JPH06234190A - 自動車燃料配管用ホース - Google Patents

自動車燃料配管用ホース

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JPH06234190A
JPH06234190A JP20901492A JP20901492A JPH06234190A JP H06234190 A JPH06234190 A JP H06234190A JP 20901492 A JP20901492 A JP 20901492A JP 20901492 A JP20901492 A JP 20901492A JP H06234190 A JPH06234190 A JP H06234190A
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JP
Japan
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layer
hose
intermediate layer
fluororesin
acid
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Pending
Application number
JP20901492A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Kodama
勉 小玉
Kazuhiro Kato
和宏 加藤
Eiichi Omi
栄一 大海
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
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Publication of JPH06234190A publication Critical patent/JPH06234190A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐サワーガソリン性,耐ガソリン透過性,耐
火災性等の性能に優れ、しかも低コストで煩雑な工程を
経由せずに得られる自動車燃料配管用ホースを提供す
る。 【構成】 フッ素系樹脂によって内層1が形成され、上
記内層1の外周に上記フッ素系樹脂以外の合成樹脂を用
いて中間層2が形成され、さらに上記中間層2の外周に
ゴム弾性材を用いて外層3が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ガソリン等の液体お
よび気体等の配管用に用いられる自動車燃料配管用ホー
スに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車等において使用される
燃料配管自身として、あるいはその連結用として用いら
れる燃料配管用ホースには、種々の材料およびこれを用
いて得られる様々な構造を有するものが使用されてい
る。例えば、(A)フッ素ゴム(FKM)を用いて形成
される最内層の外周に、エピクロルヒドリン−エチレン
オキサイド−アリルグリシジルエーテルの三元共重合体
(ECO),アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NB
R),クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等
のゴム材料からなる中間層が形成され、上記中間層の外
周に、ECOまたはCSMからなる最外層が形成され、
しかも上記中間層と最外層との間に補強糸の編組による
補強層が形成されたホースがあげられる。
【0003】一方、上記(A)のホースの他に、(B)
フッ素樹脂からなる最内層の外周に、ゴム材料からなる
中間層が形成され、さらに上記中間層の外周に、エチレ
ン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のゴム材料
からなる最外層が形成された都市ガス等のガスの輸送用
ホースが提案されている(特開昭62−171581号
公報)。上記ホースは、例えば液化天然ガス(LPG)
の輸送用として用いられ、使用時に高圧となることか
ら、耐圧性を向上させるために上記中間層と最外層との
間にブラスメッキワイヤーの補強層が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(A)のホースは、自動車燃料配管用ホースとしての各
種性能、例えば耐サワーガソリン性(ガソリンが高温で
酸化されパーオキサイドを含むようになり、このサワー
ガソリンに対する耐性),耐ガソリン透過性に優れては
いるが、製造上、各層の肉厚が一定厚み以上必要であ
り、高価なフッ素ゴムを多く使用することになりコスト
が高くなる、押出成形−編組−押出成形−加硫という
煩雑な工程を経由しなければならない等の問題を有して
いる。また、上記(B)のホースは、ガス用であるが、
これを例えば自動車の燃料配管用ホースに用いると、中
間層と最外層との間にワイヤーからなる補強層が形成さ
れているため、伝熱係数が大きくなり、例えば火災等が
生じ、この火災により発生する熱がホース内を通過する
ガソリンに伝達し、その結果、引火爆発等が生じるとい
う問題を有している。
【0005】この発明は、このような事情に鑑みなされ
もので、耐サワーガソリン性,耐ガソリン透過性,耐火
災性等の性能に優れ、しかも低コストで煩雑な工程を経
由せずに得られる自動車燃料配管用ホースの提供をその
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明の自動車燃料配管用ホースは、内層と、上
記内層の外周に形成された中間層と、上記中間層の外周
に形成された外層とを備えた自動車燃料配管用ホースで
あって、上記内層がフッ素系樹脂によって形成され、上
記中間層がフッ素系樹脂以外の合成樹脂によって形成さ
れ、上記外層がゴム弾性材によって形成されているとい
う構成をとる。
【0007】
【作用】すなわち、本発明者らは、燃料配管用ホースと
して要求される性能を低下させることなく、コストを低
く抑えるために一連の研究を重ねた。その結果、フッ素
系樹脂によって内層を形成し、上記内層の外周に上記フ
ッ素系樹脂以外の合成樹脂を用いて中間層を形成し、さ
らに上記中間層の外周にゴム弾性材を用いて外層を形成
すると、フッ素系樹脂を薄肉形成しても上記中間層にフ
ッ素系樹脂以外の合成樹脂を用いることで、耐圧性等の
強度を確保することができ、高価なフッ素系樹脂の使用
量を低減することができる。したがって、低コスト化が
図られ、各層の押出工程のみの連続製造工程で作製され
るため煩雑な工程を必要としなくなる。
【0008】つぎに、この発明を詳しく説明する。
【0009】この発明の自動車燃料配管用ホースは、フ
ッ素系樹脂で内層を形成し、上記内層の外周にフッ素系
樹脂以外の合成樹脂で中間層を形成し、上記中間層の外
周にゴム弾性材で外層を形成して得られる。
【0010】上記内層の形成材料としては、フッ素系樹
脂が用いられる。上記フッ素系樹脂としては、ポリビニ
リデンフルオライド(PVDF),ポリクロロトリフル
オロエチレン(CTFE),エチレンとクロロトリフル
オロエチレンの共重合体(ECTFE),エチレンとテ
トラフルオロエチレンの共重合体,ヘキサフルオロプロ
ピレンとテトラフルオロエチレンの共重合体(FE
P),フッ化アルコキシエチレン樹脂(PFA),ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE),エチレンとテト
ラフルオロエチレンの共重合体(ETFE)等があげら
れる。
【0011】上記中間層の形成材料には、上記フッ素系
樹脂以外の合成樹脂が用いられ、例えばポリアミド樹
脂,ポリエステル系樹脂があげられる。上記ポリアミド
樹脂としては、脂肪族系,芳香族系等特に限定するもの
ではなく、従来公知のものがあげられ、ラクタムの重合
物,ジアミンとジカルボン酸の縮合物,アミノ酸の重合
物およびこれらの共重合体およびブレンド物等があげら
れる。具体的には、ナイロン6,ナイロン11,ナイロ
ン12,ナイロン610,ナイロン612,ナイロン1
1またはナイロン12とナイロン666のブレンド体等
を用いるのが好適である。
【0012】また、上記ポリエステル系樹脂は、従来公
知の方法、すなわち、多価アルコールと多塩基酸との縮
合重合体により形成される。通常、ジオールとジカルボ
ン酸を縮合重合することにより得られる。
【0013】上記ジオールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、キ
シリレングリコール、ヘキサヒドロキシリレングリコー
ル、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スル
ホン等があげられる。
