JPH0622940B2 - 中空材 - Google Patents

中空材

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JPH0622940B2
JPH0622940B2 JP1201910A JP20191089A JPH0622940B2 JP H0622940 B2 JPH0622940 B2 JP H0622940B2 JP 1201910 A JP1201910 A JP 1201910A JP 20191089 A JP20191089 A JP 20191089A JP H0622940 B2 JPH0622940 B2 JP H0622940B2
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wire
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、曲げやねじりに対する剛性及び強度が要求さ
れる中空材、例えばゴルフシャフト、釣竿あるいは配管
材等に関し、特にロッド本体に、高強度鋼線を樹脂で一
体化した補強用シート材を巻回する構造を採用した場合
に、上記樹脂と高強度鋼線とを一体化する際の密着性,
接着性を向上して、該鋼線が樹脂内で抜けるのを確実に
防止できるようにした構造に関する。本発明の中空材は
ゴルフシャフトに好適なので、以下これを例にとって説
明する。
〔従来の技術〕
一般に、ゴルフクラブ用シャフトには、打球時における
長手方向の曲げやねじりに対する剛性,強度が高いこ
と、及び軽量であることが要求されている。このような
要求に応えるゴルフシャフトとして、従来、カーボン繊
維樹脂製のロッド本体の外表面に補強用繊維シート材を
巻き付けたものが提案されている(例えば、実開昭61-9
1260号公報参照)。この補強用繊維シート材は、例えば
シリコンカーバイト,アルミナ,ボロン,ガラス等から
なる繊維シート材に樹脂を含侵せしめたものである。ま
た、実開昭61-14065号公報には、多数のチタンワイヤー
をロッド本体の軸芯に沿って配置した構成のゴルフクラ
ブ用シャフトが提案されている。このような補強用シー
ト材あるいはチタンワイヤを上記カーボン繊維樹脂製の
ロッド本体に巻き付けることにより、剛性及び強度を向
上でき、かつ軽量化できる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところで、上記従来の補強用繊維シート材は、各繊維材
を樹脂で一体化する構造であるから、これに曲げやねじ
りの応力が加わった場合、繊維材と樹脂との密着性,接
着性の如何によっては繊維材が樹脂から抜け易いという
問題点がある。これは上記繊維材がピアノ線等の金属線
の場合に特に起こり易い。
また、上記従来のゴルフシャフトにおいて、より剛性,
強度を向上させるために、上記繊維材の埋設量を増やす
ことが考えられるが、この方法は重量が増大することか
ら限度があり、軽量化を図りながら剛性,強度を向上さ
せることが要請されている。
本発明の目的は、高強度鋼線と樹脂との密着性,接着性
を大幅に向上して抜けを確実に防止できるとともに、剛
性及び強度を向上させながら、軽量化を可能にできる中
空材を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
そこで本願第1項の発明は、高強度鋼線同士を互いに平
行にかつ平面状に配置した状態で樹脂により一体化して
なる補強用シート材を、ロッド本体の外表面に、該ロッ
ド本体の長手方向と上記高強度鋼線の長手方向とが略平
行となるよう回し、上記ロッド本体と上記補強用シート
材とを接着して一体化してなる中空材であって、上記各
高強度鋼線の外表面にNiめっき被覆層を形成したこと
を特徴としている。
また、本願第2項の発明は、上記Niめっき被覆層に塑
性加工による加工歪を形成したことを特徴としており、
本願の第3項の発明は、上記第1項,第2項の中空材に
おいて、上記高強度鋼線が、繊維状微細金属組織を有す
る引張強度300 kgf/mm以上の低炭素二相組織鋼フィラ
