JPH06238016A - ガット - Google Patents

ガット

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JPH06238016A
JPH06238016A JP5025339A JP2533993A JPH06238016A JP H06238016 A JPH06238016 A JP H06238016A JP 5025339 A JP5025339 A JP 5025339A JP 2533993 A JP2533993 A JP 2533993A JP H06238016 A JPH06238016 A JP H06238016A
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JP
Japan
Prior art keywords
gut
stretched
tensile strength
resilient force
fiber
Prior art date
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Pending
Application number
JP5025339A
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English (en)
Inventor
Yoshimitsu Sakaguchi
佳充 坂口
Shigeru Yoneda
茂 米田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ラケットのフレームに強く張れ、高い弾発力
を長時間保持するとともに、耐水性等優れた耐久性を示
すガットを得ること。 【構成】 ボイド直径が25Å以下のPBZ繊維からな
るガット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はラケットのフレームに強
く張れ、張ったときの弾発力が高く、長時間弾発力を保
ち、且つ耐衝撃性に優れた高級ガットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、テニスやバドミントン等のラケッ
トのガットにはナイロンモノフィラメントもしくはナイ
ロンマルチフィラメントが用いられてきた。ところがナ
イロンの引張弾性率は40g/デニール程度と低く、ガ
ットの張りを強くしても、ボールやシャトルコックに対
する弾発力は自ずから限界があり、長時間使用するとガ
ットが伸長してしまい、ガットを張り替える必要がしば
しばあった。また、ナイロンの引張強度はたかだか9.
5g/デニールであり、耐久性を上げるためにはガット
の太さを太くすることが唯一の手段であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような現状から、
細くてもラケットのフレームに強く張れ、張ったときの
瞬発力が高く、長時間弾発力を保つ高弾発力、高耐久性
ガットの出現が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような背景に基づき
本発明者らが鋭意検討を行った結果、ポリベンザゾール
繊維を用いることにより、従来からのガットが持つ前記
の欠点を全て解決する高弾発力、高耐久性ガットを得る
ことに成功し、本発明に到達した。
【0005】本発明のポリベンザゾール繊維(PBZ)
は、ポリベンズオキサゾール(PBO)もしくはポリベ
ンズチアゾール(PBT)またはそれらのランダムもし
くはブロック共重合体からなる繊維をいう。引張強度は
4.0GPa(29g/dに相当),好ましくは4.1
GPa以上、引張弾性率は140GPa(1020g/
dに相当)以上、好ましくは150GPa以上である。
また繊維の平均直径は50μm以下、更には25μm以
下が好ましい。
【0006】さらに、本発明のPBZ繊維はボイド直径
が25Å以下であるという特徴を有している。これま
で、PBO繊維が高弾性率、高強度材料として特に優れ
た特性を持つことは知られていたが、その引張強度が水
分の存在で低下していく欠点を持ち合わせていることが
分かってきた。本発明者らは、PBZの引張強度が水分
により低下する原因について検討した結果、強度の低下
が水分によるPBZ分子鎖の加水分解によること、及び
比較的大きいボイドからの水分の浸入が加水分解作用を
加速していることを見いだした。このことは、ボイド直
径を減少させれば加水分解性が改良されることを意味し
ている。実験の結果、加水分解性はボイド直径が25Å
以下の時著しく改善されることが分かった。ボイドの直
径を決定する要因を検討した結果、凝固浴のリン酸濃度
が大きな影響力を持つことを見いだした。鋭意検討の結
果、ボイドの直径を25Å以下にする方法の一つとして
PBZを主成分とするポリマーとポリリン酸からなるド
ープから紡糸して繊維を製造するに際し、凝固浴のリン
酸濃度を5%以上にすることが大きな効果を持つことを
見いだした。このようにして製造したPBZ繊維はボイ
ドの直径が25Å以下であり、これを用いたガットは使
用中に雨などの水分に接触しても強度低下が少なく、高
耐久性を示す。このことにより、高張力でガットを張る
際にガットが切断されないとともに、ほとんど伸長する
ことがなく、耐久性も特に優れているので競技中にガッ
ト切れが発生することもない。
【0007】又後工程の通過性を向上させるには油剤の
付与が有効である事も見い出した。本発明に使用する油
剤の種類としては、潤滑剤として作用する成分が含まれ
れば良い。必要に応じて乳化剤や安定剤などが併用され
るのは言うまでもない。油剤に含まれる成分としては、
動物油、植物油、脂肪酸エステル、炭化水素、高級アル
コール、高級脂肪酸などの中性油類、石鹸、硫酸エステ
ル、スルホン酸、リン酸エステル、エーテル誘導体など
の界面活性剤、およびそれらの混合物、シリコンオイル
等が使用できる。油剤の付与は紡糸口金から最終巻き取
りに到るまでの工程中、1カ所または同時に2カ所以上
で付与する事ができ、任意の場所で実施できる。好まし
くは凝固以後において付与する。高弾性率化を目的とし
た熱処理工程をさらに必要とする場合には、熱処理工程
後に仕上げ剤を付与するのが良い。
【0008】油剤の糸条への付与方法は、油剤を霧状に
したスプレー付与、油剤浴中をくぐらすディップ付与、
キスロール付与、ガイド付与等いずれの方法でも良い。
また凝固浴中に油剤を加えても良い。油剤の付着量は油
剤を付与する繊維の乾燥重量に対して0.05−7.0
重量%が良い。0.05重量%以下では油剤が繊維表面
を十分被うにいたらず、7.0重量%以上では過剰の油
剤が飛散するので好ましくない。さらに好ましくは0.
