JPH06240347A - 鋼の焼入れ方法及びその装置 - Google Patents

鋼の焼入れ方法及びその装置

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JPH06240347A
JPH06240347A JP5144693A JP5144693A JPH06240347A JP H06240347 A JPH06240347 A JP H06240347A JP 5144693 A JP5144693 A JP 5144693A JP 5144693 A JP5144693 A JP 5144693A JP H06240347 A JPH06240347 A JP H06240347A
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Keishichi Nanba
恵七 難波
Fumitaka Abukawa
文隆 虻川
Hitoshi Goi
均 五井
Masahiko Watanabe
雅彦 渡辺
Shin Kurosawa
伸 黒沢
Hirofumi Kamisugi
普文 神杉
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Dowa Mining Co Ltd
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  • Heat Treatments In General, Especially Conveying And Cooling (AREA)
  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 処理層にばらつきが生ぜず、さらに被処理品
に変形、歪みの生じない焼入れ方法及び装置を提供す
る。 【構成】 焼入れ槽2内のエレベ−タ5昇降通路の外周
位置に該焼入れ槽2の底部2aと間隙7をあけて焼入枠
8が設けられ、該焼入枠8下部の間隙部7の周囲に一回
り大きく前記焼入れ槽2の底部2aとの間で密閉された
副室9が設けられ、該副室9に焼入れ油6を供給するこ
とにより前記焼入枠8下部の間隙部7から焼入れ油6を
流入上昇せしめ、該焼入枠8上端より前記焼入れ槽2内
にオ−バ−フロ−させつつ被処理品3を冷却する方法及
び焼入れ槽2内のエレベ−タ5昇降通路の外周位置に該
焼入れ槽2より一段低くさらに焼入れ槽2の底部2aと
間隙7をあけて焼入枠8が設けられ、該焼入枠8下部の
間隙部7の周囲に一回り大きく前記焼入れ槽2の底部2
aとの間で密閉された副室9が設けられ、該副室9に焼
入れ油6の供給管10が連結されてなる装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼の焼入れ方法及びそ
の装置に関し、処理層にばらつきが生ぜず、さらに被処
理品の変形、歪みを防止できることを特徴とする。
【0002】
【従来の技術】鋼の焼入れは、いわゆる臨界区域を早
く、危険区域をゆっくり冷やすことが原則である。従
来、特に変形、歪みを嫌う部品等の焼入れ方法として、
マルクエンチ、あるいは時間焼入れが採用され、冷却剤
として、ソルトあるいは高温焼入れ油が使用されてい
る。
【0003】マルクエンチによる焼入れは、被処理品の
マルテンサイト変態点以上の温度に保持したソルト浴
槽、あるいは高温焼入れ油槽に焼入れ温度に保持した被
処理品を投入し、マルテンサイト変態点直上で一度保持
し、被処理品が所定の温度になった後、引き上げて放冷
して変態を生じさせるか、あるいは時間焼入れを同時に
採用している場合は、変態点より低い温度に保持した第
二次槽に投入して変態を生ぜしめる方法が採用されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の焼入れにお
いては、被処理品のマルクエンチになる対象部分は、約
0.8%Cに浸炭された部分であり、全浸炭中の最表面
だけに重点を置いたものであった。
【0005】さらに焼入れ槽に投入された被処理品を所
定の均一温度に冷却するために行われている攪拌翼によ
る焼入れ油の攪拌は、その回転シャフト部から焼入れ油
に渦状に空気が吸い込まれ、さらに攪拌翼による焼入れ
油の循環過程で空気が混合して焼入れ油中に泡が発生
し、該泡が攪拌翼により焼入れ油中に拡散されて被処理
品の表面に付着して冷却にムラが生じ、その結果処理層
にばらつきが生じる場合があった。該現象は急冷のため
攪拌翼を高速回転させた場合にとくに著しいものであっ
た。
【0006】さらに従来の焼入れ槽は、焼入れ油を均一
に攪拌するための攪拌翼、その循環路の構成のため、必
要以上に大きく構成されており、その結果冷却剤の流
れ、温度にムラが生じ易く、被処理品の段取り状態、形
状等によって焼入れ油の澱みが発生して冷却にムラが生
じ、その結果処理層にばらつき、さらに処理品の変形、
歪み等が生じる場合があった。
【0007】また、その後の大気放冷においては、被処