メントからなることを特徴としており、さらに第4項の
発明は、上記高強度鋼線の断面形状を長径,矩径を有す
る異形にした点を、第5項の発明は高強度鋼線を複数の
極細線を撚り線化し、これを樹脂被覆して構成した点を
それぞれ特徴としている。
ここで、本発明における異形とは、楕円,長方形等のよ
うに長径と短径を有する形状一般をいう。
以下、本発明において上記構成を採用した理由を詳述す
る。
I.上記高強度鋼線にNiをめっきした理由 Niめっきを施したのは樹脂との密着性,接着性を改善
するためである。即ち、本発明者等の実験研究によっ
て、Niは樹脂とのなじみが非常に良く、樹脂との密着
性を向上できることが判明したからである。従って、N
iを被覆した高強度鋼線を樹脂でシート化した場合、該
中空材に曲げや引っ張り等が作用した際の、高強度鋼線
の樹脂からの抜けを確実に防止できる。
第1表は、金属細線に各種の金属(Ni,Cu,Zn,
Cu−Zn,Al,Au,Ag,Cr)を表面被覆した
場合の各特性(ダイス寿命改善,防錆,酸化性,接着
性,表面処理性,耐蝕性,自己潤滑性,装飾性,及び導
電性)を比較した結果を示す。同表からも明らかなよう
に、Niは、自己潤滑性が高いことからダイス寿命を改
善でき、防錆,酸化防止等耐蝕性が高く、また、マトリ
ックス樹脂との接着性に優れ、さらに表面処理性も高
い。このように総合的にも、また上記各特性から見ても
Niが一番優れていることがわかる。
なお、上記Niの被覆方法は、電気めっき,溶融めっ
き,等の湿式めっき法,PCD,CVD,スパッタリング等の乾
式めっき法等の一般に用いられている手段が採用でき
る。勿論、ここで言うNiめっきには、純粋なNiだけ
ではなく、上述の必要特性を阻害しない範囲内での第1
表に例示した金属,あるいは他の金属と合金化したNi
めっきも含まれる。また上記鋼線に対するNiの被覆量
については、鋼線1kgあたり1g未満では防錆効果等の
被覆効果を発揮させるのが難しく、また100gを越えても
被覆効果の向上は望めず、逆に皮膜が厚すぎて加工時の
パウダリング等の副次的なデメリットが生じるため好ま
しくない。従って、鋼線1kgあたり1〜 100gの範囲内
が適当である。
II.Niめっき被覆層に塑性加工による加工歪を付与し
た理由 本件発明者らが上記Niめっき被覆層についてさらに検
討したところ、このNiを単にめっきしただけの状態で
は十分満足できる密着性,接着性が得られない場合があ
ることが判明した。この理由は明確ではないが以下の点
が考えられる。即ち、めっき処理しただけのNiめっき
被覆層は、無数のピンホールを有するポーラス状になっ
ており、そのためめっき処理工程時に発生する水素が上
記Ni層内に吸蔵され、あるいは上記ポーラス内に空気
が残留することとなる。そしてこの吸蔵された水素,残
留空気が樹脂コーティングする際の熱で放出され、ある
いは膨張して樹脂層とNi層との境界に溜まり、その結
果両者の密着性,接着性に悪影響を与えているものと考
えられる。
一方、上記Niめっき被覆層に加工歪を付与すると、該
被覆層内のピンホールが潰されてなくなる点、及び例え
ば伸線時の加工熱によって上記水素及び残留空気が放出
され、これにより水素,残留空気をほとんど含まないN
iめっき被覆層が得られることになる。その結果、上記
高強度鋼線と樹脂とを一体化した場合の、該樹脂と上記
鋼線との密着性,接着性をさらに向上できる。なお、上
記加工歪を形成するには、例えば上記高強度鋼線の製造
過程において、冷間伸線加工する前の素線に予めNiめ
っき処理を施し、これを伸線加工することにより実現で
きる。
III.高強度鋼線として低炭素二相組織鋼フィラメント
を採用した理由 上記、低炭素組織鋼フィラメントは本件発明者らが、重
量を増大させることなく剛性,強度をより向上するため
に上記高強度鋼線の線径を細くしても強度を大幅に向上
できる金属組織について鋭意研究を続け、以下の点を見
出して完成したものである。即ち、Fe−C−Si−M
n系鉄基合金で、かつ針状マルテンサイト,ベイナイト
