JPH06240617A - 構造物の補修方法 - Google Patents

構造物の補修方法

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JPH06240617A
JPH06240617A JP3176593A JP3176593A JPH06240617A JP H06240617 A JPH06240617 A JP H06240617A JP 3176593 A JP3176593 A JP 3176593A JP 3176593 A JP3176593 A JP 3176593A JP H06240617 A JPH06240617 A JP H06240617A
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weight
repairing
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acid
structure according
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JP3176593A
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Teruo Sugawara
照雄 菅原
Kazuyuki Kawamura
和幸 川村
Katsunori Sasaki
克典 佐々木
Fumio Tashiro
文夫 田代
Takeo Kojima
武男 児島
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Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【効果】 優れた強度と付着力を有し補修性能に顕著に
優れ、補修期間の大幅な延長を図ることが可能である。 【構成】 構造物の空隙部に酸化剤を注入して発泡させ
た後、空隙部の泥土を除去し、次いで、一般式(I) 【化1】 (但し、Rは水素又はメチル基を表し、R′は炭素原子
数2〜12のアルキレン基又は炭素原子数が少なくとも
2のアルキレン鎖の2つ以上のセグメントが酸素原子を
介して結合している総炭素原子数が4〜12のオキサア
ルキレン基を表し、R″は 【化2】 を表し、nは0又は1である)で示される化合物を含有
する補修材料を注入、含浸させることを特徴とする構造
物の補修方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアスファルト舗装、コン
クリート舗装等の構造物の補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アスファルト舗装、水工アスファ
ルト等のアスファルト、コンクリート舗装等の構造物の
亀裂等の空隙部の補修については、 1) 空隙部を切削して舗装を打ちかえる工法、 2) 空隙部に加熱したアスファルトを注入する工法、 3) 一時的にシールするためアスファルト乳剤を注入
する工法などがとられてきた。 1)の工法では冬期間に再度亀裂が発生する。2)の工
法では粘度が高いため亀裂の深度まで注入ができず、ま
た注入したアスファルトと舗装体の付着が得られず応力
の伝達が不可能であり、多くの場合低温で再度亀裂部が
拡大され、効果の持続性は得られない。3)の工法では
乳剤の分解時の収縮が大きく、実際には亀裂の充填はで
きない。特公昭58−30962号公報にはコールター
ルに石油樹脂、キシレン樹脂、軟質骨材等を配合したバ
インダーが提案されているが、この材料は低温時におけ
る付着性に劣る傾向にある。このようにして実際にはほ
とんど有効な方策はないとされ、一時的に水の浸入を防
ぐ程度の効果しか期待できず、冬期間に再度亀裂が発生
するか、亀裂が拡大して春先に補修を繰り返すのが通例
であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、特定の
工程と特定の補修材料を組み合わせて用いると、アスフ
ァルト舗装、コンクリート舗装等の構造物の補修に著し
く優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、構造物の
空隙部に酸化剤を注入して発泡させた後、空隙部の泥土
を除去し、次いで、一般式(I)