理品を取りまく環境、すなわち、気温、湿度、風の有無
等も処理層のばらつき、処理品の変形、歪み等が生じる
要因となっていた。
【0008】また、時間焼入れによる方法では、第二次
槽に投入する時間差、すなわち、ロットで投入される
際、シリンダ、あるいはクレ−ンによる長時間を必要と
する投入により、上下方向による投入時間のズレでロッ
ト間に冷却時間、冷却速度のばらつきが発生する原因と
もなっていた。
【0009】そのため、被処理品の最表面から内部で
の、0.8%Cより低い炭素濃度を持つ部位の変態によ
る変形、歪み等のばらつきの発生は経験による段取り方
法や治具の改良に頼っているのが現状であった。
【0010】本発明は、前記事情に鑑みなされたもの
で、泡の発生による処理層のばらつき、冷却槽の大型化
から生じる冷却ムラ、さらに処理品の変形、歪み等を防
止した鋼の焼入れ方法及びその装置を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の方法の発明は、焼入れ槽内のエレベ−タ昇
降通路の外周位置に該焼入れ槽の底部と間隙をあけて焼
入枠が設けられ、該焼入枠下部の間隙部の周囲に一回り
大きく前記焼入れ槽の底部との間で密閉された副室が設
けられ、該副室に焼入れ油を供給することにより前記焼
入枠下部の間隙部から焼入れ油を流入上昇せしめ、該焼
入枠上端より前記焼入れ槽内にオ−バ−フロ−させつつ
被処理品を冷却することを特徴とするものである。
【0012】また、本発明の装置の発明は、焼入れ槽内
のエレベ−タ昇降通路の外周位置に該焼入れ槽より一段
低くさらに該焼入れ槽の底部と間隙をあけて焼入枠が設
けられ、該焼入枠下部の間隙部の周囲に一回り大きく前
記焼入れ槽の底部との間で密閉された副室が設けられ、
該副室に焼入れ油の供給管を連結した構成としたもので
ある。
【0013】
【作用】浸炭等の熱処理を終えた被処理品3が焼入れベ
ステイブル1内のエレベ−タ5上に供給され、焼入れ槽
2内の焼入れ油6中に浸漬して焼入れが行われる。そし
て本発明では該浸漬に先立ち、あるいは浸漬と同時に流
量制御弁11が開かれて焼入れ油6がその供給管10か
ら副室9に供給される。
【0014】その結果、供給管10の径より広い面積の
前記副室9内で流速が弱められ、さらに流速が均一化さ
れ、焼入枠8下端の全周に構成された間隙部7から焼入
枠8内に均一に流入させられ、その上昇過程で被処理品
3の均一急冷が行われ、急冷作用を終えた焼入れ油6は
焼入枠8の上端からオ−バ−フロ−して焼入れ槽2に流
入させられる。
【0015】すなわち、本発明は、従来のごとく攪拌翼
等で焼入れ油6を攪拌しないため、従来のごとく焼入れ
油6中に泡が発生することがない。さらに、常に一定温
度(約摂氏160度)の焼入れ油6を均一の流れを保っ
て被処理品3の周囲に連続的に供給することができる。
【0016】つぎに、被処理品3が所定の温度、例え
ば、摂氏450〜470度になったことを確認して前記
流量制御弁11が閉じられる。その結果、焼入枠8内の
焼入れ油6が被処理品3の保有する熱により、例えば摂
氏230度に上昇させられ、逆に被処理品3が所定の温
度まで冷却される。
【0017】さらに、前記流量制御弁9を閉じた結果、
被処理品3の温度が所定温度まで冷却されていないこと
が判明した場合には、再び流量制御弁9を開き副室9か
ら焼入枠8内に焼入れ油6を供給し、被処理品3をさら
に所定の温度まで冷却する。その後、所定の温度となっ
た被処理品3は焼入枠8内でゆっくり冷却される。
【0018】なお、前記焼入れ油6の供給を止めた場合
に、焼入枠8内の上下に温度差が生じないように循環ポ
ンプ15を作動させて焼入枠8内の焼入れ油6を循環さ
せると焼入枠8内の焼入れ油6及び被処理品3の温度の
均一化が図られ、被処理品3の処理層のばらつきをさら
に有効に防止できる。
【0019】
【実施例】以下に本発明の一実施例を装置に基づいて詳
細に説明する。図中、1は焼入れベステイブルであり、
下方に焼入れ槽2が構成され、さらに内部に浸炭処理等
を終えた被処理品3の移送装置4を有するエレベ−タ5
が設けられている。図中、6は焼入れ油である。
【0020】本発明では前記焼入れ槽2内のエレベ−タ
昇降通路の外周位置に前記焼入れ槽2より一段低くさら
に該焼入れ槽2の底部2aと間隙7をあけて焼入枠8が
設けられる。なお、該焼入枠8は前記エレベ−タ4の昇
降の邪魔にならない大きさで、できる限り小さく構成さ
れる。その結果、後に述べる焼入れ油6の流速が早めら
れ、冷却効果が高められる。
【0021】つぎに本発明の装置では、前記焼入枠8下
部の間隙部7の周囲に一回り大きく前記焼入れ槽2の底
部2aとの間で密閉された副室9が設けられる。図面実
施例では前記焼入れ槽2の底部2aから設けた該副室9
が前記焼入枠8を支持した構成となっている。
【0022】つぎに、前記副室9には焼入れ油6の供給
管10が連結される。さらに該焼入れ油6の供給管10
には流量制御弁11及び循環ポンプ12が設けられ、さ