【0014】また、上記ジカルボン酸としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、4,4−ジフェニレンエーテルジカルボ
ン酸等の芳香族ジカルボン酸や、マロン酸、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二
酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二
酸、ヘキサデカン二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデカ
ン二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、エイコセ
ン二酸、1,10−ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジ
カルボン酸等があげられる。
【0015】なかでも、上記1,4−ブタンジオールと
テレフタル酸の縮合重合体であるポリブチレンテレフタ
レートが好適に用いられる。
【0016】上記外層の形成材料としては、ECO,C
SM,ゴム状塩素化ポリエチレン(CPE),アクリル
ゴム(ACM),クロロプレンゴム(CR),NBR−
塩化ビニル樹脂(PVC)の混合物,EPDM,イソブ
チレン−イソプレンゴム(IIR),ハロゲン化ブチル
ゴム等があげられる。
【0017】この発明の自動車燃料配管用ホースは、上
記各原料を用いて例えばつぎのようにして製造すること
ができる。すなわち、まず、フッ素系樹脂を用いてマン
ドレル上に押出成形機から押し出して内層管状体を得
る。つぎに、上記内層管状体の外周面に、フッ素系樹脂
以外の合成樹脂を押し出して中間層を形成する。そし
て、上記中間層の外周に、ゴム弾性材を押し出すことに
より外層を形成し、ついで加熱加硫によって一体化して
マンドレルを抜き取ることにより、3層構造の自動車燃
料配管用ホースを製造することができる。なお、上記マ
ンドレルは用いなくてもよい。また、上記3層構造を同
時に押し出して形成してもよい。この場合の加硫条件
は、通常、温度150〜160℃,時間30〜60分に
設定される。
【0018】このようにして得られる自動車燃料配管用
ホースを図1に示す。図において、1はフッ素系樹脂か
らなる内層、2はフッ素系樹脂以外の合成樹脂からなる
中間層、3はゴム弾性材からなる外層を示している。そ
して、この発明の自動車燃料配管用ホースにおいて、各
層の厚みは、内層1が50μm〜0.5mmの範囲内、
中間層2が0.6〜1.2mmの範囲内に、そして外層
3が0.5〜5mmの範囲内に設定することが好まし
い。特に好ましくは、内層1は0.2±0.1mm、中
間層2は0.8±0.2mm、外層3は2±1mmであ
る。このように、フッ素系樹脂を用いて形成される内層
1の厚みを薄肉に形成することにより低コスト化が実現
される。しかも、内層1の厚みを薄肉に形成しても、フ
ッ素系樹脂以外の合成樹脂からなる中間層2によって高
強度を付与することができる。
【0019】また、この発明の自動車燃料配管用ホース
の他の構成として、図2に示すように、上記フッ素系樹
脂によって形成される内層1と、フッ素系樹脂以外の合
成樹脂によって形成される中間層2との間に、接着層4
が形成されたものがあげられる。このように接着層4を
形成することで、内層1と中間層2の両者の接着性の向
上が図られる。上記接着層形成材料としては、フッ素系
樹脂とポリアミド系樹脂とのブレンド材料等があげられ
る。そして、上記接着層4は、一般に、内層1を形成し
たあとに、上記接着層形成材料を塗布することにより形
成される。また、内層1,接着層4,中間層2は同時に
押し出して形成してもよい。
【0020】さらに、この発明の自動車燃料配管用ホー
スの他の構成として、得られる自動車燃料配管用ホース
の強度の向上のために、図3に示すように、フッ素系樹
脂以外の合成樹脂によって形成される中間層2と、ゴム
弾性材料からなる外層3との間に、補強糸の編組からな
る補強層5が形成されたものがあげられる。上記補強層
5は、ナイロン繊維,ポリエステル繊維,アラミド繊維
等の合成繊維や綿繊維等の天然繊維を主体とする糸のブ
レード編みやスパイラル編み等によって形成される。
【0021】そして、図4に示すように、上記内層1と
中間層2との間に接着層4が設けられ、かつ上記中間層
2とゴム弾性材からなる外層3との間に上記補強層5が
設けられたものがあげられる。上記接着層4および補強
層5の形成材料および層形成方法は、上記と同様であ
る。
【0022】また、上記接着層4の形成により内層1と
中間層2との接着性を向上させる以外に、例えば内層1
を形成した後、内層1表面に接着処理を施してもよい。
上記接着処理としては、火炎処理,コロナ処理,スパッ
タリング処理,フッ素を除去して表面を活性化させるN
a処理等があげられる。
【0023】
【発明の効果】以上のように、この発明の自動車燃料配
管用ホースは、フッ素系樹脂からなる内層と、上記内層
の外周に形成されるフッ素系樹脂以外の合成樹脂からな
る中間層と、上記中間層の外周に形成されるゴム弾性材
からなる外層とを備えている。このため、耐ガソリン透
過性,耐サワーガソリン性,強度等に優れている。しか
も、上記形成材料からなる中間層によって全体の強度を
保持することが可能となり、耐火災性に優れ、かつ高価
なフッ素系樹脂の使用量を抑制することができる。した
がって、低コスト化が実現する。さらに、構成が簡単で
あり、煩雑な工程を経由する必要がなく、より高価な原
料の使用量抑制と相俟って一層の低コスト化が実現す
る。
【0024】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0025】
【実施例1,2】下記の表1に示す材料を用い、前記の
製法に従って目的とする3層構造の自動車燃料配管用ホ
ース(内径6mm)を作製した。
【0026】
【表1】
【0027】
【実施例3】内層と中間層との間に、フッ素系樹脂(P
VDF)とナイロンとの混合物からなる接着剤を用いて
従来公知の方法により接着層を形成した。それ以外は実
施例1と同様にして図2に示す構造の自動車燃料配管用
ホース(内径6mm)を作製した。
【0028】
【実施例4】中間層と外層との間に、ナイロン糸を用い
てスパイラル編みによる補強層を形成した。それ以外は
実施例1と同様にして図3に示す構造の自動車燃料配管
用ホース(内径6mm)を作製した。
【0029】
【実施例5】内層と中間層との間に、フッ素系樹脂(P
VDF)とナイロンとの混合物からなる接着剤を用いて
従来公知の方法により接着層を形成し、ついで中間層と
外層との間に、ナイロン糸を用いてスパイラル編みによ
る繊維補強層をそれぞれ形成した。それ以外は実施例1
と同様にして図4に示す構造の自動車燃料配管用ホース
(内径6mm)を作製した。
【0030】
【比較例】下記の表2に示す材料を用いた。そして、下
記の材料のうち最内層形成材料および中間層形成材料を
用いて押出機によって2層を同時に押出しながら2層構
造を作製し、さらに上記2層中間層の外周にブラスメッ
キワイヤーからなる補強層を従来公知の方法により形成
した。ついで、補強層の外周に下記の表2に示す材料を
用いて最外層を形成した。このようにしてホースを得
た。
【0031】
【表2】
【0032】このようにして得られた実施例1〜5品お
よび比較例品のホースについて、破裂圧力,耐ガソリン
透過性,耐サワーガソリン性,耐火災性について測定,
評価した。その結果を下記の表3〜表4に示す。なお、
上記特性は下記の評価方法にしたがって測定した。
【0033】〔破裂圧力〕ホースが破裂するまで連続加
圧(水圧)を行い、ホースが破裂またはピンホールによ
る漏れの発生までの最高圧力を測定した。
【0034】〔耐ガソリン透過性〕試験用ガソリンと、
試験用ガソリンとメタノールを50:50(容量比)の
割合で混合した混合ガソリンの2種類を準備した。そし
て、これらを各ホース内に封入し、40℃の温度下に放
置して、その重量減少量(g/m2 ・day)を測定し
た。一方、実施例品および比較例品のホースと同一内径
で、内層がフッ素系ゴム(FKM)、中間層がECO
で、上記中間層の外周にECOからなる最外層が形成さ
れ、かつ上記中間層と最外層との間に補強糸からなる補
強層が形成された従来のホースを用いて上記と同様の測
定をした。そして、上記従来のホースの測定値を1と
し、これを基準に上記実施例品および比較例品のホース
の耐ガソリン透過性を表示した。
【0035】〔耐サワーガソリン性〕ホースの中をサワ
ーガソリンを循環させ、ホース内面に発生するクラック
等の異常を確認した。条件は、温度40〜60℃、循環
圧力は25kgf/cm2 であった。その結果、全く異
常が確認されなかったものを◎、ほとんど異常が確認さ
れなかったものを○、異常が確認されたものを×とし
