JPH0623416Y2 - 二軸回転研磨装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、砥石車をその支持軸線回りと、支持軸線と直
交する軸線回りの二軸回転研磨装置に関するものであ
る。

＜従来の技術＞ 金型三次元自由曲面の仕上加工を数値制御式立型フライ
ス盤にて行う場合、工具形状として球を用いるのが一般
的であるが、回転軸中心では速度はゼロとなるため、軸
中心における仕上性能が低下し、工具摩耗も大きく、実
用上大きな問題となっていた。この問題を解消するため
に、回転軸を一軸付加し、砥石作業面が球体である砥石
車を用い、あらゆる方向に対して均一な仕上性能をもっ
た二軸回転の曲面研磨装置が提供されている。

この装置は、固定部に回り止め軸で回り止めしたハウジ
ングにアーバと一体の回転軸を回転自在に軸承し、アー
バの先端に砥石車をアーバの軸線と直交する砥石車支持
軸の軸線回りに回転自在に設け、前記ハウジングに固定
した固定傘歯車と、前記アーバに歯車支持軸をアーバの
軸線と直交する方向に固定し、この歯車支持軸に支持さ
れた前記固定傘歯車と噛合して前記回転軸の回転により
自転公転する遊星傘歯車と、この遊星傘歯車の回転によ
る歯車支持軸の回転を砥石車に伝えるプーリとベルトと
による伝達機構とを備えた構造である。そして、回転軸
を工作機械の主軸にコレットチャックを介して装着し主
軸の回転に基づく回転軸の回転で遊星傘歯車を固定傘歯
車の周りを公転自転させ、プーリとベルトにより砥石車
を回転し、砥石車を主軸回転方向と砥石軸方向に同時に
二軸回転させて型内面の三次元自由曲面を研磨するもの
である。

＜考案が解決しようとする問題点＞ 上記従来の装置において、歯車支持軸に回転自在に支持
される遊星傘歯車は、アーバの側方に大きくオーバハン
グした歯車支持軸に支持されているため、遊星傘歯車の
支持剛性が弱く、遊星傘歯車と固定傘歯車との噛合にガ
タツキが生じ、砥石車への回転伝達の確実性に難点があ
った。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案は、上記従来の問題点を解決したものであり、そ
の特徴とする構成は、固定部に回り止めしたハウジング
にアーバと一体の回転軸を回転自在に軸承し、アーバの
先端に砥石車をアーバの軸線と直交する軸線回りに回転
自在に設け、前記ハウジングに固定傘歯車を固定し、前
記アーバにアーバの軸線と直交する軸線方向に円周状の
凹部を設け、この凹部の中央に突出する歯車支持軸を設
け、この歯車支持軸に遊嵌するスリーブを設け、このス
リーブ上に大径歯車を一体的に設け、この大径歯車に前
記固定傘歯車と噛合して前記回転軸の回転により自転公
転する遊星傘歯車を一体的に設け、前記スリーブの遊星
傘歯車に近い一端の内周部と歯車支持軸の外側に位置す
る一端の外周部とを第１ベアリングを介して保持し、前
記スリーブの大径歯車に近い一端の外周部と前記アーバ
の凹部の内周部とを第２ベアリングを介して保持し、前
記大径歯車を前記アーバに支持された小径歯車に噛合
し、この小径歯車の回転を前記砥石車に伝達するベルト
伝動機構を備えたものである。

＜作用＞ 本考案は、遊星傘歯車と大径歯車を取付けたスリーブを
アーバの内周と歯車支持軸の外周との２点で第１及び第
２ベアリングを介して支持することにより、大径歯車を
アーバの一端側で支持するにも拘わらず、歯車支持軸の
オーバハングを縮減できるとともに、１点はアーバに直
接支持することにより遊星傘歯車の支持剛性を向上でき
る。

＜実施例＞ 以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する。第１図
において、１はハウジングであり、図略の固定部に回り
止め軸２によって回り止めされている。このハウジング
１にアーバ３と一体の回転軸４を回転自在に軸承し、ア
ーバ３の先端にアーバ３の軸線と直交する軸線で砥石車
６が回転自在に軸承されている。

この砥石車６は第２図及び第３図でも示すように、アー
バ３にアーバ３の軸線方向に摺動自在に案内された砥石
車保持軸５にアーバ３の軸線と直交する軸線で砥石車支
持軸７をベアリング10,11を介して支持し、この砥石車
支持軸７に回転方向をキー止めして設けられた小径プー
リ12に係合ピン13により係合して固着されている。ま
た、前記砥石車保持軸５には軸線方向に長孔８が設けら
れ、この長孔８を貫通してアーバ３に螺合するボルト９
にて砥石車保持軸５をアーバ３に固定するようになって
いる。

