JPH0622945Y2 - 高圧ケーブル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は高圧ケーブル装置に係り、特に自動車エンジン
等のシリーズギャップ付点火装置に好適な高圧ケーブル
装置に関する。

〔従来の技術〕

従来から、点火プラグと直列に所謂シリーズギャップを
設け、カーボン等の付着による点火プラグのくすぶりを
防止して点火タイミング等を緻密に管理し、高性能を得
るようにした自動車エンジン等の点火装置が知られてい
る（実開昭６３−１０１４８６号公報参照）。

第３図は従来のこの種の点火装置に用いられる高圧ケー
ブル装置Ｃを示したもので、エンジンのシリンダヘッド
１に螺着された点火プラグ２の端子３には、給電側に通
ずる高圧ケーブル４の先端部に取付けられたプラグキャ
ップ５が着脱自在に嵌着されるようになされている。上
記プラグキャップ５は、略筒状のケーシング６で構成さ
れており、このケーシング６内には、点火プラグ２の端
子３と係合可能な接続端子７と、高圧ケーブル４の端部
に接続された給電端子８とが長手方向に離間して対向配
置されている。

また、上記ケーシング６内には、所謂シリーズギャップ
Ｓを形成し、相対向する一対の電極９，９を封止管１０
で封止してなる放電管１１が組み込まれており、この放
電管１１の電極端子９ａ，９ａが上記接続端子７及び給
電端子８とそれぞれ接続するようになされている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、上記した高圧ケーブル装置Ｃにおいては、単
に、上記ケーシング６内に放電管１１が組み込まれるも
のであるため、放電管１１の封止管１０部分の外面とケ
ーシング６の内面との間に所定の空隙１２が不可避的に
形成され、この空隙１２により上記電極９，９間での放
電開始に先立って封止管１０の外面に沿って所謂沿面放
電が発生するという恐れがある。そして、この沿面放電
が発生すると、必要な放電開始電圧が得られなくなり、
点火タイミング等を緻密に管理することができなくなる
という問題を有している。

本考案は上記した点に鑑みてなされたもので、放電管の
封止管外面に沿って発生する沿面放電等の異常放電を防
止して放電開始電圧を十分に高くすることができるよう
にした高圧ケーブル装置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために本考案に係る高圧ケーブル装
置は、一端部に点火プラグの端子と係合可能な接続端子
を有すると共に、他端部に給電側に通ずる高圧ケーブル
と接続した給電端子を有するケーシング内に、絶縁管の
両端開放部を内方に突出する電極部を有する一対の電極
板で封止してなる放電管を組み込んだ高圧ケーブル装置
において、上記放電管の絶縁管部分と上記ケーシングと
の間に空隙を形成して上記放電管を対向保持する一対の
保持部材を設け、この保持部材を上記ケーシング内に嵌
装すると共に、上記放電管の電極板及び絶縁管と保持部
材との接触部分を、接着性を有する電気絶縁性材料で封
止したことを特徴とするものである。

〔作用〕

本考案によれば、保持部材により放電管の両端部分を保
持して、放電管の絶縁管部分とケーシングとの間に空隙
を形成した状態で放電管をケーシング内に組み込んであ
り、かつ、放電管の電極板及び絶縁管と保持部材との接
触部分を接着性を有する電気絶縁性材料で封止してある
ので、絶縁管の外面に沿って発生しようとする沿面放電
を防ぐことができ、放電管の放電開始電圧を十分に高く
することができる。これにより、点火タイミング等をよ
り緻密に管理することができ、エンジンの高性能化を図
ることができるものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図及び第２図を参照して説
明し、従来と同一部分には同一符号を付す。

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示したもので、
高圧ケーブル４の先端部に取付けられ、点火プラグの端
子に着脱自在に嵌着されるプラグキャップ５は、略中空
円筒状のケーシング６で構成されており、このケーシン
グ６は、点火プラグの端子と係合可能な接続端子７を有
する第１のケーシング６ａと、給電側に通ずる高圧ケー
ブル４と接続した給電端子８を有する第２のケーシング
６ｂとを組み立てることで形成されるようになされてい
る。そして、このケーシング６内に、後述するように、
所謂シリーズギャップＳを形成する放電管１１が組み込
まれるようになされている。

ここで、上記放電管１１は、第２図に示したように、セ
ラミックス等で形成され封止管として作用する絶縁管１
３の両端開放部が内方に突出する放電電極部１４ａ，１
４ｂを有する一対の電極板１５ａ，１５ｂで封止され、
絶縁管１３内に所定の不活性ガスが封入された形式のも
のである。