又はこれらの混合組織からなる低温変態生成相がフェラ
イト相中に均一に分散されてなる複合金属組織を有する
鋼線材が強加工性に優れており、このような金属組織を
有する線材を用いれば冷間伸線により線径100 μm以下
の極細線を容易確実に得ることができる。そしてこのよ
うな鋼線材を冷間伸線により加工歪み4以上に強加工す
れば、上記フェライト相と低温変態生成相とが複合して
なる複合組織(二相組織)が一方向に延びる均一な繊維
状微細金属組織が形成され、このような金属組織を有す
る極細線は引張強度が300 kgf/mm以上と飛躍的に向上
し、かつ靱性は従来のピアノ線,ステンレス線程度であ
ることを見出した。
このような繊維状微細金属線は、従来知られていない全
く新規な組織である。本件発明者は、上記金属組織が引
張強度を向上させる主因になっているとの観点から、そ
の強化メカニズムについてさらに研究を重ねた結果、上
述の如き超高強度を有する金属組織では、上記繊維の間
隔が50〜1000Åであり、かつ該繊維状をなす上記複合組
織が5 〜100 Åの超微細セルから構成されていることを
見出した。
次に上記低炭素二層組織鋼線の製造方法について説明す
る。
まず、重量%でC:0.01〜0.5 %、Si:3.0 %以下、
Mn:5.0 %以下、残部Fe及び不可避的不純物よりな
る線径3.5 mm以下の線材を700 〜1100℃の範囲の温度に
加熱した後、冷却して(この加熱,冷却は複数回にわた
って行ってもよい)、一部残留オーステナイトを含有し
てもよいマルテンサイト,ベイナイト又はこれらの混合
組織からなる低温変態生成相がフェライト相中に体積率
で15〜75%の範囲にて均一に分散されてなる複合組織を
有する線材を製造する。なお、上記かかる製造方法は、
特開昭62-20824号公報に記載されている。
次に、このようにして得られた複合組織線材を冷間伸線
加工により、加工歪み4以上、好ましくは5以上に強加
工し、上記フェライト相と低温変態生成相とを複合化
し、金属組織として一方向に連続して延びる微細な繊維
状組織を形成させる。このように加工度を高めることに
より、上記繊維状組織はさらに微細化し、繊維間隔は狭
くなり、ついには上述のとおり加工にて生じたセルの大
きさ,繊維間隔がそれぞれ5〜100 Å,50 〜1000Åであ
る繊維状微細金属組織となる。なお、加工歪みが4以上
よりも小さい伸線加工によって得られた細線では、繊維
状組織の発達の途中にあってその組織が不完全であり、
従って強度も低い。
IV.本発明の高強度鋼線の断面を長径,短径を有する楕
円状異形とした理由 これは高強度鋼線の断面形状を例えば楕円形状とし、該
楕円の長径側の面をロッド本体に接触させることによっ
て、該鋼線が安定し、鋼線同士を平行状態に配置し易く
なり、それだけピッチが一定になる。なお、この異形
は、伸線加工の最終工程でダイスの形状を変えることに
より容易に実現できる。
V.高強度鋼線を、複数の極細線を撚り線化し、該撚り
線に合成樹脂を被覆して構成したのは、中空材自体の剛
性,強度をより向上するためである。即ち、撚り線化
し、さらに樹脂皮膜することにより、該高強度鋼線とシ
ート用樹脂との密着性がさらに向上し、中空材自体の剛
性,強度向上に寄与できる。
〔作用〕
本願第1項の発明の中空材によれば、高強度鋼線の外表
面にNiめっき被覆層を形成したので、該高強度鋼線と
樹脂との密着性,接着性を向上でき、例えばゴルフシャ
フトに採用した場合は打球時の応力による抜けを確実に
防止でき、寿命を延長できる。また、本願第2項の発明
では、上記Niめっき被覆層に加工歪を形成したので、
該被覆層と樹脂層との間に水素あるいは空気が溜まるこ
とがなく、密着性,接着性をさらに向上できる。
また、本願第3項の発明によれば、高強度鋼線に採用し
た低炭素二相組織鋼フィラメントは、冷間加工性に優れ
ており、線材の線径及び加工度を適宜選択することによ
り、100 μm以下のものを容易に得ることができる。し
かもこの鋼線は冷間伸縮の強加工により生じた5〜100
Åの加工セルが一方向の繊維状に配列され、かつ該繊維