らにまた前記焼入れ槽2との間で循環管路13が構成さ
れる。なお、前記副室9に対する供給管10の連結は、
該供給管10を適数に分岐して副室9の適数箇所に連結
してもよい。
【0023】図中、14は必要に応じて設けられる前記
焼入枠8の上下間を連通する循環路であり、途中に循環
ポンプ15が設けられている。なお、該循環ポンプ15
は正逆回転自在のものが望ましい。また、16は入口
扉、17は出口扉である。
【0024】前記構成において、焼入れ槽2内にはエレ
ベ−タ5上に供給された被処理品3の下降に先立ち、あ
るいは下降と同時に流量制御弁11を開き、循環ポンプ
12を作動させると、焼入れ油6の供給管10から焼入
れ油6が副室9に供給され、供給管10の径より広い面
積の副室9に流入するとともに流速が弱められ、さらに
流速が均一化され、焼入枠8の下部の全周に設けられた
間隙部7から焼入枠8内に均一に流入上昇して焼入枠8
内にある被処理品3を急冷し、被処理品3の冷却を終え
た焼入れ油6は焼入枠8の上端からオ−バ−フロ−して
焼入れ槽2に流入させられる。
【0025】そして、被処理品3が摂氏450〜470
度に冷却されたことを確認して、前記流量制御弁11が
閉じられる。その結果、焼入枠8内の焼入れ油6は被処
理品3の保有する熱により所定の温度に上昇させられ、
逆に被処理品3が所定の温度まで冷却される。
【0026】さらに、前記流量制御弁11を閉じた結
果、被処理品3が所定温度まで冷却されていないことが
判明した場合には再び流量制御弁11を開いて焼入れ油
6が供給され、所定の温度まで冷却される。その後所定
の温度となった被処理品3は焼入枠8内でゆっくり冷却
すればよい。
【0027】なお、焼入れ油6の供給を止めた場合に
は、焼入枠8内の上下に温度差が生じないように前記循
環ポンプ15を作動させて焼入枠8内において焼入れ油
6を循環させるとよい。
【0028】下記表1には、図2に示した被処理品(試
験品)、すなわち、同一浸炭処理後のキ−溝付きスリ−
ブ(長さ100mm、直径60mm)の各種焼入れ処理
前後の変化量の平均値測定結果が示されている。なお、
図3はその測定位置を示し、また、表1中における
「上」、「下」は図2におけるキ−溝付きスリ−ブの上
下を意味する。
【0029】
【表1】 表1によれば、被処理品(試験品)の上下における実際
変化量の幅も従来方法に比べて小さく、被処理品の変
形、歪みの防止効果が優れていることが確認されたもの
であり、したがって、同時に処理層のばらつきも防止さ
れ、本発明の装置によれば前記方法を有効に実施できる
ものである。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法及び装置によれば、攪拌翼
等が不要であるため、焼入れ油中に泡が発生することが
なく、さらに理想的な焼入れ方式であるところの臨界区
域を早く、危険区域をゆっくり冷やすことができ、した
がって、被処理品に変形、歪み、さらには処理層のばら
つきが生じない等の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】被処理品(試験品)の斜視図である。
【図3】被処理品(試験品)の測定位置を示す平面図で
ある。
【符号の説明】
2 焼入れ槽 2a 底部 5 エレベ−タ 6 焼入れ油 7 間隙(部) 8 焼入枠 9 副室 10 供給管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 雅彦 神奈川県横浜市港北区箕輪町2丁目6番26 号 同和鉱業株式会社横浜工場内 (72)発明者 黒沢 伸 神奈川県横浜市港北区箕輪町2丁目6番26 号 同和鉱業株式会社横浜工場内 (72)発明者 神杉 普文 神奈川県横浜市港北区箕輪町2丁目6番26 号 同和鉱業株式会社横浜工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼入れ槽内のエレベ−タ昇降通路の外周
    位置に該焼入れ槽の底部と間隙をあけて焼入枠が設けら
    れ、該焼入枠下部の間隙部の周囲に一回り大きく前記焼
    入れ槽の底部との間で密閉された副室が設けられ、該副
    室に焼入れ油を供給することにより前記焼入枠下部の間
    隙部から焼入れ油を流入上昇せしめ、該焼入枠上端より
    前記焼入れ槽内にオ−バ−フロ−させつつ被処理品を冷
    却することを特徴とする鋼の焼入れ方法。
  2. 【請求項2】 焼入れ槽内のエレベ−タ昇降通路の外周
    位置に該焼入れ槽より一段低くさらに該焼入れ槽の底部
    と間隙をあけて焼入枠が設けられ、該焼入枠下部の間隙
    部の周囲に一回り大きく前記焼入れ槽の底部との間で密
    閉された副室が設けられ、該副室に焼入れ油の供給管が
    連結されてなることを特徴とする鋼の焼入れ装置。
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