JPH0624185Y2 - 二重クランク式型締装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は射出成形機のクランク式型締装置に関する。

従来技術 射出成形機の型締機構に関して、クランク式は第２図の
ように、駆動装置に連結された回転体１の周縁部と可動
プラテン２がコンロッド３で連結されている。そのた
め、型締作動の初期にスピードが大きく、後期はスピー
ドが小さくなってその分型締力が増大するという、型締
作動として理想的な速度・力曲線を得られる。また、高
速の型締作動を実現できる特性を有している。

しかし、従来のクランク式はクランク機構が一個か、複
数を備えても同期して同じ方向へ回転するものであった
から、前記の図のように、型締装置４の固定プラテン５
に対しタイバー６をガイドとして押圧される可動プラテ
ン２には、コンロッド３が与える押圧作用力Ｆから該プ
ラテン２の押圧中心点Ｐを通り型締装置４の前後方向に
平行な軸線ａに対し側方に向かう分力Ｆｓ（側方分力）
が常に働いている。この側方分力Ｆｓは、前記の点Ｐを
仮想中心とするモーメントＭを生じ、可動プラテン２が
傾斜する傾向にある。

なお、押圧中心点Ｐは可動プラテン２が傾斜することな
く固定プラテン５に向かって押圧移動され得る設計上の
一点である。

そのため、可動プラテン２が移動中にタイバー６との間
でスティックスリップを起こして振動したり、タイバー
６との摺動面となるブッシュ７を損傷したりする。

さらに、可動プラテン２の振動や傾斜は固定側金型に対
する可動側金型の位置誤差となり、固定プラテン５との
平行度が悪くなるので、金型タッチや型開きの際に金型
を損傷したり、金型の縁で成形品に傷を付けてしまうこ
とがある。

そのため、レンズやレーザーディスク基板のような特に
精密を要する成形や、あるいは傾斜、振動の影響が大き
く現れる大型機ではクランク式の型締構造がほとんど採
用されていない。

考案が解決しようとする課題 この考案は、クランク式の型締機構であって、型締作動
時、可動プラテンに振動や傾斜が生じない型締装置の提
供を課題とする。

課題を解決するための手段 型締装置における可動プラテンの押圧中心点を通り、型
締装置の前後方向に平行な面と軸線を設定する。

前記軸線に関し、周縁にギア歯を形成した同径の回転体
を周縁を噛合させて前記面内で対称に配置し、それぞれ
の回転体の周縁部にクランクロッドの一端を、前記軸線
に関し対称な位置へ回動自在に取付ける。

これらクランクロッドの他端を前記の面内において可動
プラテンに回動自在に連結する。

前記回転体の一方に駆動装置を連結する。

実施例 第１，３図において、クランク式の型締装置４は回転体
１ａ，１ｂ、コンロッド３ａ，３ｂ、可動プラテン２、
固定プラテン５及びこれらを結合したタイバー６などを
備える。

回転体１ａ，１ｂは同径の円盤で外周にギアにおけるの
と同様のギア歯８が形成されており、可動プラテン２の
押圧中心点Ｐを通る前後方向に平行な面ｂ（第３図）に
おいて前記中心点Ｐを通る軸線ａに関して対称に配置さ
れて相互に噛合している。そして、一方の回転体１ｂは
連動機構９を介してサーボモータ１０に連結されてい
る。

固定プラテン５、可動プラテン２などの構造は従来のも
のと同様であり、図示していないリアプラテンと固定プ
ラテン５間を結合したタイバー６に可動プラテン２が前
後方向へ移動可能に設けられている。

コンロッド３ａは一端が回転体１ａの周縁部に設けられ
た軸１１ａに回動可能に連結され、他端は可動プラテン
２の背面に形成されたブラケット１２ａに回動可能に連
結されている。コンロッド３ｂに関しても同様であり、
一端が回転体１ｂの周縁部に設けられた軸１１ｂに回動
可能に連結され、他端はブラケット１２ｂに回動可能に
連結されている。

そして、前記の軸１１ａ，１１ｂ及びブラケット１２
ａ，１２ｂはそれぞれ前記の前後方向に平行な面ｂ内で
軸線ａに関し対称な位置に配置されている。すなわち、
回転体、コンロッド、ブラケットからなる一組のクラン
ク機構は二組が軸線ａに関して対称に配置され、二重の
クランク機構を構成している。

射出成形機が備えた制御装置から型締め指令があるとサ
ーボモータ１０が駆動され、運動機構９を介して一方の
回転体１ｂが駆動される。するとこれに噛合した他方の
回転体１ａも同時に、ただし逆方向に回転し、コンッド
３ａ，３ｂは可動プラテン２を前後に移動する。

このとき、コンロッド３ａ，３ｂが可動プラテン２を押
圧する場合についてみると、ブラケット１２ａ，１２ｂ
が回転体１ａ，１ｂを含む面内にあって軸線ａに関し対
称に配置されているから、コンロッド３ａ，３ｂから可
動プラテン２に伝達される押圧作用力Ｆａ，Ｆｂも軸線
ａに関して対称であり、Ｆａ，Ｆｂの側方分力Ｆｓａ，
Ｆｓｂはすべて相互に相殺され、従来のようなモーメン
トＭは発生しない。

したがって、可動プラテン２は前記の押圧作用力Ｆａ，
Ｆｂの軸線ａに沿った分力のみで前方に押される。可動
プラテン２が後退する時も同じである。

第４図は他の実施例を示し、回転体１ｂ（１ａ）の外周
に形成したギア歯８にサーボモータ１０からの出力ギア
１３が直接に噛合した構成であって、構造が簡素になる
とともに制御装置からの指令に対するレスポンスが良
い。

考案の効果 可動プラテンが移動するとき、傾斜せず滑らかに移動す
る。したがって、可動プラテンにおけるブッシュやタイ
ロッドを傷めない。

また、振動や可動側金型の傾斜が生じないから、型締機
構として本来優れた性能を持っているクランク式の機構
を、精密成形用や大型の射出成形機に用いることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は正面図、第２図は従来例の正面図、第３図は平
面図、第４図は他の実施例の平面図である。 １，１ａ，１ｂ…回転体、２…可動プラテン、３，３
ａ，３ｂ…コンロッド、４…型締装置、５…固定プラテ
ン、６…タイバー、７…ブッシュ、８…ギア歯、９…連
動機構、１０…サーボモータ、１１ａ，１１ｂ…軸、１
２ａ，１２ｂ…ブラケット、１３…出力ギア。 Ｐ…押圧中心点、ａ…中心軸、ｂ…前後方向に平行な
面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】可動プラテンの押圧中心点を通り前後方向
   に平行な面において、周縁にギア歯を形成した同径の回
   転体を、前記押圧中心点を通る軸線に関して対称に配置
   して周縁を噛合させ、それぞれの回転体にクランクロッ
   ドの一端を、前記軸線に関し対称な位置へ回動自在に取
   付け、これらクランクロッドの他端を可動プラテンに回
   動自在に連結し、前記回転体の一方に駆動装置を連結し
   たことを特徴とする二重クランク式型締装置。