間隔が50〜1000Åの繊維状微細金属組織を形成してお
り、上述の強化メカニズムで説明したように、300 〜60
0 kgf/mmの超高強度を有する。従って、中空材におい
て、これを採用した場合はピアノ線,ステンレス線等に
比べ引張強度を大幅に向上でき、曲げやねじるに対する
剛性及び強度をさらに向上できる。例えば、上記ゴルフ
シャフトに適用した場合は、剛性,強度を向上しながら
軽量化をできる。
また、第4項の発明によれば、高強度鋼線が、楕円等の
異形であるので、ロッド本体への配設が容易であり、第
5項の発明では、高強度鋼線を、撚り線を樹脂被覆した
もので構成したので、シート化した際の鋼線と樹脂との
密着性がさらに向上し、中空材自体の剛性,強度をさら
に向上できる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図について説明する。
第1図ないし第4図は本発明の一実施例による中空材を
説明するための図である。なお、本実施例では、ゴルフ
シャフトに適用した場合を例にとって説明する。
第4図において、1は本実施例のゴルフシャフトであ
り、これはシャフト本体2の下端2aにヘッド3を固着
するとともに、上端部2bにグリップ4を嵌装固着して
構成されている。上記シャフト本体2は、カーボン繊維
製のロッド本体5の外表面に補強用シート材6を巻回し
て構成されている。なお、この補強用シート6は上記シ
ャフト本体2の下端部2a及び上端部2b部分に複数枚
巻回されている。
上記補強用シート材6は、第1図ないし第3図に示すよ
うに、多数の高強度鋼線7を互いに平行となるよう所定
間隔をあけて、かつ平面をなすように配置し、これを樹
脂8により一体化してなるものであり、上記各高強度鋼
線7は樹脂8内に埋設されている。また、上記高強度鋼
線7の断面は楕円状に形成されており、これは該鋼線7
同士を配置する際の安定性を向上させるためのものであ
る。さらに、上記補強用シート材6は、これの高強度鋼
線7の長手方向が上記ロッド本体5の長手方向と略平行
となるように巻かれており、両者は接着剤により固着さ
れている。
上記各高強度鋼線7は低炭素二相組織鋼フィラメントか
らなり、これは重量%でC:0.01〜0.50%、Si:3.0
%以下、Mn:5.0 以下、残部Fe及び不可避的不純物
からなる線径3.0 〜6.0mm の線材を一次熱処理及び一時
冷間伸線、二次熱処理及び二次冷間伸線により線径15〜
100 μmに強加工して製造されたものである。この各高
強度鋼線7は上記強加工により生じた加工セルが一方向
に繊維状に配列された繊維状微細金属組織を形成してお
り、かつ上記加工セルの大きさ,繊維間隔がそれぞれ5
〜100 Å,50 〜1000Åであり、さらに引張強度が300 〜
600 kgf/mmである。
そして、本実施例の高強度鋼線7の外表面にはNiめっ
き被覆層9が形成されている。このNiめっき被覆層9
は、上記線材にめっき処理を行い、しかる後冷間伸線加
工する際に同時に塑性加工されたもので、これにより加
工歪を有している。即ち、上記Niめっき被覆層9は、
伸線加工の前工程において線材にめっき処理を施して4
μm程度の被覆層を形成し、これを一次,二次冷間伸線
することにより、1μm程度の厚さに引き延ばしてなる
ものである。これにより、めっき処理時に生じていたピ
ンホールが上記伸線時に潰されて、欠陥のない良好な被
覆層となっている。
このように本実施例のゴルフシャフト1によれば、高強
度鋼線7にNiめっき被覆層9を形成するとともに、こ
れに加工歪を生じさせたので、樹脂8との密着性,接着
性を大幅に向上できる。即ち、上記Niめっき被覆層9
は、加工歪によってピンホール等のない構造となってお
り、ほとんど水素,空気を含有してないので、水素等に
よる樹脂と鋼線との密着性への悪影響がなく、上述の通
り密着性を改善でき、打球時の曲げ,ねじり等の応力が
作用しても抜けることはなく、寿命を延長できる。
また、本実施例の高強度鋼線7は、線径100 μm以下、
引張強度300 〜600 kgf/mmの低炭素二相組織鋼フィラ
メントを採用したので、少量の高強度鋼線7で剛性,強