【化3】 (但し、Rは水素又はメチル基を表し、R′は炭素原子
数2〜12のアルキレン基又は炭素原子数が少なくとも
2のアルキレン鎖の2つ以上のセグメントが酸素原子を
介して結合している総炭素原子数が4〜12のオキサア
ルキレン基を表し、R″は
【化4】 を表し、nは0又は1である)で示される化合物を含有
する補修材料を注入、含浸させることを特徴とする構造
物の補修方法に関する。
【0005】本発明において酸化剤としては、水溶性の
無機系過酸化物、過硫酸塩、過塩素酸塩などが用いられ
る。この中では、無機系過酸化物が、その水溶液の周辺
環境に与える影響が小さく好適であり、その中でも特に
過酸化水素(H22)水が好ましい。
【0006】本発明の補修方法は、アスファルト舗装の
空隙部、コンクリート舗装の目地部および空隙部等に適
用できる。本発明において空隙部とは、ひびわれ、排水
性舗装の空隙部など、構造物の空隙部すべてを意味して
いる。また構造物としては通常の道路舗装(高速道路、
国道、都道府県道、市町村道)、空港における滑走路、
誘導路、駐機場、公園、学校内の舗装、ダムやヤード等
の土木構造物全般などがあげられる。前記空隙部は、酸
化剤を適用する前に、ダイアモンドカッター等を用いて
切削し、空隙部をさらに広げると、その後の工程におけ
る泥土の除去効果に優れるので好ましい。
【0007】酸化剤は構造物のひびわれに沿って、注入
するだけで良い。注入後、酸化剤が有機物と反応して分
解を始め発泡するが、発泡時間は通常60分以内であ
る。発泡終了後、泥土を水又は高圧水で除去する。状況
によっては、バキューム(吸水)装置、圧縮空気等によ
り余分な水分を取り除く。酸化剤の注入量は、詰まって
いる泥土の量に比例するが、上記作業を2〜3回繰り返
して行うことが好ましい。泥土の除去後、構造物の空隙
部に特定の補修材料を注入、含浸する。前記工程により
泥土を除去した後に特定の補修材料を注入、含浸するこ
とにより、構造物に、顕著に優れた強度、耐久性等を付
与することができる。
【0008】本発明で使用する補修材料は、前記の一般
式(I)で示される化合物を必須成分として含むもので
ある。この化合物の例としては、例えばジシクロペンテ
ニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオ
キシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシ
プロピルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロ
ピルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレー
ト、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジエチレング
リコールモノジシクロペンテニルエーテルのアクリル酸
エステル又はメタクリル酸エステル、トリシクロ〔5.
2.1.02'6〕デカ−8−イルアクリレート、トリシ
クロ〔5.2.1.02'6〕デカ−9−イルアクリレー
ト、トリシクロ〔5.2.1.02'6〕デカ−8−イル
メタクリレート、トリシクロ〔5.2.1.02'6〕デ
カ−9−イルメタクリレート、トリシクロ〔5.2.
1.02'6〕デカ−8−イルオキシメタクリレート、ト
リシクロ〔5.2.1.02'6〕デカ−3−イルメチル
アクリレート、トリシクロ〔5.2.1.02'6〕デカ
−4−イルメチルアクリレート、トリシクロ〔5.2.
1.02'6〕デカ−3−イルメチルメタクリレート、ト
リシクロ〔5.2.1.02'6〕デカ−4−イルメチル
メタクリレート等が挙げられる。これらの化合物は公知
であり、ジシクロペンタジエンにアルキレングリコール
又はオキサアルキレングリコールを付加反応させ、生成
したアルキレングリコールモノジシクロペンテニルエー
テル又はオキサアルキレングリコールモノジシクロペン
テニルエーテルをメタクリル酸と縮合反応させるか又は
メタクリル酸メチルとエステル交換反応させること等に
よって製造することができる。このメタクリル酸又はメ
タクリル酸メチルをアクリル酸又はアクリル酸メチルで
代えることも可能である。アルキレングリコールモノア
クリレート又はアルキレングリコールモノメタクリレー
トをジシクロペンタジエンに付加反応させることによっ
ても製造することができる。
【0009】本発明で使用する補修材料は、上記一般式