た。
【0036】〔耐火災性〕3〜4kgf/cm2 にエア
ー加圧したホースに700〜800℃の火炎を接炎して
からバーストするまでの時間を測定した。そして、その
結果、従来のものよりも長かった○、従来と同等のもの
を×とした。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】上記表3の結果から、比較例品は耐火災性
に劣っていることがわかる。これに対して、実施例品は
いずれも耐ガソリン透過性,耐サワーガソリン性および
耐火災性に対して優れた性能を有していることがわか
る。しかも、最内層であるフッ素系樹脂の厚みが薄いま
まで上記のような良好な性能を有しており、高価なフッ
素系樹脂の使用量を抑制することでき、低コスト化を図
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の自動車燃料配管用ホースを示す断面
図である。
【図2】この発明の自動車燃料配管用ホースの他の構成
を示す断面図である。
【図3】この発明の自動車燃料配管用ホースのさらに他
の構成を示す断面図である。
【図4】この発明の自動車燃料配管用ホースの他の構成
を示す断面図である。
【符号の説明】
1 内層 2 中間層 3 外層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年8月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ガソリン等の液体お
よび気体等の配管用に用いられる自動車燃料配管用ホー
スに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車等において使用される
燃料配管自身として、あるいはその連結用として用いら
れる燃料配管用ホースには、種々の材料およびこれを用
いて得られる様々な構造を有するものが使用されてい
る。例えば、(A)フッ素ゴム(FKM)を用いて形成
される最内層の外周に、エピクロルヒドリン−エチレン
オキサイド−アリルグリシジルエーテルの三元共重合体
(ECO),アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NB
R),クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等
のゴム材料からなる中間層が形成され、上記中間層の外
周に、ECOまたはCSMからなる最外層が形成され、
しかも上記中間層と最外層との間に補強糸の編組による
補強層が形成されたホースがあげられる。
【0003】一方、上記(A)のホースの他に、(B)
フッ素樹脂からなる最内層の外周に、ゴム材料からなる
中間層が形成され、さらに上記中間層の外周に、エチレ
ン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のゴム材料
からなる最外層が形成された都市ガス等のガスの輸送用
ホースが提案されている(特開昭62−171581号
公報)。上記ホースは、例えば液化天然ガス(LPG)
の輸送用として用いられ、使用時に高圧となることか
ら、耐圧性を向上させるために上記中間層と最外層との
間にブラスメッキワイヤーの補強層が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(A)のホースは、自動車燃料配管用ホースとしての各
種性能、例えば耐サワーガソリン性(ガソリンが高温で
酸化されパーオキサイドを含むようになり、このサワー
ガソリンに対する耐性),耐ガソリン透過性に優れては
いるが、製造上、各層の肉厚が一定厚み以上必要であ
り、高価なフッ素ゴムを多く使用することになりコスト
が高くなる、押出成形−編組−押出成形−加硫という
煩雑な工程を経由しなければならない等の問題を有して
いる。また、上記(B)のホースは、ガス用であるが、
これを例えば自動車の燃料配管用ホースに用いると、中
間層と最外層との間にワイヤーからなる補強層が形成さ
れているため、伝熱係数が大きくなり、例えば火災等が
生じ、この火災により発生する熱がホース内を通過する
ガソリンに伝達し、その結果、引火爆発等が生じるとい
う問題を有している。
【0005】この発明は、このような事情に鑑みなされ
もので、耐サワーガソリン性,耐ガソリン透過性,耐火
災性等の性能に優れ、しかも低コストで煩雑な工程を経
由せずに得られる自動車燃料配管用ホースの提供をその
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明の自動車燃料配管用ホースは、内層と、上
記内層の外周に形成された中間層と、上記中間層の外周
に形成された外層とを備えた自動車燃料配管用ホースで
あって、上記内層がフッ素系樹脂によって形成され、上
記中間層がフッ素系樹脂以外の合成樹脂によって形成さ
れ、上記外層がゴム弾性材によって形成されているとい
う構成をとる。
【0007】
【作用】すなわち、本発明者らは、燃料配管用ホースと
して要求される性能を低下させることなく、コストを低
く抑えるために一連の研究を重ねた。その結果、フッ素
系樹脂によって内層を形成し、上記内層の外周に上記フ
ッ素系樹脂以外の合成樹脂を用いて中間層を形成し、さ
らに上記中間層の外周にゴム弾性材を用いて外層を形成
すると、フッ素系樹脂を薄肉形成しても上記中間層にフ
ッ素系樹脂以外の合成樹脂を用いることで、耐圧性等の
強度を確保することができ、高価なフッ素系樹脂の使用
量を低減することができる。したがって、低コスト化が
図られ、各層の押出工程のみの連続製造工程で作製され
るため煩雑な工程を必要としなくなる。
【0008】つぎに、この発明を詳しく説明する。
【0009】この発明の自動車燃料配管用ホースは、フ
ッ素系樹脂で内層を形成し、上記内層の外周にフッ素系
樹脂以外の合成樹脂で中間層を形成し、上記中間層の外
周にゴム弾性材で外層を形成して得られる。
【0010】上記内層の形成材料としては、フッ素系樹
脂が用いられる。上記フッ素系樹脂としては、ポリビニ
リデンフルオライド(PVDF),ポリクロロトリフル
オロエチレン(CTFE),エチレンとクロロトリフル
オロエチレンの共重合体(ECTFE),エチレンとテ
トラフルオロエチレンの共重合体,ヘキサフルオロプロ
ピレンとテトラフルオロエチレンの共重合体(FE
P),フッ化アルコキシエチレン樹脂(PFA),ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE),エチレンとテト
ラフルオロエチレンの共重合体(ETFE)等があげら
れる。
【0011】上記中間層の形成材料には、上記フッ素系
樹脂以外の合成樹脂が用いられ、例えばポリアミド樹
脂,ポリエステル系樹脂があげられる。上記ポリアミド
樹脂としては、脂肪族系,芳香族系等特に限定するもの
ではなく、従来公知のものがあげられ、ラクタムの重合
物,ジアミンとジカルボン酸の縮合物,アミノ酸の重合
物およびこれらの共重合体およびブレンド物等があげら
れる。具体的には、ナイロン6,ナイロン11,ナイロ
ン12,ナイロン610,ナイロン612,ナイロン1
1またはナイロン12とナイロン666のブレンド体等
を用いるのが好適である。
【0012】また、上記ポリエステル系樹脂は、従来公
知の方法、すなわち、多価アルコールと多塩基酸との縮
合重合体により形成される。通常、ジオールとジカルボ
ン酸を縮合重合することにより得られる。
【0013】上記ジオールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、キ
シリレングリコール、ヘキサヒドロキシリレングリコー
ル、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スル
ホン等があげられる。
【0014】また、上記ジカルボン酸としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、4,4−ジフェニレンエーテルジカルボ
ン酸等の芳香族ジカルボン酸や、マロン酸、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二
酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二
酸、ヘキサデカン二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデカ
ン二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、エイコセ
ン二酸、1,10−ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジ
カルボン酸等があげられる。
【0015】なかでも、上記1,4−ブタンジオールと
テレフタル酸の縮合重合体であるポリブチレンテレフタ