度を向上でき、シャフトの軽量化に貢献できる。
ここで、本実施例の高強度鋼線7にNiめっき被覆層9
を形成したことによる樹脂との接着力向上効果を確認す
るための実験について説明する。
この実験は、第5図に示すように、本実施例の高強度鋼
線aの一部分を、エポキシ系樹脂をベースとしてこれに
炭素繊維,ガラス繊維を混合してなる複合試料片bに埋
め込み、この複合試料片bを固定した状態で上記鋼線a
の上部をこれが抜けるか、又は断線するまで引張って、
両者の密着性,接着性を調べた。なお、上記複合試料片
bの埋め込み長さLは、鋼線aの線径d(mm)×50とな
るようにした。
そして、第2表に示すように、まず線径50μmの高強度
鋼線を4本採用し、この各鋼線にNiめっきを形成しな
い場合(No.1)、Niめっき被覆層を形成した後伸線
加工により加工歪を付与した場合(No.2)、さらにこ
れの表面に樹脂コーティングした場合(No.3)、Ni
めっきを被覆しただけの場合(No.4)について引抜試
験を行った。また、線径100 μmの鋼線も採用し、これ
もNiめっきを被覆しただけの場合(No.5)、さらに
これに伸線加工により加工歪を付与した場合(No.6)
についても同様の引抜試験を行った。表中、×印は高強
度鋼線aが複合試料片bから抜けた場合を示し、○印は
該鋼線aが断線した場合を示す。
表からも明らかなように、線径50μmでNiめっきを被
覆しない場合(No.1)は抜けており、両者の接着力は
上記鋼線aの破断力未満であった。これに対して、Ni
めっきを被覆し(No.4)、さらにこれに加工歪を付与
し(No.2)、さらにまたこれに樹脂コーティングした
(No.3)の場合は、いずれも抜ける前に断線してお
り、両者の接着力は高強度鋼線の破断力以上であること
がわかる。
一方、線径100 μmでNiめっき被覆層を形成しただけ
の場合(No.5)は、断線する前に抜けている。これは
線径が大きい分引張力も高いことから、接着力がこの高
い引張力には及ばなかったものと考えられる。しかしこ
れに加工歪を付与した場合(No.6)は断線しており、
これにより加工歪により接着力が向上することが理解で
きるとともに、比較的太い線径の場合は高強度鋼線自体
の引張力が大きくなっているから、加工歪を付与するこ
とによりこの大きな引張力に対応できる接着力が得ら
れ、その効果はより大きいことがわかる。
本実施例では、ロッド本体5の外表面に補強用シート材
6を巻回する場合に、シャフト本体2の下端部2a〜上
端部2b間部分にはシート材6を1枚だけ巻回し、上記
下端部2a,及び上端部2bについては複数枚巻回し
た。これは以下の理由による。
即ち、ゴルフシャフトにおいては、ヘッド3のネック部
(下端部2a付近)に特に大きな負荷が作用することが
従来から知られており、従ってこのネック部をより強固
に補強するために補強用シート材6を複数枚巻回したも
のである。なお、グリップ部(上端部2b)については
ネック部ほど大きな負荷が作用するわけではないが、全
体的な寸法バランスの点から複数枚巻回した。
このように、本発明は、必ずしも中空部材の全長に渡っ
て均一に補強する必要はなく、負荷の大きさに応じて補
強の度合いに強弱をつけ、さらには特に負荷の大きい部
分のみを補強するようにしてもよい。
上記ゴルフシャフトのように特に力がかかる屈曲部を有
するような部材形状の場合は、このネック部(下端部2
a)のみにシート材6を巻回し、その他の部分について
はシート材を巻回することなく従来のカーボンロッドの
ままとすることも可能である。
このような負荷の大きい部分のみを補強した場合は、補
強用シート材6の必要量が少なくて済み、経済的である
とともに、軽量化の点で有利である。
なお、上記実施例では、高強度鋼線7に低炭素二相組織
鋼フィラメントを採用した場合を例にとって説明した
が、本発明はピアノ線,ステンレス線等の他の金属鋼線
も採用でき、この場合もNiめっき被覆層を形成するこ
とにより樹脂との密着性を向上でき、上記実施例と略同
様の効果が得られる。
また、上記実施例ではNiめっき被覆層に加工歪を形成
