着剤を約25μmの厚さ、幅400mmに
塗布したフィルムを繰出域Aにセットして、比較例1と
同条件で実施した。その結果は、比較例1と殆ど同様に
転写残りが存在し、光学素子としては不合格であった。
また、信頼性試験についても、高温高湿試験で液晶高分
子層に微小な変形が全面にわたった発生した。
【0064】<比較例3>配向基板フィルム上に液晶高
分子層を形成したP−1フィルムを繰出し域Bに、透光
性基板フィルムとして500mm幅、厚み80μm、長
さ500mのトリアセチルセルロースフィルムを繰出し
域Aにセットし、接着剤として常温硬化型のエポキシ樹
脂とアミン系硬化剤からなる接着剤(油化シェルエポキ
シ社製、エピコート828:100部、ジエチレントリ
アミン:8部)を幅400mmに塗布した後、トリアセ
チルセルロースフィルムを空気が巻込まないように貼合
わせて製品巻取りロールに巻取った。この操作を1m/mi
nの速度で60分間実施した。製品巻取りロールに巻取
った配向基板/液晶高分子層/エポキシ樹脂接着剤/ト
リアセチルセルロースフィルムからなる積層フィルムを
常温で4日間静置して、エポキシ樹脂接着剤を硬化させ
た。エポキシ樹脂接着剤の硬化後、積層フィルムを観察
したところ、硬化したエポキシ樹脂層に細かいクラック
がほぼ全面にわたって発生していた。
【0065】<比較例4〜7>接着剤として紫外線硬化
型接着剤UV−H、I、JおよびKを用いた他は、実施
例1〜7の方法に準じて光学素子の製造を実施した。接
着剤UV−H、I、JおよびKの種類を表6に、また転
写結果について表7および表8に示す。
【0066】
【表6】
【0067】
【表7】
【0068】
【表8】
【0069】
【発明の効果】本発明の製造法により、長尺の配向基板
フィルム上に形成された液晶高分子層を、長尺の透光性
基板フィルム上に、微小な欠陥も発生させずに連続的に
転写し、かつ巻取りを行うことが可能となり、長尺の光
学素子製品の工業的な製造方法が確立された。さらに、
得られた光学素子は十分な信頼性を有するものである。
また、光学素子の連続的な製造を安定して行うことによ
り、製品の生産性や経済性を飛躍的に向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続転写装置の略示側面図である。
【符号の説明】
1 フィルム繰出し工程 2 接着剤塗布工程 3 貼合せ工程 4 接着剤硬化工程 5 転写分離工程 6 巻取り工程 7 液晶高分子層を形成したフィルム 8 透光性基板フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−168613(JP,A) 特開 平4−57017(JP,A) 特開 昭61−22339(JP,A) 特開 昭61−257904(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13 101 G02F 1/1333

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配向基板上に形成された液晶高分子層を
    透光性基板上に連続的に転写するに際し、光硬化型また
    は電子線硬化型のアクリル系オリゴマーを主成分とする
    無溶剤型接着剤を、該液晶高分子層と透光性基板との間
    に塗布し、透光性基板上から光または電子線を照射して
    該接着剤を硬化させることにより該液晶高分子層と透光
    性基板とを接着し、該接着された液晶高分子層を配向基
    板から剥離することにより、該液晶高分子層を透光性基
    板上に転写することを特徴とする光学素子の製造法。
  2. 【請求項2】 前記アクリル系オリゴマーを主成分とす
    る接着剤が、極性ビニルモノマーを5〜50重量%含有
    することを特徴とする請求項1記載の光学素子の製造
    法。
  3. 【請求項3】 前記極性ビニルモノマーがN−ビニルピ
    ロリドンである請求項1あるいは2に記載の光学素子の
    製造法。
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