1−3.0重量%である。最も好ましいのは、0.3−
2.0重量%である。
【0009】なお油剤を付与させた後にその油剤を除去
させる必要がある場合は別途工程中に油剤除去工程を設
けても良い。油剤中の油剤に不溶の微粉末とは固体潤滑
剤として作用するものを意味する。例えば、直径10m
μ以下のコロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、ある
いは直径数百mμ以下の酸化チタン、炭酸カルシウム、
直径数μ程度のシリカゲル、リン酸カルシウム、タル
ク、クレー、マイカ、黒鉛、硫化モリブデン等が使用で
きる。これらは糸条中の単糸径よりも小さいことが必要
である。微粉末は繊維表面で固体潤滑剤として作用し、
繊維間の癒着を防止する効果があるとともに、水分の接
触を防ぐため耐水性を向上させる効果がある。これら微
粉末の付着量は繊維の乾燥重量に対して5.0重量%以
下が好ましい。5.0重量%以上では耐水性及び癒着防
止の効果が頭打ちするので好ましくない。1.0重量%
以下であればさらに好ましい。最も好ましくは、0.5
重量%以下であるといえる。
【0010】以上で説明したPBZ繊維をガットに使用
すると、従来のガットに比べて細くて強く、弾発力に優
れるものが得られる。特に、テニス用のガットでは細す
ぎて十分に抗張力が満たされなかった断面直径1mm未
満の繊維を用いても70ポンド以上の張力でガットを張
ることができるので、極めて弾発力の優れたプロフェッ
ショナル専用ラケットとすることもできる。
【0011】本発明のガットはモノフィラメント使いで
もマルチフィラメント使いでも良い。マルチフィラメン
トの場合は1000T/m以下の加撚を施し、強固に結
束させることが望ましいが、加工時の結束性さえ保たれ
れば、無撚であっても良い。ただ、1000T/mを越
える可燃を施すと引張強度、引張弾性率ともに低下する
ので好ましくない。
【0012】本発明のガットの形態は、特に限定される
ことはない。ガットの表面が合成樹脂等でコーティング
されているとガットの摩耗を防止するとともに耐久性が
さらに向上し好ましい。
【0013】本発明のガットに用いられるPBZ繊維の
横断面の形状はモノフィラメントの場合は円形であるこ
とが好ましいが、マルチフィラメントの場合は非円形で
あっても良い。
【0014】
【実施例】以下、実施例で本発明を具体的に説明する
が、本発明の評価に用いた物性の測定方法は以下によ
る。 繊維の強伸度特性の測定:東洋ボールドウィン社製テン
シロンを用い、試料長(ゲージ長)30mm、伸長速度
100%/分の条件で試料のS−S曲線を測定し、引張
強度(g/デニール)、初期弾性率(g/デニール)を
算出した。初期弾性率は、S−S曲線の原点付近の最大
勾配より算出した。各特性値は20本の試料について測
定したものを平均値とした。 ガットの強伸度特性の測定:試料長を200mmとした
以外は繊維の強伸度特性の測定方法と同一条件で測定し
た。 <ボイド直径の測定方法>小角X線散乱強度の測定は、
クラツキカメラを用いて行う。試料繊維を約6m測定ホ
ルダーに巻き付ける。X線の出力は45kv150mA
で、Cukα線をニッケルフィルターで単色化して用い
る。クラツキカメラの縦制限スリットは42mm、巾制
限スリットは0.07mm、受光部スリットの縦制限は
10mm巾制限は0.14mmで行った。測定範囲は
0.1度から3度である。ステップ幅は0.025度刻
みで、30秒もしくはそれ以上積算する。バックグラウ
ンド散乱の補正は、試料および空気散乱の測定結果から
次式を用いて行う。 I=μIsample−Iair μ=Iair(0)/Isample(0) ここでIは真の散乱強度、Isampleは試料を入れ
た状態での実測散乱強度、Iairは試料を入れないで
測定した強度を示す。試料測定後、散乱角0度で強度測
定を行い試料の吸収係数を決定する。ボイドサイズの測
定はギニエプロットを用いて行う。散乱角度(I)の対
数と散乱ベクトル(k)の自乗をプロットしkの自乗の
値が0から0.01Å2の範囲のデータについて直線近
似し、直線の傾き(s)から次式を用いて計算する。 D=2(2S)1/2 耐水性試験:耐水性の評価メジャーとして湿潤状態での
引張強度を用いた。引張強度の試験はラベルドストリッ
プ法によった。約5.5(幅)x30(長さ)cmの試
験片を切断採取し、幅の両側から約同数の糸を取り除い
て5cmの幅としたものを試料とした。この試料を別に
