JPH0624184Y2 - 射出成形機の金型装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、合成樹脂材料の射出成形機における金型装
置に関するものであり、特に、可動型板の上下動を利用
して可動型を水平摺動させる金型装置に係わるものであ
る。

〈従来技術〉 一般に、合成樹脂材料の射出成形機における金型装置と
して、型開きされた型板に対して可動型が取付けられた
スライドテーブルを摺動自在に載置して、可動型を機枠
外に張り出させて、成形品の取出し作業やインサート物
の挿入を行うものがよく知られている。そして、かかる
金型装置においては、従来、型開閉は型開閉シリンダー
によって行い、スライドテーブルの水平移動はこれとは
別の油圧シリンダー等の駆動源によって行うことが普通
であった。

〈考案が解決しようとする問題点〉 上記従来技術においては、型開閉とスライドテーブルの
作動とを別々の駆動源によって行うものであるので、装
置全体が大型化かつ複雑化するとともに、コスト面での
不利点があるうえに、型開閉とスライドテーブルの水平
移動との連動制御を行うための特別の制御装置が必要に
なるという問題点があった。

〈問題点を解決するための手段〉 この考案は、上記従来技術に基づく金型装置の構造上の
制約による装置の大型化、複雑化等の問題点に鑑み、可
動型板にスライドテーブルを水平摺動するためのガイド
を設け、可動型板の型開き位置から固定型板の位置にま
で延在するカム板に、可動型板の上昇に伴ってスライド
テーブルを金型中心軸方向に移動させるように固定型板
方向に沿って進むにつれて金型中心軸方向寄りに変位す
る形状のカムを形成し、前記スライドテーブルに設けた
カムフォロアを該カムに係合されることにより、前記問
題点を解決せんとするものである。

〈作用〉 この考案の構成は、型開き状態にあっては、カム板のカ
ムによってスライドテーブルが可動型板上を摺動させら
れて機枠外に張り出されていて、可動型からの成形品取
出し作業やインサート物挿入作業を行い、型閉じのため
の可動型板の上昇によって、可動型板上のスライドテー
ブルのカムフォロアがカムに規制され金型中心軸方向寄
りに水平移動して、スライドテーブル上の可動型と固定
型とが、それらの中心軸を整合させた状態で型閉じされ
るが、型開き状態にあっては、これとは逆に、可動型板
の下降に伴ってスライドテーブルが可動型板上を機枠外
方向に張り出すように作用するものである。

〈実施例〉 次に、この考案の実施例について図に基づいて説明すれ
ば以下の通りである。

第１図において、フレーム１の上方には、支柱２によっ
て固定型板３が架設されていて、その下面には、固定型
４が取付けられている。フレーム１と固定型板３の間に
は、可動型板５が支柱２によって上下摺動自在に支持さ
れており、フレーム１に取付けられた型締シリンダー６
及びブースターシリンダー７のピストンロッドが該可動
型板５に連結されている。可動型板５上には、ガイド８
が水平方向に布設されるとともに、スライドテーブル９
が載置されていて、該スライドテーブル９は前記ガイド
８によって案内されて可動型板５上を水平方向摺動自在
であって、機枠外にまで張り出し可能である。そして、
該スライドテーブル９上には、可動型10が取付けられて
いて、スライドテーブル９と一体的に固定型４の直下の
金型中心軸上で整合する位置と機枠外の位置との間を移
動可能である。

フレーム１と固定型板３にわたってカム板11が設けられ
ていて、該カム板11には、型開きされた可動型板５の位
置から固定型板３の位置にわたってカム12が形成されて
いて、該カム12は下方から固定型板３の方向に沿って進
むにつれて機枠外から金型中心軸（第２図でＸで示され
る）方向寄りに変位した形状となっている。そして、ス
ライドテーブル９に設けられたカムフォロア13が該カム
12に係合していて、可動型板５の上昇に伴ってスライド
テーブル９は機枠外から金型中心軸(X)方向寄りに移動
するようになっている。

上記構成における作動を第２図〜第４図を参照して説明
すると、第２図に示されるように、可動型板５が型開き
されて下方位置にあるときは、スライドテーブル９のカ
ムフォロア13はカム12の下方部分に規制され、これによ
り、可動型10が可動型板５上から張り出されて、機枠外
に位置している。この位置で、可動型10から成形品を取
出したり、インサート物を挿入する作業が行われる。

次いで、型閉じを行うために可動型板５を上昇させる
と、第３図に示すように、可動型板５上のスライドテー
ブル９のカムフォロア13がカム12によって規制されて動
き、スライドテーブル９がガイド８に案内されて金型中
心軸(X)方向寄りに移動する。

引き続いて型閉じのための可動型板５の上昇によって、
第４図に示すように、スライドテーブル９は更に金型中
心軸(X)方向寄りに進んで、型閉じ終了時点では、スラ
イドテーブル９上の可動型10が固定型４の直下に位置し
て、金型中心軸(X)上で両者が整合するものである。

なお、型開き時には、上記と逆の動作によってスライド
テーブル９が機外に張り出されて、第２図の状態に戻
る。

〈効果〉 上記のように、この考案によれば、固定型板に対して上
下動する可動型板上にガイドを水平方向に設けるととも
に、該ガイド部材に案内されて水平方向に摺動するスラ
イドテーブルを載置し、該スライドテーブル上に可動型
を取付け、型開きされた可動型板位置から固定型板位置
にわたって、固定型板方向に進むに従って金型中心軸方
向寄りに変位するカムを設けて、スライドテーブルに設
けたカムフォロアを該カムに係合することによって、型
開閉時の可動型板の上下動を利用してスライドテーブル
を機枠外の位置と金型中心軸方向の位置との間で摺動さ
せるので、型開き時には、カムを利用して自動的にスラ
イドテーブルが張り出されて可動型が機枠外に位置する
ようになるので、スライドテーブルを作動するための特
別の駆動装置を必要とすることがなく、その分だけ装置
の小型化、簡略化が図れ、しかも故障することがないと
いう効果がある。加えて、カムの形状を変えることによ
って、各種の金型に対応した動作を得ることができると
いう効果もある。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施例を示すものであり、第１図は斜視
図、第２図〜第４図は作動説明図である。 １…フレーム、３…固定型板 ４…固定型、５…可動型板 ８…ガイド、９…スライドテーブル 10…可動型、11…カム板 12…カム、13…カムフォロア

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】固定型４を取付けた固定型板３と、該固定
   型板３に対して上下動する可動型板５と、可動型10が取
   付けられて該可動型板５上に摺動自在に載置されたスラ
   イドテーブル９と、前記可動型板５に設けられて該スラ
   イドテーブル９を水平方向に案内するガイド８と、前記
   可動型板５の型開きされた位置から固定型板３の位置ま
   で延在するカム板11と、該カム板11に形成されて前記ス
   ライドテーブル９に設けたカムフォロア13が係合される
   カム12とから成り、該カム12は、可動型板５の上昇に伴
   ってカムフォロア13と一体的にスライドテーブル９を金
   型中心軸方向に水平移動させるように固定型板３方向に
   沿って金型中心軸方向寄りに変位した形状であることを
   特徴とする射出成形機の金型装置。