(I)で示される化合物とともに、さらに、重油、アス
ファルト、乾性油、不飽和エステル、アルキド樹脂、ゴ
ム及び分子量が150以上のモノアクリレートモノマー
から選択される一種以上の成分を含むと、補修材料に可
塑性等が付与され、より良好な補修ができるので好まし
い。重油としては、石油のクラッキングにより得られる
比重0.83〜0.96の成分等が好ましく用いられ
る。アスファルトとしては比重1.02〜1.06のも
のが好ましい。乾性油としては、キリ油、べにばな油、
大豆油、タール油、脱水ヒマシ油等が用いられる。
【0010】不飽和エステルとしては、エポキシ樹脂に
不飽和一塩基酸及び必要に応じて多塩基酸を反応させた
ものが好ましい。不飽和エステルの原料として用いられ
るエポキシ樹脂としては、特に制限はなく、例えば一般
式(II)
【化5】 (式中、xは0〜15の整数を示す)で表されるものが
用いられる。この種の化合物の例としては、シェル化学
社製のエピコート828、エピコート1001、エピコ
ート1004、旭化成工業社製のAER−664H、A
ER−331、AER−337、ダウケミカル社製の
D.E.R.330、D.E.R.660、D.E.R
664等がある。
【0011】又、上記エポキシ樹脂の水素原子の一部を
ハロゲン(例えば臭素)で置換した化合物も使用でき
る。この種の化合物の例としては、東都化成社製のエポ
トートYDB−400、YDB−340、住友化学社製
のスミエポキシESB−340、ESB−400、ES
B−500、ESB−700、ダウケミカル社製DER
−542、DER−511、DER−580、油化シェ
ル社製の1045、1046、1050、DX−248
等がある。
【0012】さらに、下記一般式(III)
【化6】 (式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子
又はアルキル基を示し、xは0ないし15の整数を示
す)で示されるものを用いることもできる。この種の化
合物の例としては、ダウケミカル社製のD.E.N.4
31、D.E.N.438、シェル化学社製のエピコー
ト152、エピコート154、チバ社製のEPN113
8等がある。
【0013】又、ユニオンカーバイド社製のERL42
11、チバガイギー社製のCY208、CY221、C
Y350、XB2615、CY192、CY184等も
用いられる。尚、これらのエポキシ樹脂は、単独で又は
2種類以上併用することができる。又、作業性の改善の
為、エピービスタイプのエポキシ樹脂、フェノールノボ
ラックタイプのエポキシ樹脂、クレゾールノボラックタ
イプのエポキシ樹脂などと低粘度エポキシ樹脂とを併用
しても良い。
【0014】エポキシ樹脂に反応させる不飽和一塩基酸
としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、け
い皮酸、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕−4−デセ
ン−8又は9残基と不飽和二塩基酸残基を構成要素とし
て含む部分エステル化カルボン酸などを用いることがで
きる。部分エステル化カルボン酸の例としては、8又は
9−ヒドロキシトリシクロデセン−4−〔5.2.1.
2,6〕の1.00ないし1.20モルを無水マレイン
酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和二塩基酸の
1モルと不活性ガス気流下で70ないし150℃で加熱
して得られる不飽和二塩基酸モノエステルがある。
【0015】また、トリシクロデカジエン−4,8−
〔5.2.1.02,6〕にマレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸などの不飽和二塩基酸を硫酸、ルイス酸などの触
媒の存在下で付加して得られる不飽和二塩基酸モノエス
テルを用いることもできる。これをマレイン酸を例にし
て示すと、下記のようになる。
【化7】
【0016】また、不飽和一塩基酸の他に不飽和多塩基
酸を用いることもできるが、この場合には不飽和一塩基
酸と併用することが好ましい。不飽和多塩基酸として
は、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、無水トリメリット酸などが挙げられる。ま
た、炭素数が12個以上の二塩基酸を用いるのが好まし