したが、本発明はこの加工歪を形成しない場合でも、従
来に比べて樹脂との密着性を向上できる。
さらに、上記実施例では、ゴルフシャフトに適用した場
合を例にとって説明したが、本発明の中空材は勿論これ
に限られるものではなく、例えば、釣竿,野球用バッ
ト,スキー用ストック,あるいは工業用配管等、要は曲
げやねじりに対する剛性及び強度が要求されるものであ
れば何れにも適用できる。
そしてシート材の巻回において、作用する負荷の大きさ
が適用対象品の部位において異なる場合は、負荷の大き
い部分のシート材枚数を多くして該部分を重点的に補強
し、あるいは負荷の大きい部分のみを補強するようにし
ても良い。
例えば上記バットの場合は手元のグリップ部に特に大き
な負荷が作用するので、このグリップ部のみを補強し、
また上記ストックの場合は雪中に突き刺されることから
大きな負荷が作用する先端部分のみを補強するようにし
ても良い。
〔発明の効果〕
以上のように本発明に係る中空材によれば、高強度鋼線
にNiめっき被覆層を形成したので、樹脂との密着性を
大幅に向上でき、曲げ,ねじりの外力による抜けを防止
でき、剛性,強度を長期間保持できる効果があり、また
第2項の発明では、上記Niめっき被覆層に加工歪を形
成したので、さらに密着性を向上できる効果がある。さ
らに、第3項の発明によれば、高強度鋼線として低炭素
二相組織鋼線を採用したので、引張強度を従来の鋼線よ
りはるかに高くでき、軽量化に貢献できる効果があり、
第4項の発明によれば、高強度鋼線を異形断面にしたの
で、配設が容易であり、第5項の発明によれば、高強度
鋼線を撚り線化し、かつ樹脂被覆したもので構成したの
で、剛性,強度をさらに向上できる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第4図は本発明の一実施例によるゴルフシ
ャフトを説明するための図であり、第1図はそのロッド
本体に補強用シート材を巻回する状態を示す分解斜視
図、第2図はその補強用シート材を示す斜視図、第3図
はその高強度鋼線の断面斜視図、第4図はゴルフシャフ
トを示す斜視図、第5図は上記実施例の実験方法を示す
図である。 図において、2はシャフト本体(中空材)、5はロッド
本体、6は補強用シート材、7は高強度鋼線、8は樹
脂、9はNiめっき被覆層である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高強度鋼線同士を互いに平行にかつ平面状
    に配置した状態で樹脂により一体化してなる補強用シー
    ト材を、ロッド本体の外表面に、該ロッド本体の長手方
    向と上記高強度鋼線の長手方向とが略平行となるよう巻
    回し、上記ロッド本体と上記補強用シート材とを一体化
    してなる中空材であって、上記各高強度鋼線の外表面に
    Niめっき被覆層を形成したことを特徴とする中空材。
  2. 【請求項2】上記Niめっき被覆層が、塑性加工による
    加工歪を有していることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載の中空材。
  3. 【請求項3】上記高強度鋼線が、引張強度300 kg/ mm
    以上の低炭素二相組織鋼フィラメントからなることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項又は第2項記載の中空
    材。
  4. 【請求項4】上記高強度鋼線の断面が長径及び短径を有
    する楕円状異形であることを特徴とする特許請求の範囲
    第1項ないし第3項のいずれかに記載の中空材。
  5. 【請求項5】上記高強度鋼線が、複数の極細線を撚り線
    化し、該撚り線に合成樹脂を被覆して構成されているこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第3項のい
    ずれかに記載の中空材。
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