前記ハウジング１には回転軸４と同心円の固定傘歯車14
が固設されている。また前記固定傘歯車１４の近傍のア
ーバ３にはアーバ３の軸線と直交する軸線方向に円周状
の凹部が設けられ、この凹部の中央に突出するように歯
車支持軸１５が固定されている。この歯車支持軸１５に
はスリーブ１７が遊嵌され、このスリーブ１７の外周に
大径ギヤ２０を嵌合し、ボルト２２にて固着している。
さらに前記大径ギヤ２０のボス部２１には前記固定傘歯
車１４に噛合する遊星傘歯車１６がキー２３で係合し、
ボルト２４にて締付け固定されている。

前記スリーブ１７の遊星傘歯車１６に近い一端の内周部
と歯車支持軸１５の外側に位置する一端の外周部との間
には第１ベアリング１９が設けられ、前記スリーブ１７
の大径ギヤ２０に近い一端の外周部と前記アーバ３の凹
部の内周部との間には第２ベアリング１８が設けられ、
これら第１及び第２ベアリング１９，１８を介してスリ
ーブ１７が歯車支持軸１５に回転自在に保持されてい
る。

前記大径ギヤ20は、アーバ３に前記歯車支持軸15と平行
な軸線で回転自在に軸承した回転軸25に固着されている
小径ギヤ26と噛合している。前記回転軸25には大径プー
リ27が固着され、この大径プーリ27と前記砥石車６と一
体の小径プーリ12とにベルト28が掛け渡されている。

本考案は上記の通りの構成であるから、工作機械の主軸
の回転が回転軸４に伝えられ、アーバ３の先端の砥石車
６は主軸の回転方向に回転する。また、回転軸４の回転
によって遊星傘歯車16が固定傘歯車14の周りを公転しな
がら自転し大径ギヤ20を回転する。この大径ギヤ20の回
転は小径ギヤ26に伝えられ、回転軸25を増速回転する。
この回転軸25の回転により大径プーリ27が回転され、ベ
ルト28を介して小径プーリ12を増速回転し砥石車６を砥
石車支持軸７回りに高速回転する。従って、砥石車６は
アーバ３の回転方向と、このアーバ３の軸線と直交する
砥石車支持軸７の軸線回りとの二軸回転を同時に行うも
のである。

また、砥石車６を砥石車支持軸７の軸線回りに回転させ
るための遊星傘歯車16は、一端をアーバ３にベアリング
18で支持し、他端を歯車支持軸15にベアリング19で支持
した２点支持により回転され遊星傘歯車16の支持剛性を
向上している。さらに、大径プーリ27と小径プーリ12間
のベルト28のテンションは、ボルト９を緩めて砥石車保
持軸５をアーバ３の軸線方向に摺動させることにより調
整される。

＜考案の効果＞ 以上のように本考案によると、遊星傘歯車と大径歯車を
一体的に設けたスリーブをアーバの内周と歯車支持軸の
外周との２点で第１及び第２ベアリングを介して支持
し、大径歯車をアーバに支持された小径歯車に噛合した
構成であるので、アーバの側方に増速用の大径歯車を設
けたものにおいても、遊星傘歯車のオーバハングを短縮
でき、遊星傘歯車の支持剛性を向上できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の主要部断面正面図、第２図は砥石車部
分の拡大断面図、第３図は第２図III−III線断面図であ
る。 １……ハウジング、３……アーバ、４……回転軸、５…
…砥石車保持軸、６……砥石車、８……長孔、９……ボ
ルト、12……小径プーリ、14……固定傘歯車、15……歯
車支持軸、16……遊星傘歯車、17……スリーブ、18,19
……ベアリング、20……大径ギヤ、25……回転軸、26…
…小径ギヤ、27……大径プーリ、28……ベルト。

フロントページの続き (72)考案者 鈴木 憲二 愛知県岡崎市舞木町城山７番地54 豊田バ ンモップス株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】固定部に回り止めしたハウジングにアーバ
   と一体の回転軸を回転自在に軸承し、アーバの先端に砥
   石車をアーバの軸線と直交する軸線回りに回転自在に設
   け、前記ハウジングに固定傘歯車を固定し、前記アーバ
   にアーバの軸線と直交する軸線方向に円周状の凹部を設
   け、この凹部の中央に突出する歯車支持軸を設け、この
   歯車支持軸に遊嵌するスリーブを設け、このスリーブ上
   に大径歯車を一体的に設け、この大径歯車に前記固定傘
   歯車と噛合して前記回転軸の回転により自転公転する遊
   星傘歯車を一体的に設け、前記スリーブの遊星傘歯車に
   近い一端の内周部と歯車支持軸の外側に位置する一端の
   外周部とを第１ベアリングを介して保持し、前記スリー
   ブの大径歯車に近い一端の外周部と前記アーバの凹部の
   内周部とを第２ベアリングを介して保持し、前記大径歯
   車を前記アーバに支持された小径歯車に噛合し、この小
   径歯車の回転を前記砥石車に伝達するベルト伝動機構を
   備えたことを特徴とする二軸回転研磨装置。