く、例えばドデカン二酸、岡村製油社製のSLB−1
2、炭素数16の不飽和二塩基酸の異性体の混合物であ
る岡村製油社製のULB−20、炭素数20の飽和二塩
基酸主体の混合物である岡村製油社製のSL−20、更
に炭素数36の通称ダイマー酸と言われているトール油
脂脂肪酸を原料とする2量化脂肪酸などがある。ダイマ
ー酸の市販品としては、エンポール1022、エンポー
ル1024(エメリー社製)、バーサダイム216、バ
ーサダイム288(第一ゼネラル社製)、ハリダイマー
#200(播磨化学工業社製)などがある。
【0017】エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸などとは、
60℃ないし150℃、好ましくは70℃ないし130
℃の温度で反応させて不飽和エステルとされる。不飽和
一塩基酸と不飽和多塩基酸とが併用される場合における
両者の割合は、これらの酸成分のカルボキシル基とエポ
キシ樹脂のエポキシ基がほぼ当量となる割合で用いられ
ることが好ましい。
【0018】不飽和エステルの生成は、不飽和一塩基酸
や多塩基酸のカルボキシル基を定量し、酸価により調べ
ることが出来る。この酸価は好ましくは50以下、より
好ましくは15以下である。反応に際し、重合によるゲ
ル化を防止する為にヒドロキノン、パラベンゾキノン、
p−ターシャルブチルカテコール、ヒドロキノンモノメ
チルエーテル等の重合禁止剤を用いるのが好ましい。
又、このエステル化反応に際しては、トリメチルベンジ
ルアンモニウムクロリド、ピリジニウムクロリド等の第
4級アンモニウム塩、トリエチルアミン、ジメチルアニ
リン等の第3級アミン、塩化第二鉄、水酸化リチウム、
塩化リチウム、塩化第二錫などのエステル化触媒を用い
て反応時間を短縮することもできる。
【0019】アルキド樹脂としては、動植物油またはこ
れらの脂肪酸、多価アルコールおよび二塩基酸を縮合さ
せたものが用いられ、油長30〜80%の常乾アルキド
樹脂を用いることが好ましい。市販品としては、日立化
成工業(株)製のフタルキッド280−100(大豆油
系 油長80%)、フタルキッド483(大豆油系油長
40%)、フタルキッド468(大豆油系 油長48
%)などが好ましい。
【0020】ゴムとしては、ブタジエン重合体、イソプ
レン重合体、イソプレンとイソブチレンの共重合体及び
クロロプレン重合体から選択されるものが、アスファル
ト強度、他の材料との相溶性等に優れるので好ましい。
ブタジエン重合体としては、例えばJSR BR01、
BR21、BR31(以上、日本合成ゴム(株)製)、
ニポールBR1220、BR1220L、BR124
1、1242(以上、日本ゼオン(株)製)などがあ
る。イソプレン重合体としてはJSR IR2200、
IR2205(以上、日本合成ゴム(株)製)、ニポー
ルIR2000、IR2200L、IR2205(以
上、日本ゼオン(株)製)などがある。イソブチレンと
イソプレンの共重合体としては、ISR ブチル21
8、268、035、365(以上、日本合成ゴム
(株)製)などがある。クロロプレン重合体としては、
ネオプレンAC、AD、FB、FC、GS、GRT、
W、WHV、WRTおよびWB(以上、昭和電工・デュ
ポン(株)製)、デンカクロロプレンA−90、A−7
0、A−30、A−100、A−120、M−40、M
−100(以上、電気化学工業(株)製)、スカイプレ
ンG−40S、G−40T、G−55、Y−31、Y−
30、B−30、B−10、B−5(以上、東ソー
(株)製)などがある。
【0021】分子量150以上のモノアクリレートモノ
マーとしては、例えばメトキシ(ポリ)エチレングリコ
ール(メタ)アクリレート類がある。このものは分子量
が188から1068までのものなどが市販されてい
る。例えばNKエステルM−20G、M−40G、M−
90G、M−230Gなど(いずれも新中村化学工業
製)がある。さらに、β−メタクリロイルオキシエチル
ハイドロジエンフタレート(NKエステルCB−1、新
中村化学工業製)、β−メタクリロイルオキシエチルハ
イドロジン−サクシネート(NKエステルSA、新中村
化学工業製)、フェノキシエチルアクリレート(NKエ
ステルAMP−10G(新中村化学工業製)、PHE
(第一工業製薬製)、フェノキシジエチレングリコール
アクリレート(NKエステルAMP−20G(新中村化
学工業製)、PHE−2(第一工業製薬製)、フェノキ
