JPH06240596A - パルプ - Google Patents

パルプ

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JPH06240596A
JPH06240596A JP2533893A JP2533893A JPH06240596A JP H06240596 A JPH06240596 A JP H06240596A JP 2533893 A JP2533893 A JP 2533893A JP 2533893 A JP2533893 A JP 2533893A JP H06240596 A JPH06240596 A JP H06240596A
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pbz
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佳充 坂口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 PBZ繊維が持つ優れた耐熱性、高強度、
高弾性率の特性を損なうことなく、耐加水分解性を改善
し、耐水性に優れた高強度PBZパルプを提供する。 【構成】 ボイド直径が25Å以下、アスペクト比が
100以上のPBZ繊維を用いたパルプ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は製紙用及び単繊維強化複
合材料として好適なパルプに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、引張強度、耐熱性、耐衝撃
性、耐摩耗性、耐薬品性を兼ね備えた有機繊維からなる
パルプとしては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド
によるアラミドパルプが良く知られている。一方、新し
い高耐熱性、高弾性率、高強度有機繊維としてポリパラ
フェニレンベンズビスチアゾール(PBT)やポリパラ
フェニレンベンズビスオキサゾール)(PBO)等のポ
リベンザゾール繊維(PBZ)が、アラミドよりも優れ
た性能を有することが報告されてきている。このため、
製紙用や短繊維強化複合材料等に使われるパルプへの応
用も当然考えられてきた。しかしながら、これまで知ら
れている製糸方法で製造されたPBZ繊維はボイド直径
が25Åより大となり、ひいては耐水性が低下する傾向
があるため、水分の存在するところでは高強度を維持す
ることはできなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような現状から、
本発明はPBZ繊維の優れた特性、即ち高強力、高弾性
率、高耐熱性を損なうことなく、製造時に発生するボイ
ド直径を減少させることによって、その最大の欠点とさ
れる耐加水分解性を改善し、耐水性の優れた高強度PB
Zパルプを提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】これまで、PBZ繊維が
高弾性率、高強度材料として特に優れた特性を持つこと
は知られていたが、その引張強度が水分の存在で低下し
ていく欠点を持ち合わせていることが分かってきた。本
発明者らは、PBZの引張強度が水分により低下する原
因について検討した結果、強度の低下が水分によるPB
Z分子鎖の加水分解によること、及び比較的大きいボイ
ドからの水分の浸入が加水分解作用を加速していること
を見いだした。このことは、ボイド直径を減少させれば
加水分解性が改良されることを意味している。実験の結
果、加水分解性はボイド直径が25Å以下の時著しく改
善されることが分かった。ボイド直径に及ぼす製造工程
の原因を検討した結果、凝固浴のリン酸濃度が大きく影
響していることを見いだした。鋭意検討の結果、ボイド
直径を25Å以下にする方法の一つとしてPBZを主成
分とするポリマーとポリリン酸からなるドープから紡糸
して繊維を製造するに際し、凝固浴のリン酸濃度が5%
以上の時ボイド直径が25Å以下となることを見いだし
た。このようにして製造したPBZ繊維はこれを用いて
製造したパルプにおいても使用中に雨などの水分に接触
する事があっても強度低下が少ない優れた耐水性を示す
ことが分かり、本発明に到達した。
【0005】本発明のポリベンザゾール繊維(PBZ)
は、ポリベンズオキサゾール(PBO)もしくはポリベ
ンズチアゾール(PBT)またはそれらのランダムもし
くはブロック共重合体からなる繊維をいう。引張強度は