レートが好適に用いられる。
【0016】上記外層の形成材料としては、ECO,C
SM,ゴム状塩素化ポリエチレン(CPE),アクリル
ゴム(ACM),クロロプレンゴム(CR),NBR−
塩化ビニル樹脂(PVC)の混合物,EPDM,イソブ
チレン−イソプレンゴム(IIR),ハロゲン化ブチル
ゴム等があげられる。
【0017】この発明の自動車燃料配管用ホースは、上
記各原料を用いて例えばつぎのようにして製造すること
ができる。すなわち、まず、フッ素系樹脂を用いてマン
ドレル上に押出成形機から押し出して内層管状体を得
る。つぎに、上記内層管状体の外周面に、フッ素系樹脂
以外の合成樹脂を押し出して中間層を形成する。そし
て、上記中間層の外周に、ゴム弾性材を押し出すことに
より外層を形成し、ついで加熱加硫によって一体化して
マンドレルを抜き取ることにより、3層構造の自動車燃
料配管用ホースを製造することができる。なお、上記マ
ンドレルは用いなくてもよい。また、上記3層構造を同
時に押し出して形成してもよい。この場合の加硫条件
は、通常、温度150〜160℃,時間30〜60分に
設定される。
【0018】このようにして得られる自動車燃料配管用
ホースを図1に示す。図において、1はフッ素系樹脂か
らなる内層、2はフッ素系樹脂以外の合成樹脂からなる
中間層、3はゴム弾性材からなる外層を示している。そ
して、この発明の自動車燃料配管用ホースにおいて、各
層の厚みは、内層1が50μm〜0.5mmの範囲内、
中間層2が0.6〜1.2mmの範囲内に、そして外層
3が0.5〜5mmの範囲内に設定することが好まし
い。特に好ましくは、内層1は0.2±0.1mm、中
間層2は0.8±0.2mm、外層3は2±1mmであ
る。このように、フッ素系樹脂を用いて形成される内層
1の厚みを薄肉に形成することにより低コスト化が実現
される。しかも、内層1の厚みを薄肉に形成しても、フ
ッ素系樹脂以外の合成樹脂からなる中間層2によって高
強度を付与することができる。
【0019】また、この発明の自動車燃料配管用ホース
の他の構成として、図2に示すように、上記フッ素系樹
脂によって形成される内層1と、フッ素系樹脂以外の合
成樹脂によって形成される中間層2との間に、接着層4
が形成されたものがあげられる。このように接着層4を
形成することで、内層1と中間層2の両者の接着性の向
上が図られる。上記接着層形成材料としては、フッ素系
樹脂とポリアミド系樹脂とのブレンド材料等があげられ
る。そして、上記接着層4は、一般に、内層1を形成し
たあとに、上記接着層形成材料を塗布することにより形
成される。また、内層1,接着層4,中間層2は同時に
押し出して形成してもよい。
【0020】さらに、この発明の自動車燃料配管用ホー
スの他の構成として、得られる自動車燃料配管用ホース
の強度の向上のために、図3に示すように、フッ素系樹
脂以外の合成樹脂によって形成される中間層2と、ゴム
弾性材料からなる外層3との間に、補強糸の編組からな
る補強層5が形成されたものがあげられる。上記補強層
5は、ナイロン繊維,ポリエステル繊維,アラミド繊維
等の合成繊維や綿繊維等の天然繊維を主体とする糸のブ
レード編みやスパイラル編み等によって形成される。
【0021】そして、図4に示すように、上記内層1と
中間層2との間に接着層4が設けられ、かつ上記中間層
2とゴム弾性材からなる外層3との間に上記補強層5が
設けられたものがあげられる。上記接着層4および補強
層5の形成材料および層形成方法は、上記と同様であ
る。
【0022】また、上記接着層4の形成により内層1と
中間層2との接着性を向上させる以外に、例えば内層1
を形成した後、内層1表面に接着処理を施してもよい。
上記接着処理としては、火炎処理,コロナ処理,スパッ
タリング処理,フッ素を除去して表面を活性化させるN
a処理等があげられる。
【0023】
【発明の効果】以上のように、この発明の自動車燃料配
管用ホースは、フッ素系樹脂からなる内層と、上記内層
の外周に形成されるフッ素系樹脂以外の合成樹脂からな
る中間層と、上記中間層の外周に形成されるゴム弾性材
からなる外層とを備えている。このため、耐ガソリン透
過性,耐サワーガソリン性,強度等に優れている。しか
も、上記形成材料からなる中間層によって全体の強度を
保持することが可能となり、耐火災性に優れ、かつ高価
なフッ素系樹脂の使用量を抑制することができる。した
がって、低コスト化が実現する。さらに、構成が簡単で
あり、煩雑な工程を経由する必要がなく、より高価な原
料の使用量抑制と相俟って一層の低コスト化が実現す
る。
【0024】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0025】
【実施例1,2】下記の表1に示す材料を用い、前記の
製法に従って目的とする3層構造の自動車燃料配管用ホ
ース(内径6mm)を作製した。
【0026】
【表1】
【0027】
【実施例3】内層と中間層との間に、フッ素系樹脂(P
VDF)とナイロンとの混合物からなる接着剤を用いて
従来公知の方法により接着層を形成した。それ以外は実
施例1と同様にして図2に示す構造の自動車燃料配管用
ホース(内径6mm)を作製した。
【0028】
【実施例4】中間層と外層との間に、ナイロン糸を用い
てスパイラル編みによる補強層を形成した。それ以外は
実施例1と同様にして図3に示す構造の自動車燃料配管
用ホース(内径6mm)を作製した。
【0029】
【実施例5】内層と中間層との間に、フッ素系樹脂(P
VDF)とナイロンとの混合物からなる接着剤を用いて
従来公知の方法により接着層を形成し、ついで中間層と
外層との間に、ナイロン糸を用いてスパイラル編みによ
る繊維補強層をそれぞれ形成した。それ以外は実施例1
と同様にして図4に示す構造の自動車燃料配管用ホース
(内径6mm)を作製した。
【0030】
【比較例】下記の表2に示す材料を用いた。そして、下
記の材料のうち最内層形成材料および中間層形成材料を
用いて押出機によって2層を同時に押出しながら2層構
造を作製し、さらに上記2層中間層の外周にブラスメッ
キワイヤーからなる補強層を従来公知の方法により形成
した。ついで、補強層の外周に下記の表2に示す材料を
用いて最外層を形成した。このようにしてホースを得
た。
【0031】
【表2】
【0032】このようにして得られた実施例1〜5品お
よび比較例品のホースについて、破裂圧力,耐ガソリン
透過性,耐サワーガソリン性,耐火災性について測定,
評価した。その結果を下記の表3〜表4に示す。なお、
上記特性は下記の評価方法にしたがって測定した。
【0033】〔破裂圧力〕ホースが破裂するまで連続加
圧(水圧)を行い、ホースが破裂またはピンホールによ
る漏れの発生までの最高圧力を測定した。
【0034】〔耐ガソリン透過性〕試験用ガソリンと、
試験用ガソリンとメタノールを50:50(容量比)の
割合で混合した混合ガソリンの2種類を準備した。そし
て、これらを各ホース内に封入し、40℃の温度下に放
置して、その重量減少量(g/m2 ・day)を測定し
た。一方、実施例品および比較例品のホースと同一内径
で、内層がフッ素系ゴム(FKM)、中間層がECO
で、上記中間層の外周にECOからなる最外層が形成さ
れ、かつ上記中間層と最外層との間に補強糸からなる補
強層が形成された従来のホースを用いて上記と同様の測
定をした。そして、上記従来のホースの測定値を1と
し、これを基準に上記実施例品および比較例品のホース
の耐ガソリン透過性を表示した。
【0035】〔耐サワーガソリン性〕ホースの中をサワ
ーガソリンを循環させ、ホース内面に発生するクラック
等の異常を確認した。条件は、温度40〜60℃、循環
圧力は2.5kgf/cm2であった。その結果、全く
異常が確認されなかったものを◎、ほとんど異常が確認
されなかったものを○、異常が確認されたものを×とし
た。
【0036】〔耐火災性〕3〜4kgf/cm2 にエア
ー加圧したホースに700〜800℃の火炎を接炎して
からバーストするまでの時間を測定した。そして、その
結果、従来のものよりも長かったものを○、従来と同等
のものを×とした。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】上記表3の結果から、比較例品は耐火災性
に劣っていることがわかる。これに対して、実施例品は
いずれも耐ガソリン透過性,耐サワーガソリン性および
耐火災性に対して優れた性能を有していることがわか
る。しかも、最内層であるフッ素系樹脂の厚みが薄いま
まで上記のような良好な性能を有しており、高価なフッ
素系樹脂の使用量を抑制することでき、低コスト化を図
ることが可能となる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の自動車燃料配管用ホースを示す断面
図である。
【図2】この発明の自動車燃料配管用ホースの他の構成