シポリエチレングリコールアクリレート(NKエステル
AMP−60G、新中村化学工業製)、メトキシポリエ
チレングリコールアクリレート(NKエステルAM−9
0G、新中村化学工業製)などがある。中でも、メトキ
シ基又はフェノキシ基を有するものが好ましい。なお、
分子量150未満では、優れた補修効果は得られにく
い。
【0022】本発明に用いる補修材料の具体的態様とし
ては、一般式(I)で示される化合物80〜100重量
%と、重油、アスファルト、乾性油、不飽和エステル及
びアルキド樹脂から選択される一種以上の成分0〜20
重量%とを合計100重量%になるように含むものが好
ましいものとして挙げられる。この場合、一般式(I)
で示される化合物が80重量%未満の場合は、構造物に
対する浸透性に劣る傾向にある。
【0023】また、特に効果が高い具体的態様の一つと
しては、一般式(I)で示される化合物60〜95重量
%、好ましくは70〜90重量%と、ブタジエン重合
体、イソプレン重合体、イソプレンとイソブチレンの共
重合体及びクロロプレン重合体から選択される一種以上
のゴム5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%と
を合計100重量%になるように含む補修材料が挙げら
れる。この場合、一般式(I)で示される化合物が60
重量%未満の場合は、構造物に対する浸透性に劣る傾向
にあり、付着力も低下する傾向にある。一方、95重量
%を超えると、硬化物が脆く、経日による割れが発生し
やすくなる。
【0024】さらに、特に効果が高い別の具体的態様と
しては、一般式(I)で示される化合物40〜90重量
%、好ましくは60〜80重量%と、エポキシ樹脂に不
飽和一塩基酸及び不飽和多塩基酸からなる群から選ばれ
る少なくとも一つの化合物を反応させて得られる不飽和
エステル5〜30重量%、好ましくは10〜30重量%
と、分子量150以上のモノアクリレートモノマー5〜
30重量%を合計が100重量%となるように含む補修
材料が挙げられる。この場合、不飽和エステルが5重量
%未満では接着強度が劣る傾向にあり、30重量%を超
えると粘度が高くなり浸透性が劣る傾向にある。また、
一般式(I)で示される化合物が40重量%未満では粘
度が高くなり、構造物に対する浸透性が劣る傾向にあ
り、90重量%を超えると接着が弱くなる傾向にある。
モノアクリレートモノマーは主に硬化物に伸びを付与す
るために使用するものであり、5重量%未満では伸び効
果が少なく、ひびわれ追従性が劣る傾向にあり、30重
量%を超えると硬化物が柔かくなり接着力が低下する傾
向にある。
【0025】さらに、本発明に使用する補修材料には硬
化性をそこなわない程度に、その他の公知のアクリル酸
エステル、メタクリル酸エステルなどを併用することも
可能である。本発明になる補修材料には、上記の他に、
硬化剤、必要に応じて促進剤、乾燥剤、骨材等が配合さ
れる。
【0026】硬化剤としては、有機過酸化物などの重合
開始剤が使用される。有機過酸化物としては、前記化合
物に溶解しやすい、例えば3〜18の炭素原子を有する
炭化水素から誘導された過酸化物、ヒドロペルオキシド
等が好ましく、具体的には、t−ブチルヒドロペルオキ
シド、クメンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトン
ヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペ
ルオキシド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルベンゾ
エート、2,2−(t−ブチルペルオキシ)−ブタン、
ビス−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ペルオキ
シド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート
等が挙げられる。硬化剤は、補修材料に対して好ましく
は0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量
%の範囲で用いられる。0.1重量%未満で補修材料の
硬化が不十分な場合があり、10重量%を越えると硬化
物が軟質になる傾向がある。
【0027】さらに、促進剤として、アニリン、N,N