4.0GPa,好ましくは4.1GPa以上、引張弾性
率は140GPa以上、好ましくは150GPa以上で
ある。このような力学特性を示すために、PBZポリマ
ーのメタンスルホン酸中で測定した極限粘度は10以上
であるべきである。また繊維の平均直径は50μm以
下、更には25μm以下が好ましい。これは、平均繊維
径が50μ以上では濾水性が過大で抄紙を目的とする場
合に不適当である。
【0006】本発明のPBZ繊維は、引張弾性率をさら
に高くするために張力をかけながら熱処理を施しても良
い。熱処理温度は、少なくとも300℃以上であること
が好ましいが、500℃以上で熱処理することがさらに
好ましい。熱処理の上限温度としては1000℃を越え
ないことが好ましいが、600℃を越えないことがさら
に好ましい。熱処理を施したPBO繊維は、少なくとも
260GPaの引張弾性率を有することが好ましいが、
310GPa以上であることがさらに好ましい。熱処理
をしない本発明のPBO繊維は通常熱処理糸の半分の引
張弾性率を示す。
【0007】本発明のPBZパルプに係るPBZ繊維
は、ボイド直径が25Å以下であるという特徴を有して
いる。ボイド直径を25Å以下にする方法の一つとして
PBZを主成分とするポリマーとポリリン酸からなるド
ープから紡糸して繊維を製造するに際し、凝固浴のリン
酸濃度を5%以上にすることを見いだした。また後加工
性を向上させる目的で油剤を付与する事は有効である。
本発明に使用する油剤の種類としては、潤滑剤として作
用する成分が含まれれば良い。必要に応じて乳化剤や安
定剤などが併用されるのは言うまでもない。油剤に含ま
れる成分としては、動物油、植物油、脂肪酸エステル、
炭化水素、高級アルコール、高級脂肪酸などの中性油
類、石鹸、硫酸エステル、スルホン酸、リン酸エステ
ル、エーテル誘導体などの界面活性剤、およびそれらの
混合物、シリコンオイル等が使用できる。油剤の付与は
紡糸口金から最終巻き取りに到るまでの工程中、1カ所
または同時に2カ所以上で付与する事ができ、任意の場
所で実施できる。好ましくは凝固以後において付与す
る。高弾性率化を目的とした熱処理工程をさらに必要と
する場合には、熱処理工程後に仕上げ剤を付与するのが
良い。
【0008】油剤の糸条への付与方法は、油剤を霧状に
したスプレー付与、油剤浴中をくぐらすディップ付与、
キスロール付与、ガイド付与等いずれの方法でも良い。
また凝固浴中に油剤を加えても良い。油剤の付着量は油
剤を付与する繊維の乾燥重量に対して0.05−7.0
重量%が良い。0.05重量%以下では油剤が繊維表面
を十分被うにいたらず、7.0重量%以上では過剰の油
剤が飛散するので好ましくない。さらに好ましくは0.
1−3.0重量%である。最も好ましいのは、0.3−
2.0重量%である。
【0009】なお油剤を付与させた後にその油剤を除去
させる必要がある場合は別途工程中に油剤除去工程を設
けても良い。油剤中の油剤に不溶の微粉末とは固体潤滑
剤として作用するものを意味する。例えば、直径10m
μ以下のコロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、ある
いは直径数百mμ以下の酸化チタン、炭酸カルシウム、
直径数μ程度のシリカゲル、リン酸カルシウム、タル
ク、クレー、マイカ、黒鉛、硫化モリブデン等が使用で
きる。これらは糸条中の単糸径よりも小さいことが必要
である。微粉末は繊維表面で固体潤滑剤として作用し、
繊維間の癒着を防止する効果があるとともに、水分の接
触を防ぐため耐水性を向上させる効果がある。これら微
粉末の付着量は繊維の乾燥重量に対して5.0重量%以
下が好ましい。5.0重量%以上では耐水性及び癒着防
止の効果が頭打ちするので好ましくない。1.0重量%
以下であればさらに好ましい。最も好ましくは、0.5
重量%以下であるといえる。
【0010】以上で説明したPBZ繊維をパルプに使用
すると、従来の製糸法によるPBZパルプ比べて耐水性
に特に優れたPBZパルプが得られる。本発明のPBZ
パルプを製造する方法としては、上記方法により製造し
たPBZ長繊維を裁断し、機械的に常温粉砕法で叩解す
る方法、あるいは液体窒素、ドライアイス等の冷媒を使
用した低温粉砕法で叩解する方法が挙げられる。これに
より製造したパルプのアスペクト比は100以上であ
り、好ましくは250ないし1000である。アスペク
ト比が100より低いと抄紙を目的としたとき、繊維同
士を違いに絡み合わせることができない。また、100
0以上では結束繊維が生ずる恐れがある。
【0011】
【実施例】以下、実施例で本発明を具体的に説明する