を示す断面図である。
【図3】この発明の自動車燃料配管用ホースのさらに他
の構成を示す断面図である。
【図4】この発明の自動車燃料配管用ホースの他の構成
を示す断面図である。
【符号の説明】 1 内層 2 中間層 3 外層 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年8月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車燃料配管用ホ
ースに関するものある。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車等において使用される
燃料配管自身として、あるいはその連結用として用いら
れる燃料配管用ホースには、種々の材料およびこれを用
いて得られる様々な構造を有するものが使用されてい
る。例えば、ポリアミド樹脂単層で構成されたホース
や、フッ素系樹脂層の外周にワイヤーのブレード編みに
よる補強層が形成されたホースが知られている。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】上記ポリアミド樹脂単層で構成されたホー
スは、高温によりパーオキサイドが発生したガソリンに
対する耐性(以下「耐サワーガソリン性」と略す)、耐
ガソリン透過性(アルコール混合ガソリンも含む)、配
管時に他のホースとの接触による摩耗に対する耐性(以
下「耐干渉性」と略す)、自動車走行時の石跳ね等物理
的衝撃に対する耐性(以下「耐衝撃性」と略す)の問題
を有している。さらに、上記ポリアミド樹脂単層のホー
スは、ガソリン等の燃料液とホース内壁との摩擦による
静電気が生じホース内壁が帯電する。そして、一定以上
の電圧になるとホースと車体等の金属部分との間におい
てスパークし、その火花によりホースに穴が生じる、あ
るいはその火花が燃料に引火する恐れがあるという耐発
火性の問題も有している。
【0004】一方、上記フッ素系樹脂層の外周にワイヤ
ーのブレード編みによる補強層が形成されたホースは、
そのフッ素系樹脂層が耐サワーガソリン性、耐ガソリン
透過性を備え、しかもその外周にはワイヤーのブレード
編みによる補強層が形成されているため良好な耐干渉性
および耐衝撃性を有している。しかしながら、上記最内
層がフッ素系樹脂のホースは、上記ポリアミド樹脂単層
のホースの場合と同様に耐発火性の問題を有している。
【0005】この発明は、このような事情に鑑みなされ
たもので、耐サワーガソリン性,耐ガソリン透過性,耐
干渉性,耐衝撃性はもちろん、耐発火性に優れた自動車
燃料配管用ホースを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】上記目的を達成するために、この発明の自
動車燃料配管用ホースは、合成樹脂製最内層を備え、上
記合成樹脂製最内層が導電性を付与されているという構
成をとる。
【作用】
【0007】すなわち、本発明者らは、自動車燃料用配
管ホースのスパークの原因であるホース内壁の帯電を防
ぐ手段について研究を重ねた結果、燃料と接触するホー
スの最内層に導電性が付与されると、燃料とホース内壁
との摩擦により発生する静電気は常にそのホースの両端
部から逃れるため、ホース内壁は帯電せず、その結果、
静電気によるスパークが発生しないことを見出し、この
発明に到達した。
【0008】つぎに、この発明を詳しく説明する。
【0009】この発明の自動車燃料配管用ホースは、合
成樹脂製最内層を備えたものであって、しかも上記合成
樹脂製最内層が導電性を付与されている。例えば、導電
性が付与されたフッ素系樹脂で形成された最内層、その
外周を上記フッ素系樹脂以外の合成樹脂で形成された中
間層、さらにその中間層の外周をゴム弾性材で形成され
た外層の三層で構成された自動車燃料配管用ホースがあ
げられる。
【0010】上記導電性が付与されたフッ素系樹脂は、
例えば導電剤が分散されることにより得られ、体積抵抗
率が1010Ω・cm以下となるように設定される。上記
フッ素系樹脂としては、ポリビニリデンフルオライド
(PVDF),ポリクロロトリフルオロエチレン(CT
FE),エチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重
合体(ECTFE),エチレンとテトラフルオロエチレ
ンの共重合体(ETFE),ヘキサフルオロプロピレン
とテトラフルオロエチレンの共重合体(FEP),フッ
化アルコキシエチレン樹脂(PFA),ポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)等があげられる。また、上記
導電剤としては、カーボンブラック,微細なステンレス
繊維等があげられる。
【0011】上記中間層の形成材料としては、フッ素系
樹脂以外の合成樹脂が用いられ、具体的にはポリアミド
樹脂あるいはポリエステル系樹脂が用いられる。上記ポ
リアミド樹脂としては、脂肪族系,芳香族系等特に限定
するものではなく、従来公知のものがあげられ、ラクタ
ムの重合物,ジアミンとジカルボン酸の縮合物,アミノ
酸の重合物およびこれらの共重合体およびブレンド物等
があげられる。具体的には、ナイロン6,ナイロン1
1,ナイロン12,ナイロン610,ナイロン612,
ナイロン11またはナイロン12とナイロン66のブレ
ンド体等を用いるのが好適である。
【0012】また、上記ポリエステル系樹脂は、従来公
知の方法、すなわち、多価アルコールと多塩基酸との縮
合重合により形成される。通常、ジオールとジカルボン
酸を縮合重合することにより得られる。
【0013】上記ジオールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、キ
シリレングリコール、ヘキサヒドロキシリレングリコー
ル、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スル
ホン等があげられる。
【0014】また、上記ジカルボン酸としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、4,4−ジフェニレンエーテルジカルボ
ン酸等の芳香族ジカルボン酸や、マロン酸、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二
酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二
酸、ヘキサデカン二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデカ
ン二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、エイコセ
ン二酸、1,10−ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジ
カルボン酸等があげられる。
【0015】なかでも、上記1,4−ブタンジオールと
テレフタル酸の縮合重合体であるポリブチレンテレフタ
レートを用いることが好ましい。
【0016】上記外層の形成材料としては、ECO,C
SM,ゴム状塩素化ポリエチレン(CPE),アクリル
ゴム(ACM),クロロプレンゴム(CR),NBR−
塩化ビニル樹脂(PVC)の混合物,EPDM,イソブ
チレン−イソプレンゴム(IIR),ハロゲン化ブチル
ゴム等があげられる。
【0017】この発明の自動車燃料用配管ホースは、上
記各原料を用いて例えばつぎのようにして製造すること
ができる。まず、フッ素系樹脂に導電剤を配合し、混合
する。ついで、上記フッ素系樹脂をマンドレル上に押出
成形機から押し出して最内層管状体を得る。つぎに、上
記最内層管状体の外周面に、ポリアミド樹脂もしくはポ
リエステル系樹脂を押し出して中間層を形成する。そし
て、上記中間層の外周面に、ゴム弾性材を押し出すこと
により外層を形成し、ついで加熱加硫によって一体化し
てマンドレルを抜き取ることにより、三層構造の自動車
燃料配管用ホースを製造することができる。なお、上記
マンドレルは用いなくてもよい。また、上記三層を同時
に押し出し形成してもよい。この場合の加硫条件は、通
常、温度150〜160℃,時間30〜60分に設定さ
れる。また、上記導電剤の配合量は、前記のように体積
抵抗率が1010Ω・cm以下となるように設定すること
が好ましく、フッ素系樹脂100重量部(以下「部」と
略す)に対して導電剤を8〜16部に設定することが好
ましい。
【0018】このようにして得られる自動車燃料配管用
ホースを図1に示す。図において、1は導電剤が分散さ
れた体積抵抗率1010Ω・cm以下のフッ素系樹脂から
なる最内層、2はポリアミド樹脂もしくはポリエステル
系樹脂からなる中間層、3はゴム弾性材からなる外層を
示している。そして、この発明の自動車燃料配管用ホー
スにおいて、各層の厚みは、最内層1が50μm〜0.