−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、トル
イジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−
ジ(ヒドロキシエチル)トルイジンなどを用いることが
できる。その使用量は、補修材料に対して0.01〜1
0重量%の範囲が好ましく、0.1〜1重量%の範囲が
より好ましい。使用量が0.01重量%未満では、促進
効果が十分でなく、また、10重量%を越えると、可塑
効果が働き、樹脂硬化物の強度の低下を招き、好ましく
ない。
【0028】乾燥剤としては、多価金属塩及び/又は多
価金属錯体が用いられる。一般に、高級脂肪酸の金属塩
が良く知られており、例えば、ナフテン酸、オクテン酸
等の多価金属塩であり、多価金属としては、カルシウ
ム、銅、ジルコニウム、マンガン、コバルト、鉛、鉄、
バナジウムなどが用いられ、好ましい多価金属塩の例と
しては、オクテン酸コバルト、ナフテン酸コバルトなど
がある。多価金属錯体の例としては、アセチルアセトン
の錯体が良く知られており、コバルトアセチルアセテー
ト、マンガンアセチルアセテートなどがある。これら
は、補修材料に対して好ましくは0.01〜5重量%の
範囲で用いられ、有機過酸化物の作用を促進する働きを
示す。
【0029】骨材は砕石、粗目砂、細目砂、石粉などよ
り構成される。粗目砂は0.3〜2.5mmの粒度であ
り、細目砂は0.6mm以下の粒度であり、石粉は1.2
mm以下の粒度である。骨材はあらかじめ、アスファルト
でコーティング及び/又はブレンドしておけば付着力が
向上するので好ましい。なお、骨材を補修材料に含有さ
せる場合、30〜90重量%、特に60〜70重量%含
有させるのが好ましい。また、本発明に用いる補修材料
は、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、流動制御
剤、チキソトロピー剤、可塑剤等を必要に応じ添加する
ことも可能である。
【0030】本発明の補修方法を適用する時期として
は、アスファルト舗装の場合、夏期は、高温時において
舗装体の伸びにより亀裂が縮小すると共に、表面の亀裂
が交通荷重により小さくなっているので、夏期の過度の
高温時を避け、気温変動の比較的少ない時期に実施する
ことが好ましい。本発明の補修方法は、特定の工程によ
る補修材料と構造物の接着面積の拡大と、優れた付着力
及び強度を有する補修材料の組合せにより、補修性能に
顕著に優れ、補修期間の大幅な延長を図ることが可能で
ある。
【0031】
【実施例】
実施例1〜18 劣化したアスファルト舗装のひびわれ(舗装厚さ5cm、
ひびわれ幅1〜3mm、ひびわれ長さ2m)を、コンクリ
ート用ダイアモンドカッター(刃の厚さ3mm)で、上部
から深さ2cmまで切削し、次いで過酸化水素水(濃度3
5重量%)を1mあたり200gづつ、先細口を有する
洗浄ビンで注入し洗浄した。そのまま約20分放置して
発泡させたあと、高圧水を吹き付けて泥土を除去した。
舗装厚さ5cmの泥土はほぼ全部除去された。ここへ表1
及び表2に示す各種補修材料を注入、含浸して硬化さ
せ、アスファルト舗装を補修した。補修されたアスファ
ルト舗装を直径10cm、厚さ5cmにコア抜きし、インス
トロン1185型試験機を用いて引張強度を試験した。
結果を表1及び表2に示す。
【0032】比較例1 実施例2において、過酸化水素水を用いないこと以外全
く同様にして泥土を洗浄したところ、高圧水を吹き付け
てもこびりついた泥土が充分に除去できなかった。ここ
へ、同様の補修材料を含浸硬化させたが、含浸量は実施
例1に対して15重量%であった。得られたアスファル
ト舗装について実施例1と同様に引張強度を試験した。 比較例2 補修材料として、150℃に加熱したストレートアスフ
ァルト(針入度80/100、昭和シェル石油(株)
製)を用いた以外は実施例1と全く同様にしてアスファ
ルト舗装を補修し、引張強度を試験した。
【0033】
【表1】
【表2】
【0034】・注1)クリーンタワーフェール、シェル
(株)製。 ・注2)ニポールBR1220、日本ゼオン(株)製。 ・注3)ネオプレンW、昭和電工・デュポン(株)製。 ・注4)メタクリル酸411重量部、エピビス型エポキ
シ樹脂エピコート828(シェル(株)製)453重量
部、エピコート1001(シェル(株)製)1136重
量部、ヒドロキノン0.4重量部及びトリメチルベンジ