が、本発明の評価に用いた物性の測定方法は以下によ
る。 <ボイド直径の測定方法>小角X線散乱強度の測定は、
クラツキカメラを用いて行う。試料繊維を約6m測定ホ
ルダーに巻き付ける。X線の出力は45kv150mA
で、Cukα線をニッケルフィルターで単色化して用い
る。クラツキカメラの縦制限スリットは42mm、巾制
限スリットは0.07mm、受光部スリットの縦制限は
10mm巾制限は0.14mmで行った。測定範囲は
0.1度から3度である。ステップ幅は0.025度刻
みで、30秒もしくはそれ以上積算する。バックグラウ
ンド散乱の補正は、試料および空気散乱の測定結果から
次式を用いて行う。 I=μIsample−Iair μ=Iair(0)/Isample(0) ここでIは真の散乱強度、Isampleは試料を入れ
た状態での実測散乱強度、Iairは試料を入れないで
測定した強度を示す。試料測定後、散乱角0度で強度測
定を行い試料の吸収係数を決定する。ボイドサイズの測
定はギニエプロットを用いて行う。散乱角度(I)の対
数と散乱ベクトル(k)の自乗をプロットしkの自乗の
値が0から0.01Å2の範囲のデータについて直線近
似し、直線の傾き(s)から次式を用いて計算する。 D=2(2S)1/2 耐水性試験:耐水性の評価メジャーとして湿潤状態での
引張強度を用いた。試験片を水(20℃)中に200時
間沈めておいた後、水からこの試料を取り出して1分以
内に強度を測定した。
【0012】実施例1 紡糸ドープ(五酸化リン換算で表した組成が83.7重
量%であるポリリン酸中に14.7重量%の濃度の極限
粘度25のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール
が溶解)を金属網状の濾材を通過させた後、150℃に
保たれた口径0.20mmおよび口数334を有する紡
糸口金から単孔当たりの吐出量0.22g/分で紡出し
た。紡出糸条を整流された流速0.5m/秒、温度70
℃の空気冷却気流で冷却した。ついで糸条を紡糸口金面
から40cmの下方に設置したリン酸濃度10%の15
℃の凝固浴中へ導入し、、冷却脱溶媒した。しかる後に
該糸条は200mmの直径を有する第一ローラー、つい
で同一直径を有する水洗ローラー、乾燥ローラー、熱処
理ローラーをオンラインで通過させ、実質的に延伸する
ことなく糸速200m/分で巻き取った。乾燥ローラー
温度はそれぞれ170℃、190℃、210℃で20秒
間加熱した。その後糸条を80℃以下の温度に冷却し、
巻取機で巻き取った。その際、水洗ローラーの出口にエ
アブロアーを設け糸条の付着水を除去した後、設置した
オイリングロールによる油剤供給装置を用いて分子量9
000のポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシ
ド共重合物を1重量%分散させた。得られたPBO繊維
を5mmの長さで定尺切断し、液体窒素で冷却しつつ、
バルマンミルで粉砕した。つぎに、このPBOパルプを
ナイロン6と混合し、スクリュータイプ射出成形機を用
い成形した。得られた成形体について耐水性試験を行っ
た。結果を表1に示す。
【0013】比較例1 凝固浴として水を使用すること以外は実施例1と同様に
してナイロン複合材料を作製した。得られた成形体につ
いて耐水試験を行った結果を表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】表1から明らかなように、凝固浴のリン酸
濃度を上げることでPBO繊維中のボイド直径を減少さ
せることができ、それにともないPBO繊維が持つ優れ
た耐熱性、高強度、高弾性率の特性を損なうことなく、
その最大の欠点である耐加水分解性を改善したPBOパ
ルプが得られることが分かる。
【0016】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によりPBZ
繊維の優れた特性、即ち高強力、高弾性率、高耐熱性を
損なうことなく、その最大の欠点とされる耐加水分解性
を改善し、耐水性の優れた高強度PBZパルプを得るこ
とができた。たアスペクト比が100以上のパルプ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタンスルホン酸中で測定した極限粘度
    が10以上、ボイド直径が25Å以下、アスペクト比が
    100以上であるポリベンザゾール繊維からなるパル
    プ。
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