5mmの範囲内、中間層2が0.6〜1.2mmの範囲
内に、そして外層3が0.5〜5mmの範囲内に設定す
ることが好ましい。特に好ましくは、最内層1は0.2
±0.1mm、中間層2は0.8±0.2mm、外層3
は2±1mmである。このように、高価なフッ素系樹脂
を用いて形成される最内層1の厚みを薄肉に形成するこ
とにより低コスト化が実現される。しかも、最内層1の
厚みを薄肉に形成しても、ポリアミド樹脂もしくはポリ
エステル系樹脂からなる中間層2およびゴム弾性材から
なる外層3によって高強度を付与することができる。
【0019】このようにして得られる自動車燃料配管用
ホースは、最内層1にフッ素系樹脂を用いることによ
り、耐ガソリン透過性,耐サワーガソリン性を備えるこ
とが可能である。そして、中間層2および外層3を設
け、それぞれに上記形成材料を用いることによりホース
全体の強度が向上し、耐干渉性,耐衝撃性も備えること
が可能となり、しかも、このような三層構造をとること
により、高価なフッ素系樹脂により形成された最内層1
を薄肉化することができ、低コスト化を図ることができ
る。さらに、このような三層構造は構成が簡単であり、
煩雑な工程を経由する必要はなく、より一層の低コスト
化が実現する。
【0020】また、この発明の自動車燃料配管用ホース
の他の構成として、図2に示すように、上記フッ素系樹
脂によって形成される最内層1と、ポリアミド樹脂もし
くはポリエステル系樹脂によって形成される中間層2と
の間に、接着層4が形成されたものがあげられる。この
ように接着層4を形成することで、最内層1と中間層2
の両者の接着性の向上が図られる。上記接着層形成材料
としては、フッ素系樹脂とポリアミド系樹脂とのブレン
ド材料等があげられる。そして、上記接着層4は、一般
に、最内層1を形成したあとに、上記接着層形成材料を
塗布することにより形成される。または、最内層1,接
着層4,中間層2を同時に押し出すことによっても形成
することができる。
【0021】さらに、この発明の自動車燃料配管用ホー
スの他の構成として、得られる自動車燃料配管用ホース
の強度の向上のために、図3に示すように、ポリアミド
樹脂もしくはポリエステル系樹脂によって形成される中
間層2と、ゴム弾性材からなる外層3との間に、補強糸
の編組からなる繊維補強層5が形成されたものがあげら
れる。上記繊維補強層5は、ナイロン繊維,ポリエステ
ル繊維,アラミド繊維等の合成繊維や綿繊維等の天然繊
維を主体とする糸のブレード編みやスパイラル編み等に
よって形成される。
【0022】そして、図4に示すように、上記最内層1
と中間層2との間に接着層4が設けられ、かつ上記中間
層2とゴム弾性材からなる外層3との間に上記繊維補強
層5が設けられたものがあげられる。上記接着層4およ
び繊維補強層5の形成材料および層形成方法は、上記と
同様である。
【0023】また、上記接着層4の形成により最内層1
と中間層2との接着性を向上させる以外に、例えば最内
層1を形成した後、最内層1の外周面に接着処理を施し
てもよい。上記接着処理としては、火炎処理,コロナ処
理,スパッタリング処理,フッ素を除去して表面を活性
化させるNa処理等があげられる。
【0024】
【発明の効果】以上のように、この発明の自動車燃料配
管用ホースは、導電性を付与した合成樹脂をその最内層
に使用してなるものである。このため、ガソリン等の燃
料液とホース内壁との摩擦により発生する静電気は常に
そのホース両端部から逃れ、ホース内壁は帯電しないの
でスパークの発生を防ぐことができる。したがって、こ
の発明の自動車燃料配管用ホースは耐発火性に優れてい
る。
【0025】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0026】
【実施例1〜3】まず、導電剤としてカーボンブラック
を用い、下記の表1,2に示す配合量でフッ素樹脂に配
合した。ついで、下記の表1,2に示す材料により、前
記の製法に従って目的とする三層構造の自動車燃料配管
用ホース(内径6mm)を作製した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【実施例4】最内層と中間層との間に、フッ素系樹脂
(PVDF)とナイロンとの混合物からなる接着剤を用
いて従来公知の方法により接着層を形成した。それ以外
は実施例1と同様にして図2に示す構造の自動車燃料配
管用ホース(内径6mm)を作成した。
【0030】
【実施例5】中間層と外層との間に、ナイロン糸を用い
てスパイラル編みによる繊維補強層を形成した。それ以
外は実施例1と同様にして図3に示す構造の自動車燃料
配管用ホース(内径6mm)を作成した。
【0031】
【実施例6】最内層と中間層との間に、フッ素系樹脂
(PVDF)とナイロンとの混合物からなる接着剤を用
いて従来公知の方法による接着層と、中間層と外層との
間に、ナイロン糸を用いてスパイラル編みによる繊維補
強層をそれぞれ形成した。それ以外は実施例1と同様に
して図4に示す構造の自動車燃料配管用ホース(内径6
mm)を作成した。
【0032】
【比較例1】下記の表3に示す材料を押出機により押出
しホースを作製した。
【0033】
【比較例2】下記の表3に示す材料を押出機により押出
し最内層を作成し、その外周にワイヤーのブレード編み
による補強層を従来公知の方法により形成した。このよ
うにしてホースを得た。
【0034】
【表3】
【0035】このようにして得られた実施例1〜6およ
び比較例1,2のホースについて、破裂圧力,耐ガソリ
ン透過性,耐サワーガソリン性,耐発火性について測
定,評価した。その結果を下記の表4〜6に示す。な
お、上記特性は下記の評価方法にしたがって測定した。
【0036】〔破裂圧力〕ホースが破裂するまで連続加
圧(水圧)を行い、ホースが破裂またはピンホールによ
る漏れの発生までの最高圧力を測定した。
【0037】〔耐ガソリン透過性〕試験用ガソリンと、
試験用ガソリンとメタノールを50:50(容積比)の
割合で混合した混合ガソリンの2種類を準備した。そし
て、これらを各ホース内に封入し、40℃の温度下に放
置して、その重量減少量(g/m2 ・day)を測定し
た。一方、実施例品および比較例品のホースと同一内径
で、最内層がフッ素系ゴム(FKM)、中間層がECO
で、上記中間層の外周にECOからなる外層が形成さ
れ、かつ上記中間層と外層との間に補強糸からなる補強
層が形成された従来のホースを用いて上記と同様の測定
をした。そして、上記従来のホースの測定値を1とし、
これを基準に上記実施例品および比較例品のホースの耐
ガソリン透過性を表示した。
【0038】〔耐サワーガソリン性〕ホースの中をサワ
ーガソリンを循環させ、ホース内面に発生するクッラク
等の異常を確認した。条件は、温度40〜60℃、循環
圧力は2.5kgf/cm2であった。その結果、全く
異常が確認されなかったものを◎、ほとんど異常が確認
されなかったものを○、僅かに異常が確認されたものを
△、異常が確認されたものを×とした。
【0039】〔電気抵抗〕JIS(K−6911)に従
い、体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。
【0040】〔耐発火性〕ホースに30〜50kVの電
荷を与え、金属針を近づけ、スパーク現象を確認した。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】上記表6の結果から、比較例品は耐発火性
に劣っていることがわかる。これに対して上記表4およ
び表5より、この発明の実施例品はいずれも耐ガソリン
透過性および耐サワーガソリン性において優れた性能を
有し、また、高強度を有しているので耐干渉性および耐
衝撃性にも優れていることがわかる。さらに、ホース最
内層が体積抵抗率1010Ω・cm以下の導電性が付与さ
れたフッ素系樹脂で形成されているので、耐発火性にお
いても優れた性能を備えている。しかも、最内層である
フッ素系樹脂を薄肉化しても上記のような良好な性能を
有しており、高価なフッ素系樹脂の使用量を抑制するこ
とができ、低コスト化をはかることが可能となる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の自動車燃料配管用ホースの一実施例
の構成を示す断面図である。
【図2】この発明の自動車燃料配管用ホースの他の実施
例の構成を示す断面図である。
【図3】この発明の自動車燃料配管用ホースのさらに他
の実施例の構成を示す断面図である。
【図4】この発明の自動車燃料配管用ホースの他の実施
例の構成を示す断面図である。
【符号の説明】 1 最内層 2 中間層 3 外層 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年8月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ガソリン等の液体お
よび気体等の配管用に用いられる自動車燃料配管用ホー
スに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車等において使用される
燃料配管自身として、あるいはその連結用として用いら