上記第１のケーシング６ａ内の接続端子７側には、段部
１６が形成されており、この段部１６と係合するゴム等
の弾性体からなる略筒状の第１の保持部材１７ａが上記
ケーシング６ａ内に嵌装されている。上記第１の保持部
材１７ａには、受け段部１８ａが形成されており、この
段部１８ａ内に、第２図に示したように、上記放電管１
１の一方の電極板１５ａ側が嵌合保持されている。そし
て、上記受け段部１８ａの先端部が、上記放電管１１の
電極板１５ａ側の絶縁管部分１３ａの周囲を完全に保持
するようになされている。

また、上記受け段部１８ａの内面には、接着性を有する
電気絶縁性材料として例えばエポキシ樹脂１９が塗布さ
れており、上記段部１８ａに嵌合保持される放電管１１
と段部１８ａとの間に空隙が形成されないようになされ
ている。

また同様に、上記放電管１１の他方の電極板１５ｂ側に
は、上記第１のケーシング６ａ内に嵌装されたゴム等の
弾性体からなる略筒状の第２の保持部材１７ｂの受け段
部１８ｂが嵌合されるようになされており、上記段部１
８ｂの内面にもエポキシ樹脂１９が塗布され、上記放電
管１１と段部１８ｂとの間に空隙が形成されないように
なされている。

なお、図中符号２０及び２１は、上記各保持部材１７
ａ，１７ｂを挿通して上記接続端子７と上記放電管１１
の一方の電極板１５ａ及び上記給電端子８と放電管１１
の他方の電極板１５ｂとを接続する導電性のバネであ
る。

そして、上記したように、第１のケーシング６ａ内に放
電管１１等の各種部品を組み込んだ後で第２のケーシン
グ６ｂを組み付けることで、上記放電管１１が、その電
極板１５及び絶縁管１３部分の周囲を保持部材１７で覆
われた状態でケーシング６内に位置決め保持され、しか
も上記エポキシ樹脂１９により放電管１１と保持部材１
７との間に如何なる空隙も形成されないようになされて
いる。

従って、本実施例においては、上記保持部材１７により
放電管１１の電極板１５及び絶縁管１３部分の周囲を保
持して放電管１１をケーシング６内に組み込んであり、
かつ、放電管１１と保持部材１７との接触部分、特に電
極板１５及び絶縁管１３との接触部分をエポキシ樹脂１
９で封止してあるので、放電管１１の絶縁管１３外面に
沿って発生しようとする沿面放電を防ぐことができ、放
電管１１の放電開始電圧を十分に高くすることができ
る。これにより、点火タイミング等をより緻密に管理す
ることができ、エンジンの高性能化を図ることができ
る。

また、上記保持部材１７により、放電官１１の絶縁管１
３部分の外面をケーシング６の内面から離間させて（絶
縁管１３部分とケーシング６との間に空隙を形成した状
態で）放電管１１をケーシング６内に保持することがで
き、かつ、エンジン等の外部振動が上記保持部材１７で
吸収されるので、振動による放電管１１の損傷を防ぐこ
とができる。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案に係る高圧ケーブル装置は、放
電管の絶縁管部分とケーシングとの間に空隙を形成して
放電管を対向保持する一対の保持部材を設け、この保持
部材をケーシング内に嵌装すると共に、放電管の電極板
及び絶縁管と保持部材との接触部分を、接着性を有する
電気絶縁性材料で封止したので、封止管の外面に沿って
発生しようとする沿面放電を防ぐことができ、放電管の
放電開始電圧を十分に高くすることができる等の効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図 第２図は第１図の一部拡大図、 第３図は従来の高圧ケーブル装置を示す断面図 である。 ２……点火プラグ、４……高圧ケーブル、５……プラグ
キャップ、６……ケーシング、７……接続端子、８……
給電端子、１１……放電管、１７……保持部材、１８…
…受け段部、１９……エポキシ樹脂、Ｓ……シリーズギ
ャップ、Ｃ……高圧ケーブル装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一端部に点火プラグの端子と係合可能な接
   続端子を有すると共に、他端部に給電側に通ずる高圧ケ
   ーブルと接続した給電端子を有するケーシング内に、絶
   縁管の両端開放部を内方に突出する電極部を有する一対
   の電極板で封止してなる放電管を組み込んだ高圧ケーブ
   ル装置において、 上記放電管の絶縁管部分と上記ケーシングとの間に空隙
   を形成して上記放電管を対向保持する一対の保持部材を
   設け、この保持部材を上記ケーシング内に嵌装すると共
   に、上記放電管の電極板及び絶縁管と保持部材との接触
   部分を、接着性を有する電気絶縁性材料で封止したこと
   を特徴とする高圧ケーブル装置。