設けた容器に入れ、水(20℃)中に200時間沈めて
おく。水からこの試料を取り出して1分以内に引張強度
を測定した。
【0015】実施例1 紡糸ドープ(五酸化リン換算で表した組成が83.7重
量%であるポリリン酸中に14.7重量%の濃度の極限
粘度25のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール
が溶解)を金属網状の濾材を通過させた後、150℃に
保たれた口径0.20mmおよび口数334を有する紡
糸口金から単孔当たりの吐出量0.22g/分で紡出し
た。紡出糸条を整流された流速0.5m/秒、温度70
℃の空気冷却気流で冷却した。ついで糸条を紡糸口金面
から40cmの下方に設置したリン酸濃度10%の15
℃の凝固浴中へ導入し、、冷却脱溶媒した。しかる後に
該糸条は200mmの直径を有する第一ローラー、つい
で同一直径を有する水洗ローラー、乾燥ローラー、熱処
理キロをオンラインで通過させ、実質的に延伸すること
なく糸速200m/分で巻き取った。乾燥ローラー温度
はそれぞれ170℃、190℃、210℃で20秒間加
熱した。その後糸条を80℃以下の温度に冷却し、巻取
機で巻き取った。その際、水洗ローラーの出口にエアブ
ロアーを設け糸条の付着水を除去した後、設置したオイ
リングロールによる油剤供給装置を用いて分子量900
0のポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシド共
重合物を1重量%分散させた。得られた500デニール
/334フィラメントのPBO繊維を10本引揃え、7
0T/mの加撚を施して太さ0.7mmのガットを作製
した。性能評価例を表1に示す。また、キンクバンドの
数を測定し、水浴中に浸漬し強度保持率を測定した結果
を表2に示す。
【0016】比較例1〜3 実施例1において凝固浴に水を使用して作製したガット
(比較例1)、表1中に示す性能を持つ1500デニー
ル/300フィラメントのナイロンマルチフィラメント
を3本引き揃え、70T/mの加撚を施した太さ0.7
5mmのガット(比較例2)、さらに表1中に示す性能
を持つ1500デニール/1000フィラメントのポリ
パラフェニレンテレフタルアミドマルチフィラメントを
3本引き揃え、70T/mの加撚を施した太さ0.75
mmのガット(比較例3)の性能を表1に示す。また、
キンクバンドの数及び水浴中に浸漬し強度保持率を測定
した結果を表2に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】表1、2から明らかなように、油剤処理す
ることでPBO繊維中のキンクバンド数を少なくするこ
とができ、それにともないPBO繊維が持つ優れた耐熱
性、高強度、高弾性率の特性を損なうことなく、その最
大の欠点である耐加水分解性を改善することができ、高
い弾発力を長時間保持するとともに、耐水性に優れたP
BO繊維からなるガットを得ることができた。
【0020】
【発明の効果】以上のように本発明によるガットは、従
来のガットに比べて細くても強いことを特徴としている
ために、ラケットのフレームに強く張れ、張った時の弾
発力が高く、長時間の弾発力を保ち、耐衝撃性に優れた
高弾発力を示すとともに、耐水性を含めて特に優れた耐
久性を示す利点を有している。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも29g/デニールの引張強度
    と少なくとも1020g/デニールの引張弾性率を有
    し、ボイド直径が25Å以下であるポリベンザゾール繊
    維からなるガット。
JP5025339A 1993-02-15 1993-02-15 ガット Pending JPH06238016A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5025339A JPH06238016A (ja) 1993-02-15 1993-02-15 ガット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5025339A JPH06238016A (ja) 1993-02-15 1993-02-15 ガット

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ID=12163154

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