れる燃料配管用ホースには、種々の材料およびこれを用
いて得られる様々な構造を有するものが使用されてい
る。例えば、(A)フッ素ゴム(FKM)を用いて形成
される最内層の外周に、エピクロルヒドリン−エチレン
オキサイド−アリルグリシジルエーテルの三元共重合体
(ECO),アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NB
R),クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等
のゴム材料からなる中間層が形成され、上記中間層の外
周に、ECOまたはCSMからなる最外層が形成され、
しかも上記中間層と最外層との間に補強糸の編組による
補強層が形成されたホースがあげられる。
【0003】一方、上記(A)のホースの他に、(B)
フッ素樹脂からなる最内層の外周に、ゴム材料からなる
中間層が形成され、さらに上記中間層の外周に、エチレ
ン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のゴム材料
からなる最外層が形成された都市ガス等のガスの輸送用
ホースが提案されている(特開昭62−171581号
公報)。上記ホースは、例えば液化天然ガス(LPG)
の輸送用として用いられ、使用時に高圧となることか
ら、耐圧性を向上させるために上記中間層と最外層との
間にブラスメッキワイヤーの補強層が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(A)のホースは、自動車燃料配管用ホースとしての各
種性能、例えば耐サワーガソリン性(ガソリンが高温で
酸化されパーオキサイドを含むようになり、このサワー
ガソリンに対する耐性),耐ガソリン透過性に優れては
いるが、製造上、各層の肉厚が一定厚み以上必要であ
り、高価なフッ素ゴムを多く使用することになりコスト
が高くなる、押出成形−編組−押出成形−加硫という
煩雑な工程を経由しなければならない等の問題を有して
いる。また、上記(B)のホースは、ガス用であるが、
これを例えば自動車の燃料配管用ホースに用いると、中
間層と最外層との間にワイヤーからなる補強層が形成さ
れているため、伝熱係数が大きくなり、例えば火災等が
生じ、この火災により発生する熱がホース内を通過する
ガソリンに伝達し、その結果、引火爆発等が生じるとい
う問題を有している。
【0005】この発明は、このような事情に鑑みなされ
もので、耐サワーガソリン性,耐ガソリン透過性,耐火
災性等の性能に優れ、しかも低コストで煩雑な工程を経
由せずに得られる自動車燃料配管用ホースの提供をその
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明の自動車燃料配管用ホースは、内層と、上
記内層の外周に形成された中間層と、上記中間層の外周
に形成された外層とを備えた自動車燃料配管用ホースで
あって、上記内層がフッ素系樹脂によって形成され、上
記中間層がフッ素系樹脂以外の合成樹脂によって形成さ
れ、上記外層がゴム弾性材によって形成されているとい
う構成をとる。
【0007】
【作用】すなわち、本発明者らは、燃料配管用ホースと
して要求される性能を低下させることなく、コストを低
く抑えるために一連の研究を重ねた。その結果、フッ素
系樹脂によって内層を形成し、上記内層の外周に上記フ
ッ素系樹脂以外の合成樹脂を用いて中間層を形成し、さ
らに上記中間層の外周にゴム弾性材を用いて外層を形成
すると、フッ素系樹脂を薄肉形成しても上記中間層にフ
ッ素系樹脂以外の合成樹脂を用いることで、耐圧性等の
強度を確保することができ、高価なフッ素系樹脂の使用
量を低減することができる。したがって、低コスト化が
図られ、各層の押出工程のみの連続製造工程で作製され
るため煩雑な工程を必要としなくなる。
【0008】つぎに、この発明を詳しく説明する。
【0009】この発明の自動車燃料配管用ホースは、フ
ッ素系樹脂で内層を形成し、上記内層の外周にフッ素系
樹脂以外の合成樹脂で中間層を形成し、上記中間層の外
周にゴム弾性材で外層を形成して得られる。
【0010】上記内層の形成材料としては、フッ素系樹
脂が用いられる。上記フッ素系樹脂としては、ポリビニ
リデンフルオライド(PVDF),ポリクロロトリフル
オロエチレン(CTFE),エチレンとクロロトリフル
オロエチレンの共重合体(ECTFE),エチレンとテ
トラフルオロエチレンの共重合体,ヘキサフルオロプロ
ピレンとテトラフルオロエチレンの共重合体(FE
P),フッ化アルコキシエチレン樹脂(PFA),ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE),エチレンとテト
ラフルオロエチレンの共重合体(ETFE)等があげら
れる。
【0011】上記中間層の形成材料には、上記フッ素系
樹脂以外の合成樹脂が用いられ、例えばポリアミド樹
脂,ポリエステル系樹脂があげられる。上記ポリアミド
樹脂としては、脂肪族系,芳香族系等特に限定するもの
ではなく、従来公知のものがあげられ、ラクタムの重合
物,ジアミンとジカルボン酸の縮合物,アミノ酸の重合
物およびこれらの共重合体およびブレンド物等があげら
れる。具体的には、ナイロン6,ナイロン11,ナイロ
ン12,ナイロン610,ナイロン612,ナイロン1
1またはナイロン12とナイロン666のブレンド体等
を用いるのが好適である。
【0012】また、上記ポリエステル系樹脂は、従来公
知の方法、すなわち、多価アルコールと多塩基酸との縮
合重合体により形成される。通常、ジオールとジカルボ
ン酸を縮合重合することにより得られる。
【0013】上記ジオールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、キ
シリレングリコール、ヘキサヒドロキシリレングリコー
ル、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スル
ホン等があげられる。
【0014】また、上記ジカルボン酸としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、4,4−ジフェニレンエーテルジカルボ
ン酸等の芳香族ジカルボン酸や、マロン酸、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二
酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二
酸、ヘキサデカン二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデカ
ン二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、エイコセ
ン二酸、1,10−ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジ
カルボン酸等があげられる。
【0015】なかでも、上記1,4−ブタンジオールと
テレフタル酸の縮合重合体であるポリブチレンテレフタ
レートが好適に用いられる。
【0016】上記外層の形成材料としては、ECO,C
SM,ゴム状塩素化ポリエチレン(CPE),アクリル
ゴム(ACM),クロロプレンゴム(CR),NBR−
塩化ビニル樹脂(PVC)の混合物,EPDM,イソブ
チレン−イソプレンゴム(IIR),ハロゲン化ブチル
ゴム等があげられる。
【0017】この発明の自動車燃料配管用ホースは、上
記各原料を用いて例えばつぎのようにして製造すること
ができる。すなわち、まず、フッ素系樹脂を用いてマン
ドレル上に押出成形機から押し出して内層管状体を得
る。つぎに、上記内層管状体の外周面に、フッ素系樹脂
以外の合成樹脂を押し出して中間層を形成する。そし
て、上記中間層の外周に、ゴム弾性材を押し出すことに
より外層を形成し、ついで加熱加硫によって一体化して
マンドレルを抜き取ることにより、3層構造の自動車燃
料配管用ホースを製造することができる。なお、上記マ
ンドレルは用いなくてもよい。また、上記3層構造を同
時に押し出して形成してもよい。この場合の加硫条件
は、通常、温度150〜160℃,時間30〜60分に
設定される。
【0018】このようにして得られる自動車燃料配管用
ホースを図1に示す。図において、1はフッ素系樹脂か
らなる内層、2はフッ素系樹脂以外の合成樹脂からなる
中間層、3はゴム弾性材からなる外層を示している。そ
して、この発明の自動車燃料配管用ホースにおいて、各
層の厚みは、内層1が50μm〜0.5mmの範囲内、
中間層2が0.6〜1.2mmの範囲内に、そして外層
3が0.5〜5mmの範囲内に設定することが好まし
い。特に好ましくは、内層1は0.2±0.1mm、中
間層2は0.8±0.2mm、外層3は2±1mmであ
る。このように、フッ素系樹脂を用いて形成される内層
1の厚みを薄肉に形成することにより低コスト化が実現
される。しかも、内層1の厚みを薄肉に形成しても、フ
ッ素系樹脂以外の合成樹脂からなる中間層2によって高
強度を付与することができる。
【0019】また、この発明の自動車燃料配管用ホース