ルアンモニウムクロリド4重量部を、100℃で10時
間加熱することにより得られた酸価15の不飽和エステ
ル。 ・注5)メトキシポリエチレングリコール#400メタ
クリレート、分子量468、NKエステルM−90G、
新中村化学工業(株)製。 ・注6)フェノキシジエチレングリコールアクリレー
ト、NKエステルAMP−60G、新中村化学工業
(株)製。
【0035】
【発明の効果】本発明の構造物の補修方法は、優れた強
度と付着力を有し補修性能に顕著に優れ、補修期間の大
幅な延長を図ることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田代 文夫 茨城県鹿島郡波崎町大字砂山五番壱 日立 化成工業株式会社鹿島工場内 (72)発明者 児島 武男 茨城県鹿島郡波崎町大字砂山五番壱 日立 化成工業株式会社鹿島工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の空隙部に酸化剤を注入して発泡
    させた後、空隙部の泥土を除去し、次いで、一般式
    (I) 【化1】 (但し、Rは水素又はメチル基を表し、R′は炭素原子
    数2〜12のアルキレン基又は炭素原子数が少なくとも
    2のアルキレン鎖の2つ以上のセグメントが酸素原子を
    介して結合している総炭素原子数が4〜12のオキサア
    ルキレン基を表し、R″は 【化2】 を表し、nは0又は1である)で示される化合物を含有
    する補修材料を注入、含浸させることを特徴とする構造
    物の補修方法。
  2. 【請求項2】 構造物の空隙部を切削した後に行なう請
    求項1記載の構造物の補修方法。
  3. 【請求項3】 補修材料が、さらに、重油、アスファル
    ト、乾性油、不飽和エステル、アルキド樹脂、ゴム及び
    分子量が150以上のモノアクリレートモノマーから選
    択される一種以上の成分を含むものである請求項1また
    は2に記載の構造物の補修方法。
  4. 【請求項4】 補修材料が、さらに有機過酸化物を含む
    ものである請求項1、2または3記載の構造物の補修方
    法。
  5. 【請求項5】 補修材料が、さらに多価金属塩及び/又
    は多価金属錯体を含むものである請求項1、2、3また
    は4記載の構造物の補修方法。
  6. 【請求項6】 補修材料が、一般式(I)で示される化
    合物80〜100重量%と、重油、アスファルト、乾性
    油、不飽和エステル及びアルキド樹脂から選択される一
    種以上の成分0〜20重量%とを合計100重量%にな
    るように含むものである請求項1〜5のいずれかに記載
    の構造物の補修方法。
  7. 【請求項7】 補修材料が、一般式(I)で示される化
    合物60〜95重量%と、ブタジエン重合体、イソプレ
    ン重合体、イソプレンとイソブチレンの共重合体及びク
    ロロプレン重合体から選択される一種以上のゴム5〜4
    0重量%とを合計100重量%になるように含むもので
    ある請求項1〜5のいずれかに記載の構造物の補修方
    法。
  8. 【請求項8】 補修材料が、一般式(I)で示される
    化合物40〜90重量%と、エポキシ樹脂に不飽和一塩
    基酸及び不飽和多塩基酸からなる群から選ばれる少なく
    とも一つの化合物を反応させて得られる不飽和エステル
    5〜30重量%と、分子量150以上のモノアクリレー
    トモノマー5〜30重量%を合計が100重量%となる
    ように含むものである請求項1〜5のいずれかに記載の
    構造物の補修方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006144232A (ja) * 2004-11-16 2006-06-08 Toyo Sports Shisetsu Kk 弾性舗装表面の膨れ修復方法
JP2008208581A (ja) * 2007-02-26 2008-09-11 Gaeart Tk:Kk 上面増厚床版の補修工法
JP2013119699A (ja) * 2011-12-06 2013-06-17 Isao Tazaki ひび割れ部の補修工法

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