の他の構成として、図2に示すように、上記フッ素系樹
脂によって形成される内層1と、フッ素系樹脂以外の合
成樹脂によって形成される中間層2との間に、接着層4
が形成されたものがあげられる。このように接着層4を
形成することで、内層1と中間層2の両者の接着性の向
上が図られる。上記接着層形成材料としては、フッ素系
樹脂とポリアミド系樹脂とのブレンド材料等があげられ
る。そして、上記接着層4は、一般に、内層1を形成し
たあとに、上記接着層形成材料を塗布することにより形
成される。また、内層1,接着層4,中間層2は同時に
押し出して形成してもよい。
【0020】さらに、この発明の自動車燃料配管用ホー
スの他の構成として、得られる自動車燃料配管用ホース
の強度の向上のために、図3に示すように、フッ素系樹
脂以外の合成樹脂によって形成される中間層2と、ゴム
弾性材料からなる外層3との間に、補強糸の編組からな
る補強層5が形成されたものがあげられる。上記補強層
5は、ナイロン繊維,ポリエステル繊維,アラミド繊維
等の合成繊維や綿繊維等の天然繊維を主体とする糸のブ
レード編みやスパイラル編み等によって形成される。
【0021】そして、図4に示すように、上記内層1と
中間層2との間に接着層4が設けられ、かつ上記中間層
2とゴム弾性材からなる外層3との間に上記補強層5が
設けられたものがあげられる。上記接着層4および補強
層5の形成材料および層形成方法は、上記と同様であ
る。
【0022】また、上記接着層4の形成により内層1と
中間層2との接着性を向上させる以外に、例えば内層1
を形成した後、内層1表面に接着処理を施してもよい。
上記接着処理としては、火炎処理,コロナ処理,スパッ
タリング処理,フッ素を除去して表面を活性化させるN
a処理等があげられる。
【0023】
【発明の効果】以上のように、この発明の自動車燃料配
管用ホースは、フッ素系樹脂からなる内層と、上記内層
の外周に形成されるフッ素系樹脂以外の合成樹脂からな
る中間層と、上記中間層の外周に形成されるゴム弾性材
からなる外層とを備えている。このため、耐ガソリン透
過性,耐サワーガソリン性,強度等に優れている。しか
も、上記形成材料からなる中間層によって全体の強度を
保持することが可能となり、耐火災性に優れ、かつ高価
なフッ素系樹脂の使用量を抑制することができる。した
がって、低コスト化が実現する。さらに、構成が簡単で
あり、煩雑な工程を経由する必要がなく、より高価な原
料の使用量抑制と相俟って一層の低コスト化が実現す
る。
【0024】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0025】
【実施例1,2】下記の表1に示す材料を用い、前記の
製法に従って目的とする3層構造の自動車燃料配管用ホ
ース(内径6mm)を作製した。
【0026】
【表1】
【0027】
【実施例3】内層と中間層との間に、フッ素系樹脂(P
VDF)とナイロンとの混合物からなる接着剤を用いて
従来公知の方法により接着層を形成した。それ以外は実
施例1と同様にして図2に示す構造の自動車燃料配管用
ホース(内径6mm)を作製した。
【0028】
【実施例4】中間層と外層との間に、ナイロン糸を用い
てスパイラル編みによる補強層を形成した。それ以外は
実施例1と同様にして図3に示す構造の自動車燃料配管
用ホース(内径6mm)を作製した。
【0029】
【実施例5】内層と中間層との間に、フッ素系樹脂(P
VDF)とナイロンとの混合物からなる接着剤を用いて
従来公知の方法により接着層を形成し、ついで中間層と
外層との間に、ナイロン糸を用いてスパイラル編みによ
る繊維補強層をそれぞれ形成した。それ以外は実施例1
と同様にして図4に示す構造の自動車燃料配管用ホース
(内径6mm)を作製した。
【0030】
【比較例】下記の表2に示す材料を用いた。そして、下
記の材料のうち最内層形成材料および中間層形成材料を
用いて押出機によって2層を同時に押出しながら2層構
造を作製し、さらに上記2層中間層の外周にブラスメッ
キワイヤーからなる補強層を従来公知の方法により形成
した。ついで、補強層の外周に下記の表2に示す材料を
用いて最外層を形成した。このようにしてホースを得
た。
【0031】
【表2】
【0032】このようにして得られた実施例1〜5品お
よび比較例品のホースについて、破裂圧力,耐ガソリン
透過性,耐サワーガソリン性,耐火災性について測定,
評価した。その結果を下記の表3〜表4に示す。なお、
上記特性は下記の評価方法にしたがって測定した。
【0033】〔破裂圧力〕ホースが破裂するまで連続加
圧(水圧)を行い、ホースが破裂またはピンホールによ
る漏れの発生までの最高圧力を測定した。
【0034】〔耐ガソリン透過性〕試験用ガソリンと、
試験用ガソリンとメタノールを50:50(容量比)の
割合で混合した混合ガソリンの2種類を準備した。そし
て、これらを各ホース内に封入し、40℃の温度下に放
置して、その重量減少量(g/m2 ・day)を測定し
た。一方、実施例品および比較例品のホースと同一内径
で、内層がフッ素系ゴム(FKM)、中間層がECO
で、上記中間層の外周にECOからなる最外層が形成さ
れ、かつ上記中間層と最外層との間に補強糸からなる補
強層が形成された従来のホースを用いて上記と同様の測
定をした。そして、上記従来のホースの測定値を1と
し、これを基準に上記実施例品および比較例品のホース
の耐ガソリン透過性を表示した。
【0035】〔耐サワーガソリン性〕ホースの中をサワ
ーガソリンを循環させ、ホース内面に発生するクラック
等の異常を確認した。条件は、温度40〜60℃、循環
圧力は2.5kgf/cm2であった。その結果、全く
異常が確認されなかったものを◎、ほとんど異常が確認
されなかったものを○、異常が確認されたものを×とし
た。
【0036】〔耐火災性〕3〜4kgf/cm2 にエア
ー加圧したホースに700〜800℃の火炎を接炎して
からバーストするまでの時間を測定した。そして、その
結果、従来のものよりも長かったものを○、従来と同等
のものを×とした。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】上記表3の結果から、比較例品は耐火災性
に劣っていることがわかる。これに対して、実施例品は
いずれも耐ガソリン透過性,耐サワーガソリン性および
耐火災性に対して優れた性能を有していることがわか
る。しかも、最内層であるフッ素系樹脂の厚みが薄いま
まで上記のような良好な性能を有しており、高価なフッ
素系樹脂の使用量を抑制することでき、低コスト化を図
ることが可能となる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の自動車燃料配管用ホースを示す断面
図である。
【図2】この発明の自動車燃料配管用ホースの他の構成
を示す断面図である。
【図3】この発明の自動車燃料配管用ホースのさらに他
の構成を示す断面図である。
【図4】この発明の自動車燃料配管用ホースの他の構成
を示す断面図である。
【符号の説明】 1 内層 2 中間層 3 外層 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】上記中間層の形成材料には、上記フッ素系
樹脂以外の合成樹脂が用いられ、例えばポリアミド樹
脂,ポリエステル系樹脂があげられる。上記ポリアミド
樹脂としては、脂肪族系,芳香族系等特に限定するもの
ではなく、従来公知のものがあげられ、ラクタムの重合
物,ジアミンとジカルボン酸の縮合物,アミノ酸の重合
物およびこれらの共重合体およびブレンド物等があげら
れる。具体的には、ナイロン6,ナイロン11,ナイロ
ン12,ナイロン610,ナイロン612,ナイロン1
1またはナイロン12とナイロン66のブレンド体等を
用いるのが好適である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16L 11/08 Z 7123−3J

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内層と、上記内層の外周に形成された中
    間層と、上記中間層の外周に形成された外層とを備えた
    自動車燃料配管用ホースであって、上記内層がフッ素系
    樹脂によって形成され、上記中間層がフッ素系樹脂以外
    の合成樹脂によって形成され、上記外層がゴム弾性材に
    よって形成されていることを特徴とする自動車燃料配管
    用ホース。
JP20901492A 1992-08-05 1992-08-05 自動車燃料配管用ホース Pending JPH06234190A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001527198A (ja) * 1997-12-19 2001-12-25 ディクソン−ロチェ,キース ホース即ちフレキシブルパイプ
WO2005071301A1 (ja) * 2004-01-27 2005-08-04 Ube Industries, Ltd. 積層チューブ

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